国立大学法人評価委員会(第57回) 議事録

1.日時

平成29年6月6日(火曜日)15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 国立大学法人及び大学共同利用機関法人の第2期中期目標期間評価について
  2. その他

4.出席者

委員

北山委員長、稲永委員、市川委員、大滝委員、勝委員、桐野委員、熊平委員、佐野委員、鈴木委員、田籠委員、フクシマ委員、深見委員、松本委員、村田委員、小林臨時委員、柴田臨時委員、田中臨時委員、松川臨時委員、森山臨時委員、山田臨時委員

文部科学省

常盤高等教育局長、関研究振興局長、山下文教施設企画部長、浅田高等教育局審議官、板倉研究振興局審議官、中川サイバーセキュリティ・政策評価審議官、小山国立大学法人支援課長、安井国立大学法人支援課企画官、石橋国立大学戦略室長、小笠原国立大学戦略室長補佐、丸山大学病院支援室長、石崎学術研究調整官、錦学術機関課専門官、高見沢学術機関課長補佐

オブザーバー

岡本大学改革支援・学位授与機構理事

5.議事録


【北山委員長】  それでは、所定の時刻になりましたので、第57回国立大学法人評価委員会総会を開会いたします。
 本日は、御案内のとおり、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の第2期中期目標期間評価結果について御審議を頂きます。そのため、中期目標期間評価の教育研究面について評価を行っていただいている独立行政法人大学改革支援・学位授与機構から岡本理事にもお越しいただいております。岡本理事、よろしくお願いいたします。
 また、本日の会議は公開となっております。配付資料の確認の間、カメラ撮影が入りますので、御了承いただきたいと思います。
 それでは、事務局から配付資料の確認等をお願いいたします。
【事務局】  失礼いたします。配付資料の確認に先立ちまして、平成29年4月1日付けの事務局の異動について御紹介させていただきます。
 国立大学法人支援課長が氷見谷から小山に代わっております。
【小山国立大学法人支援課長】  小山でございます。よろしくお願いします。
【事務局】  それから、国立大学法人支援課国立大学戦略室室長補佐が小山田から小笠原に代わっております。
【小笠原国立大学戦略室長補佐】  小笠原でございます。よろしくお願いいたします。
【事務局】  それから、国立大学戦略室長が山田から石橋に代わっております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 まずお手元の議事次第、それから資料1といたしまして、第2期中期目標期間評価に係る審議経過等について。資料2といたしまして、冊子でございますが、評価結果(概要)(案)というものでございます。資料3といたしまして、意見の申立てへの対応について(案)。資料4といたしまして、A3横の紙でございますけれども、第1期中期目標期間から第3期中期目標期間に向けた取組の高度化についてという資料でございます。資料5といたしまして、北山委員長のお名前によります国立大学法人・大学共同利用機関法人の第2期中期目標期間の業務の実績に関する評価についてというものでございます。資料6-1といたしまして、第3期中期目標期間の国立大学法人評価について。資料6-2といたしまして、第3期中期目標期間における研究費の不正使用・不正受給に対する評価の取扱いについて(案)。
 それから、参考資料1といたしまして、教育研究の状況に係る評価結果について。参考資料2-1といたしまして、研究費の不適切な経理事例に対する評価の取扱いについて。参考資料2-2といたしまして、国立大学法人等における研究費の管理・使用についてという事務連絡。以上となっております。
 もし不足がございましたら、事務局まで、よろしくお願いいたします。
【北山委員長】  ありがとうございました。
 それでは早速、議事に入ります。初めに、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の第2期中期目標期間評価結果(案)について御審議いただきます。本日の評価結果(案)は、各分科会で取りまとめていただいたものですので、まず、それぞれの分科会長から、これまでの審議状況について御報告をお願いしたいと存じます。
 初めに、国立大学法人について、柴田分科会長代理からお願いいたします。
【柴田委員】  それでは、国立大学法人分科会における審議状況について御報告させていただきます。
 国立大学法人分科会では、国立大学法人86法人の第2期中期目標の達成状況について、各法人から提出された業務実績報告書を基に中期計画の実施状況等を精査し、評価結果(案)を作成しております。今回、分科会として取りまとめました評価結果(案)は、各法人にあらかじめ評価結果原案をお示しした上で、4月26日から5月17日の間に意見申立ての機会を設け、その申立て内容を踏まえたものとなっております。
 この評価結果(案)の作成に当たっては、世界最高水準の教育研究の実施、計画的な人材養成への対応、地域や国際貢献への対応、教育研究の国内外連携を通じた実績等、それぞれの法人が果たすべき多様な役割に配慮しながら作業を進めてまいりました。
 なお、教育研究の状況に関する評価につきましては、本年4月26日に大学改革支援・学位授与機構からこれまでの審議状況及び評価の結果について御報告を受け、機構による評価結果を尊重して、本日の評価結果(案)を作成しております。
 評価結果としましては、86国立大学法人のうち84法人につきましては、教育研究や業務運営・財務内容等の各項目における達成状況を「中期目標の達成状況が非常に優れている」あるいは「良好」及び「おおむね良好」の評定とするとともに、各大学における取組のうち、高い成果を上げているものや質の向上が見られたものを「特筆される点」や「優れた点」として取り上げております。
 一方、中期計画の未達成や重大事故の発生等により、教育研究については、2法人を「中期目標の達成状況が不十分である」と評定し、また業務運営・財務内容については、2法人を「重大な改善事項がある」、14法人を「不十分」と評定しました。
 また、評定に加え、これらの法人の「改善すべき点」について、各法人の自主的な改善に資する観点から、評価結果(案)で具体的に指摘しております。
 各法人の具体的な評価結果や第1期中期目標期間からの比較・変化、各大学における取組の詳細等については、事務局の方から御説明をお願いします。
 以上です。
【北山委員長】  ありがとうございました。
 続きまして、大学共同利用機関法人について、稲永分科会長からお願いします。
【稲永委員長代理】  それでは、大学共同利用機関法人について御報告いたします。
 大学共同利用機関法人分科会では、昨年8月から4回にわたり、4つの大学共同利用機関法人について、第2期中期目標期間の業務実績に関する評価を実施しました。この間、8月から9月にかけて分科会の場で各法人のヒアリングを行った上で、2月に評価結果の原案を取りまとめ、4月28日から5月17日の間に各法人に意見申立ての機会を設け、最終的に評価結果(案)を取りまとめました。
 本日は、タブレットにて評価結果(案)とその概要を配付しております。詳細についてはタブレットの資料を御覧いただきたいと思いますが、評価のポイントとしては2つございます。
 まず1つ目ですが、人間文化研究機構の「財務内容の改善に関する目標」の項で「非常に優れている」と評価しました。これは、日本語コーパスの整備・発信を積極的に推進し、国内外の利用者の利便性を高め、研究成果を活用して自己収入を増加させたことに対する評価です。
 2つ目のポイントとしては、自然科学研究機構の「業務運営の改善及び効率化に関する目標」の項で「非常に優れている」と評価をしています。これは、新分野の創成を促進する体制を整備し、アストロバイオロジーセンターを機構長の迅速な意思決定により設置したことを評価したものです。
 また、教育研究の質の向上の項目などについては、各法人とも、中期目標の達成状況は「良好」又は「おおむね良好」であると評価しています。
 なお、4つの機構の「戦略性が高く意欲的な目標・計画」については、人間文化研究機構では、海外の日本文化研究者コミュニティーの拡大についての取組、自然科学研究機構では、優れた研究者・技術者の人材の流動化・活性化の取組、高エネルギー加速器研究機構では、加速器関連技術を活用した次世代がん治療装置の開発の支援の取組、情報・システム研究機構では、新領域融合の推進による研究ネットワーク形成の取組について評価しております。
 御報告の概略は以上です。
【北山委員長】  ありがとうございました。
 それでは、詳細につきまして事務局から御説明をお願いします。
【事務局】  資料1から資料4を用いて御説明をさせていただきます。
 まず資料1は、先ほど柴田分科会長代理から具体的な日程も御説明いただきましたが、このようなスケジュールで、平成28年6月末の実績報告書の提出から本日に至るまで、評価チーム会議なども重ねながら評価を実施していただいてきたところです。また、御案内のとおり、教育研究に関しましては、大学改革支援・学位授与機構に要請させていただきまして、ここに書いてあります右側のスケジュールに基づいて、その評価結果を頂いたところです。
 では、資料2に移りまして、具体的な評価結果の概要を御説明させていただきます。最初に国立大学法人等の中期目標期間評価の概要ということで、対象法人が、国立大学法人86法人と大学共同利用機関法人4法人、そして対象期間が、平成22年度から平成27年度の6年間の第2期中期目標期間であるということを記させていただいております。
 また、評価方法は、御案内のとおりですが、項目別評価ということで、評価項目が以下の箱の中の8つ、評定区分がその下の5つで評価を行ってきたものです。
 「学部・研究科等の現況分析」に関しては、「教育」及び「研究」について、学部・研究科ごとにその「水準」と第1期中期目標期間終了時点からの「質の向上度」を以下の4段階で判定していただくということを大学改革支援・学位授与機構でやっていただいているところです。
 それから、「優れた点」や「改善を要する点」等の指摘のところですが、評定に加え、「特筆される点」、「優れた点」、「特色ある取組」、「改善を要する点」というところで指摘をさせていただいております。
 その下に御参考までに、第2期中期目標期間評価の全体像を入れております。
 評価体制ですが、3ページ以下になりますけれども、北山委員を委員長に、この委員会の体制でやっていただいております。
 めくっていただきまして、分科会における評価体制をそれぞれ入れております。
 審議経過に関しても、少し細かいところになっておりますが、5ページ目に入れております。
 6ページ・7ページ目が中期目標の達成状況の概況です。まず、左側が「教育研究等の質の向上の状況」になりまして、「おおむね良好」というところが基本的に平均となっております。このような形で各大学の評価が入っております。
 右側が「業務運営・財務内容等の状況」の評価結果で、こちらは「達成状況が良好である」という2段目が平均となりますので、このような形で大学の評価が入っております。今回は、第1期に比べまして、「重大な改善事項がある」という大学が2大学ございます。
 めくっていただきまして、最初に申し上げました8つの項目ごとにそれぞれ整理させていただきました。まず「教育」ですが、「良好」である11大学を筆頭に、このような形で各大学を入れております。特に「おおむね良好」のところは、78大学ございますが、例えば全中期計画中「非常に優れている」や「良好」の評定を受けた計画の割合がどれぐらいあるかというのを少し分かりやすくしたいと思いまして、「おおむね良好」の部分は下のような形の表で整理させていただいております。
 また、北海道大学をはじめ、「優れた点」として取り上げられた取組例を4つ入れております。
 さらに、その下に「第1期→第2期の変化」という欄を設けまして、「優れた取組事例」が、例えば第1期であれば、遠隔システムやe-learningを活用した教育改善等が14法人で行われている。これが第2期になりますと、アクティブラーニングや少人数教育等を取り上げるという形で変化をしてきている。また、グローバル人材育成のためのカリキュラムというものも、第1期のときは語学力向上というところにフォーカスが当たっておりましたが、更に幅広いグローバル人材育成のためのカリキュラム改革やダブルディグリー、大学間連携による教育プログラムなどが進んできているという形です。
 このような体裁であと7つの項目も整理しております。
 10ページ・11ページ目が「研究」というところになります。研究は、「非常に優れている」という評価の大学が5大学ございますので、それを筆頭にこのように記載しております。
 「第1期→第2期の変化」ですが、第1期は、「共同研究や連携事業による研究の推進」は当然進められているのですけれども、例えばURAを活用した研究支援体制の強化は、第2期に入りまして18法人出てきているというところで、このあたりが一つ変化かと考えております。
 12ページ・13ページが「社会貢献・国際化等」ということで、「非常に優れている」が東京芸術大学です。
 「第1期→第2期の変化」を下に書かせていただいておりますが、社会との連携に関しては、第1期から当然地方自治体や地域の団体との連携が進んでおりましたが、更に地域の企業や産業界と連携した取組が多く見られるようになってきており、地方創生の中核となるための取組が推進されていると考えられます。
 次のページに行きまして、今度は「学部・研究科等の現況分析」です。冒頭で御説明いたしました現況分析を実施していただいたところ、例えば「期待される水準を大きく上回る」、また「大きく改善、向上している又は高い質を維持している」という教育研究のそれぞれの学部研究科がこの数出ておりましたので、それは右側に明確に記載するという形で整理しております。
 次のページですが、「共同利用・共同研究」の「優れた点」として取り上げられた取組例を入れておりまして、同様に「附属病院・附属学校」も17ページに具体的事例を入れております。
 18ページからは「業務運営」になります。「業務運営」に関しては、「非常に優れている」という大学が13法人ある一方、「重大な改善事項がある」という大学が2大学挙がっております。取組事例は、3大学・1機構を取り上げております。
 「第1期→第2期の変化」というところですが、学長のビジョンを策定するといったところが第1期には書かれておりますが、それが学長補佐体制を強化して大学改革の推進をするということにつながっていたり、2つ目の人事評価の給与等への反映というのが51法人ございますが、これが更に進んで、年俸制の導入にまで進んでいるということが言えるかと考えております。
 次に、20ページ・21ページが「財務内容」になります。「財務内容」は、「非常に優れている」が5大学・1機構となっております。
 ここでも4つの取組事例を入れております。「第1期→第2期の変化」に関しましては、外部資金の獲得に向けた体制の整備が第1期には行われていましたが、具体的には、自己収入の獲得に向けた取組を51法人が進めているというところで、特にここが第2期においては強力に進められた部分かと考えております。
 それから、22・23ページが「自己点検・評価」となります。「非常に優れている」という大学が7大学ございます。
 「第1期→第2期の変化」というところで、下を見ていただきますと、評価に係るデータベースやシステムの構築などがしっかりと進んできており、例えば佐賀大学の事例を23ページの真ん中に入れておりますが、大学の運営においてIRがしっかりと活用されてきたということも第2期の特色ではないかと考えております。
 24ページ・25ページ、「その他業務運営」です。「非常に優れている」という大学が5大学ある一方、ここはやはりコンプライアンスや情報セキュリティの課題から「不十分」とされている大学が多く出ているという状況です。情報セキュリティは、サイバー攻撃への対応等、この第2期中期目標期間の後半には非常に問題になっておりましたので、各大学においては更に取組を進めていただく必要があるのではないかと考えております。
 26・27ページは、これ以前の部分で御紹介し切れなかった「特筆される点」というところを入れております。
 それから、28ページは、「改善すべき点」ということで入れさせていただいております。「教育・研究」は、例えばFD事業の推進やレフェリー制の導入が十分になされていないなど、法人が自ら設定した計画が達成されていないことを指摘した12法人がございます。
 それから、「業務運営・財務内容等」は、先ほど申し上げました情報セキュリティのみならず、研究不正などのコンプライアンス、国際規制物資等の不適切な管理等、また学生定員の未充足、それらの点でこれだけの大学が出ております。
 先ほど「重大な改善事項」が2大学に出ていると申し上げましたが、それは「その他の改善すべき点」の20法人の中で、群馬大学の医療安全管理体制の重大な欠陥、それから東京学芸大学の附属学校におけるいじめ重大事態への対応における法人のガバナンスの欠如というところになっております。
 また、最後に書いてありますが、過年度において複数回同じことが指摘されておりますと、これも課題として指摘させていただいております。
 最後の2ページは、86大学・4機構に関して、それぞれ8つの項目がどのような評定になっているのかというのを一覧にしております。白で何も色が付いていないのが標準となっておりまして、先ほど冒頭に御説明したとおり、「教育研究」の場合は真ん中の「おおむね良好」が標準、「業務運営・財務内容」におきましては上から2つ目が標準と考えていただきますと、このような形で、青や水色が多い大学が、どの項目においても標準以上頑張った大学ということになります。一方で、黄色、赤、黒というところは、評定が標準より下だったと見ていただければと思っておりまして、このように整理させていただきました。
 資料2の御説明は以上になります。
 資料3ですが、先ほど柴田分科会長代理からも御説明いただきました4月26日から5月17日の間で、各国立大学法人等へ評価結果原案の意見照会をさせていただき、意見申立てを頂いております。11法人から16の項目について意見を頂き、そのうち4つは、評定の変更という申立てもございました。これに関しては、各評価チームの主査の先生方とも御相談させていただき、3つ以外は原案のとおりということで整理しましたので、併せて御報告いたします。これが今の各大学の評価結果に反映された形になっております。
 それから、最後の資料ですが、資料4ということで、これは評価結果そのものではないのですが、第1期から第3期までどのように変化が進んでいるのかということを文部科学省として整理させていただきました。国立大学法人全体の動きを上に入れさせていただきまして、第1期は正に新たな法人制度の「始動期」、そして第2期、今回評価いただいたところは正に改革加速期間ということで、改革が本格化して、そして今、第3期につながっているというところでございます。それがいかに中期目標計画、それからまたその評価につながったかというところで、例として4大学を入れております。
 一番上の名古屋大学は、まず教育の面で、全学の教育体制の強化ということ、それから英語の教育を更に強化するということで、まずはAcademic English支援室を設置したり、入学時のTOEFL-ITP試験等の全員受験などを第1期ではやっておられました。第2期では、これが更に進みまして、大学院のところまで進めていくということと、更に独自の教材やe-ラーニングのシステムを入れるということ、そしてTOEFLのスコア平均点は21点も上昇したという結果につながっております。第3期では更にこのシステムを進めまして、教学マネジメント・システムの確立、教育の国際標準化の推進等を進めていくということで、こういう形で第1期、第2期、第3期と進んできたというところでございます。
 もう一つ御紹介いたしますと、最後の帯広畜産大学ですが、帯広畜産大学は、第1期からこの業績評価、それから勤務業績評価を教員、事務職員ともにしっかりとやるということで、特に賞与や昇格等に適切に反映させるということを計画上うたっていただいておりました。しかし、事務職員評価がそこまで進まず、1期目のときは「おおむね良好」という評価になっております。しかし、これを第2期でしっかりと取り組まれまして、第2期においては年俸制適用教員の割合が98.4パーセントに至るというところまで計画を進めていただき、更にそれを第3期においては、「年俸制、混合給与等人事給与制度の弾力化を推進し、平成31年度までにすべての教員の給与を業績評価に基づく年俸制給与とする」ということで取組を進めていただいております。このような形でPDCAサイクルをしっかりと回し、アクションにつながっているという事例かと考えられましたので、御紹介させていただきました。
 説明は以上でございます。
【北山委員長】  ありがとうございました。
 評価を御担当いただいた各チームの主査の方々から、補足ないし御感想などがあれば、まず御発言いただきたいと思います。なお、本日はBチームの奥野委員が御欠席ですが、そのほかの皆様は御出席です。どなたでも結構ですので、いかがでしょうか。
(特段の発言なし)
 それでは、質疑や意見交換の時間に移ります。その中で主査の方々からも御意見等あれば、また御発言いただきたいと思います。今、御説明がありました国立大学法人及び大学共同利用機関法人の第2期の中期目標期間の評価結果(案)に関して、御意見、御質問があれば、どなたでも結構ですので、御発言いただければと思います。
 特にございませんでしょうか。
(特段の発言なし)
 それでは、この第2期中期目標期間評価結果について、先ほど御説明がありました案のとおり決定するということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【北山委員長】  ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。
 なお、年度評価と同様に、この中期目標期間評価は、各法人が行う教育研究の特性や法人運営の自主性・自律性に配慮しつつ、各法人の中期目標の達成状況について総合的に評価するものであり、相対評価ではないことに留意して、対外的にも説明してまいりたいと思います。
 また、先ほど御案内がありましたが、この評価結果の確定及び公表に際して、第1期中期目標期間評価結果の確定・公表時と同様に、委員長所見を公表することを考えており、その文案を資料5として配付させていただいております。第2期中期目標期間の業務の実績に関する評価について、という資料です。この文書の内容につきまして、お気づきの点があれば、どなたでも御自由に御発言いただけたらと思います。
 初めて御覧になる方も多いと思いますので、朗読します。
【事務局】  私がお読みいたします。
(資料5を読み上げ)
 以上です。
【北山委員長】  ありがとうございました。
 なお、文案の作成に当たっては、特に、PDCAサイクルをうまく回していくための評価、つまり、評価のための評価ではなく次のアクションにつながる評価、という観点を重視しております。第1期中期目標期間が始まったのが今から13年前になりますが、第1期、第2期の間に、大学改革実行プラン、国立大学改革プラン、ミッションの再定義などいろいろな取組が行われてきました。また、足元でも、中央教育審議会で高等教育の将来構想に関する検討が進められるなど、様々な形で高等教育にスポットライトが当てられており、その中で、国立大学はどのように変革を遂げていかなければならないかを問われています。そういう意味でも、第3期は、第2期にも増して重要な目標期間となる、といった思いを込めて作成した文案でございます。
【村田委員】  御質問なんですけれども、5番のところに1行目から2行目にかけまして、「国立大学ならではの教育研究の特性」という言葉があるのですが、2番のところではむしろ、「各法人が自らの強みや特色を認識し」、つまり機能分化のことだと思うのですが、その言葉と、この「国立大学ならではの教育研究の特性」という、これは国立大学一般というか、平均的なことを言っているのだと、これは何を指しているのか、具体的に少し教えていただければと思います。
【北山委員長】  まず、機能別分化につきましては、平成28年度から、国立大学法人運営費交付金に、3つの重点支援の枠組みが設けられました。各国立大学は、それぞれの計画に基づいて、その3類型のいずれかに軸足を置く形で、特色を持った取組を進めているということです。
【村田委員】  それは2番のところだと思うのです。5番のところは「国立大学ならではの教育研究の特性」、その機能分化とは違って、何か全体としての特性があるような表現なので、少し2番の記述と矛盾がある、あるいは2番の記述と齟齬がある。国立大学は公立・私立とは違った特性があるといった読み方もされてしまうので、その意図は何なのか。あるいは意図がないのであれば、少しミスリーディングな表現かなと思ったもので、御質問させていただきました。
【事務局】  失礼いたします。事務局の原案に入っていた部分ですので、事務局から御説明をさせていただきます。「国立大学ならではの」というのは、国立大学には国立大学ならではの役割があると我々としては考えておりまして、例えば今、社会的に学問の分野の中では、その分野が廃れることがあってはならないような分野を担うのも国立大学の役目ですし、計画的な人材養成をするというのも国立大学の役目です。また世界に卓越した教育研究を行うこと、そして地域に根差した教育を行うことも、国立大学が持つ役割です。それは当然、公的資金・支援もしっかりと入っている国立大学だからこそ、我が国社会の発展に貢献していかなければいけないという観点があると思っておりまして、そういう観点でここは入れさせていただいております。
【村田委員】  よろしいでしょうか。今おっしゃった、決して廃れてはならない研究、それは私立大学でも当然行われているし、公立大学でも行われています。それから地域に根差した人材の育成、これもまた公立大学・私立大学でも行われているわけであって、今おっしゃった中身では「国立大学ならではの特性」というのは少し理解がし難いんですが、お教えいただければと思います。
【事務局】  今、列挙させていただいたようなことが、中央教育審議会でも前に議論になりまして、2005年にまとめていただきました「我が国の高等教育の将来像(答申)」にもそのような項目が列挙されております。世界的な拠点として研究を推進すること、地域的な均等配置にも配慮した教育機会の整備を図ること、それから次代に継承すべき分野の発展等、今ちょっと手元にございませんが、5~6項目あったと思います。委員の御指摘のとおり、2004年、2005年あたりの中央教育審議会の議論でも、国公私の役割分担というのを考えようとしたときに、国立あるいは公立の意義・役割としてこういうものがあると、どれを列挙しても、私立大学の御関係の委員の先生方から、それは私立大学にもあるという御議論は確かにございました。したがって、機能別分化論として2005年にまとめていただくときに、では国公私の役割分担というのはないのだろうかという議論に最終盤になってまいりまして、そこはやはり、ある程度相対化しつつあるとはいえ、おおむね傾向として、国立・公立・私立それぞれの強み・特色というのはまだあるのであろうということになりました。国立だからこうでなければいけない、私立大学はこうでなければいけないという議論は当時ももはや採用されませんでしたが、各大学が戦略を練る中で、全体としての傾向性はまだ意識する必要があるのではないかというまとめで答申になっております。
 中央教育審議会では今、新しい高等教育の将来構想、その2005年答申に代わる長期的なビジョンの議論が始まっておりますので、そこでもまた国公私の役割分担というのは恐らく議論の一つの焦点として挙がってくるのではないかと思いますし、それが機能別分化の進展の中でどこまで維持できるのかというのは、御指摘のように議論のポイントだろうとは思うのですが、今のところは、ある程度の国立・公立・私立の意義・役割の傾向性はあるだろうといったことで、国立大学は、この北山委員長のコメントでいけば4.にも挙げていただいております「公的資金に支えられる国立大学は」云々というところに呼応して、大学の機能別分化で個々の大学の戦略とはいえ、まだなお比較の意味で国立大学ならではの誇りと責任を持って教育研究活動に邁進してもらいたいという思いがここに込められているのではないかと理解しております。もちろん、私立大学にもそれぞれの建学の精神・ミッションがございますので、大いにいい意味で教育研究に特色を出し競い合っていただいて豊かな高等教育システムを作っていただきたいというのは私ども文部科学省としても思っておりますが、現段階では相対的な意味で、国立の意義・役割を4.と5.に呼応して書かれたということではないかと思って拝見させていただいております。
【村田委員】  意図はよく分かりました。結構です。
【北山委員長】  よろしいですか。
 では、フクシマ委員。
【フクシマ委員】  1点だけです。全体では非常に分かりやすくて、議論の内容を非常に簡潔にまとめていただいていてよいと思うのですが、最後のところで、せっかく北山委員長がアクションを強調してくださったので、次の点を追加していただければと思います。それは、現在、新産業革命でAIやIoTの経済が驚くべきスピードでグローバルに動いている時代ですので、「スピード感を持って」というのを一言お入れいただければ良いのではと思っています。例えば「達成に向けた前向きなスピード感を持ったアクションにつなげることで」とか、何かもう少しスピード感を、一応2.のところに「改革加速期間」というのがあったのですが、せっかくこういう言葉がここにも出てきていますので、もう少し危機感を持って、「スピード感」を一つ入れてはいかがかと思いました。
【北山委員長】  分かりました。5.のおっしゃった部分に入ると思いますので、検討します。
 勝委員。
【勝委員】  2番のところなのですが、これは先ほどから議論されています機能分化ということで、非常に重要であると思うのですが、最後の3行に、「特に後半3年間の改革加速期間では、人事・給与システム改革や自己収入の増加に向けた取組等、第3期中期目標期間に向けた大学改革が推進されていることも特徴である」とあります。そのとおりだと思うのですが、これを読みますと、この「人事・給与システム改革や自己収入の増加」が第3期中期目標の非常に大きな部分を占めているようにも読めるので、これは資料4で見ますと、第3期中期目標期間では、「社会変革のエンジン」として知の創出機能を最大化するということなので、この「人事・給与システム」や「自己収入の増加」は非常に重要な一部ではあるのですが、財政面だけに限られているようにも読めるので、「取組等」というところに「取組等も含め」とか、もう少しやわらかい表現にした方がよろしいかなと思いました。以上でございます。
【北山委員長】  分かりました。その点については「○○も含め」といった形として、ほかにも重要なものがあるというニュアンスが出るようにいたします。
 ほか、よろしいでしょうか。
 それでは、今の御意見も踏まえまして、この所見に関しては、先ほどの評価結果とともに公表させていただくという手順になります。
 次に、第3期中期目標期間の国立大学法人評価等について御審議いただきます。まず、事務局から御説明いただきます。
【事務局】  資料6-1、それから6-2、また参考資料の2-1、それから2-2を御用意いただければと思います。これに基づき御説明をさせていただきます。
 第3期中期目標期間ですが、平成28年度からスタートしております。今回は、第2期と違いまして、平成32年度に4年目終了時評価が入ります。それから、これは第2期と変わりませんが、中期目標期間全体の評価は平成34年度以降にさせていただくことになっております。この中で1点、本日御相談したいと思っておりますのが、研究費の不正使用・不正受給に対する評価の取扱いです。
 参考資料の2-1と2-2を御覧いただきますと、まず参考資料2-1に関しましては、第2期において、研究費の不適切な事例に対する評価の取扱いに関しては、厳しい評定を一律に行うということで平成24年にお決めいただいており、この流れで第2期の評価は行ってまいりましたが、参考資料2-2を御覧いただきますと、文部科学省の方で事務連絡を作成しております。これは、もちろん評価が厳しかったからという話ではないのですが、各大学が研究費の管理・使用をしていくときに、研究者の方の負担になるような部分までルールを定めてしまっているという実態が発生してきておりまして、それをどういう形にすれば一番研究者の方も、またこういう研究費の不正使用を防止できるかという、そのバランスをとらせていただいた整理を事務連絡の別紙でさせていただいたところでございます。
 このような経緯なども踏まえまして、第3期においてこの不正使用・不正受給をどのように取り扱うかということを資料6-2で整理させていただいております。
 まず、当然のことですが、研究費の不正使用・不正受給というのはあってはならないことですので、このようなことに機関がきちんと対応していないような場合においては、当然評価においても厳しく見ていく必要があると考えておりますが、この国立大学法人等における研究費の管理・使用等の取扱いについては、平成26年2月18日に「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」が出ております。また、先ほど申し上げました事務連絡も出させていただいておりますので、この実施基準と事務連絡の2つに則ってきちんと各大学が対応している場合、発生したその一つの事案だけをもって評価を厳しくするということにつきましては、今回は変えたいと考えておりまして、1と2と書いております。
(資料6-2、1・2を読み上げ)
 このような形に変更させていただいてはどうかと考えておりまして、この旨、委員の先生方に御議論いただければと思っております。
 以上でございます。
【北山委員長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明について何か御質問、御意見があればお願いいたします。
【松本委員】  研究費の不正の防止なんですけれども、防止策を究極的に厳重にすると不正はなくなるのかというと、ある一定のところまで厳重にすると、それ以上はなくならないというか、効果がないという現実が恐らくあるのだと思います。いかに厳重にしても不正をゼロにすることはできないということです。そういう現実をきちんと認識すると、ここに書いてあるように、一定の常識的な防止策をする。それ以上は、費用と効果のバランスからいうと、やっても仕方がないとは言わないけれども、余り厳重にしても、その効果というのは疑問があるかと思っております。
 以上です。
【北山委員長】  ありがとうございます。
【桐野委員】  今の件に関連しますが、研究不正には、研究者が非常に悪意をもってやる場合と、手続上の問題で研究不正とされたもの、これが並列に並べられて、全部悪いということに一応なります。確かに、これは悪くないかといえば悪いのですが、一つ困ることは、各省庁から、あるいはいろいろなファンディングエージェンシーからいろいろなお金が出てきて、それがまたそれぞれ非常にユニークなレギュレーションがありまして、それぞれを熟知した専門家がいない限り、お金をうまく使えないといった問題がしばしば起きるわけです。それで、例えば機動性を要求される医療関係の開発研究をやっているAMEDという組織ができて2年ぐらいになりますけれども、あそこはかなりその辺のところを緩和しています。インチキをしていいと言っているわけではなくて、いろいろなレギュレーションをそれぞれが細かく全然違う方法でやらなければいけないのを、できれば統一した規則にして分かりやすくしていただかないと、研究者自身がもう訳が分からなくなるし、事務方も困ってしまうというところがあって、そこはお分かりになっているとは思います。もちろん悪意のインチキをしようと思っている人を保護する理由などは全くないのですが、そういう手続問題で当惑している研究者をこれ以上困らせるようなことは是非しないようにしていただければ大変有り難いと思います。
【北山委員長】  今おっしゃった御意見は、評価の取り扱い方とはまた違う観点からの御指摘で、要するに、研究費の出どころによってレギュレーションが区々で、それが統一されていれば、経理処理などもスムーズに行える、ということかと思います。この点に関して、レギュレーション、規則の統一性のようなことは議論しておられるのですか。
【事務局】  この3月24日に出しました事務連絡に関しましては、少なくとも文部科学省の中の競争的資金と、運営費交付金においては、取り扱い方をきちんと整理させていただいたところです。また、他省庁に関しては、他省庁の所管しているいろいろなファンディングエージェンシー、それからそれらの予算執行に関しましても、できるだけ統一的にしていただきたいということを文部科学省側からも働き掛けはさせていただいているところですが、もしかしたら、まだ実行にまで移っていない部分があるかとは思います。
【桐野委員】  かつてに比べると、随分よくなっていると思います。ただ、改革を加速させていただければ大変有り難い。
【北山委員長】  ありがとうございます。
【事務局】  研究費の関係について、今の制度的なところのお話について御指摘があったわけですが、お話がございましたAMEDの関係については、ライフサイエンス関係についても一元化して、ファンディングエージェンシーとして機能するために、文部科学省、厚生労働省、それから経済産業省、この3省のルールについて、AMEDから資金を出す場合については一元化して同じルールとする形で調整しながらということもやっております。
 それからあと、いろいろな制度ごとの競争的資金でも、それぞれの制度があるわけでございますが、これについては今、内閣府の方で全体、各省を束ねて、どういった課題があるのかということなども検討しながら取り組んでいるという状況です。なかなか、ここにありますローカルルールの話は、それぞれの機関ごとの話になってまいりますけれども、一方でそういう制度の話と両方ございますので、様々な研究者の方々からのいろいろな声も把握しながら、何ができるのかというところについて、今できるところから手を着けているといった状況でございます。
【北山委員長】  いろいろ御意見がございましたけれども、この第3期の国立大学法人評価における研究費の不正経理・不正受給に対する取扱いについては、6-2の案どおり決定するということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【北山委員長】  それではそのようにさせていただきます。
 なお、先ほどありました統一基準の方についても、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、最後に今後の日程等について、事務局からお願いします。
【事務局】  失礼いたします。本日御審議いただいた評価結果につきましては、会議終了後、直ちに各国立大学法人・大学共同利用機関法人への通知を行うとともに、文部科学省のホームページに掲載させていただきます。
 次回の総会の日程は11月頃を予定しております。また改めて御連絡申し上げます。
 ありがとうございます。
【北山委員長】  11月の総会が、平成28年度評価の審議ということになります。引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の総会はこれで終了です。ありがとうございました。

お問合せ先

高等教育局国立大学法人支援課国立大学戦略室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学戦略室)