資料2‐2 大学共同利用機関法人の財務分析結果の年度評価への活用(例)

1.財務分析結果と年度評価

 財務諸表等における財務データは、大学共同利用機関法人の財政状態や運営状況を財務会計面から反映したものであり、財務分析を行ってもそれが直ちに評価としての意義を有するものではない。したがって、財務分析結果についても、基本的に年度評価の際の参考資料に止まるものと考えられる。
 年度計画の中には、「3.財務内容の改善」など客体が財務内容であるものもあるが、「1.教育研究等の質の向上」などのその他の大部分の計画については、財政状態等に時の経過と共に徐々に反映されてくるものと考えられる。

2.財務分析結果の年度評価への活用(例)

 財務指標の設定に当って、私立学校においては分母を帰属収益(収入)とする場合が多いが、これは、私立学校が学生納付金収入等による独立採算により運営を行うことを基礎としていることによると考えられる。大学共同利用機関法人は、国による財源措置を基礎として運営を行うため、分母を業務費等とする。
 以下、「年度計画」の主要項目に関連する財務指標を例示している。なお、例示した財務指標の選定に当っては大学共同利用機関法人の裁量性に着目している。

年度計画

  1. 教育研究等の質の向上(抄)
    • 教育研究の実施全般
      • 教育研究費比率:(教育研究費/業務費)×100パーセント
      • 研究費比率:(研究費/業務費)×100パーセント
      • 共同利用経費比率:(共同利用経費/業務費)×100パーセント
      • 教員当り研究経費:研究経費/教員数
      • 教員当り教育研究支援経費:教育研究支援経費/教員数
      • 教員当り付加価値増加率:((当年度教員当り付加価値-前年度教員当り付加価値)/前年度教員当り付加価値)×100パーセント、付加価値=(経常収益-外部購入費用)≒(人件費+賃借料+租税公課+支払特許料+減価償却費+経常利益)
      • 修繕費比率:(修繕費/有形固定資産)×100パーセント
  2. 業務運営の改善
    1. 運営体制の改善
      役員人件費比率:(役員人件費/業務費)×100パーセント
    2. 教育研究組織の見直し
    3. 教職員の人事の適正
      • 教員人件費比率:(教員人件費/業務費)×100パーセント
      • 職員人件費比率:(職員人件費/業務費)×100パーセント
    4. 事務等の効率化・合理化
      • 業務費対一般管理費比率:(一般管理費/業務費)×100パーセント
      • 一般管理費伸び率:(当年度一般管理費-前年度一般管理費)/当年度一般管理費×100パーセント
      • 業務費対委託費比率:(委託費/業務費)×100パーセント
  3. 財務内容の改善
    1. 外部資金その他の自己収入の増加
      • 自己収入経常収益比率:(自己収入/経常収入)×100パーセント
      • 自己収入伸び率:(当年度自己収入-前年度自己収入)/前年度自己収入)×100パーセント
      • 外部資金伸び率:(当年度外部資金-前年度外部資金)/当年度外部資金×100パーセント、外部資金=受託研究等収益+受託事業等収益+寄附金収益
    2. 経費の抑制
      • 業務費対一般管理費比率:(一般管理費/業務費)×100パーセント
      • 業務費対人件費比率:(人件費/業務費)×100パーセント
      • 業務費対財務費用比率:(財務費用/業務費)×100パーセント
    3. 資産の運用管理の改善
      • 減価償却比率:(減価償却費/業務費)×100パーセント
      • たな卸資産比率:(たな卸資産/資産)×100パーセント
      • 負債比率:(総負債/自己資本)×100パーセント
  4. 自己点検評価目標の達成
  5. 情報公開目標の達成
  6. その他目標の達成

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