国立大学法人評価委員会(第69回) 議事録

1.日時

令和4年2月2日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館15階  15F特別会議室

3.議題

  1. 第4期中期目標原案及び中期計画案について

4.出席者

委員

車谷委員長、小林委員長代理、内部委員、勝委員、熊平委員、栗原委員、近藤委員、鈴木委員、棚橋委員、長澤委員、西村委員、深見委員、村田委員、森委員、森山委員、山田委員、山本委員

文部科学省

増子高等教育局長、池田研究振興局長、森田審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当)、坂本審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、堀野国立大学法人支援課長、黒沼大学研究基盤整備課長、宇高国立大学戦略室長、江戸国立大学戦略室長補佐、廣国立大学戦略室長補佐、小久保大学研究基盤整備課学術研究調整官 

5.議事録

【車谷委員長】  皆様、おはようございます。所定のお時間となりましたので、第69回の国立大学法人評価委員会総会を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、大変御多忙の中、御出席いただきまして、本当にありがとうございます。
 本日はウェブ会議方式でございます。第4期中期目標原案及び中期計画案についての御議論を頂戴するという予定でございます。
 なお、本会議はウェブにてリアルタイムでの公開となっておりますので、この点、併せて御承知おきくだされば幸いです。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【事務局】 配付資料の確認に先立ちまして、いくつか御連絡させていただきます。
 まず、令和4年1月1日付の事務局の異動について御紹介させていただきます。研究振興局大学研究基盤整備課長として、黒沼一郎が着任しておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、配付資料でございますけれども、議事次第の裏面、若しくは、2枚目に一覧がございます。今回、特に中期目標の原案と中期計画の案については、非常に大部となってございますので、御容赦いただければと思ってございます。資料は、紙しくは電子媒体にてお送りしておりますので、不都合等ございましたら事務局まで御連絡ください。
 次に、本日の委員の御出欠についてでございますけれども、フクシマ委員から所用により御欠席との連絡をいただいてございますので、本日は17名の委員に御出席をいただいております。御多忙のところ、多くの委員に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 この場をお借りいたしまして、事務局からの会議運営上のお願いとなりますけれども、ウェブ会議を円滑に行う観点から、発言時以外はマイクをミュートにしていただく、また、御発言に当たってはZoomの挙手機能、若しくは、こういった形で挙手をいただく、どちらかとしていただければと思ってございます。また、御発言の際に、資料を参照する場合には資料番号でございますとか、ページ番号等をお示しいただければと思ってございます。また、なるべく多くの委員に御発言いただく観点から、1回当たりの御発言は可能な限り端的にお願いできればと思ってございます。お手数をお掛けいたしますが、御理解のほどよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。それでは、議事に移りたいと思います。
 初めに、第4期中期目標原案及び中期計画案についての御審議を頂戴したいと思います。昨年12月1日の総会におきまして、当委員会として中期目標及び中期計画の素案についての意見を決定したところでございます。こちらの意見は、事務局を通じて各法人に伝達をいたしまして、各法人では中期目標及び中期計画の素案を見直していただいたと伺っております。その上で、各法人から、中期目標原案が提出されているということでございます。本来、今回、御審議いただくべきものは、中期目標原案のみを委員会として了承するかどうかですが、これまで中期目標及び中期計画を一体的に御審議いただいていることに加えまして、各法人から見直し後の中期計画案も既に提出されておりますので、第4期中期目標原案及び中期計画案について、併せて御審議いただくこととしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
【事務局】  まず、国立大学法人分について、御説明をさせていただきます。資料につきましては、資料1、また、資料2は大部でございますので、事務局で作成いたしました資料3を基に御説明させていただきます。また、可能であれば、参考資料2-4も併せて御参照いただけばと思ってございます。
 まず、資料1についてでございますけれども、こちらは12月の総会以降、年度末までのスケジュールをまとめたものでございます。前回、12月の評価委員会総会において、中期目標・中期計画の素案について御審議を賜りました。審議をいただいた結果として、参考資料2-4が国立大学法人分でございますけれども、素案についての意見等を取りまとめていただきました。参考資料2-4の意見の中では、資料3にも書かせていただいておりますけれども、中期計画の本文、また、評価指標について、いくつか観点を挙げた上で御指摘をいただいてございます。
 まず、中期計画の本文については、中期目標を具体的に実現するための手段を明示すべきという御意見、また、評価指標については、今回、第4期中期目標期間における中期目標・中期計画から評価指標というものの記載を義務付けることとなりました。その評価指標について、達成状況を検証することができる達成水準が明示されているか、こういう観点からの御指摘をいただいてございます。先ほど申し上げた手段の明示ということと、この評価指標の達成水準の明示ということにつきましては、該当する法人において修正を検討すべきであるという少し強い意見を付してございます。その上で、その他、よりよい計画とするという観点から、評価指標について、大きくは3点、御意見をいただいてございます。まず、1点目が、実現可能性のみを考慮することなく、意欲的・挑戦的な達成水準の設定をしてほしい。また、2点目としては、アウトカムに着目した評価指標の設定を検討してほしい。また、3点目としては、冗長な記載、中期計画については、もちろん学内における進捗状況の管理というものもございますけれども、国、社会といったステークホルダーに対して、各法人が第4期、どういった方向に進むのか、そういったものを示すという意味もございますので、可能な限り分かりやすく、簡略化した記載としてほしいという3点を意見としていただいております。これらの意見については、改善を検討することが望ましいという形の意見とさせていただいております。それが12月1日の評価委員会の意見でございますけれども、事務局から各法人に伝えさせていただきました。それを受けて各法人が修正をしてきており、修正の状況をまとめたものが資料3となります。
 資料3の1ページ目において、概況をまとめてございます。第4期中期目標期間が始まる令和4年4月1日においては、国立大学法人は82法人となります。82法人中、12月の素案の段階から今回まで、文言修正等を除いて63法人が何らかの修正を行ってきてございます。それ以下の表では、先ほど申し上げた評価委員会総会の意見の観点ごとに、どれぐらいの法人が、どれぐらいの箇所数の修正をしてきたかというものを一覧表としてございます。ただ、そこの「1.概況」の5行目の尚書きで書かせていただいておりますが、どの観点の修正かというものは、あくまでも各法人における整理でございますので、それは評価委員会、若しくは事務局において整理したものではないということは御承知おきください。その上で、2ページ目以降で、これは事務局でピックアップさせていただきました、いくつか修正の例というものを記載させていただいております。これはあくまで事務局でピックアップした例でございますので、資料2、若しくは委員の皆様にお配りしている机上資料に全ての法人分の修正の箇所が分かるようにさせていただいております。資料3の2ページ目の「中期計画本文」の修正例からでございますけれども、目標を具体的に実現するための手段の明示という観点においては、あくまで例でございますけれども、3つの法人を挙げさせていただいております。室蘭工業大学について申し上げますと、下線を引かせていただいている箇所は、当初、12月の段階ではございませんでした。ただ、中期計画というのは、もちろん個々個別の事業、プロジェクトをどこまで書くかという話はあるにせよ、6年間で何に取り組むかということを具体的に書いていただくものでございますので、こういった形で、下線部分を追記していただいたということとなってございます。同じく筑波大学、金沢大学、これは共に附属病院に関する計画でございますけれども、下線のような箇所を追記していただいて、実際に何をやろうとしているのかということが見えるような形に修正いただいてございます。
 次に、「評価指標」のところになりますけれども、まず、先ほどの計画本文の手段の明示とともに、修正を検討すべきと強い意見を付した達成水準の明示でございます。こちらは言うまでもなく、第4期においても法人評価というものが行われます。その際に、達成したか、達成していないかというのが評価指標をもってはっきり分からないと、評価指標の記載を義務付けた意味がございませんので、そういった意味で、達成水準の明示を強く求めたということでございます。そこに、4法人ほど例に挙げてございますけれども、例えば埼玉大学の例で申し上げますと、論文というものを評価指標にする際に、6年後にどこまで目指すのかということを数値目標として掲げてございます。そのほか東京海洋大学、また、3ページ目に参りまして、北陸先端科学技術大学院大学、東海国立大機構、それぞれ数値目標という形で達成水準を明示したという例でございます。ここまでが中期計画本文の手段の明示と評価指標の達成水準の明示という観点からの修正の例となりますが、修正を検討すべきという強い意見を付した法人については、一応何らかの修正を全ての法人が行ってきたということを申し添えておきます。
 次に、「意欲的な達成水準の設定」というところでございますけれども、こちらは例を挙げていない状況になってございまして、昨年6月の総会、12月の総会においても話があったかと思いますけれども、来年度、第4期中期目標期間に入ってからになりますが、中期目標期間が始まった当初の段階で、評価に当たって、各計画に掲げられている評価指標の中から意欲的な評価指標、要は達成すれば高い評価をすべきという評価指標を、評価委員会において御指定いただくという話があったところでございます。来年度以降にそういった議論がある中で、各法人に予断を与えることのないように、ここでの例示を省かせていただいてございます。
 3番目の観点として、「アウトカムに着目した評価指標の設定」ということがございます。ここでは山形大学、長岡技術科学大学、鳥取大学の例を挙げてございますけれども、山形大学の例で申し上げますと、元々は共創する空間の整備というところまでの評価指標となってございました。それを、大学において整備することだけではなく、学外利用の観点も含めて評価指標にしたということで、純粋なアウトカムというよりは、より改善の方向に向かった例と捉えていただけばと思ってございます。長岡技術科学大学や鳥取大学の例も同様で、素案の段階のものよりは改善されたであろうというものをピックアップさせていただきました。
 その次、4ページ目になりますが、こちらは少し意見としての性質は変わりますけれども、「記載の簡略化」ということで、京都教育大学の例を挙げさせていただいてございます。修正前のところ、これで1つの指標だったのですが、これが例えば何十個、しくは場合によっては何百個出てきたときに、それは少し読みづらいだろうということで、内容を落とすのではなくて、質を維持した上で簡略化してほしいという趣旨で意見をさせていただいたところ、修正後のような例が出てきております。
例としては、最後になりますけれども、「その他」ということで、先ほどの評価指標の意見の観点で(1)から(4)がございましたが、どれにも当てはまるようで、ぴったりどれかに当てはまるというわけではないのですが、こういった改善例もありましたということで、紹介させていただいております。こちらは九州大学の評価指標の例ですけれども、修正前の段階では、第4期中期目標期間を通した活動状況ということが評価指標になっていたのですが、それを修正後では6つの観点を立てた上で、4年目終了時、若しくは、6年目終了時において達成したかどうかというのが分かる形に御修正いただいたものと理解してございます。
 国立大学法人分についての説明は以上となります。
【事務局】  続きまして、大学共同利用機関法人分に関しまして、資料5を御確認ください。
 大学共同利用機関法人につきましても、12月の評価委員会の意見を踏まえまして、各機構それぞれ修正をいただいております。中期計画本文に関しましては4機構全て合計しまして50件程度、評価指標に関しましては全機構で136件修正をいただいております。
 少し事例を紹介させていただきますけれども、まず、「中期計画本文」に関しましては、人間文化研究機構の取組、こちらはコミュニティのニーズを踏まえました運営体制に関する記述でございます。もともとの原案では運営体制を構築し、共同研究を実施するという記述にとどまっておりましたけども、具体的な共同利用ですとか共同研究の内容に関しまして、補足で御説明をいただいているものでございます。
 次の情報・システム研究機構に関しましては、こちらは社会課題、地球規模の課題に関します、国立極地研究所の取組でございまして、こちらはSDGsに関する目標との関係性ですとか多様な主体の参画、そういった部分に関しまして、補足で御説明を追加いただいたものでございます。
 次のページに移りまして、「評価指標」でございます。まず、「①達成水準の具体的な明示」ということで、こちらは人間文化研究機構の国際日本文化研究センターに関する指標でございます。原案では研究会の開催、シンポジウムの開催の回数にとどまっておりましたけども、具体的な達成水準としまして、論文に関する指標ということで、研究者当たりの論文数ですとか査読付き論文数、また、国際日本文化研究という国際拠点としての水準を示すために外国語論文に関する指標、こういった点を追加いただいているものでございます。
 次の自然科学研究機構に関しましては、財務内容の改善に関する指標でございまして、こちらは寄附金に関します第3期と比較した具体的な目標値を新たに設定いただいているものでございます。
 次の「②アウトカム指標の設定」に関しましては、情報・システム研究機構の大学間連携に関するプロジェクトの部分でございまして、原案では戦略的プログラムの支援件数にとどまっておりましたけれども、それから出てくるアウトカムの指標ということで、国際共著に関する具体的な目標値を設定いただいたものでございます。
 「③定性的な評価指標の明確化」の高エネルギー加速器研究機構に関しましては、こちらは4機構と総合研究大学院大学が新たに連合体を創設して、アライアンスという形で取り組む内容でございまして、原案では具体的なプロジェクトの記述がございませんでしたので、国際化の推進から産学連携に関する具体的な内容を追記いただいたものでございます。最後の「④記載の簡略化」に関しましては、自然科学研究機構の国立天文台のすばる望遠鏡に関する取組でございまして、原案では少し冗長な記載になっていたものを簡略化した記載に直していただいたというものでございます。これらの事例を踏まえまして、資料4で示しています中期計画の本文を今回示させていただいているものでございます。
 以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、委員の皆様から御意見、御質問等をぜひお願いいたします。どなたからでも結構でございますので、挙手をお願いいたします。
 では、西村委員、お願いいたします。
【西村委員】  御説明ありがとうございました。細かいところで恐縮ですけれども、資料3の3ページのトップのところに北陸先端科学技術大学院大学について、最終年度までに「令和2年度実績(29件)と比して」と書いてありますが、これは、「令和2年度の実績」との比較ではなく、「第3期中期目標期間の実績」との比較が正しいのではないかと思ったのですけれども、いかがでしょうか。
【事務局】  北陸先端科学技術大学院大学の例でございますけれども、法人によって、目標の立て方が少し異なるところはありますが、計画を立てるこの段階において、実績としてはっきり分かっている最新のものが令和2年度、要は昨年度のものという趣旨でこのように書いているものと認識してございます。法人によっては、令和2年度実績ではなく、例えば令和3年度実績とした上で、括弧の数字を付さない、29件ということを付さない形で評価指標を立てる法人もございましたけれども、それは法人ごとの判断と認識してございます。
【西村委員】  ありがとうございます。そうすると、令和2年度の1年間では29件で、4期の最終年度までの6年間で20%増の35件と読めてしまいますが、それでも大丈夫でしょうか。
【事務局】  その意味では、令和2年度実績というのは単年度の実績でございまして、20%増の35件というのも第4期中期目標期間が終わる令和9年度の実績として35件とするという趣旨と捉えていただけばと思ってございます。
【車谷委員長】  西村先生、よろしいでしょうか。
【西村委員】  ありがとうございます。
【車谷委員長】  それでは、それ以外の委員の方から御意見、御質問等お願いいたします。鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】  事務局に御説明いただければと思いますが、机上資料でいただいた中の室蘭工業大学の資料ですが、ここの欄にセキュリティ関係とかセキュリティマネジメントに関するところの項目が削除されています。今の時代、これは重要なテーマかと思いますが、削除された理由はほかの項目に加味されているということなのでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
【車谷委員長】  こちらは事務局からお願いいたします。
【事務局】  資料2の室蘭工業大学の例を後で御覧いただければと思いますけれども、計画本文、同じ計画ではありますけれども、計画の違う箇所で、セキュリティの確保の中期計画を立てておりますので、その重複を省くという意味で削除したものと理解してございます。
【鈴木委員】  分かりました。机上資料1での削除は、そういう意味と捉えたらよろしいでしょうか。
【事務局】  そのように理解していただければと思います。
【鈴木委員】  かしこまりました。
【車谷委員長】  そのほかの委員の方、お願いします。栗原委員、お願いいたします
【栗原委員】  各法人で見直していただいたものについては、異論ございません。それぞれ前回から改善をいただいて、より良くなったと思います。ただ、意欲的な達成水準の設定とアウトカムに着目した評価指標の設定が、必ずしも多くの法人で挙げてこなかったという印象を持ちました。これらは、難易度は高いけれどもチャレンジしようというものですので、今後、このような水準を設定する国立大学あるいは大学共同利用機関が増えてきてくれれば良いと思います。
 アウトカムに着目した評価指標の設定については、自らの取組が、人材育成や医療をはじめとした地域貢献、ある分野への貢献など、社会にどう貢献していくのか、その成果をより意識していただきたいと思います。難易度の高い目標設定と同じですけれども、法人には積極的に取り組んでいただきたいと思います。
【車谷委員長】  ありがとうございました。意欲的な達成水準の設定というのは、さらにより良いものにしていこうということで議論いただいたものでございますので、比較的それなりに出てきてはいるのですが、アウトカムについてはおっしゃるように、4法人で修正箇所は10ということで、なかなか難しいという面もありますけども、この点については事務局でコメントありますか。
【事務局】  1点だけ、簡単に補足ですけれども、資料3の御説明の際に、説明が不足していたと認識してございますけれども、今回、資料3で、法人数や修正箇所数に挙げているものというのは、12月の素案段階からの修正をしてきた法人という趣旨で捉えていただければと思ってございます。各法人においては、素案の検討段階においても意欲的な評価指標にすべき、また、アウトカムに着目した評価指標にすべきということは、事務局から御説明させていただいていて、不十分な点があるのは事実でございますけれども、ある程度、法人でもアウトカムや高い目標を立てやすいものについては、12月の素案の段階で既に入れていただいていると認識してございます。ただ一方で、栗原委員がおっしゃったように、より良いもの、実際に社会に対してどういうインパクトを与えるのか、与えることを目標としているのか、そういった観点の評価指標がまだまだ足りないという御指摘はそのとおりだと思います。今回、第4期に評価指標の記載を義務付けたということで、まずは第一歩と我々は考えてございまして、より良い評価指標、また、より良い計画となるように、今後も法人と連携しながら、評価委員会委員の皆様の御意見も賜りながら進めていきたいと考えてございます。
【車谷委員長】  栗原委員、よろしいですか。何かコメントございますか。
【栗原委員】  ありがとうございます。アウトカムのところは、初めから指標を設定できるものと、途中の評価において、それだけの成果が上がったことが後から気付くもの、成果が波及拡大するものなどもあると思いますので、そこもぜひ今後のモニタリングに生かしていただきたいと思います。
【車谷委員長】  ありがとうございます。それでは、村田委員、お願いいたします。
【村田委員】  私からは質問が1つございます。
 資料3の2ページのところの評価指標、「(1)達成水準の明示」の埼玉大学のところに著書数23とか論文数云々と数値が入っているのですけれども、この数字の何か客観的な根拠はあるのでしょうか。評価指標として達成水準が明示されていない。このことが非常に達成しやすい数字なのか、どうであるのかということを含めて、何かこの数字の客観的な根拠、過去の数字に基づいているとか、その辺を教えていただきたい。このままでは全く評価ができないというわけなので、お願いいたします。
【車谷委員長】  それでは、事務局、回答お願いします。
【事務局】  御質問ありがとうございます。あくまで埼玉大学について申し上げますと、埼玉大学で中期計画に上げている数値というのは、第3期における実績をベースとした上で、それ以上にするという計画となってございます。今回、個々の評価指標ごとに、今、村田委員がおっしゃったように、数値目標というのをどういう理由で決めたのかということについては、一応説明を求めているところではありますが、具体的には来年度、先ほど申し上げた意欲的な評価指標の指定や、若しくは第4期の法人評価の在り方を検討する際に、具体的に個々の指標ごとに、意欲的かどうかの判断をする際には、法人側の根拠も併せて見ていくということになるかと思ってございます。埼玉大学について申し上げると、第3期の数字もここに入っていると捉えていただけばと思ってございます。
【村田委員】  分かりました。そうすると、今、私がたまたま埼玉大学の数値を言ったわけですけれども、埼玉大学の例を見ますと、おっしゃったように第3期の数値をしっかりと入れた上で、この目標がどうだということをしないと我々は判断できないと思います。その上で、これが達成できているのか、できていないのか、あるいは、できるとしたら、できやすいのか、できにくいのかということも分かりますから、ほかの数値についても、根拠となる基準をここに書いていただいたほうが分かりやすいし、そのことが客観的に見ることのできる指標としての意味を持つと思いますので、その点を御配慮お願いできればと思います。
【車谷委員長】  事務局、コメントございますか。
【事務局】  実際、評価の際には、評価していただく委員の皆様が評価できるだけの根拠について、大学、又は事務局で御準備させていただいた上で作業をお願いしたいと思ってございますので、その際にはまたよろしくお願いいたします。御意見については承りました。
【車谷委員長】  今、村田委員がおっしゃったような指標も入れて、総合的に評価をしていくということになると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、勝委員、お願いいたします。
【勝委員】  御説明ありがとうございました。修正をかけたということで、これで非常に分かりやすくなったと思います。先ほど説明にあったように、特にステークホルダーに対しての説明について、非常に分かりやすくするということで、文章を簡潔に修正されていますが、やはりもっと簡潔にしても良いのかなと思います。これは恐らく全体の条文があって、エッセンスと言いますか、そこの部分はもう少し国民、あるいは、社会一般が分かりやすいような、そういったものも考えていくということも必要なのではないかと思います。つまり文章になっていると、なかなか読みづらいというところもあるので、体言止めにするというような形で、もう少し分かりやすくできるのではないかというのが第1点目です。それから、意欲的な指標について、その法人の目標に照らして意欲的なものかという判断がされることになるかと思います。この辺については最も重要な部分でもありますので、その法人がどういったミッションがあるのかというところと併せて分かりやすく示すということが必要なのではないかというところが第2点目です。
 第3点目としては、中期目標をベースにした年度ごとの自己点検・評価というのが非常に重要になってくるので、自己点検・評価についても示されている法人と示していない法人とがありますので、そういったものも見ていかなくてはならないのではないかと思います。社会的に明示するという意味では、どのような形で提示していくことが想定されているのか、今度、新しく制度が変わるということもあるので、ここを教えていただければと思います。
 以上です。
【車谷委員長】  今、勝委員から御指摘がございましたが、簡素にはなっているけれども、社会とのコミュニケーションということもございますので、もう一歩、簡素にできないか、ということです。それから、意欲的な水準というのは非常に重要なので、それは本当に意欲的なのかと示す必要があります。最後に、これは私も大事だと前から申し上げているのですが、自己点検・評価を当然やっていくわけですけれども、この辺について、具体的にどのように進めるのかということについて、今後実施しながらということもあるのでしょうけれども、事務局からコメントをしていただきたいと思います。
【事務局】  勝委員からいただいた3点の御意見、御質問についてでございますけれども、まず1点目、より分かりやすく簡潔にという御意見でございました。今回の京都教育大学の例を4ページ目で挙げてございますけれども、今回、国立大学法人の中期目標・中期計画への御意見として、もっと簡略化した方が良いということはあるかと思ってございます。現時点で絶対直すべきと言えるかというと、また別の話が出てまいりますので、御意見として賜った上で、検討の是非については法人に委ねるということになるのかと考えてございます。
 2点目として、意欲的な評価指標の話でございますけれども、これは意欲的な評価指標と言うからには、個々個別に、法人の特徴、強み、弱み、実際何を目指しているのかということを判断していく必要があると思ってございます。こちらについては、今、両分科会の下にワーキンググループを設置してございまして、そこで、意欲的な評価指標としての指定の基準であったり、若しくは、どういったものを想定しているのかというものを御議論いただいた上で、来年度に入ってから、総会の場でも御審議を賜りたいと思ってございます。
 最後、自己点検・評価についてでございますけれども、こちらは参考資料2-4で、12月1日の評価委員会の意見というものを添付させていただいてございますが、その中でも、自己点検・評価についてもしっかりと行うようにという御意見をいただいてございます。こちらについても各法人には示させていただいていて、今回、資料3で、修正箇所としては、例として挙げてございませんけれども、各法人とも中期計画の中で、自己点検・評価のやり方については述べているところでございます。それが十分か、不十分かというと、また個別の法人の話になります。ただ、いずれにしましても、年度評価がなくなるわけでございますが、評価は何もしなくていいということは当然ありません。その重要性について、事務局からも、これからも引き続き訴えていきたいと考えてございます。
 その上で、実際の社会との対話の方法、社会への発信方法ですけれども、これは正直、法人ごとになるかと思っていて、例えば、経営協議会を活用する例もありますし、経営協議会とは別に外部の有識者の評価委員会、しくはアドバイザリーボードといったものを設けるところもございます。それ以外に、より広く一般社会も含めて、そういった中期計画、若しくは実績なりを発信する場を設けている法人もございますので、それは今の段階では各法人それぞれだと思いますが、第4期の評価に当たっては、そういったことも含めて評価することもあるのではないかということは考えてございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。勝委員、よろしいでしょうか。
【勝委員】  ありがとうございました。
【車谷委員長】  それでは、山田委員、お願いいたします。
【山田委員】  先ほど村田委員が御質問された点に関連したところでございますが、私も質問したい点がございます。
 今回、埼玉大学における達成水準の明示として、具体的な数字が挙げられておりました。先ほど村田委員の御質問と、それに対しての回答でよく分かりましたが、例えば、今回、ほかの法人ではこういう修正を見ておりませんので何とも言えないところでございますが、ここまで具体的な数字が出てくるということでございますと、例えば教育学部であったり、人文科学の各部門とコミュニケーションを取った上でこういう数字も出てきているかと思います。逆に言いますと、例えば教育学部であると、全国的に、あるいは海外との関係から言いますと、標準化したジャーナルであるとか、そういう数字が何となく分かってくると思います。そうしますと、ほかの法人で教育学部、人文科学、社会科学研究科があるところで、全く違う数字が今後出てきた場合に、どのように調整していくのか。例えば、これは各法人が立てた指標としても、標準的な数字というのが何となく見えてくるかと思いますが、その辺りの調整というのは今後、第4期の上で、どのようにしていくのかというところが気になりましたので、お尋ねしたいところでございます。
【車谷委員長】  それでは、よろしくお願いします。
【事務局】  まず、法人評価という趣旨でございますけれども、法人評価については、原則としては相対評価ではなく、各法人が掲げた中期計画を達成したかどうかというのを判断することになります。この評価指標についても、それが当てはまるところでございまして、法人で立てた計画の評価指標について、達成したかどうかというのは、まず、法人評価の第一義的な判断基準となります。ただ、意欲的な評価指標というものを来年度から指定するという場合には、意欲的かどうかという判断の際に、場合によっては、ほかの法人、若しくはその分野全般、そういった標準的な基準というものも参考する必要があることもあるかもしれません。そういった場合には、もちろんこれも分科会、ワーキンググループなりで御議論いただきたいとは思っておりますが、基本的には意欲的な評価指標について申し上げると、今のところ、法人側からこれは意欲的な評価指標として指定してほしいという申請をいただく。その場合の根拠、理由についても併せて申請いただく形はどうかと考えてございますので、その際に、その分野における平均でございますとか、他法人の例、それと比して、これだけ意欲的なのだという御説明をいただくものかと考えてございます。
 山田先生の御質問の趣旨、こういったことでよろしかったでしょうか。
【山田委員】  相対評価でないということは重々承知しております。ただ、各大学の個性とか、そういうところを大事にするというところはよく分かりますが、やはり分野によってある程度標準化した基準というのは研究者として何となく合意があると思うので、その辺りがばらばらになってきて、各法人が立てた目標というところで、あまりにも違いが出てくるのではないかと危惧をしたことが、この質問の背景にあったということでございます。
【事務局】  第3期までの例で言いますと、論文の例ではございませんが、例えば評価作業の際に女性教員の割合だとか、あとは財務の目安であるとか、そういった形で全ての法人分の数値というのを一覧で御用意させていただくことはあるかと思っております。そういったことも参考にしながら、実際に第4期法人評価の際にどういった扱いを取るのかということを、今後、議論していきたいと考えてございます。
【山田委員】  よく分かりました。ありがとうございます。
【車谷委員長】  それでは、棚橋委員、お願いいたします。
【棚橋委員】  既に議論されていますように、やはり達成水準のところで意欲的なというのは非常に関心が高いところで、私自身もここに非常に興味を持って見ているところでございます。それで、今後、いろいろ内容は詰められるということで理解していますけれども、定量的な部分と、それから定性的な部分が両方あるのだろうということを考えているところで、定量的なところについては、今回の修正前、修正後の、例えば机上資料を拝見すると、修正後のところの数字について、現在の数字などを挙げた上で、今回、目標とした数字がどれくらいのものになるのか。例えば、現在3,000人だけれども、目標では達成水準を4,000人にしているとか、恐らくどの法人もそういうことをベースに達成水準というのを設定されていると思います。そこら辺が各法人からしっかりと出てくれば、非常に客観的に評価しやすくなるのではないかという気がしましたというのが1点です。もう一つが自己点検・評価ですが、もちろんこれは中期ということを踏まえての自己点検・評価となるのでしょうけれども、年度ごとの自己点検・評価です。大学の事業体としての経営課題とか経営目標を考えると、必ずしも中期じゃなくて短期のもの、今すぐ行わなければいけないものとかそういうものもあると思います。そういうものがしっかりとできているかといったことも年度の自己点検・評価の中で、見られるようにすると良いのかと思った次第でございます。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございました。特に自己点検・評価ということで、事務局コメントございますか。
【事務局】  ありがとうございます。自己点検・評価についてという話で、中期目標・中期計画は一応6年間という建前を取っておりますけれども、実際に今回、年度評価がなくなるとしても、各法人においては6年間を通しての事業だけではなく、その年度、若しくはもっと短期的な取組についても、しっかりと自己点検・評価をしていただく必要があるだろうと考えております。それが、例えば4年目終了時であれば4年間、6年目終了時であれば6年間、積み重なった自己点検・評価というものが法人評価の際に出てまいりますので、その中には、6年間を通した取組もそうですし、より短期スパンの取組、その成果なども自己点検・評価で出てくることを期待してございます。実際の評価は少し先になりますが、その際には、各法人にこういった観点からも求めたいと考えてございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。それでは、小林委員、お願いいたします。
【小林委員長代理】  今回、各法人の強みを生かしてこのように目標を立てるというのはすばらしい改革だったと思います。しかし、各法人から当初でてきたものは、必ずしも全てがチャレンジングではなかったと思います。むしろディフェンシングなものが多かったと思います。それが事務局の努力でここまで来ているということに大変感謝したいと思います。ただ、なぜディフェンシングだったかというと、結局評価の問題になりますが、立てた目標値と実績値で見てしまうと、できるだけ低い目標を立てたほうが有利になる。高い目標を立てるほど損をするということがあってはならないと思います。
 一方で、先ほど事務局からの御説明にあるとおり、相対評価ではなく、絶対評価であると。これも正しいお考えだと思います。そうであるならば、今後の評価については、今回出てくる目標値と実績値だけで見るのではなくて、先ほどもほかの委員からもお話がありましたが、現状値、いわゆる基準値、第3期の終わりの基準値と目標値と実績値、この3つを見て、相対的ではなく絶対的に評価するということが大事だと思います。そうでないと、第5期、第6期も、またディフェンシングなものがたくさん出てきて、事務局が大変御苦労されると思うので、そういう意味では、指定国の評価の在り方、あるいは法科大学院の評価の在り方に少し近い形になると思いますが、ぜひそういうことを今後の評価で御検討いただきたいと思います。
 また、6年間に1度ですから、いわゆる従来のような中間評価というのはないのかもしれませんが、6年終わった時点で駄目でしたでは、これは意味がないので、4年目終了時あるいは5年目のところで、みなし評価のような形で一度、現状がどこまで進んでいるかというのは確認する必要があるのではないかと思います。
 最後に感想になりますが、一番感じたのは、実は評価というのは研究と教育だけでなく、業務と財務もありますが、その財務について、あまり具体的な数値というのが各法人からは示されていないような気がいたします。具体的に言いますと、例えば、共同研究収入がどれくらいであるとか、外部資金の調達がどれくらいであるとか、受託研究収入がどれくらいであるとか、寄附金などについて、具体的なものを示したところもありますが、必ずしもそうでないところも随分あったと思います。財務の点について、今後、御検討いただければと思います。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございました。特にみなし評価のお話もございましたが、中間評価的なお話、それから最後の財務のところのポイントを中心に、事務局からコメントしていただければと思います。
【事務局】  ありがとうございます。小林委員長代理からいくつかいただいた御指摘、御質問についてでございますけれども、まず、基本的に評価の制度についてですけれども、第4期も6年に1回ではなく、4年目終了時において見込み評価という形で、中間評価的な評価は残ってございますので、そちらは引き続き評価委員会で実施していただく流れとなります。
 12月の総会の際に小林委員長代理から御指摘いただき、事務局からの伝達として各法人に対して、意欲的な評価指標について達成水準に到達しない場合であっても、その進捗状況を加味して評価を行うことを検討するという趣旨は伝えさせていただきました。その上での今回の修正となってございますが、それが不十分な点というのがあるようには認識してございます。
 その上でございますけれども、小林委員長代理がおっしゃるように、意欲的な評価指標、また、しっかりとした評価指標を立てた法人が、法人評価において逆に不利な扱いを受けるというのは、我々としても本意ではございませんので、恐らく来年度には、第4期の法人評価の在り方、実施要領というものを評価委員会の場で御審議いただいて決定するという流れになると思いますが、そこにはそういった趣旨、実際にそうなるようにと考えてございます。
 あと、財務についてでございますけれども、恐らく法人によってということになると思いますが、しっかりと数値目標を立てているところと、立てていないところがあると思っています。そういったことを含めた上で、しっかりと立てている法人がきちんと評価される仕組みにしたいと考えてございますので、引き続き、来年度以降になりますけれども、御検討の程、御協力をお願いできればと思ってございます。
【小林委員長代理】  ありがとうございました。
【車谷委員長】  ありがとうございます。それでは、森山委員、お願いいたします。
【森山委員】  2点についてコメントをさせていただき、それについて、事務局のお考えを聞かせていただけたらと思います。
 資料2を全て見るわけにはいきませんでしたけれども、ここまでほかの委員の御指摘がなかった点では、中期計画のその他のところに、「3.コンプライアンスに関する計画」と「7.マイナンバーカードの普及促進に関する計画」があります。それらについてお伺いをしたいと思います。まずはコメントを述べさせていただき、事務局のコメントをお聞きしたいと思います。まず、コンプライアンスに関する計画について、ざっと各国立大学法人を見ると、かなりばらつきがあるというのが感想です。非常に丁寧に書かれている法人もあれば、さらっとコンプライアンスの取組が書かれているというところもあるかと思います。これまでの評価の中では、研究不正や研究費不正、それらについては、しっかりと取り組んでいくということを、評価委員会でもやってきたところだと思います。この辺りの書きぶりのばらつきがあります。例えば、細かく項目を立てた形で書かれている奈良先端科学技術大学のような法人もあります。そのばらつきについてどう考えていけば良いでしょうか。
 2つ目はマイナンバーカードについてです。これも奈良先端科学技術大学を例として取り上げると、ここではマイナンバーカードの普及促進に関しては、システムまで構築してやっていこうという非常にはっきりとした取組が書かれています。また、金沢大学、こちらもシステム構築をしようということが書かれています。ほかの法人を見ると、おおむね普及に努める、啓発活動を行う、というような記述になっています。これは出てきた計画は想定の範囲であったのか、奈良先端科学技術大学のようなことを期待されていたのか、その辺りのことをお聞かせいただけますでしょうか。
【車谷委員長】  森山委員、ありがとうございました。コンプライアンスの御指摘にややばらつきがあるのではないかという点、それからマイナンバーカードの御指摘がありました。システム構築まで踏み込んでいるところ、そうでもないところ、様々なばらつきがあると、そういう2点かと思いますけれども、事務局、よろしくお願いします。
【事務局】  2件の御質問についてでございますけれども、まずは、コンプライアンス、これはその他の項目も含めてでございますけれども、中期目標に対応するところの中期計画については、国が示す目標というものに対して、6年間でこういったことをやりますという計画となってございます。今回、その他のところは、コンプライアンス等が典型的ですけれども、国から目標を示すまでもなく、法人であれば当然やることという形で整理してございます。今回、記載上はばらつきというのがございますけれども、ただ、求められる水準というのは、コンプライアンスについて申し上げれば、それは変わるものではないと考えております。法人評価の際に、コンプライアンスに関する記載がこうだから駄目だとか、むしろ書いていないから許されるとか、そういったことでは絶対にあり得ないと考えてございます。
 また、マイナンバーカードについてでございますけれども、その他のところで書いてあるマイナンバーカードについては、普及促進という形の計画でございますので、システムまで踏み込むかどうかというと、普及促進のところでは、あまり想定はしてございませんでした。その上で、奈良先端大学院大学の例を挙げていただきましたけれども、こういったことを考える法人というのもあってもちろん構わないのですが、ここで想定していたものではございません。ただ一方で、中期目標大綱で申し上げると一番最後の25番、AI、RPAをはじめとしたデジタル技術の活用のところの目標の中で、そこでは、あくまで手段の1つとしてマイナンバーカードを活用する場合には、先ほど森山委員がおっしゃったシステム構築とか、実際のマイナンバーを活用した事例とか、そういったものを生み出すといった計画を立てていらっしゃる法人もありますので、それは各法人において、どこまでやるかというのは判断していただいた結果だと思っております。
【車谷委員長】  よろしいでしょうか。
【森山委員】  分かりました。ありがとうございました。
【車谷委員長】  それでは、長澤委員、お願いいたします。
【長澤委員】  今まで委員の方々がおっしゃられたものと重複してしまうと思いますけれども、チャレンジングな目標をどう評価するかというのは、すごく難しいと思います。でも、簡単にクリアできるような指標では意味がないので、そこは十分精査する必要があると思います。評価指標も問題ですが、実施する過程をどのように評価するというか、そこをどう見ていくかというのが大事なところだと思います。法人によっては、本当に小手先というか、クリアしましたみたいな見せかけのような報告ではなくて、本当に改革して実行したというのを見極めるような、評価委員にとっても分かりやすいような材料を法人として用意するよう指示をしていただきたいというのが1つです。それと今、事務局がおっしゃっていたとおりで、法人であれば当然実施すべき事項というのはやった上で、それぞれ重点的に取り組むのはどれかというのが中期目標大綱の事項だと理解していますが、実際にステークホルダーや外部委員の認識だと、大学はこれしかやらないのかという意見が非常に多いのが現状ではないかと思います。そのため、第4期に関しては重点的に取り組む事項はこれですというのを、文部科学省からもいろいろな時に示してもらいたいし、これは法人独自で考えるべきかもしれませんけれども、各法人が公表する時点で、前文で前提はこうですけれども重点的にはこうだといった、そういう公表の仕方をするように、その辺をぜひ指示していただきたいと思います。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございました。さらにチャレンジできるようなものに実態としてなるようにということで、実施の過程が大事ではないかなどの御指摘でございますけれども、事務局コメントありますか。
【事務局】  ありがとうございます。法人評価において、プロセスもしっかりと評価というか、見るべきという御指摘だと思います。それはごもっともだと思います。実際、それを法人評価の中でどう取り込んでいくかということについては、委員の皆様の御意見を踏まえた上で、第4期の評価のやり方については、来年度、完成させたいと思っておりますので、引き続き委員の皆様の御知見をお借りできればと思ってございます。
 また、中期目標・中期計画に書いていることしかやらないのかという誤解についてでございますけれども、法人によっては、大学としてのビジョン、要は経営方針全体を公表した上で、国との間でこういったことを重点的にやるという形で中期目標・中期計画を発信する法人もございます。ただ、長澤委員がおっしゃるように、それが全ての法人かというと、法人自身の理解もまだ不十分なところがあるかと思いますので、折に触れて周知していきたいと考えてございます。
【車谷委員長】  ありがとうございます。それでは、村田委員お願いいたします。
【村田委員】  皆様の御議論を聞いていまして、確認です。恐らく先ほどの評価の基準のところの問題ですが、これまで年度評価をしてきたわけで、年度評価の時には、最終的には横並びでどうなっているのか、他法人の評価がどういう形になっているのかということで、絶対評価ではあるけれども最後のところで相対評価が入ってきているという実態があったかと思います。ところが、今回は年度評価がなくなりますから、これも恐らく、お考えになっておられるのだと思いますが、実際は文部科学省の中でやられると思いますから、ここの評価のいろいろな指標について、1年目に1度、横並びも含めて、これが本当にこの指標で良かったのか、あるいは数値目標が良かったのかという検証をするということが必要なのかなという気はしたものですから、その点、どうお考えかと思って御意見させていただきました。
【車谷委員長】  これは御提案と受け止めましたけど、1年目に検証すべきではないかという御意見でございますが、いかがでございますか。
【事務局】  今、村田委員がおっしゃったことはまさにそのとおりでございまして、何度か申し上げておりますが、来年度、意欲的な評価指標というものを指定する作業が入ってくるわけでございますけれども、その後、実際に意欲的な評価指標として指定する、指定しないという判断は評価委員会で行うこととなります。その後、それを踏まえた上で、中期計画の変更というものを、恐らく法人側は希望してくると思います。それを認めるか、認めないかというのも含めてワーキンググループ、また、総会で御議論いただければと思ってございますので、御意見としては重々承りましたので、来年度、御議論を踏まえた上で対応したいと思います。
【村田委員】  よろしくお願いいたします。
【車谷委員長】  村田先生の御意見は至極ごもっともだと思いますので、来年度の議論にしたいと思います。それでは、熊平委員、お願いいたします。
【熊平委員】  2点ございます。1点目は、皆様が既にお話しされていた、意欲の高い達成の難しい目標について意見を述べさせていただきます。資料を読ませていただき、意欲の高い目標とは、前例がなかったり、全学で取り組まなければならなかったり、非常に難易度が高いけれども、ぎりぎり達成できそうだという目標であると理解しました。意欲の高い目標は容易に達成することはできませんが、目標は達成しなければならないという前提に立ち、考えられた目標です。
 一方で、最近のイノベーションを上手に起こしている企業では、達成不可能な大きな目標を管理のためではなく、人や組織の潜在能力を開花させるために設定しています。その目標があるからこそ、それがないときには実現できないようなことが実現できるという考え方で、ムーンショットと呼ばれる目標設定です。ムーンショット目標では、6割とか7割の達成で「よし」とします。6割~7割の達成が、現実的なゴールですが、ムーンショット目標があるからこそ、もしかすると、それを超える世界に到達する可能性があるという考え方です。今回の目標は、管理されるという前提で書かれているので、そこまでのレベルの目標設定は行えないと思います。今後は、管理を前提としない目標や、6割~7割達成すればよいという目標設定を行える、そんな世界観を実現できないのだろうかとお話を伺いながら思いました。
 もう1点は、これも既に出たお話ですが、情報の開示についてです。大学には、高校生や中学生との対話と情報共有をしっかりと行っていただきたいと思います。最近ではキャリアの在り方が根本的に変わり、単線的なキャリアの時代が終わりました。今は大学生が就活のタイミングで、キャリアの選択について考える姿が見られますが、今後は、高校生が、大学を選択する前にキャリアの選択について考えることがより重要になってくると思います。その際には、偏差値で大学を選ぶのではなくて、大学の個性、強みを理解した上で大学を選ぶことが大事になります。大学の設定した意欲的な目標を知ることで、大学の個性がとてもよく見えると思いますので、中学生、高校生との対話を充実させていくことについても、ぜひ、御検討いただければと思いました。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございました。レベル感のお話ですけれども、企業においても株主にコミットする、しっかりした、ある意味コミットベースの目標設定というのと、将来にわたるムーンショット的なターゲット、こういったものを、内部的には企業の場合は持っておりますので、大学において、どのように移植していくのか、いかないのかという問題は、1つ考え方としてはあろうかと思います。また、もう一つの高校生等への情報共有の面も1つの視点かと思います。こちらについて、事務局コメントありますか。
【事務局】  御意見ありがとうございます。2件いただいた御意見の中で、言ってしまえば、達成不能な目標値を立てるかどうかという話になりますけれども、現行制度上で申し上げますと、中期目標・中期計画には、そういった目標というのは入っていないというのが、現実でございます。ただ、6年間でなくても将来的にここを目指すという姿については、前文のところで書いている法人というのももちろんございまして、将来的に、20年後、30年後かも分からないし、場合によって非連続的なイノベーションが起きれば来年かもしれない。そういった姿について、法人が目指す形として前文に書いた上で、それを見直す中で、6年間でこれをやっていきますという形の中期目標・中期計画を作るというのが理想的なのかと考えてございます。国立大学法人、これは独立行政法人も同様だと思いますけれども、民間の目標・計画に追いついていない部分というのは多々あるかと思いますので、これは今回、第4期に初めて評価指標というものを義務付けたというのが、僭越ではございますけども、第一歩とお考えいただいて、今後の改善に向けても委員の皆様のお力をお借りしたいと考えてございます。
 また、高校生に対する情報発信、また対話ということでございますけれども、大学生、又は高校生、中学生も国立大学にとっては大きなステークホルダーの1つであるのは間違いないと思ってございます。高校生なりの意見を吸い上げる仕組みなどをもって中期計画に位置付けている法人もございますけれども、それがもっと一般的になって、全ての法人がそういった視点を持てるようにということは、理想としては考えてございますので、今後、法人に対しても促していきたいとは考えてございます。
 以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。それでは、近藤委員、お願いいたします。
【近藤委員】  私はアウトカムに着目した評価指標の設定について、御質問させていただければと思います。先ほど栗原委員から出た質問と関連しているのですけども、アウトカムに着目した場合の、いわゆる結果に波及するということが現段階で予想できないようなことがあるだろうという御発言があったと思います。今、評価指標をっていますのは、現段階で想定可能である評価指標が作られていると思いますけども、想定外の効果というものは、むしろこういうアウトカムのところでは非常に重要なと言いますか、むしろそれをやってほしい。先ほど小林委員からもありましたように、意欲的なというところにつながるような部分も、今、予測できないところの部分に含まれるのではないかと思います。それで、想定外の効果が出るような場合は成果指標みたいな形で、これは計画の変更云々という形で今後議論されると思いますが、今後の議論の中で、そういうイノベーションとかいろいろなものが、ひょっとしたらアウトカムの中で出てくる可能性がございますので、そういう評価指標の追加ということも今後、議論の対象にしていただければと思っております。
 以上です。
【車谷委員長】  事務局、コメントお願いします。
【事務局】  ありがとうございます。今、近藤委員おっしゃっていただいた件でございますけれども、1つは近藤委員おっしゃるように、6年間待たず、中期目標・中期計画を変更して評価指標をさらに追加するというやり方と、あと、実際、6年間経って初めて成果が上がったという想定外の成果というのもあるかと思っています。それを評価の際にどのように考慮するかということも1つの検討材料と考えてございまして、それはワーキンググループで検討いただきたいと思っています。ただ、バランスとして難しいのが、評価指標を曖昧にしておいて、結果的に6年間で得られた成果を自己点検・評価に書けば良いのではと思われるのもおかしいので、評価指標の明確性というところと想定外、若しくはイノベーション的な成果というものの適切な評価というのは、うまくバランスを取っていく必要があるかなと考えております。法人評価のやり方については、来年度以降、また御議論いただけばと思ってございます。
【近藤委員】  どうもありがとうございました。
【車谷委員長】  ありがとうございました。それ以外の委員の皆様、又は2度目、3度目でももちろん構いませんので、御意見、御質問がございましたらよろしくお願いいたします。それでは、山本委員、お願いいたします。
【山本委員】  先ほどから達成度の評価ということで、目標値をどう達成するかという話になっていますが、ただ、目標値を設定して、法人に無理やりやらせるということは、逆に法人を萎縮させてしまうことになるという気はします。むしろ意欲的な目標をつくった場合は、それに向けてどういった取組、あるいはどういった戦略、これをどのように達成するのか、達成したのかと、そちらのほうを重点的に評価していかないと、なかなか意欲的な目標値を設定することにはならないのではないかという気はしています。そのため、評価する場合には、数値を達成したかしないかということよりは、むしろプロセス、どういう取組をしてここまで来たのか、大きい大学もあれば小さい大学もあり、いろいろ個性がありますから、そういう個性に合わせた取組、これがなされたかどうかということも評価していただきたいと思っています。
 以上です。
【車谷委員長】  実態評価、プロセスをしっかり見てほしいという意味の御指摘でございますけれども、事務局、コメントはございますか。
【事務局】  山本委員がおっしゃっていただいた御意見、恐らく長澤委員との御意見とも共通する部分があるかと思ってございます。今回、評価指標の記載を義務付けましたので、評価指標の達成、未達成というものを評価しないということはできないと思いますけれども、それに加え、プロセスをどう評価の中で取り組んでいくかについては検討すべき材料だと思っております。また、繰り返しなりますが、ワーキンググループ、総会の場において、事務局からも案を出させていただいて議論していきたいと考えてございます。
【山本委員】  ありがとうございます。
【車谷委員長】  山本委員ありがとうございました。そのほか御意見、御質問ございますでしょうか。それでは、特段追加の御質問はないようでございますので、ありがとうございました。非常に多岐にわたる御示唆のある質問、又は御提案等を頂戴いたしましたが、中期目標原案につきましては、当委員会といたしまして、各法人から提出いただきました原案のとおり了承するとともに、中期計画案についても認可を行うことが適当でないなど各法人に伝達を要する意見は特段ないということで進めたいと思っております。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、そのように御承知いただいたということで進めてまいりたいと思います。
 本日の議事は、以上となります、ありがとうございました。
 最後に今後の日程等について事務局からの御説明をお願いいたします。
【事務局】  今後のスケジュールでございますけれども、資料1に書かせていただいておりますが、まず、中期目標については、財務大臣との協議を行った上で、その協議が整い次第、各法人に対して中期目標を提示させていただきます。仮に協議の過程で原案に変更が生じるような場合については、委員長にも御相談させていただきながら対応させていただきたいと考えてございます。その後、中期目標を各法人に提示した後に、各法人から正式に中期計画の案というものの認可申請が来ることになります。ただ、中期計画案というのは、今回、御確認、御審議いただいた案が基本となりますので、委員の皆様にはこういった形で改めて集まっていただくというよりは、修正内容、修正ある、なしを見極めた上で、また、委員長とも御相談させていただきながら、会議の持ち方を考えたいと思っておりますが、基本的には書面での審議というものを考えてございます。
 スケジュールについては、以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。この後、特に御議論がなければ、本日が今任期最後の会議形式での総会となるということでございます。皆様の2年間にわたるお時間を頂戴いたしまして、御協力に深く感謝を申し上げます。
 今後、今いろいろ御指摘のございましたように、評価の問題は非常に難しい、特に企業ではありませんので、企業との違い、又は企業の良い面も取り込んでいくという御指摘もございましたが、様々な工夫をして、山本委員もおっしゃるようにより実態に合った、大学がより良くなるような、皆さんが意欲をより出していただけるような体系をぜひ作り込んでいくということが我々の使命なのではないかと思っております。本当にありがとうございました。
 なお、増子高等教育局長から御挨拶があるとのことですので、よろしくお願いいたします。
【事務局】  高等教育局長の増子です。
 委員の皆様におかれましては、御多忙のところ、2年間国立大学法人評価委員会委員として御尽力をいただきまして、誠にありがとうございました。
 委員の皆様には、任期期間中、各年度の年度評価に加えまして、第3期の中期目標期間における4年目終了時評価の実施のほか、第4期中期目標期間に向けた国立大学法人の組織、業務全般の見直し、中期目標・中期計画の策定などについて、非常に精力的に御審議をいただきました。来年度から始まります第4期の中期目標期間に向けまして、これまで委員の皆様からいただきました貴重な御意見、御助言を十分に踏まえながら、高等教育行政を進めてまいりたいと考えております。
 改めまして、委員の皆様方の御尽力に感謝申し上げまして、簡単ですが、私の挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の総会はこれにて終了とさせていただきます。誠に今日はありがとうございました。
 
―― 了 ――
 
 

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