国立大学法人評価委員会(第68回) 議事録

1.日時

令和3年12月1日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省東館15階  15F特別会議室

3.議題

  1. 国立大学法人及び大学共同利用機関法人の令和2年度に係る業務の実績に関する評価並びに指定国立大学法人の令和2年度に係る業務の実績に関する評価について
  2. 第4期中期目標・中期計画について

4.出席者

委員

車谷委員長、小林委員長代理、内部委員、勝委員、栗原委員、近藤委員、鈴木委員、橘・フクシマ委員、棚橋委員、長澤委員、西村委員、深見委員、村田委員、森委員、森山委員、山田委員、山本委員

文部科学省

増子高等教育局長、池田研究振興局長、森田審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当)、坂本審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、堀野国立大学法人支援課長、宇高国立大学戦略室長、江戸国立大学戦略室長補佐、廣国立大学戦略室長補佐、小久保大学研究基盤整備課学術研究調整官 

5.議事録

【車谷委員長】  師走の大変お忙しい中、お集まりいただきまして感謝申し上げます。所定の時間になりましたので、第68回国立大学法人評価委員会総会を開催させていただきます。委員の皆様方におかれては、御出席いただきありがとうございます。
 本日は、ウェブ会議方式にて、1点目は、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の令和2年度に係る業務の実績に関する評価結果、それから、2点目は、指定国立大学法人の令和2年度に係る業務の実績に関する評価結果、それから、もう一つが、第4期の中期目標・中期計画について、御議論いただく予定です。
 なお、本会議は、ウェブにてリアルタイムでの公開としておりますので、併せて御承知おきいただければと思います。
 それでは、事務局から配付させていただいております資料の確認をお願いいたします。
【事務局】  配付資料の確認に先立ちまして、委員の御異動について紹介させていただきます。
 令和3年7月29日付で、帯広畜産大学監事でいらっしゃいます山本眞樹夫委員に御就任いただいております。山本委員、一言お願いできますでしょうか。
【山本委員】  山本眞樹夫でございます。現在、帯広畜産大学の非常勤監事をしてございますが、前職は小樽商科大学の学長でした。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】  ありがとうございます。
 続きまして、前回、6月の総会以降の事務局の異動についても紹介させていただきます。
 高等教育局長として着任いたしました増子でございます。
 また、研究振興局長の池田でございます。
 高等教育局担当の審議官、森田でございます。
 研究振興局及び高等教育政策連携担当の審議官、坂本でございます。
 ここで、事務局を代表いたしまして、増子より一言御挨拶申し上げます。
【事務局】  高等教育局長を拝命しております増子でございます。
 本日は、大変お忙しい中、本委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日の委員会におきましては、各大学の令和2年度の業務実績に関する年度評価と、第4期の中期目標・中期計画の素案について、御審議いただくことになっております。
 平成16年の法人化以降、第1期から第3期にわたる中期目標期間を通じまして、各大学等におきましては、中期目標・中期計画、法人評価の枠組みに基づきまして、多様な教育研究活動に取り組んでいただきまして、大きな成果を得てきたと考えております。国としても、更なる改善に向けていくつかの制度改正を行ってきたところでございます。
 その一環として、本年6月の国立大学法人法の改正によりまして、来年度からは年度評価を行わないことになりますので、今回が評価委員会として行っていただく最後の年度評価となります。また、第4期の中期目標・中期計画につきましては、来年度からの6年間における各大学等の更なる発展の道筋となるものと考えております。
 各大学等が、今後進むべき方向性をしっかりと定める上で、本日の評価委員会は非常に重要な位置付けになるものと考えております。委員の皆様におかれましては、ぜひ活発な御議論をお願いしたいと存じます。
 以上でございます。
【事務局】  続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。配付資料につきましては、議事次第の裏面と申し上げますか、2枚目と申し上げますか、そこに一覧がございます、資料1から資料16と、参考資料1から参考資料5-3を配付してございます。今回、電子媒体にてお送りしている先生が多数でございますので、もし過不足等ございますようでしたら、お申し付けいただければ再度お送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
 この場をお借りいたしまして、今回ウェブ会議ということで、事務局からのお願いを併せてさせていただきます。会議を円滑に行う観点から、繰り返しのお願いでございます。聞き取りやすいようはっきり御発言いただく、また、御発言の都度、御面倒ではございますが、お名前をおっしゃっていただくようお願いします。また、発言時以外はマイクをミュートにしていただく、また、御発言がございます場合には、カメラに映りやすいように挙手をお願いできればと思っております。また、今回、資料が特に大部ということもございまして、資料を参照しての御発言の場合には、資料番号、ページ番号等を分かりやすくお示しいただければ幸いでございます。また、多くの委員に御発言いただく観点から、1回当たりの御発言は端的にお願いできればと考えてございます。何卒よろしくお願いいたします。
 また、最後となりますが、本日の委員の皆様の御出欠についてでございますが、熊平委員から、所用により御欠席との御連絡をいただいております。本日は、17名の委員に御出席いただいており、多くの委員に御出席を賜り、誠にありがとうございます。
 長くなりましたが、事務局から以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に移りたいと思います。
 初めに、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の令和2年度に係る業務の実績に関する評価結果(案)につきまして、御審議を頂戴したいと思います。
 進め方といたしましては、事務局からの御説明の後、それぞれの分科会長から、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の評価結果について、次に、相澤部会長から、指定国立大学法人の評価結果につきまして御説明を頂戴した後に、まとめて、各委員の皆様からの御質問、御意見をいただきたいと、こういう手順で進めたいと思っております。
 それでは、まず事務局から御説明をお願いいたします。
【事務局】  では、事務局から、資料1と資料2-1から2-3に基づきまして、年度評価のこれまでの審議の概況について御説明をさせていただきます。
 まずは、資料2-1と資料2-3を御覧ください。資料2-1が、指定国立大学法人以外の国立大学法人と大学共同利用機関法人の年度評価に係る実施要領、また、資料2-3が、指定国立大学法人の実施要領となります。
 年度評価につきましては、これらの実施要領に基づいて実施することになりますけれども、大まかな流れといたしましては、資料2-1の「2の実施方法」にございますように、法人による自己点検・評価、また、次ページに参りまして、評価委員会による検証、また評定という流れを経て、業務運営の改善及び効率化、財務内容の改善、自己点検・評価及び情報提供、その他の4項目の項目別評価を実施した上で、その結果を踏まえて全体評価を実施するという流れとなります。
 具体的には、各法人の年度計画に記載した取組ごとに、2ページ目の上にございます4段階により自己点検・評価を行った後、評価委員会として、その結果を検証しつつ、取組の中で特筆すべき点、注目すべき点、遅れている点を指摘し、その状況を勘案した上で、先ほど申し上げた4項目ごとに、こちらも2ページ目の下にございます6段階で評定を行っていただくことになります。ここで1点だけ御留意いただきたいのは、この6段階の評定につきましては、2ページ目のウの3つ目のポツにございますように、各法人の中期計画に対するものということもございまして、各法人を相対比較するものではないという形とさせていただいております。
 次に、指定国立大学法人についてでございますけれども、こちらも概ね同様の流れとなります。ただ、指定国立大学法人については、国内の競争環境だけではなく、海外の有力大学と伍する観点から、資料2-3の「1.概要」の2つ目のポツにございますように、法人による自己点検・評価の際に、海外大学との比較・分析を含む点、また、先ほど申し上げた4項目という形ではなく、人材育成・獲得、研究力強化、国際協働、社会との連携、ガバナンスの強化、財務基盤の強化という6つの要素ごとに評価を実施するという点が特徴となります。
 資料1に戻りますけれども、こちらの資料1が、令和2年度の年度評価について、本日に至るまでの審議経過を示したものとなります。このうち、一番左の列にございます国立大学法人については、国立大学法人を規模や特性ごとにAからHまでの8グループに分けた上で、それぞれ原則3名の委員の先生方からなる評価チームにその評価結果の原案の作成を御担当いただくとともに、指定国立大学法人につきましては、相澤部会長に部会長をお務めいただいております指定国立大学法人部会において、評価結果の原案の作成を御担当いただいたところでございます。その後、国立大学法人については、国立大学法人分科会、また、大学共同利用機関法人については、大学共同利用機関法人分科会において、評価結果の原案を取りまとめていただき、その後、これは国立大学法人法独自の仕組みとなりますけれども、各法人に意見申立ての機会を付与してございまして、その上で、本日のこの総会に評価結果の案を付議させていただいたという流れとなってございます。
 簡単ではございますが、審議経過に関する説明は以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 ただいま御説明にあったとおり、本日の国立大学法人及び大学共同利用機関法人の評価結果は、各分科会で取りまとめていただいたというものとなっております。
 それでは、それぞれの分科会長から、これまでの分科会における審議状況についての御報告をお願いすることにしたいと思います。
 まず初めに、国立大学法人につきまして、近藤分科会長からよろしくお願いいたします。
【近藤委員】  それでは、国立大学法人分科会における審議状況について御報告いたします。
 国立大学法人分科会では、7つの指定国立大学を除く国立大学法人79法人の令和2年度に係る業務の実績について、各法人から提出された業務実績報告書を基に、法人の規模ごとに編制した8つの基本チームと、共同利用・共同研究拠点及び附属病院の2つの専門チーム等による審議結果を踏まえ、中期計画の達成に向けた年度計画の実施状況を精査し、資料5のとおり各法人の評価結果(案)を作成しました。資料5は、チームごとに、資料5-1から5-8という形で分けておりますので、御参照ください。
 また、評価チームごとの評価結果の概要として資料4を作成しております。ただ、令和2年度評価結果の全体のまとめとしては資料3を作成しておりますので、本日は、この資料3に基づいて説明をしたいと思います。お手元にこの資料3を御準備いただければと思います。
 資料3は、「国立大学法人等の令和2年度評価結果について(案)」となっております。
 それでは、まず1ページですけれども、「全体評価」について、79法人中79法人が中期計画前文に掲げる「法人の基本的目標」に則して、計画的に取り組んでいると認められます。全体評価では、以上のような結論です。
 それから、2番目の欄であります「項目別評価」については、4つの大項目がございますけれども、「業務運営の改善・効率化」において山梨大学を、「自己点検・評価及び情報発信」において東京芸術大学を「中期計画の達成に向けて特筆すべき進捗状況にある」という、標準の評定よりも2つ上の最高評定としております。下にあります表の一番上の区分、1、1というふうに2つ書いてある点が、それぞれ山梨大学、東京芸術大学に対応するところになります。
 具体的には、5ページを御覧いただければと思います。山梨大学については、設置主体を超えて、山梨県立大学と教育関係事業をはじめ多様な連携事業を展開し、全国初となる「大学等連携推進法人」の認定を受け、教学上の特例措置を活用し多くの連携開設科目を整備した点や、山梨県立大学とのガバナンス連携のための「地域人材養成センター」を新設し、人材養成に関する地域・大学連携の取組を強化している点を評価しております。詳しい部分については、5ページで御覧いただければと思います。
 それから、特筆に関しては、もう1点、東京芸術大学についてですけれども、4ページを御覧いただければと思います。「芸術の新しい場所」として、ICTを活用し、大学の様々な活動や教育研究成果をデジタル空間上で実践・発信するプラットフォーム「東京藝大デジタルツイン」を構築しており、ウィズコロナ・アフターコロナを踏まえた教育研究・学生支援及び社会とのコミュニケーションの場として活用が期待される点を評価しています。詳しくは、そちらにお目を通していただければと思います。
 次に、また1ページの表に戻っていただきますと、2段目になりますけれども、各法人における「注目すべき点」の状況を踏まえた上で、延べ12法人を「中期計画の達成に向けて順調に進んでおり一定の注目事項がある」という、標準の評定より1つ上の評定としています。
 令和2年度評価結果の「特筆すべき点」「注目すべき点」の特徴としては、3ページを御覧いただければと思いますけれども、5つの取組を多く取り上げております。「ダイバーシティの推進」「外部資金獲得の拡大」「他機関との連携強化」「施設の整備、有効活用」「情報発信の強化」などの取組を多く取り上げております。
 少し飛びますが、次に、「遅れている点」について、17ページを御覧いただければと思います。まず、入試判定における不正行為があった横浜国立大学は、「その他業務運営」において、「中期計画の達成に向けておおむね順調に進んでいる」という、標準の評定より1つ下の評定としております。また、附属病院における不正事案があった三重大学は、教授以下3名の教員が関連する重大事項であることを考慮し、「業務運営の改善及び効率化」において、「中期計画の達成のためには遅れている」という、標準よりも2つ評定を下げることといたしました。ただし、三重大学については、一定の注目事項があることから、最終的な評定は、「中期計画の達成に向けておおむね順調に進んでいる」となっております。
 その他、一番下の欄になりますけれども、旭川医科大学については、学長が職務を遂行できない状況により、国立大学法人制度の求める運営体制となっていない点に鑑み、全体評価において、「強い懸念」という形で示しております。
 このほか、令和2年度は、各法人において新型コロナウイルス感染症への対応として、学生に対する大学独自の支援や、学びの継続のための環境整備、感染症拡大防止のための研究など、様々な取組が行われております。一例ではありますが、18ページ以降に、これらの対応について紹介しております。18ページをお開きいただきますと、福島大学、筑波大学における、学生に対する食料支援や資金の援助等、19ページには、コロナ禍における附属病院の取組について取り上げております。19ページ下ですけれども、千葉大学ではコロナワクチンセンターの設置、20ページには東京医科歯科大学における人材養成等も含めた対応がなされていること、21ページには、滋賀医科大学でワクチンや治療薬の開発等の研究が進められていること。それから、御存じのとおり、神戸大学、豊橋技術科学大学、京都工芸繊維大学等では、スーパーコンピュータの「富岳」を使った研究等もなされておるということで、非常に積極的な対応がなされているということになります。
 私からの報告は以上となります。よろしくお願いします。
【車谷委員長】  近藤分科会長、ありがとうございました。
 続きまして、大学共同利用機関法人につきまして、小林分科会長から御説明をお願いいたします。
【小林委員長代理】  大学共同利用機関法人分科会の令和2年度評価結果については、ただいま御説明いただいた資料3の1ページの下のところの表に含まれておりますが、詳しくは、資料4の37ページを御覧いただければと思います。
 業務運営・財務内容等の項目別評価については、自然科学研究機構においては「財務内容の改善」を、高エネルギー加速器研究機構においては「業務運営の改善及び効率化」を「一定の注目事項がある」としました。また、人間文化研究機構においては「財務内容の改善」を、「おおむね順調」としました。各法人のそれ以外の項目については、いずれも「順調」となっております。詳しいことは、資料5-9にございます。
 それから、資料3に戻りまして、10ページを御覧いただきたいと思います。業務運営の特徴的な取組としましては、自然科学研究機構の「自己点検・評価及び情報提供」において、国立天文台がポータルサイトを構築して、動画等による天文学に親しむ機会の提供や高校生向けのオンライン授業を実施していること。また、基礎生物学研究所が、民間企業と共同で生き物の発生のインターネット中継を「メダカ」及び「プラナリア」の題材で実施していること。これはアクセスがそれぞれ40万件及び70万件で、収益にもつながっております。そういうことを注目すべき点として取り上げております。
 資料3の14ページを御覧いただきたいと思います。研究面では、高エネルギー加速器研究機構におけるSuperKEKB加速器において、ビームサイズを絞ることに成功して、世界最高ルミノシティ(衝突性能)を、KEKBの半分の電流で達成していることをはじめ、多くの優れた研究成果を注目すべき点として取り上げております。
 21ページを御覧ください。このほか、新型コロナウイルス感染症への研究面での取組において、情報・システム研究機構では、国立情報学研究所が、名古屋大学等と共同で、新型コロナウイルス肺炎のAI解析用プラットフォームを開発していることを注目すべき点として取り上げております。
 一方、遅れている点では、17ページを御覧いただきたいと思います。人間文化研究機構においては、自己収入の確保に向けた取組に関する課題として、受託研究や共同研究の収入が著しく減少しております。そのことをもって直ちに評価を下げているわけではなくて、そのことに対して、法人としてどのような改善方策に取り組んでいるかをヒアリングした結果、その取組が十分ではないことから、「遅れている」としております。また、情報・システム研究機構の国立極地研究所において、南極地域観測隊の医療用麻酔薬の管理義務違反が発生しております。さらに、法人としても研究所としても管理体制が十分ではないという点において、課題事項として取り上げております。
 各法人では、共同利用・共同研究の質的向上、異分野融合・新分野創成を目指す取組などを積極的に進めております。機構本部としても各機関の事案に対して積極的に関与することで、今後、法人全体の運営がより一層着実に行われていくことを期待しております。
 なお、4法人いずれも、評価結果(原案)に対する意見申立てはございませんでした。
 以上です。
【車谷委員長】  小林分科会長、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、指定国立大学法人の評価結果につきまして、相澤部会長からよろしくお願いいたします。
【相澤部会長】  指定国立大学法人評価について御報告させていただきます。
 指定国立大学法人は、国内の競争環境の枠組みから出て、国際的な競争環境の中で、世界の有力大学と伍していくことが求められ、社会や経済の発展に貢献する取組の具体的成果を積極的に発信し、国立大学改革の推進役としての役割を果たすことが期待されております。このことを踏まえまして、指定国立大学法人部会としましては、資料6のとおり評価の視点をまとめております。特に重視した観点は、各法人が国際ベンチマークとしている指標や海外有力大学の目標・取組との比較がなされているかであり、その実施状況を確認いたしました。また、特に優れた取組については、更なる水準の向上に向けた改善を促す観点から、全体評価にその取組を具体的に明記し、積極的に評価することといたしました。
 それでは、資料7の評価結果概要を御覧いただけますでしょうか。
 指定国立大学法人は、それぞれの要素(人材育成・獲得、研究力強化、国際協働、社会との連携、ガバナンスの強化、財務基盤の強化)において、国際ベンチマークを参考とした取組を実施していることが確認できましたので、それらの取組や活用状況を総合的に勘案した結果を評定として記載しております。総括いたしますと、全7法人が、各要素において、構想の達成に向けて順調に進捗していると認められました。
 資料7のページをめくっていただくと、各大学について1ページを割いて特筆すべきことをまとめております。初めに東北大学、次に東京大学、東京工業大学、一橋大学、そして、その次に名古屋大学、京都大学、大阪大学であります。以上で7つの指定国立大学法人であります。説明を割愛させていただきましたが、この内容を御覧いただければと存じます。
 なお、一橋大学においては、資料7の評価結果概要ではなく、資料8が別にございますが、資料8の中の個別評価で記載しております。そこに、指定国立大学法人の指定に係る申請要件を満たしていない状況にあることから、その要因を分析した上で、構想に掲げる取組をはじめとして、全学的な取組を戦略的に展開し、申請要件として求められる水準にとどまらず、世界最高水準の卓越した教育研究活動を展開する国際的な拠点として飛躍していくことを強く求めております。
 今後、指定国立大学法人部会といたしましては、指定国立大学法人制度の趣旨を踏まえたより良い評価の在り方について、引き続き検討してまいりたいと考えております。
 以上、指定国立大学法人の評価結果について御報告させていただきました。
【車谷委員長】  相澤部会長、ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、事務局から、この評価結果(原案)に対する意見の申立てへの対応について御説明をお願いいたします。
【事務局】  先ほど小林分科会長から大学共同利用機関法人について御説明いただきましたけれども、指定国立大学法人を含む国立大学法人につきましても、今回、各法人からの意見申立てはございませんでした。
 説明は以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、全体の説明を終了させていただきまして、御意見、御質問の時間にしたいと思います。どなたからでも結構でございますので、挙手、お名前を言っていただいて、お願いいたします。
 フクシマ委員。
【フクシマ委員】  2点あります。まず1点目ですが、大綱は、SDGsという言葉が、大学共同利用機関法人においても国立大学法人においてもそれぞれ出てきますが、それ以外のところで一切SDGsに関わる記述がありません。ところが、先ほど御説明いただいた資料3の中の成果のところに出てくるのは、全部SDGsにつながっています。したがって、大学は「社会との共創」という大切な目的を持っていると思いますが、文部科学省では、教育機関としての社会との共創の中で、こういった活動をSDGsの概念で整理をしてみるというようなことをなさっているのかどうかというのが1つ目の質問です。なぜかと言いますと、企業では、今、全てSDGs経営で、現在の事業活動がどれだけSDGsに貢献できるかという観点から整理をしていますので、せっかく社会との共創という概念で、大学がそういった社会の課題解決にどう貢献できるかと考えたときに、こういう評価の中に、SDGsという概念でまとめてみたら、少し違うものが見えてくるのではないかと思ったのが1つです。具体的に資料の中では、参考資料4-1の中期目標大綱の2ページに少しSDGsが出てくるのと、大学共同利用機関法人の方ですと、参考資料5-1の2ページにもSDGsという言葉が出てきますが、それ以外はほとんどSDGsという言葉が出てきていません。 今、世界的にSDGsを重要視する方向に動いていますし、若い人たち、特に大学生の中には、大変意識の高い学生もいます。つまり、「SDGsに向けての活動として勉学を捉える」という方向性が出てきていますので、その点を文部科学省で御検討になられているかというのが1点目の質問です。
 2点目は、全体的に横串を通す活動が少ないという印象です。これは産学連携、グローバル連携というところで、「横串を通す」ということが、連合体が検討されているというのは書かれていますけれども、以前連合体のアイデアが出てから、どう進展しているのか、一度御説明をいただいたのですが、なかなか見えてきません。当然、今後は分野が交錯してきますので、異分野との連携、それから、グローバルへの連携、そして、産学連携ということが大変重要になると思います。好事例としては、資料7の7ページで、「京大モデル」というのが出てきました。これはバリューチェーンの展開で、バリューチェーンで捉えて、全体の活動もつなげていくという非常によい「横串」のアイデアだなと思います。ある意味でのベンチマークになると思うのですが、このようなモデルの展開ということもできるのではないかと思います。そうした横串のネットワーク、これからのオープンイノベーションに向けてのつながりのあり方は、文部科学省の方でも御検討になっていると思いますが、その点について、聞かせていただければと思います。その2点です。
【車谷委員長】  フクシマ委員、ありがとうございました。
 これは文部科学省に対する御質問と受け止めましたので、事務局でお答えになりますか。
【事務局】  まず概括的な御説明をさせていただきます。その後に、フクシマ委員から連合体の話がございましたので、こちらについてお答えさせていただきます。
 まず、SDGsの観点で教育研究活動というものを文部科学省として整理しているかという点でございますけれども、この法人評価においては、どうしても各法人の中期目標・中期計画の達成状況を評価するという仕組みということもございまして、なかなかSDGsという観点でこの評価結果をまとめていないというのが現状ではございます。ただ、個々の法人の活動について申し上げますと、SDGsに着目した各法人の取組ということを、この年度評価もそうですし、6月に取りまとめていただきました4年目終了時評価においても、各大学におけるSDGsの達成に向けた取組ということは高く評価しております。そういったことは、こういった概要資料でも御説明をさせていただいているというのが現状でございます。
【フクシマ委員】  分かりました。そうすると、ここにあるいろいろな活動で、注目すべき点というのは全部SDGsにつながっているかと思いますけれども、そのあたりは、今後もそのフレームワークで整理する御予定はないということですね。
【事務局】  そちらにつきましては、年度評価は今回最後になり、第4期以降の評価の在り方というのは、今後、この評価委員会において御審議を賜ることになってございます。その中で、どういった形で取りまとめていくのかといったことについて、委員の先生方の御意見を踏まえながら、文部科学省としても考えていきたいと考えてございます。
【フクシマ委員】  分かりました。ありがとうございます。
【事務局】  あと、横串の観点が少ないという点につきましては、一応ではございますが、資料3の3ページ目のところで、他機関との連携強化に向けた取組という形で、そこには4つの取組を掲げてございますけれども、それ以外も含めまして、年度評価においては、25法人におけるこういった連携強化に向けた取組を一応取り上げさせてはいただいているという状況でございます。
【フクシマ委員】  なるほど。そうすると、連合体は進んでいるのでしょうか。
【事務局】  連合体に関しましては、大学共同利用機関法人の4機構と総合研究大学院大学で、運営面、あとは研究面でどういった連携ができるかというのも現在検討していただいておりまして、具体的な検討内容に関しましては、年明けに研究環境基盤部会で改めて御説明させていただきたいと考えております。具体的な対応に関しましては、現在、各機構で連携してやっている取組に加えまして、新たな形でどういったことができるかという具体的な検討は進められている、そういった状況でございます。
【フクシマ委員】  分かりました。ありがとうございます。ぜひしっかり御検討いただければと思います。これから連携ということが重要になってくるかと思います。民間では、業種間の差もなくなりつつあり、異業種との連携が重要になっていますので、それに伴って、大学での研究も分野間を超えて連係することが重要な位置付けになると思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。ありがとうございました。
【車谷委員長】  フクシマ委員、大変有意義な御指摘を頂戴いたしまして、ありがとうございました。
 それでは、それ以外の委員の先生方から、いかがでございましょうか。
 勝委員、お願いいたします。
【勝委員】  資料3の17ページで、遅れている点というところの中に、会計検査院による指摘というのがあって、ほかの遅れている点というのは、例えば、不正行為であるとか、個人に帰するような部分も含まれていると思いますけれども、この場合の深刻度といいますか、具体的にどういったものなのか、あるいは、組織として何か問題があるのか。この辺は、やはりガバナンス上もチェックしていかなくてはいけないと思ったので、質問させていただきました。
 以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 今、研究不正等、不正事案は結構ございますけれども、特に三重大学とかの件についての御質問ということでしょうか。
【勝委員】  会計検査院の指摘というのが佐賀大学にあるので、これはどういったものなのか。ほかとの部分として、やはり制度あるいは組織としての対応というのがここでは問われると思うので、ここで深刻度というのは少し違うのかなと思ったので、質問した次第です。
【車谷委員長】  これは事務局からお答えしましょうか。
【事務局】  まず、事務局から事案の概要を御説明させていただいた上で、もし補足等ございましたら、Hチームの主査でございます山本先生から補足いただければと思っております。
 佐賀大学の件でございますけれども、会計検査院から指摘があったことについては、複数の大学と共同して、医療情報支援を行うことを目的とした審査医療システムについて、医療データを取り込むために必要なマッピング作業の具体的な実施方法とか、大学ごとの役割分担等について、十分に合意形成が図られていなかったことによって、そのシステムが未利用な状況にあったということで、会計検査院から指摘があったというものでございます。そういった事案もあった状況でございますけれども、評価チーム及び分科会で原案を作成する際に、事案があったことは事実ですが、会計検査院なり、ほかのものもそうですけれども、事案があったそれ自体によって評定を下げるのではなく、その事案の大きさ、また法人としての責任の重さ、また今後の対応方策等々について、各法人からの説明を踏まえた上で、評定を下げる、若しくは下げずに課題を付す、若しくは課題としても付さないという、いろいろな形がございますので、そういった中で、課題としては付すべきだという議論があって、今、評定を下げない形で課題事項となっているという状況でございます。
【勝委員】  分かりました。ありがとうございます。
【車谷委員長】  それでは、長澤委員、お願いいたします。
【長澤委員】  私はFチーム担当ですが、今の資料3の遅れている点という17ページの一番下に、旭川医科大学についての記載があります。まだ結論は出ていない段階なので、Fチームとしては、全体評価の中で強い懸念ということで記載させていただきましたけれども、次年度については、多分結果が出ているので、何かしらの評定が出るのかなというように考えていたのですが、令和3年度の評価というのはどこでもされないのでしょうか。あるいは、学長のリーダーシップというこの懸念については、どこでまた指摘されるのか、されないのか、それをお聞きしたいと思います。
 以上です。
【車谷委員長】  年度評価が今年で一旦は最後ということでございますけれども、これについては、テクニカルな話でもあるので、事務局お願いいたします。
【事務局】  では、事務局から御説明させていただきます。
 年度評価は、今回が最後となります。ただ、来年度につきましては、第3期の中期目標期間6年間を通した中期目標期間評価もございますので、その中では当然令和2年度、令和3年度における状況というのも併せて評価いただけることになりますので、その中で、この旭川医科大学の件も含めて評価いただくという形になると考えてございます。
【長澤委員】  そうすると、3期の全体評価として、非常に重い評価になると思いますけれども、そういう考えでよいということですね。
【事務局】  事案の内容について、また評価チームの中で御審議いただく話かとは思いますけれども、今年6月に取りまとめていただいた4年目終了時評価においても、同様の事案で、重大な改善事項を付した法人というのはございます。
【長澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
【車谷委員長】  それでは、栗原委員、お願いいたします。
【栗原委員】  1点、細かいところですが、指定国立大学法人の一橋大学で、先ほどお話の中で、指定国立大学法人の指定に係る申請要件を満たしていないというお話がありました。そこに対して、その水準にとどまらず飛躍していただくことを強く求めるというような、そういった記述になっているのですけれども、ここでおっしゃられようとしている趣旨の確認です。指定に係る申請要件というのは、まずは満たすということが重要といいますか、必須であって、そこを可及的速やかにその水準を満たしていただくとともに、それにとどまらず更なる飛躍というのを求めるという理解でよろしいでしょうか。まずは申請要件を充足するという重要な点を可及的速やかに対応いただくということで、大学にも認識いただいた方がよいのではないかと思います。
なお、先ほどのお話の中で、より良い評価の在り方について検討されるということでしたので、その中に申請要件が入るのかどうか分かりませんけれども、申請要件としての水準自体の見直しが必要であるとか、あるいは、大学によっては、柔軟化もあるということなのであれば、それはそれで、是非議論していただいて、かつ、それを各大学にも周知していただき、皆さんが共有するルールで運営していただきたいと思います。いかがでしょうか。
【車谷委員長】  ありがとうございます。一橋大学の要件を満たしていない状態ということについての御懸念ということかと思います。これについては、かなりテクニカルな要件もございます。研究費であるとか、科研費であるとか、研究論文であるとか、10位以内であるとか、様々な要件がございますので、これは、まずは相澤部会長から御説明していただきましょうか。
【相澤部会長】  ただいまの御指摘、ごもっともなことと承りました。
 ただいまの視点は指定国立大学法人部会でも議論されておりまして、基本的には、今御指摘の方向性を認識しております。むしろ具体的な対応として申し上げておきたいことは、ここで、この期における指定国立大学の指定が全部終わりまして、次の年には新たな整理になるわけですので、今年度中に全指定国立大学を、制度の見直しも含めて、全体的な見返りをしたいと思っておりまして、既に日程調整も済みまして、来年の1月に各指定国立大学法人とのかなり時間をかけた深いディスカッションをしていくところでございます。そのときに、先ほどの御指摘にありましたように、場合によっては、要件についても、これで果たしてよいのかどうかというようなことと、それから、一橋大学においては、1つの特殊性がありまして、ほかの大学と比べまして、規模の問題と、それから、社会科学系、人文科学系、こういうようなところが中心になっているところなので、一律な評価基準というのがなかなか難しいところというのもございます。そういうことを含めて、現在の状況については、これはいずれにしても非常に厳しい状況ですので、一橋大学には、大変厳しい警告という形で既に出しております。ただ、この評価のまとめのところにおいては、このような表現とさせていただきまして、栗原委員の御指摘のとおりのことを指定国立大学法人部会としてもさせていただいていると御理解いただければと思います。
【車谷委員長】  栗原委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【栗原委員】  ありがとうございます。そこの趣旨が大学にも伝わるようにと思います。
 
【車谷委員長】  委員長としても、この点は気にはなっておりますが、今、相澤部会長の御説明あったように、若干、一橋大学の特殊性等もございまして、こちらのほうは指定国立大学法人部会でじっくり吟味をしていただくという理解でございます。よろしくお願いいたします。
 それ以外の御指摘ございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、いろいろ御指摘、御意見も頂戴いたしましたが、指定国立大学法人を含めまして、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の令和2年度に係る業務の実績に関する評価結果、こちらにつきましては、原案のとおり決定するということにしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、御賛同を頂戴できたというように認めますので、そのようにしたいと思います。
 また、評価結果の公表に際しましては、従来どおり、評価委員会の所見を出してはどうかと考えておりまして、資料9をお手元に配付しておりますけれども、この文書につきましては、委員長である私の職権によって作成したものでございます。事前に委員の皆様には事務局から送付されて、御高覧いただいているかと思います。文書の内容につきまして、追加の可否とか、お気付きの点があれば、御意見を頂戴できればと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、この原案に沿いまして公表させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議事に移らせていただきたいと思います。
 第4期の中期目標・中期計画につきまして、御審議いただきたいと思います。
 中期目標・中期計画の素案につきましては、国立大学法人、大学共同利用機関法人の各分科会の下に設置されたワーキンググループにおきまして御審議いただきましたので、事務局から素案の概況についての説明をいたした後に、それぞれのワーキンググループの座長から、これまでの審議状況について御報告をお願いしたいと思います。
 それでは、まず事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【事務局】  それでは、資料11と資料14を御覧ください。
 資料11と14につきましては、国立大学法人、大学共同利用機関法人から提出があった中期目標・中期計画の素案の概況について御説明する資料でございます。素案の本体につきましては資料10、また、大学共同利用機関法人については資料13で、全体版もお送りさせていただいております。
 資料11に基づいて御説明しますけれども、資料11につきましては、第3期、今の中期目標・中期計画の項目数の比較でございますけれども、第4期の素案の段階において、各法人、また全体の平均として、中期目標・中期計画の項目数がどれぐらいになっているかをお示しする資料でございます。
 第4期の素案、今回お出しいただいたものについて言うと、これは国立大学法人の平均でございますけれども、中期目標で15項目、中期計画で28項目という状況となってございます。また、今回法改正が行われた結果、中期計画ごとに評価指標の設定を義務付けることになってございまして、評価指標の数を、第4期素案、その下の欄にございますけれども、そこの参考のところで、法人ごとに評価指標の数も記載させてございます。
 資料11の2ページ目でございます。こちらと資料14の1ページ目、2ページ目が対応する関係になってございますけれども、今回、6月の総会において、組織及び業務の見直し、また、中期目標大綱について御審議を賜りました。その結果を受けて、7月に、各法人に対して、組織及び業務の見直し、中期目標大綱を示させていただきました。それを踏まえた上で、中期目標・中期計画の素案を今回お出しいただいたのでございますけれども、中期目標大綱のどの項目を踏まえて中期目標を作成したのかを、各法人に示したのがその資料でございます。
 国立大学法人については、中期目標大綱に示した項目は25項目、また、大学共同利用機関法人について申し上げると、22項目ございます。
 この表の見方でございますけれども、国立大学法人の資料については、丸の欄に色が塗ってあるところと塗っていないところがあると思います。その色が塗ってある項目については、中期目標大綱の記載を、各法人の特色なりを踏まえた上で、修正して中期目標を作成した項目を指してございます。また、一番右に独自目標という列があると思いますけれども、ここについては、中期目標大綱の項目にとらわれず、各法人独自の目標を立てた法人について、その数を示させていただいてございます。今回、国立大学法人分について申し上げますと、計25項目示したわけでございますけれども、その選び方というのは、各法人様々でございまして、1から25項目ある中で、完全に選び方が一致した法人というのは、この素案の段階においてはないという状況となってございます。
 資料11の3ページ目以降、また、資料14で申し上げても3ページ目以降になりますが、中期目標大綱の項目ごとに、どういった中期計画が素案として作成されたかということを、例示として示させていただいております。この例示という趣旨についてでございますけれども、この中期計画の書いてある内容について、やろうとしていること、手段や方策が明確になっているか、また、その評価指標、達成水準又は目標値ということになりますけれども、それが明確になっているかという観点でピックアップしてございます。ですので、ここに掲げられている中期計画の計画本文もそうですし、評価指標もそうでございますけれども、これが全て理想的なものというわけではございません。明確性の観点でピックアップしたものと御理解ください。
 国立大学法人については、先ほど独自目標という話を差し上げましたけれども、資料11で申し上げますと、18ページ、19ページに、独自目標の例として、筑波大学と豊橋技術科学大学の例を挙げております。独自目標については、各法人の独自性、強み、特色、そういったものが表れて、第4期にその法人がどういった方向に進もうとしているのかということを端的に表したものになっているのかなという認識でございます。
 同じような資料として、資料14の3ページ目以降で、大学共同利用機関法人につきましても、各中期目標大綱の項目ごとに幾つか中期計画をピックアップしてございますので、御覧いただければと思ってございます。
 これらを踏まえた上で、両ワーキンググループにおいて御審議いただいた結果を、座長であるお二人の先生方に御説明賜りたいと思ってございます。
 事務局からは以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、国立大学法人の中期目標・中期計画の素案の審議状況につきまして、森座長から御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【森委員】  それでは、資料12に基づきまして御説明申し上げたいと思います。
 このたび、国立大学法人の第4期中期目標・中期計画及び評価等に関するワーキンググループにおきましては、各国立大学法人の中期目標及び中期計画の素案について審議を行いました。その結果につきまして、この資料12、国立大学法人の中期目標・中期計画の素案についての意見案として取りまとめたものでございます。
 1ページの一番上の段落、序文になるわけですけれども、当ワーキンググループとしましては、国立大学法人を取り巻く状況認識などについてお示ししています。これまでも、有意義な人材の育成や研究を通じた知の創出によって、様々な社会課題の解決に寄与してきた国立大学法人に対する社会の期待は、大きな時代の転換点にある今、これまで以上に高まっております。
 また、国立大学法人の中期目標及び中期計画の基本的な性格として、6年間において各法人が目指す方向性を社会に対して示すものであることを確認的に述べたものでございます。
 次に、1ポツの「全体所見」についてでございます。中期目標及び中期計画の策定については、この第4期から手順が少し変わることになりまして、中期目標については、国が示した国立大学法人中期目標大綱から、各法人が自らのミッションとする項目を選択して、先ほど事務局から御説明ありましたが、大綱の25項目から各法人が項目を選択して中期目標に位置付ける形となっております。
 また、本年の通常国会において国立大学法人法が改正され、中期計画の達成状況を可視化し、適正な業務運営を担保する観点から、先ほど御説明にありました「評価指標」を中期計画に記載することとなりました。このような作成プロセスの変更がある中で、第4期中期目標及び中期計画の素案には、全体として各法人の個性が色濃く表れ、それぞれが目指す機能強化の方向性が示されていることが、確かに伺えたところであります。その上で、各法人が、自律的な経営体として発展を続けながら、持てる可能性を最大限に発揮し、社会変革を先導していくことへの期待を述べております。
 一方、ワーキンググループでの審議においては、中期目標及び中期計画の素案の完成度等について、現状では各法人間で差があるとの意見がありました。引き続き検討を要すると考えられる記載については、各法人に対して個別に再度改善に向けた検討を求めたいとしております。
 2ページ目を御覧ください。2ポツの「今後に向けて」についてです。まず、(1)の「中期目標及び中期計画の素案の記述について」です。今回、各法人の中期目標及び中期計画の素案については、本年6月に国立大学法人評価委員会において取りまとめられた「国立大学法人の中期目標・中期計画の素案の審議方針・体制について」の文書に示す考え方を基本としまして、確認・審議を行いました。その結果、中期目標として示すこと、又は中期計画として認可することが適当ではないと考えられる記述は認められませんでした。
 一方で、ページの中ほどに少し小さい文字で例とともにお示ししていますが、中期計画の素案の本文において、目標を具体的に実現するための手段が十分に明示されているとは言いがたいもの、評価指標において、達成水準が抽象的な語句で表現され、中期計画の達成状況を十分に検証することができるとは言いがたいものなど、「審議方針・体制について」の文書に示された観点を十分に満たしているとは言いがたい記載が見られました。このような記載につきましては、より適切な記載とすべく、修正を検討すべきであるといたしました。
 ページの中ほど以降には、このほか、評価指標の設定に当たって留意することが必要な点をお示しし、全ての法人において、評価指標の記載を今一度確認・点検し、必要に応じた改善を検討することが望ましい旨を述べさせていただいております。
 具体的な留意点の1点目として、各法人の一層の努力を促す観点から、実現可能性のみを考慮することなく意欲的・挑戦的な達成水準の設定を検討することなどについて、2点目としては、取組の成果を確認することが重要であることから、アウトカムに着目した評価指標の設定を検討することについて、3点目として、冗長な印象を与える記載は可能な限り簡略化を図ることについて示しております。
 3ページ目を御覧ください。ワーキンググループでの審議においては、第4期中期目標期間中は年度評価が行われないこととなったこともありまして、特に自己点検・評価等に関する取組を中期目標・中期計画に適切に位置付けた上で、着実に実施することについて強調すべきとの意見も複数ありました。
 このことも踏まえ、(2)の「自己点検・評価等について」として、国立大学法人が説明責任を十分に果たし、国民や社会の理解と信頼を獲得していく必要性を述べた上で、自己点検・評価等の実施に当たっては、評価指標も活用しつつ進捗状況の確認や振り返りを行うとともに、その結果等の積極的な情報発信や、ステークホルダーとの双方向の対話、法人経営への活用等の取組が期待されるとしております。
 当ワーキンググループとしての取りまとめた意見等の案の御説明は以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 続きまして、大学共同利用機関法人の中期目標・中期計画の素案の審議状況につきまして、小林座長から御説明をお願いいたします。
【小林委員長代理】  
 資料15を御覧いただきたいと思います。大学共同利用機関法人については、分科会の下に別途ワーキンググループを設置して、各法人から提出された中期目標・中期計画の素案について、これまで幾度もワーキンググループを開催して議論をしてきました。その結果を意見として取りまとめましたので、御報告いたします。
 まず1ポツ、「確認結果の概要」について御説明いたします。当ワーキンググループでは、各法人の素案を確認した結果、各法人において、特定の研究分野の中核拠点としての各大学共同利用機関の活動状況を踏まえて、更なる研究力の強化や共同利用・共同研究機能の向上を目指して、第4期の中期目標・中期計画が検討されていることは確認できましたが、その一方で、各法人の強みや特色、目指すべき達成水準の明示が具体的ではなく、かつ、十分にチャレンジングとは言えない部分も見受けられたのも事実でございます。このため、ワーキンググループのたびに事務局を通して、各法人に対して修正・改善を求めてまいりました。
 大学共同利用機関法人が我が国の学術研究を先導して研究力の強化を担う組織として、これまで以上に高いチャレンジングな目標を掲げ、それに向けて発展していくためには、機能強化の方向性を明確にして充実した中期目標・中期計画とする必要があります。したがって、各法人においては、今後の中期目標・中期計画の策定に向けて、改めて記載内容、評価指標について全体的に確認を行い、不十分な点については、さらに改善・見直しを検討していただきたいと考えております。
 その上で、2ポツ、「今後の検討内容」で、各法人に求める主な検討内容について、次のようにまとめております。
 まず、第3期中期目標期間の活動状況や成果、国際的な研究動向を踏まえて、より高みを目指す達成水準、評価指標となっているかを確認すること。
 また、達成状況を事後的に適切に検証できるようにするために、アウトプット指標にとどまらず、アウトカム指標の設定を検討すること。
 さらに、定性的な評価指標については、可能な限り目指すべき達成状況、それに至るプロセス、達成時期を明確にすること。
 また、研究計画や実施内容を詳細に説明して、やや冗長になっている記載については、できるだけ簡略化すること。
 そして、自己点検・評価、情報発信等については、実施頻度・体制・方法等を含めて、より具体的な計画、かつ達成状況が確認できる内容となるよう検討することを求めております。
 各法人が当意見を踏まえて、全体的な中期目標・中期計画の更なる改善・見直しを進め、各法人が目指す方向性をより明確にすることによって、第4期中期目標期間において、大学共同利用機関法人が、国立大学法人とともにこれまで以上に発展していくことを期待しております。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問ありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
 内部委員、よろしくお願いします。
【内部委員】  
 少し気になった点がありまして、資料11の23ページと資料14の19ページですけれども、両方ともデジタル・キャンパス、デジタル化を推進するという趣旨のことが書かれておりまして、それは本当にそのとおりなので、ぜひ進めていただきたいと考えております。ただ、せっかくデジタル庁が発足しましたので、デジタル庁の動向をきちんと踏まえてデジタル化の推進をしていただきたい。また、デジタル庁の方針が国立大学法人や大学共同利用機関法人と少し合わないなと思ったときは、ぜひ、そこも双方向でやり取りをして、より良いデジタル化を推進していただきたいと考えております。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 事務局コメントはございますか。
【事務局】  御意見ありがとうございます。
 この中期目標大綱、国立大学法人と大学共同利用機関法人ともにでございますけれども、デジタル庁という文言はございませんが、政府のデジタル化の司令塔としてデジタル庁が発足したということでございますので、その方針なりは文部科学省でもしっかりチェックしながら、各法人と文部科学省の間で対話しながら、中期目標・中期計画を具体化していきたい。それは各取組においてもそうでございますけれども、きちんとした対話の下、デジタル化の推進を図ってまいりたいと考えてございます。
【車谷委員長】  よろしくお願いいたします。内部委員、それでよろしいでしょうか。
【内部委員】  ありがとうございます。
 決して言いなりになるばかりではなくて、言うべきところは言うというところをきちっとやっていただきたいと希望しております。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、それ以外の委員の先生方からの御意見を頂戴したいと思います。
 それでは、鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】  今作っている中期計画の素案とは少し違いますが、先ほどの前の段階で、遅れている点というところで、いろいろな不正が指摘されていると思います。こういった不正というのは、今後6年間チェックがないということは、正直言って、野放し状態になり得る可能性があるような気がします。例えば、今年このチェックを受けた大学は、きちんとできましたという報告をまず文部科学省に行う義務があるのかどうか、その点を教えていただきたいのと、今回作る素案についても、こういったところの観点をきちんと中に組み込んでいるかどうかというようなところのチェックは行われているのかどうか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
【車谷委員長】  今日こういう御意見をいただいたものは、今後、文部科学省のホームページに掲載し、各法人にも分かるように通知するということですので、非常に有意義な御意見だと思います。文部科学省の方では、今、その点についてどういうスタンスかというのをお答えいただければと思います。
【事務局】  今回、年度評価、また、その年度評価だけではなくて、中期目標期間評価についてもそうでございますけれども、国立大学法人、大学共同利用機関法人で事件・事故があった場合については、その法人の責任なりも勘案した上で評価をしていただいているのが現状でございます。ただ、来年度以降、年度評価がなくなる中で、それがどうなるのかという話でございますけれども、まず、事件・事故があった場合については、それは法人評価どうこうではなくて、そういう事件・事故、個別事案ごとの対応というのは、引き続き文部科学省の方でさせていただくことになると考えております。その事件・事故を踏まえた上で、事後的な対応がどうだったのか、その事案自体もそうですが、かつ、その事案が起こって以降、同じような事案が起こっていないかなど、そういった観点においては、引き続き法人評価の際も取り上げていくことになると思っておりますが、個別事案ごとについては、それはこれまでもそうですけれども、文部科学省で個々の対応というのはさせていただくという流れと考えてございます。
 その上でございますけれども、今回、資料11では取り上げてございませんけれども、全ての法人、それは国立大学法人と大学共同利用機関法人ともにでございますけれども、中期計画の目標に対応する部分ではなくて、中期目標というのは国から示すわけでございますけれども、国から示してやるという趣旨ではなく、各法人が法人として当然やるべきことという趣旨で、コンプライアンスに関する事項というのは、全ての法人について中期計画に書くということになってございます。それに基づいた上で、各法人、もちろん事前対応ということもありますし、もし起こってしまった場合については事後的な対応、更なる再発防止策といったものも、中期計画に基づいてなされていくものと理解してございます。
【車谷委員長】  鈴木委員、いかがでございましょうか。
【鈴木委員】  一部、承知しました。
 ただ、起こってしまってから対応するのではなくて、やはり事前に起こらないようにするというのも、1つ大きな策だと思います。特に、今までは毎年こういう監査機能的なものがありましたから発覚していましたけれども、ここに出ている不適切な経理業務などは、本当に行かなければ分からないことなので、その点のチェック機能というのは、世の中がこれだけコンプライアンス強化になっている以上は、文部科学省としても、毎年やらなくなったということではなく、どこからも見えるような形のことをしたほうがよいと思います。そういう意味では、一部監査機能的なものは、ある程度文部科学省の役割として、見ていくべきではないかと考えます。
 以上です。
【車谷委員長】  事務局、どうでしょうか。
【事務局】  御指摘ありがとうございます。
 ごもっともな御意見でございまして、説明が不足して申し訳ございません。まず事件・事故があった場合については、文部科学省のほうで個別に対応するというのは、これまでも今後も変わらないものと考えてございます。
 その上で、起こらないようにするためという趣旨で、全ての法人について、研修でございますとか、そういったことをちゃんとやります、こういった形でやりますということを中期計画の中で書かせていただいている状況となってございまして、それに基づいて、各法人が全てやっていく。
 もちろん、文部科学省も、何かが起こったときではないですけれども、指導や助言なりはいたしますし、そういった形で対応していくのではないかと考えてございます。
【車谷委員長】  今の点、非常に重要な点かと思います。先ほど森座長からも御説明がございましたけれども、資料12の3ページ目、やはり積極的な情報発信、当然、コンプライアンスについては、全法人、こういうふうにやりますということを書いていただくということになろうかと思いますけれども、それに関して、その結果等の積極的な情報発信であるとか、ステークホルダーとの双方向の対話であるとか、こういったことも御指摘を頂戴しておりますので、こういったものも含めて、しっかりした体制が組めるように作り込んでいければよいのではないかと考えております。
 鈴木委員、いかがでしょうか。
【小林委員長代理】  委員長、補足させていただいてもよろしいでしょうか。
【車谷委員長】  どうぞ。
【小林委員長代理】  今、事務局からの御説明ありましたとおり、研究不正等々については、6年間放置していくということではありませんので、これは評価とは切り離してそれぞれ見ていくということになります。
 御指摘の点、法人全体としての会計・経理になりますと、これは監事機能の強化ということで、一応定款上置かなければいけないということになっております。
 それから、研究不正・不正使用については、これは事後処理というよりも、むしろ事前防止が重要ですので、既に科研費等々の申請については、研究倫理プログラムを経なければ、そもそも申請自体が今はできなくなっていると思います。
 加えまして、大学共同利用機関法人については、これは国立大学法人とやや事情が違いますのは、一つの機構の中の機関が、場所がばらばらになっているところが多いです。例えば、人間文化研究機構ですと、千葉県佐倉もあれば、立川もあれば、京都もあれば、大阪もある。ということなので、研究不正等々についてだけではなくて、研究倫理、つまり、法令違反だけではなくて、倫理的な違反についても、毎年度、文部科学省に対して報告を出していただくということにしています。
 ですから、毎年度評価はなくなりますが、当然守らなければいけないことですから、これは切り離して、別途毎年度報告をしていただくというふうにして対応しております。
 以上、補足をさせていただきました。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 森座長、何かコメントございますか。
【森委員】  御指摘の点、非常に懸念される点であるということは、まさにそのとおりであります。今、御説明がありましたとおり、ガバナンスの点で言うと、チェック機能として、監事機能の強化、それと、内部統制ということについて言うと、これは業務の効率的な運営、あるいは、適正な業務運営ということで、点検項目に入っています。これについては、当然、年度評価というのは今度の制度改正でなくなりはしますけれども、自己点検の強化、ここが非常に大事だと思っています。自己点検をしっかりやるということと、それを情報公開するということで、ステークホルダーのチェック機能も働いて、自己点検をしっかりやっていくことにつながっていくだろうということで、この原案のところで項目を別書きして、「自己点検・評価等について」というのを掲げたのは、そういう趣旨があります。ワーキンググループでも非常に懸念が、課題として残っているのではないかということで、審議の対象になりました。
 以上でございます。よろしくお願いします。
【車谷委員長】  鈴木委員、いかがでございましょうか。
【鈴木委員】  かしこまりました。ありがとうございます。
【車谷委員長】  それでは、それ以外の委員の先生方からお願いします。
 では、棚橋委員、お願いします。
【棚橋委員】 評価指標ということで、もちろん全て見たわけではないですけれども、資料11にあるものをざっと見ていくと、非常にいろいろなものがあって、特に数値基準、興味深いものとかがあって、各大学がいろいろ現段階で工夫されているということが見てとれて、興味深く拝見したところであります。いろいろな評価指標がある中で、6年、この期間を経た後に達成するということが前提となっているというものが割と多く見られますけれども、やはり長い期間で、いろんな大学を取り巻く環境も、社会を取り巻く環境も変わる可能性があるとは思います。中途で、いろいろな意味で評価指標を変えるというか、変更するみたいなことが想定されているのか。例えば、先ほどの説明でも、意欲的な評価指標というものを今後検討するというのはありましたけれども、意欲的なものであればあるほど、時間が経ってみると実現が難しくなるようなケースもないわけではないと思います。そこに無理に合わせて経営をしていくというよりは、それは合理的な軌道修正というのはあるのではないかとは思います。既にこういうところは議論されているのかも含めて、そこら辺についての考え方というのはいかなるものになるのかというのを御説明を頂戴できればと思います。
【車谷委員長】  環境の変化に伴ってということでございますけれども、それでは、まず事務局から。
【事務局】  事務局から、まず御説明させていただきます。
 総会の資料で申し上げますと、参考資料4-3で、これは国立大学法人でございますけれども、「第4期中期目標期間における業務の実績の評価に向けて」というペーパーを配付させていただいてございます。こちらは、前回、6月にこの評価委員会の場で御審議いただいたものでございますけれども、2ページ目の3ポツの「その他」について、第3期までについては、中期目標・中期計画の期間途中での変更は、運用上、ある意味抑制的に行ってまいりました。ただ、第4期に向けては、先ほど棚橋委員がおっしゃったことも含めてでございますけれども、中期目標・中期計画の変更をある程度柔軟に認めることとしてはどうかと考えてございます。ただ、柔軟に認めるとしたとしても、様々な理由、今掲げている評価指標・目標を達成したから次のステップに行きたいということもあるでしょうし、又は、全く方針が変わったり、社会事情の変化でございましたり、いろいろなことがあって、目標自体、計画自体をがらっと変えるということもあり得るかもしれません。そういったことについて、各法人が変えたいから変えるという趣旨ではなく、今どういった状況にあるのか、各法人の状況、社会の状況、そういったものについて、自己点検・評価という形で各法人の方からお示しいただいた上で、柔軟に認めるということとしてはどうかということを、今年の6月のペーパーでまとめてございます。
 ただ、実際に運用上どうするかということについては、第4期における評価の実施要領と併せて、来年度、具体的に評価委員の先生方の御意見を踏まえながら、決めていければよいなと考えてございます。
【車谷委員長】  棚橋委員、いかがでございましょうか。
【棚橋委員】  ありがとうございました。方針、大枠は分かりました。具体的な運用をどうするかというのは、今後議論の対象だというふうに理解しました。
【車谷委員長】  6月に一応今のような方針は出しておりますので、今後議論ということになろうかと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、それ以外の御意見、お願いいたします。
 西村委員、お願いいたします。
【西村委員】 人材育成と研究力強化について、1つだけ意見を述べさせてください。
 日本の研究力低下というのが問題視されている昨今、大学の果たす役割は非常に大きいと思います。若手研究者の支援ということで、これまでも、学位取得者や若手の研究室主催者PIに対する支援は様々なされています。例えば、科研費等の研究費も含めて、若手に対する研究支援は充実してきていると思います。また、大学では、大学院のカリキュラムに工夫を凝らしておられることもよく理解できます。
 一方で、気になることが、指定国立大学でさえも大学院の博士課程への進学率が顕著に減少している点です。加えて、大学の卒業生がアカデミアに魅力を感じていないというアンケート結果や、また、18歳人口の減少というのもあります。今後、恐らくAIの登場によって、サイエンスの動向も大きく変わってくると思われますので、若い人材は、あらゆる分野で必要ではないかと考えます。
 ここで、現在の若手研究者を支援するのはよいですが、振り返ってみたら次の若手がいないという状況になるのではないかということを心配しています。研究の魅力を、ホームページだけではなく、ソーシャルメディアなどを活用してジュニア世代に広く伝えていただき、サイエンスや学位取得に関心を持ってもらえるような取組を積極的に行ってほしいと思います。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 非常に大きなお話ですけれども、文部科学省でお答えいただきましょうかね。
【事務局】  御指摘ありがとうございます。
 全くそのとおりだと我々も考えておりまして、今、研究者の方々、学位を取られた方々、そして、学位を取ろうとされている博士課程学生の皆様に対する支援の強化をどんどん進めておりますけれども、さらに、その次の世代についても、科学教育の取組でありますとか、あるいは、先ほど資料の中に国立天文台の理解増進といいますか、そういったところの取組の紹介もありましたけれども、各大学とも相当力を入れて、次世代の若い方々、中高生の方々、あるいは、もっと広い方々を育てていくというところの取組も進めております。
 これは文部科学省としても、大学自体の取組をプロジェクト化した場合には、プロジェクトの支援をするとか、大学の取組を様々な形で支援をしておりますので、引き続き、こういった評価のところでも御議論いただきまして、次世代の人材育成というところもしっかりと強化していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【車谷委員長】  西村委員、いかがでございましょうか。
【西村委員】  ありがとうございます。
【車谷委員長】  それでは、小林委員。
【小林委員長代理】  第4期の評価の在り方については、恐らく今後の議論ということになるかもしれませんが、第4期の素案の修正を、恐らく年明けに大学共同利用機関法人、国立大学法人ともに出してくる上で、やはり非常に法人側が引っかかっていることは、第4期でどう評価されるのかということと思います。
 具体的に言いますと、第3期に比べてチャレンジングな目標設定をしているところもあれば、かなりディフェンシブ、できるだけ第3期と同等とか、第3期の水準を維持というところで収めたいという法人があるのも事実です。それはどう評価されるのかということと関わっていて、高い目標値を掲げると、それを将来実績値が超えているかいないかで評価される。そうであれば、できるだけ低いハードルにしておきたいという気持ちが法人側にあります。そうではなくて、第3期の期末、あるいは、平均のところを基準値として、実績値との比較で評価されるなら、目標値は高くしても構わない。そこのところがやや疑心暗鬼になっているのかなというところが非常に気になります。
 ですから、第4期の評価の仕方は今後の議論になるかもしれないですが、現行、必ずしもチャレンジングではない目標を掲げているところに、ディフェンシブではない、もっと高い目標を掲げてほしいということを言う上で、どう評価されるのですかという問いに対しては、どのようにお答えすればいいのか、ここのところは明確にしておかないと、年明けの修正案が現行とあまり変わらなくなってしまうのかなという心配を持っております。この辺はどのようにお考えなのか、教えていただければと思います。
【車谷委員長】  では、お願いいたします。
【事務局】  具体的には、今後、4期に入ってからの審議ということもありますけれども、基本的に、今回既にアナウンスしておりますのが、まさに野心的な目標を掲げてほしいと。ただし、達成度評価という評価の宿命として、やはり達成しやすい目標を立てることに終わりがちであると。今回、野心的な目標を立ててほしいということを言っている以上、それが達成できなかったとしても、その方が評価されるという面を作らなければ、野心的な目標を掲げてくれと言った意味はないと思いますので、そういった意味では、今後議論をしていく際に、どれが野心的な目標なのかということをどこかで特定した上で、その野心的な目標については、それを丸ごと達成しないとだめだということではない、達成していなくてもスタート地点より一定の伸びがあれば、それは高く評価されるべきだという評価の仕方というのを作っていかなければいけないということであろうと思います。
 具体的にどうするかは、また御審議いただくことになると思いますけれども、そういう考え方で大学には発信をしていくというふうに考えております。
【小林委員長代理】  ありがとうございます。それを伺って大変安心いたしました。ぜひ、基準値、実績値、目標値と3つ並べて評価をしていくような方向でいければ、各法人ともチャレンジングになってくるかなと思います。どうもありがとうございました。
【車谷委員長】  重要な視点でございます。ありがとうございます。
 それでは、栗原委員、お願いいたします。
【栗原委員】  ありがとうございます。私も、小林委員がおっしゃったように、目標については、単純に整理すれば難易度と達成度のマトリックスかなと思います。ただ、なかなか個々の目標において、そういった単純な評価も難しいという面もあるので、ぜひ、この意欲的な評価指標というところで、難易度の高いものを設定していただき、達成度が低くても難易度が高いことと合わせて評価する仕組みを作っていただきたいなと思います。
 それから、2つ目に、アウトカムを評価する、そういう指標を入れるというところを書き込んでいただいたことについては、大変重要だと思っております。特に今回、先ほどフクシマ委員がおっしゃられたように、SDGsの観点でいろいろな目標が入っていますので、その達成については、一つのアウトプット指標での評価は難しく、社会的なインパクト等のアウトカムに着目して評価していくものもあります。そのような目標に応じてアウトカムの視点を入れていただき、ゴールを共有して活動につなげていただきたいなと思います。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 事務局コメントございますか。
【事務局】  御意見ありがとうございます。
 栗原委員がおっしゃる趣旨を踏まえて、今回、資料12で、アウトカムに着目した評価指標の設定を検討してくださいとございますので、今日の総会での御議論についても各法人にきちんとお伝えした上で、このアウトカムの評価指標もそうですし、その上の意欲的・挑戦的な達成水準の設定、そういったことについても、きちんと各法人で検討をお願いしたいと考えてございます。
【車谷委員長】  栗原委員、いかがでございましょうか。
【栗原委員】  よろしくお願いします。
【車谷委員長】  それでは、それ以外の委員の先生方からの御意見ございますか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、様々な視点、特に評価、意欲的な目標を出せたときとそうでないときの実質的な評価ということで、これは目標設定のなかなか難しいポイントではありますけれども、こういった点とか、不正等の問題もいろいろありました。いろいろな論点を御指摘いただいたということでございます。
 いろいろ御指摘いただいた点は、各ワーキンググループでも議論はしていただいているところではございますので、今後、この委員会で頂いた意見を踏まえまして、また取りまとめまして、進めさせていただきたいと思っております。
 今日のところは、こういうことで進めさせていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、第4期の中期目標及び中期計画に関する今後のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【事務局】  それでは、資料16を御覧ください。資料16が、第4期中期目標・中期計画の策定に向けたスケジュールでございます。
 本日、12月1日でございますが、中期目標・中期計画の素案について御審議を賜りましたので、それを踏まえた上で、評価委員会の意見を各法人にお伝えさせていただく。その上で、併せて、中期目標(原案)と中期計画(案)の提出をお願いいたしまして、そちらを来年1月中下旬までに提出を求めたいと考えてございます。今年度、総会の回数が多くなって非常に恐縮ではございますけれども、2月上旬に再度評価委員会の総会を開催させていただいて、中期目標・中期計画の御審議を改めてお願いしたいと考えてございます。その上で、年度内に中期目標を文部科学大臣から提示し、中期計画を認可したいと考えてございます。
 スケジュールについては、以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 本日は以上となります。
 最後に、今後の日程等は、いかがですか。
【事務局】  今後の日程でございますけれども、まず、本日、御審議いただいた評価結果につきましては、この会議終了後、国立大学法人と大学共同利用機関法人に通知を行うとともに、文部科学省のホームページにも掲載させていただきたいと思います。
 また、中期目標・中期計画につきましては、先ほど御説明したとおりでございますけれども、来年2月に改めて評価委員会総会において御審議を賜りたいと思っておりますので、詳しい日程等については、後日御案内させていただきます。
 以上でございます。
【車谷委員長】  それでは、本日頂いた意見を踏まえまして、また来年の2月ということで、第69回の総会を開催予定でございますので、また御多忙ではございますけれども、よろしく御配慮いただければと思います。
 それでは、本日の総会は終了とさせていただきます。誠にありがとうございました。
 
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