国立大学法人評価委員会(第60回) 議事録

1.日時

平成30年11月20日(火曜日)15時00分~16時30分

2.場所

文部科学省東館13階 13F1~3会議室

3.議題

  1. 委員長代理指名
  2. 国立大学法人及び大学共同利用機関法人の平成29年度に係る業務の実績に関する評価について
  3. 指定国立大学法人の評価について
  4. その他

4.出席者

委員

車谷委員長、大滝委員、勝委員、小林委員、近藤委員、清水委員、鈴木委員、田籠委員、橘・フクシマ・咲江委員、長澤委員、深見委員、巻之内委員、松本委員、村田委員、森山委員

文部科学省

義本高等教育局長、磯谷研究振興局長、平井文教施設企画・防災部長、森大臣官房審議官、千原大臣官房審議官、淵上国立大学法人支援課長、西井学術機関課長、錦学術機関課学術研究調整官、吉居学術機関課連携推進専門官、北野国立大学法人支援課国立大学戦略室長、小笠原国立大学法人支援課国立大学戦略室長補佐

5.議事録

【車谷委員長】  所定の時間になりましたので、第60回国立大学法人評価委員会総会を開会したいと思います。
 本日は、議事次第がございますが、最初に委員長代理の指名、それから評価の話、指定国立大学法人の評価についてご審議いただくことになっております。 なお、本日の会議は公開となっております。配付資料の確認の間、カメラ撮影が入りますので、その点は、御了承いただきたいと思います。
 それでは、事務局から、配付資料の確認をお願いいたします。
【事務局】   それでは配付資料の確認に先立ちまして、前回、平成29年3月の総会以降事務局に異動がございましたので、事務局の異動につきまして、御紹介をさせていただきます。
 まず、10月16日付けで、高等教育局担当の大臣官房審議官、信濃の後任に、森が着任しております。
【森大臣官房審議官】  森でございます。どうぞよろしくお願いします。
【事務局】  同じく10月16日付けで、大臣官房文教施設企画・防災部長、山下の後任に、平井が着任しております。
【平井文教施設企画・防災部長】  平井です。よろしくお願いいたします。
【事務局】  7月27日付け、高等教育局、担当課長でございますが、国立大学法人支援課長、小山の後任に、淵上が着任しております。
【淵上国立大学法人支援課長】  淵上でございます。よろしくお願いいたします。
【事務局】  また、4月1日付け研究振興局担当大臣官房審議官、板倉の後任に千原が着任しております。こちらは遅参してまいります。
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日の配付資料でございますけれども、お手元にタブレットで資料を配付させていただいております。電子化推進の関係で、本日の配付資料は全てタブレットに格納させていただいております。
 資料1といたしまして、「平成29年度評価に関する審議経過について」、資料2といたしまして、「国立大学法人等の平成29年度評価結果について(案)」、資料3といたしまして、国立大学法人等90法人の「平成29年度に係る業務の実績に関する評価結果(案)」、資料4といたしまして、「平成29年度に係る業務の実績に関する評価結果(原案)に対する各法人からの意見の申立てへの対応について(案)」。資料5といたしまして、「国立大学法人及び大学共同利用機関法人の平成29年度に係る業務の実績に関する評価についての所見(案)」。資料6といたしまして、「指定国立大学法人の評価について(案)」。以上の資料を配らせていただいております。
 その他、参考資料1-1、1-2、2と評価の関係資料等、配らせていただいております。過不足等、ございましたら、御指摘いただき、タブレットの使用方法、御不明な点等ございましたら、事務局までお申し付けいただくよう、よろしくお願いいたします。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、まず議事次第に沿いまして、議事に先立ち委員長代理の指名を行いたいと思います。
 委員長代理につきましては、国立大学法人評価委員会令第4条第3項の規定に基づきまして、委員長に事故があるときに、職務を代理していただく委員長代理を置き、委員長が指名するとされております。
 私といたしましては、前期より大学共同利用機関法人分科会委員を、今期は分科会長をお務めいただいております小林委員に委員長代理をお願いしたいと思いますが、小林委員、いかがでしょうか。
【小林委員】  よろしくお願いいたします。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 それでは、小林委員に委員長代理をお願いしたいと思います。
 それでは、議事に移りたいと思います。
 初めに、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の平成29年度に係る業務の実績に関する評価結果(案)につきまして御審議いただきたいと思います。なお、各委員が関係する大学がある場合には、評価の客観性を担保する観点から、その大学に関する発言はお控えいただくようにお願いいたします。
 評価結果(案)の審議に入る前に、平成29年度評価の審議経過について、事務局からまず御説明をお願いいたします。
【事務局】  それでは、資料1を御覧ください。資料1、「平成29年度評価に係る審議経過等について」ですが、平成29年度評価につきましては、平成30年6月末に各国立大学法人、大学共同利用機関法人から実績報告書を提出いただきまして、国立大学法人分科会、大学共同利用機関法人分科会において、当該実績報告書を基に、評価を行っていただいたところでございます。
 国立大学法人分科会につきましては、国立大学法人分科会の下に、評価チームをAからH、大学の規模等に応じまして、それぞれ選任委員の方に主査をお務めいただきまして、第1回チーム会議を7月24日から8月6日の間に開催いただきました。その後、論点をまとめた上で、国立大学法人へのヒアリングを8月から9月に、また、ヒアリング結果と実績報告書に係る大学への質問等を踏まえまして、第2回評価チーム会議を9月から10月に開催いたしまして、評価チームごとに評価結果原案をおまとめいただいたところでございます。10月16日に国立大学法人分科会で国立大学法人の評価結果原案を、10月18日に大学共同利用機関法人分科会で大学共同利用機関法人の評価結果原案をおまとめいただき、各分科会終了後から31日まで、国立大学法人、大学共同利用機関法人に対しまして、評価結果原案の意見照会をさせていただいたというのが今までの流れでございます。
 本日の国立大学法人評価委員会総会にて、各評価結果について御審議いただきまして、平成29年度評価の結果を確定させていただければと思っております。
 以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 プロセスについては、説明のとおりでございますが、本日の評価結果(案)は各分科会で取りまとめていただいたということであります。引き続き、それぞれの分科会長から、これまでの分科会における審議状況につきまして御報告をいただきたいと思います。
 初めに、国立大学法人につきまして、近藤分科会長からお願いいたします。よろしくお願いします。
【近藤委員】  それでは、国立大学法人分科会における審議状況について御報告いたします。
 国立大学法人分科会では、国立大学法人86法人の平成29年度に係る業務の実績について、各法人から提出された業務実績報告書を基に、法人の規模や学部・研究科の学問分野等の特性ごとに編成した8つの基本チームと共同利用・共同研究拠点、附属病院及び官民イノベーションプログラムの3つの専門チーム等による審議結果を踏まえ、中期計画の達成に向けた年度計画の実施状況等を精査し、評価結果(案)を作成しました。資料2と資料3という形でまとめております。
 今回、分科会として取りまとめた評価結果(案)は各法人にあらかじめ原案を示した上で、10月16日から10月26日の間に意見申立ての機会を設け、その申立て内容も踏まえて、必要な修正を行ったものです。法人化以降、各法人は寄附金や共同研究収入等の外部資金獲得のための取組を加速していますが、平成29年度においても、例えばファンドレイザーの採用等、寄附金受入れ態勢の強化や企業との「組織」対「組織」の産学連携による共同研究の推進等の取組を引き続き推進するとともに、意欲と能力のある教員がより高いパフォーマンスを発揮し得る環境を整備するため、教育研究の成果に加え、組織への貢献度等、多面的な視点を取り入れた教員評価を実施するなど、多くの法人において、業務運営上の工夫を講じています。
 評価結果といたしましては、全体評価において、86の国立大学法人全てを「法人の基本的な目標に沿って計画的に取り組んでいることが認められる」としています。
 次に項目別評価については、3法人を「中期計画の達成に向けて特筆すべき進捗状況にある」として、また各法人における注目すべき点の状況を踏まえた上で、9つの法人を「中期計画の達成に向けて順調に進んでおり、一定の注目事項がある」と評定しております。
 一方、年度計画の未達成や入学者選抜における出題、採点ミスなど法人に管理責任があると認められる事件、事故の発生等により、2法人を「中期計画の達成のためには遅れている」、さらに3法人を「中期計画の達成に向けておおむね順調に進んでいる」とし、評定を落としています。
 これらの法人の改善すべき点については、各法人の自主的な改善に資する観点から、評価結果(案)で具体的に課題として指摘しております。
 各項目の具体的な評定結果や各大学における取組の詳細等については、後ほど事務局から説明いただけると思います。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、本日、Aチーム主査の森委員とDチーム主査の山田委員は御欠席でございますけれども、B、C、E、F、G、Hの各チーム主査、村田委員、森山委員、勝委員、長澤委員、近藤委員、清水委員におかれましては、御出席いただいておりますので、御担当いただいた各主査から、補足でありますとか感想等がございましたら、順次、Bチームの村田委員からお願いできればと思います。よろしくお願いします。
【村田委員】  それでは、Bチームについて御説明をさせていただきます。
 評価対象大学は名古屋大学から九州大学までの大規模総合大学の7大学です。業務運営、財務内容等について大学ごとの項目の評価結果は机上資料1-2の表のとおりです。
 国立大学法人分科会後、評価結果原案について、各大学に意見照会を行い、名古屋大学と九州大学から、意見申立てがございました。名古屋大学は2件ございまして、業務運営の注目事項として、名古屋大学ジェンダー・リサーチ・ライブラリに関わる取組を注目事項としてほしいというものが1つ目。これに関しましては、原案どおりとしています。もう1つが向精神薬の不適切な取扱い事案を課題から落としてほしいというものでございます。こちらにつきましては、課題事項の記述は削除しないものの、再発防止に向けた取組が既に実施されていることを踏まえまして、記述の一部を修正いたしました。
 次に九州大学は、1件意見申立てがございました。共創学部の設置に関わる取組を注目事項にしてほしいというものですが、原案のとおりとしています。
 なお、意見照会後、大学から字句修正依頼があり、その修正をしておりますが、ほかに修正はございません。
 次に、「特筆」及び「一定の注目事項」がある法人については、Bチームはございません。
 さらに、評定「遅れ」がある法人とその要因について申し上げます。業務運営の改善及び効率化の項目につきまして、大阪大学の評定を「遅れ」といたしました。これは昨年度発生いたしました入学者選抜における出題ミスの組織的対応の不備を踏まえたものでございます。大阪大学では、平成29年度の一般入試、前期日程におきまして、理科(物理)の設問に出題ミスがあり、39名の追加合格を行っております。これを踏まえ、昨年度に引き続き、今年度もヒアリングを実施し、本事案の発生要因、受験生、保護者等への対応、入学後の追加合格者への支援状況等について、聞き取りを行った上で、評価原案を作成いたしました。
 この事案に関しましては、外部から複数回、設問について指摘をされたにもかかわらず、情報の共有が十分図られず、結果として組織的な対応が大きく遅れ、受験生、保護者等への精神面・修学面あるいは経済面での大きな負担を与えることになりました。これを踏まえ、評価を2段階引き下げ、「遅れ」としています。追加合格等の大学生等への対応については、ヒアリングで状況を確認しておりますが、極めて丁寧に行っていると認識しております。チームとしてはその後の状況につきましても、継続的にフォローアップをする必要があると考え、来年度もヒアリングに呼ぶことを検討しています。
 最後に「おおむね順調」であるという法人とその要因につきまして、財務内容の項目につきまして、神戸大学の財務内容の項目に関する評定を「おおむね順調」といたしました。これは新たに整備した国際がん医療・研究センターにおきまして、当初見込んでいた計画どおりの企業からの寄附が得られなかった等により、法人として当期の損失が生じているものを踏まえたものであり、相手先企業との調整が十分に図られていたかどうかという点も含め、当初の計画の見通しが極めて甘いということが考えられる点を考慮いたしました。
 Bチームからは以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 それでは、Cチームの森山委員、お願いいたします。
【森山委員】  Cチームの評価結果について、御説明申し上げます。
 評価対象大学は、小樽商科大学から滋賀大学までの文化系大学7大学及び大学院大学4大学の計11大学でありました。業務運営、財務内容等の状況について、大学ごとの各項目の評価結果につきまして、机上資料1-3、資料3-3を御覧ください。
 国立大学法人分科会後の評価原案に対する意見照会に対して、大学から意見申立てはございませんでした。なお、分科会後、大学からの字句修正依頼がありますけれども、特に評価内容についての修正はございません。評定の中で、、資料2の5ページにあります滋賀大学の評定を「特筆すべき事項がある」法人といたしました。業務運営の改善及び効率化、財務内容の改善、自己点検・評価、その他業務運営の4項目のうち、特に業務運営の改善、効率化につきまして、データサイエンス学部の創設を契機に、自治体や企業等との連携や教育・研究の強化に取り組んでいること、連携協定等が寄附金受入れや受託研究等の受入れ額の増につながっていること、数値につきましては、資料2、5ページを御覧ください。このような取組は他法人のモデルとなると判断いたしまして、「特筆」といたしております。
 それから評価の「一定の注目事項」あるいは「遅れている」と評定をいたしました法人につきましては、Cチームにおいてはございませんでした。
 最後に各法人の「注目すべき点」について、少し御説明をさせていただきますけれども、業務運営の注目事項では、女性研究者の研究向上を図るための環境整備の取組について東京芸術大学、資料2の7ページ、及び奈良先端科学技術大学院大学が取組を行っていること。教育研究の注目事項では、留学生、外国人教員、研究者の生活環境整備の取組について奈良先端科学技術大学院大学、障害者スポーツにおける情報保障技術の提供を筑波技術大学が行っているなど、ダイバーシティに関連した取組をCチームでは取り上げております。
 以上、報告いたしました。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 それでは、Eチーム、勝委員、お願いいたします。
【勝委員】  それでは、Eチームの評価結果について、御説明申し上げます。
 評価対象大学ですけれども、北海道教育大学から福岡教育大学までの教育養成、単科大学11大学でございます。
 業務運営、財務内容等の状況について、大学ごとの各項目の評定結果ですが、これは机上資料の1-5のとおりでございます。また、法人分科会後に評価結果原案について、各大学に意見照会を行いましたが、意見申立てはありませんでした。また、分科会後、大学から字句修正依頼がありまして、一部変更しておりますけれども、評価結果の修正はございません。概要を少し御説明申し上げますと、まずEチームにおいては、「特筆」に該当する法人はございませんでした。「一定の注目事項」ですけれども、こちらはタブレットの資料211ページ、財務内容の項目につきまして、鳴門教育大学が、「一定の注目事項がある」法人として、掲載されております。自己収入獲得推進マネジメント室を新設しまして、それを核とした戦略的な外部資金獲得を行い、資金獲得額は対目標額比217%増の2億円超となるという形で大きな成果を挙げていること、それから商工会議所や同窓会との連携を強化することによって、寄附金額が増大している点が評価されたということがございます。
 鳴門教育大学以外の各法人においては、年度計画の未達成もなく「順調」と評定されております。この中で「注目すべき点」としては、タブレット資料2の9ページ。東京学芸大学ですけれども、教育委員会との人事交流による大学経営者の育成。それからタブレットの資料の16ページにございますが、こちらは地域連携・地域貢献として「注目すべき点」として、愛知教育大学の外国人児童生徒への日本語教育支援が掲載されております。なお、研究活動における不正行為として、兵庫教育大学、それから入学者選抜における出題ミスで、奈良教育大学をそれぞれ課題として指摘をしております。そのほか、「遅れている」という評定があった法人はありませんでした。
 Eチームは以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 それでは、Fチームの長澤委員。
【長澤委員】  Fチームですけれども、担当大学は医科単科大学4大学と附属病院を持たない小規模総合大学9大学の合計13大学です。
 評価結果については資料3-6のとおりです。御覧いただければと思いますが、「特筆」がある法人はなし。「一定の注目事項」がある法人が東京医科歯科大学と滋賀医科大学。「遅れている」という法人はありません。「遅れている点」で、静岡大学は、テニュアトラックに関する年度計画が未達成で、人数も大幅に達成されていないということにより、「おおむね順調」という評価をさせていただきました。
 そのほかは資料3-6のとおり、Fチームについては「注目すべき点」が特にないという大学が、旭川医科大学、横浜国立大学、静岡大学と3大学ありまして、これは「注目すべき点」がまるでないということよりは、前年度に既に「注目すべき点」で取り上げているとか、それから他大学と比べて、特にというほどではない評価ということで、特に「注目すべき点」には該当しないのではないかという評価で、全く何もしていないということではなくて、取組としては、非常に頑張っているなという評価結果でありました。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、Gチームの近藤委員、お願いいたします。
【近藤委員】  それでは、Gチームの評価結果(案)をお示しします。
 机上資料の1-7をご覧ください。評価結果の一覧表があると思います。評価対象大学は弘前大学から島根大学までの中規模な附属病院がある大学の12大学です。この表を見てお分かりのように、各大学「一定」と「順調」ということで評価をしております。
 まず3大学、「一定」という形で評価をしたところについて、簡単な御説明をしたいと思います。まず、業務運営の改善及び効率化について、山形大学を「一定の注目事項がある」という大学といたしました。これは3点、注目事項を取り上げました。まず1点目は大学の使命、基本理念及びビジョン等の全学的共有のための学長行動方針「Annual Plan」を活用している取組を注目事項として1点目に挙げました。2点目が「仕事と子育ての両立」支援のための保育所整備の取組。それから3点目には定型的業務を集中処理する部署(YU-Co Workers Club)を設置することによって、業務効率化の推進を行ったというこの3つの注目事項があることから、業務運営改善及び効率化について、山形大学を「一定の注目事項がある」といたしました。
 それからその他の業務運営についての欄ですけれども、そこでは金沢大学が2つの注目事項がありました。まず1点目が「金沢大学スポーツ・地域活性化ドリームプロジェクト」の実施による地域貢献の取組。そして、2点目が英語と日本語による防災訓練の実施。この2つを注目事項として取上げ、この評定を「一定の注目事項がある」といたしました。
 それからもう1大学、島根大学ですけれども、財務内容の改善の項目につきまして、2つの注目事項がございました。1点目は島大会員制度の立ち上げによる寄附金獲得の強化、2点目が余裕金を活用した運用の取組ということで、この2つを注目事項とし、評定を「一定の注目事項がある」としました。
 他に担当した大学は全て「順調」という評価をいたしております。
 そして「遅れている」と評価した大学はGチームに関しては、ありませんでした。
 分科会後、評価原案について意見照会を行いまして、それに対して担当した12大学からの意見申立てはございませんでした。もちろん字句に関する修正はあり、それはもう既に評価(案)の中では修正を行っております。
 それから国立大学法人分科会で、2つの大学に対する「注目」に関して御意見をいただきました。岐阜大学、富山大学に関しては、文言を修正した上で、案として、ここに評価結果を載せております。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 それでは、最後にHチームの清水委員、よろしくお願いいたします。
【清水委員】  Hチームは信州大学から琉球大学までの中規模で附属病院があり、主に西日本にある13大学を対象にしております。
 資料3-8にその結果、並びに机上資料1-8にまとめられております。
 分科会以降、大学からの意見申立てはございませんでした。一部字句修正がございましたが、ほかには特段修正はございません。
 13大学の中、総じて、非常に学長のリーダーシップが発揮されまして、運営費交付金が減少する中で、自己収入努力はどの大学にも共通して見られたという点が印象的でした。中でも「特筆すべき事項がある」法人として、宮崎大学が見られます。地元の寄附の申出に対して、寄附講座、地域デザイン講座を立ち上げまして、365日、24時間、使用可能なデザイン棟を造りまして、学生の参加も6,300人余りということで、非常に活発な交流拠点として実践されているということを非常に高く評価して、「特筆」といたしました。
 もう1大学、「特筆事項」については、琉球大学の財務内容でございます。琉球大学の基金造成計画に基づきまして、学長自ら海外でセールスを行うなど、積極的な取組をしておりました。その結果、卒業生から3億円の寄附金を受入れまして、特定基金として沖縄県の子どもの貧困対策として、シングルマザーの雇用創出のための結転生(ゆいまーる)基金を創設して、職員2名を雇用するなど、他大学に比べて特色のある基金を創設し運営しているということで、「特筆」といたしました。
 次に、「一定の注目事項がある」法人としては、長崎大学でございます。財務内容の改善の中で、2つ「注目事項」がございました。土地の有効活用に自己収入の増加、また余裕金の運用に向けた自己収入増加の取組が注目され、「一定の注目事項がある」といたしました。
 他方、「遅れている」との評定を付けた大学としては、熊本大学がございます。これは年度計画におきまして、年棒制教員数の比率を増加するという目標を立てておりましたが、その比率が目標に達していなかったということで、「遅れている」という評価をいたしました。
 その他、「注目すべき点」につきましては、机上資料1-8を参照していただきたいと思いますが、ほとんどの大学で「注目すべき点」がございました。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、大学共同利用機関法人につきまして、小林分科会長からお願いいたします。
【小林委員長代理】  大学共同利用機関法人分科会では、4つの大学共同利用機関法人について、平成29年度に係る業務の実績に関する評価を実施し、評価結果原案を取りまとめた上、各法人に意見申立ての機会を設けて、最終的な案を作成しました。
 本日は評価結果(案)の概要とタブレットで資料3-9に各法人の評価結果(案)を配付しております。業務運営、財務内容等の評価結果は、人間文化研究機構と情報システム研究機構の財務内容の改善が順調に進んでおり、「一定の注目事項がある」とし、それ以外の項目については両法人いずれも「順調」となっております。
 全体としては、各法人は機構長のリーダーシップの下、機能強化の取組が着実に実施推進されていると感じております。例えば、高エネルギー加速器研究機構では、「戦略性が高く意欲的な目標・計画」の取組状況として、いわゆるT2K実験(Tokai to Kamiokaニュートリノ実験)など共同利用実験の成果を数多くプレスリリースして、多くの大学院生が参加することで、人材育成にも大きく貢献をしているところです。特徴的な取組としては、ほかに2点、取り上げますと、自然科学研究機構の研究では、国立天文台をはじめとする日本の重力波追跡観測チームが、重力波天体を可視光で初めて観測に成功し、国立天文台のスパコンを用いたシミュレーション結果と合わせることで、この現象が中性子星連星の合体で、金やプラチナといった重元素が生まれていることを証明するなど、「注目すべき点」を取り上げております。
 もう1点、情報・システム研究機構の財務内容の改善では、産学連携等、研究収入及び寄附金収入等が、約31億円となり、年度計画に掲げる予定額の約24億円を大きく上回っていることなどを「注目すべき点」として取り上げました。
 以上です。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 説明は以上でございますが、引き続き、事務局から評価結果(案)及び異議申立てへの対応について、御説明をお願いいたします。
【事務局】  それでは、各主査、分科会長から御説明いただきましたが、少し補足がございます。本日御欠席のAチームとDチームについても、概要を簡単に説明させていただきます。
 まず、Aチーム、資料3-1ですが、Aチームの担当は北海道大学から新潟大学まで、東の大規模大学6大学でございます。このAチームにつきましては、分科会後、評価原案について意見照会を行いましたが、字句修正以外の大きな内容に係る修正はなかったところでございます。また、Aチーム全体におきまして、「特筆すべき事項」、また「一定の注目事項がある」法人はなかったところでございます。1点、Aチームにおきまして、評定が「おおむね順調」としている大学がございまして、こちら千葉大学でございます。千葉大学につきましては、昨年度、附属病院における画像診断に関する確認体制の不備がありまして、こちらを考慮いたしまして、業務運営の改善及び効率化につきまして、「おおむね順調」という形に評定を1つ落とさせていただいております。
 続きまして、資料3-4でございます。Dチームでございますが、理系、工学系大学、農学系大学、体育系の大学の13法人でございます。こちらの評価結果でございますが、東京農工大学、業務運営の改善及び効率化につきまして、「一定の注目事項がある」という形に付けさせていただいております。東京農工大学におかれましては、教員の人事制度の改定、また事務職員の複線型キャリア構想の設定等、幾つか「注目すべき取組事項」がありまして、業務運営改善につきまして、「一定の注目事項」とさせていただいているところでございます。
 AチームとDチームの補足は以上でございますけれども、先ほど御説明いただいた内容を全て概要としてまとめさせていただきましたものが、資料2になります。
 資料2の1ページ目でございますけれども、冒頭、年度評価の全体像を書かせていただいております。今回につきましては、平成29年度の年度計画の実施状況に基づきまして、中期計画の達成に向けた進捗状況を評価するものでございます。なお、※印で書いておりますけれども、教育研究の状況に係る中期目標の達成に向けた評価につきましては、こちらは4年目終了時、また中期目標期間終了時に大学改革支援学位授与機構において、専門的な見地から評価を実施して、それを踏まえて行うことになっております。年度評価では取組状況を確認させていただきまして、特に注目に値するものがあれば各チームにおいて「注目すべき事項」として取り上げていただいているところでございます。
 続きまして、全体評価でございますけれども、全体評価の1ポツに書いておりますとおり、90法人中90法人が、中期目標前文に掲げる「法人の基本的目標」に則して、「計画的に取り組んでいると認められる」という評価をいただいております。
 続きまして、その下、項目別の評価でございますが、業務運営の改善及び効率化、財務内容の改善、自己点検・評価及び情報提供、その他業務運営の4項目、それぞれ6段階で評価をいただいております。先ほど各主査からも御説明がございましたが、一番上の「中期計画の達成に向けて特筆すべき進捗状況にある」というところ、業務運営の改善及び効率化では、2法人該当しております。こちらは滋賀大学と宮崎大学でございます。また財務内容の改善につきまして、「特筆すべき進捗状況にある」となっておりますのが、琉球大学でございます。その下、「一定の注目事項がある」となっているところが、業務運営の改善及び効率化で3法人、財務内容の改善で7法人、その他、業務運営で1法人となっております。
 その次が「順調に進んでいる」というところでございますが、ほぼ大体の国立大学法人、大学共同利用機関法人が該当しております。
 その下、評定が1つ下がり「おおむね順調に進んでいる」となっておりますのが、業務運営の改善及び効率化の点で静岡大学と千葉大学でございます。また、財務内容の改善の点につきまして、この項目に該当するのが神戸大学でございます。
 その下、中期計画の達成で「遅れている」という評定をさせていただいておりますのが、業務運営の改善及び効率化で、熊本大学と大阪大学という形になっております。
 次のページを見ていただきますと、各項目の説明がございます。それぞれ業務運営の改善及び効率化、どういう事項を見ているかなどにつきまして、前々回の国立大学法人評価委員会総会で説明を詳しくすべきという意見もございましたので、こちらを入れておりますが、説明は飛ばさせていただきます。
 続きまして、通しの4ページでございますが、平成29年度評価結果の特徴でございます。まず今年度の特徴といたしまして、「注目すべき事項」として多く挙がっている項目をまとめさせていただいております。まず1つ目が、意欲と能力のある教員がより高いパフォーマンスを発揮する環境の整備等に関する取組。こういった取組で「注目事項」として取り上げられておりますのが、18法人ございます。下に具体的に書いておりますが、教員評価の観点や、若手教員数、女性教員の比率の向上という観点で取組があったところでございます。またその下でございますが、寄附金収入の拡大に向けた取組。先ほども各主査から説明がございましたが、寄附金収入の拡大に向けた取組が18法人。具体的にはファンドレイザーの採用や新たな「特定基金」の創設という取組が「注目」として挙がっております。
 その下が新たな収入を伴う事業創設の取組でございます。こちらも先ほど説明がございましたが、土地の有効活用による自己収入の確保や余裕金の運用幅の拡大といった取組が取り上げられておりますのが6法人ございます。その他、自己点検・評価の充実に向けた取組で4法人、共同研究収入の拡大に向けた取組で6法人、また、当評価委員会におきまして、情報セキュリティについて昨年度は各大学で非常に課題が多かったところでですが、そういったことも踏まえて、大学間相互の情報セキュリティの監査を実施するなど、情報セキュリティに関する取組につきまして、「注目すべき事項」が5法人あったところでございます。
 次のページを見ていただきまして、5ページから「特筆すべき点」、滋賀大学、宮崎大学、琉球大学の取組を取り上げております。先ほど、各主査から説明がありましたので、概要は省略をさせていただきますが、滋賀大学につきましては、データサイエンス学部設置に伴う共同研究収入、寄附金収入の増加、宮崎大学につきましては、地域貢献という観点で、寄附金を生かした地域デザイン棟を活用した地域活性化を行っている点、琉球大学につきましては、琉球大学基金、結転生(ゆいまーる)基金という形で、沖縄の社会課題に対して貢献をしているという点がそれぞれ評価をされたところです。
 8ページ目以降でございますけれども、先ほど幾つか、各主査からも触れていただきましたが、各国立大学法人、大学共同利用機関法人の取組の中で、「注目すべき点」をそれぞれ項目ごとに挙げております。業務運営の改善及び効率化でございますが、まず1つ目が浜松医科大学、男女共同参画の取組でございまして、病児・病後児保育室の開設といった取組が評価をされているところでございます。
 続きまして、東京医科歯科大学は人事の関係でございますが、人事委員会の下に学外有識者等の外部委員を含む「教授選考委員会」を設置しているということで、透明性を高めているという点が評価をされております。
 その下、福井大学でございますが、平成29年4月以降に「附属義務教育学校」を開設して、附属学校との教育学部の連携に取り組んでいる点が評価をされております。
 その下、東京芸術大学でございますが、女性研究者の研究力向上のための研究支援プログラムなどを行っており、女性教員比率が2.4%上昇しているという点が評価をされております。
 その次のページでございますが、信州大学、高度専門職の承継職員化、少し専門的な用語でございますが、国立大学のときの定数をそのまま承継している職員ということですので、正職員と考えていただければと思いますけれども、カウンセラーでございますとか、URAのキャリア制度を確立しているという点が評価をされております。
 またその下、東京大学でございますが、学内会議の削減、これによって会議体が約40%、参画教員数を約70%削減しているという点が評価をされております。
 また、その下の東京学芸大学。こちらは先ほど勝主査からも説明がございましたけれども、大学教員を教育委員会に定期的に長期派遣をするということで、教育委員会側が求める教員像等の意見交換を行える場ができているという点が評価をされております。
 その下、東京農工大学、先ほど説明させていただきましたが、事務職員の複線型のキャリアコースの設定を行っている点を評価されております。
 その次の、10ページ、岡山大学につきましては、SDGsの推進体制に向けて取り組んでいる点が、その下、鹿屋体育大学につきましては、日本版NCAA創設に向けたモデル事業、組織体制整備が行われている点がそれぞれ評価をされております。
 その下、ここからは財務内容の改善でございますが、まず1つ目が長崎大学の土地の有効活用による自己収入の増加の取組でございます。こちら、平成29年4月以降に国立大学法人法の改正がございまして、自己収入の確保のために当面使用予定のない土地等の貸付けが可能になったところでございますが、長崎大学につきましては、こちらの制度を最初に使われまして、駐車場として民間へ貸し付ける事業を行っているという点を評価させていただいております。その下、島根大学の余裕金を活用した運用の取組でございますが、国立大学法人法の改正におきまして、業務上の余裕金は国債等安全資産でしか運用ができなかったところ、ある一定のリスク資産でも運用が可能になったところでございますが、こちらの運用を始めたというところを評価させていただいております。
 次のページの鹿児島大学の寄附金の獲得に関する取組でございますが、こちらは京セラの稲盛名誉会長様から、株式100万株の寄贈を受けたという点を評価しています。また、その下、滋賀医科大学でございますが、こちらは大学の土地を定期借地権の設定を契約することにより、民間に建物を建てていただきまして、さらに大学の活用スペース、1,000平米を確保し、土地貸付料の徴収により差引1,100万の年間収入の確保を行ったという事例でございます。その下、徳島大学でございますが、こちらも「組織」対「組織」の産学連携体制強化により、共同研究費、受託研究費の受入金額が、過去最高額となっている点を評価させていただいております。
 その下は鳴門教育大学でございますが、先ほど勝主査から説明がありましたとおり、外部資金獲得に向けて取り組んでいるという点を評価しております。
 次のページからは、自己点検・評価及び情報提供でございます。1つ目がお茶の水女子大学でございまして、教員の評価の関係でございますが、教員の個人の活動評価、定性的な評価の確立ということで、総合評価室でピアレビューを実施しているという点。その下、京都大学でございますが、「京都大学貴重資料デジタルアーカイブ」というものを設けまして、8,400タイトル、72万コマの画像を公開しているという点。その下、福島大学でございますが、東日本大震災復興や大学構想について、情報発信のため、「福島大学フォーラム2017」という形で県内4会場で開催しているという点がそれぞれ評価をされております。
 その下からその他業務運営でございますが、金沢大学の防災訓練を日本語と英語により併せて実施をしている点、次のページ先ほど冒頭で御説明しましたが、情報セキュリティに関しての大学間相互監査を実施している大学。これは山口大学と鹿児島大学で、また佐賀大学、九州工業大学、長崎大学でそれぞれ実施をしている点を評価させていただいております。
 その下、年度評価では評定を行わない教育研究に関する注目すべき点でございますが、それぞれ特色ある取組を取り上げていただいております。1つ目、帯広畜産大学でございますが、海外の大学との国際共同研究を実施しており、欧州の獣医学教育認証の取得に向けた取組が非常に早く進んでいるという点を評価させていただいております。その下、福井大学でございますが、こちらは医学教育における国際認証評価に向けた取組を評価させていただいております。
 次ページをめくっていただきまして、群馬大学でございます。こちらにつきましては、障害のある学生の海外派遣の推進に取り組んでおりまして、平成29年度には4名の障害のある学生が海外派遣に参加をしているというところを評価させていただいております。その下、奈良女子大学でございますが、一度ライフイベントにより退学をした学生につきまして、再び入学金を徴収せずに博士課程に戻ることができるという「再チャレンジ型女性研究者支援制度」を新たに制定しておりまして、このような取組を評価させていただいております。
 その下、研究でございますが、こちらは昨年もありましたが、大阪大学の包括連携契約につきまして、新たにダイキン工業株式会社と10年間で総額56億円の大型包括連携契約を締結しているという点。その下、東京芸術大学でございますが、「芸術」と「科学」を融合したプロジェクトを推進している点等を評価させていただいております。
 また次ページの研究分野、室蘭工業大学のレアアース研究拠点の形成に向けた取組。山形大学のコンソーシアム型の大学産学連携の推進。また先ほど大学共同利用機関法人分科会長からも御説明がございましたが、自然科学研究機構の中性子星連星合体の可視光での観測の関係。そして、情報・システム研究機構の文理融合研究の関係で、それぞれ「注目すべき事項」として挙げさせていただいております。
 その次、地域連携・地域貢献でございますが、16ページ以降、富山大学の地域再生人材育成事業の取組、こちら、富山の地域再生人材育成に係る取組をしておりまして、平成29年度までに修了生112名中73名が事業化をして、事業の稼働率が65.1%となっている点を評価させていただいております。また、その下、岐阜大学でございますが、敷地内に県立の中央家畜保健衛生所を開設しておりまして、県との連携を進めている点を評価させていただいております。その下の愛知教育大学でございますが、外国人児童生徒の日本語習得等の様々な講習を開設している点を評価させていただいております。また、その下、筑波技術大学でございますが、障害者スポーツ、パラリンピック開催に向けまして、様々な障害者に対する情報保障や情報支援環境の調査等を行っている点を挙げさせていただいております。
 次のページからグローバル化の取組の紹介でございまして、北海道大学のグローバル・リーダー育成のための教育プログラム、大学院で英語だけで行う授業の開設等を行っております。また、その下、東京工業大学でございますが、バンコクに「Tokyo Tech ANNEX」という教育研究拠点を設置しておりまして、アメリカにも「Tokyo Tech USA」を設置しております。また、その下、鳴門教育大学でございますが、諸外国からの教員の積極的な受入れを行っておりまして、平成29年度につきましては、モザンビーク共和国等から延べ90名の教育関係者を研修員として受入れております。また、その下、金沢大学でございますが、キャンパス環境のグローバル化ということで、学生ポータルサイトを日本語及び英語の2言語化に対応しています。
 次ページ、奈良先端科学技術大学院大学でございますが、留学生及び外国人教員・研究者の生活環境整備ということで、市役所や医療機関における利便性の向上を図っている例。その下、高知大学でございますが、国際交流危機管理体制の整備といたしまして、海外渡航に係る危機管理マニュアルの作成や危機管理のシミュレーション訓練を実施しているという事例を挙げております。
 またその下、産学連携でございますが、指定国立大学法人構想でもございましたが、東北大学におきまして、アンダー・ワン・ルーフ型産学共創拠点の構築をしている点。また、その下でございますが、教育研究共同利用拠点といたしまして、山口大学の知的財産センターの取組を挙げさせていただいているところでございます。こちら、全ての注目事項を挙げているものではございませんが、各チーム会議等で評価の高かったものを中心に、また地域バランス等も考慮しながら、幾つか御紹介をさせていただければと思っております。
 また、最終ページでございますが、「遅れている点」。こちらも先ほど各主査から幾つか指摘がございましたが「遅れている点」として、以下の項目が挙がっております。まず、1つ目は年度計画の一部未達成でございまして、熊本大学と静岡大学にそれぞれ年度計画の一部未達成があったところでございます。
 また、財務諸表の分析等による課題といたしまして、旭川医科大学。神戸大学は先ほど村田主査から御説明がありましたけれども、純損失、当期総損失があった点。旭川医科大学につきましても、過去の訴訟の関連での損失が計上されている点でございます。事件・事故等につきましては、最初に村田主査から御説明がありましたが、大阪大学におきまして、入学者選抜における出題ミスへの組織的対応の不備がございました。こちらについては、評価を2つ落とさせていただいたところでございます。併せて、一番下に入学者選抜における出題ミス等という形で、6大学挙げさせていただいておりますが、非常に入試の関係の課題が多かったと認識しております。また、「事件・事故等」に戻っていただきまして、千葉大学の附属病院の画像診断の確認体制の不備。大阪大学における情報セキュリティマネジメント上の課題。研究活動における不正行為が4大学。研究費の不適切な経理、また毒劇物等の不適切な管理がそれぞれ1大学あったというところでございます。
 以上、平成29年度の評価結果の概要でございます。
 続きまして、資料4でございます。国立大学法人分科会及び大学共同利用機関法人分科会開催後、各90法人に意見の申立ての機会を与えておりますが、意見の申立てがあった法人につきまして、一覧でまとめておりますので、簡単に説明をさせていただきます。
 まず資料4を御覧ください。まず資料4、1ページ目でございますが、お茶の水女子大学から、「注目される事項」として項目を加えるということと、その結果として、「特筆すべき進捗状況にある」という形で、評定を変えていただきたいという意見をいただいております。こちらはその他業務運営の関係で、施設整備、特に寄附等により、施設整備をかなり進めたというところで、こういった取組を「注目すべき事項」として取り上げていただきたいというものでございました。こちらでございますけれども、実は昨年度の平成28年度評価におきまして、寄附自体非常に上がっているということを一度「注目すべき事項」として取上げさせていただいており、同じ項目につながることになりますので、今回につきましては、原案のとおりとするという形にさせていただいております。
 次に、3ページ目、名古屋大学でございます。こちらにつきましては、先ほど村田主査からも御説明がございましたが、注目事項として、名古屋大学ジェンダー・リサーチ・ライブラリの取組について、取上げをしていただきたいということでございます。こちら、業務運営の改善及び効率化に関する目標に係る取組でございまして、この取組の成果の状況といったものを総合的に勘案して、注目事項としておりますので、今回は取り上げないという判断をさせていただいております。
 また、5ページ、通しの474ページでございますが、同じく名古屋大学からで毒劇物の不適切な管理を課題として挙げさせていただきましたが、この課題を取り下げてほしいということでございました。こちらは単純ミスであっても、法令違反でございますので、課題として挙げることにしておりますが、既に対応策はしっかりと講じているというところでございますので、右側対応にございますとおり、再発防止に向けた組織的な取組を引き続き実施することが望まれるという形に表現を修正させていただいております。
 続きまして、8ページ、通しの477ページでございますけれども、こちらも先ほど村田主査から御説明がありましたが、九州大学でございまして、共創学部の設置について、「注目すべき点」に追加していただきたいという意見でございます。こちら、共創学部の設置は非常に意欲的な取組であったと我々も認識しておりますが、共創学部を設置するに当たりまして、この説明の中で、9ページのところを御覧いただければ、まず①で「学府・研究院制度」。九州大学におきましては、大学院の教育組織と教員の所属する研究組織を別組織としておりますが、こういった取組を活用したこと。また、その下、②の「大学改革活性化制度」。これは各部局から教員ポストを1%現状して、総長のリーダーシップで配分をするという仕組みでございます。この2つがあったことをもってできたということを評価してほしいということでございましたが、実はこの下の大学改革活性化制度は昨年度の評価で既に「注目すべき点」として取り上げさせていただいておりまして、また、学府・研究院制度につきましては、かなり前から九州大学で導入をされているものでございますので、共創学部において注目すべき成果が出たときに、「注目すべき事項」として取り上げさせていただければと考えております。
 また、11ページ、通し番号の480ページでございますけれども、同じく九州大学からでございます。「各種評価に係る取組の連動化と評価システムの統合」を注目すべき点として追加してほしいという意見がございました。こちらは実は一度、担当評価チームでも議論いただきましたが、「もともとこの評価システムが分かれていたということが課題ではなかったか」という御指摘もございまして、今回は取り上げないという形にさせていただいているところでございます。
 以上、資料4、各大学、共同利用機関法人からの申立てとそれに対する対応方針でございます。以上でございます。
【車谷委員長】  お時間を頂戴いたしまして、評価結果(案)と意見申立てにつきましても、事務局から詳細な説明をしいただきました。
 それでは、この平成29年度に係る評価結果(案)に関しまして、御意見、御質問等がありましたら、どなたからでも結構でございますので、御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【橘・フクシマ・咲江委員】  これは質問なんですけれども、先ほどの入試のところで随分出題ミスがあったという御指摘が大分あったかと思うんですが、先日問題になりましたような医学部等の入試における男女差別のようなケースですけれども、そういうものは見られなかったということでよろしいですか。あのときたしか確認をされているかと思うんですが。
【車谷委員長】  事務局からお願いいたします。
【事務局】  こちら、平成29年度の評価結果(案)でございますので、今、御指摘いただきました医学部等における入試の問題につきまして、今、まさに我々で調査をしているところでございまして、仮に国立大学法人において、そのような事例があった場合には、平成30年度の評価結果、まさに来年のこの場で議論をしていただくことになるかと思っております。今回の出題ミス等におきましては、具体的には出題の間違いでございますとか、事務手続、合格すべき人を不合格としてしまったとかいった事例がここに書いております6大学にあったということでございます。
【車谷委員長】  よろしゅうございますか。
【橘・フクシマ・咲江委員】  結構です。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょう。じゃあ、松本委員、お願いいたします。
【松本委員】  御説明ありがとうございます。
 1点、気になったのが、地域連携・地域貢献のところなんですが、これはもともと3つの分類、国立大学を3つに分けるという、機能強化のときに3つに分けた中で、地域貢献というのが出てきたときから疑問になっていたんですけれども、これは地元の公立大学と役目がかぶっている、こういった点について、今後どのように整理されていくのか。このあたり、注目すべき点ということで、いろいろなすばらしい取組があるとは思うんですが、これと地元の大学がどう関連しているのかが見えない中で、これだけを取り上げてすばらしいと言っていいのかどうか、疑問が残っています。国立大学と公立大学のすみ分けというのが、こういうところで必要ないんだろうかということを考えているんです。
【車谷委員長】  基本的に国立大学もやはり地域に対して貢献していくというのは当然あろうかと思いますので、並列してももちろん成り立つのではないかと思いますけれども、事務局はどういう考えでしょうか。
【事務局】   国立大学と公立大学、それぞれの地域におきまして、いろいろな歴史的な経緯あるいは必要とされる人材といったもので、それぞれに成り立ってきていると考えております。必ずしも同じような学科、あるいは人材育成を目的としていないケースも多々ございまして、それぞれに求められる役割に応じながらやっているということだと思います。その中で、国立大学は地域の人材ニーズも踏まえながら、そこでも活躍できるという人材をミッションの一つとして行っている状況でございます。今後でございますけれども、国立大学の在り方、更なる今後の在り方につきましては、まさに本日、中教審の将来像、グランドデザインの答申の御審議をいただきましたけれども、それを踏まえて国立大学の今後、20年、30年先を見据えた国立大学の在り方も検討しなさいということでございます。加えて、地域全体でどのような高等教育システムがあるべきかということも、これはそれぞれの地域ごとにまた考えていくスキームを作った方がいいじゃないかということでございますので、今後、私どもとしては、国立大学全体のミッションを考えつつ、またそれぞれの地域で適切な高等教育の役割を模索していっていただくんだろうと。少なくとも、今現時点におきましては、今、国立大学がそれぞれの地域におかれているそれぞれのミッションに基づいて行われている活動を適正に評価していただいているという状況かと思います。
【車谷委員長】  よろしゅうございますか。
【松本委員】  分かりました。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 ほかにございますか。
 多岐にわたって御説明も非常に詳細だったわけですけれども、鈴木委員、よろしゅうございますか。
【鈴木委員】  1つよろしいですか。
 初めの頃に、年俸制導入の部分で結構大学から年俸制に関する教員数の数とか大分出ていたと思いますが、今回、ここでは熊本大学だけが指摘を受けていますが、その他の大学はほとんど順調に進んでいるという理解でよろしいでしょうか。
【事務局】  年度計画にはそれぞれ年俸制、もともとこの3期の中期目標が始まる段階で、それぞれ数値目標を書いていただいているところでございまして、今回、年度計画を見させていただいた中で、単純に数値がちょっと足りないというだけでは課題とするわけではなく、当然それに向けた取組等を見させていただいていますが、それを見た上でも課題として取り上げるのは今回、熊本大学だけであったという結果になっております。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 それでは、よろしゅうございますか。ほかに御意見がないようでしたら、御異議がないようでしたら、この評価結果については、この案のとおり、決定させていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
 また、評価結果の公表に際しましては、評価委員会の所見を出してはどうかと考えております。資料5を見ていただきまして、この文書につきましては、委員長の所見によって作成したものでございますけれども、文書の内容についてお気づきの点があればということで、御発言いただきたいんです。ただ、ほとんどの委員が今、初めて御覧になるかとも思いますので、お読みいただいて、違和感がある点等、御指摘いただければと思います。又は、加えるべき点等、ありましたらとご意見いただければと思います。少々お時間を取りたいと思います。
(資料確認)
【田籠委員】  1点よろしいでしょうか。
【車谷委員長】  よろしくお願いいたします。
【田籠委員】  文章の下から4行目なんですけれども、出題ミス等々うんぬんで、「国立大学法人等に対する国民の信頼を損ないかねない」とありますが、損なっているんではないでしょうか。「損ないかねない」ではなくて、損なう事例も含まれていますということではないでしょうか。
【松本委員】  それに関連してですが、この「また」以降のマイナスの部分を文頭に持ってきたらどうでしょうか。やはり入試という一番ナーバスなところで、ああいうことを起こしてしまったということを後ろに付け足しみたいな、「また」で加えているのは、法人評価委員会はこの問題を非常に甘く見ていると受け止められかねません。セキュリティインシデントと一言で言うけれども、物凄く大変なことになってしまう。今、御指摘がありましたように、信頼を損ないかねないじゃなくてもう信頼を損なってしまったので、汚名を返上するべく、改めてほしい、一方ではいいこともありましたよの方が、法人評価委員会としての姿勢を伝えることができるのではないかと考えます。
【車谷委員長】  ほかに御意見ございませんか。
【深見委員】  2段落目のところですけれども、「土地の有効活用」それから「寄附金等を原資とする余裕金の運用」を積極的に活用した法人も見られますという表記なんですけれども、これは評価委員会としては、こういった姿勢を評価しているわけですが、こういうことをしなさいよというメッセージとして、これからも独自性をどんどんやっていくということを強く推奨するというメッセージと捉えてよろしいでしょうか。
【車谷委員長】  そう考えております。やはり各大学が独自に財務力を強化するということが非常に大きな課題にはなっておりますので、このところは現段階ではプッシュしていく部分ではないかなと思っております。
【深見委員】  積極的にやることは評価するんですけれども、そこに伴うリスクというところに対して、大学がどの程度リスクを。それも全て大学のリスクとしなさいよという理解でよろしいのですか。
【車谷委員長】  それは土地等の活用についてのリスクという意味でございましょうか。その辺はどうですか。見解はありますか。
【事務局】  基本的には「土地の有効活用」につきましては、将来的、例えば、「三、四十年後にキャンパスを整備します」と決まっている場合、三、四十年間使用する予定がないという形になり、その間、先ほど長崎大学の例にございますように、駐車場にして稼ぐということでございますので、大きなリスクはそれほどないものだろうと思われます。
 もう1つの「寄附金等を原資とする余裕金の運用」につきましては、当然ながら国債以外の危険資産に手を出せるという形になってまいりますので、可能性といたしましては、寄附金を原資としているため、直ちに国費に穴が開くというわけではございませんけれども、これまで以上リスクの可能性は当然出てまいります。ただそういったリスクも踏まえた上で、各大学においては計画的な資産、自己資金の確保、先ほど委員長がおっしゃっていただきましたような、自己資金の確保に努めていただければと我々事務局としては考えております。
【車谷委員長】  国立大学法人のいろいろオルタナティブ的な活動については、やはり安全性が非常に重要になってまいりますので、安全性を担保した上での規制緩和と理解しておりますので、この枠組みの中で、しっかりやってほしいという位置付けであると認識をしております。
 よろしゅうございますか。
【橘・フクシマ・咲江委員】  先ほど松本委員がおっしゃった「また」以降のマイナスの部分を一番文頭に持ってくるという御提案なんですが、私も賛成で、先ほどの私の質問に対して、事務局から「今年に出てきた事案なので平成30年度の評価で扱う」というお答えをいただいたのですが、実はこの問題というのはもう制度的に今までずっと行われてきた、ある意味、隠れた制度になっていた入試の課題だと思うんです。つまり女性の割合を低くしていたという。これは非常に入試のフェアネスから考えると、あってはならない事態だったのではないかと思います。別に女性だからといって言っているわけではなくて、特定の特性のある方をそういう形で差別をしてきたということは、非常に重要な教育上の課題だと思いますので、先ほど御提案があったように、たとえ今回は平成29年度の評価であっても、既に平成29年度には行われていた事態なわけで、全部書き込む必要はないと思うんですけれども、冒頭にそういうことを正す必要があるということを一言入れるということは必要じゃないかなと思います。まさに先ほど御指摘があったように、信頼は残念ながら失われてしまっている状況かと思います。その辺、御一考いただければと思います。
【車谷委員長】  かしこまりました。
【村田委員】  今の点なんですけれども、入試のことは重大事案で前に持ってくることに関しては考える余地はあると思うんですが、我々は昨年度の評価をやったわけでしょう。おっしゃった医学部等における入試の問題は今起こっている問題ですので、それを入れちゃうと、昨年度の評価をやったことと、今起こっていることがごちゃごちゃになってしまって、評価委員会のコメントとして、気持ちはよく分かるんですが、違うのかなという気はします。
【橘・フクシマ・咲江委員】  その御指摘もよく理解できるので、先ほどおっしゃられた来年度にとおっしゃったんですが、発覚したのは今年ですけれども、実際には過去に行われていて、昨年度の評価項目には、今回の評価委員会の評価項目には入っていませんでしたので、どう入れるかというのは御検討が必要になるかと思いますけれども、実際に起こっていたのが発覚したのが今年だったということで、現実に行われていたのは過去何年かにさかのぼっているわけですから、対象としては評価項目に入っていなくても一言入れた方が、我々評価委員として、それを無視していませんということになるのではないかなと思います。ただ、その辺はもう委員長にお任せします。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 ほかにございますか。
【事務局】  重ねてちょっと事実関係だけ御報告申し上げます。
 今、委員が御指摘いただいた入試の件につきましては、もともと私立大学で事案が発生をしたことでございまして、これを契機として、全ての国立大学を含めた医学部の入試の調査を行っているところでございますけれども、これはまだなお現在、調査が継続しているところでございまして、国立大学でどうだったかということ自体も含めて、今なお調査が継続しているという段階でございますので、事実関係として補足をさせていただきます。【近藤委員】  少し関係したところで、「また」以下の文で、ちょっと誤解を生じやすいのが、「昨今の課題となっていた」という、この「昨今」という部分。その辺をもう一度文言として、御検討を一緒にされた方がよいかなと思います。
【車谷委員長】  承りました。
 これ以外にございますか。
【森山委員】  評価委員会からの平成29年度に係る評価についての所見という文書なので、数年前に研究不正それから補助金の不正等については、文書が出たことがあるんですけれども、例えば今の入試についてのことに限って文書を出す場合には、それはそういうすっきりとはっきりと直接的な言い方もよいかと思うんです。今回のこの文書は今年度、平成29年度全体を見ての所見ということなので、もちろんはっきりと前に持ってくるというやり方もあろうかとは思いますけれども、評価委員会としては、大学の取組を積極的によいところに目を向けて伸ばしてということが大前提としてあって、ここまでこういう制度としてやってきたとしたら、やはり大学の取組が前にあって、だけれどもという文面の方が、私はこれまでの評価委員会の在り方には近いかとは思います。
【車谷委員長】  承りました。
【鈴木委員】  様々な考え方があるかと思いますが、情報セキュリティに関して今までの評価委員会の中でも重要視した形で捉えることが結構少なかったように思います。大学の中において情報セキュリティ強化とかシステム系の情報漏えいとかとありましたけれど、あまり取り上げること自体が少なかったように思います。今回、この部分では、例えば、その上の、引き続き御尽力みたいな、何かお願いしますと記載され、改行になって1行開いてしまっているので、「また」というところからは多分、おまけのような感じで捉えられてしまうような気がします。もしそうであれば、もう少し上の、「各法人におかれては」という注意を促す前に持ってきますと、重要視されているということも見えますし、今までの流れとしてはやはり重要視されてきたなというイメージになるのかなということを何度か読みかえしているうちに、この1行開くというところがとても理不尽なのではないかと感じました。
【車谷委員長】  了解です。
 ほかにございますか。
 ちょっと事務局とも議論させていただいますけれども、今、鈴木委員のおっしゃったこの「見られます」のところから「また」のところを上に上げて、それで「御尽力いただく」というのが割とバランス的にはいいかなと思います。松本委員、いかがでしょうか。
【松本委員】  ありがとうございます。
 基本的には自分の取材経験からも含めて、社会の国立大学に対する目は決して優しくはないわけですよね。今、おっしゃるように温かく見守ってあげるというそれはお気持ちとしてはすごく分かるし、いいことだとは思うんですが、国立大学に対する見方というのは、やっぱり厳しいんだなというのを感じるんです。それに対して反論しないのであれば、せめてやっぱり厳しくここはちゃんと、特にこの情報セキュリティインシデントというのはこれからどんどん増えていって、どんどん危険なものがいっぱい出てくる、それをこの後ろの付け足し、若しくはこの挟み込むという形で本当に置いていいんだろうか。多分、このままきちんと今、やらないと大学はひっくり返ってしまうだろうなと私は危機感を抱いているので、それも含めて前に置いた方が危機意識という意味では、もしこれから先も国立大学を守っていく、日本の宝物としていくというのであれば、今ここで気持ちを引き締めてください。じゃないと、もう既に一回地に落ちたものをもう一回再構築するのは大変難しいことなんだということを改めて伝えた方がいいんじゃないかなという気はします。
【車谷委員長】  橘委員はよろしいですか。
【橘・フクシマ・咲江委員】  私も今の御意見に賛成です。鈴木委員の御提案で少し文章をちょっと変えていただければよろしいかなと思います。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 大変に活発な御議論をいただきまして、本当にありがとうございました。今、いただいた御意見も十分に踏まえまして、私の方で責任を持って直させていただいて、公表に持っていきたいと思っております。
 そういう意味で、御一任いただければと思うんですけれども、よろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ここまでが国立大学及び大学共同利用機関法人に関する評価の分でございます。
 次に、指定国立大学法人の評価についての御審議をいただきたいと思います。昨年度、御存じのとおり、指定国立大学法人に指定された5法人、東北大学、東京大学、東京工業大学、名古屋大学、京都大学については、指定国立大学法人の指定構想を踏まえまして、中期目標・中期計画に基づき事業を実施しておりまして、指定構想を踏まえた年度評価は来年度から開始をするという予定でございます。
 この年度評価の実施内容等につきまして、指定部会で案をまとめていただきましたので、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【事務局】  それでは、資料6を御覧いただければと思います。
 指定国立大学法人部会におきまして、先ほど委員長から御説明いただきました5法人、今年度から指定国立大学法人としての構想が開始されておりますので、これの評価の在り方について、議論をいただきまして、その内容をまとめたものでございます。なお、参考資料2にございますとおり、本年10月23日に国立大学法人大阪大学を追加で指定しておりますので、現状、指定国立大学法人は6法人になっております。ただ、大阪大学につきましては、本年10月に指定をしております。指定国立大学としての中期計画が始まりますのは来年度からになってまいりますので、平成30年度評価として係ってきますのは先ほど御説明いただきました5法人になります。
 資料6の内容でございますが、まず評価主体でございます。国立大学法人につきましては、先ほど、冒頭御説明いたしましたとおり、現状、国立大学法人分科会の中にAからHの8チームを作っておりまして、その中で、それぞれ評価を行っていただいているところでございますが、指定国立大学法人につきましては、指定国立大学法人部会におきまして、指定国立大学法人としての進捗を評価することとしてはどうかという内容でございます。
 背景といたしまして、現状、指定国立大学法人を文部科学大臣が指定するに当たりましては、評価委員会の意見を踏まえるとなっているところでございまして、その権限が指定国立大学法人部会に付託されているところでございます。一方で指定国立大学法人につきましては、取消の制度もございまして、取消をする場合にも国立大学法人評価委員会の意見を踏まえて行うことになっておりますので、そうであるならば、毎年度の評価につきましても、その取消の参考となるものでございますので、指定国立大学法人部会におきまして、年度評価を行うということとしてはどうかというものでございます。
 また、その次の評価の観点でございます。指定国立大学法人の制度の中身が世界最高水準の教育研究活動の展開を行うというものでございますので、この目的に向けてどのような進捗になっているかということの点から評価を行うこととしてはどうかと思っております。その際、評価に当たりましては、別途、机上資料2で各指定国立大学法人の工程表を配付させていただいておりますが、この工程表は、指定国立大学法人の審査項目でございました人材育成と獲得、研究力強化、国際協働、社会との連携、ガバナンスの強化、財務基盤の強化という6項目についてそれぞれ構想を作られているところでございます。この6点に係る中期計画における年度計画も特定していただいておりますので、指定国立大学法人の評価につきましては、この6項目を重点的に評価するという形にしてはどうかと思っております。
 具体的には、この6項目につきまして、各大学それぞれ年度計画に関連をしておりますので、それぞれの自己評価を付していただくとともに、その結果を公表して、指定国立大学法人部会で評価するという形にできればと思っております。
 また、4つ目のポツにございますとおり、指定国立大学法人の申請要件といたしまして、研究力として、科研費の獲得状況、Q値の値を、社会との連携として、受託・共同研究収益や寄附金収益の割合を、国際協働として、国際共著論文、留学生・日本人派遣学生の割合というものを用いております。これらの数値につきましては、前提条件になるものでございますので、毎年度、年度評価の中で確認を行うこととしてはどうかと思っております。
 最後、484ページの評価方法でございますけれども、具体的には今、申し上げました項目ごとに、指定国立大学法人以外の法人と若干内容が変わってくる形になりますけれども、実績報告書を作成いただきまして、書面により評価、また必要に応じてヒアリング若しくはサイトビジットを実施するという方向で評価をする形にしてはどうかと思っております。
 この内容でお認めいただけます場合は、実績報告書のひな型でございますとか、また作業といたしまして、各5法人に来年度の年度評価からこのような形で行うことを連絡できればと思っております。
 以上でございます。
【車谷委員長】  ありがとうございました。
 ただいま、事務局から今後の方向性についての御説明をいただきましたけれども、御質問等ございましたら、どなたからでも御自由にお願いいたします。
【松本委員】  いいでしょうか。
【車谷委員長】  どうぞ、松本委員。
【松本委員】  基本的なことなんですが、指定国立大学はあとどのぐらい増えるんでしょうか。
【事務局】  3期の中期目標期間中の指定につきましては、公募をかけたところ、既に指定国立大学法人として指定されました6法人及び一橋大学から応募がありました。一橋大学につきまして、現在また更なる構想の高度化に努めているところでございます。当然、これは3期の公募だけで終わるわけではございませんので、また4期に向けて公募をする形になります。その申請の条件といたしましては、指定国立大学法人部会で御議論いただく形になりますが、先ほど申し上げました研究力、社会との連携、また国際協働の各種指標の数字がありまして、第3期のときにはこれを全てクリアできたのが先ほど申し上げました7法人だけでございますので、基準をこのとおりにするのであれば、これを超えてくる法人が、どれだけあるかということになりますし、指定するかどうかは、指定国立大学法人部会で御議論いただくことになるかと思っております。
【車谷委員長】  よろしいですか。
 ほかにございますか。
 ありがとうございました。それでは今後、指定国立大学法人の評価につきましては、本日御審議されました方向性に沿いまして、具体的な評価方法や実績報告書のフォーマット等、詳細につきましては、指定国立大学法人部会で進めさせていただくこととしたいと思います。
 ありがとうございました。本日の議事は以上となります。今後の日程等につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
【事務局】
 本日御審議いただきました評価結果につきましては、会議終了後、直ちに各国立大学法人、大学共同利用機関法人への通知を行うとともに、文部科学省のホームページに掲載をさせていただければと思っています。
 評価委員会の所見につきましては、修正をさせていただきまして、委員長と御相談させていただいて、速やかに公表できるようにさせていただければと思います。
【車谷委員長】  ありがとうございます。
 それでは、本日の総会は、これにて終了とさせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

高等教育局国立大学法人支援課国立大学戦略室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学戦略室)