国立大学法人・大学共同利用機関法人の改革推進状況【第1期中期目標期間】

平成23年5月24日
国立大学法人評価委員会

※ ここにあげる取組については、国立大学法人評価委員会が把握した各国立大学法人等(90法人)の特色ある例をまとめたものであり、全法人が一律に行わなければならないと考えているものではない。
  「教育活動の推進」、「研究活動の推進」、「社会連携・地域貢献・国際交流等の推進」においてあげた取組例については、主に大学評価・学位授与機構が行った評価の結果から抽出している。

  教育研究の活性化に向けた取組

 教育活動の推進

1. 教育の成果
(具体的取組例)
○  カリキュラム改訂を行い「自己デザイン領域(基本科目・キャリア創造科目・自己学習プログラム)」を開設し、「キャリア形成論」等の授業科目を設置することにより、学生の主体的な人生設計と職業選択のできる教育を実施することとしたほか、少人数制の授業を多く採用するなど、学生が主体的に学ぶ環境を整備し、学生から高い評価を受けている。【福島大学】
○ 教養教育について、教養教育開発機構(KOMED)の設置や、学術俯瞰講義の創設、さらに大学院先端研究との創造的連携を行い、また、企業を対象とした卒業生に関するアンケートから、幅広い教養を持っているなどの肯定的回答を高い割合で得ている。【東京大学】
○ 学士課程では日本技術者教育認定機構(JABEE)の基準を一つの判断基準とする再検討、大学院課程では、修士課程学力試験等による国際水準を保証するプログラムの導入や修士・博士一貫国際大学院プログラムの実施、海外大学等との合同プログラムの導入等の多様な取組によって、企業から教育の国際化や卒業生・修了生に対する高い評価を得ている。【東京工業大学】
○ ものつくり教育を高める教育を行い、「ロボメカ工房」等の体験教育の場を拡充して特許出願やロボカップ世界大会優勝を含むコンテストの受賞等の成果を上げている。【電気通信大学】
○ 教育実践力を身につけた教育者を養成するため、学部改組、公立学校との連携による実地教育科目や教職へのキャリア形成のための授業科目の開設、就職・キャリア支援センターの開設による支援の強化を実施し、大学の教育が目的に合致しているとアンケートに回答した卒業生が約8割を占め、就職率も向上している。【京都教育大学】
○ 外国語教育の新たな実施体制を導入し、多くの学生の英語プレゼンテーション能力を向上させている。【神戸大学】
○ 大学及び研究科の人材養成目的を達成するために体系的な教育課程を編成し、高水準の学位授与率を維持している。また、大学院博士前期課程修了者の大部分が大学等研究機関や企業において専門性が要求される職種に就職し、就職先企業から専門的知識、論理的思考力等が高く評価されている。【奈良先端科学技術大学院大学】
○  高等教育開発センターの各部門長が大学教育委員会及び関連の専門委員会に参加する体制を整備し、教育改革を推進する中核として機能を発揮するなどの取組により、佐賀で学ぶ学生のアイデンティティーを高め地域社会を理解し豊かな感性を養うためのカリキュラムが整備されており、また学生による授業評価の集計結果から、学生の課題探求と問題解決力が養われている。【佐賀大学】
○ 実践的な少人数クラス「インテンシブ英語」を開講するなど、コミュニケーション能力の向上を図るカリキュラムを整備し、授業評価アンケートで高い満足度を得ている。【鹿児島大学】

 2. 教育内容
(具体的取組例)
○ 教職大学院ストレートマスターの俯瞰実習を附属旭川中学校、附属釧路小中学校、附属札幌小中学校で前後期2度実施し、個々の実習課題に即応した個別の実習内容や共通実習内容等を明確にし、その深化を図っている。【北海道教育大学】
○ 初等教育、中等教育及び特別支援教育の校種別に学部の課程を改組し、校種に応じた教育目標を設定し教育課程を構築しており、「教員養成に責任を負う」という大学の目的に沿い、大学が一体となって教員養成に取り組む体制が図られている。【宮城教育大学】
○ 四大学連合を活かした複合領域の単位互換と新教養科目の設定により、彫刻等幅広い人間形成に結びつく授業の組合せや、受験科目としなかった科目の学び直し等を行うことにより、教養教育等の充実を図っている。【東京医科歯科大学】
○  東京都台東区・足立区、茨城県取手市、横浜市においてワークショップやフィールドワークに積極的に取り組み、その取組の多くは実技科目の課題や演習科目の授業内容の一部分として取り入れられたことにより、学生が創作者、演奏者、教育者としての実践を積む場となり、社会との連携を進める芸術教育を実施し、実践的な教育を推進している。【東京芸術大学】
○  入学前教育、補習授業や情報処理教育のための教材開発・教育方法の改善において、入学前準備学習の研究を行い教材を改善するなど、新入生の学力に応じた教育プログラムを実施し、学生の成績分布等により効果を検証し改善するというPDCAサイクルが実施されている。【富山大学】
○  短期集中型のクォーター制とオフィスアワーの組み合わせ、大学の国際化を目指しての大学院博士後期課程における全面英語化授業、研究室内における組織的教育改善、加えて、大学院博士前後期課程を通しての成績評価の厳格化、授業形態、学習指導法等を工夫することにより、教育の質を高めている。【北陸先端科学技術大学院大学】
○ 大学院専門職学位課程(教職大学院)においては、大学院修了時の目指す資質能力育成に向けた授業編成を大学院生が自覚的に学べるよう、資質能力のスタンダードと各授業、実践の関連を「アセスメントガイドブック」に集約し、改訂・運用を行っている。また、学校実践現場での応用を目的として、教育実習における到達度を明確にした独自の評価基準を新たに策定し、大学院生の実践面での資質育成の充実に取り組んでいる。【奈良教育大学】
○ 旧来の遠隔教育システムの再検討を行った後、分散型遠隔講義システムソフトの導入や、キャンパス間接続回線の増速等が行われ、各キャンパスに分散した学生に向け、遠隔教育システムが高学年向け教養科目や各学部専門科目等で活用されている。【香川大学】
○ 法曹養成研究科では、双方向・多方向の討議形式の授業やアカデミック・アドバイザーによる個別学習指導を実施するとともに、インストラクター制度、授業のDVD収録による活用等の優れた取組を行っている。【熊本大学】

 3. 教育の実施体制
(具体的取組例)
○  コミュニケーション手段として開発導入した遠隔地リアルタイム字幕提示システム、障害補償機器の貸出制度、全盲学生のための非接触カードによりパソコンを立ち上げる仕組み、弱視学生のためのデュアルディスプレイシステム等が有効に機能しており、教育の充実を図っている。【筑波技術大学】
○  CALLシステム等多様な教育支援システムを導入し、「経営学eラーニングの開発と実践」において、体験学習を実現する教育手法としてゲーミングメソッドを取り入れたことは、経営学の基礎知識を確認する教育方法として国内外から高く評価されている。【横浜国立大学】
○ 大学院教育開発センターにおいて大学教育改革の研究やファカルティ・ディベロップメント(FD)プログラムの開発等を通じて、「新潟大学の基本的教育力の基準枠組み」や「教育開発onlineコミュニティ」等の成果が現れている。【新潟大学】
○ 安全専門職として要求される安全技術及び安全規格・法規に関する体系的な知識と実践能力並びにこれらの総合的マネジメント能力を明確に保証し、安全安心社会の構築に寄与することを目的として、平成21年度に国内初のシステム安全エンジニア資格認定制度を創設している。【長岡技術科学大学】
○ 大学院専門職学位課程(教職大学院)では、学校支援プロジェクト連携協力校会議を開催し、同プロジェクトの円滑な運営に努めるとともに、その成果等を検証するため、新潟県教育委員会並びに上越市及び妙高市の小・中学校関係者等を対象とした発表・意見交換を行っている。【上越教育大学】
○  共通教育において、授業科目ごとの期末アンケートの結果をウェブサイトや冊子で公表するのみならず、各学部においても、学生モニター会議や教育連絡協議会等において授業評価アンケートに関する学生の声を聞く機会を設けており、教員の意識改革を実質的に促している。【愛媛大学】
○  電子的サービスの充実や電子的文献サービス提供数の増加、日韓間の文献サービスの活発な利用等、高い充実度を有する電子図書館機能が効果的に機能し、アジア重視の姿勢を反映したアジアの大学図書館との交流活動が意欲的に行われている。【九州大学】 

4. 学生支援等の充実
(具体的取組例)
○ 学生総合相談室の開設やチューター制実施要領の制定及びオフィスアワーの設定等を行い、教員と事務職員との密接な連携を図り、授業以外の相談や学生生活に関するアンケートにより支援の成果を確認及び自己検証している。また、独自の奨学制度を創設し、平成21年度には年間2,941万円を給付している。【室蘭工業大学】
○ 「キャリア・デザイン10年支援プログラム」を立ち上げ、学生の大学在学中に加えて、入学前3年間、卒業後3年間についても、高等学校、同窓会、民間事業者の協力を得てキャリア教育を実施するなど、先進的な試みとして、学外の組織と有機的に連携している。【小樽商科大学】
○ 世帯給与収入400万円以下の学部学生に対する授業料全学免除の実施、大学院博士課程学生に対する授業料半額免除枠の拡大、私費外国人留学生の外国人留学生特別奨学制度の増員を実施するなど、奨学制度の充実を行っている。【東京大学】
○ アドバイザー制度による学習相談等を実施するとともに、新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム「地域『里親』による学生支援プログラム」において、入学初年より卒業生や地域住民が学生の成長を支援する里親バンクを活用し、卒業生と地域が一体となって学生を支援することにより、地域と連携した取組を実施している。【滋賀医科大学】
○ 就職支援室を設け、教員就職支援チーフアドバイザー(校長経験者)や事務系専門職員を配置し、また、大学院生就職支援アドバイザー(教育現場経験者)、大学院長期履修学生支援アドバイザー(特任教授)を配置した結果、学部学生の教員就職率が大きく向上し、大学院長期履修学生における教員就職率も高い。【鳴門教育大学】

 研究活動の推進 

1.研究水準及び研究の成果等
(具体的取組例)
○ 人と機械と情報系を機能的・有機的・社会的に融合する技術の確立を目指した先鋭な研究の推進において、サイボーグ型ロボット(HAL)の開発を基点に、グローバル COEプログラム「サイバニクス:人・機械・情報の融合複合」の支援を受け、サイバニクスの研究領域を拡大させ、先進的な成果を上げている。また、計算科学の推進において、計算機科学と科学諸分野の融合により、超並列クラスタ計算機(PACS-CS)や融合型並列計算機(FIRST)等の最先端クラスの計算機を開発・制作し、物理学や物質科学分野において先進的な成果を上げている。【筑波大学】
○ グローバルCOEプログラム「歯と骨の分子破壊と再構築のフロンティア」における、硬組織疾患のゲノム医科学に基づく先端的研究を推進し、テーラーメイド医療実践を目指した新しい疾患の診断、治療、予防法の開発を目的とする硬組織疾患研究プロジェクト等による硬組織疾患ゲノムセンターの設置や、グローバルCOEプログラム「脳の機能統合とその失調」においても国際シンポジウムや研究者の国際交流が積極的に行われているなど、世界的研究拠点として機能している。【東京医科歯科大学】
○ 研究成果の社会への還元に関する具体的方策について、五女子大学コンソーシアム(津田塾大学、東京女子大学、奈良女子大学、日本女子大学、お茶の水女子大学)の支援により毎年アフガニスタンから多くの女性教員が研修のために来日する取組を実施しているほか、社会人教育・教育職員の再教育活動でのセミナー・研修・講座とその参加者が年々増加しているなど、人材育成、国際交流及び社会還元を高い水準で推進している。【お茶の水女子大学】
○ 最先端の情報通信技術に特化して研究を推進する先端ワイヤレスコミュニケーション研究センターを設置し、高度情報通信技術(ICT)領域において、研究拠点形成を目指した多数の優れた研究成果を上げている。【電気通信大学】
○ 連携融合事業「水分子の脳科学」において、アルツハイマー病患者の生きた脳の老人斑の可視化に世界で初めて成功している。【新潟大学】
○ 国際流域環境研究センターを「研究部附属」に発展改組するとともに、ネパールで国際シンポジウムを開催し、気象観測X-バンド2重偏波ドップラーレーダーの運用の開始等により降雨の観測と予測のための先端的研究を進展させている。【山梨大学】
○ 免疫学フロンティア研究センターでは、外国人研究者を拠点全研究者の3割以上に増やし、『Nature』等指導的学術専門誌に350報にも及ぶ業績を発表しており、世界トップレベル研究拠点としての期待に応えている。【大阪大学】
○ 学校安全に関する海外の先進事例や研究交流、ICTを活用した登下校管理システムの開発と実用化等、学校安全や学校の危機管理に関するこれまでの研究成果等が評価され、附属学校が日本で初めて世界保健機関(WHO)推進のInternational SafeSchoolの認証を受けている。また、学校安全や学校の危機管理等に関する大学教育を充実し、カリキュラムに反映させている。【大阪教育大学】    
○ 地域社会との連携・協力を強化し、九州地域の産業・経済・環境・市民生活等に関する研究に取り組むことで、共同研究、技術移転等、産学連携関係の実績が増加している。また、21世紀COEプログラムを活用して、アジア地域に隣接している九州地域という視点からの地域文化に関する多彩な研究やアジアの様々な課題に取り組む研究を展開している。【九州大学】
○ 地理的な特性を生かした特色ある研究を推進することにより、「東アジアにおける最適な金融システムの研究」や「熱帯病・感染症研究」が国内のみならずアジアにおいていずれも高い評価を受けている。【長崎大学】

 2.研究実施体制等の整備
(具体的取組例)
○ 地域共同研究センターを中心に、他大学との連携を強化したほか、地域の中核的研究機関として、スクラム十勝の結成等、地域における畜産業の課題解決に向けた研究を推進している。【帯広畜産大学】
○ 4重点研究分野を設定し、教員を従来の学科所属ではなく各研究分野に所属させる新しい教育研究組織体制を構築したことにより、全学的な視野による適切な比率での教員配置や研究費の重点的な配分を行っている。また、外部資金の間接経費等の活用によりポスドクを多数採用するとともに、技術員を重点研究分野や全学共通的業務等に優先的に配置できる体制としている。【北見工業大学】
○ 世界トップレベル研究拠点「原子分子材料科学高等研究機構」において、研究施設や研究者配置の整備が進んでいるとともに、支援スタッフとして同機構に18名、グローバルCOEプログラム拠点に70名を配置し研究実施体制を充実させている。【東北大学】
○ 共同研究開発センターでは、知的財産部門と共同研究等の受入れ窓口の一元化による体制の強化を図るとともに、近隣研究機関との共同研究を推進した結果、共同研究・受託研究数が著しく増加している。【茨城大学】
○ 千葉県等の地方自治体、かずさDNA研究所、放射線医学総合研究所等との連携が進められ、学際的かつ先端的複合研究を積極的に推進し、着実に成果を上げている。【千葉大学】
○ 世界トップレベル研究拠点「物質-細胞統合システム拠点」において、研究拠点の施設拡充と研究体制の整備を行っており、これまでに139名の研究者を採用するなど、英語のコミュニケーション力の充実により拠点運営を円滑にし、その機能を向上させている。【京都大学】
○ 宇宙科学センターでは、京都大学大学院理学研究科等との共同研究によって、超新星爆発の観測、銀河核周辺の構造解明に顕著な成果を上げている。【広島大学】
○ 学長が重点的に研究資金を支援するシステムである「パイロット事業支援プログラム(研究支援事業)」が創設され、このプログラムの採択課題が21世紀COEプログラムや科学技術振興調整費等の大型外部資金を獲得するなど、戦略的なプロジェクト研究の推進が効果的に行われている。【徳島大学】
○ 大型研究プロジェクトに対する全学的な支援体制として、特定研究支援部を設置し、同部に所属する5つの支援室による一元的、機動的な支援が実施されており、また、世界トップレベルの研究施設として、「水素材料先端科学研究センター実験棟」を設置し、産業技術総合研究所との連携により、水素プロジェクトの進展に寄与している。【九州大学】
○ 機構に研究連携委員会及び研究連携室を設置して、学際的・国際的研究拠点形成に向けた研究プロジェクトの実施や、分野間連携事業を推進するとともに、「新分野創成センター」を設置し、「ブレインサイエンス研究分野」と「イメージングサイエンス研究分野」の2つの新たな研究分野の研究を推進している。【自然科学研究機構】
○ 機構における将来の研究に貢献する先端的な測定器関連の開発研究を行うための「測定器開発室」及びアジア地域における研究連携を推進するための「アジア連携推進室」を設置するとともに、それらと既存の「リニアコライダー計画推進室」及び「ERL計画推進室」を取りまとめる「先端加速器推進部」を設置し、機構のロードマップの実現に向けた開発研究体制を整備している。【高エネルギー加速器研究機構】
○ 4つの大学共同利用機関が結集したメリットを活かして「新領域融合研究センター」を設立し、「地球生命システムプロジェクト」や「生物多様性解析プロジェクト」の研究を開始することにより、新しいパラダイム創成を目指した融合研究を推進し成果を上げている。【情報・システム研究機構】 

3.女性教員・若手教員等に対する支援
(具体的取組例)
○ 「女性教員採用促進のための基本方針」を策定しているほか、「男女共同参画フォーラム」の開催等、女性教員の採用に配慮した結果、新規採用女性教員割合が35%を超えるなど、女性教員の採用の促進に向けた積極的な取組を行っている。【北海道教育大学】
○ 出産や育児で休業した女性獣医師向けの支援事業の実施、女性教員の拡大を図るため「女性未来育成機構」を設置したほか、平成21年度からは「農工大式ポジティブアクション『1プラス1』(常勤の女性職員を採用した場合、当該専攻等に1名分の特任助教の人件費を支給する制度)」の導入を決定し、また、育児・介護等を行う職員の短時間勤務制度導入等の取組を実施している。【東京農工大学】
○ Global Edge Instituteを設置し、世界レベルの活躍が見込まれる優秀な若手教員を国際公募により国内外から採用し、学長直属として研究・教育以外の業務を可能な限り免除するとともに、テニュア・トラック制を導入し、大学の活性化を図っている。また、平成21年度に学内の各種委員等の管理運営業務等を免じ、研究に専念することができる非常勤教員(特定有期雇用教授)のポストへの異動を可能とする制度を整備している。【東京工業大学】
○ 「福井大学行動計画」を策定し、男女共同参画に関する各種支援活動を推進した結果、平成19年度から平成21年度の女性職員の育児休業取得率は99%(育児休業取得者数112名/出産者113名)となるとともに、平成19年5月には次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)に基づく「基準適合一般事業主」(福井県第1号)として認定され、次世代認定マーク(愛称:くるみん)が交付されている。【福井大学】
○ 「女性研究者支援モデル育成」事業の実施により、研究環境の整備や意識改革等、女性研究者が研究と出産・育児等を両立し、その能力を十分に発揮しつつ研究活動を行える仕組みの導入を進めており、平成21年度の女性教員数が115名(対平成15年度比25名増)となっており、平成21年度の女性教員割合についても13.8%(対平成15年度比3.3%増)となっている。【静岡大学】
○ 学長のリーダーシップによる機能的かつ効率的な法人運営を実現するため、「大阪の教育課題に応えて-発信する大教大-」とする経営戦略に基づき、地域貢献や広報活動に要する経費を設け、若手研究、新任教員への研究助成や安全管理に取り組む事業等への予算措置を行っている。【大阪教育大学】
○ 男女共同参画における基本理念、基本方針等に基づく取組やアンケートの実施、教職員や学生等の育児と仕事又は勉学の両立を支援する「派遣型病後児保育サポートシステム」や女性研究者の研究補助業務を行う「研究支援員制度」の導入に取り組んでおり、平成21年度における女性教員数は95名(対平成15年度比21名増)、女性教員比率は13.6%(対平成15年度比3.0%増)となっており、法人化以降、毎年度増加している。【島根大学】
○ 女性研究者支援モデル育成事業の着実な実施にとどまらず、総長裁量経費により「女性研究者リーダー養成」を継続実施し、学内予算配分でインセンティブ付与の指標の1つに女性教員の在籍状況を追加しているほか、「女性研究者養成システム改革加速」事業を着実に実施しており、平成21年度の女性教員数は202名(対平成16年度比21名増)、女性教員比率は9.0%(対平成16年度比1.2%増)となっている。【九州大学】

4.共同利用・共同研究を通じた学術研究の推進
(具体的取組例)
○ サイバーサイエンスセンターでは、大学間の国際無線LANローミング基盤eduroamの運用・開発の国内責任校として、13大学の接続及び商用サービスとの連携を実現し、国際運用を行うとともに、各機関の運用コストを大幅に低減できる代理認証システムと利用申請システムの開発・評価を行い、実用化している。【東北大学】
○ 蛋白質研究所では、日本蛋白質構造データバンク(PDBj)の活動を通じて、蛋白質の立体構造情報のデータベース化を推進し、平成21年度の新たなデータ登録数は、2,170件であり、これは世界全体の26%に相当する件数となっている。【大阪大学】
○ 乾燥地研究センターでは、グローバルCOEプログラムの中で、国際乾燥地農業研究センター(シリア)との間で共同研究を開始している。さらに、中国科学院水土保持研究所等との連携を強化し、現地研究の質的向上を図るとともに、砂漠研究所(米国)との間では、共同研究に向けた協議を行うなど、乾燥地科学分野の研究を推進している。【鳥取大学】
○ 国立極地研究所では、新たに就航した観測船「しらせ」により効率的な輸送手段を導入するとともに、新たな輸送手段として導入した航空機を観測にも利用するなど、効率的な観測活動を展開している。【情報・システム研究機構】 

5.共同利用・共同研究の実施体制(体制の整備・充実等)
(具体的取組例)
○ 計算科学研究センターでは、他大学にはない学際的な取組として、計算科学と計算機科学の研究者から構成される「学際開拓プログラム実施支援委員会」が支援する体制を構築している。【筑波大学】
○ 地球物質科学研究センターでは、研究者コミュニティに開かれた運営体制を整備し、大学の枠を越えた全国共同利用を実施している。平成20年度から博士号取得者で、センターにおける研究内容を理解し、機器の管理、基本的な分析・実験の指導に関し優れた見識を有する者を「スーパーテクニシャン」として採用し、教員、共同研究者、学生等の研究活動や技術的支援を行っている。【岡山大学】
○ 分子科学研究所が中心となって各大学が所有する研究設備の相互利用・共同利用を行う「化学系研究設備有効活用ネットワーク」の構築により、研究設備の有効利用とともに研究者交流や研究活動を活性化させている。【自然科学研究機構】
○ 海外の学術情報ネットワークとの通信を確保するための「学術情報ネットワーク(SINET3)」が、国際的な先端研究プロジェクトで必要とされる国際間の研究情報流通を円滑に進めているだけでなく、我が国の大学等の研究・教育活動全般にわたり不可欠な情報ライフラインとしても多くの分野で活用されている。【情報・システム研究機構】 

社会連携・地域貢献・国際交流等の推進

 1.社会連携・地域貢献の推進
(具体的取組例)
○ 高大連携におけるスーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)事業帯広柏葉高等学校連携講座及びサイエンス・パートナーシップ・プロジェクト事業(SPP)等を中心とした様々な事業を展開していることは、地元高等学校からの入学志願者数の大幅な増加等につながるなど成果を上げている。【帯広畜産大学】
○ 遠隔医療センターにおいて、遠隔医療システムを用いて道内を中心に国内外の多くの医療機関とネットワークを形成し、手術指導や診断支援を通して、地域間の医療格差の是正、医療過疎の解消に努めるとともに、住民の医療情報や健康情報を住民自身が管理できるウェブシステム「ウェルネットリンク」を開発し運用するなど、遠隔医療の高度化、東南アジア地域へのネットワーク形成等の国際化や、地域医療や地域住民の健康管理への展開も進めている。【旭川医科大学】
○ 北見市をはじめとする地域社会との連携・協力として、北見市産学官連携推進協議会に積極的に参画し、地域産業への支援や新事業(企業)の創出等の成果を上げている。【北見工業大学】
○ 附属病院、地域の利用機関及び福祉施設との密接な連携協力体制が構築され、医療機関との連携の指標である紹介・逆紹介率が向上している。また、富山県、地域薬業界との連携による共同創薬研究が進み、富山オリジナルブランド医薬品を開発・販売するなど、地域社会に貢献し成果を上げている。【富山大学】
○ 大学の特性を活かした地域貢献として、障害児治療教育センターにおける相談、教育実践総合センターにおける電子メールやFAXによるいじめ相談、カウンセリング、箱庭療法、プレイセラピー等の技法を用いた心理療法等を行っている。【愛知教育大学】
○ 地域連携室、サテライト・オフィス、工学教育国際協力研究センター、海外事務所の設置等地域連携に関わる活動基盤の整備を行い、それらを拠点とした活動を展開している。また、ミニ大学院アフターファイブコースや豊橋市図書館との利用協定、相互検索等、工夫を凝らした事業展開を実施している。【豊橋技術科学大学】
○ 照明設備を備えた多目的グラウンドの整備を行い、授業等に支障がない範囲において民間企業の陸上競技部と共同利用を開始している。さらに、民間企業の陸上競技部と連携の上、地域住民を対象とした陸上教室を開催するなど、地域への貢献活動及び施設開放を推進している。【福岡教育大学】
○ 国立民族学博物館では、 研究・展示、所蔵資料及び施設などを大学教育に広く活用するためのマニュアル「大学のためのみんぱく活用マニュアル」を作成するとともに、ボランティア団体との連携による各種のワークショップの開催や貸し出し用学習教材「みんぱっく」を教育機関(平成21年度に117機関、延べ208回)への提供により、地域貢献している。【人間文化研究機構】
○ 核融合科学研究所では、 研究棟1階ホール周辺を活用して子ども向け広報用科学実験展示スペースとしており、子供たちに科学の面白さを知ってもらうため科学実験を常時体験できるようにするとともに、地域の高校生と共同で開発した実験機器等を展示している。【自然科学研究機構】

2.産学連携・知的財産戦略のための体制の整備・推進
(具体的取組例)
○ 新事業の創出・育成を目指す中小企業基盤整備機構の「北海道大学連携型インキュベータ」、民間企業との共同研究施設「創薬基盤技術研究棟」等、地元企業等との連携を図り産学連携施設の整備を積極的に進めている。【北海道大学】
○ 研究推進・知的財産本部を産学官連携推進本部に改組・拡充し、機能の強化を図ったこと、また特許明細書作成セミナー、特許検索セミナー等を毎年開催するなど、教職員に対する技術移転等の支援・啓蒙活動に努める取組を実施したこと等により、発明件数、技術移転件数、ベンチャー企業数等が着実に増加している。【東北大学】
○ 社会連携推進共同研究センターが、江東区との連携において地元信用金庫との包括連携を行い、地域の中小企業の技術相談や研究開発連携のニーズに機動的に対応できる窓口を信用金庫の支店に展開している。【東京海洋大学】
○ 特許出願等を「教員個人評価」の項目に加え、また、「国立大学法人三重大学知的財産規程」の制定により特許出願や発明者への補償金を付与する制度を構築し、発明届出数等の功績者の表彰を行い、教職員等のインセンティブを高めている。【三重大学】
○ 希少糖基準試薬キットの作成・販売、共同研究企業による3種類の希少糖試薬の販売等を支援することにより、高松地域知的クラスター創成事業を推進しており、希少糖生産技術が大学発ベンチャーの設立に寄与している。【香川大学】
○ 各種展示会等に出展することにより民間企業等への技術紹介を行うとともに、放射光研究施設の施設利用に関し、先端研究施設共用促進事業に基づく「フォトンファクトリーの産業利用」においてトライアルユースを実施(平成21年度13件)し、利用の促進に努めている。【高エネルギー加速器研究機構】

3.国際交流、国際貢献の推進
(具体的取組例)
○ 極東工科大学(ロシア)等と三者間学術交流協定を結び、省エネルギー技術プロジェクトや地下石炭ガス化技術(UCG)プロジェクト、省エネルギー木造住宅に関する国際共同研究を実施している。【室蘭工業大学】
○ 国際協力機構(JICA)との連携融合事業として開発途上国に対する国際教育協力の実施、世界銀行、アフリカ開発銀行及び米州開発銀行からの奨学寄付金による「世界銀行等大学院奨学金プログラム」の実施、ユネスコ等との連携によるアジア地域の農業教育及び農業研究の国際協力を推進するなど、多面的な連携事業を実施している。また、大学内に北アフリカ研究センター、チュニジア共和国に北アフリカ・地中海連携センター、ウズベキスタン共和国に中央アジア国際連携センターを設置するなど、教育研究の対象としている地域について幅広い分野で教育研究協力を実施する体制を整備している。【筑波大学】  
○ 世界各地でリエゾンオフィス等の海外拠点整備や精華大学(中国)における「東京大学ウィーク」、ケンブリッジ大学(英国)等4大学の協力の下、英国で「Todai Forum」を開催するなど学術研究の成果や研究活動を広く海外へ発信するとともに活発な研究者・学生交流を実施している。【東京大学】
○ 女子大学の伝統と畜績を活用した途上国支援を推進するとともに、開発途上国への教育支援・留学生支援においては先駆的取組を多様に実践し、教材の開発や多くの研修者を受け入れることにより、国際的な教育の質の向上に寄与している。【お茶の水女子大学】
 ○ アジアにおける国際人材育成に係る基礎を構築するため、また、東京農工大学の目的に沿った「使命志向型の取組」として、カブール大学(アフガニスタン)に対する復興支援を継続的かつ重点的に実施し、「カブール大学復興支援室」が中心となってアフガニスタン復興支援事業を実施している。【東京農工大学】
○ 異分野融合研究をさらに戦略的に進めるため、海外ではハーバード大学(米国)やジョンズ・ホプキンズ大学(米国)等との国際連携を推進し、新たな科学技術の創成、教育研究の強化を図っている。【名古屋工業大学】
○ 日本の大学で初めて「ユネスコ・スクール」への加盟が承認され、世界の学校と連携しながら、奈良県に位置する3つの世界遺産を通じて、世界遺産の保全・保護の環境教育・異文化理解協力を推進しており、地域特性を活かした国際交流を行っている。【奈良教育大学】 

附属学校の機能の充実

(具体的取組例)
○ 新潟地区では、文部科学省研究開発学校の指定を受け、「スキル指導を核とした小中9年間の一貫カリキュラムの開発研究」を教育学部及び附属学校教員で組織した「運営指導委員会」と外部評価者を入れた評価委員会を活用して推進し、児童・生徒にとって習得が難しい学習スキルを重点的に指導する「学習スキルの時間」を新設している。また、スキルの定着状況把握のため、評価問題を作成し一般公立校との比較調査により、開発したカリキュラムの効果を検証している。【新潟大学】
○ ストレートマスター大学院生をインターンとして受け入れ、指導教員や附属学校のメンター教員の助言の下、授業や行事等の校務分掌に年間を通じて参加させるとともに、特別支援学校では医学部学生の実習も受け入れるなど、学部生・大学院生の実践的力量の向上を図っている。【福井大学】
○ 学部の「教育実習指導のあり方研究会」に各附属学校園から2名が参加し、教育実習の改善を図るとともに、演習科目「教育実地研究基礎」を学部教員と連携して実施している。平成19年度には教育実習事前指導の大綱案を決定し、事前指導における学部と附属学校の役割分担の適切化を図っている。また、平成21年度には「学習指導案形式共同開発プロジェクト」を立ち上げ、これまで附属学校の各教科で用いられている学習指導案を教科間の共通理解を図りながら整理するため、附属小学校及び学部の教員が協同して検討を行っている。【三重大学】
○ 学部教員の学問知を児童・生徒に伝わる方法で伝授し、附属学校教員の実践知を教師を目指す学生に伝授するために「学部・附属相互乗り入れ授業」を実施しており、附属小学校・中学校の研究推進の一助となるとともに、大学院生の相互乗り入れ授業における教材作成協力や授業参観が学習指導力の育成に効果的であったため、平成20年度より附属学校園をフィールドにしたコースワーク教育実践研究として単位化している。【岡山大学】 

附属病院機能の充実・強化

1.教育・研究面
(具体的取組例)
○ 大学病院と地域医療機関間での人材養成と地域医療の向上を目的として「山形大学蔵王協議会」を設置し、卒後臨床研修体制の整備を行っている。【山形大学】
○ 茨城県厚生農業協同組合連合会との緊密な連携と協力、地域医療の向上を目的とした水戸地域医療教育センターを設置、県北地域医療の後方支援を行いつつ、医学生の教育拠点、臨床医・臨床研究者の人材養成の場として活用して成果を上げている。【筑波大学】
○ 培養骨膜、培養赤芽球を用いたトランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)の実施や県立吉田病院・自治医科大学と新潟県工業技術総合研究所並びに新潟県内の民間事業所と連携して、高刺通性次世代型縫合針の研究開発に取り組むなど、トランスレーショナルリサーチの研究成果に基づく医療を積極的に推進している。【新潟大学】
○ 看護師の安定的な確保を図る目的で、教育研修センター等が中心となり、看護師復帰支援プログラムを開発して復帰支援講習会を開催するなど魅力あるプログラム提供している。【信州大学】
○ 優れた研究者の養成のため、臨床研究従事者全員に講習会の受講を義務づけ、認定された者だけが臨床研究に参加できる「臨床研究認定制度」を導入している。【九州大学】

2.診療面
(具体的取組例)
○ 新型インフルエンザ発生時には、文部科学省・厚生労働省からの要請に応え、空港等において、医師・看護師が検疫業務の支援に従事しており、大学病院としての役割を果たしている。【千葉大学、東京大学、大阪大学】
○ 医療事故が発生した場合や患者・家族と医療者間で問題発生が起こった場合、双方の意見を聞き問題解決に導く仲介役を行う「医療メディエーター」を配置するなど、医療の質の向上のための人員配置を推進している。【福井大学】
○ 移植医療については、心肺同時移植の一例目を実施するとともに、多くの脳死臓器移植を実施するなど、大学病院として高度な医療提供の役割を担っている。【大阪大学】
○ 患者が診療内容を理解しやすいように、臓器・機能別診療科体制に移行するとともに、その分野の専門医を診療科長とする新たな診療科長制度を導入している【鳥取大学、島根大学】
○ 緊急被ばく医療推進センターを中心に、各地域で開催された被ばく関連の協議会・講習会等へ講師を派遣、また、救急被ばく医療セミナーを開催するなど、我が国の緊急被ばく医療体制の確立に大きく貢献している。【広島大学】

3.運営面
(具体的取組例)
○ 国立大学附属病院長会議がとりまとめた「国立大学病院評価指標」に基づき、全54項目の指標と実績評価(平成19年~20年度)をとりまとめ、経営改善の資料に活用するとともに、他大学病院に先駆けて広く一般に公表(病院ウェブサイトに掲載)している。【北海道大学】
 ○ 病院情報の開示を進め、診療科ごとに手術実績を公開、最新治療法の紹介等、患者が求める情報を豊富に掲載し、病院ウェブサイトの充実に努めている。【富山大学】
○ 地域連携と地域医療を強化するため、愛知県地域医療推進会議の下の「公的病院再編ネットワーク化有識者会議」を主宰し、県内病院への医師配置計画を取りまとめ、愛知県知事に答申している。【名古屋大学】
○ 診療情報管理士による病棟ラウンドの実施、在院日数の在り方や診療報酬請求書の指導・助言、コーディング勉強会の開催等、請求漏れ防止体制を強化している。【山口大学】
○ 国立大学病院管理会計システム(HOMAS)を活用した分析により、「DPC検証プログラム」と題して、様々な観点からの分析を診療科とともに実施しており、分析結果を活用して経営改善の推進を図っている。【熊本大学】 

 管理運営組織の改革と柔軟な資源配分の実施

 管理運営組織の改革

1.戦略的経営体制の効果的運用(全学的な経営戦略の策定、学長・機構長のリーダーシップを高める取組)
(具体的取組例)
○ 平成20年度に10年後の山形大学のあるべき姿を念頭に置き、「山形大学の将来構想」を策定して5つの基本理念と第2期中期目標期間の中期計画を含む今後の進むべき方向を定めるとともに、学長行動指針「結城プラン」で策定した課題について、各理事を中心に改革・改善に取り組んでいる。【山形大学】
 ○ 総長が経営戦略上、特に重視したいと考える項目を「東京大学アクション・プラン2005-2008」として平成17年度に提示し、「自律分散協調系」と「知の構造化」をキーワードに、活力ある大学モデルの構築を積極的に推進するとともに、毎年度、達成状況を検証・反映する体制を定着させている。また、平成21年度には、新総長の就任に伴い、大学としての運営の基本姿勢等を総合的に示した、『東京大学の行動シナリオ FOREST2015』を策定・公表している。【東京大学】    
○ 平成16年度に「人事計画のグランドデザイン」を策定して、人員削減計画と活力ある人事政策を全学的に明確化し、「政策定員」を確保している。平成19年度には中期的な教職員の削減数とそれに係る凍結解除・削減等に関する基準を定めた「東京学芸大学の今後の人事計画について」を作成し、人件費の削減と学長のリーダーシップによる戦略的人員配置を可能としている。【東京学芸大学】
○ 平成18年度に策定・公表した「神戸大学ビジョン2015」を実際に展開するための具体的施策として、20の政策と50の実施項目を設定し、各年度の重点的行動計画を策定している。平成20年度からはビジョン推進経費を創設するなどビジョンの達成に向けた取組を推進している。【神戸大学】
○ 山口大学憲章の理念を踏まえ、中長期の将来像として、「明日の山口大学ビジョン」を策定している。また、「山口大学の学術研究推進戦略の在り方(研究推進プラン2007)」に基づき、重点的に推進する研究の選定、評価及び支援方法等のシステムの企画・立案を行っている。【山口大学】 

2.管理運営組織のスリム化・効率化
(具体的取組例)
○ 産学連携の機能を創立60周年記念会館「コラボ弘大」に集約配置することで、産学連携・地域貢献のワンストップサービス実現に向けての体制を整備している。【弘前大学】
○ 管理運営コストの削減に向けて、法人化を契機に89の委員会等を16の委員会及び22の専門委員会に統廃合し、国際戦略本部、広報戦略室、CIO室等の委員会制度に代わる機動的・戦略的な運営組織を編成するとともに、全学の情報化推進体制の確立のため、情報化統括本部及び情報基盤センターを設置し、情報化推進体制を整備している。【一橋大学】
○ 学内委員会について、教育研究評議会及び経営協議会に審議機能を集中し、効率的かつ機動的な運営を行っており、関連性のある委員会のさらなる見直し、課長補佐をはじめとする10ポストの削減、重複業務の整理等を行い、業務運営の効率化に努めるとともに、全学的な重要課題については、必要に応じて室等の教職協働体制を組織し、柔軟かつ機動的な運営に取り組んでいる。【北陸先端科学技術大学院大学】
○ 56の全学委員会を40に統合整理するとともに、「効率的な会議運営のガイドライン」を定めて会議時間短縮に取り組んだ結果、平成21年度の会議時間は平成16年度比で平均40分短縮されるなどの効果が現れている。【山口大学】
○ 効率的で責任ある意思決定体制の構築を図る観点から、学長・理事を補佐する組織として学長室及び理事室を設置するとともに、全学委員会を原則として各理事の下の部門会議に収れんさせ、委員会数及び委員数をそれぞれ約41%削減している。【大分大学】

 3.他大学等との共同実施等の取組
(具体的取組例)
[教育、研究]
○ 北関東国立4大学の連携において北関東国立4大学研究室紹介(4U)を発行するなど、研究の活性化と外部資金獲得増につなげている。【茨城大学、宇都宮大学、群馬大学、埼玉大学】
○ 新潟大学及び山梨大学との共同で「国際・大学知財本部コンソーシアム(UCIP)」を設立し、様々な知的財産の国際展開を行い、海外に向かって事業を推進して国際的な産学連携活動を強化しており、学術研究活動推進に対する戦略的な取組を行っている。【新潟大学、山梨大学】
○ 北陸地区国立大学連合(富山大学、金沢大学、北陸先端科学技術大学院大学及び福井大学)間で、単位互換に関する包括協定を締結し、双方向遠隔授業システムを用いた授業や共同研究・研究交流会を実施し、教育研究等の活性化につなげるとともに、医薬品の一部を共同購入している。【富山大学、金沢大学、北陸先端科学技術大学院大学、福井大学】
○ 金沢大学、浜松医科大学及び大阪大学による連合小児発達学研究科を設置し、教員の増員を最小限とし、各種会議や授業はテレビ会議システムを活用するなど効率的な研究科の運営を行うとともに、異なった専門領域の教員が連携するなど、文理融合型の教育に貢献している。【金沢大学、浜松医科大学、大阪大学】
○ 長野県内の7大学とともに「高等教育コンソーシアム信州」を発足させ、遠隔講義システムを利用した単位互換、ファカルティ・ディベロップメント(FD)活動、リメディアル教育の共同運営等を実施している。【信州大学】
○ 公立岐阜薬科大学と連携して、医療・健康・環境分野に関する研究を行う先端創薬研究センターを設置するとともに、創薬科学及び医療情報学に関する教育・研究を行う連合創薬医療情報研究科を設置している。また、「岐阜健康長寿・創薬推進機構」の設置に関する覚書を締結し、両大学の研究支援組織において業務を共同処理することとしている。【岐阜大学】
○ 大学間連携について、静岡県立大学、静岡産業大学と共同で遠隔授業システムを用いた授業を実施し、「共同大学院「地域経営戦略研究科(大学院修士課程)」の設置構想(第1次案)」を策定するなど、教育組織の整備を推進している。【静岡大学】
○ 京都にある7私立大学や京都府・市教育委員会と連携し、京都教育大学を基幹大学とする連合教職大学院構想の具体化を推し進め、平成20年度に連合教職大学院を開設し、既存の大学院教育学研究科のカリキュラム改革を実施し、二つの大学院を並立させ、有機的に連携させている。【京都教育大学】
○ 京都府立医科大学、京都府立大学との連携による教養教育の共同化を目指した単位互換事業、京都府立医科大学との医工連携による教育、さらに、3大学間での共同研究等の促進を目指し、それぞれの大学の教員、大学院生等による「3大学連携フォーラム」を開催したほか、研究を通じた交流の促進及び外部資金の獲得に向けた共同研究の質の充実、研究成果の地域還元等に資することを目的に「3大学連携研究支援費事業」を創設するなど、3大学による地域連携・地域貢献の展開を図っている。【京都工芸繊維大学】
○ 九州歯科大学との歯工学連携教育協定に基づき、歯工学分野の大学院教育を実施するため、平成21年度から新たに歯工学連携6科目を開講するなど、他大学との連携強化に努めている。【九州工業大学】
[共同調達等]
○ 道内国立大学の共同事務処理の一環として平成20年度に締結した「北海道地区国立大学法人資金共同運用(Jファンド)」により、資金の効率的な運用を図るとともに、物品等の共同調達に関する協定書を取り交わすなど、今後の物品・サービス等の一括調達において連携を進めている。【北海道大学、北海道教育大学、室蘭工業大学、小樽商科大学、帯広畜産大学、旭川医科大学、北見工業大学】
○ 秋田工業高等専門学校と共同して調達を図るなど、事務等の効率化・合理化を推進している。【秋田大学】
○ 事務の合理化及び調達価格の低減を図るために、東北大学、宮城教育大学、山形大学及び福島大学との間においてコピー用紙、一般廃棄物収集運搬業務及びトイレットペーパー等の共同調達の取組を行い、管理的経費の抑制に努めている。【東北大学、宮城教育大学、山形大学、福島大学】
○ 東京農工大学、電気通信大学及び一橋大学との間において共同調達の連携に係る協定を結ぶなどの取組により、経費削減に努めている。【東京農工大学、電気通信大学、一橋大学】
○ 鳥取大学と島根大学との間において、物品等の共同調達を実施している。【鳥取大学、島根大学】
○ 国文学研究資料館、国立極地研究所及び統計数理研究所では、立川市への移転に伴い、共通する役務提供等について、法人の枠を超えた一括契約を締結し、事務の効率化及び経費の節減を図っている。【人間文化研究機構、情報・システム研究機構】
[人事交流等]
○ 北海道地区国立大学法人等が合同で初任職員研修を実施するなど各種研修の取組を行っている。【北海道教育大学 等】
○ 地方公共団体(名古屋市立大学)との連携・協力に関する基本協定を締結し、今後の人事交流の方策について情報交換を行い、人事交流に向けた取組を行っている。また、民間企業とも人事交流を行い、出向社員として大学に受け入れている。【名古屋工業大学】

大学・機構全体としての戦略に基づく法人内資源配分の実現

(具体的取組例)
○ 全学的な見地から教育研究を活性化するために、戦略的な資源配分を行う「重点配分経費」の導入により、学生サービスの向上、キャンパスライフの充実等へ重点的に配分しているほか、大学院博士課程充足率、博士号学位授与率及び外部資金受入状況を評価基準として予算配分に反映させるなど、全学的な視点による戦略的な学内資源配分を行っている。【北海道大学】
○ 教員人件費の5%相当(約13億円)を中央枠予算として確保し、世界的に顕著な研究実績を有するユニバーシティプロフェッサーの招へい、戦略スタッフの充実、病院経営への戦略的支援等に活用し、柔軟で機動的な法人運営を実現している。【東北大学】
○ 共同研究費、受託研究費及び寄附金の一部を「研究支援経費」として確保する制度について、平成20年度から研究支援経費比率を10%から原則30%に引き上げ、本部管理予算をより効果的に活用できるよう本部管理予算全体を再構成している。【東京大学】
○ 大学の管理運営を効果的・効率的に実施するため、教育、研究、社会連携、情報化の4分野にそれぞれ教育実践推進機構、研究連携推進機構、社会連携推進機構、情報化推進機構を設置して一元的に事業を推進し、資金を戦略的に投入した結果、1,000万円以上の外部資金69件、33億3,624万円獲得等の効果が現れている。【徳島大学】
○ 5つの基本戦略(「地域に密着した教育と研究が調和した総合大学」、「学生の満足度を高める教育システムの構築」、「高度専門職業人の養成」、「地域的特徴を活かした教育研究の推進」及び「東南アジア・南太平洋に向けた国際戦略」)に基づき、「学長裁量経費」及び「教育研究活性化経費」を設け教育研究費を学長のリーダーシップにより、総合的な観点から戦略的・効果的に資源配分している【鹿児島大学】

 法人としての経営の活性化 

業務運営の効率化及び合理化

(具体的取組例)
○ 業務改善を大学全体の重要な柱の一つに位置づけ、「キャリアガイドシリーズ」の作成、「東大ポータル」の開設等、様々な業務改善を実施するとともに、ボトムアップで業務改善を促進するための取組として、平成16年度から業務改善提案の募集、平成18年度から自律改善課題の募集を開始し、平成21年度までに、業務改善提案は590件の応募のうち235件を実施し、自律改善課題は登録課題46件、推薦課題74件の応募・実施が行われ、このうち「ノートパソコンリユース事業」等の優れた取組に対して業務改善「総長賞」を授与しているなど自律改善サイクルが進展している。【東京大学】
○ 「業務効率化プロジェクト」において共通業務を可視化し、活動基準原価計算技法による業務量調査と職員の意識調査、「業務量5%削減計画」の実施、各部署のCAP(点検:CHECK、改善:ACT、効率化計画:PLAN)シートに基づく改善を実施し、その検証を行うとともに、第1期中期目標期間における各種の取組成果を第2期の事務改善・業務効率化に役立てている。【名古屋大学】
○ 業務改善ポスター発表会の実施や新たに大学を支える人材を育むための宿泊研修を実施し、学長、役員及び教職員が参加し、それぞれの役割を共有し、教職員一丸となり課題に挑戦する土壌を創り出せるよう、講演・グループディスカッション・全体討論等を行うなどにより、学内相互理解と業務改善、効率化へつなげている。【滋賀医科大学】
 ○ 事務業務の効率的運用と継続的改善を可能とするPDCAサイクルを持つ「事務マネジメントシステム」を平成20年度に構築するとともに、事務事業に係る課題・問題点を「事務改善課題登録表」として取りまとめ、平成21年度末において、登録課題126件のうち120件について解決に向けた具体的内容を「事務改善プログラム」とし、そのうち94件について改善実施が完了している。【京都工芸繊維大学】
○ 事務局の部課長をそれぞれ部局ごとのサポーターとして位置づけ、教育研究の現場である部局と事務局の橋渡しをして、部局の質問を解決することにより大学運営の改善に結びつける「部局サポーター制度」を創設している。【大分大学】

人事評価システムの構築

(具体的取組例)
○ 教員については、平成17年度から教員評価制度の評価結果について5段階に区分して勤勉手当、昇給及び教育研究費の傾斜配分に反映させている。また、平成18年度には事務職員、平成19年度には技術員の評価制度が構築され、教員評価制度と合わせて勤勉手当及び昇給制度に反映している。さらに、教員評価については、評価指標の改善を行っており、事務職員評価と技術員評価についても改善を行っている。【北見工業大学】
○ 教員については、平成18年度までにすべての研究科・附置研究所において個人評価を実施し、評価結果を昇給、勤勉手当、研究費、研究設備等に反映し、また、事務職員についても、平成18年度までに全職員を対象に個人評価を実施し、昇給及び勤勉手当に反映している。【東京工業大学】
○ 平成20年度から施行された「研究・産学官連携活動表彰」により、研究の活性化及び産学連携活動における貢献が特に顕著な教員(平成20年度15名、平成21年度7名)を表彰している。【長岡技術科学大学】
○ 教員については、評価結果を平成18年度(平成18年12月)から給与等処遇に反映しており、技術職員及び事務職員については、評価結果を平成19年度(平成20年1月)から処遇に反映している。その後も、より客観的な評価を行うため、データベースの情報に基づき、教育業績、研究業績、学外活動の3分野ごとに3段階の相対評価を行う方法に改善するなどの取組を行っている。【北陸先端科学技術大学院大学】
○ 教員、技術職員及び事務職員を対象にした人事評価を実施し、教員及び技術職員については平成17年度から、事務職員については平成19年度から、非常勤職員については平成21年度から、処遇への反映を行っている。【高エネルギー加速器研究機構】

財務内容の改善・充実

1.財務分析結果の活用
(具体的取組例)
○ 財務諸表や財務指標等を用いた経年比較の分析データや、同種グループ大学間で比較した分析データ等を踏まえた詳細な財務分析報告書を作成し、分析結果を教育経費の充実や経費の削減に結びつけており、学生当教育経費及び一般管理費について、段階的に改善している。その後も、財務分析評価等を踏まえ、基盤的な教育研究関連経費の安定的な確保等を盛り込んだ、「予算制度改革の基本的方向性について」を取りまとめるなど、財務内容の充実に取り組んでいる。【横浜国立大学】
○ 毎月、予算の執行状況、収入確保状況、附属病院の稼働状況、人件費の執行状況等を経営企画室会議に報告し、財務の安全性や補正予算の編成の必要性等について協議している。また、教育経費比率、研究経費比率等の経年比較や他大学との比較を行い、教育・研究設備への投資等、次期事業年度の計画の作成・実施に役立てるなど、財務情報の分析結果を効果的に大学運営の改善に活用している。【浜松医科大学】
○ 経営協議会委員からの意見を取り入れ、四半期ごとに教育・研究・診療等についての現状分析及び財務状況についてチェックし、学内の課題に対し、予算の追加配分を行い迅速な対策を講じている。また、中期目標期間における損益予測と資金管理計画により、中長期的視点に立った財務マネジメントを実施している。【滋賀医科大学】
○ ステークホルダーごとに「財務報告書(ファイナンシャルレポート)」をわかりやすさに配慮して毎年刊行しているとともに、部局間の比較や執行状況等を全学的に俯瞰できるよう改善・工夫するほか、活用や分析に関するアンケート調査等に取り組んでいる。【京都大学】
○ 財務分析結果の活用は、四半期ごとの分析や、配分済み予算額に対する予算執行状況の分析を通じて、「部局間貸借制度」を導入し、教育環境改善整備等へ重点的に投資して、学生支援の充実を図っている。【広島大学】

2.外部資金の獲得
(具体的取組例)
○ 畜大牛乳の販売拡充のため、アンケートにより消費者の求める新製品の動向調査を行ったほか、学内外において飲食会を企画するなど宣伝普及活動に努め、売上が増加している。また、付加価値を高めるために、製造工程を北海道HACCP方式とし、平成 22年度中に認証を得る予定となっている。【帯広畜産大学】
○ 平成16~21年度にかけて、組織を横断して対応可能な支援事務室の設置等によりプロジェクト支援機能を強化するなど、外部資金の獲得に向けて意欲的に取り組んでおり、平成21年度の受託研究、受託事業及び寄付金による外部資金額は2億416万円(対平成16年度比1億2,367万円増)、外部資金比率は3.2%(対平成16年度比2.0%増)と毎年度着実に増加しており、取組の効果が現れている。【東京外国語大学】
○ 外部資金の獲得を図るため、個人の獲得した外部資金の間接経費額による学長裁量スペースの配分、産学連携コーディネーターによる企業のニーズと大学のシーズのマッチング、大学と企業のトップによる「組織的連携協定」の締結の推進等の取組を行い、東工大基金を通じた寄付金収益の増加等の取組により、平成21年度の外部資金額は85億1,289万円(対平成16年度比38億5,829万円増)、外部資金比率は19.6%(対平成16年度比7.1%増)となっている。【東京工業大学】
○ 公募型研究費への応募につながる学内助成制度を実施するとともに、新任・若手教員の応募推奨として採択実績のある教員による研究計画調書作成勉強会の実施や事務局本部と部局の連携による支援体制の強化等により、平成21年度の科学研究費補助金新規採択率が55%と5年連続全国1位となっている。【一橋大学】
○ 顧問弁護士や他大学の専門家教員との技術コンサルティングに関する意見交換により得られた、知的財産の取扱等についての指摘、TLO(技術移転機関)等を利用した有料化の方策のアドバイスに基づき、技術指導の有料化について検討を進めている。また、特許収入に加え、ノウハウを提供することにより、ノウハウ料として収入増を図っている。【名古屋工業大学】
○ 「研究戦略タスクフォース」や「研究企画支援室」を設置するなど、外部資金獲得の体制整備により、科学研究費補助金においては、平成21年度採択金額は141億2,413万円(対平成15年度比47億5,405万円増)、共同研究、受託研究、寄附金による外部資金受入額は、平成21年度は237億9,233万円(対平成15年度比127億6,568万円増)、外部資金比率は16.9%(対平成16年度比5.5%増)となっており、取組の効果が着実に現れている。【京都大学】
○ 国立天文台では、クレジットカードでの寄附も可能な「天文学振興募金」を運営し、広く一般国民から寄付を募るとともに、寄附金の受入れについて、外国の大学と協定を締結するなど、総額3億4,300万円の寄附を受け入れている。【自然科学研究機構】

 3.コスト削減
(具体的取組例)
○ 「管理的経費抑制プロジェクト」において節減目標・行動計画を策定し、重油、図書、パソコン・プリンタ類、封筒類、什器類等の事務局一括契約及び役務契約の複数年契約等を実施しており、平成16年度から平成21年度までに約1億5,870万円の経費を節減している。【北海道教育大学】
○ 医学部附属病院では、コスト削減に積極的に取り組んでおり、例えば民間コンサルタント会社との医用材料等契約支援業務の包括契約を締結により、平成20、21年度の両年度においては、約4億9,000万円の経費削減を達成している。【群馬大学】
○ 学内向けの通知等について電子メールの利用やウェブサイトへの掲載等によりペーパーレス化を推進しているほか、会議における審議内容、配付資料等の見直し、事務職員の給与明細及び学生の成績通知表をウェブサイトでの確認を可能とすることにより、経費の削減を図っている。【長岡技術科学大学】
○ 「節約(SETSUYAKU)しまいか」プロジェクトに取り組み、節約項目の洗い出しを行うとともに、光熱水費に係る点検チームを編成して施設を見回ることにより、現状把握並びに節約について教職員への意識づけを行うとともに、印刷物や業務委託費等の経費節減に向けた努力をしている。【金沢大学】
○ 大学の経費抑制の取組として、大学経費と病院経費の削減推進会議等において設定した経費削減目標を反映させて当該年度の予算編成を行っている。また、電力契約の見直し、部局単位での光熱水料の節減等に努めているほか、附属病院にESCO事業を導入し、光熱費のさらなる削減を図っている。【鳥取大学】

 健全な財務運営のための定員・人件費管理の推進

(具体的取組例)
○ 教員人件費の4%(段階的に5%に拡大)を総長の下に留保し、斬新で先端的な特色ある教育研究プロジェクト等に対して優先的に人件費を配分する「全学運用教員制度」や、教員を平均給与でポイント換算し、総ポイント内であれば研究科等は職種及び員数にとらわれない柔軟な教員組織編成を可能とした「ポイント制教員人件費管理システム」を導入するなど、戦略的・効果的な人的資源の活用を図っている。【北海道大学】
○ 教員の流動性・活力向上のため、60%以上の教員が任期制に移行するよう推進するとした中期計画を踏まえ、優秀な教員への学内昇任をポスト数を制限せず認めるなどの取組により、法人化への移行時点で約56%であった教員の任期制適用割合は、平成21年度末で約73%となっている。【北見工業大学】
○ 総人件費改革に対応するため、各学部における現有定数相当のポイントを一定の計算方式で算定した上で、4年間の人件費削減を見込んだ各年度の目標ポイントを設定し、そのポイントの枠内においては柔軟な人事計画を作成できるようにする人件費のポイント制の運用を平成19年度より開始している。【信州大学】
○ 教育職員の職種別(教授、准教授、講師及び助教)にポイント数を定め、各部局に割り当てたポイント総数の範囲内で部局長が自由に職種別人事を行えるポイント制度を導入し、弾力的、効率的に教員配置できる人事管理を実施している。また、全学的・戦略的事項に対して職員配置を行うため、学長裁量人件費(ポイント数)の設定や「岐阜大学職員の配置に係る基本方針」を策定し、戦略的な人員配置を行っている。【岐阜大学】

施設・設備マネジメントの推進

(具体的取組例)
○ 大学の自助努力により、産学連携拠点として創立60周年記念会館「コラボ弘大」や青森市に青森キャンパスとして北日本新エネルギー研究センターを整備するとともに、白神山地に関する総合的研究等の拠点として白神自然観察園を設置して教育を展開しており、計画的な施設整備に取り組んでいる。【弘前大学】
○ 時限的・弾力的使用のための共同利用スペースを設置し、全建物面積の10.1%を共有化するに至っている。また、学際的研究、プロジェクト研究及び若手研究者のスペース確保のため約3,000㎡の外部研究施設を購入し、「山形大学総合研究所」として運用している。【山形大学】
○ 大学院映像研究科の新設に当たり、横浜市と連携して拠点施設の整備を実施している。【東京芸術大学】
○ 自然資源を活かしたアメニティの形成のガイドラインとして「緑のフレームワークプラン」等を実行し、周辺環境に配慮し既存の景観を活かした植栽整備等により、財団法人都市緑化基金から第19回「緑のデザイン賞」緑化大賞を授与されている。【大阪大学】
○ 全学的視点による有効活用を図るため広島大学版基準面積を作成し、部局間の使用面積のアンバランスを解消するとともに、全学共用スペース(弾力的活用スペース)を確保し、9,974㎡をレンタルラボとして教育研究の推進に活用している。【広島大学】
 ○ 「1年単位の全学的な施設のレンタル制」、「共有スペース以外を有料とするスペースチャージ制度」及び「スペース管理システム」の導入を平成16年度に決定(平成17年度から運用を開始)し、「スペースチャージ制度」により生じた空きスペースを、教育研究の重点プロジェクト用のスペースや施設改修の際の代替施設とするなど、有効利用の手法を確立している。【九州工業大学】

省エネルギー対策・地球温暖化対策の推進

(具体的取組例)
○ 環境マネジメント学生委員会と環境マネジメント推進室の協働による省エネルギー、省資源の啓発活動及び環境保全活動の結果、全国青年環境連盟(エコ・リーグ)のCampus Climate Challenge実行委員会による大学の環境対策を点数化した「エコ大学ランキング」で平成21年度に全国国公私立大学総合1位を獲得している。【岩手大学】
○ 環境マネジメントシステム(ISO14001)にいち早く取り組み、主要4キャンパスで取得している。また、所定のカリキュラムの単位取得後、1年以上環境ISO活動に携わった学生を「実務士」として、平成21年度までに140名を認定している。これらの取組の成果の一つとして、各種の環境関連活動表彰の受賞や千葉大学環境ISO学生委員会がNPO法人格を取得するなど、取組の成果が現れている。【千葉大学】
○ 「東大サステイナブルキャンパスプロジェクト(TSCP)」による積極的な取組を推進しており、ハード面では、大型熱源改修、空調・照明改修により、平成21年度では制度導入前の平成20年度と比較して2,264tのCO2を削減(光熱水費換算約1億円/年)している。ソフト面では、国内クレジット制度(国内排出削減量認証制度)において、623tのCO2クレジットを創出し、その売却益をTSCP対策費用へ再投資している。【東京大学】
○ 「平成19年度省エネルギー優秀事例全国大会」(財団法人省エネルギーセンター主催)の経済産業大臣賞、「2008愛知環境賞」の優秀賞をそれぞれ受賞し、その後も附属図書館及び動物実験施設のESCO(Energy Service Company)事業により、空調のエネルギーを附属図書館で10.3%、動物実験施設で28.5%削減しているなど効果が現れている。【名古屋大学】
○ 学生の提案を受け、大学と彦根駅間を走行する大学専用バスに、バイオ燃料で走る「BDF(Bio Diesel Fuel)バス」を導入し、学生食堂の廃食油を回収・精製したBDFを燃料として利用するなど、環境対策に取り組んでいる。【滋賀大学】
○ 学内ESCO(Energy Service Company)事業を実施し、平成19年度エネルギー優秀事例全国大会(財団法人省エネルギーセンター主催)において、「省エネルギーセンター会長賞」を受賞するなど、省エネルギー対策や環境に配慮した取組を継続的に実施している。その後も継続的に取り組み、温室効果ガスの排出削減を目的として、基礎実習棟屋上の太陽光発電設備の増設等の取組を行い、成果を上げている。【滋賀医科大学】
○ エネルギー消費量、温室効果ガス(CO2)排出量を原単位ベースで毎年1%削減するための具体的な方策として「京都大学環境賦課金制度」を導入し、エネルギー消費効率向上のための計画的な改修に取り組むとともに、ESCO(Energy Service Company)事業により、平成21年度のエネルギー消費量では、当初計画約3%(3,724GJ)の削減目標を上回る約7.6%(9,473GJ)の削減、CO2排出量では、当初計画約3%(140t)の削減目標を上回る約9.5%(445t)の削減を行っている。【京都大学】
○ 機構長直属の環境安全管理室を設置し、「KEKにおける地球温暖化対策のための計画書」及び「省エネルギーアクションプラン」を策定し、機構全体での一体的な取組として、「省エネ推進経費(省エネファンド)」を運用し、省エネルギーを一義的な目的とした高効率化機器への更新等を行い、平成21年度において一般需要に係るCO2排出量前年度比約9%減という大きな効果を得ている。【高エネルギー加速器研究機構】 

学術情報基盤の整備

(具体的取組例)
○ 「高等教育コンソーシアム信州」のプロジェクトの下、各大学にそれぞれ遠隔講義室を1部屋設置し、県内8大学間における相互授業の利便性を確保している。また、長野県教育委員会によるネットワークと信州大学ネットワークとの間を接続し、公立特別支援学校の教諭に対する遠隔講義を可能としている。【信州大学】
○ メディア基盤センターでは、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証取得に取り組み、国際規格である「ISO/IEC 27001」の認証を取得している。【山口大学】
○  研究紀要の電子化による刊行を推進し、リポジトリにより情報発信する体制を構築している。【長崎大学】

危機管理への対応

(具体的取組例)
○ 教育研究活動中の不慮の災害・事故補償のため、保険料を大学が全学負担し、全学生を「学生教育研究災害傷害保険」に加入させている。【筑波大学】
○ 「環境安全管理センター」が中心となり、学内の安全管理及び危機管理に関する取組を定期的・恒常的に実施するほか、学長自ら安全パトロールを実施している。【東京農工大学】
○ 事故防止対策として、平成16年度に大型機器等の学生利用状況等を踏まえた「健康安全手帳」を作成するとともに、学生実験等における事故等への対応として、平成19年度に箇条書きのパンフレットを作成して研究室、実験室に配布するとともに、事故防止のため薬品の取扱方法を記載したパンフレットを作成して学生に配布している。【東京海洋大学】
○ 独自に開発したサーバソフトウェアの富山大学薬品管理支援システム「TULIP」を学内の基幹システムとして運用するとともに、オープンソースソフトウェアとして全国の教育・研究機関に無償で提供し、他大学等の化学物質管理体制の構築にも協力している。【富山大学】
○ 教員と学生が組織する「防災・ボランティアセンター」を設置し、地域住民、市町村防災担当者の参加を得て、防災訓練、地震防災セミナー等を実施し、防災に関する企画・立案能力の育成やボランティアリーダーの育成を行うとともに、学生の協力を得て、大学周辺地域の「防犯パトロール」を開始するなど、防災・防犯活動に取り組んでいる。【静岡大学】
○ 教員を目指す学生に、学校安全や学校における危機管理に関する能力を修得させるため、教養基礎科目「学校危機と心のケア」を開講するなど、学校安全に関する取組を行っている。【大阪教育大学】
○ 全学の施設パトロールを実施し、施設の利用状況及び老朽箇所等の点検を行い、パトロール結果を教育研究環境の確保や環境改善の整備に反映させている。また、防犯・防災マップのウェブサイトへの掲載、安全管理・危機管理調査として、化学物質管理状況の監査及び「引継状況調査」を実施している。【岡山大学】
○ 南海地震等の防災教育研究として、「防災サポーター」や「防災インストラクター」の称号を平成21年度までに合計69名に授与している。また、南海地震発生時の行動マニュアルの作成等により地域の特性に即した取組を行っている。【高知大学】 

自己点検・評価及び第三者評価

(具体的取組例)
○ 平成16年度に、国立大学で初めて、教学・業務・学生支援等の状況を定量的に把握して中期計画の進捗管理に利用すべく大学経営評価指標を導入している。さらに、教員の多面的評価システム(ASTA)による評価を本格実施しており、自己申告による教育目標と達成度評価、授業評価、教育貢献評価、総合評価の4つのカテゴリーについて3段階の評価を行うなど、評価システムの構築を図っている。【室蘭工業大学】
○ 国際的視点からの外部評価として、欧州大学協会機関別評価プログラムを受審し、この評価による助言を全学で共有するとともに、自己評価報告書の作成過程での分析等を通じ大学の問題点を明確化するなど、積極的な取組を実施している。【東北大学】
○ 複数の中期目標に対する達成度評価を適切に行うため、国際学術雑誌への論文投稿数の増加等、自主的に学内の数値目標を掲げ、それに向けて取り組み、自己点検・評価を行い、成果が現れている。【千葉大学】
○ 中期計画・年度計画の毎月の進捗状況をウェブサイト上で教職員全員が共有して計画推進を図り、評価意識の向上を促すことを目的に、独自に「年度計画進行管理システム」及び「中期目標・中期計画進行状況管理システム」を構築するとともに、利用者アンケートによる改善要求等に基づいたシステム機能及び入力画面等の改善や評価作業の効率化を図っている。【福井大学】
○ 評価作業等に係る作業の効率化・合理化のため、平成18年度に大学独自に開発し試行した「目標・計画進捗状況管理システム」(進捗ナビ)を活用して、中期計画、年度計画の進捗状況の定期的な管理及び年度計画、実績報告書の作成等を行うことにより、評価作業の効率化・合理化及びペーパーレス化に寄与するとともに、システムのノウハウを他機関に情報提供したほか、関係教職員の実務負担が軽減されているなど、効率化を図っている。【滋賀医科大学】
○ 山口大学自己点検評価システム(YUSE)を独自開発し、入力率100%を維持するとともに、学内外への効果的な情報提供にも資するシステム構築を目的として教員データベースの構築に向けて取り組んでいる。【山口大学】 

社会に開かれた客観的な法人運営

 外部有識者の積極的活用

(具体的取組例)
○ 教育の現状について、多様な見地からの意見を真摯に受け止め、大学の学生教育をはじめ広く大学運営に役立たせていくため、平成19年度に法人支援アドバイザー制度を創設し、懇談会における提案「大学が持ついろいろなものを活かして地域の要望に応えていくことが、地域との連携の主な舞台になる」、「授業時間外の学習について図書館の利用が大切である」等を基に、具体的な改善を図っている。【宮城教育大学】
○ 総長の諮問機関としてノーベル賞受賞者を含む国際諮問委員会(InternationalAdvisory Board)を設置し、高等研究院を充実するなど、教育研究活動の活性化を組織的に推進している。【名古屋大学】
○ アカデミック・アドバイザー制度等の導入により、学外専門家を客員教授や参与として積極的な登用を図るとともに、民間金融機関担当者を経営担当非常勤理事として登用するなど大学運営の活性化等に取り組んでいる。【愛媛大学】
○ 外部有識者の意見や提案を大学経営に積極的に活用する観点から、経営協議会を定例化(毎月開催)するとともに、大学と関係の深いステークホルダー(大学院生、保護者、高等学校教諭、自治体関係者、企業関係者)で構成される「大分大学ステークホルダー・ミーティング」を開催し、寄せられた意見を大学運営に活用している。【大分大学】 

監査機能の充実

(具体的取組例)
○ 平成19年度より外部の有識者をアドバイザーとしてコンプライアンス委員会を設置し、定期的に会議を開催し監査計画、実施報告及び不正防止計画等について意見交換を行い、今後の改善等を踏まえた助言を受け、内部監査のさらなる充実を図っている。【浜松医科大学】
○ 「内部監査マニュアル」や「被監査部局毎の監査重点項目」を作成したほか、全学教職員を対象とした「公的研究費使用等に関する理解度調査」を実施し、集計結果等を内部監査に活用するなど、監査がより有効に機能するよう改善に努めている。【和歌山大学】
○ 監事による監査及び監査法人による監査を業務運営に効果的に活用する体制を整備し、業務の改善に効果を上げている。【鳥取大学】
○ 法人監査室、会計監査人、監事の監査結果のデータベース化を行っている。【高知大学】

 情報公開の促進

(具体的取組例)
○ 教育研究活動の支援活動として、大学組織内に弘前大学出版会を設立し、教育研究のアーカイブスの保存、知的財産の蓄積を目的に出版事業を推進し、平成21年度までに76冊を刊行するなど、教育研究活動の情報発信を行っている。【弘前大学】
○ 「全国大学サイト・ユーザビリティ調査2009/2010」において最も使いやすい大学ウェブサイトとして、3年連続で全国国公私立大学中1位となっており、定期的な見直し等による効果が現れている。【徳島大学】
○ 地域に広く開かれた大学として、大学情報の総合案内、入学相談等のサービス業務を充実するため、インフォメーションセンター(i愛センター)等を設置している。また、地元のラジオ放送局での広報番組の開始や、多様なメディアを通じた広報活動を展開し、新聞に掲載された大学関連の記事は、平成21年度は1,432件(対平成15年度比1,032件増)となっている。【愛媛大学】
○ 事務局各課及び各部局に「スポークスマン」を置き、全学的連携組織である「広報部」を組織し、双方向の情報伝達体制を整備している。また、「東京オフィス」や「大阪オフィス」を開設し、同窓会活動の促進や百周年記念事業に向けた広報活動を展開している。さらに、定期的な北海道大学との合同研究発表会等、全国規模の広報活動を展開している。【九州大学】
○ 小林誠特別栄誉教授のノーベル物理学賞受賞を契機に、記念ウェブサイトを作成し、子どもの科学に対する興味を高め社会に貢献する観点から科学連載マンガ「カソクキッズ」をウェブサイトに掲載するとともに見学者への配付を行っている。【高エネルギー加速器研究機構】 

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高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

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