別紙2 国立大学法人に特徴的な会計の取り扱いについて

 国立大学法人の会計の取り扱いは、基本的に独立行政法人と共通しております。以下、企業会計と比較して特徴的な会計の取り扱いについて説明します。
 なお、(注1)は国立大学法人に特有の会計処理であることを意味します。

運営費交付金

 国より運営費交付金を受領したときは、運営費交付金債務として負債計上し、行うべき業務を実施すると、その相当額を収益化の基準に従って収益化する仕組みとされており、国立大学法人においては、原則として期間進行基準によることとされている。その他、収益化の基準としては成果進行基準、費用進行基準がある(下表参照)。
 固定資産を取得する場合、研究機器等の償却資産の場合は資産見返勘定である資産見返運営費交付金に、美術品などの非償却資産の場合は資本剰余金に振り替える。
 減価償却処理を行う都度、資産見返運営費交付金から減価償却費と同額を取り崩しのうえ収益化することにより、損益を均衡させる仕組み。

運営費交付金債務の収益化の基準(独立行政法人と共通)

  • 期間進行基準
     時の経過に伴い業務が実施されたとみなして運営費交付金債務を収益化する基準
  • (注2)成果進行基準
     業務の実施に伴い運営費交付金債務を収益化する基準(例:プロジェクト研究)
  • 費用進行基準
     費用の発生額と同額の業務が実施されたとみなして運営費交付金債務を収益化する基準(例:退職給付)

 (注2)成果進行基準は平成19年度より業務達成基準に名称変更

授業料(注1)

 当該年度に係る授業料を学生より受領したときは、授業料債務として負債計上し、教育を実施し、または、固定資産を取得する都度、運営費交付金債務と同様の会計処理を行う仕組み。

施設費

 国より施設費を受領したときは、預り施設費として負債計上し、建物等の対象資産の取得時に、資本剰余金へ振り替える仕組み。
 当該資産が教育研究に用いられる場合、使用に伴う収益の獲得が予定されないため、「減価償却処理の特例」(下述)による会計処理を行う。

寄附金

 使途が特定された寄附金を寄附者から受領したときは、預り寄附金として負債計上し、使途に即して費用が発生する都度、その同額を収益化させることにより損益を均衡させる仕組み。
 固定資産を取得する場合、運営費交付金と同様の会計処理を行う。

減価償却処理の特例

 教育研究に用いるため、減価に対応すべき収益の獲得が予定されない償却資産として特定されたもの(例:講堂、研究棟及びそれらに付帯する構築物等)は、当該資産の現在価額を適正に表示するため減価償却処理を行うが、減価償却費について通常の損益処理ではなく、減価償却相当額を資本剰余金から損益外減価償却累計額として減額する方法により会計処理を行う。
 国立大学法人の損益計算書は、基本的に当該法人の運営状況を反映することを目的としているが、こうした資産における減価償却相当額は、各期間に対応すべき収益の獲得が予定されず、資産の取替え更新の財源は国が施設費として措置する仕組みされていることから、国立大学法人の運営責任の範囲外であると考え、減価償却相当額を実質的な資本の減少ととらえる考え方による。

退職給付引当金

 運営費交付金により、退職一時金の支払いに充てる財源措置がなされることが明らかであれば、引当金の計上は不要とする仕組み。国から国立大学法人へ承継された教職員についての退職給付引当金の計上は不要である。なお、この取り扱いにより退職給付引当金を計上しない場合、その額は、国立大学法人等業務実施コスト計算書における引当外退職給付増加見積額として表示する。

利益処分

 損益計算上の利益(剰余金)があれば、前年度からの欠損を補てんし、残額があれば原則、積立金として赤字の補てんにのみ使用可能となるが、文部科学大臣の承認を受ければ、中期計画に定める剰余金の使途の範囲内において、国立大学法人の裁量により、例えば教育研究の質の向上などに充てることが可能となる。

図書(注1)

 通常の償却資産については、独立行政法人同様、簿価50万円以上のものが資産計上の対象であるが、教育研究のために使用する図書は、金額の如何にかかわらず資産計上し、使用中は減価償却処理を行わず、除却時に全額を費用処理する取り扱い。

美術品・収蔵品

 美術品・収蔵品は、原則は取得価額により資産計上するが、不明なものは備忘価額(=1円)による。

セグメント区分(注1)

 附属病院を有する国立大学法人については附属病院を対象に、また、大学共同利用機関法人については大学共同利用機関を対象にセグメント情報の開示を義務付けている。

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