国立大学法人評価委員会(第67回) 議事録

1.日時

令和3年6月30日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 国立大学法人及び大学共同利用機関法人の第3期中期目標期間(4年目終了時)の業務の実績に関する評価結果について
  2. 国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて
  3. 国立大学法人等の第4期中期目標・中期計画について
  4. 国立大学法人等の第4期中期目標期間における業務の実績に関する評価について

4.出席者

委員

車谷委員長、小林委員長代理、内部委員、勝委員、栗原委員、近藤委員、鈴木委員、橘・フクシマ委員、長澤委員、西村委員、深見委員、村田委員、森委員、山田委員

文部科学省

伯井高等教育局長、川中審議官(高等教育局及び高大接続担当)、堀野国立大学法人支援課長、塩原学術機関課長、宇高国立大学戦略室長、江戸国立大学戦略室長補佐、小久保学術機関課学術研究調整官

5.議事録

【車谷委員長】  それでは、所定のお時間になりましたので、第67回国立大学法人評価委員会総会の開会とさせていただきます。委員の先生方の皆様におかれましては、大変御多忙の中、御出席を賜りまして本当にありがとうございます。
 私は文科省におりますけども、ウェブ会議方式にて国立大学法人及び大学共同利用機関法人の第3期中期目標期間4年目終了時評価結果、国立大学法人等の組織及び業務全般の見直し、第4期中期目標・中期計画の審議、最後に第4期中期目標期間における国立大学法人評価等について御意見を頂戴したいと思います。
 本日、大変多くの議事が予定されておりますけれども、いずれも重要な議事となっておりますが、時間が2時間ということでタイトでありますので、円滑に会議を運営してまいりたいと思っております。ぜひ御協力のほどよろしくお願いいたします。
 なお、本会議はいつもどおり、ウェブにてリアルタイムでの公開とさせていただいておりますので、併せて御承知おきをくださればと思います。
 それでは、事務局から配付資料の御確認をお願いいたします。
【事務局】  それでは、事務局から配付資料の確認をさせていただきます。郵送でお送りした方は議事次第の裏面において、またウェブ上で御覧いただいている方は議事次第の2ページ目において、資料1から資料9-2までを記載してございます。また、参考資料として参考資料1及び参考資料2、また別メールにて、第4期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討委員会の審議まとめの資料をお送りさせていただいております。
 続きまして、本日の委員の御出席でございますけれども、熊平委員、棚橋委員、森山委員から所用により御欠席との御連絡をいただいております。
 また、委員の御異動について御案内させていただきますが、水野委員におかれましては国際連合の革新的ファイナンスと持続可能な投資担当特使への就任に伴って令和3年1月25日付けで、また、清水委員におかれましては国立大学法人山梨大学理事への御就任に伴って令和3年3月31日付けでそれぞれ委員を御退任されております。
 本日は合計14名の委員に御出席いただいております。御多忙のところ多くの委員に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 この場をお借りして、事務局からのお願いとなりますけれども、今回このような形で、ウェブ会議方式で行わせていただきますので、インターネット上でも聞き取りやすいように御発言いただく。御面倒ではございますが、御発言の都度お名前をおっしゃっていただく。御発言時以外はマイクをミュートにしていただく。御発言等がございます場合には、カメラに映りやすいように、挙手をお願いできればと思ってございます。配付資料を参照する際には、資料番号もしくはページ番号を分かりやすくお示しいただく。最後となりますが、委員長からもございましたが、本日は議題を多く設定させていただいておりますので、なるべく多くの委員からの御意見をいただく観点から、1回当たりの御発言を端的にお願いできればと考えてございます。
 事務局からは以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に移りたいと思います。
 初めに、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の第3期中期目標期間4年目終了時に係る業務の実績に関する評価結果につきまして、御審議を頂戴したいと思います。
 進め方としましては、事務局から御説明をした後に、それぞれの分科会長から国立大学法人及び大学共同利用機関法人の評価結果について御説明をいただく、その後に各委員の皆様からの御意見、御質問を頂戴するという運びにしたいと思います。先ほども申し上げましたが、本日、議事がかなり多く予定されておりますので、各委員におかれましては簡潔に御発言をお願いできればと思っております。
 それでは、まず事務局から御説明をお願いいたします。
【事務局】  資料1を御覧ください。資料1は、第3期中期目標期間4年目終了時評価のこれまでの審議経過を御説明する資料でございます。4年目終了時評価につきましては、大きく業務運営と教育研究のそれぞれに関して評価を行ってございます。
 まず、教育研究に関しましては、国立大学法人評価委員会から独立行政法人大学改革支援・学位授与機構に評価の実施を要請しており、機構で資料1の右半分にございますような流れで評価を行ってございます。
 また、業務運営につきましては、国立大学法人評価委員会において評価を実施してございます。国立大学法人について申し上げれば、8月24日から9月4日の間で評価チーム会議がございますけれども、国立大学法人分科会の下に、AからH、また附属病院のチームを設けまして、そこのチームの先生方が中心になって評価作業を行っていただいている状況でございます。
 大学共同利用機関法人につきましては、4法人ということもあり、大学共同利用機関法人分科会において評価を実施していただいております。
 4年目終了時評価においては、国立大学法人、大学共同利用機関法人、全ての法人にヒアリングを行っています。その結果を踏まえ、令和3年2月のところにございますが、評価チーム会議、また大学共同利用機関法人については分科会において評価結果の素案を御審議いただいた後、4月に入って、それぞれの分科会において評価結果原案を御審議いただいております。その後、国立大学法人、大学共同利用機関法人の評価に当たっては、各法人に対して意見申立ての機会を付与することになってございます。
 国立大学法人、大学共同利用機関法人、また機構において行う教育研究の評価についても、別途各法人に意見申立ての機会を設けた上で、本日6月30日に国立大学法人評価委員会総会において評価結果について御審議いただき、決定していただければと考えてございます。
 事務局からは以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。ただいまの御説明にありましたとおり、本日の国立大学法人及び大学共同利用機関法人の評価結果(案)については、各分科会のほうで精力的に作業をいただき、取りまとめていただいたものでございます。
 それでは、引き続きまして、それぞれの分科会長から、分科会における審議状況についての御報告をお願いしたいと思います。
 まず、国立大学法人について、近藤分科会長からお願いいたします。
【近藤委員】  近藤です。それでは、国立大学法人分科会における審議状況について報告いたします。関連資料は資料2、それから資料3-1から3-8までになります。
 国立大学法人分科会では、国立大学法人86法人の第3期中期目標の4年目終了時の達成見込みについて、各法人から提出された業務実績報告書に基づき、中期計画の実施状況等を検証・評価し、評価結果(案)を作成いたしました。この評価結果(案)が、資料3-1から3-8であり、8チームの結果になります。大部になりますので、後ほどの説明は資料2の概況によって説明をしたいと思います。
 今回、分科会として取りまとめた評価結果(案)は、各法人にあらかじめ評価結果(原案)を示した上で、4月23日から5月17日の間に意見申立ての機会を設け、その申立て内容を踏まえたものとしています。
 また、教育研究の状況に関する評価については、専門的な観点からきめ細かく評価を行う必要があることから、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構に評価の実施を要請し、その結果を尊重して本日の評価結果(案)を作成しています。
 それでは、資料2を使って評価結果の概況について御説明をしたいと思います。資料2の8ページ、9ページに概況がございますので、御覧いただければと思います。
 全法人の8割以上について、教育研究や業務運営等の全ての項目において、「中期目標の達成に向けて順調に進んでいる」以上の評価をしています。特に研究については、「特筆すべき進捗状況にある」または「計画以上の進捗状況にある」が、全法人の5割以上と高い評価になっています。
 各項目別の評価については、10ページ以降にまとめています。各法人における中期目標の達成状況を円グラフにまとめており、その下には第2期から第3期の変化をまとめています。10ページにあります教育については、まず第3期は教育の質保証システムの構築、学修成果の可視化、学生に対する学習・キャリア支援等を優れた点として多く取り上げています。また、各法人において新型コロナウイルス感染症の感染防止を図りつつ、学生の学習機会を確保するため、オンライン授業の積極的な活用やコロナ禍における学生支援などの取組が行われております。
 次の11ページになりますが、優れた取組をいくつか例示しています。例えば、奈良先端科学技術大学院大学の教育カルテシステムを活用した学位審査の実施等を取り上げています。
 続いて、12ページの研究についてですが、第3期は世界トップレベルの研究拠点の形成、国際共同研究の推進、若手や女性研究者の研究環境の整備等を優れた点として多く取り上げています。
 次の13ページでは、東京工業大学の若手研究者の研究環境の整備や、大阪大学の国際ジョイントラボの形成などを取り上げています。
 次の14ページの社会連携等・地域志向については、第3期は地域産業支援や地域医療支援の地域連携等を優れた点として多く取り上げています。
 16ページのその他(グローバル化等)については、国際協力、留学支援、海外拠点活動の国際交流等を優れた点として多く取り上げています。
 時間の関係もありますので、22ページの業務運営について説明いたします。第3期では、社会や地域のニーズに対応した教育研究組織の再編や、他大学と連携した教育研究組織の設置、大学コンソーシアムや一法人複数大学等の機関間の連携推進等を優れた点として多く取り上げています。
 23ページにあります宇都宮大学と群馬大学の両大学長のリーダーシップによる全国初の共同教育学部の設置、そして岐阜大学と名古屋大学の地域創生への貢献と国際競争力の推進を目指した新たな法人「東海国立大学機構」の設置、滋賀大学のデータサイエンス学部の設置を契機とした教育研究の強化等を取り上げています。
 25ページの財務内容について、第3期は第2期に引き続き、遺贈の受入れや評価性資産などの獲得に向けた取組、組織対組織による大型の研究資金や地域課題の解決を目的とした研究資金の獲得等を優れ点として多く取り上げています。26ページに例示しておりますように、琉球大学の基金造成計画に基づく取組と特色ある基金の創設等を取り上げています。
 28ページの自己点検・評価及び情報の提供について、第3期はIRに基づく組織評価、教員評価結果の資源配分への反映や、専門家の配置等の広報体制の整備による戦略的な方法の推進を優れた点として取り上げています。
 次に、30ページのその他業務運営(施設整備、安全管理等)について、第3期は自治体や企業からの助成金や寄附金、土地の売却収入等の自己負担を活用した施設整備やキャンパス整備等を優れた点として多く取り上げています。31ページに例示しておりますように、東北大学の自己財源による青葉山新キャンパスの整備や、九州大学の伊都キャンパスへの統合移転事業の完了などを取り上げています。
 一方、改善すべき点を33ページにまとめています。情報セキュリティマネジメント上の課題、大学院における学生定員の未充足等により、中期目標の達成のためには遅れていると評定した法人もあります。さらに、一部の法人については、法人の組織体制や内部統制に重大な課題があったことから、中期目標の達成のためには重大な改善事項があると評定しています。
 34ページから35ページは、法人別・項目別の評定を一覧でまとめています。
 私からの説明は以上です。
【車谷委員長】  近藤分科会長ありがとうございました。
 それでは、続きまして、大学共同利用機関法人につきまして、小林分科会長から御説明をお願いいたします。
【小林委員】  小林です。大学共同利用機関法人分科会の評価結果について御説明いたします。
 本日は、資料2の評価結果(案)の概要と資料3-9の各法人の評価結果(案)を配付させていただいております。教育研究については、大学改革支援・学位授与機構に評価作業を実施いただきましたので、ポイントを2点御紹介いたします。まず、資料2の13ページを御覧ください。
 研究の項目では自然科学研究機構、高エネルギー加速器研究機構、情報・システム研究機構の3法人が、一番上の評定である特筆すべき進捗状況となっております。研究に関する優れた取組としまして、自然科学研究機構の国立天文台におけるすばる望遠鏡を用いた共同観測、高エネルギー加速器研究機構の大強度陽子加速器施設実験の推進等を取り上げております。
 次に、共同利用・共同研究の項目では、4法人全てが計画以上の進捗状況となっております。資料2の20ページを御覧いただければと思います。共同利用・共同研究は、大学共同利用機関法人独自の評価項目となっており、優れた取組としましては、人間文化研究機構の総合情報発信センターによる成果発信と、情報・システム研究機構の国立情報学研究所における学術ネットワーク、いわゆるSINETの拡充等を取り上げております。
業務運営面については、優れた点のほか、中期計画を上回って実施していると認められる取組の内容等を総合的に勘案し、評定を決定いたしました。その結果、自然科学研究機構、高エネルギー加速器研究機構においては業務運営の改善及び効率化、情報・システム研究機構においては財務内容の改善が計画以上の進捗状況にあるとしました。各法人のそれ以外の項目につきましては、いずれも順調となっております。
 資料2の29ページを御覧いただきたいと思います。特徴的な取組としましては、高エネルギー加速器研究機構の自己点検・評価では、動画配信サービスを活用し、本格稼働を開始したSuperKEKBの電子と陽電子の初衝突を生放送したところ、視聴46万6,217名、コメント数12万9,532件と予想以上の反響があり、国民の広い関心と興味を惹きつけているなどを優れた点として取り上げております。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございました。それでは、2人の分科会長からの御説明いただきましたが、引き続きまして、事務局から国立大学法人及び大学共同利用機関法人の評価結果に対する意見の申立てと、その対応についての御説明をお願いいたします。
【事務局】  それでは、資料4を御覧ください。資料では、国立大学法人から意見申立てがあった内容について記載してございます。今回は、計8法人から意見申立てがございました。それぞれの法人からの意見申立て及びその理由、またその対応については、2ページ目以降において個別の資料をつけさせていただいておりますので、この場では1ページ目の内容に沿って御説明させていただきます。
 意見申立ての内容について、この1ページ目においてはカテゴリーごとにまとめさせていただいておりますが、まず年度評価で既に指摘された事項に対して、北海道大学、大阪大学それぞれから意見申立てがございました。北海道大学については平成28年度評価において情報セキュリティマネジメントについて、また、大阪大学については平成29年度の年度評価において入試の出題及び採点ミスについて評価をさせていただいております。年度評価において指摘された事項については、原則としては4年目終了時評価においても指摘することになってございますので、対応としては原案のとおりとしてございます。
 また、学生定員未充足に対する意見申立てとして3法人ございました。山梨大学、広島大学、長崎大学、いずれも専門職学位課程の定員未充足に対する指摘でございます。これらについても基本的には4年間のうち2年間、課程単位で定員が9割以下になっている場合について指摘をすることになってございますので、基本的には原案のとおりとしてございます。
 また、長岡技術科学大学からは、中期計画の未達成との評価に対する意見申立てです。こちらについては、女性教員及び管理職の状況を中期計画に書いていますが、基本的には法人から意見申立てがあった内容も踏まえた上で評価結果の案を作成いただいておりますので、原案のとおりとしてございます。
 その他の事項として、高知大学、また名古屋工業大学からそれぞれ意見申立てがございました。
 高知大学につきましては、自己点検・評価の項目について順調という評定をしていただいておりますが、計画以上という評定にしてほしいとの意見申立てをいただいております。こちらにつきましても、法人から意見申立てがあった内容も踏まえた上で、評価結果の案を作成いただいておりますので、原案のとおりとしてございます。
 また、名古屋工業大学については、工学研究科において定員超過の事例がございましたが、これが4年目終了時評価終了後の令和2年度には解消しているので、それを考慮してほしいという意見申立てでございました。こちらは基本的には4年目終了時評価でございますので、対応としては原案のとおりとしてございます。
 事務局からは以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの一連の御説明について、御意見、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 それでは、特に御意見がないようなので、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の第3期中期目標期間4年目終了時に係る業務の実績に関する評価結果につきましては、原案のとおり決定ということでよろしいでしょうか。
 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。分科会の先生方お疲れさまでございました。
 また、評価結果の公表に際しまして、第2期中期目標期間評価と同様に、評価委員会の委員長として所見を出したいと考えておりまして、案として資料5を配付させていただいております。この文章につきましては、委員長である私の職権で事務局と作成したものでございますが、事前に委員の皆様方には御覧いただいていると思います。文章の内容についてお気づきの点があれば御発言をお願いいたします。
 それでは、こちらのほうもこの内容で意見を発出させていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、1つ目の議題を終えまして、次の議題に移らせていただきたいと思います。昨年12月の総会で既に御審議をいただいております国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しに関する視点、及び先ほど御審議をいただきました第3期中期目標期間4年目終了時評価結果を踏まえまして、文部科学省において国立大学法人等の第3期中期目標期間終了時における組織及び業務全般の見直し(案)を作成しています。本日は、その内容につきまして御意見を頂戴したいと考えております。
 まず、事務局から、国立大学法人分について御説明をお願いいたします。
【事務局】  国立大学法人分について御説明させていただきます。資料6-1、6-2、資料7-1と7-2を御覧ください。ポイントを絞って、簡潔に10分程度で御説明をさせていただければと思います。
 資料6-1の2020年12月のところにございますけれども、国立大学法人法においては、文部科学大臣が中期目標期間終了時のタイミングで組織及び業務全般にわたる検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとされてございます。
 それに先立つ形で、先ほど委員長からもございましたが、昨年末、2020年12月の段階で国立大学法人評価委員会としての課題意識を取りまとめていただきまして、それを見直しに関する視点として各法人に提示した状況でございます。
 今後、文部科学大臣が組織及び業務全般の見直しという形で各法人に対して所要の措置を講ずることになるのでございますけれども、その内容といたしましては大きく2つに分かれております。1つは第4期、令和4年度から始まる中期目標・中期計画に反映すべき内容について提示すること。もう一つの柱は、それ以外に文部科学大臣自らが講じる措置として制度改正等の内容について記載してございます。
 中期目標・中期計画に反映すべき内容、見直し内容については、第4期は、中期目標大綱という形で国が総体としての国立大学法人に求める役割・機能に関する基本事項を提示したいと考えてございます。その上で、各法人において、中期目標期間の6年間において特に重視するものを中期目標に位置づける形で、中期目標の原案を作成していただくことを考えており、今年度中、2021年度中に中期目標・中期計画の策定をしていくということを考えてございます。
 以上が全体の流れになりますけれども、資料6-2が、実際に文部科学大臣が各法人に対して示す見直し内容となってございます。
 2ページ目、見直しの考え方を御覧ください。ここは国立大学法人の自主性・自律性を尊重するという形で、組織及び業務全般の見直しという場合であっても、見直しの考え方の2段落目、「このため」から始まる段落の2行目でございますが、「文部科学大臣が見直し内容を示すとともに、それに基づいて、国が総体としての国立大学法人に負託する役割や機能に関する基本的事項を中期目標大綱として提示することを中心とする」とさせていただいております。
 3段落目の「その際」の一番最後になりますけれども、「中期目標の実際上の作成主体である各法人において、目指す機能強化の方向性に応じて、中期目標・中期計画の素案等に適切に反映することを求める」というものとなります。
 中期目標や中期計画に実際に反映する内容といたしましては、3ページ目の「第3 国立大学法人の組織及び業務全般の見直し」に書かせていただいておりますけれども、こちらにつきましては、昨年末にお取りまとめいただいた見直しに関する視点を取り込んだ形とさせていただいております。この見直し内容というのは、後ほど御説明します中期目標大綱の基本的な考え方となるものと考えてございまして、その見直し内容に沿って検討を行い、それを中期目標・中期計画に反映するという流れとなってございます。
 「国立大学法人の組織及び業務全般の見直し」の中身が3ページ目から11ページ目まで続いておりますけれども、その後に、先ほど申し上げた見直しの内容のもう一つの柱として、文部科学大臣が直接講じる措置について記載してございます。
 1つ目は、国立大学法人運営費交付金の配分方法の見直し等として、「第4期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会」で取りまとめていただいた審議まとめの内容を書かせていただいてございます。11ページ目から12ページ目に4つのポツがございますけれども、そこが主なポイントと考えてございます。こちらについてはあくまで提言でございますので、第4期の国立大学法人運営費交付金の構成や配分等の在り方については、この審議まとめの内容を踏まえた上で、今後必要な見直しを行っていくとの考えでございます。
 また、2つ目の国立大学法人法の一部改正に伴う制度改正でございますけれども、こちらの法改正自体は通常国会において成立してございます。内容といたしましては、(1)のところでは、常勤監事の必置や学長選考会議の権限の追加等によって法人内部の内部統制をしっかり充実させること。
 (2)のところでは、こちらが特にこの国立大学法人評価委員会とも深く関わるところでございます。国による年度評価は第4期においては行わないこととなりますが、その前提といたしましては、各法人における自己点検・評価を充実していただく。また、今回、法改正に伴って、中期計画に達成状況を可視化できる評価指標の記載を義務づけてございます。そういったことを通じて、法人自らが自律的に自己点検・評価を行い、自ら見直すべきところは見直すという形を考えてございます。
 13ページ目の出資の範囲の拡大につきましては、例えばこれまで指定国立大学法人だけが研修・コンサルを行う事業者に対する出資が可能でございましたけれども、これを全ての法人に広げる。また、指定国立大学法人については、ベンチャーキャピタルを通してではなく、直接出資ができるとしてございます。ただ、いずれにしても出資に際しては大臣の認可が必要となってございますので、無条件でできるわけではございませんが、範囲としては拡大してございます。
 以上が、大臣が講じる措置となります。
 少し話は戻りますけれども、中期目標・中期計画に反映すべき内容というのを、今回、資料7-1、7-2にある中期目標大綱という形で改めて示したいと考えてございます。こちらについても、昨年の年末の国立大学法人評価委員会総会において素案という形でお示しをさせていただきました。その後、各法人等に対して何回か意見照会をさせていただきまして、議論しながら検討を進めてきたという状況でございます。中期目標大綱については、1ページ目の2段落目「本大綱は」からの3行目からになりますが、「国としての必要な関与と国立大学法人の自主性・自律性に基づく発展とを両立させた国立大学法人と国との関係における新たな枠組みを構築するため、第4期中期目標期間において、国が国立大学法人へ負託する役割・機能を明らかにするものである」という記述となってございます。2ページ目の一番下の段落にございますが、この中期目標大綱というものを大臣が各法人に示すわけでございますけれども、各法人に対しては法人自らの強み・特色を生かして、6年間で果たす役割や機能をミッションとして位置付けて、その達成のために全学的に取り組むものを中期目標・中期計画に位置付けていただく。それによって、各法人が目指す方向性をステークホルダー、社会一般に明確に示していくことを求めたいと考えてございます。3ページ目以降で、実際に国が国立大学法人に対して求める役割や機能を、それぞれの項目に分けて書かせていただいております。昨年の年末の段階から内容として大きく変わったのは4ページ目でございますが、附属病院の項目で、「持続可能な地域医療体制の構築への寄与」という文言を明記させていただいております。その他文言修正等は行っておりますけれども、内容として特に変わったところは以上でございます。
 国立大学法人分の説明については以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 続きまして、大学共同利用機関法人分につきましては、事務局から御説明をお願いします。
【事務局】  続きまして、大学共同利用機関法人分に関しまして、資料6-3と7-3を活用して御説明いたします。基本的な方向性に関しましては国立大学法人と同様でございますので、大学共同利用機関法人の特徴に絞って少し補足させていただきます。
 まず、大学共同利用機関法人に関しましては、各分野の中心拠点といたしまして大規模学術プロジェクトですとか、国際的な共同利用・共同研究を推進する観点からの見直しの方向性でございます。
 資料6-3について少し補足させていただきますけれども、組織の見直しに関しましては、機構長のリーダーシップに基づき機構内の組織改革を進めることはもとより、各分野の動向や研究所コミュニティーのニーズを踏まえた、機構の枠を超えた体制の構築等を求めているところでございます。
 教育研究等の質の向上に関しましては、異分野融合・新分野創成を促す観点から、共同利用・共同研究体制を充実させること、また女性・若手・外国人など多様な研究者の採用や、大型プロジェクトを推進する各分野の拠点としての機能強化、その他大学共同利用機関の特徴ある環境を生かした若手研究者等の人材育成を進めてまいります。その他物的資源のマネジメントに関しましては、大学や研究機関等とのネットワークを構築して、研究設備の相互利用の環境整備を求めているところでございます。業務運営の改善等に関しましては、機構長のリーダーシップに基づきガバナンス改革等を進めていただくとともに、特にコンプライアンス、研究不正・研究費不正に関して組織的な対応を徹底することを求めているところでございます。
 続きまして、資料7-3、中期目標大綱のところでございます。こちらは、我が国の研究力が相対的に低下傾向にある状況を踏まえまして、基礎研究の中心でございます大学及び大学共同利用機関の機能強化、異分野融合・新分野創成等の促進により、研究力の復権を牽引することが必要でございますので、大学共同利用機関につきましても社会で果たすべき役割を改めて深く考察し、機能強化に向けた改革や戦略的経営を進めていくという観点で大綱を示させていただいております。教育研究の質の向上に関する項目につきましては、各研究分野の中核拠点としての役割や学術研究の卓越性の強化、分野融合や新たな学問分野の創出、共同利用・共同研究につきましては、施設等の高度化・利便性の向上、ネットワーク化の推進、教育・人材育成に関しましては、各大学共同利用機関の特色を生かした大学院教育、若手人材の育成、その他産学連携の強化、法人の枠組みを超えた対応の推進等を求めているところでございます。業務運営の改善につきましては、開かれた大学共同利用機関の運営の推進という点が特徴となっておりまして、全体で22の項目を中期目標大綱として示させていただいているところでございます。
 簡単ではございますが、大学共同利用機関法人分としての説明は以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。いずれにしても、昨年12月の総会で御審議をいただいた見直しの視点や、4年目終了時評価の結果を踏まえまして、議論をして、お示ししているものでございます。それでは、ただいまの御説明につきまして御意見、御質問等ございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
 特に御意見がないようでございますけれども、運営費交付金の在り方につきましては一つテーマになっておりましたので、第4期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会の座長として1点だけ発言させていただきます。昨年の10月から計9回に渡り、非常に活発な御議論をいただき、6月18日に審議まとめを取りまとめさせていただきました。その内容については、国立大学法人等の組織及び業務運営の見直しにも反映をさせていただいています。
 ポイントとしては、各国立大学が社会、経済、国民生活等の進歩にどれだけ影響を与えられたかという社会的なインパクトを創出する仕組み、取組を分析して、戦略的な強化に取り組むことを6年間の中期目標期間を通じて後押しする仕組みとして、「ミッション実現戦略分」といったものの導入を検討してはどうかという提言をしております。
 また、国立大学のミッションの実現を支援するための一定の財源を確保しつつ、学内資源の再構築を促すために、第3期に引き続きまして、係数が従来からあるのですが、この仕組みの必要性についても言及しております。
 3つ目が、一層の改革へのインセンティブとして、国立大学の活動全体の実績等につきまして、毎年度、共通指標における客観的な評価を行い、この結果に基づいて運営費交付金を配分するということで、「成果を中心とする実績状況に基づく配分」、こちらにつきましてアウトカム重視の指標への厳選や評価に当たってのグループ分け等の見直しの必要性についても、具体的にこれということではないのですが、言及をさせていただいております。
 いずれにしても、本審議まとめを踏まえまして文部科学省で検討していただくということになっております。ここでちょっと付言をさせていただきました。
 それでは、栗原先生お願いいたします。
【栗原委員】  栗原です。これまでの一連の御説明について異論はございませんが、今後これを受けて、具体的にどう運営していくのかを考えたときに、評価指標の設定の仕方が大変重要だと思います。これまでは年度評価があったり、外部評価があったりしたわけですが、今後は基本的に法人が自己評価をしていきますので、そのときの評価指標については、先ほど委員長からアウトカムというお話がありましたけれども、アウトプット指標だけでなく、いろいろなステークホルダーが見たときに納得いただけるような成果や貢献を表す成果指標、アウトカムをなるべく設定していただき、見える化をしていただきたいと思います。以上です。
【車谷委員長】  事務局、コメントはございますか。
【事務局】  御意見ありがとうございます。今、栗原委員がおっしゃっていただいたこと、まさにそのとおりだと思ってございます。評価指標という際に、今、資料6-2や、6-4にある評価指標というのは、運営費交付金の配分のための仕組みで使う共通指標による評価のことを言っているところですが、今回、中期計画において評価指標の記載の義務づけをさせていただいております。ただ、評価指標自体に、社会もしくはステークホルダーに、自分たちが6年間でここまで達成するのだということが見える評価指標でないと意味がないと考えてございます。もちろん法人で評価指標を設定していただきますが、アウトカム、本当に成果が見えるような評価指標というものを、法人と一緒に模索していきたいと考えてございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それ以外にございますか。長澤委員お願いします。
【長澤委員】  長澤です。先ほど委員長が御説明になったミッション実現戦略分について、十分理解できてないものですから、質問させていただきます。このミッション実現戦略分というのは運営費交付金の中に一部として設定されているのか。そうであれば、第4期が終わった後に交付されるのか、4期途中で評価しながら配分されるのか、その辺の仕組みがよく理解できないのと、どう進んでいるのかというのは国立大学法人評価委員会が評価するのか確認させていただきたい。
【事務局】  ミッション実現戦略分というのは、審議まとめで大きな考え方を出していただき、これから年末に向けて財務省と折衝しながら設計していくものですけれども、考え方としては、これは毎年の評価ではなくて、第4期の6年間を見通した評価となります。その結果は、さらに6年後の第4期終わった後の第5期に反映するべく、そのタイミングに合わせようとすると4年目終了時辺りで中間評価をして、第5期のスタートラインに反映していくことを考えています。評価については、国立大学法人評価は資金配分に大きく結びつけることは慎重にという国会の附帯決議がありますので、国立大学法人評価委員会ではなくて、運営費交付金配分の仕組みの中で別途検討会を設けるなりして、議論していくということを考えております。
【車谷委員長】  長澤委員よろしいでしょうか。
【長澤委員】  分かりました。
【車谷委員長】  それ以外ございますか。鈴木委員お願いします。
【鈴木委員】  ありがとうございます。先ほどの資料6-2の10ページに大学版のIR機能を積極的に導入するとあります。これは当然ながら社会にぜひ必要だと思うのですが、これと併せて、今度、学生に対してとか、これから大学に入学する人や大学を決めたいという人たちに対しても分かりやすいようなIR機能も持たせていただければよいのではないかと思います。
 大学の情報がほとんど取れない若者がいっぱいいると聞いています。大学はどのようなことをしていて、どういう成果を上げているのかというのはとても重要だと思いますので、大学IRの一般のものに加え、誰もがもう少し分かりやすいIRの発信ができたら良いのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
【車谷委員長】  事務局いかがでしょうか。
【事務局】  御意見ありがとうございます。御指摘いただいたところは、資料10ページの自律的な経営に向けた体制の強化で述べさせていただいているところで、社会の中には鈴木委員がおっしゃる学生若しくは保護者、そういった観点も当然入っていると認識してございます。IR機能の積極的導入に当たっては、企業やほかの大学、社会一般だけではなく、そういった学生若しくは保護者に対しても分かりやすいIRを発信していくということも各法人に求めていきたいと考えてございます。また、6ページの高等学校と大学の連携・接続という中においても、大学側からの情報発信というのも強く求めてございますので、そういったことを踏まえた上で、この見直しの内容を示していきたいと考えてございます。
【車谷委員長】  鈴木委員よろしいですか。
【鈴木委員】  よろしくお願いいたします。
【車谷委員長】  それでは、国立大学法人等の第3期中期目標期間終了時における組織及び業務全般の見直しという項目の2つ目のテーマでありますけども、本委員会として特段の意見はなしということでよろしいでしょうか。それでは、これで進めさせていただきたいと思います。
 次に3つ目の議題でございます。現在、国立大学法人、大学共同利用機関法人のそれぞれの分科会の下に、第4期中期目標・中期計画及び評価に関するワーキンググループを設置し、各法人から提出される第4期中期目標・中期計画の素案の審議方針・体制、それから第4期中期目標期間における法人評価について検討を行っていただいています。
 第4期中期目標・中期計画の素案の審議方針・体制につきまして、まず御議論をいただきたいと思います。国立大学法人について、森座長から、これまでのワーキンググループにおける検討状況について御報告をお願いしたいと思います。
 それでは、森座長、よろしくお願いいたします。
【森委員】  森です。それでは、国立大学法人の第4期中期目標・中期計画の素案の審議方針・体制について、ワーキンググループにおける検討状況を御報告いたします。
 国立大学法人法では、文部科学大臣が目標を定め、中期計画を認可する場合は、あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないこととなっています。ワーキンググループでは、今後、各法人から提出される第4期中期目標・中期計画の素案に対して、評価委員会から意見を述べる際に参考としていただくための専門的な見地から検討を行っております。
 資料8-1についてでございます。第4期中期目標・中期計画の審議方針・体制について、ワーキンググループでの検討状況をまとめた資料になります。
 まず、国立大学法人法の規定及び同法制定当時の附帯決議等を踏まえ、第4期中期目標期間に向けても、これまでと同様、各国立大学法人が作成する中期目標・中期計画の素案の内容を尊重することを原則といたします。
 次に、先ほどの議事において事務局からの説明にもありましたが、第4期においては国立大学法人中期目標大綱から各法人が特に重視するものを自ら選択し、中期目標を作成することとなっております。大綱のどの項目を中期目標に位置付けるかについては、各法人の選択を尊重したいと考えております。
 以上を前提とした上で、資料8-1の枠内に1から6までありますが、この場合において各法人への素案の修正を求めることといたします。
 内容を簡単に説明させていただきます。まず、1ポツですが、法律の改正が必要となるなど、文部科学大臣限りで実施することができない場合。2ポツですが、国庫負担が必要となるなど資金面の担保がなされていない場合。3ポツは後で御説明しますので、4ポツを先に御説明しますが、法律に違反する事項等が記載されている場合。5ポツですが、4年目終了時評価での改善事項に対する対応が記載されていない場合。6ポツですが、政府方針など統一的な対応が求められる場合でございます。
 加えて3ポツですが、先ほど事務局から説明のありました国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しに基づき、強みや特色を踏まえた明確な目標となっているか。中期目標大綱を踏まえた目標となっているか。目標を達成するための具体的な手段が明示されているか。計画の達成状況を検証できる指標が設定されているか。これらの観点から、必要に応じて修正を求めていくこととしたいと考えております。
 次の審議体制についてでございますが、各法人の中期目標・中期計画の素案を統一的に確認する必要があるという観点から、まずは本ワーキンググループにおいて検討を行った上で、国立大学法人評価委員会としての意見を取りまとめることとしたいと考えております。
 私からの説明は以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 続いて、大学共同利用機関法人につきましては、小林座長から御報告をお願いいたします。
【小林委員】  資料8-2を御覧いただきたいと思います。大学共同利用機関法人における第4期中期目標・中期計画の素案の審議方針・体制について説明いたします。ただいま森座長に御説明いただきました国立大学法人の論点と基本的に同様となりますので、大学共同利用機関法人の特徴を考慮して追記した点に着目して説明をさせていただきます。
 1ページ目の3の4ポツ目になりますが、「目標の実現や手段の遂行について、大学共同利用機関法人の役割・機能に照らし、適切な水準かつ達成状況を検証することができる指標が設定されているか」としております。「適切な水準かつ」と明記をしておくことで、中期計画の評価指標の水準も確認をすることとなっております。夏以降に素案が出てくると思いますが、その後ワーキンググループ、あるいは分科会を何度か開いて、今回の文部科学省の優れた、あるいはすばらしい改革の趣旨に則して、できるだけチャレンジングなアウトカムの検証可能な目標を設定していただきたいと考えています。特に大学共同利用機関法人であれば、低いハードルではなく、できるだけ高いチャレンジングな目標を設定していただきたい。そうであるかどうかをきちんと確認をするという趣旨になります。
 次に、4番目において、「法令違反や研究倫理違反又は社会通念上著しく妥当性を欠くと認められる場合」としまして、特に研究倫理違反についても必要な場合は修正できるようにしております。これはなかなか法令が社会現象に追いついていないところもございますので、研究倫理上はクリアできない。実際、裁判になれば本人が負けるというケースも実はございますので、研究倫理を付け加えているということになります。
 最後に6番目に、「大学共同利用機関の検証結果を踏まえた中期目標・中期計画の策定を行う観点から適切性を欠く場合」としまして、科学技術・学術審議会において実施した大学共同利用機関の検証結果を踏まえて、修正か必要な場合にも対応できるようにこの点についても言及しております。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの両座長の御説明につきまして御意見、御質問ございましたら、よろしくお願いいたします。フクシマ委員お願いいたします。
【フクシマ委員】  ありがとうございます。今、小林委員から御説明がありましたが、今回の改正の非常に大きな目的は、各大学共同利用機関が自律的責任を持って自己目標を立てて、その達成のために努力する。そして、世界をリードする機関としてグローバルな足跡を残せるようにする。それを大学その他の機関と連携をし、ノウハウをシェアしながら、目標を達成していくというものです。2点ほど懸念があります。1点目は、評価機関が6年というのは長く、また、毎年していた評価がなくなるので、どこまで各機関で自律的に自己評価をしていただけるかという不安です。もう1点不安なのは、先ほど小林委員からもお話がありましたが、チャレンジングな、例えば新規分野への進出であったり、産業界との連携を通して新領域を創造するといった積極的な目標がどのくらい出てくるのかという点です。これは1回やってみて分からないことですので、懸念に過ぎないということになればよいとは思っているのですが、第1回目に提出される計画を見る際の分科会でのかなり詳細な検討と、それから文部科学省の御指摘が重要になるのではないかと思っています。今回の審議方針・体制は全網羅的で、全体を見て重要な点を拾っていらっしゃいますが、これは作業的にはかなり細かいところまで見ないと、結果的に自律的なチャレンジングな目標というのが出てこないのではないかという心配があります。
 したがって、事務局の方にお願いをしたいのが、その辺りのやり取り、微調整の際のやり取り、それをぜひシステマティックに実施していただきたいということです。その辺についてはどういう形で御対応されるか、御意見をお聞かせいただければと思います。
【車谷委員長】  今、御意見を頂戴したのは次の議題とも関連が深いですが、森座長、小林座長、御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。それでは、小林座長お願いいたします。
【小林委員】  小林です。フクシマ委員からの御発言はもっともなところだろうと思います。文部科学省の今回のこのような改革は、法人化のときからの流れで、当然ながら全て必修科目だったのが選択必修になるということになります。国立大学法人等の組織及び業務全般の見直し等に関するワーキンググループにも入れていただいたときに、非常に勉強させていただきました。
 確かに全てがトップ1%、10%を求めていくという大学もあるかもしれないし、例えば東京芸術大学であれば、先生が書く論文のトップ何%よりも、むしろ学生がショパンコンクールで優勝するとか、チャイコフスキーコンクールで優勝することが重要かもしれません。それは大学によって様々ですので、この改革というのは非常に正しい流れだろうと思います。ただ問題なのは、フクシマ委員は大学共同利用機関法人の分科会に入っていらっしゃいますので、受け取る側がこの趣旨をどこまで受け取っていただけるのかということです。ややディフェンシブな、達成可能な目標を設定するということでは、困りますと伝えるべきではないか。選択必修になった以上は思い切ってチャレンジングな、世界のどこを目指すのかというより、むしろ世界をどうリードするのかという目標を設定していただきたいということです。ですから、この対応というのは、フクシマ委員にも負担をかけることになりますが、事務局というよりも、むしろ大学共同利用機関法人でいえば、ワーキンググループや分科会で何度も何度も時間をかけて、これでは困りますというやり取りを何度もしていく中で、今回の文部科学省の改革の趣旨を生かした第4期中期目標・中期計画に仕上げるというのは、むしろ私どもの仕事ではないかと思っておりますので、フクシマ委員にも負担をかけますということを御理解いただきたいと思います。
 以上です。
【フクシマ委員】  覚悟しております。ありがとうございます。
【車谷委員長】  国会の附帯決議がございますので、各法人の自主性というのを尊重するというのは大原則ですけれども、やはりフクシマ委員がおっしゃるように、より意欲的に具体的に、ここでも書いてございますけども、検証可能なとか、手段が明示されているとか、明確な目標がとか、こういった趣旨を踏まえてワーキンググループとよくお話をいただき、より意欲的なものというのが趣旨でございますので、そういった趣旨で進めてまいれればよいかなと考えているということでございます。
 西村委員、お願いいたします。
【西村委員】  小林委員からお話がありました資料8-2についてです。大学共同利用機関法人で追記された点を御説明いただいたのですが、四角囲みの4ポツのところで、法令違反に加えて、研究倫理違反というのを大学共同利用機関法人のほうで加えています。これは国立大学法人も同様ではないかと考えます。国立大学法人でもやはり真理の探究、基本原理の解明を目指して、研究力を強化しようという動きは当然あります。研究の暴走を防ぐという意味でも、国立大学法人の方も同様の追記をしたほうがよいような気がいたしました。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございます。森座長、コメントございますか。
【森委員】  事務局で、その辺の調整どのように行ったのかについて御説明いただけますか。
【車谷委員長】  事務局お願いします。
【事務局】  まず、大原則として、国立大学法人と大学共同利用機関法人について、中期目標・中期計画、また評価のそれぞれに関して、全く一緒の仕組みである必要はないと考えております。
 その上で、今、西村委員から御意見いただきました研究倫理違反について、国立大学でも研究倫理違反に該当するような素案が出てきた場合には、もちろん4ポツの「社会通念上妥当性を欠く」というところで指摘をさせていただくというのは当然考えてございます。それを文言として明示するかどうかという話になりますので、座長と相談させていただいて、その対応を検討したいと思います。
【車谷委員長】  西村委員よろしいですか。
【西村委員】  よろしくお願いいたします。
【車谷委員長】  それ以外の御意見はございますでしょうか。
 それでは、国立大学法人等の第4期中期目標・中期計画素案の審議方針・体制については、今御議論いただいた内容で進めさせていただくことにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、これで進めさせていただきたいと思います。
 今の件とも関係あるのですが、最後の議題でございます。第4期中期目標期間における業務の実績に関する評価について御議論をいただきたいと思います。国立大学法人につきましては、森座長からまず御報告をお願いいたします。
【森委員】  それでは、国立大学法人の第4期中期目標期間における業務の実績の評価に向けて、先ほどもいろいろ御質問いただいていたところにも関連するのですけれども、ワーキンググループとしての検討状況を御報告いたします。
 資料9-1です。この資料が、ワーキンググループにおける検討を踏まえ、国立大学法人の第4期中期目標期間における業務の実績の評価について、基本的な考え方をまとめた資料となります。
 まず、点線の枠組みを御覧いただきたいのですけれども、第4期中期目標期間に向けた制度改正の内容を記載しております。中期目標・中期計画、評価に関係するものとして、第4期中期目標期間においては、まず(1)毎年度の年度評価の廃止があります。(2)それに伴う年度計画、業務実績報告書の提出の義務付けが廃止されます。加えまして(3)ですが、全ての中期計画に評価指標の記載が義務付けられることになります。
 それを前提とした上で、1ポツ、第4期中期目標期間評価(4年目・6年目終了時評価)における評価の観点につきましては、中期目標、中期計画、評価指標、この3つの観点を示しております。
 まず、中期目標と中期計画の観点について、まとめて御説明いたします。①では、選択する大綱の項目間で重要度等の差異を設定しないこと。②では、大綱からの選択数及び中期目標の数自体による評価は行わないこととしております。なお、中期計画の④ですが、②と同趣旨の内容となります。③では、大綱の同じ項目を選択した法人間での相対評価は抑制的にすることとしております。
 続きまして、評価指標の観点について御説明します。⑤は、6年間における明確な達成水準を掲げることを求めた上で、その達成状況を評価結果に反映すること。その際に、取組の進捗状況等も考慮した上で評価することとしております。これに伴う内容として2項目の例示を挙げております。1ポツ目では、達成水準が不明確な指標、これは結果的に不明確な指標が出てきているということですけれども、当該評価指標を未達成と評価することとしております。これは不明確でありますので、達成かどうかが判断できないということです。2つ目のポツでは、1つの中期計画に複数の評価指標が設定されており、そのうちの一部が達成されていない場合、そのことのみをもって当該中期項目を未達成とは評価しないということとしております。
 次のページの⑥から⑧ですが、先ほども御意見が出ていたと思いますが、意欲的な評価指標の指定についてまとめております。⑦では、評価を実施する前段階において、各法人の意見を聴いた上で、評価委員会が意欲的な評価指標と認めるものを指定し、公表することとしております。意欲的な評価指標の判断基準については、1ポツ目に示している評価指標及びその掲げる達成水準が明確であるか、他の法人や政府決定等に掲げる目標と比較して高い達成水準を掲げているかなどを考慮することとしまして、中期計画ごとに設定した評価指標をセットで指定することを考えております。また、⑧に示しておりますが、意欲的な評価指標として指定したものについては、達成した場合は特に高い評価をすることとしております。
 次に、2ポツの指定国立大学法人の取扱いにつきましては、他の法人と同様に、中期目標・中期計画の達成状況を評価する一方で、指定後の状況についても指定国立大学法人部会等で必要な関与を行うこととするとしております。
 3ポツのその他につきましては、1つ目、各法人の中期目標・中期計画に基づいて、自己点検・評価及び情報提供の充実・強化を求め、その状況については、第4期中期目標期間評価において確認することとしております。また、2つ目、中期目標・中期計画の変更につきましては、第3期までは抑制的に取り扱っていたわけでありますけれども、第4期からは柔軟に認めることとし、その際に、各法人が行う取組状況等の自己点検・評価結果を、国立大学法人評価委員会で確認することとしております。
 以上を基本的な考え方として、今後、具体的な評価に係る実施要領の作成に向けて検討を進めることとしてはどうかと考えております。
 私の説明は以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、続いて、大学共同利用機関法人につきまして、小林座長からお願いいたします。
【小林委員】  資料9-2に基づいて、御説明いたします。ただいま森座長に御説明いただきました国立大学の論点と基本的に同様となりますので、大学共同利用機関法人の特徴を考慮し追記した点に着目して説明をさせていただきます。
 2ページ目の「2、その他」の3番目についてです。国立大学法人同様、大学共同利用機関法人についても、自律的に発展し、各法人において自己点検・評価を充実させることをもって、年度評価の廃止等を行うこととなりますが、「大学共同利用機関法人は、我が国における共同利用・共同研究を先導する重要な役割を有しており、コンプライアンス・安全管理体制、研究不正・研究費不正等の事案が発生した場合には関係機関への影響が特に大きいことを踏まえて、毎事業年度終了時には各法人から事案の報告を求め、4年目終了時評価及び6年目終了時評価の際には各法人からの事案の報告を踏まえて、その結果を確認することとする」としております。これは毎年度分科会を開くという意味ではなくて、毎年度報告を事務局にしていただいて、事務局で重大と考える場合には分科会を開くかどうかも含めて、その御判断をいただきたいということでございます。特に一例を挙げますと、安全管理体制というのは大きな研究施設で事故のヒヤリハットみたいなことが一つ起きまして、万が一、施設を止めるということになりますと、各大学に非常に御迷惑をおかけすることになります。ヒヤリハットの時点で判断をしていくということで、この点が特に加筆をしているということになります。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございました。それでは、先ほどの議論とかなり重なりますが、ただいま両座長からの御説明について、御意見、御質問がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、村田委員お願いします。
【村田委員】  ありがとうございます。質問があります。第4期中期目標期間における業務の評価について、実質、年度評価がなくなるわけですけれども、中期計画による評価指標の記載の義務付け、もちろんKPIなんかが出てくるのでしょうけども、その評価は実際どこで実施する予定ですか。この委員会が実施する予定ですか、また、どういう形で実施するかというのが質問のまず1つです。もう1つは、年度評価というのは国立大学にとっても負担が大きいものでありますから、廃止することは私も賛成ですが、評価が6年間に1回しかないということはどうなのだろうなと。例えばSGU、スーパーグローバルユニバーシティーでも中間評価が3年に1回ぐらいあるわけで、例えば3年に1回は評価委員会でちゃんと評価をする、あるいはKPIを公開していくということがあってもよいと思います。その辺りどのように具体的に考えていらっしゃるのか、お教え願えればと思います。よろしくお願いいたします。
【車谷委員長】  事務局いかがでしょうか。
【事務局】  事務局でお答えさせていただきます。
 まず1点目、評価指標の記載を義務付けた場合に、その達成状況の評価をどこがやるかという話かと思いますが、基本的には中期目標・中期計画の達成状況については、引き続き国立大学法人評価委員会において評価をお願いすることとなってございます。
 また、2点目の質問とも関わりますけれども、毎年度の年度評価はやらないという形になりましたが、4年目終了時と6年目終了時という2回のタイミングで、中期目標期間全体の評価は引き続きやっていただくこととなってございますので、ある意味で4年目終了時評価が中間評価という位置付けになるのかなと考えてございます。
 また、独立行政法人と国立大学法人の一番大きな違いとして、中期計画に自己点検・評価をどのようにやるかについて記載することが法定されてございます。中期計画に基づいて自己点検・評価をちゃんとやっているかということ、また先ほどの議題とも関わりますけれども、中期計画の策定の段階で、自己点検・評価の項目については、特に評価委員会の御意見も踏まえた上で確認させていただくということを先ほどの資料で記載しております。そういったことを踏まえながら、毎年度については各法人の自律性にある意味委ねる。ただし、中間評価としての4年目終了時評価、また6年目終了時評価というのは評価委員会のほうで厳しく見させていただくというのが、第4期としての仕組みなのかなと考えてございます。
 以上でございます。
【車谷委員長】  村田委員いかがでございましょうか。
【村田委員】  4年目評価が残るのであれば、よいかと思いますが、もう1点だけコメントがあります。これまで年度評価というのはある意味いろんな形で、横並び的な形で、全ての法人は項目を記載するということがあったのですが、第4期から、いわゆる自律的契約関係という形で、今後は国立大学の特色がある形で評価をしていく。まさにそれは自己点検・評価になると思いますし、法人ごとに中期計画の数が当然違ってくるのは当たり前で、機能分化があるわけですから、そういう意味では少しこれがうまくいくように本当に心から願ってございます。コメントでございます。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 それでは、長澤委員お願いいたします。
【長澤委員】  長澤です。今の説明資料9-1の1ページの評価指標⑤の1ポツ目の文章について、不明確な評価指標については未達成と評価するということですが、これは事前にこの評価指標は不明瞭だからというアドバイスというか、訂正はしないのですか。結果的にこれは不明瞭だから、未達成とするというのはちょっと冷たいような気がするのですが、その辺はいかがでしょうか。
【車谷委員長】  事務局いかがでしょうか。
【事務局】  申し訳ございません。事務局から簡単に説明します。森座長からもし補足等ございましたら、お願いいたします。
 まず、不明確な評価指標でございますけれども、もちろん先ほどの資料8-1でもございましたが、中期計画の素案が出てきた段階で評価指標が明確なものになっているかどうか、また達成水準がちゃんと書かれているかどうか、そこに至るための手段、方策が明示されているかどうかというのは、事務局で整理した上で評価委員会の御意見を伺うことになってございます。そのため、もちろん事務局からも見直しの検討はさせていただく形になると思ってございます。また、一方で、それにも限界がございまして、評価指標をこの指標にして、この目標値を掲げなさいとまでは言えない状況もございます。資料9-1の⑤の1つ目のポツのところで申し上げますと、結果的に不明確な評価指標が出てきてしまった場合について述べていると考えていただければと思っております。
 我々として、こういう不明確な評価指標というのがないことがもちろん正しい仕組みだとも考えてございますので、今年度末までの第4期中期目標・中期計画の策定段階においても、委員のお力をお借りしながら、社会に対して明確な姿を示せる中期目標・中期計画の実現に力を注いでまいりたいと考えております。
 事務局からは以上です。
【車谷委員長】  長澤委員よろしいでしょうか。
【長澤委員】  森委員にお願いします。
【森委員】  森ですが、今の事務局の御説明のとおりですけれども、補足ということではないですが、基本的な審議方針としては各国立大学法人の素案を尊重するというのが大方針としてあります。そのため、素案の修正は求めるにしても、各大学の自主性・自律性を尊重しながら、この制度は運営していくということになると、不明確なものが出てきてしまった場合、評価委員がどのように判断するかにもよりますが、これは不明確で達成状況が判断できないとなれば、「未達成」にせざるを得ないのかなと思います。このような方針を打ち出すことによって、大学にもしっかり対応していただきたいということだと思います。よろしくお願いします。
【深見委員】  関連の質問よろしいでしょうか。深見です。
【車谷委員長】  はい、どうぞ。
【深見委員】  中期目標の設定のところですけれども、項目の選択になってきますし、チャレンジングな設定と無難な設定、そういった中期目標の設定の仕方というのがかなり大学によって変わってくるのではないかと思われます。先ほど事務局のほうからある程度整理して中期目標を一応確認するということでしたが、素案の尊重という御意見もありましたし、どの程度チャレンジングなことと、無難なところを判断するのか。この判断は評価に非常に関係してきますので、心配なところがあるのですけれども、その辺のバランスの取り方というのはどのように考えたらよろしいのでしょうか。
【車谷委員長】  事務局いかがでしょうか。
【事務局】  まさにその点については、評価委員会の先生方の専門的な知見から御意見を賜る形になると考えてございます。
 事務局において、先ほど整理と申し上げたのは、7月末に各法人から中期目標・中期計画の素案が出てまいりますけれども、それを単純に委員に見てくださいという形ではもちろんなく、こういった問題点が考えられますというのをある程度類型化して、審議のための参考として整理をさせていただくこととしてございますので、事務局でこの達成水準は意欲的だとかチャレンジングだとか、といった評価までする考えは今のところございません。
【車谷委員長】  深見委員よろしいでしょうか。また、森委員は等々コメントございますでしょうか。
 それでは、勝委員お願いします。
【勝委員】  ありがとうございます。今回の評価の在り方というのは非常に合理的で、各大学の主体性がまずあって、それに対して評価をしていくということで全く問題はないと思いますが、先ほどの質問ともかぶるのですが、大学共同利用機関法人と見比べてみますと、コンプライアンスであるとか研究不正とか、こちらについて大学共同利用機関法人は毎事業年度終了時には報告を求めるとなっています。たしか国立大学法人のワーキンググループでも、そういった事例があれば行うということは言われていたので、国立大学法人は研究機関でもあるので、もしそうであれば、同じような形で、そういったことを書いたほうがよいのではないかというのが第1点です。
 それから、指定国立大学については、これも指定国立大学の部会で議論がされると思うのですが、これについてもやはりモデル大学というのがあって、そこでのKPIで毎年評価できるということもあるので、指定国立大学についてはほかの大学と同じように中期目標に関する評価を2回やるというのは同じであっても、指定国立大学の主旨に基づいたKPIを出していくことが妥当ではないかと思います。
 今回の改正、自己点検に依存するというのは非常に重要なことだと思います。これをしっかりと情報開示するということも重要なので、それによって規律付けというのができてくると思いますので、そういった点にもぜひ配慮していただければと思います。
 以上でございます。
【車谷委員長】  事務局、コメントありますか。
【事務局】  勝委員から御質問、御意見いただきました事項についてでございますが、まずコンプライアンス、国立大学法人と大学共同利用機関法人の資料9-1と9-2の違いについてでございますけれども、もし私の理解が間違っていれば両座長に補足いただきたいのですが、大学共同利用機関法人においてこの項目を特に明記していただいているというのは、共同利用・共同研究を推進する立場として関係機関への影響が特に大きいから、こういった形とするとしたのではないかと推察してございます。その上で、大学共同利用機関法人においても、最後、小林座長からおっしゃっていただきましたけれども、分科会もしくは評価委員会が毎年報告を受けるという形ではなく、文部科学省、事務局のほうで受けるとお伺いしました。
 それについて申し上げると、当然、国立大学法人についてもこういった研究不正や、コンプライアンスに関わる事項等があれば、今でも当然ですが、文部科学省が状況の確認及び改善に向けた取組を含めて聴取をした上で、それを法人評価委員会における法人評価の場に持っていくという形にしております。その仕組み自体は第4期以降も変わらないものと考えてございます。
 また、指定国立大学法人の取扱いについてでございますが、まさにこちらについては勝委員がおっしゃっていただいたように、国が指定した法人となるわけでございますので、指定した責任として指定国立大学法人構想というものの進捗をどう管理していくかについて、法人評価とはまた別の枠組みで具体の仕組みを、部会の御知見をお借りしながら考えていきたいと思ってございます。
 最後、自己点検・評価の話でございますけれども、資料9-1、9-2の一番最後のところにそれぞれ中期目標大綱(案)における自己点検・評価の項目を参考に書かせていただいておりますけれども、この中でも申し上げているとおり、自己点検・評価それ自体の充実・強化と併せて、ステークホルダーに対する情報発信ということにも重点を置いた書きぶりとさせていただいております。これはあくまで中期目標となるものでございますので、これに基づいて、実際にどういう形で自己点検・評価をするのか、それをステークホルダー、特に大学がそれを届けていくステークホルダーは誰なのか、またそれをどのように届けるのか、そういったことまで踏み込んだ中期計画をぜひ策定していただきたいということを考えており、それは各法人にも伝えさせていただいているところでございます。
【車谷委員長】  勝委員よろしいでしょうか。
【勝委員】  ありがとうございます。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 それでは、内部先生お願いします。
【内部委員】  内部でございます。よろしくお願いします。
 資料9-1の2枚目の「3.その他」の情報提供の充実・強化について、私なりの意見を述べます。
 この件については、各法人が頑張ってやるということは全く異論はありません。情報提供の仕方というのはいろいろあるとは思うのですけれども、私の立場から言うと、報道発表というところにちょっと絞って皆にお聞きいただきたい。私はこの10年の間に高松と松江に赴任しまして、香川大学、島根大学の皆様といろいろ情報交換の場を持つことができました。広報担当の方が数少ない中で、毎月のように学長発表などをされているのですけれども、いかんせん一番の問題は、これは報道のほうの問題でもあるのですが、せっかくよい発表をしてもテレビ局はローカル、全国紙も県版、地元紙しか載らないということで、その地域に情報がとどまってしまう傾向にあります。反対に言うと、東京の情報も地方にはなかなか流れない。要はそれぞれの法人が頑張っていることがなかなか全国的に伝わらない。ひょっとしたら世界でよい研究を求めているかもしれない。もちろん研究論文なんかで探し出せばよいのでしょうけれども、それを一つ一つ当たっていくというのは大変な状況だと思います。
 この国立大学法人評価委員会とはちょっとずれてしまいますけれども、一法人が頑張るというのはなかなか限界があるという状況だと感じております。ですので、そこは産官学連携で何か別のものを設置するとか、やはりここはオールジャパンでやっていく必要があるだろうなと前々から思っておりました。何が言いたいかというと、情報提供の充実を頑張ってもなかなか響かないという状況で、低い評価を受けるということが、特に地方の国立大学だとあるおそれがありますので、その点を留意していただければ非常にありがたいと思っております。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございます。これについて、事務局はコメントございますか。
【事務局】  課題として受け止めさせていただきます。
【車谷委員長】  それ以外、御意見はございますでしょうか。栗原先生お願いします。
【栗原委員】  ありがとうございます。先ほどの情報発信について気になったことがあります。そもそも法人評価については、業務運営の評価と教育研究の評価がありますが、教育研究の評価は大学改革支援・学位授与機構に評価を要請して違うプロセスで評価をしていくということだとすると、幾つかの部分的な評価が併存することになるので、そこをどうやって統合的に見ていくのか、あるいは集約して発信していくのでしょうか。どこかのプロセスで一つになる仕組みであればよいのですが、そうでない場合は、評価がばらばらに行われて、法人を統合的に見ていくことが難しくなってしまうのではないかと思いますが、その辺についてはどのように対応、解決されているのでしょうか。
【車谷委員長】  事務局お願いします。
【事務局】  事務局から説明させていただきます。
 資料1が法人評価の流れとなってございますけれども、今、栗原委員がおっしゃっていただいたように、業務運営部分は評価委員会が直接、また教育研究部分については評価委員会から大学改革支援・学位授与機構に対して評価の実施を要請してございます。
 また、第3期においては、委員がおっしゃっていただいたように、教育研究の評価について大学改革支援・学位授与機構が実施したものと業務運営の評価について評価委員会が実施したものというのが、ある意味独立して動いているというふうに見えるという点はごもっともかと思っております。
 第4期はどうするかという話は、また来期以降、実施要領を定める際に御意見を伺いながら定めていくことになると思うのですけれども、法律上の話だけ申し上げさせていただきますと、教育研究の評価は評価委員会から大学改革支援・学位授与機構に要請するのですが、その評価結果を評価委員会が尊重した上で、評価委員会が全体を取りまとめるというのが法令上の枠組みでございます。ただ、それを評価の実施要領にどう反映していくかというのは、具体的な話になりますので、今後ぜひ先生の御知見をお借りして、よりよい法人評価の仕組みというのを第4期に実現していくことを考えたいと思っております。
 すみません。説明になっているか分かりませんが、以上でございます。
【車谷委員長】  栗原委員いかがですか。よろしいですか。
【栗原委員】  ありがとうございます。適切な評価をそれぞれの専門性を持ってやるということも重要ですが、それを受け取る側が統合的に評価できることも必要かと思いますので、その辺の工夫を今後していただければ。
【車谷委員長】  小林委員どうぞ。
【小林委員】  今の御質問は私もかねがねそのように感じていたところですが、形式といいますか、本日の総会が多分統合する場になるのだろうと思います。第2期と比較しますと、第3期では大学改革支援・学位授与機構からの研究教育の評価をかなり事前に詳しくいただいて、かつ御説明をいただいて、極めて大学共同利用機関法人については適切、かつ非常に丁寧で、納得のいく妥当な評価だったと思います。それを分科会としても受け入れ、また本日の総会で統合して承認をするという形になると思います。ですから、第4期以降も今期と同じような形で、できる限り事前に詳しく御説明いただければ、それでよいのではないかと思っており、大学のほうはよく分からないですが、大学改革支援・学位授与機構とは一応そういう形でやっております。
【車谷委員長】  近藤委員、手が挙がっておられると思いますけど。
【近藤委員】  今、小林委員のほうから御発言ありましたように、大学の分科会の分科会長をやっております。同じように大学改革支援・学位授与機構から非常に丁寧な説明を分科会で受けて、4年目終了時評価の教育研究に関しての部分については御説明をいただきました。大学の受け止め方について、これまで年度ごとの評価自体は、業務運営、教育研究をまとめて受け取っておりますので、それは別々のものという受け取り方ではないと私は思っております。小林先生がおっしゃるように、これからもそのように大学改革支援・学位授与機構に教育研究のところでの精緻な評価をいただいた上で、業務運営のところを分科会のほうでやっていくという形は、一つの合理的なやり方かなと思います。
 それから、評価の負担という観点から、今回年度評価がなくなるということで、今、この改革自体は、そういう重複した部分に関しての効率化ということで非常に評価できるものではないかと考えております。
 私からは以上です。
【車谷委員長】  近藤委員ありがとうございました。それ以外、ございますでしょうか。
 それでは、いろいろと御議論いただきましたが、今回、年度評価を廃止するということで、効率化という観点はもちろんあるのですけども、一方、4年目・6年目終了時というところでの中間評価的なものが入っておりますし、意欲的な評価については、委員の御懸念の点等も含めまして、実際の運用に関しましては、いただいた御意見を生かしながら進めてまいりたいと思います。
 それでは、国立大学法人等の第4期中期目標期間における業務の実績に関する評価につきましては、今御説明したような内容で進めていくこととしたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、本日御用意いたしました議題は以上となります。
 最後に、今後の日程等につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【事務局】  本日御審議いただいた議題4つについてでございますけれども、まず第3期中期目標期間4年目終了時評価につきましては、この会議終了後、各法人に対して評価結果を通知させていただきます。また、文部科学省のホームページにも掲載するとともに、総務省に置かれております独立行政法人評価制度委員会にも通知をさせていただきます。
 また、2番目の議題でございました組織及び業務全般の見直しについてでございますけれども、本日御意見を伺うという形になりますので、7月上旬に文部科学大臣から各法人に見直し内容を通知させていただく予定です。また、併せて、こちらについても総務省の独立行政法人評価制度委員会に通知をさせていただきます。
 また、3つ目の議題、中期目標・中期計画についてでございますけれども、7月末までに各法人から中期目標・中期計画の素案が出てまいります。その後、両分科会の下に置かせていただいておりますワーキンググループでの審議を経た上で、11月又は12月ぐらいに予定してございます次回の総会において、素案に対する意見について御審議を賜りたいと考えてございます。
 また、最後、4つ目の議題でございました第4期の法人評価の在り方についてでございますけれども、今回御審議いただいた基本的な考え方について、中期目標・中期計画の素案の検討に資する内容でもございますので、こちらについても各法人に周知をさせていただきます。また、併せて、これを基本的な考え方とした上で、来年度に向けて評価の実施要領の作成を進めていきたいと考えてございます。
 事務局からは以上でございます。
 
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の総会は終了とさせていただきます。円滑な会議運営に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
 
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