官民イノベーションプログラム部会(第34回) 議事録

1.日時

令和4年5月11日(水曜日)15時00分から17時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 国立大学法人評価委員会官民イノベーションプログラム部会の所掌事項について
  2. 官民イノベーションプログラムの現状等について
  3. 特定研究成果活用支援事業計画の変更認定について
  4. その他

4.出席者

委員

棚橋部会長、江戸川部会長代理、後藤委員、佐々木委員、高橋委員、橋本委員、東出委

文部科学省

下岡産業連携推進室長、加藤課長補佐、最首専門官

5.議事録

【棚橋部会長】本日は改めましてとなりますけれども,第10期部会としては最初の開催であり,改正に伴い新任の委員もおられることから,主にこの部会の所掌事項や官民イノベーションプログラムの現状を議題としたいと思っております。
次になんですが,この部会の議事等の公開の取扱いについてです。資料1-1を御覧ください。中ほどに四角囲みで,「議事等の取扱いについて」と記載している部分がございます。本部会では,議事録を公開することを原則として,議事内容の透明性を確保したいと考えております。ただし,本部会では,経営や投資に関わる機微,センシティブな情報を取り扱う場面も多いことから,そういった情報を含む場合には議事録を非公開とし,代わりに議事要旨の公開を行うこととしたいと思います。本日の議事では,(3)特定研究成果活用支援事業計画の変更認定がございますけれども,これに関しては機微な情報が含まれますので,この部分につきましては議事録を非公開とさせていただきたいと思います。
以上につきましてですが,御了解をいただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【棚橋部会長】ありがとうございます。それでは,そのようにさせていただきます。
それでは,次,事務局から配付資料の確認などをお願いします。よろしくお願いいたします。
【加藤課長補佐】資料1-2の資料リストを御覧ください。配付資料一覧にある記載の資料について不足等ございましたら,事務局までお申しつけいただければと思います。
併せて事務局からのお願いでございますが,ウェブ会議を円滑に行う観点から,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいように御発言いただくこと,御発言の都度,お名前をおっしゃっていただくこと,発言時以外はマイクをミュートにしていただくこと,御発言に当たってはカメラに映りやすいように手を挙げていただく,またはZoomの手を挙げる機能を使うなどの御配慮をいただければありがたく存じます。御理解のほど,よろしくお願いいたします。また,回線等,若干不安定な状況でありますため,もしZoomが落ちてしまった場合には,お手数ですが,御連絡したURLから再度入っていただければと思っております。
以上,Zoomの御説明になりますが,御不明点や御質問等ございますでしょうか。
【棚橋部会長】ありがとうございました。よろしいですかね,事務局,進めて。
次にですけれども,本日は,先ほどもお話ししましたが,新任の委員の方もいらっしゃいますので,委員の自己紹介の時間を簡単に取りたいと思っております。お一人につき1から2分程度,本当に簡単で結構ですので,自己紹介をいただければと思います。順番は,まず部会長の私から,次いで部会長代理である江戸川さんにお願いし,続いてほかの委員の皆さんに,資料1-2をお配りしていますけれども,名簿の上から順に,私からお声がけしますので,お願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
まず私からとなりますけれども,改めまして棚橋でございます。本職は弁護士をやっておりまして,企業法務,それから,割と長年ベンチャー企業,スタートアップ企業のところとかスタートアップ企業に対する投資という場面を見てきて,過去にはシリコンバレーで弁護士として2年弱働いた経験もございます。そうしたこともありましてか,当初よりこのイノベーションプログラム部会の委員として拝命を受けまして,割と長い期間になりましたけれども,見てきたということになります。このプログラム自体は,今後まだ続いていくということで,いろんなKPIのお話等もございますので,皆さんと一緒になりながらいろいろ議論していくことができればと思っております。
以上でございます。今後,よろしくお願いいたします。
それでは,江戸川先生,お願いできますでしょうか。
【江戸川委員】江戸川でございます。よろしくお願いいたします。私は19年ぐらい前から産学連携の支援,その関連で大学発ベンチャーの御支援をやってまいりまして,当時はEY新日本監査法人という監査法人に所属していたんですけれども,その時代から,3年前独立して,今の会計事務所を運営しておりまして,現在に至るまで,ずっと産学連携の支援,大学発ベンチャーの支援を継続して実施をさせていただいております。
大学の技術の事業化,実用化というところと向き合っている中で,日本のリスクマネー供給環境というのは,19年前を振り返ると,相当課題がたくさんあって,その時代からやはり民間ベンチャーキャピタルの投資スタイルは変わっていかなきゃいけない面もあるなと思ったり,あとは官民ファンドのようなものの必要性も感じておりまして,そういった動きがあると,何らかの形で御協力をできないかということで関わってきたという経緯がございます。
そういう中で,ここで資料を見ると,10期と書いていますので10年前になるんだと思うんですけれども,官民イノベーションプログラム部会にも関わるようになりまして,棚橋先生と一緒に続けさせていただいたということで今日に至っております。また引き続き,この部会の委員としてしっかり活動できるように頑張っていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
【棚橋部会長】ありがとうございました。
それでは,先ほどの名簿の順になりますけれども,後藤先生,お願いできますか。
【後藤委員】はじめまして。弁護士の後藤と申します。私はもともと弁護士になった後は,今,長島・大野・常松法律事務所という名前ですけれども,当時の長島・大野法律事務所に入りました。その前がアクセンチュア,私がいたときはアンダーセンコンサルティングですけども,そういうコンサルティングファームにいたことがありまして,ベンチャー業界がちょうどナスダックジャパンとかマザーズとかできた頃に,いろいろな起業家が世の中で生まれてきまして,そういう中で今のAZX Professionals Groupというものを2001年に創設いたしました。
AZX Professionals Groupというのは,法律事務所と会計事務所と特許事務所と社労士事務所で構成されていまして,ベンチャー企業の皆さんを全体的にワンストップでサポートする形になっています。ですから,クライアントとしてはベンチャー企業さんがたくさんいるということと,あとベンチャーキャピタルさんもたくさんクライアントにいまして,あと,大学発のベンチャーさんも当然います。あと,大学側のサポートとかもいろいろしております。
棚橋先生とも,ちょうど私がAZXをつくった頃に,たしかベンチャーの何かの集まりで最初にお会いしまして,棚橋先生もすごくベンチャーをサポートされていて,そこからお知り合いになっています。江戸川先生もいろいろとベンチャー業界でやられていて,監査法人なので,そういう中でいろいろとお付き合いさせていただいています。私自身はこの委員,当然初めてですので,最初,空気を読むまでに時間がかかるかもしれないんですけれども,何とぞよろしくお願いいたします。
【棚橋部会長】ありがとうございました。
それでは,次,佐々木委員,お願いできますでしょうか。
【佐々木委員】株式会社ポラリス,佐々木と申します。私は実は民間の企業に25年ほど勤めていまして,10年ほど前に独立しまして,中小企業,ベンチャー企業さんの,主に技術開発の支援をするような仕事を始めました。そのような中で,主に経産省のプログラムになるんですけれども,NEDO事業でありますとか,あとGo-Techといったものの申請の支援ですとか採択の仕事に関わるようになりまして,今回初めて文科省のこのプログラムにお声がけいただいて,参加することになりました。
今まで多分,ほかの委員の先生方と立場が違うところでベンチャーの人たちと関わってきたのではないかなと思いまして,少し勉強をしながら,また別の形で支援できればうれしいなと思って参加させていただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【棚橋部会長】ありがとうございます。よろしくお願いします。
続きまして,高橋委員,お願いできますか。
【高橋委員】金沢工業大学の教員をしております高橋真木子と申します。この部会のアジェンダに関連した自分のキャリアをちょっと御紹介しますと,修士は自然科学のマスターをやったんですけれども,その後一貫して,アカデミア側に立って技術の商業化や産学連携を推進するという,研究者と一緒にやる専門職のような仕事を幾つかの大学でしてきました。特に2004年の国立大学の法人化以降は,大学の知財の取扱いですとか共同研究契約などで,大学と企業はかなり,ある種,コンフリクトがあった時代もありますが,そのときの大学側の交渉対応みたいなこともずっとしておりました。
東工大や東北大,最近では理化学研究所の研究力強化などのスタッフもする過程で,大学のリサーチアドミニストレーターという専門職の設立にも関わっております。なので,この部会の関係で言うと,大学側のKPIですとか,特許出願ではなくて,もう少し上流の発明届自体が研究力の指標の一つになるのではないか、といったところに関しては,比較的土地勘があるかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【棚橋部会長】ありがとうございます。
続きまして,橋本委員,お願いできますか。
【橋本委員】はじめまして。橋本せつ子と申します。私は,バックグラウンドは生物系でございまして,Ph.D.を取った後,一貫して外資系の企業で仕事をしてまいりました。その中の一つには,外資系のベンチャー企業が日本で市場を開拓する,そこのところを日本でやったという経験も持っております。そして8年前になりますが,現在おります,再生医療の技術を持った日本の大学発ベンチャー企業の社長をしております。現在は再生医療ということで,最終的には厚生労働省の承認を取らないと製品の売上げが上がらないという中で,いかに資金をつなぎながら研究開発を続けるかというところで四苦八苦をしております。
今回,初めて文部科学省からお声がけいただいて,このような委員会に入りましたが,私としましては本当に,私で何かお役に立てるのかなと思いながらも,これまで国内外のアカデミアと企業との間をつなぐような仕事をしてまいりましたので,その経験から何か御発言できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【棚橋部会長】ありがとうございました。
続きまして,東出委員,お願いできますか。
【東出委員】どうも皆様,聞こえますでしょうか。何人かの方,はじめましてですけれども,ひとつよろしくお願いいたします。私自身は現在,早稲田大学の経営管理研究科ということで,いわゆる早稲田大学のビジネススクールの教員をかれこれ25年ほど務めております。その前は鹿島建設等で働いていた時期がございまして,海外の不動産投資であるとか,どちらかというと海外の不動産系の起業家の方々に鹿島建設のお金を投資するというような仕事をしておりました。
その後,早稲田大学ビジネススクールのほうに来まして,中でこれまで教えてきたという過去を振り返ればですけれども,科目といたしますと,いわゆるアントレプレナーシップ,ベンチャーの授業とクリエーティビティーの授業,あとはファミリービジネスの経営というところとベンチャーキャピタルの投資というような科目をこれまで教えてまいりました。ですので,一貫したテーマは,オーナーマネジャーといいますか,オーナー権を持ったマネジャーの視点から見た経営というものをビジネススクールの中では教えてきております。
実務サイドで見ますと,1998年に,ウエルインベストメントという早稲田大学関連のベンチャーキャピタルがございまして,こちらも他の教員とともに設立をいたしまして,大学で教えながらベンチャーキャピタルの取締役,そういう役割もこれまで継続して果たしてきておりますし,あとは大学の中でも,幸運なことに,かなり多くの方が起業していったりしておりますので,そういう自分の,いわゆるゼミナールの卒業生も含めて,実際に起業した起業家の方々を支援していくというようなこと,つまり,ベンチャーキャピタルの具体的な起業家の,関係のある起業家の支援を,これまで20年超の期間,大学というポジションの中におりながらやってまいりました。その中から,何か大きな視点の中で貢献できることをしていきたいと思いますので,引き続き皆様,よろしくお願いいたします。
【棚橋部会長】ありがとうございます。以上だと思います。森さんについては,今日は御欠席ですよね。ということで,それぞれの先生方,いろいろなバックグラウンドをお持ちで,私も大変楽しみにしております。10年間やってまいっていますけれども,発言にルールとか全くございませんので,自由に御発言いただいて,かつ委員の数も少ないので,きっと御発言しやすいんじゃないかなと思いますので,多様なバックグラウンドをお持ちの先生方の御意見が反映されることが重要だと思っていますので,どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございまして,次は議事に移りたいと思います。初めに,議事の(1)ということで,国立大学法人評価委員会官民イノベーションプログラム部会の所掌事項についてということで,まず事務局から御説明をいただき,その後,質疑の時間を設けますので,まず事務局から御説明をお願いいたします。
【下岡室長】事務局より御説明申し上げます。今,画面に映っております資料2-1から御説明申し上げます。所掌事務ですけれども,まず本部会の設置の根拠のところからお話しさせていただきたいと思います。本部会は,国立大学法人評価委員会に設置される部会でございますけれども,その国立大学法人評価委員会は国立大学法人法,法律に基づいて置かれる委員会でございます。この親の委員会は,国立大学の業務の実績の評価ですとか,そのほか,法によってこの委員会の権限に属するとされた事項について所掌するのがこの委員会でございまして,その委員会の下の部会の1つとして,官民イノベーションプログラム部会が置かれております。
提示しておりますのは,最初にこの部会が置かれたときの,平成25年のときの設置の根拠でございまして,2ポツの所掌事務のところ,3つポツがございます。上の2つは,出資に係る中期目標及び中期計画に係る話でございます。これなんですけれども,今となってはもう終わりかけている話などもありますので,次のペーパーでももう少し詳しく御説明させていただきますけれども,まず,大学の中期目標や中期計画の評価や策定等に関すること,その他,出資について,親委員会で審議が必要な事項に関することが所掌事務とされております。
委員の構成としまして,本日お集まりいただいておりますとおり,起業やファイナンス,大学発ベンチャー支援に関して識見のある先生方で構成されております。評価委員会の下に国立大学法人の分科会,大学共同利用機関法人の分科会というのが大きくございますけれども,それと別のものとしてこの官民イノベーションプログラム部会が置かれてございます。
次のページでございますけれども,先ほど,3つポツがあると申し上げました。①,②,③と便宜上振りましたけれども,国立大学法人においては,中期目標を大臣が定め,大学がその達成のために中期計画をつくるという,後でそれを補足する資料も足してございますけれども,大まかに言うとこういう仕組みになっておるんですけれども,実は官民イノベーションプログラムについて,対象になっている4大学の中期目標や中期計画に盛り込まれていますのが,第3期の中期目標,中期計画まででございまして,第3期と申しますのは,後ほど資料でもまた出てまいりますけど,平成28年から令和3年度まで,要は,昨年度までのものにしか出てきませんで,令和4年度からの中目・中計には評価項目が設定されておりませんので,そういう意味で,この上の2つは,半ばもう済みかけている話といいますか,1点だけ,第3期の終了時の評価だけが残っておりますけれども,それが終わりますと,①,②は本部会の会期中は関係がなくなってくるということでございます。
それから,今提示されている資料で,③として,出資について委員会で審議が必要な事項,ここが今,むしろ本部会の本丸になってこようかと思いますけれども,ここは,これまでの部会の審議状況等も踏まえますと,まず1つには,官民ファンド関係閣僚会議,この閣僚会議についても,後ほどまた資料で御説明いたしますけれども,要は,官民ファンドについて検証を行うとされている閣僚会議がございまして,そこに報告するためのKPIの進捗や達成状況の評価に関することを本部会でまずお願いさせていただきたいということが1つと,あともう1点としまして,特定研究成果活用支援事業計画の認定に関することとございます。これは,大学が出資する際に,VCが事業計画の認定を受ける必要があるという,これもまた,後で説明する話がたくさん出てきますけれども,最初の事業計画の認定は終わってございますけれども,その事業計画に変更があった場合の認定を本部会で御審議いただきたいという,そういう趣旨で入っております。本日の議題の中にも変更の話が入ってございます。
次に,そもそも,本プログラムはどういうものかという話でございます。前期からお務めいただいている先生方にとっては御存じのことで恐縮でございますけれども,官民イノベーションプログラム,もともと第2次安倍内閣の発足時,自民党政権に奪還した直後の補正,平成24年の補正予算のときに,国立大学の研究成果を活用するベンチャーを支援するためにということで1,000億円の政府出資が盛り込まれたということが事始めでございます。ただ,予算,1,000億つきましたけれども,平成24年当時には,国立大学の業務として,VCやファンドへの出資は法令上認められてなかったものですから,その後,産業競争力強化法及び国立大学法人法の改正をしまして,それで国立大学法人,具体的には4大学になりますけれども,が出資を行って,VCを設立し,ファンドを創設することが可能になったのが本プログラムでございます。
図の中で言いますと,文科省のところから4つの国立大学法人に1,000億の出資をし、それを受けた国立大学法人からの出資により,大学ベンチャーキャピタルが大学ごとに設立され,その事業計画を文科省と経産省で認定をしまして,それを踏まえたファンドに対して4大学から出資がされたと。そのファンドから大学発ベンチャーに対して投資をすることになります。ファンド自体にも民間からの出資,金融機関等からの出資は入っておりますけれども,それだけではなくて,ファンドから出資をするということで誘発されて,民間からの投資がそれなりの額,誘発されるという事業でございます。
本事業,国費を原資とする出資事業でございますので,官民ファンドの活用の検証という観点で,「官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議」というところで検証しております。具体的には幹事会というのが置かれておりまして,そこで検証する,文科省としても進捗状況を報告する,そういうふうにして事業の効率化・適正化を図っている仕組みでございます。
本事業は,特に民間のVCがリスクが高いために避けがちとなるような足の長いシード段階,アーリー段階の案件を中心に投資を展開するということでやっておるプログラムでございます。
次,これまでの経緯ですが,申しましたとおり,平成24年の補正で1,000億出資されまして,産業競争力強化法,国立大学法人法の改正で,国立大学からの出資を可能とするような改正をしまして,それを踏まえて, 4大学のVCが設立されまして,それぞれ認定された事業計画を踏まえて,「ファンドの動き」の欄ですけれども,1号ファンドは平成27年から28年にかけてファンドが創設されました。その後,また,「政府・与党の動き」という広い欄に戻りますけれども,その後,自民党,会計検査院等から,行革ですとか会計検査の観点からの指摘を様々受けており,この辺りはまた次のページで御紹介したいと思いますけれども,そういう指摘を受けつつ,2019,2020のところで次々に,2号ファンドも4大学で立ち上がっているという現状でございます。
行革からの指摘でございますけれども,これまで一体どういうような指摘を受けているかということの,ざっとおさらいでございますけれども,まず一番最初,2017年の自民党の官民ファンドの見直しの提言としまして,例えば,まだ1号ファンドができた頃ですので,出資されずに大学に残っている残額があるじゃないかという。これは,もう2号ファンドができたので解消しております。
また,国立大学法人に外部評価委員会による検証を行うなどしてガバナンスの適正化を図るべきではないかと。外部評価委員会はその後,告示の改正で義務づけております。下の点線で囲った四角の中の一番下のポツがそれにあたります。ます。それから,他大学もこういったプログラムに参画できるようにということですけれども,この辺りは2号ファンドを立ち上げる際に,他大学案件の投資も可能にしているということがございまして,下の点線囲みの四角の中で申しますと,2つ目のポツでございます。
民業圧迫とならないようにという点も,告示にそのように明記をしているところでございまして,指摘されていることには大体対応してきている。検査院の指摘も大体同じような話でして,事業計画の認定を受けてない資金が余っているのではないかということ,これも2号ファンドができていますので解消していると。それから,国庫納付の話ですけれども,政府出資金,国庫納付する手段がないのではないかということも指摘されていまして,これに関しては国庫納付規定というのを整備していまして,文科大臣が必要と認める額は国庫納付できるようにということが一応規定はされているというのが,下の囲いの中で言うと1つ目のポツでございます。
それから,一番最後の自民党の2020年の提言ですけれども,2号ファンドを設ける際には民間から幅広く出資を募るべきであるので,新しいファンドでの民間出資の割合は,1号ファンドよりも割合が上回るべきだという提言を受けていますが,これも告示の改正で対応しておりまして,下の枠囲いで言うと3つ目のポツで対応しています。たくさんあるように見えますけれども,大体対応できている状況でございます。
次のページに参ります。ファンドの存続期間を可視化したもので,だからでどうということではありませんけれども,長いものですとR16まで存続しますという話でございます。
次,年間スケジュールの話ですけれども,これももろもろの御説明をさせていただいた後で触れますので,1回飛ばします。
以上が官民イノベーションプログラムとは何ぞやという簡単な御紹介でございました。
次からの資料4の関係は,本部会の所掌事項の説明に関わる資料でございます。所掌事項として中期目標・中期計画の評価に関することがあったかと思いますので,国立大学法人の中期目標・中期計画の評価がどんな仕組みになっているかという情報も簡単にあったほうがいいかと思いまして,入れさせていただいております。
国立大学法人に関しては,文科大臣が6年間の中期目標を定めておりまして,各大学がそれを達成するための中期計画をつくっていると。中期目標の期間が平成28年度から令和3年度までというのが第3期ございまして,ここには官民イノベーションプログラムに関する評価の項目が盛り込まれておりましたので,この評価,具体的には最終の評価が今残っている段階でございます。R3年度までで終わっているものですので,今年度のどこかで評価をするということになるんですけれども,この部会だけではなく,国立大学法人全体での親委員会に関わる話になってまいりまして,私どものほうでも,これがいつ評価の行為がなされるかというのは,具体的なところのスケジュールが決まっていないんですけれども,恐らく今年度末,あるいは,もしかすると来年度の初めにかかるかもしれないというような,そのような時期に1回この話が出てまいります。この,第3期の評価をすれば,第4期には官民イノベーションプログラムの評価事項は含まれていませんので1回きりの話になります。
次のページに,評価の各機関の関係というのがありますけれども,これは御参考ということで御覧いただければと思います。
その次に,評価をする際に,およそどんなレベルの評価が出てくるかということでございます。イメージとしておつけしているものですけれども,これは何かと申しますと,直近の評価, 6年間の計画の4年度目の終了時の評価の際の,官民イノベーションプログラムに関する評価の項目のときにどういう評価がなされているかということを参考につけさせていただきました。細かい説明は,また評価の際にさせていただきたいとは思いますけれども,法人の自己評価を踏まえて,この評価委員会でも評価を定めることになりますけれども,4大学とも中期目標の達成に向けて順調に進んでいるというのが4年度目終了時の評価でございました。
取りあえず,当部会の所掌事務のうち,中目・中計に係る部分に関しての補足もさせていただきまして,この後,資料5以降は,出資について委員会で審議が必要な,例えばKPIの話ですとか,そういう話に関わる話になってくるのですが,長くなりますので,一旦ここで切らせていただきまして,御質問,御意見等がございましたらということにさせていただきたいと。1回部会長に戻させていただきます。
【棚橋部会長】御説明ありがとうございました。所掌事項ということで,何を扱っているのかと。ここら辺,慣れている方はすごく慣れていて,このことかと分かるかもしれませんけれども,私なんか,こういったこと自体,そこまで慣れてなかったので,なかなか分かりづらいみたいなところもありましたので,皆さん方でも初めての方もいらっしゃるので,ここはどういうことだとか,そういうクラリフィケーションしたいというような御質問でも結構ですし,何かあればどうぞ御発言ください。いかがでしょうか。
10年間ですかね,期間としては長い中で,現時点までどういうことになって,この後,現状については別途御説明があって,それでまた議論していただくということでありますけれども,その際でも構いませんし,現段階でも構いませんし,いかがでしょうか。
じゃ,後藤委員,お願いできますでしょうか。
【後藤委員】私が分かってない部分だけなのかもしれないですけど,これ,評価をして,その後の流れはどうなるものなんでしょうか。
【棚橋部会長】これについて,事務局,お願いできますか。
【下岡室長】承知しました。評価をしまして,この部会からは,評価委員会,親委員会に報告をしまして,評価として定まってまいります。4年目終了時の評価は,恐らくその次の期の策定に反映されることになるんですけれども,最後の評価がその後どうなるかということが,親委員会の方,誰か傍聴されている方がいたら……。
【棚橋部会長】ちなみに,親委員会とはどこかというのを具体的にして進めると分かりやすいかと思います。
【下岡室長】失礼しました。親委員会は国立大学法人評価委員会なのですが,資料2-1,国立大学法人評価委員会の総会のことでございます。こちらに報告をすることになります。こちらで,まとめて全体の評価を決めていくことになります。恐らく全体の評価が定まりますということで,あまりお返事になってないかもしれないんですけれども,第4期も始まっていますので,そこに直接的にということではないのかもしれませんけれども,その後,大学運営等においては,当然それを参考にして,よく踏まえてやっていくということになるとは思います。
【後藤委員】この評価によって,例えば大学ファンドに指導が行くのかとか,ファンドサイズに影響するのかとか,私が関わる評価って,結局どういう影響が及ぶものなのかなというのを知りたかったという意味だったんですけれども。
【下岡室長】承知いたしました。御趣旨,よく分かりました。国立大学法人の評価もそうですし,この後,ほかにもまた検証の場はございますけれども,もしそこで遅れているということになりましたら,それを踏まえて,国立大学法人,当該法人の運営において改善等を図ることになると思います。今のところ,順調ということで,どうなるかということをきちんと詰めていませんでして大変申し訳ないんですけれども,当然そこは改善を図るということにはなります。
【棚橋部会長】一応,第3期の6年間の様々な項目を評価すると。その中の1項目として,この官民イノベーションプログラムがあると,全体,そういう枠組みになるわけですよね。
【下岡室長】はい。
【棚橋部会長】今年から新しく始まる第4期については,官民イノベーションプログラム自体が大学側で評価の対象とされてないから,今後はそこについては見る必要がないということでよろしかったでしたっけ。
【下岡室長】そうですね。当部会として,この項目について何か評価をつけるという必要はなくて,もう少し大きな項目の中の一環として全体の中で見ていかれるということです。ちなみに中期目標というのは,意外と大綱的なといいますか,第4期で言うと,各大学がA4で4枚とか,そのくらいのイメージで6年分の大きな方針が書かれておりますので,個別の事業ですとかプログラムのことはそんなにたくさん盛り込む感じではないというものです。資料としてお出ししてなくて申し訳ないんですけれども。そういうものですので,第4期に盛り込まれていないというのは、特に重要性が下がったということではなくて,記載のレベルとして,個別のものをそんなには書いていないという中で,新規事業ではなく継続事業でもありますし,第4期では特出しはされてないということでございます。恐らく全体の産連とか研究成果の展開の状況がどうかという大きな中で図られることになると思います。
【後藤委員】ありがとうございます。私も徐々に勉強しますので,取りあえず今日はここで大丈夫です。
【棚橋部会長】ありがとうございました。
【江戸川委員】江戸川ですけれども,今のところに関連して確認なんですけど,国立大学評価委員会の評価というのは,運営費交付金の算定に評価結果が反映される構造になっていたのではないでしょうか。
【下岡室長】そうなんですよね。ただ,これ,運営費交付金ではなくて一般財源でやっているものですので,この事業の額自体がどうこうということではないですけれども……。
【江戸川委員】そうですね。この事業の額には影響がないけれども,国立大学法人評価の中の一部として,結果として国立大学法人の運営費交付金に影響が出るかもしれないということではなかったでしょうか。
【下岡室長】そういう意味ではおっしゃるとおりです。
【江戸川委員】あと,第4期中期目標期間の取扱いなんですけど,ここも私が十分に制度を認識してないんですけど,今回,制度変更があって,中期目標の位置づけ、考え方が変わったと思うのですが、いかがでしょうか。
【下岡室長】そうですね。これ,実は前期の第3期を基にした資料でして,説明を省略してしまって申し訳ありませんでしたが,実は古い点があり,例えば,毎年度の業務実績評価というのも,毎年度行うことはやめるという法改正もあったりする中で,私どものお願いしたい評価は,第3期の終わりのところですのでこの資料を使ってしまいました。新しい国立大学法人評価については,今,資料もないままだと恐縮ですので,次回,ちゃんと資料をお示ししたほうがいいかと思います。
【江戸川委員】そうですね。何となくニュアンスとして,これまでは評価対象になっていたんだけど,今後は中期目標にも書かれない,重要度が下がったような印象を受けてしまったんですけど,そうじゃなくて,中期目標とか中期計画の考え方や毎年の年度評価の考え方に制度変更があって,それに伴って中期目標の中での位置づけが変わったということなのかなと思って,今,確認をしているということなんですけど。
【下岡室長】そこの位置づけは再度確認します。私どもも,実は本制度の所掌が省内で変わったので,何で第4期から入ってないかということを,実は高等教育局の,前に所管していたところに問い合わせたりもしたんですけれども,特段の理由ではないんだという回答を1回もらっていたのですけれども,再度確認させていただきたいと思います。
【江戸川委員】分かりました。
【棚橋部会長】その点,改めて,何らかの形で皆さんとは共有するということでお願いしたいと思います。
【下岡室長】はい。
【棚橋部会長】では,佐々木委員,お願いできますか。
【佐々木委員】私が全く理解できてないんだと思うんですけれども,そもそも中期目標とか,あと評価ということで,具体的にどういうことが目標になっているのかを簡単に教えていただけますでしょうか。多分,後ろのほうにKPIとかがあるので,そういうことなのかなとは思っているんですけれども,要は,出資が目標に対して実行されたとか,民間の投資がそれで誘発されたとかということに対する目標があって,それに対する評価なのか,あるいは,それによって得られた大学発ベンチャーというものの何らかの成果なのかというところ,ざっくりとしたイメージを教えていただけると助かります。
【下岡室長】承知しました。そこの点も含めて,後ほどKPIの話もありますので,そのときに合わせて,どういう評価なのかということを御説明させていただきたいと思います。
【佐々木委員】よろしくお願いします。
【棚橋部会長】事務局としては,今の御質問も含めて別途ということで。
【下岡室長】そうですね。後ほど,KPI等の説明のところで併せてさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
【佐々木委員】はい。
【棚橋部会長】評価のところはいろいろと難しいというのが,私も今,大学の中にいながら感じているところでありますけれども,その他御質問等ございましたらどうぞ。いかがでしょうか。まとめてでも結構ですので,この内容についてここだけというつもりはございませんので,特に手が挙がってないようですので,それでは,事務局の方,議事の2番目に移ってもよろしいですかね。
【下岡室長】はい,承知しました。
【棚橋部会長】議事の2番目ですけれども,官民イノベーションプログラムの現状等についてということで,こちらについても,まず事務局から御説明をいただいて,その後,質疑の時間を設けますので,よろしくお願いいたします。
【下岡室長】部会の所掌事務の後半のところ,「出資について委員会で審議が必要な事項」の中身にも関わることですので,併せての説明のような話になりますけれども,御説明をさせていただきたいと思います。この官民イノベーションプログラムも国費を原資とした出資ですので,官民ファンドの一つとして,運営状況について,「官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議」というところで検証される対象となっております。
関係閣僚会議は閣僚会議ですので,ここで直接というよりは,ここではガイドラインをつくり,検証の定期的な場を設置し,具体的な検証は,閣僚会議に幹事会というものを置きまして,そちらの方で検証がなされています。定期的な検証の場ということですけれども,年1回なされているということでございます。この幹事会は,内閣官房副長官が議長となり,有識者の方にも入っていただき,所管府省庁の局長級の職員が入っての幹事会ということになります。検証対象となっている13の官民ファンドがございますけれども,下に列挙してあります。そのうちの一つとして,本官民イノベーションプログラムも入っているということでございます。
幹事会の検証に当たっては,KPIを立てて検証が行われているということになります。幹事会でのKPIは,今お示ししている資料の半分から下のところ,大きく4つ,政策目的,エコシステム,呼び水,累積損益と4つのKPIがございます。このうち下の3つ,エコシステムから累積損益までの3つは,全ての官民ファンドに共通したKPIとなっております。一方,1つ目の政策目的に即したKPIというのは,これは各官民ファンドごとに設定をする,政策目標に応じて設定するKPIになってございます。本官民イノベーションプログラムに関しましては,これは国立大学の研究成果の実用化として,国費の支出として適切に使われているか,具体的には民間VCができないことをやるということで適切に使われているのかという観点から2つ指標を設けていまして,指標の1つ目が,各案件の投資決定に際して,官民ファンドとして積極的にリードを取ってやっているのかどうかという指標,2つ目として,各投資案件についての協調投資件数がどうであるかという指標,これらが本官民イノベーションプログラムに関する政策目的に係るKPIということになっております。
それぞれの指標に関して, R17の3月のところにKPIが設定されておりまして,それまでの間,ほぼ3年置きに置かれておりますMSというのがマイルストーンでございまして,KPIそのものではないけれども,KPIを達成する上で,これを参考にしながら幹事会でも見ていかれるという数字でございます。こういった項目に即して,官民イノベーションプログラムの状況を検証されるということでございます。
次のページに行きますと,官民イノベーションプログラムについて,直近の官民ファンド関係閣僚会議の幹事会で報告した内容をまとめたものでございます。①,②,③とありますけど,①は令和2年度だけの数値ですが,②の部分が平成26年から令和2年までの実績の累積値ですので,この辺りを中心的に御覧いただければと思います。投資相手方数,支援決定額,それぞれこういうふうになっております。誘発された民間投資額がこのようになっておると。
最後に回収率というのがありますが,これはエグジットした案件について,出資額からみた回収額の倍率,すなわちエグジットした案件の中だけで見た回収率がついております。官民イノベーションプログラムは民業を圧迫しないようにとされており,本来の趣旨としても民間にしづらい出資をするということで,やはり足の長い案件が多く,そういう案件を中心に出資をするということでやっているので,エグジットの件数もやっと出始めた段階かなとは思いますけれども,にもかかわらずこの回収率は,実は他の官民ファンドの中でも,官民イノベーションプログラムが一番高い状況になっておりますので,その点は比較的よい状況といえるかと思います。
KPIに照らしてみますと,先ほど申しましたとおりKPI自体は令和17年に置かれていますけど,令和2年度末のところに置かれたマイルストーンと照らしてどうなっているかというのが③にあり,リード投資件数というので若干の未達もございますけれども,協調投資件数,民間との連携の社数,呼び水である民間投融資の倍率,この辺りはマイルストーンを達成している状況でございます。累積損益のところは未達でございました。
分析としましては,リード投資件数については,新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえて新規投資が抑えられたということがあるのではないかと。累積損益に関しても,やはりコロナの影響でエグジット予定を先送りした部分があるのではないかということで未達となっておりますので,先送りしたことが今後どうなるかが注目すべきところかなと思います。
以上が,関係閣僚会議の幹事会との関係で立てているKPIの状況でございます。次のページに行きますと,急に項目が増えておりますけれども,これは上半分が幹事会の設定した,今まさに御覧いただいたKPIなんですけれども,下半分に,太い黒枠で囲った部会設定KPIというものがございます。これは,必ずしも関係閣僚会議の幹事会にかけるものではないですけれども,本部会として独自にKPIを設定して,本部会として見ていく上で設定しているKPIでございます。
例えば,上にはないような項目,国立大学において,プレインキュベーションの支援を実施しているか,GAPファンドのようなことをどれぐらいしっかりやっているかですとか,ベンチャーの創出。それから,番号で言うと3ポツとなりますけど,国立大学における教育研究活動としてしっかりできているか,具体的にアントレプレナー教育がどれくらいできているかということ。最後に4ポツとして,地域における経済活性化への貢献ですとか,あるいは海外展開への貢献ということ,そういう観点からはどうであるか。例えば,地域におけるマッチングの件数ですとか,海外であったら海外のプロモーションマッチングの件数など。こういった視点を,これは部会限りでの議論になりますけれども,もう少し丁寧な項目を置いて,大学として取組がどうかということも含めて見ているという状況でございます。
今回,数値を入れてもよかったんですけれども,2か月後の7月に次の部会で,まさにこのKPIの達成状況を,各大学,各VCから出してもらった数字を基に先生方に御議論いただくものですから,本日,中身の数字まで立ち入るとトゥーマッチかなと思いましたので,官民ファンドの幹事会のものとは別に,部会としてもこういうものがありますという御紹介にとどめさせていただきました。
ここで,先ほど,佐々木先生から御質問いただきました,中期目標・中期計画の評価についてもKPIを立ててやっているのかという点についてお答えさせていただきます。画面にお示ししていますのは,第3期の中目の京大の分でございますが,4大学,ほぼ同じような入り方をしております。産業競争力強化法の規定による出資等に関する目標ということで,左側が中期目標で,右側が中期計画。特に中目は,数値目標的なことではなく,このような定性的な記載であります。右側,中計も,KPI的なものを設けているということではなく,こういう観点から見てどうかということを評価するということですので,先ほども御覧いただいた幹事会のようなKPIを設けているようなものとは大分様相が違うということでございます。これで御趣旨に合いましたでしょうか。
【佐々木委員】ありがとうございます。
【棚橋部会長】この点,分かりましたので。
【下岡室長】本部会の所掌事務に関わる御説明及び現状の御説明は,ここまでですけれども,昨日,追加でお送りさせていただいた資料を,関連施策の動向として,参考情報として御紹介させていただこうと思います。
先ほど,官民イノベーションプログラムができたときには,そもそも国立大学法人がVCやファンドに投資できなかったため,そこを法改正してできるようにして本プログラムを始めたという話をしましたけれども,ファンド等に限らず,国立大学法人等の研究成果の社会実装と社会展開という観点から,国立大学法人等の出資範囲に関しては,近年拡大する方向で施策を進めておりますことの御紹介をさせていただきたいと思います。
例えばなんですけれども,これは直近の国立大学法人法の改正,この4月から施行されている改正でございますけれども,3ポツの赤で囲ったところ,国立大学法人等による出資の範囲の拡大として,3つ盛り込まれております。
まず1つ目として,研究成果活用事業者,これは大学の研究成果を活用したコンサルですとか研修や講習を行う法人ですが.このような法人に対して国立大学が出資をすることは,改正前は指定国立法人だけができたんですけれども,それをこの4月から全ての国立大学法人に対して可能としております。②は国立大学法人の有する施設,設備等を利用促進するような事業者への出資を可能としております。③は大学発ベンチャーへの直接の出資を,改正前は国立大学法人はできなかったんですけれども,これを指定国立大学法人に限ってではあるんですけれども,この4月から可能としております。
今申し上げたのは最新の動きですけれども,次のページに参りまして,国立大学法人からの出資が認められる類型の全体を見ますといろんなメニューがございます。一番古いのは,左下の2ポツ,承認TLOへの出資というのは平成16年からありますけれども,その次に古いのが,3ポツ,まさに私どもの官民イノベーションプログラムですけれども,これ,法令用語で言いますと特定研究成果活用支援事業者となります。大学発ベンチャーに投資支援を行う認定VCですとかファンドに対して国立大学法人が出資をできるというもので,本プログラムをつくった際の平成25年の改正からこういうことが可能になっております。
ここを御覧いただくと,対象が全ての国立大学法人等となっておるところがポイントなんですけれども,一応,法律の建前上は,全ての国立大学法人等に開かれておるんですけれども,もともとこれをつくったきっかけというのが官民イノベーションプログラム,要は国費からの支出,政府出資金を基にした出資ですので,それを前提とした極めて厳しいルールになっているところがございまして,そうした点の改正の話がこの後続くんですけれども,平成25年度から一応穴は空いているということになります。
そのほかにも令和3年度から,これは1ポツのところですけれども,例えば大学が創出したシーズを基に企業と共同研究を行うような研究所に対する出資ですとか,またオープンイノベーション機構と書いてありますけれども,大学のシーズと企業のニーズをマッチングするような機能を持つ外部法人をつくって,そこに出資をするということも,これは政令改正ですけれども,できるようになっていると。
最後,4ポツと5ポツのところは,先ほど,直近の法改正でできるようになりましたとご紹介した,コンサル,研修・講習を行う法人やベンチャーへの直出資というふうに,順次,国立大学法人の出資できる範囲が広がってきております。
次のページです。ここからがVCやファンドへの出資に関する話になります。これ,官民イノベーションプログラムのためにつくられた仕組みではありますけれども,法令上は全ての国立大学法人において,大学自らがVCを設立し,それを通じてファンドを創設し,そこに対して国立大学法人が出資をするということが平成25年のときから可能ではあったと。まさに4大学はそうしているわけなんですけれども,ただ,この方式ですと,国立大学法人がまずVCを設立するところからやらなければならないことになります。これはあくまで官民イノベーションプログラムは政府出資金が前提だったので,こういう厳しい道しかなかったんですけれども,例えば地方大学がこういったことをやろうと思いますと,体力的にはなかなか困難なのではないかと。そうしますと,結局,第三者のファンドに対してLP出資ができなかったことが課題としてございました。
次のページですけれども,ただ,世の中の状況を見ますと,大学発ベンチャーに投資する目的のファンドというのは,実は各地で続々と組成をされておりまして,そこに書いてあるものも,ホームページの公開情報から当課で探しても,これだけずらっと出てくるという。地銀などの金融機関が,大学発ベンチャーに投資する目的でこれだけつくっているということなんですけれども,ただ,せっかくファンドがあっても,大学自身はこれまでここにLP出資というのができなかったと。だから,大学はこういうところに出資をすることを通じて,自大学のシーズを社会実装することを支援する道がなかったということでございました。
では,4大学以外はそもそもそんなシーズがなかったかというと,4大学以外の国立大学法人等のベンチャー設立数を見ると,4大学以外,全部合わせてということではありますけれども,合わせると,これくらいの匹敵するような数はしっかりあるわけで,4大学以外も研究のシーズを社会実装できるような道を開く必要があるのではないかという問題意識がございました。
次のページを1回飛ばしまして,その次のページです。国立大学法人のVC,ファンドへの出資に関しては,文部科学大臣の告示及び文部科学大臣の大臣決定において,それぞれ事業計画の認定ですとか出資の認可を定めていたんですが,そこの規制緩和をしましたという話でございます。具体的に何をしたかと言いますと,政府出資金だからということに由来して置かれていた規制を緩和して,そもそも国立大学法人として出資する際に必要でしょうという規制だけを残して,政府出資金に由来するということの規制を,赤字の部分ですけど,それを削除したということでございます。
一番上がまさに核心のところかと思いますけれども,GPは国立大学法人が設立した認定VCでなければならない。これがあったがために,国立大学法人がまずVCをつくらなければならなかったんですけど,それはそうでなくてよいことにしましょうと。政府出資金でもないので,国との意見交換を行うとかそういうことも不要になりますし,また,民業補完に徹するというのはやはり厳し過ぎるだろうとか,民間からの協調出資を受けなければならないとか,2号ファンドは民間出資率を増加させなければならないであるとか,情報公開についても,一般に求められる情報公開以上の情報公開は必要ないはずであるとか,それから,外部有識者から構成される委員会を設置しなければならないとか,そ赤字で書かれたものについて規制緩和をするという内容の告示改正及び大臣決定改正をしまして,次のページに行きますけれども,この上半分の図が先ほど御覧いただいたスキームですけれども,この下半分の図のスキームが制度改正で可能になった出資スキームです。例えば地方銀行や民間のVCなどがGPとなって設立されたファンド,地域ファンドとあるのはあくまで例であって,地域ファンドでなくても構わないんですけれども,あくまで第三者がGPとなっているようなファンドに対して,国立大学法人がLP出資することをできるようにしたという動きがございます。この改正を昨年度末にしまして,この4月1日から施行され,できるようになっております。
本部会では4大学の,上半分のスキームに基づくものを見ていただくわけなんですけれども,直接ではないにしても,非常に関連する施策の動向でございましたので,併せて御紹介をさせていただきました。
1点だけ,御説明を飛ばしてしまった資料の3-6に戻りますが,年間スケジュールは,KPIの話をした後で触れたほうがよかろうということで,後に回してしまいました。官民イノベーションプログラムの部会の年間のスケジュールというのは,官民ファンドの関係閣僚会議の幹事会との関係で規定されているようなところもあります。官民ファンドの活用推進の関係閣僚会議の幹事会が,毎年定例で9月,10月頃にございます。ここで幹事会のKPIを踏まえた検証がなされるわけなんですけれども,そこに係る前に本部会として,本部会独自のKPIの検証も含めてですけれども,検討するということで,毎年7月から8月頃に本部会では定例的に会議を開いているという状況でございます。本年度は7月12日ということで予定しております。
ここでは関係閣僚会議幹事会のために集めるKPIと部会独自で集めるKPI,あともう一つ参考にしますのが,実はそもそもこの官民イノベーションプログラムをやるに当たって,大学VCですとかファンドは,文科省の省令で,毎事業年度の終了後3か月以内に実施状況の報告書を出すことになっておりまして,それが第1四半期の大学VCファンドのところ,6月30日とありますけれども,それまでに報告書が出てくると。ですので,これが出てきた後,しかも関係閣僚幹事会の前という,その間のところで毎年定例で会議を開いて検証していただいていることになります。これ以外の会議は,必要に応じて開催ということになります。
年間を通じてみますと,今回は初めてですので,特別に開催したということですし,それから,先ほど申しました中期目標,中期計画の最終年度の評価が今回,あと1回限りありますけれども,それが今年度は年度末なのか来年度の初めなのかというのがまだ判然としませんけれども,1回あるというのが当面のスケジュールとしてございます。しかし,平常化すると,この7,8月の年1回開催が基本になろうかと思います。
事務局からの説明,以上でございます。ちょっと長くなりまして,申し訳ありません。
【棚橋部会長】ありがとうございました。いろいろな内容について御説明いただいたということになりますが,まず,御質問,御意見などございましたらどうぞよろしくお願いいたします。どなたでも結構ですので。
【東出委員】東出ですけれども,よろしいでしょうか。
【棚橋部会長】お願いいたします。
【東出委員】今,一番最後のほうで御説明をいただいた部分なんですけれども,私の誤解があれば御指摘いただきたいと思います。これまでの官民イノベーションの,要は,もともと指定した,特別に4大学に提供したファンドをこういう形で活用してファンドに投資をしていくという,これまでのスキームの中ですと,これはそういう仕組み,そういう目的があるからこそ,もともとリターンのキャップがすごく低かった印象があります。要は,一般的なベンチャーキャピタルと競争して,同じだけもうけろというようなことがもともと期待されていない仕組みで動いてきたものであると認識しておりますが,一方,今回可能になった4国立大学以外のところが直接出資するということは,GPが普通のベンチャーキャピタルであるとか銀行系のところが入ってくるということは,こちらはGPの立場から見たときに,ほかのベンチャーキャピタルと同じリターンレベルを求めて,横並びで競争していくファンドがそこにできていくことになると思うんですけれども,こちらは非常に高いリターンを求められる。これまでの4大学のやつは非常に低いリターンを求められる,低いリターンでも構わないという前提で動くので,この2つを並べて競争していく状況がこれから出てくることが本当にいいことなのかという疑問があるんですが,どうなんでしょうか。私,どこか誤解していますかね。
【下岡室長】御指摘ありがとうございます。確かに政府出資金を原資としているものについては,民業補完に徹するという厳しい運営の方法でやられていたので,おっしゃるとおりかと思います。新しく規制緩和した部分については,民業補完に徹するとまでの厳しい規定ではないものの「民間事業者に配慮する」という文言は一応入れてはおるんですけれども,東出先生がおっしゃるとおり,あくまで地銀ですとか民間のVCがGPとなっているものですので,4大学のものよりはもう少し積極的なリターンを取りに行く部分は,結果としてはそうなるだろうとは思います。
【東出委員】全く違うレベルのリターンを目指して動いていくものが,2つ仕組みとしてできていることになっていると思うんですが。
【下岡室長】ただ,そこは,政府出資金であくまでやっているものと,一方で新しく規制緩和したところは政府出資金ではなくて,自己資金,自己収入でやるもので,運営費交付金は当然使えないですし,恐らく産連の収入とかそういうものでやっていくということが一番分かりやすいパターンかなと思いますけれども,そういうものとは,そこはおのずと違いはあるのかなとは思います。
【東出委員】あと,もう一つ追加の質問なんですけれども,これまでの4大学の特定のお金から出てきているやつも,この2号ファンドからは,自分の大学だけじゃなくて,ほかの大学にもずっと地域的に広げて何でも投資できるようになっていたじゃないですか。
【下岡室長】はい。
【東出委員】そこと今度新しくできるものが,ある意味,投資に対してコンフリクトが起こってこないのかなということもちょっと気にはなる。何がいいか悪いかという話じゃなくて,そういうふうになるのではないかなということを感じるんですが,その辺はどうなんでしょうか。
【下岡室長】おっしゃるとおり,今までは,ほかの大学にも配慮してあげてというような意味合いもあって,恐らく他大学案件にも2号ファンドからは出しましょうということになっていたかと思いますけれども,こういう道を開いた以上は,必ずしもそこによらずともできる大学は出てくることにはなると思います。
【東出委員】なるほど。そうすると,行き先としては,何となくですけど,これまでの1,000億に基づいたファンドも,より高いリターンをほかのところと競争して求めるような仕組みに変えていかざるを得なくなるんじゃないですか,少しずつでも。
【最首専門官】制度改正を担当しておりました最首です。
【東出委員】よろしくお願いいたします。
【最首専門官】よろしくお願いいたします。ちょっと補足させていただくんですけれども,先ほど,同じ土俵で戦ったときに収益率が全く違うものが戦うことになって,そこに関してはどうなのかというお話があったと思うんですけれども,まず大前提として,新しく道を開いたほう、民間の方がGPをやるファンドというのは,官民ファンドではないので,官民ファンド幹事会の評価対象には入りません。すなわち、同じ評価体系の中には入らないということで,ある種,国立大学法人自身の業績評価の中で評価されていくことになるので,違う土俵で戦っていくことになると思います。なので,直接的に両者の投資成績の比較にはならないのではないかなと考えて,制度はつくっているところです。
【東出委員】ですから,もともと求めているリターンに全然違うレベルのものが2つ横並びで,日本の中だといろいろなファンドができているということになるわけですよね。
【最首専門官】おっしゃるとおりです。
【東出委員】分かりました。状況としては理解しました。それをどうするべきなのかはちょっと横に置いてですが,状況はそうなっているんだということまでは理解しました。ありがとうございます。
【最首専門官】ありがとうございました。
【棚橋部会長】棚橋ですけど,ちなみに,新しく改正できるようになったところというのは,文科省の認定だとか認可とかそういうのの対象にはならないという理解でよろしかったんでしたっけ。
【下岡室長】認定や認可の対象にはならないということではなくて,この下のスキームで言いますと,出資するところについては文科省の認可が必要になります。
【棚橋部会長】なるほど。分かりました。ちなみに,その部分については,別にこの部会の干渉事項ではないということですかね。
【下岡室長】大変失礼しました,図が少し見づらいですけれども,地域ファンドに対して矢印が2つ伸びていて,まず右上のほうからの矢印は,ファンドをつくる事業計画について文科省及び経産省の事業認定が必要であることを示しており,その上で左のほうからの矢印は、さらに各出資に対しても文科大臣の認可が必要だということを示しており,つまり認定も認可も両方必要です。ただ,本部会では,あくまで官民イノベーションプログラムの認定に関することを見ていただいておりますので,御指摘の,下のスキームの認定や認可はこの部会の対象ではないということです。
【棚橋部会長】分かりました。ありがとうございます。ほかに御質問,御意見,いかがでしょうか。
では,後藤先生,お願いします。
【後藤委員】後藤です。一応理解しておきたかったということなんですけど,2号ファンドからは民間の出資も入れていくというところの趣旨を理解しておきたいと思いました。中小機構さんがやっているファンドについては多分管轄が違う,あっちは経産省になって管轄が違うとは思うんですけど,あそこは国のお金は50%までの原則になっていたと思うんですよね。逆に言うと,ほかからも集めてこないと駄目ですよというような感じになっていて,それとは別の今回の大学ファンドの2号ファンドで民間のLPさんを入れるという趣旨がそれと違うのか同じなのかとか,どういう趣旨でそれを推進しているのかというのを御説明いただきたいと思いました。
【棚橋部会長】まずは事務局,お願いします。
【下岡室長】2号ファンドで民間の割合を高めていくということですね。そもそもこれ,政府出資金でやっているものですので,やはり民間のリスクマネーを誘引するものにしていかなければならないという,そういう根本的な政策的な思想があってのことですので,2号ファンドをつくっていく上でも,より民間からの出資を高めて,より民間からの誘因となるようにやっていくという,そういう思想になっているということで御理解いただければと思います。
【棚橋部会長】私からもし補足してよければなんですけれども,ここの部会で議論になって,そもそも1,000億という資金がこのプログラムに振り向けられますと。そのときに,1,000億ベースで各大学がファンドをつくっちゃって大丈夫なんですかというのが当初の議論だったんですね。それで,まず1号と2号に分けてというか,2号に分けてという発想はなかったですけれども,最初のファンドはある程度小さくやって,それで実効性を判断して,その後,別ファンドを立てるのがよいのではないかと,そういう議論をした記憶があります。なので,まず1号ファンドはやや小さめにつくって,それで検証ができたということで2号ファンドに移っていくということになるんですね。
先ほど来議論ありましたけど,2号ファンドのところで,1,000億という資金は,ここで全部使うわけですよね。そうすると,その後どうなるのだと。このプログラムの1つの目的というのは,大学を中心にしたベンチャーエコシステムを確立することであろうと。そうすると,1,000億の政府出資金がなくなったら,その後,もう何もつくれませんということになると,それはよろしくないと。そこで,2号のときに議論になったのが,3号ファンドをどのようにつくるかという話だったと私は記憶しています。3号という言い方はあまり正しくないんですけれども,後継のファンドですね。それは今,各大学さんでどういう形でやろうかというのはいろいろ検討されていると私は理解しているんですけれども,3号に向けて,2号のところで民間の人たちが入ってないと,突如,民間の出資を募ってもうまくいかないのではないかという議論が背景にあったのを覚えています。
なので,やはりエコシステムの継続性を考えたときに,政府出資金がない局面に達したときに,民間の企業,金融機関から資金を集められる前提として,2号はやっぱり一定の民間の資金がないと実現が難しいのではないか,そんな議論があったと記憶して,その上で,2号については特に民間の割合を増やしましょうと,そうなったのではないかと記憶している次第でございます。
【下岡室長】ありがとうございます。
【棚橋部会長】後藤委員,もしかしていなくなっちゃった。後藤さん,いらっしゃいませんね。なので,誰に向かってお話ししていたかよく分からなくなりましたけれども。
【下岡室長】言葉足らずで申し訳ありません。おっしゃるとおりでして,ですので,先ほどの東出先生の御議論とも関わることかと思いますけれども,まさにそういうことかと思います。永続的に政府出資でやっていくということではなくて,これはあくまでも,我が国はこういう投資が全然進んでいないので,最初の頭金ということでこういう仕組みができたわけですので,今後,同じ土俵でずっと永続的に戦っていくということではなくて,いずれ,これはきちんとエコシステムにしていかなきゃならないとかという,そういう視点で時間軸で見ていくと,先ほどの東出先生のお答えにもなるのかなと思いました。
【佐々木委員】よろしいですか。
【棚橋部会長】高橋委員が先ほどから手を挙げられているので,まず,高橋委員からでよろしいでしょうか。
【佐々木委員】はい。
【棚橋部会長】お願いいたします。
【高橋委員】ありがとうございます。恐縮です。同じく確認的な質問で,今,我々,ファンドと言っても3種類のファンドの話をしていると思います。そもそもの4大学の1,000億の1号ファンド,同じく2号ファンド,そして3つ目が,今回の4大学以外の新しい大学が可能になったファンドですね。質問は,上の2つ,4大学に対してのファンドの評価をするときに,メインの,いわゆるVCのパフォーマンスという以外に,そもそものこの1,000億の出資上,今までも話題に出ている大学を中心としたスタートアップのエコシステム形成という観点から,大学の本部側の,このファンドに関与したことに対するプラスの貢献みたいなところも,いわゆるKPIの一つに趣旨としては入っていたと理解しています。それがだんだん民間の割合を多くするだとか,4大学以外にも門戸を開くという形で,民間が手を出しにくいハイリスクでハンズオンなベンチャー支援というところから,少し民間のVCとの共通項が増えてきたと理解しているんですが,確認が,この4大学以外の新しいファンドに関しても,大学本体側へのプラスの貢献みたいなものも問うていくのか,それとも,そこら辺の枠はまた別建てなのかというところに関して,これ,なかなか難しいと思うんですけど,立てつけとしてはどうなっているかを確認させてください。
【下岡室長】お答え申し上げます。立てつけとしては,4大学,あくまで国費ですので,こうした検証の場といいますか,監視する場といいますか,置かれていますけれども,4大学以外の大学に関しては,これはもう私ども,要件を満たせば認可をするという関係でございますので,そこは大学の戦略としてやっていただくという立てつけでございます。
【高橋委員】要は,クリアに,お財布の元が違うからそこは問わないよという話なんですね。
【下岡室長】そうです。
【高橋委員】そうすると,そもそも大学本体側へのプラスの効果が非常に難しい評価だったんですけれども,そこはまず外れるというのが1個確認できてよかったと思います。こういう種類が増えてきたファンドに対して,オリジナルでもともとあった1号及び2号に関しては,バリエーションが増えても,そもそもの設計自体は変わらないので,そこに関しては大学本体への評価は,引き続き今後も項目としては出てくると。時代も変わってきているとは思うんですけれども,そこも確認的な質問ですが,変わりないということでよろしいでしょうか。先ほどの最首様でしたか,制度変更があったと思うので,そこら辺の御議論がもし過程であれば教えてください。
【下岡室長】確認なんですけれども,大学本体の評価とおっしゃっているのは……。
【高橋委員】このVC,4大学に限った話ですけれども,1,000億の中から出ている1号及び2号ファンドの効果に関して,部分的になんですけれども,VC側の評価とセットで,評価の際にはいつも大学の関与する担当理事が出ていらっしゃって,大学側に,このファンドをどう遇しているか,それをどう見ているかというところとセットで御説明がいつもありました。その趣旨というのは,そもそもこの1,000億というのが,民間では手を出しにくいハイリスクで超アーリーステージのハンズオンに行うお金だというのが,マクロの意味での立てつけなのでという前提がまずあって,なので,1号及び2号に関しては,大学本体へ,ファンドがあることによって何らかのプラスの効果がありますかということで,例えばアントレプレナー教育だとか地域に関する投資先とか,そういうものが実はあったと思います。
今回,4大学以外に門戸が開かれたということで,そのこと自体はいいと思うんですけれども,それによって,そもそもの1号及び2号は何か影響を受けて,評価指標等が部分的な解釈も含めて変わるのかとか,4大学以外に開いたことに伴って,全体の見直しについて,大学本体側への議論があったかというところを伺いたいです。なぜかというと,その質問の趣旨は,そもそもがかなり大学本体への評価は難しいなということと,時代が変わってくると,そこはあまり問わなくてもいいんじゃないかという議論が以前にはあったと理解しているので,そこを教えてくださいということです。
【最首専門官】最首です。そもそも4大学で,大学側のアントレプレナーシップ教育であるとか,そういった大学のインキュベーションの活動について部会でご審議いただいている理由は,1つには,先ほどから申し上げている政府出資金1,000億円とは別に,4大学には特別運営費交付金という形で,インキュベーションに使えるお金,200億円を別途まいているという点にあります。つまり、国からそういった自由に使えるお金を配付しているからには,ある程度大学側も,それに応じてどういった活動をしているのかというのをモニタリングして,国に報告する義務があるだろうということで,部会の中で審議いただいているということだと思っています。ですので,ほかの4大学に今回,告示改正によって道を開いたとしても,別途,特別運営費交付金のようなお金をまいているわけではないので,そこをモニタリングするのはちょっとやり過ぎというか,法人評価の枠組みの中で,どういった産学連携活動をしているのかという,その一環の中で評価していくことになるのかなと考えています。すみません,あんまり直接的なお答えになっていなかったでしょうか。
【高橋委員】いやいや,非常にクリアになりました。要は,やっぱり財源によって何を見るかという非常にクリアな整理ですね。理解いたしました。ありがとうございます。
【棚橋部会長】江戸川委員も手が挙がっていますが,先ほど佐々木委員が御発言を求められたという理解ですので,佐々木委員,お願いできますでしょうか。
【佐々木委員】今の高橋委員の質問ともかぶるところがあって,私,これ初めてで分からないところがいっぱいあるんですけど,そもそもの目標として,投資を呼び込むエコシステムみたいなものをつくるということで進んできたということであると,今回の法改正って極めて大きな進歩なんだろうなと思うんですけれども,一方で,リスクの高い研究に対する投資,事業化に対する投資というところは,これは法改正があったとしても残っているのか,そこも完全に民間も巻き込んでやっていくのか,どちらなんでしょうか。研究という立場に立ってみると,ここって結構大きな問題になろうかと思って,1つ質問させていただきます。
【棚橋部会長】ありがとうございます。私も,そこら辺は永遠の課題というか,とても重要な課題だと思いますが,事務局サイドとしてどのように考えているかを教えていただければと思います。
【下岡室長】お答えいたします。そこは恐らく,今後も残ることにはなると思います。当然,国費として政府出資金の出資によって,足の長いものですとかリスクの高いものに手当てできていた部分というのは,今回の新しく広げるところには入りづらいところかなとは思いますが,リスクの高いところに対してずっと国費からの出資金として出し続けるのか,それとも,そうではないほかの政策で,スタートアップの支援の様々な施策の中に組み込んでいくのかという,そういうことなのかなと思っています。
今日,スタートアップ施策の全体も本当はお話ししなければならなかったと,ちょっと反省をしているところですけれども,やはりディープテックなど,大学の研究シーズを基にした,特に足の長い分野の投資というのは,しっかりそういうところにもお金が回るようにというのは必要であり,ただ必ずしも国費から出資金としての支出という形だけではなく,様々な仕組みを含めてやっていく,継続的な課題だと思っております。
【棚橋部会長】ありがとうございます。
佐々木委員,いかがでしょうか。
【佐々木委員】そこは残すんだというようなことは分かったんですけれども,これはもう個人的な意見になりますけれども,やはり日本において,こういう本当に基礎的なところに対する,いわゆる投資と言ったらおかしいんですかね,予算のつき方が減っていく中で,こういうところである程度の予算を確保していかないと,事業にすぐつながっていくようなところはお金を集めやすいという仕組みができていくのはいいと思うんですけれども,こういうところについて明確な決まりというか,枠は取っておかれるといいのではないかなというのが個人的な考えとしてありましたので,意見として添えさせていただきます。
以上です。
【棚橋部会長】ありがとうございました。政策課題としてとても重要だと思っているので,きっと皆さん,いろいろ考えていただけると思います。
続きまして,江戸川さん,どうぞ。
【江戸川委員】多分時間が押していると思うのですが,コメントさせていただきたいなと思って,できるだけ簡潔に説明します。まず,今回のこの改正によって,4大学についても,2号ファンドまでは出資金財源でLP出資がされているので,官民イノベーションプログラム部会のレビューというか,モニタリングを受けることになるわけですけど,3号ファンド以降ですか,次のファンド以降は,もう出資金が財源として使われないファンドになってくるので,この官民イノベーションプログラムのモニタリングから外れていくという理解でいいのかというところが確認したかった点です。
それに関連してなんですけれども,大学側の立場で考えると,出資金を財源にしてベンチャーファンドを運営していることによって,仮にファンドのリターンが非常に良好だった場合でも,もうけが全部国庫納付されてしまうということで,大学側のインセンティブにつながってないという制度的な課題があったと思うんですけれども,やっぱり4大学ともにうまくいっているんだとすると,今後は国のお金に頼らないで,ちゃんと大学にリターンが来るような形でやりたいと考えるのは至極当然だと思っておりまして,そうすると,だんだんこの部会の位置づけというんですかね,こういう形でコミュニケーションを取る機会が今後薄れていくのかなと思っています。
資料下部のほうの立てつけで言うと,そもそも官民イノベーションプログラム部会が関わらないことになるわけですが,そうなると,大学サイドというのは,民間のベンチャーキャピタルがファンドレイジングするときに,ファンドにお金を出してもらえませんかという売り込みがあって,そこに乗っかるかどうかと考えるパターンか,その大学を中心とするスタートアップエコシステムを強化していくために,民間のベンチャーキャピタルを口説いて,LP出資するので一定割合,自分たちの大学発ベンチャーに投資してくださいと引き込んでいくか,どちらかのパターンになってくると思うんですけれども,いずれのパターンであっても,4大学と違って,ベンチャーファンド業界でのプロが大学にいない状態で,果たして適切にコントロールできるんだろうかというところはちょっと疑問としてあって,その上で,官民イノベーションプログラムのモニタリングのような,ある種,この領域を分かっている人が助言するような機会もないとすると,うまくいかないケースが出てくるリスクがあるんじゃないかとちょっと思っています。
今,両方併せて申し上げましたけれども,徐々に各大学に全て任せる体制になっていくことになるわけですが,それがちょっとまだ早いんじゃないかと思っているところもあって,その辺りの全体として,エコシステムが適切に形成されるように気をつけて見ていく必要はまだ残っているんじゃないかなと思いましたので,コメントさせていただきます。
【棚橋部会長】ありがとうございます。御意見の部分もあって,傾聴に値すべきだと思いますが,事務局側から何か簡潔にコメントがあればお願いします。
【下岡室長】分かりました。御意見承りましたが,1点だけ,3号ファンド云々というお話をいただきました。確かにこれ,そもそも3号ファンドと呼ぶのかどうかということもありますし,利益は国庫納付と決まっているわけでもなく国庫納付しないと決まっているわけでもなく,今,ファンドがクローズしていないので利益が確定していないので,私どもも誰も動けないという,そういう段階だというのが正確かなと思っております。その辺りは今後整理されていくところと思いましたので,新しい先生方もいますので,念のため,一言申し上げさせていただきました。
大学の体制整備というのは,こういう規制緩和をしたはしたで,それで全てオーケーということではないことは承知しております。恐らくいろんな施策をしっかり組み合わせて,総合的に見ていかなければならないのかなと思いますので,気をつけて見ていきたいと思います。
時間もあれですので,この程度にさせていただきます。
【棚橋部会長】時間の関係があるんですが,よろしければ,いろいろ御意見をいただいているところなので,橋本委員からも手が挙がっていますので,御意見を頂戴できればと思いますが,よろしいでしょうか。
【橋本委員】ありがとうございます。私,こういう会議,初めて参加させていただいて,多分今回のメンバーの中でも,いわゆるベンチャー企業にいる委員は私一人かなと思いまして,その観点からちょっとコメントさせていただきたいと思います。
まず,日本はVCの規模が非常に小さくて,なかなか大学の研究が成果として出てこない。そのために,こうした国からのお金をある意味で投入して,少しその呼び水にしようという,こういう政策が出てきたこと自体は非常にいいことで,今,御報告があったように,4つの大学を中心に大学発ベンチャーが出てきていると,そういう成果も出てきているんですが,今,実際にベンチャー企業で資金調達に四苦八苦している観点から見ますと,まず最初,スタートが4つの国立大学に限定されていたと。今,少し広がっていても,それが国立大学中心というお話で,たまたま私が今いる会社の場合は,私立の大学発のベンチャーなんですね。そうすると,大学の最初の支援体制とか,そういうことも国立大学に比べると全くレベルが違うんですね。そういうところで本当に,最初,知財のことも含めて,みんなで手探りしながら進めてきたところです。
さらに,もっとハンディがあるのは,再生医療という分野で,いわゆる創薬ベンチャーですよね。ですから,シーズが本当に製品になるまでの期間があまりに長いんですね。10年とか15年かかる。そういう長いところへ,普通の民間のVCはまず投資をしてくださらないんです。せいぜい5年,長くて七,八年と,そこでリターンが取れないところには無理ですというのが一般的なところです。ですから,逆にこういう足の長い技術に対する投資をする,そういう仕組みがやっぱり必要かなと思っていて,それこそまさに,国がある程度後押しをしながら進めていくようなものが必要かなと思っているんです。
今回,まだ私も十分知らないんですが,官民イノベーションで投資をされている対象の産業がどういう産業なのか,いろいろな産業があると思うんですが,すぐに製品化できる産業もあれば,こうした医薬品系の場合,非常に長いというところで,どちらかというと,私立発で医薬品系というワーストケースみたいなところ,だけど,こういうところの技術をどう社会実装していくかについても,今後,そういった観点での仕組みづくりも御検討いただければいいかなということで,今日は本当に最初の感想みたいな形で意見を述べさせていただきました。ありがとうございます。
【棚橋部会長】ありがとうございます。非常に貴重な御意見だと思いますので,恐らく委員の方が,これに触発されて,いろんな意見を言いたくていらっしゃる方が多いかもしれませんが,事務局,時間もあるので,一旦これでこの議論は終えたほうがよろしいですよね。
【下岡室長】そうですね。先生方の御都合もおありかと思いますので,では,そのようにお願いできればと思います。
【棚橋部会長】すいません。そういうことで,ハンドリングがうまくなくて申し訳ないですけれども,議事の3つ目に行きたいと思います。

(議事3 特定研究成果活用支援事業計画の変更認定について、文部科学省における認定の参考とするため、意見交換を実施した。)

4つ目の議事,最後ですけれども,議事4については,事務局から今後のスケジュールということですが,説明をお願いいたします。
【加藤課長補佐】ありがとうございます。それでは,最後に今後のスケジュールを説明させていただきます。資料7になるんですけれども,今後,2つ予定されてございます。
1つ目は,第35回の官民イノベーションプログラム部会になりまして,こちらは令和4年7月12日火曜日の午後2時から4時で予定をしております。同じくオンライン会議の開催で,先ほど下岡が申し上げましたように,KPIの進捗・達成状況等の確認を行います。
第36回官民イノベーションプログラム部会に関して,日時,場所は未定なんですけれども,こちらは,令和4年度は第3期国立大学法人中期目標・計画の最終年度評価が実施予定であるために,官民イノベーションプログラムに係る項目についても評価を行うため,年度末に開催予定となっております。
以上です。
【棚橋部会長】ありがとうございます。35回,次回,7月ですけれども,これは各大学とか,各大学ベンチャーキャピタルの方もZoom出席されるものでしたっけ。
【加藤課長補佐】おっしゃるとおりです。
【棚橋部会長】そうすると,4大学が代わる代わる説明をするということなので,結構タイトになるんですよね。
【加藤課長補佐】そうです。フォーマット等を工夫いたしまして,短時間で説明していただけるように工夫はしております。
【棚橋部会長】分かりました。では,適宜ということで,またよろしくお願いいたします。私から聞いてしまいましたけれども,何か御質問,御意見ありましたらよろしくお願いします。委員の方々,いかがでしょうか。よろしいでしょうかね。
それでは,質疑が終了いたしましたので,本日の議事は以上といたします。ちょっと時間をオーバーしてしまいまして誠に恐縮ですけれども,最後に事務局から連絡事項があればお願いいたします。
【下岡室長】下岡でございます。連絡事項ということでもございませんけれども,今日,御議論の中で,例えば国立大学が出資できる範囲を拡大したけれども,大学側の体制はどうなのかとか,あるいは,官民イノベーションプログラムでやってきているような,民間で資金が回りにくいような分野について今後どう考えるのかとか,そういう論点を議論するに当たっても,文科省,あるいは政府のスタートアップ施策の全体像ですとか,あるいは,もう少し産連関係の大学の体制整備についてどういう施策でやっているかというものを,本当はきちんとお示ししたほうがよかったかなと反省しておりまして,次回部会はあまり時間がないかもしれませんけれども,何か工夫して,そこも分かりやすいようにしたいと思います。そういうことを全て国費での出資ということではなくても,様々な施策を組み合わせてやりたいと私どもは思っています。現在,スタートアップ施策も政府全体として相当力を入れており,海外とのつなぎなども含めて力を入れてやっておりますので,そういう方向性が分かるものも少し補足したいと思っておりますので,その点だけ補足させていただきました。
以上でございます。
【棚橋部会長】そうですね。我が国の将来に係るとても大事なところだと思いますので,よろしくお願いいたします。
それでは,本日の会合は終了いたします。次回は,Zoomについてはうまくいくようによろしくお願いします。
【下岡室長】申し訳ございませんでした。
【棚橋部会長】 それでは,皆様,本日は御多忙のところ,どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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