国立大学法人評価委員会(第62回) 議事録

1.日時

令和元年11月25日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 国立大学法人及び大学共同利用機関法人の平成30年度に係る業務の実績に関する評価について
  2. 指定国立大学法人の平成30年度に係る業務の実績に関する評価について
  3. その他

4.出席者

委員

車谷委員長、小林委員長代理、大滝委員、勝委員、熊平委員、近藤委員、鈴木委員、田籠委員、橘・フクシマ・咲江委員、長澤委員、深見委員、巻之内委員、松本委員、水野委員、村田委員、森委員、森山委員、山田委員

文部科学省

村田研究振興局長、森高等教育局審議官、山﨑文教施設企画・防災部長、田口サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官、淵上国立大学法人支援課長、浅原国立大学戦略室長、江戸国立大学戦略室長補佐、北岡国立大学法人支援課長補佐、西井学術機関課長、二瓶学術機関課推進連携専門官

5.議事録


【車谷委員長】  所定の時間になりましたので、第62回国立大学法人評価委員会総会を開会したいと思います。
 本日は、国立大学法人及び大学共同利用機関法人、指定国立大学法人の平成30年度に係る業務の実績に関する評価結果につきまして御審議いただくことになっております。
 なお、本日の会議は公開となっております。配付資料の確認の間、カメラ撮影が入りますので、御了承をお願いいたします。
 それでは、事務局から、配付資料の確認をお願いいたします。
【事務局】  まず、配付資料の確認に先立ちまして、前回総会以降の事務局の異動について御紹介させていただきます。
 7月9日付けで官房サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官に田口が着任しております。
【田口サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  よろしくお願いします。
【事務局】  また、7月9日付けで研究振興局長に村田が着任しております。
【村田研究振興局長】  よろしくお願いいたします。
【事務局】  また、遅参いたしますが、文教施設企画・防災部長に10月1日付けで山﨑が着任しております。
 また、御紹介が遅れましたが、私7月10日付けで国立大学戦略室長に着任いたしました浅原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、配付資料の確認に移らせていただきます。お手元にタブレットでお配りしております。御確認いただければと思います。上側のタブに①総会資料がございます。そこに資料一覧がございます。資料1から12まで、また参考資料は1から3まで、資料3につきましては3-1から3-9まで、評価結果(案)AチームからHチーム、大学共同利用機関法人のものをお配りしております。また、資料12につきましても、12-1から12-3まで分かれてございます。同じく参考資料1-1、1-2と分かれてございます。また、お手元に紙でもお配りしておりますけれども、タブ②机上資料を格納しております。そのほか、③国立大学法人評価委員会の概要、④国立大学法人法の参考資料を格納しております。御確認いただければと思います。資料の不足、また御不明な点がありましたら、事務局までお知らせください。
 以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。それでは、早速議事に移りたいと思います。
はじめに、指定国立大学法人を除く、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の平成30年度に係る業務の実績に関する評価結果(案)につきまして御審議いただきたいと思います。
 なお、委員が関係する大学がございます場合には、評価の客観性を担保する観点から、その大学に関する発言につきましては、控えていただければとお願い申し上げます。
 評価結果(案)の審議に入る前に、平成30年度評価の審議経過につきまして事務局から御説明をお願いいたします。
【事務局】  資料1を御覧ください。平成30年度評価に係る審議経過等についてでございます。
 平成30年度評価につきましては、平成30年6月末に各国立大学法人等から実績報告書を御提出いただいております。それを踏まえまして、国立大学法人、大学共同利用機関法人、それぞれ審議を進めていただいております。国立大学法人につきましては、AからH、八つのチームを設けまして、それぞれ専任委員の先生方に主査をお務めいただき、審議を重ねていただきました。国立大学法人につきましては、法人のヒアリングを行いまして10月29日に国立大学法人分科会、大学共同利用機関法人につきましても、ヒアリングを経て10月16日に大学共同利用機関法人分科会を開催いたしまして、評価結果原案についておまとめいただきました。その後、国立大学法人等へ評価結果原案の意見照会を行っているというのが本日までの流れでございます。
 本日の総会におきまして、評価結果(案)について御審議、御決定を頂きまして、総会終了後、各国立大学法人等へ評価結果の通知及び公表を行うという流れになってございます。
 以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。ただいまの御説明にありましたとおり、本日の評価結果(案)は各分科会で取りまとめていただきました。引き続きそれぞれの分科会長から、これまでの分科会における審議状況について御報告をお願いいたします。
 はじめに、国立大学法人について近藤分科会長よろしくお願いいたします。
【近藤委員】  それでは、私の方から、国立大学法人分科会における審議状況について御報告したいと思います。
 国立大学法人分科会では、指定国立大学法人5法人を除く、国立大学法人81の法人の平成30年度に係る業務の実績について、各法人から提出された業務実績報告書を基に、法人の規模ごとに編成した八つの基本チーム、AからHチームと呼んでいますが、それと、共同利用・共同研究拠点及び附属病院の二つの専門チーム等による審議結果を踏まえつつ、中期計画の達成に向けた年度計画の実施状況等を精査し、評価結果の案を作成いたしました。
 今回、国立大学法人分科会として取りまとめた評価結果(案)は、各法人にあらかじめ原案を示した上で、10月29日の分科会後の、10月29日から11月8日までの間に意見申立ての機会を設け、その申立て内容も踏まえて必要な修正を行ったものです。
法人化以降、各法人は寄附金や共同研究収入等の外部資金獲得のための取組を加速しています。また、昨年度に引き続き平成30年度においても、人事マネジメント改革や外部資金獲得の拡大の取組が継続するとともに、自己点検や評価の充実に向けた取組が増えています。この他、多様な財源による施設の整備や有効活用に加え、近年改正された制度を活用した新たな収入を伴う事業創設の取組も始まっており、多くの法人において業務運営上の工夫を講じています。
 評価結果といたしましては、全体評価において81国立大学法人全てを法人の基本的な目標に沿って計画的に取り組んでいると認めるとともに、北海道大学については、特別な記載を追加しています。
 項目別評価については、4法人を「中期計画の達成に向けて特筆すべき進捗状況にある」とし、各法人における「注目すべき点」の状況を踏まえた上で、延べ20法人を「中期計画の達成に向けて順調に進んでおり一定の注目事項がある」と評定しました。
 他方、年度計画の未達成や、前年度課題への対応不足、医学部医学科推薦入試における業務上の不備など、法人に管理責任があると認められる事件・事故の発生等により、3法人を「中期計画の達成に向けておおむね順調に進んでいる」とし、評定を落としています。これらの法人の改善すべき点については、各法人の自主的な改善に資する観点から、評価結果(案)で具体的に課題として指摘しています。
 この他、北海道大学について、昨年の12月から学長が不在となっている件について御報告します。本件については、国立大学法人制度が求める本来の組織・業務運営体制となっていない状況に鑑み、分科会での議論も踏まえ、全体評価に本件に関する項目を別途設けた上で、「強い懸念」を表明しています。詳細については、後ほど評価チーム主査であります森委員の方から御報告いただきます。
 なお、10月29日の分科会では、この北海道大学における学長不在について、長い時間を掛け、そして踏み込んだ議論を行いました。まだ結論が出ている案件ではございませんが、それぞれの四つの大項目の評価というよりも、全体評価の中でということで、事柄の重要性を考慮して異例の措置として、全体評価の中で懸念を表明するという形で対応しております。
 以上、分科会の御報告となりますが、業務運営、財務内容等を中心に、各項目の具体的な評定結果や注目される取組の詳細等については、各チーム主査や事務局から説明をお願いしたいと思います。
【車谷委員長】  近藤分科会長、ありがとうございました。それでは、これから主査の御説明というお話も近藤分科会長からありましたけれども、各チームを御担当いただきました主査の方々から補足をお願いしたいと思います。
 Aチームの森委員以下、B、C、D、E、F、G、Hと、Hチーム主査の清水委員は御欠席ですので近藤分科会長の方からということになりますけれども、順次お願いをしたい。各主査2、3分程度でよろしくお願いいたします。
【森委員】  それでは、Aチームの森でございます。Aチームの評価結果(案)について御説明申し上げます。机上資料1-1の1ページを御覧いただきたいと思います。
 評価対象大学につきましては、北海道大学から新潟大学までの大規模大学4大学であります。まず、先ほど分科会長からも御説明ありましたが、北海道大学について御報告させていただきたいと思います。
 北海道大学の学長不在については、令和元年7月に北海道大学総長選考会議より学長の解任の申出がなされており、現在、文部科学省において関係法令に則り必要な手続を行うべく、事実関係の確認が行われている最中であるということを承知しております。
 学長の不在、これは国立大学法人制度が求める本来の学長のリーダーシップの下での組織・業務運営体制となっていない状況であり、制度の趣旨や社会的影響に鑑みて、チームとしては、看過できない事柄であると考えました。このことから、これまでにない異例のことでありますが、「全体評価」において、本件に関する項目を別途設けた上で、「強い懸念」を表明することといたしました。資料3-1を御覧いただきたいと思います。
 一方、業務運営の観点からの項目別評価につきましては、従来、事案が全て終了した後、評価委員会として、その事案の発生経緯、経過、組織としての改善方策の内容等、法人の事後的な検証を踏まえた上で、評定を行うことと承知しております。従いまして、本件につきましては、文部科学省による処分決定後、法人による事後検証等を踏まえて、次年度以降、評価委員会として業務運営等の観点から検証を行い、項目別の評定を行うことと承知しております。
 平成30年度の評価に当たっては、年度評価チームとして、学長不在の4か月間の年度の計画の進捗について、実施体制等に問題がなかったか法人に確認を行いました。その結果、法人において、国立大学法人法及び法人の諸規定に則って、理事が学長の職務を代理し、年度計画については計画どおり実施されていると判断し、項目別評価では順調としております。
なお、本件に係る評価については今回で終了するわけではありません。文部科学省による処分決定後、法人の事後的な検証を踏まえた上で、それに基づき次年度以降、年度評価チームとして業務運営等の観点から検証を実施したいと考えております。
北海道大学については、以上でございます。
 それでは、他大学も含めた業務運営・財務内容等の状況について御説明申し上げます。机上資料1-1を御覧いただきたいと思います。
 Aチームにおいては、「特筆」に該当する法人はありませんでした。
 「一定の注目事項」として評定を一つ上げた法人とその要因について御説明申し上げます。
 まず、筑波大学であります。「業務運営の改善及び効率化」について、二つの注目事項があることから、「一定の注目事項」としております。一つは、「年俸制や混合給与を活用した人事給与制度に関する取組」です。中期計画で設定した年俸制適用教員比率や混合給与制度を活用したクロスアポイントメントシステム適用教員数の中期計画のKPI設定値を既に達成していることから取り上げました。二つ目は、「全学的な研究組織マネジメント体制の構築」です。研究センターを機能別に分類した上で、そのうち、先端研究センター群については、級別認定に応じた重点的・戦略的な資源配分を可能とする体制を整備するとともに、研究実績による評価体制も構築していることから取り上げました。
 次に、新潟大学です。「財務内容の改善」について二つの注目事項があることから、「一定の注目事項」としています。一つは、「外部資金獲得に向けた取組」です。リサーチ・アドミニストレーターと産学官連携コーディネーターの連携・協働を強化し、外部資金獲得の可能性がある事業や研究者について具体的に検討することにより、共同研究費及び受託研究費がそれぞれ前年度より45.2%、24.4%増加しているということで取り上げました。次に、「知的財産権活用に関する取組」です。創薬事業における国際ライセンスを活用するために、法人として予算措置を行い、出願経費を新たに負担した結果、海外企業との大型契約につながっております。知的財産を活用した収入の増加が著しいことから、注目事項として取り上げました。
 また、「おおむね順調」、「遅れている」、「重大な改善事項」の評定となった法人はありませんでした。
 評定に関する説明は以上でございますが、このほか、各大学の「注目すべき点」として配付資料1-1の2ページ以降に参考として幾つか挙げていますので、御覧いただきたいと思います。
 なお、Aチームにおいて千葉大学は、「特筆すべき点」また、「注目すべき点」は該当なしといたしました。
 最後になりますが、国立大学法人分科会後、大学に意見申立ての機会を付与し、筑波大学から意見申立てがありました。これは資料4で後ほど事務局が説明するということになっておりますが、業務運営の注目事項として、先ほど御説明申し上げた「全学的な研究組織マネジメント体制の構築」に係る取組の評定を「特筆」にしてほしいという意見申立てでございました。Aチームとしては、評定は原案のとおりとしております。
 また、軽微な誤字や事実確認につきましては、大学の指摘を受けて一部修正しました。
 以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。では村田委員。
【村田委員】  それでは、Bチームの評価結果(案)について御説明をさせていただきます。机上資料1-2の1ページを御覧いただければと思います。
 評価対象大学は、大阪大学から九州大学までの大規模総合大学の5大学です。指定国立大学法人である名古屋大学、京都大学は除いております。業務運営・財務内容等の状況について、大学ごとの項目の評価結果は表のとおりでございます。
まず、「特筆」の評定となった法人について申し上げます。「特筆」として評定を二つ上げた法人とその要因についてでございます。まず、大阪大学でございます。
 大阪大学は、「その他業務運営」の項目について、「特筆」としております。これは、箕面の新キャンパスに施設規模地上6階の約2万6,000㎡の図書館及び生涯学習施設として、箕面市の市立図書館、市立生涯学習センター、箕面市立文化ホールと一体的に整備することになっております。設置に当たりましては、箕面市が施設整備を、大学が図書館と生涯学習センターの管理運用を担うこととして、協定書が締結されております。図書館は、箕面市の蔵書に加え、大学の外国学図書館が有する60万冊の蔵書が広く市民に開放され、大学の研究に触れる機会を創出するとともに、生涯学習施設は、市民講座などに活用することによって、大学の学生・教職員と市民が交流する機会を創出することになっております。こういった取組は他法人のモデルになると判断し、「特筆」としております。
 「一定の注目事項」の評定となった法人とその要因について申し上げます。2ページを御覧いただければと思います。
 まず、岡山大学でございますが、「財務内容の改善」の項目について三つの注目事項があることから、「一定の注目事項がある」としております。一つ目の注目事項ですが、これは「間接経費割合の見直し」に関するものです。研究活動を行う際に必要となる間接経費の額を試算し、その割合が直接経費の約40%になっているということを確認した上で、共同研究における間接経費の割合を現状の10%から国の競争的資金と同程度の30%を標準とするとした点でございます。二つ目の注目事項でございますが、「知的財産権の維持・管理費用の抑制」に関してです。大学の単独保有の国際特許124件の維持・管理業務を、国際特許管理業務を行う会社へ委託することによって、海外特許の手続経費を約50%削減するなど、経費削減のための活動を行っている点を評価いたしました。三つ目でございますが、「第三者への貸し付けの対象の拡大を受けた土地の貸付」でございます。国立大学法人法第三十四条の二に基づきまして、文部科学大臣の認可を得て、当面使用する予定のない職員宿舎跡地を駐車場として民間に貸し付けることを開始したということでございます。以上の注目事項から一定の注目事項としております。
 次に、広島大学につきましても、「財務内容の改善」項目について二つの注目事項があることから、「一定の注目事項がある」としております。一つ目の注目事項ですが、「創立75周年に向けた新しい基金の充実」に関してです。創立75周年に向けて、「広島大学が躍動し広島の地を活性化させる基金」を立ち上げ、積極的に寄附を呼びかけた結果、基金は14件、7,203万円の寄附実績がありました。前年度と比較して大幅に増加している点を評価いたしました。二つ目は、「第三者への貸し付け対象の拡大を受けた土地の貸付」です。国立大学法人法第三十四の二に基づきまして、当面使用する予定のない職員宿舎跡地を駐車場として貸し付けております。
 次に九州大学に関してです。「業務運営の改善及び効率化」の項目について、二つの注目事項があり、「財務内容の改善」の項目につきましては、三つの注目事項があることから、それぞれ一定の注目事項があるといたしました。
 まず、「業務運営の改善及び効率化」につきまして、「『人』を中心とした部局の重点支援と、スペースの有効活用」に関して、今後大学の経営改革の方針として、「人」を重視した戦略である「九州大学ルネッサンスプロジェクト」を打ち出したことを踏まえ、大学の将来構想に合致した部局を重点的に支援する「大学改革活性化制度」を設け、組織改革やプロジェクトを対象とした制度から、部局の将来構想に基づいた人員提案を中心にしている制度に変更した点を評価してございます。二つ目につきましては、「外国人教員の雇用支援」についてです。国内外のすぐれた研究者の確保や定着を目的とした「配偶者帯同雇用制度」を平成29年7月に全国の大学で初めて導入した点を評価しております。
 続きまして、「財務内容の改善」については、3点あります。まず一つ目が、「業務上の余裕金の効果的な資産運用に向けた取組」に関してです。業務上の余裕金の運用について、平成30年5月の認定基準一部改正に基づく文部科学大臣の認定を受けて、戦略的な運用を行った結果、平成29年度に比べ3,100万増の運用益を得ている点を評価しております。二つ目は、「個人からの現物資産による寄附拡充の取組」でございます。個人からの現物資産による寄附拡充のため、九州大学基金に文部科学大臣の証明を受けた基金として「特例寄附資産等基金」を設置し、具体的な寄附の申込みを受け、当該資産の有効活用について売却を含め検討を開始している点でございます。三つ目の点でございますが、「電力小売自由化に対応した複数法人間での共同調達への移行」に関するもので、学内全ての低圧電力契約及び高圧電力契約を競争契約の対象とするとともに、観光庁及び民間企業等を含め全国初の試みとして、複数法人間で共同調達を実施し、総額1億7,500万円の経費削減を見込んでいるという点です。
 以上の点からそれぞれ注目事項としております。
 続きまして、「おおむね順調」として評定を一つ下げた法人について御説明をさせていただきます。
 神戸大学は、「業務運営の改善及び効率化」の項目につきまして評定を一つ下げ、「おおむね順調」としてございます。その理由は、医学部医学科の平成30年度推薦入学(地域特別枠)におきまして、地域に配慮した配点を行う旨を募集要項に明記しないまま実施していたことが判明したためです。このため再判定を行い、2名の追加合格が行われた事案です。地域に配慮した配点につきましては、医学部医学科内の推薦入試(地域特別枠)の実施委員会が、当該学科や全学の入試委員会の合意を得ないまま実施しており、入学志願者にとっては出願に影響を及ぼす重大な判断材料である合否判定基準について、学内で情報共有が十分図られておらず、また、入学志願者への適切な情報開示もなされないまま行われているなど、不適切な入試であった点を考慮いたしました。
 また、「遅れている」、あるいは「重大な改善事項がある」として評定を下げた法人はございません。
他の法人につきましては、評定に関する説明は以上ですが、各法人の「注目すべき点」、「遅れている点」につきましては、3ページ以降の参考として挙げておりますので、御覧いただければと思います。
 最後に、国立大学法人分科会後、大学に意見申立ての機会を付与したところ、各大学からの意見の申立てはございませんでした。
 以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。それでは、Cチームの森山委員、お願いいたします。
【森山委員】 Cチームの評価結果(案)について御説明いたします。机上資料1-3の1ページを御覧ください。
 評価対象大学は、小樽商科大学から滋賀大学までの文科系大学7大学及び大学院大学4大学の計11大学です。業務運営・財務内容等の状況について、大学ごとの各項目の評定結果が表のとおりとなっております。
 最初に「特筆」として評定を二つ上げた法人とその要因について御説明いたします。
 北陸先端科学技術大学院大学では、「業務運営の改善及び効率化」の項目について「特筆」としております。新たな年俸制の導入を契機とした人事給与体系の再構築とマネジメント改革に取り組んでおり、全学的な人事給与マネジメントの確立や運用を基に、アウトカム指標等による客観的で透明性のある業績評価への見直しや改善を図るとともに、准教授を対象とした新たなテニュアトラック制度の新設、それから国内外の研究機関・民間企業とのクロスアポイントメントの拡大を実施していること、特に職位ごとの固定給と教員の業績評価結果及び大学の間接経費等、収入を連動させた変動給からなる大学独自の新たな年俸制を構築した上で、令和元年度から運用することを決定しております。人事給与マネジメント改革を実現しているこのような取組は、他法人のモデルとなると判断をいたしました。その結果として「特筆」としております。
 次に、「一定の注目事項」としております3法人について御説明いたします。
 まず、小樽商科大学ですけれども、「財務内容の改善」の項目について二つの注目事項があることから、「一定の注目事項がある」としております。まず、「学術コンサルティング制度の創設による外部資金の獲得」です。共同研究、受託研究の枠組みではこれまで実施することが困難であったものについて、大学の専門知識に基づく指導及び助言をコンサルティングとして実施する枠組みを制度として創設しており、新たな外部資金の獲得につながっているという点です。二つ目は、「全学的な研究マネジメント支援による外部資金獲得増」です。グローカル戦略推進センター、これは以前から立ち上がっているセンターですけれども、その研究支援部門における科研費獲得増加に向けた支援を継続した結果、直近3年間の受入金額合計が約54%増となるとともに、第3期中期計画である外部資金獲得平成27年度実績比50%増を達成していることから、注目事項としております。
 次に、東京芸術大学ですけれども、「その他の業務運営」の項目について、二つの注目事項があるといたしました。一つ目は「地域に開かれたキャンパスの実現」です。クラウドファンディングや寄附等の多様な財源を活用した整備であり、学生・教職員、OB・OG、地域の方々を含む一般参加者、地方公共団体の職員とともに、地域に開かれたキャンパス作りを実現しているという点です。二つ目は、「国際藝術リソースセンターの竣工による教育研究・社会連携・情報発信機能の強化」です。大学が有する芸術資源の保存や活用、世界に向けた発信を狙うためにセンターを創設し、企業との共同事業として開設した「藝大アートプラザ」において、学生・卒業生等の作品を展示・販売するとともにキャリア支援を展開しており、教育研究成果を広く社会に発信、還元していることを注目事項としております。
 三つ目の法人、奈良先端科学技術大学院大学ですけれども、「業務運営の改善及び効率化」の項目について、三つの注目事項があることから「一定の注目事項がある」としております。一つ目は「エデュケーション・アドミニストレーター活用の取組」です。海外の大学・研究機関との新たな組織的連携構築を進める外国人教員、それから研究者、留学生の教育研究や生活の支援を実施する担当者を「エデュケーション・アドミニストレーター(UEA)」という新たな専門業務職として採用しているという点です。二つ目は「職員のSDのための取組」を行っていることです。この取組は、海外の大学において調査・事例研究を行う実践的な「海外SD研修」や習熟度に応じた「英語研修」を実施し、職員の国際対応力や語学力の強化を推進しており、事務局の全ての部署に高い英語力を有する職員を配置しています。三つ目は、「外国人教員等の増加の取組」を行っていることです。外国人教員の新規採用状況に応じた「外国人教員採用インセンティブ経費」を計上して重点配分を行うとともに、教員を戦略的に海外へ派遣するなど、外国人教員や海外での教育研究経験を有する教員の採用を積極的に推進しております。以上から、一定の注目事項があるとしております。
 続きまして、「おおむね順調」、「遅れている」、「重大な改善事項」については、Cチームにおいて該当する法人はありませんでした。
 その他の法人の状況につきましては、「注目すべき点」、「遅れている点」として3ページ以降に参考として挙げさせていただいております。
 最後に、国立大学法人分科会の後に、大学に意見申立ての機会を付与しましたところ、福島大学から、業務運営の注目事項として、「地域要請に対応した組織の設置に係る教育研究活動支援体制の構築」に係る取組を「特筆」としてほしいという意見申立てがありました。詳細については、後ほど事務局から説明があると思いますが、評定は原案のとおりとし、支援の内容を明確化するため記述の一部を修正しております。
 以上報告申し上げました。
【車谷委員長】  森山委員、ありがとうございました。それでは、Dチーム山田委員、お願いいたします。
【山田委員】  それでは、Dチームについて御報告いたします。Dチームの評価結果(案)につきましては、机上資料1-4の1ページを御覧ください。
 評価対象大学は、室蘭工業大学から鹿屋体育大学までの工科系単科大学を中心とした12大学でございます。業務運営・財務内容等の状況について、大学ごとの各項目の評定結果は表に挙げているとおりでございます。
 「特筆」の評定となった法人につきましては、Dチームでは評定を二つ上げた法人はございませんでした。
 「一定の注目事項」の評定となった法人とその要因について御説明いたします。「一定の注目事項」として評定を一つ上げた法人は、長岡技術科学大学でございました。当該大学では、「業務運営の改善及び効率化」の項目につきまして、三つの注目事項があることから、「一定の注目事項がある」といたしました。
 具体的には、海外スタッフディベロップメント、いわゆるSDによるグローバル化への対応と事務処理能力向上ですが、これでは3機関、長岡技術科学大学、豊橋技術科学大学、国立高等専門学校機構が連携して実施するグローバルSD研修におきまして、海外教育拠点、マレーシアのペナン校に事務職員を派遣いたしまして、グローバル化への対応と事務処理能力の向上を図っていることです。
 次に、インスティテューショナルリサーチ、IR推進室による経費削減の取組でございますが、こちらはIR推進室におきまして、各課室の予算執行データから事業内容の分析を行い、全学をあげた事業の見直し・廃止による経費削減案をまとめて、業務改善の促進と経費削減に取り組みました結果、平成29年度から平成30年度にかけて事業の縮小・廃止を実行して、段階的に約3,620万円の経費を削減することになりました。
 3点目でございますが、「業務の見直し及び事務の効率化」では、各課が業務改善策を作成し、改善目標を設定して業務改善を行い、四半期ごとに改善状況を事務連絡会議にて報告し、フォローアップをすることによりまして、旅費規程等の見直しによる業務の削減、業務時間の短縮、10月から3月期におきましては435時間の削減ということがされておりますほか、オープンキャンパスの運用方法の見直しによる業務負担の軽減、入試問題にかかる著作権処理の完全外部委託化等、改善提案を45件行いまして、その中で31件の改善が実質的に達成されていることがありました。
 以上から注目事項とさせていただきました。
 2ページ目を御覧いただければと思います。「おおむね順調」、「遅れている」、「重大な改善事項」の評定となった法人につきましては、評定が下がった法人はございませんでした。
 評価に関する説明は以上でございますが、この他、各法人につきまして「注目すべき点」や「遅れている点」を参考として幾つか挙げておりますので、御覧いただければと思います。
 なお、Dチームにおきましては、東京海洋大学と名古屋工業大学は「特筆すべき点」及び「注目すべき点」は該当なしという結果になっております。
 最後になりますけれども、国立大学法人分科会以降、大学に意見申立ての機会を付与いたしましたが、大学からの意見申立てはございませんでした。
 なお、軽微な誤字や事実誤認につきましては、大学の指摘を受けて、一部修正しております。
 以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。それでは、Eチーム、勝委員、お願いいたします。
【勝委員】  それでは、Eチームの評価結果(案)について御説明いたします。机上資料1-5の1ページを御覧ください。
 評価対象大学は、北海道教育大学から福岡教育大学までの教育養成単科大学11大学となります。業務運営・財務内容等の状況については、大学ごとの各項目の評定結果は表のとおりとなっております。
 評定につきまして、Eチームにおきましては、「特筆」及び「一定の注目事項」として評定が上がった法人はありませんでした。
 また、Eチームにおきましては、「おおむね順調」、「遅れている」、「重大な改善事項がある」として評定が下がった法人もございませんでした。
 評定に関する説明は以上ですけれども、各法人の「注目される点」、「遅れている点」としては2ページ以降4ページまでに参考として幾つか挙げておりますので、御覧いただければと思います。
 例えば2ページ、上越教育大学では、「『学校実習コンソーシアム上越』の設置」として、上越近隣4市の教育委員会及びそれぞれの校長会が協働し、学校実習を地域で支える体制整備を図ることを目的として、「学校実習コンソーシアム上越」を設置し、本機関は4市の教育委員会とともに分担金を拠出するなど、近隣4市との緊密な連携関係の下で運営されることとなっていることから、注目事項として取り上げさせていただきました。
 なお、Eチームにおきましては、鳴門教育大学は「注目される点」は該当なしとしております。
 最後になりますけれども、国立大学法人分科会後、大学に意見申立ての機会を付与いたしましたところ、大学からの意見申立てはございませんでした。
 軽微な誤字や事実誤認に関しましては、大学の指摘を受けまして、一部修正をしています。
 以上でございます。
【車谷委員長】  勝委員、ありがとうございました。それでは、Fチーム、長澤委員、お願いいたします。
【長澤委員】  Fチーム、長澤です。机上資料1-6を御覧いただきたいと思います。
 評価対象大学は医科単科大学4大学、附属病院を持たない総合大学9大学の合計13大学です。
 「特筆」として評定を二つ上げた大学は1大学、岩手大学です。これは2ページに記載されていますけれども、全国で初めて新築の教育施設を地方公共団体からの補助金を活用して整備したという点が評価の対象になっています。併せて、学長のトップマネジメントによる資源配分方針に則って、釜石キャンパスに重点的に配分しているというところで、このような取組は他法人のモデルになるのではないかと判断いたしました。
 「一定の注目事項」で評定を一つ上げたのが2大学です。一つは茨城大学です。茨城大学は、「ステークホルダーの意見を反映した大学運営の推進」ということで、学長のリーダーシップの下、アドバイザリーボードを頻繁に開催して、意見を教育研究のみならず、積極的に大学経営に反映させたということが一つです。もう一つは、「男女共同参画によるダイバーシティの推進」ということで、テレワークの試行、あるいは女性研究者への支援制度を総合的に推進するなどして、その結果、女性研究者の科研費の採択率が倍増したと、顕著な成果を上げているというところで注目いたしました。
 もう一つは、宇都宮大学です。1点目は「新たな教員業績評価の実施」ということで、「教育」「研究」等の各領域において、客観性を担保するために定量的な評価を導入し、評価の点数を学部別、職位別に平均点を算出して、レーダーチャートで各人が可視化できる制度としているという点です。もう一つは、「新大学院『地域創生科学研究科』の設置」です。これは4研究科を発展的に統合して、文理融合、分野融合の新しい研究科を開設し、全学生必修の「地域創生リテラシー」を開講、それから分野横断の研究を推進するということで、デュアル副指導教員制度を採ったということが注目に値すると評価させていただきました。
 「おおむね順調」として評定を一つ下げた法人が静岡大学です。これは御覧のとおりですが、テニュアトラック制度について、計画では教員10名の維持に努めるという年度計画に対して5名にとどまっております。さらに昨年度の課題に対応できていないということで、「おおむね順調」とさせていただきました。
 その他、「遅れている」、あるいは「重大な改善事項がある」大学はなしとしております。
 注目すべき点については、御覧のとおりです。
 そのほか、各大学から軽微な誤字修正以外、特に意見申立てはありませんでした。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございます。それでは、Gチーム近藤委員。引き続き、次のHチームもお願いいたします。
【近藤委員】  それでは、Gチームの評価結果(案)について御説明申し上げます。机上資料1-7の1ページをお開きいただければと思います。
 評価対象大学は弘前大学から島根大学までの、中規模で附属病院のある大学、主に東日本の12大学です。業務運営・財務内容等の状況について、大学ごとの各項目の評定結果は表のとおりです。
 Gチームにおいて「特筆」として評定を二つ上げた法人はありませんでした。
 次のページをお開きいただければと思います。「一定の注目事項」として評定を一つ上げた法人が3大学ございます。その要因について御説明します。
 弘前大学では、「財務内容の改善」について二つの注目事項があることから、「一定の注目事項がある」としています。具体的には、まず、「教員が起業したベンチャーへの有償譲渡等による知的財産権活用率の上昇」ということで、これは教員が起業したベンチャーへの有償譲渡及び相手企業の申し出による出願前譲渡等の大口の有償譲渡が7件、約630万円の実績があったことから、版権料・特許料収入が平成29年度約237万円から、平成30年度は約843万円と約3.6倍の増加になっております。そして、知的財産権活用率が対前年度比約41.0ポイント上昇の約55.5%となっていることをその根拠としております。
 2点目ですけれども、「コスト削減により生み出された財源の教育研究への活用」では、電力供給契約内容の見直しを行い、削減した2,700万円を若手研究者の外部資金獲得に向けた研究費の支援及び大学院生や外国人留学生への修学支援、海外協定校との交流事業など、教育研究における重点施策に対して配分していることから、注目事項としております。
 二つ目の大学、山形大学では、「財務内容の改善」について二つの注目事項があることから「一定の注目事項がある」としています。具体的には、「財務会計関係規則等の整備」では、経営を意識した規則に改定することを目的として、複数の規定等を財務会計事務取扱要領として一本化し、併せて統一した実務基準等の整備を行ったことにより、会計事務間の関係が明確になり、財務会計の事務改善、事務合理化等の環境整備が図られている点です。2点目の「収入増に向けた取組」では、学術指導契約の徹底化、ネーミングライツの導入、間接経費収入の増加に向けた「国立大学法人山形大学における間接経費取扱規程」の制定・施行を実施したこと等により、約1億3,000万円の収入増を達成していることから、注目事項としております。
 また、三重大学では「業務運営の改善及び効率化」について、二つの注目事項があることから、「一定の注目事項がある」としています。具体的には、ソフトウェアロボット、RPAと言いますけれども、その導入による業務効率化では、効率的な事務業務の遂行に向けて、消耗品購入情報の会計システムへの入力業務、「WEB賃金システム」への従業者の作業内容及び住所等の内容の入力業務にPC業務自動化ソフトウェアロボットを適用し、年間約180時間の業務時間を削減している点です。2点目の「柔軟な進路選択を可能とする工学部の再編」では、6学科から総合工学科の1学科への再編により、専門分野ごとのコース制を基盤としつつ、全てのコースにおいて1年次から工学共通基礎教育としてコア科目を履修し、工学共通の幅広い知識を身に付けること、また、学部・修士一貫コースにおいては、3年終了時に「卒業研究」か地域企業と連携した海外インターンシップを含む「長期インターンシップ」のいずれかの科目を選択可能とするなど、柔軟な進路選択を可能としていることから、注目事項としております。
 「おおむね順調」がある法人とその要因についてですけれども、「おおむね順調」として評定を一つ下げた法人とその要因について説明いたします。
 岐阜大学では、「業務運営の改善及び効率化」の項目について、「おおむね順調」としています。これは、「教育研究院において、各部局から提出された人事計画を審議し、全学的な戦略に基づき、若手教員の雇用を促進する」という年度計画に対して、若手教員の割合が前年度から1.2ポイント減の16.3%となり、若手教員の雇用促進ができているとは言えないため、年度計画を十分には達成していないものと認められる点を考慮いたしました。
 「遅れている点」、「重大な改善事項がある」として評定が下がった法人はありませんでした。
評定に関する説明は以上ですが、この他、各法人の「注目される点」や「遅れている点」として3ページ以降に参考として挙げております。
 なお、Gチームにおいては、群馬大学、山梨大学については、「注目される点」は該当なしとしております。
 国立大学法人分科会後、大学に意見申立ての機会を付与したところ、大学からの意見申立てはありませんでした。なお、軽微な誤字や事実誤認に関しては、大学の指摘を受けて一部修正しております。
 Gチームは以上です。
 引き続き、Hチーム主査の清水委員が本日は御欠席ですので、私から、Hチームの評価結果(案)について御説明いたします。机上資料1-8の1ページを御覧いただきたいと思います。
 評価対象大学は、信州大学から琉球大学までの、中規模で附属病院があり、主に西日本にある大学13大学です。業務運営・財務内容等の状況について、大学ごとの各項目の評定結果は表のとおりです。
 2ページを御覧ください。「特筆」として評定を二つ上げた法人とその要因について御説明します。
長崎大学では、「その他業務運営」の項目について「特筆」としています。医学伝習所を祖とする大学の伝統を活かし、学生及び教職員の更なる健康増進を図るため、「長崎大学ヘルシーキャンパスプロジェクト」を策定し始動しております。具体的には、大学生協との連携により18種類のオリジナルヘルシー弁当を販売開始するとともに、生活習慣病の予防を目的とし、学生及び教職員の食生活改善を図るため、ヘルシー弁当を活用したランチセミナーを開催しております。2番目に、望まない受動喫煙を防止するため、長崎大学禁煙実践方針を策定・実施しており、その一環として、保健・医療推進センター内に禁煙外来を令和元年度より開設することを決定し、教職員を対象にプレ実施を既に行っております。3番目、メタボリックシンドローム該当者の減少及び運動習慣を増やすことを目的として、学外企業と連携した運動サポート及び保健師による栄養指導を含む減量プログラムを作成し、職員を対象にプレ実施を行っています。こうした取組は、他法人のモデルとなるものと判断いたしました。
 「一定の注目事項」として評定を一つ上げた法人とその要因について御説明します。
 まずは徳島大学では、「自己点検・評価」の項目について、二つの注目事項があることから、「一定の注目事項がある」としています。具体的には、「組織評価の質の向上・効率化」について、組織評価では、これまで行われていた絶対評価に替えて、相対評価、達成度評価を試行的に導入することを決定するとともに、評価項目を全部局に関連する「共通項目」と各部局で選択する「選択項目」に区分し、各部局の特色も活かした組織評価を実施することとしています。このことを評価いたしました。2番目に、「月刊誌の発行による情報発信」では、創立70周年記念事業の一環として、地元企業と連携・協力し、国立大学初となる地域経済と大学をつなぐ月刊誌「企業と大学」を創刊し、県内企業の魅力を伝えるとともに、大学の取組を紹介していることから、注目事項としております。
 愛媛大学では、「業務運営の改善及び効率化」の項目について、二つの注目事項があることから、「一定の注目事項がある」としています。具体的には、「共同IRの導入」では、広島大学・山口大学・徳島大学とのコンソーシアムによるC-KPI(Common key Performance Indicator)を整備し、共通のKPIデータの他大学との比較を可能としたC-KPI等を活用して、学長の補佐体制の強化につなげる共同のKPIの具体的な活用方針を決定しています。次に、「年度計画を著しく上回る目標の達成」では、年度計画【61】に関して、平成30年度における女性管理職比率が17.9%となっており、年度計画に掲げる目標である「9%以上にする」を著しく上回っていると認められることから、注目事項としています。
 さらに熊本大学では、「財務内容の改善」の項目について、2つの注目事項があることから、「一定の注目事項がある」としています。具体的には、「間接経費の割合増額の取組」、自主財政基盤を強化するため、間接経費を10%から30%に増加することを決定し、また直接経費費目の追加見直しも決定している点です。2番目に、「財政基盤を強化する取組」では、資金管理規則改正及び資金運用管理細則制定を行い、文部科学大臣の認定基準1の承認を受けるとともに、平成31年度資金管理方針の見直しを行い、金利を0.03%から0.44%に増加させていることから、注目事項としております。
 また、宮崎大学では、「業務運営の改善及び効率化」の項目について、2つの注目事項があることから「一定の注目事項がある」としています。具体的には、「若手教員の雇用促進」では、科学技術振興機構の「テニュアトラック普及・定着事業」を活用し、長期的テニュアトラック教員採用計画について各部局で協議の上、若手教員の採用を行っており、平成31年3月末現在では若手教員は128名、比率としては19.2%となっており、中期計画で設定している13.4%を上回る結果となっているという点です。2点目に、「女性教職員の登用促進」では、自然科学系分野における女性教授が少ない状況を踏まえ、「女性教員の上位職への登用のためのポジティブアクション(アテナプラン)」に基づき、女性の登用を進めることで、役員等管理的立場にある女性教員数、各部局における女性管理職がいずれも中期計画に掲げる目標値を達成できていることから、注目事項としています。
 その他、「おおむね順調」、「遅れている」、「重大な改善事項がある」として評定が下がった法人はありませんでした。
 評定に関する説明は以上ですが、このほか、各法人の「注目すべき点」として3ページ以降に参考として挙げております。
 最後に、国立大学法人分科会後、大学に意見申立ての機会を付与したところ、大学からの意見申立てはありませんでした。
 なお、軽微な誤字や事実誤認に関しましては、大学の指摘を受けて、一部修正しております。
 Hチームの報告は以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございました。それでは、引き続きまして大学共同利用機関法人につきまして、小林分科会長から御説明をお願いいたします。
【小林委員長代理】  大学共同利用機関法人の評価結果(案)について御説明いたします。お手元の机上資料1-9とタブレットの資料3-9を御覧いただければと思います。
 業務運営・財務内容等の評価結果(案)は、机上資料のとおり、自然科学研究機構の「自己点検・評価」と、高エネルギー加速器研究機構の「財務内容の改善」について、「一定の注目事項がある」とし、各法人のそれ以外の項目については、いずれも「順調」としております。
 特徴的な取組として、自然科学研究機構の「自己点検・評価」では、「プレスリリース配信サービスEurekAlert!を活用した結果、総閲覧数が過去最大の15万件となり、国際的な認知度向上に大きく貢献したこと」と、「研究所と動画配信会社との共同企画によるインターネット中継で270万件のアクセスを配信したアウトリーチ活動」の2点を注目すべき点として取り上げ、「一定の注目事項」としております。
 高エネルギー加速器研究機構の「財務内容の改善」については、施設利用収入による加速器運転を行う「PF産業利用促進日」を新たに設け、産業課題で施設を利用する企業の経費負担により施設を稼働させ、その活動時に空いているビームを大学等学術ユーザーの共同利用課題に利用してもらうことで、学術ユーザーの共同利用件数を減らさずに運営費交付金を節約したこと、そして、ESCO事業の契約方法を工夫して、省エネルギー化を推進して、電気料金の抑制をしたことの2点を注目すべき点として、「一定の注目事項」としております。
 なお、このESCO事業の契約方法の工夫により、老朽設備の更新を前倒ししてインフラ長寿命化計画を当初予定の2倍に行ったことから、「その他の業務運営」においても注目すべき点として取り上げております。
 また、情報システム研究機構は、「財務内容の改善」で、「LINEとの包括的な共同研究を締結し、年間1億円の研究資金を受け入れて、大学や自治体とともに共同研究を推進していること」など、「業務運営・財務内容の4項目」から各1項目ずつ計4点を注目すべき点として取り上げております。
 このほか、教育研究面では、自然科学研究機構における「すばる望遠鏡の共同利用観測による巨大ブラックホールの発見」や、人間文化研究機構における、降水量の指標となる、樹木年輪の酸素同位体比を用いて、世界最長の5,000年間にわたる日本の降水量を年単位で復元することに世界で初めて成功したことなど、多くのすぐれた研究成果を注目すべき点として取り上げております。また、戦略性が高く意欲的な目標・計画の取組として、各法人では、共同利用・共同研究の質的向上、異分野融合・新分野創成、人材育成を目指す取組などを進めております。総じて機構4法人、機構長のリーダーシップの下、機能強化の取組が着実に推進されていると感じております。
 なお、4法人いずれも、評価結果原案に対する異議申立てはありませんでした。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございました。それでは、最後に事務局からの評価結果及び意見申立てといろいろ御説明ございましたけれども、これへの対応等につきまして御説明をお願いいたします。
【事務局】  資料2を御覧ください。国立大学法人等の平成30年度評価結果(案)についてでございます。
 まず、国立大学法人等の年度評価についてということで総論を記載しております。1点、二つ目の※印でございますけれども、教育研究の状況に係る中期目標の達成に向けた評価につきましては、その特性に配慮いたしまして、4年目及び6年目終了時の評価で行うこととなってございまして、特に注目に値するものがあれば、各チームにおいて注目すべき事項として評定は付けずに取り上げていただいているところでございます。
 続きまして、全体評価でございます。85法人中85法人が中期目標全部に掲げる法人の基本的目標に即して計画的に取り組んでいると認められるところでございます。
 項目別評価の総評でございます。以下のとおり4項目について6段階の評定で進捗状況をお示ししております。
まず、評定区分、「特筆すべき進捗状況にある」というところで、項目、業務運営の改善・効率化、1法人、これは北陸先端科学技術大学院大学の人事給与マネジメント改革が該当いたします。その他業務運営の3法人につきましては、岩手大学、大阪大学、長崎大学が該当いたします。
 その下の評定、「一定の注目事項がある」でございますけれども、平成30年度につきましては二つ以上の注目事項がある場合にここに該当するという形になってございまして、御覧の法人数となってございます。
 三つ目、「順調に進んでいる」となっているところですが、大多数の法人がこちらに該当しているということでございます。
 四つ目、「おおむね順調に進んでいる」というところで、「業務運営の改善及び効率化」で3法人該当しております。岐阜大学、静岡大学、神戸大学、この3法人が該当しております。
 ページをおめくりいただきまして、1ページ飛ばしまして3ページ目でございます。平成30年度評価結果の特徴でございます。こちらにつきまして、それぞれ法人数も併せて記載しておりますけれども、委員会におきまして、「特筆すべき点」又は「注目すべき点」とした法人数でございます。
 まず、意欲と能力のある教員がより高いパフォーマンスを発揮する環境の整備等に関する取組、こちらについて29法人。また、外部資金獲得の拡大に向けた取組ということで23法人。多様な財源による施設の整備や有効活用の取組、17法人。自己点検・評価の充実に向けた取組、9法人。新たな収入を伴う事業創設の取組、6法人といたしまして、こうした特徴が平成30年度評価結果については見られるところでございます。
 次ページ以降、ページをお進めいただきながら御覧いただければと思います。先ほど御紹介ございました「特筆すべき点」で岩手大学、5ページ目大阪大学、6ページ目長崎大学、7ページ目北陸先端科学技術大学院大学といった形で特筆事項を記載しております。
 次ページ以降につきましては、それぞれ4項目についての注目すべき点を御紹介しております。時間の関係上、説明は省略させていただきますけれども、こうした様々な取組が進められているところでございます。
 最後の20ページでございます。先ほど各主査から御紹介がございましたけれども、遅れている点といたしまして、以下の項目が挙がっているところでございます。年度計画の一部未達成ということで1法人、岐阜大学です。前年度課題への対応不足、2法人ということで静岡大学、神戸大学です。また、事件・事故ということで8法人11件、医学部推薦入試における不適切事案、神戸大学など、御覧の法人件数になっております。
 また、Aチーム森主査から御説明がございましたけれども、その他といたしまして、北海道大学における状況につきまして強く懸念されるという旨を、全体評価において御指摘をいただいているところでございます。
 続きまして、資料4を御覧ください。評価結果原案を踏まえまして意見照会を行いましたところ、2法人から申立てがございました。1法人目、福島大学でございます。Cチーム森山主査から御説明がございました。
 この福島大学につきましては、新たな教育研究組織として農学群食農学類の設置についての取組につきまして、現在注目事項となっておりますけれども、こちらを一つ上げて、特筆事項としてほしいという申出でございました。この点でございますけれども、本取組に関する取組はこれまでも注目事項として取り上げられているということ、また、自治体と連携した教育研究活動支援体制の構築という方法につきましては、他の法人でも幾つか取り組まれているところということで、特筆までには至らないということで原案のとおりという形にさせていただいております。また、支援の種別を明確化するために記述の一部修正をさせていただいております。
 2法人目、筑波大学でございます。この点につきまして、筑波大学からは全学的な研究組織マネジメント体制の構築について、特筆すべき点ということで評定を上げてほしいという申出がございました。この点につきましてですけれども、特筆すべき点につきましては、法人から提出されました実績報告書の記述に基づきまして検証を行っているところでございます。法人からいただきました申立て理由に記述されております内容につきましては、提出された実績報告書に記述がなかったこと、また、評定に当たりましては、もともとの記述の範囲における取組、成果の状況を総合的に勘案するということになってござい+まして、原案のとおりと御判断いただいているところでございます。
 以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。各主査の方々からも非常に詳細な、今も事務局からも詳細な御説明ございましたけれども、これらの御説明に関しまして御意見、御質問等ありましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いいたします。
【巻之内委員】  巻之内です。ちょっと、お聞きしていまして違和感を抱くことがあるのですが、遅れている点について、事件・事故が発生し、法人の管理責任があるものも幾つか挙がっています。例えば、福岡教育大学の労働組合法における不当労働行為ですとか、あるいは大阪大学の研究活動における不正行為、あるいは学位論文における研究不正、東京芸術大学における、やはり入試の関係とかいうようなものが、事件・事故の類いで指摘されていますけれども、それは「おおむね順調」の枠に入ってしまうので、何ともちょっと違和感があるのです。
 やっぱりこういう問題って一言で言えばコンプライアンス違反の問題です。コンプライアンス違反の問題について、業務の運営だとか財務内容の状況、あるいは年次計画の到達程度、こういった枠組みと一緒にしちゃっていいのかなと。一緒にしちゃっているから何となく聞いていて違和感が出るのではないかなと思いまして、本年度でなくて結構です、今後の検討課題としてお願いしたいのですけれども、こういったコンプライアンス違反については、今回の北海道大学の書き方のように、事業計画とはちょっと別枠の課題として、指摘するというような感じで、枠外に出しておいた方がいいのではないかなという気はいたします。
 それから、これについての評価の言葉なのですけれども、例えば福岡教育大学の書き方でいきますと、法令に則った業務運営を実施することが望まれる、それから例えば大阪大学のそのさっき申し上げた2件についても、再発防止に向けた組織的な取組を引き続き実施することが望まれるというやわらかい表現で抑えているのです。これは評価する側の姿勢としてこういう言葉しか使えないのかなとは思うのですが、本来コンプライアンス違反したのであればもっと厳しく言っていいのではないか。実施するべきであるとかという言葉を使って構わないのではないかなという感じがいたしました。
 そのコンプライアンスの関係と業務運営の関係は切り離していった方がいいのではないかというのが私の意見です。今後の検討課題にしていただければ結構です。
【車谷委員長】  ありがとうございます。現在の評価制度につきましては、各法人が定める中期計画について、中期計画の達成に向けた進捗状況評価を行うというたて付けになっているのですけれど、大きな組織ですから、その間に起こる突発的なコンプライアンス問題は、起こってはいけないのですけれども起こった場合の評価の仕方、外枠なのか内枠なのかということも含めて今どういうスタンスで、今事務局の方は考えておられるのかお願いします。
【事務局】  御指摘ありがとうございます。
 まず、現在の評価の方法につきまして、評価の枠組みとして、特筆すべき点、注目すべき点、遅れている点という形で整理をしておりまして、この遅れている点の中に、おっしゃるようにその年度計画の未達成でありますとか、前年度への課題の不十分という中と一緒に、事件・事故が発生して、法人の管理責任がある場合という形で整理がなされているところでございます。今後、御指摘、御意見を踏まえまして、こうした遅れている点の中でも分類といいますか、そういったことができるかどうかということも含めて、事務局において検討させていただきたいと思います。
 以上でございます。
【車谷委員長】  神戸大学の医学部の推薦入試における不適正事案につきましては、この御指摘が反映されているということになっておりますので、巻之内委員がおっしゃるように、ものによって反映しているものと反映していないものがあるということで、これは程度問題ということで、当然そういうことになろうかと思うのですけれども、コンプライアンス事案をどれぐらい強く打ち出していくのかについては一つの課題だと思いますので、今御指摘いただいた点は、内部的にも政府の方にも検討してもらいたいと思います。お願いします。
【橘・フクシマ・咲江委員】  今のコンプライアンスの問題ですが、私もお話を聞かせていただいて大変違和感がありました。これだけ様々な問題があって、それで「順調」というのは、確かに定義が計画の進捗に対しての評価なので順調に進んでいるというのも確かですが、出来れば違うカテゴリーで定義して、例えば研究費の不正流用ですとか、アカデミック界で起こっている様々な課題を認識しておくことも必要だと思います。ここには民間の方もいらっしゃいますが、民間であれば首になるような課題もあるように思いますので、そういうコンプライアンスの問題があるにも関わらず、「順調」という表現は、私も伺っていて大変違和感がありました。ですので、是非御検討いただければと思います。
【車谷委員長】  了解しました。今の御指摘以外、では水野委員どうぞ。
【水野委員】  ありがとうございます。昨年と同じコメントになってしまうかもしれませんし、昨年と同じ人をフォローアップしているような気もするのですが、やっぱりコンプライアンスのところが、不正が起きた不正の検証とそのフォローアップということになっていて、不正等を防ぐためのシステム構築にどういうエネルギーを割いたかというところは、多分評価項目になっていないのではないかな、私はチームに入っていないので正確じゃないかもしれないのですけれど、そういうふうに昨年も感じました。
 すると、何も起きていないときは点数がよくて、起きたら点数が悪くなるというのを繰り返すだけですので、システムとしてのコンプライアンス体制の評価というのをもう少し入れる方法はないでしょうかというふうに思っております。
【車谷委員長】  当然、各大学いろいろ問題起こったときには、再発防止ということで検討されて、内部的には当然そういう施策を打たれているということですので、何もしてないということはないと思うのですけれども、そういったものを今御指摘のように同じ話になるかもしれないのですけれど、やはり同じことを繰り返さないということが一番大事なことですから、そこを今御指摘幾つか、3ついただいて、同じ問題だと思いますので、どのようにそれを扱っていくのかというのは、しっかりと受け止めたいと思います。それでよろしいですか。どうぞ、鈴木委員。
【鈴木委員】  今の問題と一緒なのですが、例えばコンプライアンス違反をした場合については、一般企業では必ず対策とか改善とか施されます。ですからもし、「順調で普通」にするのであれば、どういう改善ができたのか、どう変わったのかという点も、少しコメントとして入れていただくことによって、先程の御質問は少しクリアになるかと思います。その対策も改善も何も打っておらず、今検討中ということであれば、おっしゃったように順調ではないとの判断をしてもいいような気がします。
【事務局】  御指摘ありがとうございます。
 まず、コンプライアンスの数の関係で、その起こった問題を防ぐ、またその不正があったことに対するフォローアップの構築という点についてでございますけれども、この遅れている点の中の前年度課題への対応不足は、今回2法人ございますけれども、前年度、課題として指摘した点にどのように対応しているのかという点につきまして、評価チームの中でも御覧いただいて、また法人からの報告を求めて、評価チームでも御審議いただいているところでございます。そして、それが不十分であるか十分であるかという観点から、御議論を行っていただいているところでございます。
 また、そういった点で、その事件・事故があった後に法人がどういう対応を取ったかということ、その事後方策ということにつきましてもフォローアップを行っておりまして、今回はちょっとその概要の中で見えるような形になってないという点が御指摘のとおりでございまして、ちょっと工夫できるかどうか、来年度に向けて検討をしたいと思いますけれども、きちんとその方策を取っているかどうかということにつきましては、評価チームの中で御議論いただいているところでございます。
【小林委員長代理】  それと関連してですが、資料2の20ページ見ますと遅れている点、例えば大阪大学が全部で3点ぐらい挙がっていますが、これを業務運営の改善で見るのか、あるいはその他の業務運営で見るか、多分どちらでも見てないと思うのです、順調と特筆になっていますから。業務運営の方でいうと、例えば年俸制であるとか人事マネジメントとか、そういう面から見ているのが多いと思います。
 そういうことで言うならば、平成26年8月の文部科学大臣決定以降、こういう例えば研究費の不正使用とか研究の不正行為というのは、本人の自己責任だけではなくて、本人が所属する研究機関の機関責任も問うことになっております。その後の集中準備期間は平成27年3月末までで終わっていますから、これをもし大学法人評価に反映するならば、やはり法令等の遵守というのを別立てにしてそこで見ないと、逆にこれを業務運営で入れてしまうと、では業務運営で努力している部分が今度消えてしまうという問題もありますから、私は巻之内委員が指摘しているとおり、別立てで立てるということが、ある意味ではその文部科学大臣決定をこの法人評価にも反映しているということになると思いますので、是非次年度以降の課題として御検討いただければと思います。
【車谷委員長】  いろいろ御議論いただいて、大分収れんしてきていると思いますので、最初の巻之内委員の御指摘、別立てというのは一つのアイデアかと思いますので、そういった対応も含めまして事務局の方で検討させていただければというふうに思います。どうぞ。
【深見委員】  注目すべき点と、それから各項目の評定との関係なのですけれども、例えば資料1-9の大学共同利用機関法人のところを見てみますと、一定となった自然科学研究機構や高エネルギー加速器の研究機構では、同じ項目で注目されるところが2点あったから一定となったのに対して、例えば情報・システム研究機構は、業務運営で一つ、財務内容の改善で一つというようなところで、注目される点というところが分かれてしまったために上の評定に行けなかった、そういうふうに解釈しているのですけれども、それでよろしいですか。もしそうだとしたら、全体的に各項目で一つ、幾つということのほかに、やはり全体的なことをすくい上げていくというようなことがあってもいいのかなと思いました。
【車谷委員長】  これはちょっとまず、小林委員。
【小林委員長代理】  御指摘のとおりで、各項目において注目すべき点が二つ以上ある場合は一定と。それでないときは順調というふうにしておりますが、何かそれは情報・システム研究機構にとって不公平ではないかというふうに思われるかもしれませんが、そうでなくて、自然科学研究機構も高エネルギー加速器研究機構も、財務内容とか自己点検のところで二つありましたが、それ以外のところでも注目すべき点はもちろんあります。
 ですから、それ以外になかったわけでなくて、ほかのところでもありますが、それは一つずつであったということです。したがって総体として何かそこに不公平が生じているというわけではないということは御理解いただきたいと思います。
 なお、4項目全体を通して総合的な評価を付けるかどうかというのは、これは国立大学法人分科会との総合的な話になりますから、また別の課題として考えるかどうかということになると思います。
【車谷委員長】  よろしいですか。
【深見委員】  はい。
【車谷委員長】  それでは、一つ目の御議論は先ほどのような形でお受けしたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の平成30年度に係る業務の実績に関する評価結果については、この案のとおり決定するということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、そのように進めたいと思います。
 次に、指定国立大学法人の平成30年度に係る業務の実績に関する評価結果(案)につきまして、御審議いただきたいと思います。平成29年度に指定国立大学法人に指定された5法人につきましては、指定国立大学法人の指定構想を踏まえた中期目標・中期計画に基づき事業を実施しておりまして、指定構想を踏まえた年度評価を今年度から開始しております。
 まずは、指定国立大学法人の制度につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【事務局】  資料5を御覧ください。指定国立大学法人制度についての概要でございます。
 平成29年4月に教育研究水準の著しい向上とイノベーションの創出を図るため、文部科学大臣が世界最高水準の教育研究活動の展開が相当程度見込まれる国立大学法人を指定国立大学法人として指定することができる制度を創設しております。
 2ポツのところでございますが、指定の条件でございますけれども、指定国立大学法人は国内の競争環境の枠組みから出て、国際的な競争環境の中で世界の有力大学と伍していく必要があるため、研究力、社会との連携、国際協働の三つの領域において、既に国内最高水準に位置しているということを申請の要件として設定をしているところでございます。また、下にございますように、指定国立大学法人に関しましては、研究成果の活用促進のための出資対象の範囲の拡大でございますとか、一定の特例が認められているところでございます。
 右側を御覧いただきまして3ポツでございます。指定国立大学法人につきましては、外国人有識者を含む外部有識者から成る指定国立大学法人部会において御審査いただきまして、文部科学大臣はその意見を聞いて指定を行うという形になってございます。現在のところ、下の部分でございますけれども、7法人が指定されております。平成30年度評価の対象となりますのは、このうち東北大学から名古屋大学までの平成29年度中に指定された5大学でございます。
 続きまして、資料6を御覧ください。指定国立大学法人の平成30年度評価に係る審議経過等についてでございます。平成30年6月末に各指定国立大学法人から実績報告書の提出をいただきまして、指定国立大学法人部会において2回、御審議いただきました。国立大学法人分科会におきまして評価結果原案をおまとめいただきまして、その後、原案の意見照会を各指定国立大学5法人に行いまして、本日御審議いただくという流れになってございます。こちらも同様に、総会終了後、評価結果の通知及び公表を行うこととなってございます。以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。本日の評価結果(案)につきましては、指定国立大学法人部会で原案を作成いたしまして、国立大学法人分科会の方で取りまとめをしていただきました。
 それでは、近藤分科会長から御報告をお願いいたします。
【近藤委員】  それでは、国立大学法人分科会における指定国立大学法人の評価の審議状況について御報告します。
 去る10月29日の分科会においては、指定国立大学法人部会の相澤部会長から御説明いただいたところですけれども、本日総会御欠席ということから、私の方から内容の説明をさせていただければと思います。資料は7、8、9を使ってという形になります。
事務局からただいま指定国立大学法人制度について御説明いただきましたけれども、指定国立大学法人に期待されることは二つでございます。一つは、国内の競争環境の枠組みから脱却して、国際的な競争環境の中で世界の有力大学と伍していくこと、二つ目は、具体的な取組や成果を積極的に発信し、国立大学改革の推進役としての役割を果たすこと、この2点でございます。こうした期待に指定国立大学法人は応える必要があることから、指定国立大学法人評価ではその観点を強調しております。
 平成30年度評価の対象法人は、平成29年度中に指定された東北大学、東京大学、京都大学、東京工業大学、名古屋大学の5大学となります。
 資料7を見ていただきますと評価の観点をまとめております。評価の特徴としては、各国立大学法人が国際ベンチマークとしている指標や海外有力大学の目標や取組等との比較がなされているかを確認し、評価を進めること、また、評価結果の取扱いとしては、要素別評価と全体評価を行っております。
 この中で、全体評価が極めて重要です。要素別評価として「順調に進捗している」といった結果が出ていますが、このままではただ単に順調であるような表現となり、社会の期待に明確に応えていないと考え、特にすぐれた取組を全体評価で明確に位置付けて積極的に評価することとしております。
 資料8を御覧いただければと思います。下半分の方に記載されている国際ベンチマークに御注目いただきたいのですけれども、各法人は、対象校とする定評のある海外の大学を特定し、指標や取組等を国際ベンチマークとして参考にし、それぞれの要素、これらの6項目でございますけれども、人材育成・獲得、それから研究力の強化、国際協働、それから社会との連携、ガバナンスの強化、そして財務基盤の強化において取組を実施していますが、その中で特に進んでいる取組の状況をお示ししています。
 資料8の2ページ以降、各法人におけるすぐれた取組について紹介することとしています。具体的にはまず、東北大学においては、ハイデルベルク大学やインペリアル・カレッジロンドン、シカゴ大学の取組を参考とし、「高等研究機構」を頂点とした「3階層研究イノベーションシステム」の構築に取り組み、若手研究者ポストを整備しています。
 その次のページですけれども、東京大学においては、ベンチャー育成・学術成果の社会への還元として、指定国立大学法人の特例を活用して「東京大学エクステンション株式会社」を設立しています。
 4ページには、東京工業大学においては、新領域・融合領域の研究領域開拓のため、「量子コンピューティング研究ユニット」を発足し、若手研究者が研究に集中できる環境を提供しています。
 次のページ、名古屋大学においては、「若手育成プログラム」事業の規模を拡大するとともに、若手教員にテニュアを付与する助教制度を制定しています。
 次の京都大学においては、従前の白眉プロジェクトを踏襲した「グローバル型」に加え、「部局連携型(テニュアトラック型)」による若手研究者採用のスキームを確立しています。
 指定国立大学法人の評価を実施するのは今回が初めてとなりますが、大きな特徴としては、さきに申し上げましたように国際ベンチマークとなります。国内の競争環境から脱却し、世界の有力大学と伍していくために設定されています。
 資料9が各法人の評価結果になりますが、結果の中にグラフで表現している部分があります。各法人における目標の達成に向けて、現状がここであるという形を分かりやすく示しており、ここには国際ベンチマークに基づくものもございます。次年度以降は、今後の課題として、各大学の構想及び関連する指標が進捗することにより、実際に世界トップレベルにどの程度近付くのかが分かるような評価の在り方を検討していきたいと考えております。
 以上、相澤部会長の方から説明があったことをまとめました。このほか、委員の皆さん方からもし補足がございましたら、頂ければと思います。
【車谷委員長】  何か補足、どうぞ。
【大滝委員】  今回初めてということもあって、どのように評価していいかというのは部会の中でもいろいろ議論がありました。初めてということもあって、基本的には全て順調という形で一くくりになるという流れの中で、やはり各大学一生懸命、ベンチマーク大学を見ながら改革を進めているということもありまして、そういうところをできるだけ知らせると、これが一つのお手本になるという形でまとめていただくようにという形で今進めてきたということもありまして、基本的にはまだ順調ですけれども、今後いろいろ変化が起きてくるのではないかというふうに思っております。
【車谷委員長】  ありがとうございました。それでは、事務局の方から意見申立てへの対応等について御説明お願いします。
【事務局】  資料10を御覧ください。東北大学から1件申立てをいただいております。人材育成獲得の要素にございます、若手研究者の活躍の場を創出する取組についての評価でございますけれども、原案順調に進捗しているというところで評定を1つ上げて、計画を上回って進捗しているという形にしていただきたいということでございます。この件につきましては、原案のとおりとさせていただきたいというふうに考えております。
 理由でございますけれども、博士後期課程学生への経済支援につきまして、支援は拡大をしているものの、対象者への支援につきまして大学独自のものではないもの、例えば国費による支援でございますとかそういったものも含まれておりまして、引き続きこの取り組み状況を確認する必要があるということ、また、人材育成獲得の要素の一部の項目であり、要素全体の評定として総合的に判断いただきまして原案どおりとさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。それでは、ただいま御説明ございました。御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。どうぞ。
【松本委員】  松本です。御説明ありがとうございます。1点確認と1点質問がございます。
 確認は、そもそもこの指定国立大学が始まるときの議論の中で、世界最高水準の教育研究活動の展開をするに当たって、大幅な規制緩和を行っていくという議論があったと記憶しております。その中に例示として例えば定員管理を大学に任せるであるとか授業料の話があったというふうに記憶しています。
 既に評価が始まっていますが、世界最高水準の教育研究活動を海外の大学と行って競っていくからにはやはり、スタートをそろえる必要があるというのが議論の焦点だったと思うのですが、これはどうなったのかということを、今後評価をしていくのであれば確認させていただきたいというのが一つです。
 もう一つ質問は、この指定国立大学に選ばれたことで、その当該の国立大学にどんなメリットがあるのか、それも教えていただけないでしょうか。
【車谷委員長】  それでは、事務局の方からお答えいただきましょう。
【事務局】  まず、規制緩和の1点目の部分でございますけれども、先ほど資料で御説明を申し上げましたように幾つか特例は設けられているところでございますけれども、まだまだこの規制緩和というものは進めていく必要があるだろうと考えてございます。
第4期に向けて新たに指定国の公募を現在行っているところでございますけれども、その中でまた、申請する法人からの要望というものも聞くような形にしてございまして、法人の要望を踏まえた形で検討を進めていきたいと考えております。
 また、2点目、お答えが重なるかもしれませんけれども、どういったメリットがあるのかというところでございますけれども、現在のところ、そういった特例が適用されるということ、また将来的にそういった特例というものも検討されているということ、また、この指定国の申請に当たりまして、非常に学内で積極的な御議論などもいただきながら、大学の法人の改革なども進めていただいているところでございますので、今後申請する大学におかれましては、そういった活発な御議論をいただきながら、積極的な改革というものを進めていただきたいというふうに思っているところでございます。
 また、海外の大学との連携といった中でも、この指定国であるということを打ち出して連携を行っているという事例もございますので、そういった部分におきましても指定国立大学法人制度、一定のメリットがあるというふうに考えております。
【車谷委員長】  では水野委員。
【水野委員】  ありがとうございます。初めてということで、多分評価される方々も試行錯誤で大変だったかとは思います。
 私、この指定国立大学を設定するときのもともとのワーキンググループの委員をやらせていただきましたので、そのときの記憶から幾つか質問したいと思っていることがあるのですが、まず一つは、ちょっと松本委員の質問の反面、裏側なのかもしれないのですけれど、この議論をしていたとき、やっぱり、その規制緩和や大学にどれだけの自由を持たせるかというのが大きなテーマだったはずで、だとすると評価されるべきは大学だけではなくて、実は文部科学省側がこの間にどういうその積極的な取組を行ったかということを、やっぱり評価していただきたいというのが一つ。
 二つ目は、その海外の大学のベンチマークの点で、海外での国際的な大学ランキングをどう使うかという議論はかなりされたというように記憶しているのですけれども、やはりこういう大学に関してはそのランキングでも当然上位に入ってくれというのは要請をそのときにしていたと思いますので、そのあたりのトラッキングができているかということ。最後ですけれども、もう一つ、私の本職でもあるのでかなり何度も質問を受けた記憶があるのですが、やっぱり財政基盤の拡充ということで、寄附金とそれの運用をもっと積極的にやる、あるいは不動産の有効活用なども検討するということがあったと思うのですけれども、そのあたりの具体例というのが出てきてないというように思うのですけれども、それはいかがでしょうか。
【車谷委員長】  どうぞ。
【事務局】  御質問ありがとうございます。文部科学省側でどのような取組をしてきたのか、それはどう評価されるのかというお尋ね、1点目でございます。
 規制緩和の取組につきましては、先ほど資料5で指定国立大学に関する特例というところで、制度創設時に措置をしたところでございますけれども、各大学法人等からの様々な要望も受けております。また、今年の7月に骨太の方針で指定国立大学が先導して、新たないろいろなことに国立大学がチャレンジできるようなスキームを再検討すべきだという提言も出ておりますので、この骨太の方針を踏まえたガバナンスの在り方に関する検討会議を近々立ち上げて、特に指定国を中心として、より活動範囲が広がるような、そういうスキームを早急に検討したいというふうに考えております。
 また、併せまして指定国立大学そのものに対する財政的な支援ということは直接的には行っていないのですけれども、一方で第3期の改革を加速させるための国立大学の改革補助金というものを設けております。この改革補助金、大きく二つからなっておりますけれども、そのうちの一つのメニューに、海外大学、国際的な大学と伍するような取組を標ぼうしており、多くの指定国立大学法人はこの改革補助金の支援も採択されておりますので、これも受けながらやっていっていただくということで進めているところでございます。
 また、海外の大学との大学ランキング等の扱いということでございますけれども、これ正に先ほど分科会長等から御報告ありましたが、基本的には各大学法人がどのようにその具体的な目標を立てながらやっていただくのかということがベースになるというふうに思いますけれども、先ほどお話ございましたように、今回初めてやってみまして、個別のKPIを見る限りにはしっかり順調に進捗をしているのだけれども、総体として見たときに本当に個々の大学が世界の大学にどんどん近付いていっているのかどうか、ここがよく見えないじゃないかという御指摘がございましたので、次年度その評価の枠組みをどうするのかということ今後の検討課題として考えてございます。
 また、寄附金あるいはその運用の状況ということでございますけれども、全体の制度として余裕金運用の仕組みを作ってございます。指定国立大学については御案内のとおり、余裕金の運用の大臣認定を受けなくても、各大学法人ができるというスキームを取っておりますけれども、まだ寄附金そのものが、あるいは余裕金そのもののパイが小さいという状況がございまして、必ずしも期待されるほどの成果というところにはなっていないかと思います。今後税制改正なども検討して、各大学の手持ちの資金がより増えていくような、そういう仕組みとあいまって、取組を促してまいりたいというふうに考えています。
【水野委員】  最後のところですけれど、それはそもそも今回の評価においては評価はされていないということでしょうか。そういう自助的な努力、寄附金を増やす、あるいは教授の方々のコンサル的なものもやるとか、不動産の有効活用まで幅広く議論されて、そういう自立を促すという話だったと思うのですけれど、それは今のところは評価の対象じゃないということですか。
【事務局】  その点につきましては、この評価の6項目のうちの財政基盤の強化というところで評価を行うという形になってございまして、平成30年度評価におきましては、例えばファンドレイザー等の重点配置による寄附募集体制の強化でございますとか、外部資金を活用しているかどうかといったところにつきましても、評価の対象として行っているところでございます。
【車谷委員長】  どうぞ。
【小林委員長代理】  まず、全体として指定国立大学法人の評価、私は非常に意欲的なものだと思います。従来は横並びで、ほかとの競争ということで、特に業務運営と財務が中心であって、そこで特に問題を起こさなければ順調と、何か先へ伸びていくという将来への明るい展望がなかなか生み出しにくいところが、こちらは自己達成で見ていく、自分がターゲットを決めてそこに近付いていくという、まさに自分自身の時系列比較でやるという意味では、私は非常に意欲的ではないかと思います。私、たまたまほかの国の政府の研究機関の評価を海外の委員として入っていますが、いずれも実はこういうやり方でやっています。
 2点ほどちょっとお尋ねしたいのですが、さはさりながら、その自分で目標を立てますので、ハードルが高く立てるところと低く立てるところをどう調整をされるのかと。具体的に言いますと例えば国際共著論文比率、東京工業大学も東北大学も目標年度は2030年と同じなのですが、目標値は東京工業大学が50%、東北大学が40%と設定しています。東京工業大学は、2016年度(基準年度)30.4%でしたが、それを50%にしますと。一方、東北大学は2017年度(基準年度)34.6%でしたが、それを40%にしますと。この辺の各大学から申し出たものを調整されることが必要なのか必要でないのか。
 もう一つが、目標年度がかなり大学によって違います。京都大学は2021年度が目標年度になっている項目が多いのですが、東京工業大学等は2030年度。かなり開きがあるのです。再来年と10年以上先と、この辺は各大学の申し出のままでいいのか、それともある程度の少し調整が必要であり得るのかどうか、この辺を伺えればと思います。
【車谷委員長】  ではどうぞ。
【事務局】  まず1点目でございますけれども、その目標値が異なるのではないかというところの調整の部分でございますけれども、基本的にこの目標値につきましては、各指定国立大学法人の指定構想調書に基づきまして、その中で大学が内部で検討を行って、ここまでの目標を達成するということで御提出いただいたものでございますので、現時点においてその並びといいますか他大学との並びということについては、行っていないところでございます。各大学の実情を踏まえて、この目標値を設定したということで認めているということでございます。
 また、目標年度につきましてでございますけれども、これも構想調書の中に幾つか計画の記載がございまして、その中でそれぞれどの項目をいつまでにというふうなことを大学の中で検討いたしまして、それを指定国立大学法人部会においても審議を行いながら確認をしているということでございまして、大学の各事情というものを留意しながら指定国立大学法人部会で御議論、御審議いただいているという状況でございます。
【小林委員長代理】  非常に了解いたしますが、しかし、そうなるとよりチャレンジングな目標を立てたところが、結果として評価が悪くなると、より抑制的な目標立てたところ、実は現時点で既にクリアしているところが随分ありますので、その方が結果としてよい評価になるようなことがないようにお考えいただければと思います。
【車谷委員長】  ありがとうございました。評価の在り方はやはり、そのターゲットとなる絶対評価の基準があって、そこに先にたどり着いた人をより評価をするというやり方と、変化率で評価をするというやり方がありますので、恐らく両方のやり方が併存した方がいいのかもしれません。私も学長クラスの方々ともお話ししますけれども、皆さん非常に意欲的です。意欲が非常に強いというふうに考えております。
 皆さん、ランキングについても、ランキングを追うべきなのか追わざるべきなのかも含めて、かなり深い議論を学内でされておられます。こういう指定国立大学法人の問題、ランキングの問題を合わせまして、大学の意識改革は明らかに進んでいると思いますので、より進めていけるようにしたいと思います。最初御指摘がありました、規制緩和の問題も骨太の方針で出ておりますので、今、課長から御説明ありましたけれども、今後そういった枠組みの中で検討していければよろしいのではないかというふうに思っております。ありがとうございました。
 それでは、ちょっとお時間もお時間でございますので、この指定国立大学法人の平成30年度における評価結果(案)につきまして、この案のとおり決定するということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
 それに、この公表に関連しまして、資料11で評価委員会としての所見も出してはどうかというふうに考えております。委員長の職権で原案を策定しております。事前に皆様に事務局から送付いただきまして御覧いただいているかと思いますけども、何か御指摘があればと思います。先ほど各委員から御指摘のありました様々な複数の法人における不正の問題等についても、かなりの分量を使ってここで指摘をしておりまして、事前防止、事後対策の取組を遺漏なく実施していただくように強く求めるという言い方を、ここではさせていただいております。
 最初の段落では、各学長がリーダーシップを発揮して、経営的な視点を持って、将来のビジョンに基づいて創意工夫を展開し始めているというところは基本的には前向きに考えたいというふうなことを申し上げておりますので、こういう内容でコメントを出したいかと思っておりますけれど、いかがでございましょうか。どうぞ。
【熊平委員】  こちらの文言もそうなのですけれども、先ほどの指定国立大学法人の説明などでは、非常に教育研究水準の向上とかイノベーションの創出とかという、そういう目的が明確になっていますが、それに対して、国立大学法人の評価のところの文言を改めて見ますと、経営的な視点でその評価されているということはもちろん明確に書かれているのですが、そもそも教育とか研究の充実ということが本来の目的で、そのための経営の強化ということで、より上位概念としての教育的な領域のコメントが非常に薄くなっているような気がしますので、皆さんその経営の改善は飽くまでも教育の質や研究の質の向上のためにやっておられるので、そのような文言が少し入るといいのではないかなと思いました。それはこちらのデータもそうですが、資料1と2の方の国立大学の評価の内容においてもあった方がよいではないかというふうに思いました。以上です。
【車谷委員長】  それは引き取らせていただき、私と事務局の方で少し検討させていただいてお任せいただければと思います。そういうことでよろしいでしょうか。
 それでは、今御説明したような内容の方向で、評価結果とともにこの所見、今の御指摘もどういうふうに織り込むかは検討しますけれども、公表をさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いをいたします。
 お時間大分押しましたけれども、本日の議論は以上となります。3月の総会で設置いたしました国立大学法人等の組織及び業務全般の見直し等に関するワーキンググループにおきまして、一法人複数大学の目標計画等について御議論いただきましたので、事務局からこの点の御説明をお願いいたします。
【事務局】  資料12-1、12-2、12-3を御覧ください。まず12-1からでございますけれども、第3期における一法人複数大学の中期目標・中期計画及び評価について、法案成立後3月の総会で設置いたしました、組織及び業務全般の見直し等に関するワーキンググループにおいて御議論いただき、取りまとめていただいてございます。
 まず、中期目標・中期計画につきまして、一法人複数大学の趣旨に鑑みて中期目標・中期計画は原則として法人単位で策定をするということ。また、教育研究の質の向上に関する事項につきましては、大学単位でも策定することができるということ。また、評価につきまして、各年度終了時の評価及び中期目標期間の評価につきましては、大学単位の評定は付さずに、法人全体として評定を付すということ。また、4年目終了時評価における大学改革支援、学位授与機構による現況分析につきましては、引き続き大学ごとの学部、研究科等を評価の対象とするということ。
 最後になりますけれども、指定国立大学を含む一法人複数大学の場合の措置でございます。これは指定国立大学である名古屋大学と岐阜大学による東海国立大学機構のケースが該当いたしますけれども、この場合、中期目標計画には指定国立大学法人構想に関する項目を明確に記載するということ。また、通常の評価に加えて、指定国構想の達成に向けて順調に進捗しているかという観点から、評価が必要になってまいりますけれども、その点につきましては、指定国立大学法人部会において指定国立大学について実施するもの、こういった内容を取りまとめいただいております。
 具体的なひな形につきましては、資料12-2、資料12-3となってございまして、二つ以上の国立大学を設置する場合のものとして所要の変更を加えたものとなってございます。以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございます。ワーキンググループで活発に御議論いただきありがとうございます。今の事務局の御説明でありますけれど、特段の御意見がなければ案のとおりとして進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。特段御意見ございませんでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、最後に事務局から御報告があるようですので、お願いいたします。
【事務局】  最後になりますけれども、参考資料3でございます。先ほども少しお話をさせていただきましたけれども、第4期中期目標期間における指定国立大学法人につきまして、現在公募を行っているところでございます。
 最後のページになりますけれども、スケジュールといたしまして、令和2年1月末まで申請の締切りといたしまして、その後、指定国立大学法人部会において審査を行っていただきまして、夏頃を目途に該当あれば指定をするといった流れで進めているところでございます。以上御報告でございます。
【車谷委員長】  引き続きまして、今後の日程について事務局から御説明があればお願いいたします。
【事務局】  本日御審議いただきました評価結果につきましては、会議終了後直ちに各国立大学法人・大学共同利用機関法人への通知を行うとともに、文部科学省のホームページに掲載することとしております。以上でございます。
【車谷委員長】  それでは、ありがとうございました。大変活発な御議論を頂きましてありがとうございます。
本日が現行の任期における最後の総会ということになります。皆様、2年間にわたる多大な御協力、御尽力に深く感謝を申し上げたいと思います。
 なお、文部科学省を代表して御挨拶があるとのことなので、よろしくお願いいたします。
【森高等教育局審議官】  今、委員長からコメントございましたように、今回が現行の任期中の最後の総会となりますので、この場合をお借りいたしまして一言お礼の御挨拶申し上げます。
 委員の皆様におかれましては、大変お忙しいところ2年間にわたりまして、国立大学法人評価委員会委員として御尽力いただき、誠にありがとうございます。皆様方にはこの期間中、各年度の評価の実施に加えまして、第3期中期目標計画の変更に係る認可や中期目標期間の評価方法の見直し、さらには新たに創設された指定国立大学法人制度に関わる評価方法につきましても大変精力的に御審議いただいたところでございます。
 第3期中期目標期間において、各大学法人等ではそれぞれの機能の強化を一層進めながら、社会改革のエンジンとして持続的な競争力を持ち、さらに高い付加価値を生み出すことが求められているところでございます。これに向けまして、これまでに委員の皆様から賜りました貴重な御意見、御助言、本日も頂いたところでございますけれども、十分に踏まえながら行政を進めてまいりたいと考えております。
 改めまして、委員の皆様のこれまで御貢献にくれぐれも感謝申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の総会はこれにて終了とさせていただきます。ありがとうございました。
 

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