資料4 財務諸表の承認及び剰余金の繰越承認に係る事務局における確認について

1.事務局における確認の方針

 財務諸表は、国民その他の利害関係者の判断を誤らせることのないよう財政状態及び運営状況を適切に示す必要がある。文部科学大臣による財務諸表の承認及び剰余金の繰越承認にあたって、事務局においては、合規性の遵守と表示内容の適正性の観点から確認を行った。
 なお、財務諸表等の数値についても、必須記載事項の遺漏や書類相互間における係数の整合性等について確認を行った。

2.確認内容

 財務諸表の承認及び剰余金の繰越承認について、法令上の位置付けは異なるが、下記「合規性の遵守」及び「表現内容の適正性」について、確認すべき項目は基本的に重複していると考えられるため、下記リストにより一括して確認を行った。

(1)合規性の遵守

チェック項目 チェック結果
提出期限は遵守されたか。
  • 全ての大学共同利用機関法人(以下法人という)が6月末日までに財務諸表等を提出した。
必要な書類は全て提出されたか。  全ての法人が、以下の書類を提出した。
  1. 財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、利益の処分に関する書類、国立大学法人等業務実施コスト計算書、附属明細書)
  2. 決算報告書
  3. 事業報告書
  4. 会計監査人及び監事の監査証明
会計監査人及び監事の監査証明に、財務諸表の承認にあたり考慮すべき意見はないか。
  • 全ての法人における監査証明は、適正意見表示であり、財務諸表の承認にあたり考慮すべき特段の意見はなかった。

(2)表示内容の適正性

チェック項目 チェック結果
記載すべき項目について、明らかな遺漏はないか。
  • 財務諸表等の提出を受けた全ての書類について、表示科目、会計方針、注記等について、明らかな遺漏はないことを確認した。
計数は整合しているか。
  • 計数について、整合を確認した。
書類相互間における数値の整合は取れているか。
  • 主要表と附属明細書との相互間における整合など、書類相互間における数値の整合を確認した。
行うべき事業を行っているか。
  • 成果進行基準及び費用進行基準の適用事業について、「財務諸表等の補足資料」などにより行うべき事業を行っているか確認した。
運営費交付金に係る会計処理は適正か。
  1. 全ての法人における期間進行基準の適用事業について、運営費交付金債務全額が収益化されていることを確認した。
  2. 全ての法人における成果進行基準の適用事業について、行うべき事業を行っていない法人において、相当額が運営費交付金債務として残っており、かつ、その残余の運営費交付金債務全額が収益化されていることを確認した。
  3. 全ての法人における費用進行基準の適用事業のうち退職手当相当額について、費用の発生額と同額について運営費交付金債務が収益化され、その残額について運営費交付金債務として残っていることを確認した。
  4. 全ての法人における費用進行基準の適用事業のうち退職手当相当額を除く事業について、費用の発生額と同額について運営費交付金が収益化され、その残額について、運営費交付金債務として残っていることを確認した。その上で、今後使用不可能なものと、可能なものに区分けして整理した。
  5. 全ての法人における平成16年度運営費交付金債務残高について、適正な管理がなされ、事業未実施相当額を除き収益化されていないことを確認した。
剰余金の繰越承認を受けようとする額は適正か。
  • 当期総利益を計上し、「利益の処分に関する書類(案)」の提出を行っている大学について、損益計算書の当期総利益の範囲内であることを確認した。

3.確認結果及びコメント

(1)財務諸表の承認

 大学共同利用機関法人から提出された財務諸表等について確認したところ、国立大学法人会計基準に照らし、金額の重要性の認められる齟齬などはなく、文部科学大臣による財務諸表の承認にあたって、事務局として特段のコメントはない

(2)剰余金の繰越承認

 「利益の処分に関する書類(案)」における「国立大学法人法第35条において準用する独立行政法人通則法第44条3項における文部科学大臣による承認を受けようとする額」(以下「承認を受けようとする額」という。)について、損益計算書の当期総利益の範囲内であるか確認したところ、全ての法人において当該額の範囲内であり、文部科学大臣による剰余金の繰越承認にあたって、事務局として特段のコメントはない
 なお、当該相当額について、平成16事業年度においては、当期総利益を計上した全ての法人において、それと同額を承認を受けようとする額に計上したが、関係当局との協議の過程において、剰余金のうち法人の裁量により事業の用に供することが可能な額についてのみ剰余金の繰越承認を行うべきと意見があったため、対象範囲を限定した。
 平成17事業年度については、現時点において、平成16事業年度と同様の枠組みにより剰余金の繰越承認を行う見込みである。
 したがって、各法人からの承認申請額の範囲内で、関係当局と折衝後の額について剰余金の繰越承認を行う見込みである。

【参照条文】

独立行政法人通則法(平成11年7月16日法律第103号)(抄)

財務諸表
  • 第38条 国立大学法人等は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他主務省令で定める書類及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後3月以内に文部科学大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
    • 2 (略)
    • 3 文部科学大臣は、第1項の規定により財務諸表を承認しようとするときは、あらかじめ、国立大学法人評価委員会の意見を聴かなければならない。
    • 4 (略)
利益及び損失の処理
  • 第44条 国立大学法人等は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。ただし、第3項の規定により同項の使途に充てる場合は、この限りでない。
    • 2 (略)
    • 3 国立大学法人等は、第1項に規定する残余があるときは、文部科学大臣の承認を受けて、その残余の額の全部又は一部を第30条第1項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの。以下単に「中期計画」という。)の同条第2項第6号の剰余金の使途に充てることができる。
    • 4 文部科学大臣は、前項の規定による承認をしようとするときは、あらかじめ、国立大学法人評価委員会の意見を聴かなければならない。
    • 5 (略)

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