国立大学法人評価委員会(第58回) 議事録

1.日時

平成29年11月21日(火曜日)14時30分~16時30分

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 国立大学法人及び大学共同利用機関法人の平成28年度に係る業務の実績に関する評価について
  2. その他

4.出席者

委員

北山委員長、稲永委員長代理、大滝委員、奥野委員、勝委員、桐野委員、鈴木委員、田籠委員、松本委員、水野委員、國井臨時委員、小林臨時委員、柴田臨時委員、巻之内臨時委員、松川臨時委員、森山臨時委員

文部科学省

義本高等教育局長、関研究振興局長、山下文教施設企画部長、瀧本高等教育局審議官、板倉研究振興局審議官、藤野サイバーセキュリティ・政策評価審議官、小山国立大学法人支援課長、石橋国立大学法人支援課企画官、北野国立大学戦略室長、小笠原国立大学戦略室室長補佐、丸山大学病院支援室長、西井学術機関課長、錦学術研究調整官、早田学術機関課課長補佐

5.議事録

【北山委員長】  所定の時刻になりましたので、第58回国立大学法人評価委員会総会を開会させていただきます。
 本日は、御案内のとおり、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の平成28年度に係る業務の実績に関する評価結果について御審議いただくこととなっております。
 なお、本日の会議は公開となっております。それでは、まず事務局から、人事異動と配付資料の確認をお願いします。
【事務局】  平成29年7月付けの事務局の異動について、紹介をさせていただきます。
 遅れて参りますが、7月11日付け、常盤高等教育局長の後任に、義本高等教育局長が着任しております。
 また、同日付けで、浅田大臣官房審議官の後任に、瀧本審議官が着任しております。
【瀧本高等教育局審議官】  瀧本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】  また、研究振興局、寺門学術機関課長の後任に、西井課長が着任しております。
【西井学術機関課長】  西井でございます。よろしくお願いいたします。
【事務局】  また、7月21日付けで、国立大学法人支援課、安井企画官の後任に、石橋企画官が着任しております。
【石橋国立大学法人支援課企画官】  石橋でございます。よろしくお願いいたします。
【北野国立大学戦略室長】  同日付けで石橋国立大学戦略室長の後任に着任いたしました、北野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 それでは、配付資料の確認に移らせていただきたいと思います。資料1といたしまして「第3期中期目標期間における各年度終了時の評価に係る国立大学法人評価委員会の検証・評定等について(案)」、資料2といたしまして「平成28年度評価に係る審議経過」、資料3といたしまして「平成28事業年度に係る業務の実績に関する評価結果(原案)に対する意見申立てへの対応について(案)」、資料4といたしまして「国立大学法人等の平成28年度評価結果について(案)」、資料5といたしまして「国立大学法人・大学共同利用機関法人の平成28年度に係る業務の実績に関する評価について(所見)(案)」、参考資料1といたしまして「国立大学法人及び大学共同利用機関法人の第3期中期目標期間における各年度終了時の評価に係る実施要領」、参考資料2といたしまして「第3期中期目標期間における指定国立大学法人の指定について」、以上の資料を配付させていただいております。
 また、机上のタブレットに、平成28年度に係る業務の実績に関する評価結果(案)等、3点の資料を格納させていただいております。資料に過不足等ございましたら、事務局までお申し付けくださいますよう、お願いいたします。
【北山委員長】  それでは議事に移ります。はじめに、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の平成28年度に係る業務の実績に関する評価結果(案)について、御審議いただきたいと思います。
 この評価結果(案)の審議に入る前に、第3期中期目標期間における年度評価の検証・評定等の考え方について、事務局から御説明をお願いします。
【事務局】  それでは、資料1及び参考資料1に基づきまして、説明をさせていただければと思います。
 まず、参考資料1を御覧いただければと思います。参考資料1は、国立大学法人評価委員会におきまして、平成29年3月に一部改正をしていただきました、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の第3期中期目標期間における各年度終了時の評価に係る実施要領です。平成28年度評価は、本実施要領に基づきまして行ってきたところですが、今年度の評価作業を進めていただく過程で、チーム会議等で整理された考え方につきまして、改めて明文化したものが、資料1、第3期中期目標期間における各年度終了時の評価に係る国立大学法人評価委員会の検証・評定等について(案)です。
 それでは、資料1について説明をさせていただきますが、基本的には、参考資料1の補足となるものでございますので、併せて参考資料1も御参照いただければと思います。
 まず資料1の1ポツ、評価委員会による検証の点でございます。現状、参考資料1の2ページのイの部分でございますけれども、国立大学法人評価委員会による検証につきましては、「年度計画の記載事項ごとに、自己点検・評価や計画設定の妥当性も含めて総合的に検証する」、また、「法人による自己評価と国立大学法人評価委員会の評価が異なる場合は、その理由等を示す」とさせていただいているところでございます。このイの3つ目のポツの内容につきまして、資料1の1ポツについては、例えば、法人が「ローマ数字2」の自己評価を行った計画に対して評価委員会が検証を行った結果「ローマ数字3」と評価する場合等、法人の自己評価と評価委員会の評価が異なる場合には、異なる理由を評価結果において示すという形にさせていただいております。
 また、資料1の2ポツ、「評価委員会による評定等」でございますが、こちらは参考資料1のイの下にありますウの「国立大学法人評価委員会による評定等」を御覧いただければと思いますが、現状の実施要領におきましては、「業務の進捗状況を示すとともに、特筆すべき点、注目すべき点、遅れている点についてコメントを付す」、また、評定につきましては、下の表にございますとおり、6段階で評定をするという形にしております。
 このうち、評定の上から2つ目の「中期計画の達成に向けて順調に進んでおり一定の注目事項がある」という評定でございますが、この評定の考え方につきまして、資料1の2の1)の「評定」のところで、どのような場合にこの「一定の注目事項」があるという評定に当たるかというのを整理しております。具体的には、この評定は、各年度における項目別の注目事項の内容や事項数等を勘案して付すこととしております。
 また、2)の「コメント」でございますが、「特筆すべき点」「注目すべき点」「遅れている点」につきまして、どのようなものが「特筆すべき点」に当たるか、「注目すべき点」に当たるか、「遅れている点」に当たるかということを整理させていただいております。
 まず「特筆すべき点」でございますが、後ほど申し上げます「注目すべき点」の観点のいずれかに該当することを要件とし、それに加えて、他法人のモデルになり得る先進性・先駆性が認められる場合、「特筆すべき点」として取り上げることとしております。
 (2)の「注目すべき点」につきましては、「丸1各法人の優れた点や強み・特色が発揮されている点が認められ、かつ、成果が確認できる場合」、「丸2年度計画の実施状況が計画を著しく上回っていると認められる場合」、「丸3財務諸表の分析等により優れた点が認められる場合」、このいずれかに当たる場合に、「注目すべき点」として取り上げることとしております。
 (3)「遅れている点」でございますが、4点挙げておりまして、「丸1年度計画を十分に実施していないと認められる場合」、また、「丸2前年度評価において付された課題への対応が不十分又は不適当な場合」、「丸3財務諸表の分析等により課題が認められる場合」、「丸4事件・事故等が発生し、法人の管理責任がある場合」と、この4点のいずれかに当てはまる場合は、「遅れている点」として取り上げることとしております。
 なお、このうち、財務諸表の分析につきましては、3ポツのとおり、各チーム会議におきまして、それぞれの法人の外部資金比率、知的財産活用率、自己収入比率、一般管理費比率、当期総損失を比較・確認し、これに基づきまして課題が認められる、又は、注目すべき点として挙げております。
 また、「遅れている点」で、「事件・事故等が発生し、法人の管理責任がある場合」という条件をあげておりますが、この補足が一番下の4ポツのところで、基本的には、情報セキュリティインシデント、研究活動の不正等につきまして、法人の管理責任があると認められる場合には、「遅れている点」として取り上げることとしております。
 また、情報セキュリティインシデントにつきましては、インシデントがあった法人について、各法人の情報セキュリティ対策の実施状況、また、インシデントの事案の重大性を勘案し、それぞれ「遅れている点」とするかを判断させていただいております。
 本日、この資料1の考え方でお認めいただけるのであれば、資料1につきましても、本日ご議論いただく年度評価の結果確定後に公表することを考えております。
 以上でございます。
【北山委員長】  ありがとうございました。
 今、事務局から御説明いただいた考え方に基づいて、各チームで評価を行っていただいているわけですが、改めて何か御質問等ございましたら、お願いいたします。
(特段の発言なし)
 それでは、第3期中期目標期間における年度評価の検証・評定等ついては、このように進めていきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の平成28年度に係る業務の実績に関する評価結果(案)について、御審議いただきたいと思います。
 なお、委員が関係する大学がある場合には、評価の客観性を担保する観点から、その大学に関する発言を控えていただくようお願いします。
 まず、平成28年度評価の審議経過について、事務局から説明をお願いいたします。
【事務局】  それでは、資料2、「平成28年度評価に係る審議経過等について」の説明をさせていただきます。
 本年度の評価につきましては、先ほど委員長から御指摘いただきましたとおり、第3期中期目標期間の初年度の評価でございます。今年6月に各国立大学法人等から実績報告書を提出いただきまして、国立大学法人分科会、また、大学共同利用機関法人分科会において、それぞれ御審議、評価いただきました。
 国立大学法人分科会の方を御覧いただければと思いますが、7月24日から8月4日にかけまして、8つの評価チーム会議で実績報告書の調査・分析を行わせていただき、8月18日から9月8日は、各国立大学法人へのヒアリングを実施いたしました。また、9月11日から10月2日にかけては、評価チーム会議にて評価結果原案を作成し、10月24日には、国立大学法人分科会にて、評価結果原案をまとめたところでございます。これに基づきまして、10月24日から11月7日に各国立大学法人等に対して評価結果の意見照会をし、幾つか意見申立てをいただいたところです。
 本日11月21日、評価委員会総会にて、評価結果(案)を御審議いただき、案のとおり決定した場合には、総会終了後に各国立大学法人等へ評価結果の通知及び公表をさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。
【北山委員長】  ありがとうございました。
 本日の評価結果(案)は、各分科会で取りまとめていただいたものですので、それぞれの分科会長から、これまでの審議状況について御報告をお願いしたいと思います。
 はじめに、国立大学法人について、奥野分科会長からお願いいたします。
【奥野委員】  それでは、国立大学法人分科会における審議状況について、簡単に御説明いたします。
 この分科会では、86の国立大学法人を対象としています。その86法人を8つの基本チームに分けまして審議してまいりました。また、共同利用・共同研究拠点、附属病院及び官民イノベーションプログラムの3つの専門チームを設けておりまして、中期計画の達成に向けた年度計画の実施状況を精査しまして、お手元にありますような評価結果(案)を作成しております。
 今回、分科会として取りまとめたこの案は、各法人にあらかじめ示しておりまして、10月24日から11月7日の間に意見申立ての機会を設けました。資料に説明がございますが、申立てを踏まえたものとなっております。
 評価結果(案)の作成に当たりましては、世界最高水準の教育研究の実施、計画的な人材養成への対応、地域や国際貢献への対応、教育研究の国内外連携を通じた実施状況などの状況を見まして、法人の果たすべき多様な役割を考慮しながら、作業を進めてまいりました。
 平成28年度に係る評価において、各法人の取組の特徴は、エビデンスに基づく法人運営の推進ということでは結構進んでいると思われること、また、寄附を受け入れる努力をしており、大きな金額を受け入れる工夫をしていることがありました。もちろん、大学によってその対応はいろいろですが、寄附文化を我が国も推進していく上で重要なことと感じました。
 それから、産学連携のための取組につきましても進んでいると思われます。 全体評価におきまして、86の国立大学法人全て、「『法人の基本的な目標』に向かって計画的に取り組んでいる」と認めております。
 項目別に評価をいたしますと、その中で4法人に対しては、「特筆すべき進捗状況にある」としており、11法人については、「順調に進んでおり、一定の注目事項がある」としています。
 一方、年度評価で未達成ということがありますが、これは、単に計画した目標に達しなかったというだけではなく、何かのインシデントが起きた場合には、それに対する対応が適切に行われたかどうかという内容も見ております。特に、情報セキュリティインシデントや研究不正については、いつまで経っても無くなりません。この項目については、2法人について、「遅れている」という評定を付した項目があり、13法人については、「おおむね順調」という評定を付した項目があります。
 これが全体の様子でございます。各項目の具体的な評定結果、あるいは、各大学の取組状況については、事務局から説明いただきます。
【北山委員長】  ありがとうございます。
 続いて、各チームを御担当いただいた主査の方々から、補足や感想等があれば、お願いいたします。Bチーム、奥野委員お願いします。
【奥野委員】  Bチームは、西日本の大規模大学7法人を評価対象にしています。先ほども言いました寄附に関して、名古屋大学が努力しており、少し変わった方法を考えたのは大阪大学です。大学では、なにかのプロジェクト研究などで寄附があることは普通ですが、大阪大学では、大学の基礎研究に10年間という長い期間寄附してもらえる契約を実現しました。こういうことがもう少しいろいろな大学に広がるといいと感じました。
 印象として、国立大学法人は、数値目標を結構出してくるようになりました。何に対しても数値目標として出せばいい訳ではないので、危惧しています。我々の評価の中で、法人とやり取りすると「この年度計画の設定の仕方がよくなかったですね」ということがありました。問題は年度計画にあるのだと思います。
【北山委員長】  ありがとうございます。
 それでは、Cチームを御担当いただいた森山委員、お願いします。
【森山委員】  Cチームは、文科系の大学7大学と、大学院大学4大学の計11大学について評価を行いました。
 先ほど奥野委員から、寄附金についてコメントがありましたので、その点から言いますと、東京芸術大学におきまして、寄附金12億4,000万円を獲得していて、年度計画を著しく上回っている。それから、一橋大学におきましても、一橋大学基金において総額が約93億となっており、大学の寄附金文化の醸成ということが、我々のところでも幾つか見られると思われます。
 それから、滋賀大学は、データサイエンス学部を立ち上げようとして取組をされてきており、データサイエンス教育研究センターを設置し、企業、自治体、経済団体との連携を精力的に進められている。
 そのほか、取組の中で注目すべき点というのは、他の大学でも見られますけれども、この辺が特に注目するべきかと思います。
 以上です。
【北山委員長】  ありがとうございます。
 それでは、Eチームの勝委員、お願いします。
【勝委員】  私が担当いたしましたのは、Eチームということで、北海道教育大学から福岡教育大学の、教員養成単科大学の11大学ということでございます。
 この大学群の中では、評定を「特筆」とした法人は残念ながら無かったわけですが、ただ、今年度からできた「一定の注目事項がある」という評定に1校該当大学がございました。福岡教育大学が、学長のリーダーシップによる効果的な学内資源再配分の実施、監事監査の充実及び監事の処遇の改善、大学評価に関するSDの実施と、3つの注目事項がありましたので、業務運営の評定を「一定の注目事項がある」ということにいたしました。
 一方、「遅れている」という評定がある法人はございませんでした。
 ただ、愛知教育大学、こちらが業務運営について「おおむね順調」とさせていただきましたが、こちらの大学の場合は、女性の教員比率、これが年度計画を中期計画と同じ水準にするという形で設定していたわけですけれども、この年度計画が未達成であったこと等を勘案したことによるものです。ただ、こうした数値目標を入れるのは非常に難しいといいますか、各大学が主体的に決めるわけですけれども、例えば、退職される方であるとか、あるいは、突然割愛になる方とか、特に女性の数が少ない場合ですと、比率がかなり大きく動くということもあるので、やはり数値計画を入れる場合は、細心の注意を払うべきかなと思いました。と申しますのも、水準自体は低いわけではないので、こうした評価になったことは少し残念であったかなと思います。
 以上でございます。
【北山委員長】  ありがとうございます。
 それでは、Fチームを御担当いただいた柴田委員、お願いいたします。
【柴田委員】  御報告申し上げます。
 Fチームは、評価対象といたしましては、旭川医科大学から滋賀医科大学までの医科系単科大学4大学と、岩手大学から和歌山大学までの附属病院を持たない中規模総合大学9大学、合計13大学でございます。
 大学ごとの各項目の評価結果は表のとおりでございますが、「特筆」とされた法人はございませんでしたが、評定で「一定の注目事項がある」と判定したものが、自己点検・評価につきまして、東京医科歯科大学で、次年度に期待される取組を示すことによるPDCAサイクルの構築及び研究成果を国際発信するための多様な取組の2つが注目事項として挙げられまして、評定を「一定の注目事項がある」とさせていただいております。
 一方、その他業務運営の項目におきましては、和歌山大学の評定を「不十分」といたしました。これは、年度計画における年俸制教員数の増加を掲げていたものの、最終的に人数が目標まで達しなかったことによる年度計画未達成があったこと等を勘案したものでございます。
 それ以外、各法人の「注目される点」につきましては、お手元の資料4で、8ページにございます東京医科歯科大学、左上の方にございます学長シンクタンクの活用による学長の意思決定機能の強化及び、その隣、9ページにございます宇都宮大学の学部ごとに重点・独自項目を設定することによる新たな内部質保証システムの確立、それから、13ページに参りまして、浜松医科大学ですね。ここでは、新たな職制といたしまして、博士号を持った研究技術職員という制度を導入いたしまして、研究の推進・支援体制を促進しているというようなことが「注目される点」として挙げられる事例となっております。
 以上、Fチームの概要でございます。
【北山委員長】  ありがとうございました。
 続きまして、Gチームの松本委員、お願いできますか。
【松本委員】  Gチームは、中規模大学が主な範囲で、弘前大学から島根大学までの12大学を担当しております。
 「一定の注目事項がある」大学としては、山形大学を挙げさせていただいております。これは、入試情報及び学務情報に基づく分析レポートを活用しているということと、論文数の増加に向けた研究者データの活用、この2つの項目が注目事項ということを考えて、自己点検・評価における評定を「一定の注目事項がある」ということにいたしました。
 「遅れている」法人というのはございませんでした。
 特に指摘はしていないのですが、群馬大学について、過去、附属病院で大きな不祥事があって、それの事後対策というのですか、いわゆるマスコミ対応から始まって、第三者委員会の設置、それから、再発防止策の実施、そして、今、具体的な改善事項を実務の中でどう定着させていくかという場面に今立ち至っているわけですが、これについて、かなりのチェック項目についてPDCAサイクルを回しつつあるという状況になっております。これがもしうまくいけば、組織として変わっていけるという局面になっているかなと。何年間かにわたった作業なのですが、きちっとできれば、この指摘を受けて改善を図って、それが組織の改善にしっかり結び付くということになりそうだということで、地道な作業になりますが、きちんと行われているのではないかなというような意見が、Gチーム内の委員の一致した見解でございました。
 以上でございました。
【北山委員長】  ありがとうございます。
 それでは、Hチームの桐野委員、お願いします。
【桐野委員】  Hチームは、信州大学から琉球大学まで、主に西の方の附属病院がある中規模の13大学でございます。
 色刷りの資料4の6ページに、「特筆」がある2法人、徳島大学と熊本大学が並んで出ておりますが、徳島大学の方は、主に医歯薬系研究者の発明相談や面談を頻繁に行い、実用化が見込める研究者に対して集中的に支援を行う等の産学連携活動を行いまして、平成28年度には、知的財産保有額に占める版権料・特許料収入が4倍になるという突出した伸びを示しておられます。例えば、6ページの右下に、徳島大学の研究成果であるボツリヌス製剤について、製品化をする方向で進んだというようなことがありまして、「特筆」としています。
 それから、熊本地震関連で、熊本大学では、震災の直後から全学一丸となった救援体制を敷かれて、復旧・復興に向けた迅速な対応がなされていることから、これを「特筆」といたしました。
 また、「一定の注目事項」につきましては、自己点検・評価において山口大学と熊本大学が該当しております。その他、注目すべき点につきましては幾つか例示されておりますが、8ページに、香川大学の自治体との連携による寄附金収入の確保で香川県の活動、それから、次の9ページには、鹿児島大学のクロスアポイントメント制度の活用によるセキュリティ人材の確保の例、それから、続いて10ページに、山口大学において、認証評価結果を活用した着実な改善の実施、次の11ページに、信州大学において、金額の決定方法等の見直しによる間接経費の増、それから13ページには、宮崎大学の外部資金の獲得拡大に向けた「組織」対「組織」の共同研究推進体制の構築というような事項が「注目すべき点」として挙げられております。「遅れている」という法人はございませんでした。
 また、山口大学では、情報セキュリティマネジメント上の課題が今年度も残念ながらありまして、その他業務運営に関しては「おおむね順調」という評価になっております。
 他の事項については、全て「順調」ということでございます。
 以上です。
【北山委員長】  ありがとうございました。
 各チームの主査を御担当された委員の方々、また、チームの皆様に、改めて御礼申し上げます。
 続きまして、大学共同利用機関法人について、稲永分科会長からお願いします。
【稲永委員長代理】  それでは、報告させていただきます。
 大学共同利用機関法人分科会では、4つの大学共同利用機関法人について「平成28年度に係る業務の実績に関する評価」を実施し、評価結果(原案)を取りまとめた上、各法人に意見申立ての機会を設けて、最終的な案を作成しました。
 本日は、タブレットにて「評価結果(案)の概要」と「各法人の評価結果(案)」を配付しております。業務運営・財務内容等の評価結果は、4法人とも「順調」又は「おおむね順調」でありました。
 総括といたしまして、各法人は機構長のリーダーシップの下、機能強化の取組が着実に推進されていると感じています。特に、自然科学研究機構では、戦略性が高く意欲的な目標・計画の取組状況として、アストロバイオロジーセンターに宇宙生命探査プロジェクト室を新設し、国際的な拠点形成を進めておられます。
 その他、各法人の特徴的な取組としまして、人間文化研究機構については、国立民族学博物館において手話言語学の寄附講座を設置し、大学における手話言語学の開講支援等により、受託事業費及び寄附金が対前年度比1,843万円増加していること等を「注目すべき点」として取り上げています。
 自然科学研究機構については、核融合研究所に対外協力部を新設し、地域を対象とした普及活動を推進した結果、見学者が前年度比の2倍以上に増加していること等を、「注目すべき点」として取り上げています。
 高エネルギー加速器研究機構については、寄附収入増加に向けた様々な取組を実施した結果、寄附金収入が対前年度比約5倍に増加していることを、「注目すべき点」として取り上げています。
 情報・システム研究機構については、極域科学に関する興味・関心を高めるため、小中学生向けの広報誌を創刊し2万部発行したこと、また、オーロラシアターのリニューアル等により南極・北極科学館の来館者が初めて3万人を実現していること等を、「注目すべき点」として取り上げています。
 一方、高エネルギー加速器研究機構については、教員の年俸制適用者が目標の15%に至っていないことを「遅れている点」として取り上げています。この年度評価の結果を踏まえて、法人に対して、自主的な改善に取り組むよう促していただきたいと思います。
 以上でございます。
【北山委員長】  ありがとうございました。
 それでは、事務局から、評価結果(案)等について御説明をお願いします。
【事務局】  それでは、資料3、資料4、また、机上資料1と2に基づいて説明させていただきたいと思います。
 まず、机上資料1、机上資料2につきましては、机上資料1が、各大学ごとの評価結果(案)でございまして、机上資料2が、先ほど説明いただきましたチームごとの概要をまとめた資料となっております。
 さらに、机上に配らせていただいています資料4、国立大学法人等の平成28年度評価結果について(案)とさせていただいているものでございますが、これは各大学の評価結果(案)に基づきまして、プレス配布をさせていただく資料として作成させていただいたものでございまして、まず資料4について説明をさせていただければと思います。
 国立大学法人の年度評価全体につきまして、まず冒頭に書かせていただいておりますが、この年度評価の位置付けにつきまして、90法人について、各事業年度の業務運営に関する計画の実施状況に基づき、中期計画の達成に向けた進捗状況を評価させていただくものであるという、年度評価の中身を書かせていただいております。
 また、その下、全体評価の下に青の網掛けの部分がございますけれども、例えば、全体評価であれば、ここに何を書いているのか、また、項目別評価の下にも青字で書いておりまして、さらに、2ページには、大きく青字の網掛けのところが続いておりますが、この観点で何を見ているかというところを、それぞれ補足説明をさせていただいているものでございます。
 まず全体評価ですが、平成28年度については、90法人中90法人全てにつきまして、中期目標前文に掲げる「法人の基本的目標」に則して、計画的に取り組んでいると認められるとしております。
 また、先ほど分科会長からも御指摘がありましたとおり、今年度の評価のポイントといたしまして、エビデンスに基づく合理的な法人運営のための取組が広がっていること、寄附金の受入方法について更なる工夫・多様化が図られていること、また、産学官連携について本格的な共同研究の推進に向けた体制整備が図られていること、これらについて、平成28年度の評価結果の特徴として、ここに記載しております。
 また、課題の点につきましては、情報セキュリティマネジメント上の課題、研究活動における不正行為、コンプライアンス上の問題、これらについて課題として指摘しているという形で、90法人全体の評価をここで記載させていただいているものでございます。
 その下が項目別評価でございまして、それぞれ4つの観点、「業務運営の改善及び効率化」、「財務内容の改善」、「自己点検・評価及び情報提供」、「その他業務運営」につきまして、それぞれの評定を付した法人の数を示したのが、この表になっております。
 まず一番上の評価でございます「特筆すべき進捗状況にある」につきましては、先ほど各チームの主査からも御説明いただきましたが、財務内容の改善につきまして3法人、また、その他業務運営について1法人が「特筆すべき進捗状況にある」と評価しております。
 また、その下の「順調に進んでおり一定の注目事項がある」という評定項目につきましては、業務運営の改善及び効率化が3法人、自己点検・評価及び情報提供が5法人、その他業務運営が3法人となっております。
 また、「順調に進んでいる」、これがほとんどの法人が入っている項目でございますが、それぞれ79、87、85、78法人としております。
 その下の「おおむね順調に進んでいる」というところにつきましては、業務運営の改善及び効率化が7法人、その他業務運営が7法人となっております。
 さらに、その下の「遅れている」と評価したものが、業務運営の改善及び効率化で1法人、その他業務運営で1法人となっております。
 平成28年度につきましては、「重大な改善事項がある」という評価になった法人は無しとなっております。
 2ページの青掛けの部分につきましては、それぞれどういった点を評価させていただいているかという補足と、「特筆すべき点」、「注目すべき点」、「遅れている点」というのはどういう点を評価させていただいたか、先ほどの参考資料1や資料1に基づいて記載しているものでございます。
 3ページを御覧いただきまして、平成28年度評価結果の特徴をここに記載しております。先ほど全体評価のところでも御説明させていただきましたが、平成28年度評価のポイントといたしまして、エビデンスに基づく合理的な法人運営の推進をしている法人が21法人あったということで、具体的には、部局ごとに設定したKPIに基づく評価結果を活用した学内資源配分を行っているものですとか、認証評価結果を活用して法人運営全体の業務改善の推進に役立てている法人等が見られたところです。
 また、寄附の受入方法の多様化ですが、11法人挙げておりまして、寄附の受入れに向けた窓口の設置、また、株式の寄附の受入れ、自治体のふるさと納税と国立大学が連携した寄附金収入の確保等、様々な取組が見られたところでございます。
 また、その下、教育研究の関係になりますが、「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」に沿った取組を実施している法人が20法人ということで、「組織」対「組織」による新たな産学連携システムの実現ですとか、大学発ベンチャーの創業支援に取り組んでいる法人が20法人あったという特徴を挙げております。
 また、その下の参考で、熊本地震への対応に関する取組を挙げておりますが、こちらは、直接評価結果・評定に反映しているものではございますが、平成28年度4月に熊本地震があったわけでございますけれども、これに際して、その下に取組事例と書いておりますが、DMATの派遣でございますとか、熊本県出身の学生に対する授業料免除等、各大学が様々に取り組んだことがございまして、実績報告書にも一部記載いただいておりますので、ここで御参考に御紹介をさせていただいているものでございます。
 4ページから、「特筆すべき点」で4法人ございますが、それぞれにつきまして、御紹介をさせていただいております。
 まず財務内容、「特筆すべき点」で、東北大学ですが、遺贈受入窓口の開設等、多様な寄附金受入方策の実施という点を評価しております。評価結果(案)にございますように、寄附金受入窓口を東北大学に設けまして、弁護士や税理士、信託銀行等の専門家と連携して受入方法の多様化を進めている。それに加えまして、アメリカ在住者からの寄附金の受入体制を強化するということで、下の参考情報の2つ目のチェックのところにございますけれども、アメリカ在住者からの寄附金受入を強化するために、アメリカのNPOのGive2Asiaと契約を締結し、アメリカに在住の方が東北大学に寄附をした場合にも税制優遇がアメリカ国内で受けられるような仕組を構築したということで、まだ額は9万USドルという額でございますけれども、様々な取組をされているところを評価させていただき、「特筆すべき点」として挙げております。
 続きまして、5ページでございますが、こちらも財務内容ですが、先ほど御紹介いただきました大阪大学の取組でございまして、「組織」対「組織」による新たな産学連携システムの実現について取り上げています。こちらは、企業との「組織」対「組織」の新しい共創モデルとして、中外製薬株式会社及び大塚製薬株式会社と免疫学フロンティア研究センター(IFReC)の間で包括連携契約を締結したというものです。こちらにつきましては、先ほど奥野分科会長からも御紹介いただきましたとおり、10年間にわたって100億円以上の研究資金がIFReCに拠出されるということになっておりまして、IFReC側からは、研究成果の定期的開示、また、特にこの両者については、研究成果の優先閲覧ができるということで、基礎研究への資金投下に対してのインセンティブを促進したということで、評価をさせていただいたものでます。
 続きまして、6ページでございます。こちらも財務内容の特筆すべき点ですが、徳島大学における、戦略的な産学連携活動の展開による特許料等収入の増について取り上げております。徳島大学につきまして、この評価結果(案)に書いておりますが、「関西圏」「徳島県」「四国地区」の3つの地域の特性に合わせて製薬企業と産学連携を進めるなど、戦略的な産学連携活動を展開している。徳島大学の研究成果の広報を積極的に行いまして、産業界による利活用を促進した結果、平成28年度には知的財産権保有額に占める版権料・特許料収入の割合が過去5年間の平均の約4倍と突出して伸びたという点を評価できるとしております。
 先ほども御紹介いただきましたが、右下に成功事例といたしまして、次世代ボツリヌス製剤について、塩野義製薬株式会社とライセンス契約を締結した際の写真も付けさせていただいております。
 続きまして、こちらも先ほど御紹介いただきましたが、熊本大学でございまして、全学一丸となった実施体制による熊本地震からの復旧・復興に向けた迅速な対応についてでございます。先ほど申し上げましたとおり、平成28年度、熊本地震がございましたが、この熊本地震の発生を踏まえて、早急に対策チームを各部局に設置したということ、また、もともと平成28年度におきましては、大規模災害対応基本マニュアルの改訂の検討等を行うとしていたところでございますが、この震災を受けまして、マニュアルの改訂、また、安否確認システムの活用を実際に進めるなど、年度計画を上回る進捗で災害対応体制を強化した。また、さらに、地元への貢献という観点ですが、熊本復興支援プロジェクトを立ち上げまして、右の方に幾つか書かせていただいておりますが、例えば、熊本城の被災文化財の復旧・活用支援等、様々、地域貢献に取り組んだという点を評価させていただいて、「特筆」とさせていただいております。
 平成28年度、「特筆」と評価させていただいた点は、以上の4法人でございまして、8ページ以降、「注目すべき点」をそれぞれの分野ごとに挙げております。
 「注目すべき点」は、こちらに掲載させていただいているものが全てというわけではなくて、各大学の注目すべき点の中から、幾つか抜粋したものです。
 幾つか御紹介させていただきますが、8ページ、業務運営の改善及び効率化につきまして、東京医科歯科大学でございますけれども、学長シンクタンクを活用して、学長の意思決定機能の強化に取り組んでいるという点、また、その下、金沢大学でございますけれども、在学生、保護者、卒業生、受験生等、様々なステークホルダーを集めて意見を聴取するというような取組を行っている点を評価させていただいております。
 また、その下、財務内容の改善について、筑波大学でございますけれども、会計業務を本部に一元集中化したことで、人件費換算で4,700万円の削減効果を上げたという取組でございます。また、その隣の香川大学ですが、こちらは先ほどの寄附の多様化のところで御説明させていただきました、ふるさと納税の仕組みを活用した寄附促進でございまして、「希少糖含有シロップ」を選択した寄附者の寄附金総額の半分が香川大学に寄附されるという仕組みを地元自治体と構築したという事例でございます。
 また、9ページを御覧いただきますと、自己点検・評価及び情報提供について、宇都宮大学ですが、学部ごとに重点・独自項目を設定することによる新たな内部質保証システムの確立に取り組んだ点、また、その下、山梨大学ですけれども、ウェブサイトについて、アクセス解析に基づいて改善を行っている事例等を評価させていただいております。
 また、その下のその他業務運営でございますが、千葉大学におけるセキュリティバグハンティングコンテストを取り上げております。これは、学生が参加してセキュリティのバグを見つけていくというコンテストでございますが、このような対策がセキュリティの維持向上につながっている点を評価させていただいております。また、その隣の鹿児島大学でございますが、クロスアポイントメント制度の活用によるセキュリティ人材の確保ということで、民間企業からサイバーセキュリティに関する専門家を特任教授として採用するなど、セキュリティの強化に向けて取り組んでいる点を評価させていただいております。
 10ページ、11ページにつきまして、文字だけではございますが、ただいま申し上げました4項目について、さらに、「注目すべき点」として取り上げさせたいただいたものをそれぞれ記載しております。
 続きまして、12ページでございます。平成28年度評価は年度評価でございますので、教育研究は直接評定には反映しておりませんが、各大学の教育研究等に関しても、注目すべき点について取り上げております。
 まず秋田大学でございまして、24時間対応可能な学生相談ダイヤルを設置し、平成28年7月から平成29年3月にわたって、相談件数は104件にわたったという点を評価させていただいております。
 また、その下でございますが、東京工業大学において、「サイバーセキュリティ特別専門学修プログラム」を開設し、サイバーセキュリティに係る教育研究の実施に取り組んでいる点を評価しております。
 その下でございますが、広島大学において、写真を見ていただければわかりますとおり、1人の学生に対して複数のチューターが、学生相談だけにとどまらず、様々な学生支援体制を充実させているという点を評価しております。
 その下の福岡教育大学につきましては、様々な学内の教育改革の状況について、新入学生と学長が懇談を通じ、大学の取組の改革状況の意見を聴取するという取組を行っており、このような点を評価させていただいております。
 続いて、13ページ、浜松医科大学でございますが、研究支援体制を強化するための新たな職位の創設と書いておりますけれども、博士号を持った研究技術職員の制度を創設しまして、現在2名の採用を決定したという点を評価させていただいております。
 その下の京都大学でございますけれども、リサーチアドミニストレーター(URA)の所属を各学部から学術研究支援室に一元化し、効率的な運営を図っているという点を評価させていただいております。
 また、その下、産学連携でございますが、神戸大学におきまして、研究成果の事業化をサポートする会社を新たに設立した点を評価しております。また、宮崎大学でございますが、「組織」対「組織」の共同研究推進体制の構築として、日機装株式会社と共同研究包括連携協定を締結しているという点を評価させていただいております。
 また、14ページでございますけれども、福島大学において、地元企業の若手社員による学生の就職支援ということで、企業から推薦された若手社員を「キャリアサポーター」に任命し、様々な就職活動の支援を行っているという点を評価しております。東京芸術大学においては、これはグローバル化の観点でございますけれども、様々な国からの同窓生がおりますので、同窓会サミットを通じて国際的ネットワークの構築に取り組んでいる点を評価させていただいたところです。
 教育・研究の点につきましても、幾つか大学の注目すべき取組を紹介させていただいております。
 最後のページ、16ページでございますが、1ページのところで「おおむね順調に進んでいる」又は「達成のためには遅れている」とさせていただいたもの等、課題として「遅れている点」として挙げたものを御紹介しております。
 最も多かったのは情報セキュリティマネジメント上の課題でございまして、こちらは先ほどの資料1でも申し上げたとおり、情報セキュリティインシデントの重大性と各大学の取組を鑑みまして、それぞれ評価を付けさせていただきましたが、15法人につきまして、課題という形で付けております。
 また、研究活動における不正行為、こちらは3法人について、課題として付けております。
 また、毒劇物等の不適切な管理につきましても、2法人について、課題と付けております。
 その他は、年度計画の一部未了、先ほど主査の方からも幾つか御紹介いただきましたが、高エネルギー加速器研究機構、小樽商科大学、和歌山大学等、年俸制の教員の数値目標を立てているところがございましたが、一部未達成になっている点につきまして、課題として挙げさせていただいております。
 また、その他、法人の管理責任がある事件・事故等につきまして、3大学に該当がございましたので、これらについて、「遅れている点」として評価させていただいたところです。
 資料4につきましては以上でございまして、資料3に戻っていただきます。
 資料3は、先ほど評価の審議経過等について御報告させていただきましたとおり、10月24日から11月7日にかけまして、国立大学法人等へ評価結果(原案)の意見照会を行ったところでございますが、その際に意見申立てをいただいたものでございまして、合計7件の意見申立てをいただいております。
 まず1件目、東北大学ですが、注目事項の追加という形で、金属材料研究所強磁場超電導材料研究センターにつきまして、共同利用・共同研究拠点としての成果を踏まえ、同センターについての注目事項を追加するよう申立てをいただいておりますが、こちらについては、原案のとおりとさせていただきまして、注目事項には追加をしないという形にさせていただければと思っております。
 その下、茨城大学、電気通信大学、岐阜大学の3つでございますが、それぞれ、先ほどの「遅れている点」のところで、情報セキュリティマネジメント上の課題として挙げたところでございますが、インシデントが発生したことは事実でございますが、その後、組織的な再発防止策に取り組んでいることを明確にしてほしいという申立てをいただきまして、こちらにつきましては、この3大学以外にも、情報セキュリティマネジメント上の課題に挙げさせていただいた大学につきまして、インシデント発生後はしっかりと対策に取り組んでいるというところが見られておりますので、この意見を踏まえまして、評価書の記述を若干修正させていただいております。具体的には、「今後、組織的な対策が望まれる」としておりましたところを、「更に組織的な対策を行っていただきたい」という形にさせていただいております。
 その下、豊橋技術科学大学ですが、先ほど評定が6段階になったということを御説明させていただきましたが、「順調」という標準の評定から1つ上の「一定の注目事項がある」という評定に上げていただきたいということで、こちらにつきましては、先ほど資料1のところで「一定の注目事項」に入る評定の考え方を御説明いたしましたが、それに基づきまして、原案のとおりにさせていただきたいと思っております。
 その下、京都大学でございますけれども、先ほど奥野分科会長からも少し御説明がございましたけれども、年度計画の未達成がありまして、「遅れている点」として挙げさせていただいているものですが、数値は達成できていないが、それぞれの取組はしっかり行ったということで、評定を1つ上げて欲しいという申立てでございました。こちらにつきまして、京都大学の意見を踏まえ、取組がしっかり行われていることにつきましては、記述を修正いたしましたが、評定につきましては、やはりチーム会議、分科会でも御議論いただきましたとおり、年度計画の目標の設定の考え方、また、それに向けた取組等を鑑みまして、原案どおりとさせていただきたいと考えております。
 最後は、北陸先端科学技術大学院大学でございます。こちらも、先ほどの「遅れている点」で、毒劇物等の不適切な管理で課題を付けておりますが、水銀化合物(チメロサール)が微量含まれている製剤を誤ってそのまま処理をせずに流してしまったという事例が50回程度あったという事案で、ただ、実際には、下水道法に定める基準を上回るような毒劇物が検出されたことはなかったということなどから、評定を「おおむね順調」から「順調」に上げてほしいという意見申立てでございました。けれども、こちらにつきましては、やはり微量の毒劇物とはいえ、かなり継続的に繰り返し流出していることから、管理が不適切であったという点がございますので、評定につきましては、原案のとおりとさせていただきまして、一方、記述につきましては、当初の原案では水銀化合物そのものが流れたかのような表現になっておりましたので、その点だけを修正させていただきたいと考えております。
 長くなりましたが、以上でございます。
【北山委員長】  ありがとうございました。
 それでは、この国立大学法人及び大学共同利用機関法人の平成28年度に係る業務の実績に関する評価結果(案)に関して、御意見・御質問があれば、どなたでも結構ですので、御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
 水野委員、どうぞ。
【水野委員】  評価チームの皆さん、大変お疲れ様でございました。
 大変な作業だったんだろうと思いますので、個別の大学ごとにつきましては、当然ですが、法人に対してヒアリングしたりしておりませんので、コメントすることはないというつもりで拝見していたんですけれども、2つほど、一般論として気になっていることを申し上げると、まず寄附金についてなんですけど、東京大学ですら、アリゾナステートとか、そのぐらいのレベルしか寄附金がないというこの状態を考えたときに、寄附金に対する対応策で、こういう口座を開けましたという、そういうレベルでは若干物足りなさ過ぎるなと感じています。やはり目標を定めてやる必要があるのではないかなと思っておりまして。私が出たアメリカの大学院なんかでも、今度、新しいビルを建てますので100億目標で集めますとか言って、本当に100億集めたりしていますから、そういう目標を持ってやらないと、多分、寄附金集めも、こういう散発的な事例集を作って終わりになってしまうような気がいたしますということと、もう一つは、多分もっと重要な問題だと思うんですけれども、去年も同じコメントをしたような気がするんですが、やはりコンプライアンスイシューについては、今、民間の企業などでも、コンプライアンス問題は一発出たらアウトというぐらいのことになっているんですけれども、今回の評価においては、実際コンプライアンス問題があったところでも、「遅れている」になったところは1法人となっている。何となく、もうそれも解決済みでオーケーだみたいな感じになっているんですけど、文部科学省、あるいは、大学のコンプライアンス問題に対する意識に若干世の中とずれがあるのではないかと感じざるを得ないところがございます。
 なので、特にコンプライアンスについて、もう少し前向きにどういう対応をしているか。今の民間の流れなんかは、コンプライアンスオフィサーやコンプライアンスのシステムを作って、常にコンプライアンス問題が起きないように改善していくということなんですけど、どうしても後付けで、不正があったら、それを直しました、不正がありませんでしたということしか出ていないことについては、考え方としてどうなのかなと感じております。
 その2点だけ、御意見させていただければと思います。
【北山委員長】  ありがとうございます。
 寄附について、日本の国立大学の目標額は、アメリカ等と比較するとまだ大きな差がある状況ですが、そういった点について、文部科学省としてはどのようにお考えでしょうか。
【事務局】  水野委員に御指摘いただきましたとおり、まさに寄附金につきましては、アメリカ等諸外国と比較しますと、まだまだ足りないところがあると思っております。
 年度計画、中期計画につきましても、各法人におきましては、寄附の目標値、今、北山委員長からも御説明いただきましたとおり、設定しているところがあるわけでございますが、この金額はまだまだ低いというところは御指摘のとおりでございまして、我々といたしましても、今後一層寄附の促進に取り組むということで、様々な税制改正でございますとか制度改正に取り組んでいきまして、各大学の寄附受入れに向けて、環境をしっかりと整備していきたいと思っております。
 コンプライアンスの関係につきまして、恐らく研究活動における不正行為というところかと思っておりますけれども、同じ研究所で同じ論文不正が生じたという点もございまして、そういった課題もありますので、今回、課題として再度付けさせていただいたところでございますけれども、この課題として付けさせていただいた点につきましては、当然、各大学におきまして、来年度以降、どのような対策を講じたか、しっかり聴取していきまして、コンプライアンス体制が整うように我々も指導していきたいと思っております。
【北山委員長】  研究費の不正使用に関して、第3期から、個々のインシデントではなく、そのインシデントに対する法人としての管理責任をチェックするよう、考え方を変えましたが、その点について、実際に評価を行ってみた感触はいかがでしたか。
 【事務局】  今の御指摘のインシデントへの対策ですけれども、資料4でございますが、案の2ページの一番下で、「遅れている点」の指摘等で、「事件・事故が発生し」、その他、「法人の管理責任がある」場合としております。今回、インシデントが発生してしまったということは前提の上で、大学の取った取組が実際どうであったか、その後の体制の構築の具合がどんなことであるかというのは個々に見ていただくというようなことで御留意いただいた結果が、今回の整理につながってきたかなという気がします。
 その一方で、より厳しい目で考えれば、インシデントが発生してしまっても、大学として一応対策を取ったので、それほどひどい評価にならずということも、客観的に見て、今後こういうことが続いてくれば出てこないとも限りません。ただ一方で、委員長からも御指摘いただきましたように、大学は非常に規模の大きい組織でございまして、正直申し上げて、多様な活動をいろんなプレーヤーがやっております。情報、研究不正、その他、何のインシデントも全く起きないという事態が正しいのか、あるいは、それが本当か。表面化しないように大学側が慌ててしまうというようなムードになってもかえっていけませんので、不幸にして発生した事案は、きちんと調べて公表する、改善すべきはするというサイクルを作っていただきたいなと思って、今回からこういったことも始めていただいた。ただ、それがどう大学のコンプライアンス体制全体がバージョンアップしていくというのにつながるかは、水野委員御指摘のように、まだまだこれからかなという気持ちは持っております。
 寄附についても同様でございまして、寄附文化がなかなか日本で定着しない中で、大きな事例が出始めたというところを追って、「注目すべき点」ないしは「特筆すべき点」というような評価も現在いただいているところですけれども、私どもも更に努力しながら、目標額を決めて着々恒常的な活動として寄附の、あるいは外部資金の獲得に努めるとか、コンプライアンス体制も、いろんな専門家のお力も借りながら、体制として充実していくというような方向に持っていきたいと思っております。この評価活動自体も、そういう意味で、大学の日頃の活動とともに、深化する評価活動という意味で、今後とも御指導いただければと思っております。まだ動き出したというところが正直なところかなと思って拝読しておりました。
【北山委員長】 こういったコンプライアンスの問題に関して、民間企業ではよく「組織というものは、築城3年落城1日」と言われます。たとえ一人の悪意に基づく行為でも、世間からは組織全体の問題と捉えられるという認識を、例えば5,000人の組織であれば5,000人全員がそれぞれ持たないといけない。本来、それがあるべき姿だと思いますので、そうしたことを大前提としつつ、うまく評価していければと思います。
【小林委員】  よろしいでしょうか。
 研究不正について、第2期と第3期の違いは、「研究活動における不正行為の対応等に関するガイドライン」にありますとおり、事前防止策と事後対策の両方を取るということで、事後対策は第2期まで入っていましたけど、第3期中期目標を承認するときに、全ての国立大学が事前防止策を取るということをお書きいただいたはずだと思います。
 具体的に何か注目すべき事項でも、それが特に出ていていなかったので、例えば、こういう大学は、こういうような従来とは違う事前防止策を取ったというようなところはなかったのかどうかというところが、1つお尋ねしたいところです。
 それから、寄附については、これは文化の問題というよりも、やはり税制の問題なので、日本と韓国だけは多分世界で特殊というか、要するに、税額控除ではなくて、所得控除になりますから、税額控除ですと母校に寄附しようということになるんですけれども、その効果が日本の場合は低いので、文化だけの問題ではなくて、やはり制度の問題で、そこが変わらない限りは、多分大きくは変わらないのかなという気がします。
 その事前防止策は、どこか注目すべきところはあるでしょうか。
【事務局】  研究費の不正使用に対する年度評価への取扱いについては、今年6月に評価委員会決定とさせていただいたかと思いますけれども、文部科学省で定めさせていただきました、「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン」、これに基づいて適切な対応がされている場合には、仮に不正が起きたとしても、法人の管理責任が問われるものではないということで、評定反映も行わないという形にさせていただいておりまして、各大学、基本的には、このガイドラインにしっかりと則って対策を講じていただいているということで、その特に注目すべきような取組というのは今すぐに出てまいりませんが、全体として、このような形になっているところでございます。
 それと、今の税制のお話でございますけれども、国立大学法人につきましても、平成28年度の税制改正におきまして、就学支援基金に対する寄附につきましては、個人寄附は税額控除の対象となっておりまして、寄附金の40%が所得税から控除されるという仕組みになっておりまして、また、それも所得控除、税額控除の選択制となっておりますので、この税制につきましては、それほど諸外国と遜色はないという形になっているのかと存じております。
【水野委員】  先ほどのコンプライアンスなんですけど、根本的に考え方が合ってないなと思うところがありまして。多分、小山課長の御発言も他意はないと思うんですけど、大学が多様な活動をしているとおっしゃいましたが、コングロマリットで世界中でビジネスを展開している民間企業に比べたら、全然多様ではないわけでありまして、やはり1つでもインシデントが出るとかいうのは正直論外ですし、それを吸い上げられないような状態になっているとすれば、それは根本的なシステム的な欠陥があるとしか思えないので、やはりそこは、それでいいでしょうということではないと思います。文部科学省が厳しい態度を示さないと、「やっぱり大学のコンプライアンスって、民間に比べて全然なってませんよね」と言われてもしょうがないのではないかなと思いますし、あと、ずっと疑問に思っていますのは、コンプライアンスイシューをやるには、どういう不正の可能性があるかというのを事前に考えて、それの対応策を事前に作っておかなければいけないと思うんですけど、少なくとも評価を見る限りは、起きたインシデントに対する対応策や、起きていないところが同じことが起きないようにチェックしているだけであって、想像力を働かせてコンプライアンスのリスクをリストアップしているような取組等は全然私には感じられないんですけど。それは、これに書いていないだけで取り組まれているのか、それとも、やはりそこまではいってないのか、どちらなんでしょうか。
【事務局】  十分なお答えにならないかもしれませんけど、こうして評価委員会で毎年評価していただいている中で、こういったインシデントも出てきているというのが正直なところですので、これを基に想像力を働かせて、恒常的な活動として、想定されるコンプライアンス問題をあらかじめ共通理解として、標準的な理解としてきちっと整理をして、それに対する対策を常設的な問題として全ての機関に備えるというのは、正直言って、まだこれからの課題というところに、御指摘のとおり、意識としては遅れている面は確かにあろうかと思います。
 おかげさまで、こういう評価活動で毎年やっていただいている結果、こういった事例が、各大学も、それから、報道に出て、その対応に追われたような大学も、経験としていろんな事例が蓄積してきていますので、そろそろ御指摘のような方向に舵を切っていく。材料は整ってきていると思いますし、私ども、今後努めるべきかなと、今の御指摘を承って、存じました。
【小林委員】  よろしいですか。一言だけ。
 税制の問題ですけど、就学支援の方は、もちろんおっしゃるとおりなんですけれども、海外の大学で寄附金が多いというのは、研究に対する寄附のことです。特に理系の場合はそうです。極端なことを言うと、遺産で1つの新しい学部を作るとかということがある。そこのところの税制が日本と韓国が特殊で、やっぱりそこは変わっていないんです。だから、そこが変わらないと、文化という精神論だけでは、なかなか企業はお金を出してはくれないのかなという気がします。
【北山委員長】  それでは、國井委員、お願いします。
【國井委員】  コンプライアンスのところは私も同感ですけれど、企業ですと、内部通報制度等で、問題が小さいうちにともかくいろいろ吸い上げて、大きくならないようチェックして対応を取るという流れですけれど、そういうようなことは定着してきているのでしょうか。仕組みとして、そういうようなものが機能しているのかどうか、お伺いしたい。
【事務局】  すみません。仕組みとしてしっかり調査をして、こういうふうに統計的になっておりますというのは、今、手元に特に用意できているわけではございませんので、御指摘のとおり、各大学で工夫していただきながら、だんだんそういう仕組みができてきているという段階なのではないかと思っております。
 中には、内部で大学で整えていることによって、何か事案が発生して、未然に防ぐという事案もあろうかと思いますので、私どももそういう情報の把握にも今後努めたいと存じます。
【國井委員】  内部通報の件数が余りにも少ないと、企業は、それは問題じゃないか、下からちゃんと上がってきているのかということを見ます。そういう統計的な把握も仕組みとしてした方がいいのではないかと思います。
【事務局】  ありがとうございます。今後の課題として受け止めさせていただいて、考えたいと存じます。
【北山委員長】  寄附等に関する税制の問題については、財務省と毎年いろいろと議論がある中で、先般の税制改正において、個人の寄附について国立大学も私立大学並の扱いになり、一歩進んだということかと思いますが、まだまだこれからの部分もあるのではと思います。そういった点についてはいかがですか。
【事務局】  一歩一歩でございますけれども、来年度の税制改正要望においても、実は、国立大学の寄附についての拡充を図っていこうということで今取組をしておりまして、いわゆる評価積算、土地とか建物、あるいは、株式なんかも含めて、今、寄附していただいても、なかなか寄附者について使い勝手が悪いということもございますので、そこをある程度緩和するというような方向で、今、税務当局と折衝しておりまして、それも含めて実現していきたいと思っています。
 そういう状況において、そろえて大学の方でしっかりやっていただくようなことについて、更に進めていきたいと思っているところでございます。
【北山委員長】  国立大学に対しては、資産運用に関する規制緩和や、不動産の有効利用等についても手当されましたよね。
【事務局】  法人法の改正をいたしまして、今、北山委員からお話ございましたように、土地とか建物につきまして、これまでは教育研究に資するという形での利活用に限っておったわけでございます。それを広げたりとか。これも外部資金を取り入れるという話でございますが、これの練度を上げていくという前提でございますが、資産の運用についても、独法並びのところに、少し広げるというというようなことについて、これはしっかりした体制を作っていく前提でございますが、進めるということもしていいと思います。
 それから、特に大学についてのベンチャー、あるいは、大学発ベンチャーの取組が今進んでおりますけれども、ストックオプションを寄附するケースもございまして、その運用について、ある程度活用しやすく、あるいは、大学にとってみて有利な形でも、これも通知の改正でございますけれども、やりましたので、また、そういうことについて整理しまして、きょうは資料を用意しておりませんけど、また別の機会にもお伝えしたいと思いますし、大学もしっかり活用いただきたいということについて、次回以降、そういう取組についても御紹介できればと思っているところでございます。ありがとうございました。
【北山委員長】  ありがとうございます。
 では、鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】  補足になりますが、先ほどのコンプライアンスの件ですが、企業にいる立場から見ていますと、コンプライアンスとか、個人情報の取扱いなどが現在最重要課題になっています。それによっては、信頼を失ったり多大なお金で解決したりと、過大視されていることを考えると、大学だから許されるではなくて、大学だからこそ、これから社会に出る人を養成している機関であれば、やはり一番に注意してほしいところではないかと感じています。
 本日の項目別評価のところにも、「その他業務運営」の欄にコンプライアンスが入っていますが、本当に大学自体に重要だということを認知してもらう意味では、「その他業務運営」の中に含めるのではなくて、法令遵守についてはきちんと項目を設けて、管理していく方法も必要ではないかと感じました。
 以上です。
【北山委員長】  貴重な御意見ありがとうございます。
【田籠委員】  逆の指摘をさせていただきたいんですが、私も民間企業なんですけれども、民間企業の方が圧倒的に不正案件が露見しております。その場合、大規模なものしか報道されませんが、私は民間企業にて、懲戒も担当しておりましたけれども、毎年数十件の懲戒案件がございます。けん責レベルになると、もう数百件になります。そうしますと、民間の方がむしろ襟を正さなければならない立場だろうと思います。それがゆえに、コンプライアンスの体制、インフラ、システム化等を進めています。
 一方、国立大学は公的機関なので、そもそも襟を正されている方々がきちっと運営されていますので、案件としては、私は少ないなと感じています。いずれにしても、お金が掛かりますね。コンプライアンスの制度を作るにしろ、情報セキュリティ強化、システム投資していくにしろ、投資が必要になってきますので、評価の観点というよりは、大学法人の1つの形、スキームの中にコンプライアンスや体制整備、システム化は、別の予算取りでやっていかないと。コンプライアンスだけ強化しますと活動が萎縮していきますので、本来の研究活動がマイナスに走らないように、不正が出てきたところは厳格に処罰するけれども、通常は性善説をとるべきではないでしょうか。研究費不正は、非常に金額も小さいですし、私は、余り大きな問題として本委員会で捉える点なのだろうかと思って聞いておりました。
 特に、私は参加しておりませんが、各大学法人をヒアリングされている先生方、大変御苦労されていると思いまして、大学側の成長を応援しながら評価されておりますので、もう少し冷静な対応といいますか、文部科学省としての姿勢が示されることと、我々、評価委員会メンバーも両方の観点で見ていく必要があるのではないかなという点を指摘させていただきます。
【北山委員長】  法人としての対応に軸足を置いた評価へと変更になったのも、今のようなご意見を踏まえてのことだろうと思います。
 いろいろ御意見いただきましたが、平成28年度に係る業務の実績に関する評価結果につきまして、資料4の案のとおりで決定するということで、委員の皆様、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【北山委員長】  それでは、そのようにさせていただきます。
 なお、この年度評価は、各法人が行う教育研究の特性や法人運営の自主性・自律性に配慮しつつ、各法人の中期計画の達成に向けた進捗状況について、総合的に評価するものであって、相対評価ではないことに留意し、対外的にも説明して参りたいと思います。
 また、この評価結果の確定及び公表に際して、第2期中期目標期間評価結果の確定・公表時と同様に、所見を出すことを考えておりまして、案として、資料5を配付させていただいております。
 第2期中期目標期間評価結果の公表時には、委員長所見として作成しましたが、今回は、資料5の通り、委員長及び各分科会長の所見を3分の1ずつ1枚にまとめています。
 この文書案につきましては、委員長及び各分科会長の職権により作成したものですが、文書の内容について、お気付きの点があれば、御発言いただきたいと思います。
 各委員にお読みいただくため、少々時間を取って、内容を御紹介したいと思います。それでは、事務局からお願いします。
【事務局】  それでは、資料5を読み上げさせていただきます。
(資料5を読み上げ)
【北山委員長】 何かお気付きの点や、御質問があれば、お願いします。
【小林委員】  研究不正にこだわるようで申し訳ないんですが、やはりこの1ページに研究不正という言葉が出てきていないんです。告発というのは、平成26年8月に文部科学大臣決定された「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」中にも書いてあるんです。
 ですから、できれば、情報セキュリティインシデントの後で結構なんですが、研究不正に関する事前防止策及び事後対策について、ガイドラインの着実な実施を求めますという1行を入れていただけると、大変ありがたいと思います。
【北山委員長】  コンプライアンスについては、先ほども多くご意見がありましたので、追記を検討するようにいたします。
 ほかには、よろしいでしょうか。
(特段の発言なし)
【北山委員長】   それでは、今の点を踏まえまして、本所見についても評価結果とともに公表いたします。
 本日の議事は以上となりますが、最後に報告として、第3期中期目標期間における指定国立大学法人の指定について、事務局から御説明をお願いします。
【事務局】  参考資料2を御覧ください。こちらに第3期中期目標期間における指定国立大学法人の指定についての報道発表資料を配付させていただいております。これに基づきまして、説明させていただきます。
 まず指定国立大学法人でございますけれども、1ポツに概要と書かせていただいておりますとおり、我が国の大学における教育研究水準の向上とイノベーション創出を図るため、文部科学大臣が世界最高水準の教育研究活動の展開が相当程度見込まれる大学を指定国立大学法人として指定することができるということとなっております。
 その下、指定の趣旨のところでございますけれども、2段落目の真ん中のところでございますが、この指定国立大学法人の指定に当たりましては、「研究力」、「社会との連携」、「国際協働」、この3つの領域におきまして、既に国内最高水準に位置していること、現在の人的・物的リソースの分析と今後想定される経済的・社会的環境の変化を踏まえ、大学の将来構想とその構想を実現するための道筋及び必要な期間を明確化すること、これらを申請の要件として公募を行ったところでございます。
 公募要領につきましては、別紙2に別途付いておりますので、また御覧いただければと思いますけれども、この中におきまして、ただいま申し上げました「研究力」、「社会との連携」、「国際協働」の3つの領域、具体にどのような要件が必要なのかというところも書かせていただいているところでございます。
 この要件に基づきまして公募を行いまして、3の公募と申請状況のところにありますとおり、東北大学、東京大学、東京工業大学、一橋大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学の7法人からの申請をいただいたところでございます。
 1ページめくっていただきまして、4の審査体制及び経過のところでございますが、この7法人につきまして、当委員会の下に指定国立大学法人部会を設けていただきまして、こちらで書面審査、ヒアリング審査及び現地視察を行っていただき、5にございますとおり、6月30日付けで、東北大学、東京大学、京都大学の3法人につきまして、指定国立大学法人として指定をさせていただいたところでございます。
 それぞれの大学の特色は下に書かせていただいておりますが、まず、東北大学につきましては、自らの強みと弱みを的確に分析した上で、今後伸ばしていく分野として、「材料分野」、「スピントロニクス」、「災害科学」、「未来型医療」というような分野を特定していただいこと、また、財務基盤の強化等についても明確な目標設定をしていただいたことが、指定した理由として挙げられております。
 また、東京大学につきましては、我が国のシンクタンクとしての機能のみならず世界が抱える課題に果敢に挑戦する使命があり、その取組が進められることが期待されること、また、財務基盤の強化についても明確な目標設定がなされていること等が、指定の理由として挙げられております。
 1ページめくっていただきまして、京都大学でございますが、学内の組織体制の整備といたしまして、プロボスト制の導入でございますとか、この指定に向けまして、若手教職員を含め学内総出で多様な意見を吸い上げて構想調書を作成いただきました。また、財務基盤の強化についても明確な目標設定がなされたということで、これらの点を評価していただきまして、指定をさせていただいたところでございます。
 残りの「指定候補」として、4法人でございますが、6ポツにございますように、条件が整った場合には、平成29年度末を目途に再度の審査を予定しておりまして、今後、追加で指定するということも現段階で考えられるところでございます。
 簡単でございますが、指定国立大学法人についての説明は、以上でございます。
【北山委員長】  ありがとうございました。
 今の事務局の御説明にもありましたように、指定候補となった4大学については、今後、再度の審査が予定されています。この指定国立大学法人部会の委員の先生方におかれましては、今後、よろしくお願いします。
 それでは、最後に、今後の日程について、事務局からお願いします。
【事務局】  本日、御審議いただきました評価結果につきましては、会議終了後直ちに各国立大学法人・大学共同利用機関法人への通知を行うとともに、文部科学省のウェブサイトに掲載させていただきます。
 所見につきましては、先ほどの必要な修正を加えさせていただいた上で、こちらも掲載をさせていただきたいと考えております。
 なお、第7期の委員の皆様におかれましては、来年2月9日をもって任期満了を迎えることとなっておりまして、予定では本日が最後の評価委員会総会となるところでございます。皆様方に、改めまして、これまでの御尽力に感謝申し上げます。
【北山委員長】  今、御説明がありましたように、本日が現行の任期における最後の総会でございます。皆様の2年にわたる御協力に深く感謝申し上げます。
 最後に、義本高等教育局長から御挨拶をお願いします。
【義本高等教育局長】  本日の会議、お疲れ様でございました。第7期の委員の皆様におかれましては、今回が任期中の最後の総会となりますので、この場をお借りさせていただきまして、事務局より一言御礼の御挨拶を申し上げたいと存じます。
 第7期の委員の任期につきましては、平成28年2月10日から平成30年2月9日の2年間ということでございます。まず、委員の皆様におかれましては、御多忙のところ、この2年弱の間、国立大学法人評価委員会委員として御尽力いただきましたこと、厚く御礼申し上げたいと存じます。
 委員の皆様方におかれましては、任期期間中、各年度の評価の実施に加えまして、第3期中期目標・中期計画の策定・認可や、年度評価方法の見直し等につきまして、非常に精力的に御審議いただいたところでございます。さらには、法人化以降2回目となる中期目標期間評価につきまして、平成28年度から29年度にわたりまして、1年間超をかけまして丁寧な評価を実施いただきまして、本年6月に第2期中期目標期間評価結果をお取りまとめいただいたところでございます。
 第3期中期目標期間において、各法人においては、それぞれの機能の強化を一層図りながら、社会変革のエンジンとして持続的な競争力を持ち、更に高い付加価値を生み出すことが求められているところでございます。これに向けまして、これまで委員の皆様方から賜りました貴重な御意見、御助言を十分踏まえながら、高等教育、国立大学行政を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
 改めまして、委員の皆様の御尽力に感謝申し上げて、御挨拶とさせていただきます。まことにありがとうございました。
【北山委員長】  ありがとうございました。
 それでは、本日はこれで終了でございます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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