資料1 平成16事業年度における財務諸表の承認及び剰余金の繰越承認について(報告)

1.国立大学法人評価委員会大学共同利用機関法人分科会業務及び財務等審議専門部会における意見の聴取

 平成16事業年度財務諸表について、平成17年8月4日開催の本専門部会(第5回)にお諮りしたところ、文部科学大臣による財務諸表の承認及び剰余金の全額について「経営努力認定」を行うにあたって、特段の意見はなかった。
 なお、同日開催の国立大学法人分科会業務及び財務等審議専門部会において、

  1. 財務諸表の作成にあたり、国立大学法人会計基準について、国立大学法人職員担当者の理解を深めるなど、より一層適正な会計処理に努めること
  2. 剰余金など財務諸表の内容について、国民その他の利害関係者に対し説明責任を果たすこと
  3. 剰余金が目的積立金となった後、当該目的積立金をもって事業を行う場合には、資金繰りに十分留意すること

 などの留意事項をいただいた

2.文部科学大臣による財務諸表の承認及び「経営努力認定」

 平成16事業年度財務諸表について、本専門部会より特段の意見はないとのことであり、財政当局との協議事項ではないため、特段の修正等なく平成17年8月29日に大臣承認を行った。
 「経営努力認定」は、本専門部会より特段の意見はないとのことであったが、財政当局との協議事項とされているため、協議を行ったところ、目的積立金とすべき額について、剰余金のうち法人の裁量により事業の用に供することが可能な額(以下「事業実施可能額」という。)についてのみ翌事業年度への繰越に係る文部科学大臣による承認を行うべきであるとの意見を受けた。
 各法人における事業実施可能額を算定するにあたり、各法人における管理可能性を担保しつつ、極力、既成資料の活用に留意し検討した。その結果、決算報告書を基礎に、未払金、未収金等の一定の補正を行った後の「現金」に着目し、平成16事業年度における支出予算上の「現金」の残余のうち、退職給付や寄附金等に使途が特定されている額を控除して事業実施可能額を算定し、関係当局及び各法人の了解を得て額の修正を行ったうえ、平成17年12月20日に大臣承認を行った。
 事業実施可能額の構成要因は、主に事業を翌事業年度以降に繰り越した額である。一方で、繰越承認の対象外とした剰余金の構成要因は、官庁会計から企業会計へ会計ルールが変更になったことにより生じたものなど「現金」の裏付けのないものである。

3.留意事項への対応等

 本専門部会からいただいた留意事項を受け、国立大学法人会計基準に関する研修会の開催や各法人における職員研修等への講師の派遣を行った。また、各法人による財務諸表のホームページへの掲載などに加え、文部科学省においても、国立大学法人財務諸表のマスコミへの公表やホームページへの掲載などを行った。さらに、会計処理や定義の明確化などの観点から、国立大学法人会計基準に関する実務指針の改訂を行った。
 なお、「経営努力認定」は法律上の用語ではないため、以後「剰余金の繰越承認」に呼称変更することとする。

【参照条文】

独立行政法人通則法(平成11年7月16日法律第103号)(抄)

(財務諸表)
  • 第38条 国立大学法人等は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他文部科学省令で定める書類及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後3月以内に文部科学大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
    • 2 (略)
    • 3 文部科学大臣は、第1項の規定により財務諸表を承認しようとするときは、あらかじめ、国立大学法人評価委員会の意見を聴かなければならない。
    • 4 (略)
(利益及び損失の処理)
  • 第44条 国立大学法人等は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。ただし、第3項の規定により同項の使途に充てる場合は、この限りでない。
    • 2 (略)
    • 3 国立大学法人等は、第1項に規定する残余があるときは、文部科学大臣の承認を受けて、その残余の額の全部又は一部を国立大学法人法第31条第1項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの。以下単に「中期計画」という。)の同条第2項第6号の剰余金の使途に充てることができる。
    • 4 文部科学大臣は、前項の規定による承認をしようとするときは、あらかじめ、国立大学法人評価委員会の意見を聴かなければならない。
    • 5 (略)

参考 剰余金の繰越承認額(各法人別一覧)

(単位:円)
  法人名 当期総利益(a) 剰余金の繰越承認額(b) 差額(c=a-b)
1 人間文化研究機構 52,940,712 22,460,578 30,480,134
2 自然科学研究機構 47,452,962 47,452,962 0
3 高エネルギー加速器研究機構 15,186,408 0 15,186,408
4 情報・システム研究機構 56,087,491 0 56,087,491
4法人合計 171,667,573 69,913,540 101,754,033

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