大学共同利用機関法人分科会 業務及び財務等審議専門部会(第12回) 議事録

1.日時

平成20年2月29日(金曜日) 10時30分~12時

2.場所

文部科学省6階3会議室

3.議題

  1. 部会長選任及び部会長代理指名
  2. 国立大学法人評価委員会大学共同利用機関法人分科会業務及び財務等審議専門部会の会議の公開に関する規則の改正について
  3. 大学共同利用機関法人の中期計画の変更の認可について
  4. 平成20事業年度における長期借入金償還計画の認可について
  5. 大学共同利用機関法人の役員報酬規程の改正について
  6. その他

4.議事録

【事務局】
 それでは、国立大学法人評価委員会大学共同利用機関法人分科会業務及び財務等審議専門部会、第12回の会議を開催させていただきます。
 本日は、皆様、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。本日の専門部会でございますが、今期に入って第1回の会議でございます。後ほど部会長をお決めいただきますけれども、それまでの間、便宜的に事務局のほうで進行をさせていただきたいと思います。
 まず第1回でございますので、委員の紹介をさせていただきたいと思います。お手元の資料の中に資料1というものがございまして、そちらに名簿が入ってございます。名簿の順にお名前のみ紹介させていただきたいと思います。
 まず、草間委員でございます。

【草間委員】
 草間です。よろしくお願いいたします。

【事務局】
 岡本委員でございます。

【岡本委員】
 岡本でございます。よろしくお願いします。

【事務局】
 佐野委員でございます。

【佐野委員】
 佐野でございます。よろしくお願いします。

【事務局】
 なお、本日、和田委員は、ご欠席ということでございます。
 続きまして、今の資料も含めまして、資料の確認をさせていただきたいと思います。
 お手元の資料、議事次第の裏に資料一覧がございますけれども、資料1が今の名簿でございます。
 資料2が、「国立大学法人評価委員会の構成について」というタイトルが入っている2枚ものの資料でございます。
 資料3は、本部会の会議の公開に関する規則という資料でございます。
 資料4‐1が、国立大学法人等の平成18事業年度財務諸表の概要について、後ほどご説明させていただく資料でございます。
 それから4‐2が報告案件でございますが、平成18年度決算における剰余金の繰越承認についてというものでございます。
 資料5が、大学共同利用機関法人の中期計画変更案についてという1枚もの。
 資料6が、平成20事業年度における長期借入金償還計画の認可についての案。これも1枚でございます。
 資料7が、大学共同利用機関法人の役員報酬規程の改正についてという2枚ものの資料でございます。
 それから最後に、参考資料といたしまして、平成20年度の研究振興局学術研究関係予算のポイントがございます。
 また、そのほか机上資料といたしまして、中期目標・中期計画一覧表というクリップでとめたもの。それから、重要な財産を譲渡する計画の説明資料、これもクリップでとめたものでございます。
 それから、平成20事業年度の長期借入金償還計画の認可申請についてというものと、大学共同利用機関法人の役員報酬規程について、それと、紙ファイルで国立大学法人法資料集がございます。その下に、見にくいんですけれども、会計基準注解報告書の改訂の概要についてというものがございます。また説明の際に、適宜使わせていただきますので、資料に欠落がありましたら、その都度お申し付けいただきたいと思います。
 続きまして、簡単にこの専門部会の位置づけ等についてご説明をさせていただきたいと思います。資料2をご覧いただきたいと思います。
 本専門部会でございますが、国立大学法人評価委員会のうちの大学共同利用機関法人分科会の下に設置されている業務及び財務等審議専門部会ということでございまして、大学共同利用機関法人に関しましての業務・財務等のうち、年度途中の不特定の時期に審議する必要が生じる可能性がある事項など、国立大学法人評価委員会が別に定める事項について審議するという部会でございます。
 なお、部会の議決をもって国立大学法人評価委員会の議決とするということで、専門部会に付託されている事項については、ここでお決めいただいたことがすなわち委員会としての決定ということになってございます。
 具体的な事項でございますが、おめくりいただきまして3ページのところに、大学共同利用機関法人分科会が処理することとされている事項の部会への付託について書いてございます。ここに挙げておりますからが専門部会に付託されている案件ということでございます。
 本日は、そのうち中期計画の変更についての意見、でございますが、そのうちの、例えば重要財産の譲渡等ございましたり、長期借入金の償還計画、あるいはの役員報酬規程等についてご審議をいただきたいと思います。
 なお、4ページのほうに、参考といたしまして、評価委員会の所掌事務全体でどこの議決をもって議決とするかということを表にしたものがありますが、かなり多くの部分が部会におりているところでございます。
 続きまして、議事に入らせていただきたいと思います。
 まず、本日、先ほど申し上げましたが、第1回ということで、部会長の選任を行っていただく必要がございます。部会長につきましては、恐縮でございますが、事務局から評価委員会の正委員でおられます草間先生にお願いをしたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。
 それでは、草間先生、よろしくお願いいたします。

【草間部会長】
 それでは、部会長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【事務局】
 今後ともよろしくお願いいたします。

【草間部会長】
 それでは、初めに、今、部会長を指名していただきましたので、部会長代理は部会長が指名させていただくことになっておりまして、前期も、今日ご欠席なんですけれども、和田義博委員にお務めいただきましたので、もしご異存がなかったら、部会長代理を和田先生にお願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、そういうことでよろしくお願いいたします。
 それでは、まず本部会の会議の公開に関する規則の改正につきましてご議論いただきたいと思いますので、まず事務局のほうからご説明いただけますでしょうか。よろしくお願いします。

【事務局】
 お手元に資料3をご用意いただきたいと思います。
 本専門部会につきましては、原則公開ということになっておりまして、会議の公開に関する規則というものが定められておりますが、本日、その改定をご提案させていただきたいと思います。
 具体的には、2枚目にありますけれども、(参考)とありまして、新旧対照表をつけてございます。上が改正案、下が現行でございますが、この現行第2条のところをご覧いただきたいと思いますが、会議の傍聴につきまして、従来、「部会の会議を傍聴しようとする者は、あらかじめ、文部科学省研究振興局学術機関課の登録を受けなければならない」とされており、その後に、「部会の会議を傍聴することができる者は、当分の間、次に掲げるものとし、その人数は、原則として当該各号に掲げる人数とする」という但し書きがございました。具体的には、いわゆるマスコミ関係者の方のみで、1社につき1名ということにさせていただいておりましたが、より会議の公開性、透明性を高める観点から、この但し書きの部分を削除いたしまして、マスコミの方以外の方にも傍聴をいただけるようにしたいというご提案でございます。
 なお、分科会の公開規則については、既にこの改定がされておりまして、どなたでも傍聴できるということになっておりますし、総会についても同様でございます。

【草間部会長】
 ただいまご説明がありましたけれども、特段にもしご意見がなかったら公開にさせていただくということで、よろしいでしょうか。
 それでは、これからの会議は公開にさせていただきます。
 傍聴の方はおられるのでしょうか。

【事務局】
 います。

【草間部会長】
 入っていただくようお願いします。
 それでは、続きまして、国立大学法人等の平成18事業年度財務諸表の概要につきまして、事務局のほうからご説明をお願いいたします。

【事務局】
 それでは、説明させていただきます。
 資料は、資料4‐1、4‐2及び机上資料の『「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」報告書の改訂の概要について』という3つを使いましてご説明させていただきます。
 前期も務められている先生におきましては、おさらいみたいな形になるんですけれども、第1回でございますので、会計基準そのものの特徴なども含めまして、全部ご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料4‐1をご覧いただきたいと思います。
 国立大学法人等の財務諸表でございますが、大学共同利用機関法人に関しましては、国民その他の利害関係者に対しまして、財政状況や運営状況に関する説明責任を果たし、自己の状況を客観的に把握するという観点から、財務諸表、貸借対照表、損益計算書等の作成、公表が義務づけられており、その根拠は、国立大学法人法第35条で準用されております独立行政法人通則法の第38条に基づいております。
 大学共同利用機関法人におきましては、財務諸表を文部科学大臣に提出することになっておりまして、その提出された財務諸表につきましては、先ほどの資料2のほうでも説明がございましたが、国立大学法人評価委員会の意見をこの部会に置きかえて聞いていただくことになっております。今回の平成18事業年度の財務諸表につきましては、平成19年8月に持ち回りによる本部会におきまして意見を伺った上で平成19年9月11日付で承認を行っているという状況でございます。
 次に、2.でございますが、会計基準の特徴でございます。
 大学共同利用機関法人の財務諸表につきましては、国立大学法人会計基準、同会計基準注解及び実務指針に従いまして作成することとされております。
 会計基準につきましては、企業会計原則を基礎といたしますが、国立大学法人、大学共同利用機関法人の特性に配慮し、必要な修正が行われておりまして、ベースとなる基本的な扱いは、独立行政法人会計基準とほぼ共通しているものでございます。
 その特徴といたしましては、国立大学法人等業務実施コスト計算書というものがございまして、これは業務の運営に関し、国民の皆様の実質的な負担となるコストを表示するというもので、それらを加えるという一方で、国民の皆様の直接の負担とならない、例えば学生納付金(授業料)等の自己収入については除くというような形で、実際に税負担がどの程度行われているかということをクリアにする国の通常の企業会計原則にはないものにつきまして、独立行政法人と同様に作成しているということでございます。
 なお、損益計算書におきましては、業務費を教育・研究・診療という目的別に区分しておりまして、使途別はその内訳として記載、計上しているということでございます。
 さらに、企業会計、官庁会計、独立行政法人会計との違いにつきまして、別紙1、別紙2を使いましてご説明させていただきたいと思います。5ページをお開きいただきますと、別紙1で、「各種会計の特徴について」というものがございまして、国立大学法人会計は一番下にございます。基本的には独立行政法人会計と同様でございますが、その対象欄にありますとおり、独立行政法人という特性に加えまして、さらに大学で行う等の業務が教育・研究等であるという特性も踏まえて行っている会計でございます。
 主目的等におきましては、表現ぶりが若干違いますけれども、基本的にはすべての会計におきまして、すべて自分たちで内容を明らかにすることと、対外的な説明責任を果たすということでございます。
 法人化によりましてこの会計処理をするようになりましたけれども、大きな違いがその会計のところの記帳形式にございまして、官庁会計は単式簿記で行っておりましたけれども、法人会計におきましては複式簿記を取り入れているということと、認識基準におきましても、官庁会計では現金主義ですので、現金の授受をベースとして支出を管理しておりますが、国立大学法人会計におきましては発生主義、いわゆる企業会計原則と同様に発生主義を取り入れているところに違いがございます。
 次に、裏面の6ページをご覧いただきますと、決算書類の各会計における比較でございますが、独立行政法人会計と基本的に同様でございますけれども、一番下のポツ、附属明細表の独立行政法人における各附属明細書以下につきましては、例えば受託研究の明細等におきましては、国立大学法人の特徴的なものとして、固有に指定しているというものでございます。
 さらに、検査・監査・監察のセクションにつきましても、官庁会計よりもより広く、例えば監事でありますとか、会計監査人の監査が必要になっているという状況でございます。
 続きまして、別紙2、7ページでございます。先ほど来申し上げておりますとおり、独立行政法人と基本的には共通でございますけれども、企業会計と比較しまして特徴的な会計について若干ご説明させていただきます。
 まず、大学共同利用機関法人のベースとなる運営費でございますが、税金としての運営費交付金を交付してございます。この処理につきまして、運営費交付金を国より受領した際には、運営費交付金債務ということで負債計上しまして、行うべき業務を実施すると、その相当額を収益化基準に従って収益化するという仕組みをとっております。普通の企業でございますと、収入が入れば収益という認識をするんですけれども、一度負債で計上した上で、業務の実施に応じて収益を図りつつ支出していくという処理をしているということでございます。
 また、交付金の収益化の原則につきましては、期間進行基準を取り入れております。なお、別途、成果進行基準、費用進行基準がございます。四角囲みの中に基準の解説がございますが、期間進行基準につきましては、時の経過に伴いまして業務が遂行されるもの。成果進行基準は、わかりやすく申し上げますと、研究プロジェクトなどによるもので、その成果に応じた進行を基準とする。費用進行基準は、その費用が発生した場合にそこで収益化をし、費用として出すという進行基準でございます。
 なお、運営費交付金の欄の中段以降につきましては、減価償却の特別な処理につきまして説明しておりまして、運営費交付金で固定資産を取得する場合には、償却資産の場合は資産見返勘定である資産見返運営費交付金という勘定科目に負債から振り替えまして、被償却資産の場合には、資本剰余金というところに振り替えるという処理をしております。
 それをベースといたしまして、その次の行でございますが、実際に償却資産の減価償却を行う場合には、その資産見返運営費交付金というところから減価償却費と同額の取り崩しを行って収益化するということによりまして、通常、減価償却部分は費用として計上して国立大学法人の運営費交付金によって償却資産を買った場合、減価償却の処理はするんですけれども、それと見合う収益の金額を計上し、収支を均衡させるという形をとっております。
 次に、授業料でございます。これは授業料は独立行政法人にはない収入でございますので、※印、国立大学法人会計特有の会計処理ということにしております。
 学生より授業料を受領しますと、交付金と同じように授業料債務ということで負債の計上をいたしまして、固定資産等の取得に関しましては、運営費交付金債務と同様の会計処理を行っています。
 その下、施設費補助金につきましては、これも負債でございますが、預り施設費として負債計上いたしまして、建物等の対象資産の取得時に資本剰余金へ振り替えるという仕組みをとっています。
 減価償却のことにつきましては、また後ほどご説明いたします。
 その下、寄附金につきましても、同様に預かり寄附金として負債計上いたしまして、費用が発生する都度、その額を収益化して損益を均衡させる仕組みでございます。
 固定資産の取得に関しましての処理は交付金と同様でございます。
 先ほど申しました施設費に関しましては、減価償却の特例がございまして、減価に対応すべき収益の獲得が予定されていない償却資産としての教育・研究に用いる償却資産として特定されたものにつきましては、当該資産の現在価格を適正に表示するため減価償却処理を行うのでございますけれども、その減価償却費については通常の損益処理、損益計算書上の損益処理を行うことをせずに、減価償却相当額を貸借対照表の資本剰余金のところから損益外減価償却累計額という形で直接減額するという方法をとって会計処理を行っておりまして、損益計算書に影響させない減価償却の仕方をしております。
 こうして資産における減価償却の相当額につきましては、各期間に対応すべき収益の獲得が予定されておりませんで、資産の取替え更新の財源は国が施設費として措置するということが前提とされていることから、国立大学法人の運営責任の範囲外であるという考え方の整理のもとに、減価償却相当額を実質的な資本の減少という形でとらえる考え方によるものでございます。
 次に、退職給付引当金でございますが、国から承継された教職員、法人化の際に国から承継された教職員につきましては、退職給付引当金の計上が不要となっております。この取り扱いにより、退職給付引当金を計上しない場合には、その額を国立大学法人等業務実施コスト計算書における引当外退職給付増加見積額として表示する。これは税金としては必要となるということで、国民のコスト等の負担が生じるという観点から、このような処理をするということでございます。
 利益処分、これは後ほどまた実質の金額についてご説明しますけれども、損益計算書上の利益がありますと、前年度からの欠損をそれで補填しまして、なおかつ残額がある場合には、原則積立金として赤字の補填にのみ使用可能でございますが、大臣の承認を受けることによりまして、中期計画の剰余金の使途の範囲内におきまして、法人の裁量で教育・研究の質の向上などに充てることが可能となるという仕組みでございます。
 図書の処理におきましては、これも国立大学法人、大学共同利用機関法人特有の処理でございますが、通常の償却資産につきましては、独法と同様に簿価50万円以上のものを資産計上しておりますが、教育・研究のために使用する図書につきましては、金額のいかんにかかわらず資産に計上し、使用中は減価償却処理を行わず、除却の際に減額を費用処理するという取り扱いをしております。これは教育研究を行っている大学共同利用機関における図書の重要性にかんがみまして、このような処理を行うものでございます。
 美術品・収蔵品につきましては、原則は取得原価により資産計上しますけれども、不明なものにつきましては備忘価額によるものでございます。
 セグメント区分につきましては、指定されているものとしましては、国立大学法人におきましては附属病院、大学共同利用機関法人におきましては大学共同利用機関ごとにセグメントを開示するという義務づけが行われているところでございます。
 それでは、1ページに戻りまして、財務諸表につきまして簡単にご説明をさせていただきますが、まず、貸借対照表でございます。なお、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の全体の状況につきましては、貸借対照表等9ページ以降に数字が羅列してございます。
 資産の総額は、4法人合計で130億円増の4,420億円という状況でございます。
 主な増減内訳は、そこにございますとおり、建設仮勘定等の影響でございます。
 負債の部分につきましては、負債の総額が58億円増の2,018億円でございまして、主な増加要因は、先ほどの建設仮勘定等、減少の要因としましては、資産見返物品受贈額等の減価償却の進展などがございます。
 資本の部につきましては、総額72億円増の2,401億円でございまして、主な増加要因は、資本剰余金が建物完成により61億円増額したこと等によるものでございます。
 2ページの(2)損益計算書でございます。
 経常費用の総額は、35億円減の1,013億円でございます。
 主な増加要因は、財務費用の増、教職員人件費の増等でございます。
 減少要因は、一般管理費の減、研究経費、設備の耐用年数の満了によります減価償却の減少などでございます。
 経常収益の総額が、29億円減の1,024億円でございます。
 増加要因は、受託事業等収益の増加、施設費収益の増加等によるもの。
 減少要因は、運営費交付金収益が資産取得に伴いまして資産見返勘定に振替えた相当額が増加したことなどでございます。
 臨時損益、当期総利益につきましては、臨時損失は、固定資産除却損減などによりまして、2億円減の3億円等がございます。
 当期総利益は、6億円増の約10億円という状況でございます。
 その他の主要事項、キャッシュ・フロー計算書につきましては、業務活動に関するキャッシュ・フローにつきましては、超過額28億円増の229億円の収入超過。投資活動によるキャッシュ・フローは、超過額356億円減の187億円の支出超過等の状況でございます。
 国立大学法人等業務実施コスト計算書でございますが、損益計算書上の費用は、一般管理費の減、控除する自己収入等の増によりまして、業務費用合計で39億円減の933億円という状況でございます。
 損益外減価償却相当額につきましては、14億円減の84億円という状況でございます。
 損益外減損損失相当額、減損損失につきましては、この平成18事業年度から適用されたものでございますが、研究施設等の使用をしないという決定を行ったことなどによります帳簿価額の減少に伴うもので、33億円でございます。これはかなり大きい金額でございますが、内訳を申しますと、高エネルギー加速器研究機構におけます12GeVの陽子加速器をシャットダウンしたということによります。これが約30億円の減少。宿泊施設等の使用を中止したものが2法人ございまして、これによります影響が約2億3,000万円。その他、国立大学法人等でも大部分が行われておりますが、電話加入権の市場価格の下落がございまして、これによる影響が約2,700万円ございまして、トータルで33億円という現状になってございます。
 機会費用につきましては、政府出資された土地・建物等の相当額に対する政府の金利負担相当額等でございまして、金利の下落によりまして3億円減の49億円というような状況でございます。
 4ページをご覧いただきたいのですが、国立大学法人等における当期総利益と目的積立金という項目でございますが、大学共同利用機関法人におきましては、計画どおりに業務を行いますと損益が均衡するという仕組みをとっておりますけれども、業務を効果的・効率的に運営し、自己収入の増、費用の節減によりまして、当期総利益が生じた場合には、中期計画に記載された剰余金の使途に充てることを可能とするということで、各法人に業務運営のインセンティブを付与する仕組みとなっております。
 具体的には、当期総利益のうち、事業実施可能額を算定いたしまして、財務大臣の協議を経た上で文部科学大臣による承認を行うという仕掛けでございます。
 その認められました目的積立金におきましては、以降の教育研究の質の向上や施設整備の充実に法人の裁量で充当していくということでございまして、各法人におきましては、これに充てるため不断の努力を行っているという状況でございます。
 それを踏まえまして、資料4‐2でございますが、平成18年度決算における剰余金の繰越承認につきましてのご報告でございます。
 1.でございますけれども、まず国立大学法人分科会の第2期の本専門部会が平成19年8月、同様に大学共同利用機関法人分科会の財務等専門部会も19年8月に審議が行われておりまして、先ほど申し上げました国立大学法人法の35条において準用する独法通則法の第44条第3項に基づく大臣承認について、17年以前と同様に剰余金の現金の裏付けがあり事業の用に供することが可能な額について、大臣による繰越承認を行って差し支えない旨の意見をいただいております。
 それを踏まえまして、関係当局と折衝し、17年度以前と同様の仕組みで剰余金の繰越承認を19年12月28日付で行い、各国立大学法人、大学共同利用機関法人に通知したという状況でございます。
 事業実施可能額につきましては、ここで示します、がございますが、大学共同利用機関法人の場合には、主にということでございます。
 3.でございまして、各法人の剰余金の繰越承認の額でございますが、国立大学法人を含めました剰余金総額は、773億2,800万円でございまして、うち大学共同利用機関法人4法人につきましては、10億8,600万円という状況でございます。
 そのうち大学共同利用機関法人につきましては、8億2,500万円について剰余金の繰越承認を行ったという状況でございます。
 大臣承認の対象外である決算剰余金につきましては、中期目標期間終了時において国庫納付の対象外とする見込みでございまして、これは減価償却等の状況に応じまして、現金の裏付けのない利益が生じたり、実際の現金等の授受がないにもかかわらず欠損が生じたりしますので、そのときの財源に充てるため、国庫納付の対象外とするということでございます。
 資料4‐2につきましては以上でございます。
 お手元の机上資料に、会計基準及び会計基準注解報告書の改訂の概要というものがございます。簡単にご説明しますけれども、会社法等の改正がございまして、これらを受けて、独立行政法人の会計基準の改訂がまず検討されまして、それを踏まえまして、国立大学法人の会計基準も改訂しているという流れでございます。
 国立大学法人会計基準につきましては、19年12月12日付で改訂いたしておりまして、20年1月21日付で告示をしているところでございます。
 これを踏まえました実務指針の改訂につきましては、日本公認会計士協会と協議を行いまして、改訂を行い、昨日、2月28日に各法人に通知をしたところでございます。
 今般の改訂につきましては、会社法の施行、企業会計基準の変更によるもの、実務上の観点から変更するもの、情報公開の一層の充実を図る観点から改訂するもの、独立行政法人会計基準の変更に伴うもの等によりますもので、基本的には技術的な改訂が中心という状況でございます。
 国立大学法人等に全体で影響のあるものの改訂は2つございまして、まず賞与引当金の関係がございます。賞与引当金の関係につきましては、1枚おめくりいただいた2ページの一番上のところにございますけれども、賞与引当金につきましては、従前より運営費交付金より財源措置がなされることが明らかな場合には引当計上しないということとされておりましたが、実は、退職給付引当金につきましては明示するところが業務コスト計算書等でございまして、賞与につきましても同様の考え方をとるべきではないかということから、当該引当金不計上相当額につきまして、19事業年度財務会計、今度出てきます決算から、貸借対照表に注記するとともに、業務実施コスト計算書におきましても増減を表示するという、いわゆる退職手当と同じような処理を賞与についても行うということに改訂がなされています。
 次に、2ページの3.セグメントにかかる情報開示のところでございますが、先ほど申しましたとおり、国立大学法人、大学共同利用機関法人は、附属病院及び大学共同利用機関のセグメントを開示することが義務づけられております。ただ、先般の独立行政法人の整理合理化計画におきまして徹底した情報開示を行うということが示されまして、独立行政法人会計基準が改訂されております。これらの状況を踏まえまして、国立大学法人会計基準におきましても同様に開示情報項目の追加、方針等の記載の修正を行ったところでございます。
 今般の改訂を受けまして、各国立大学法人、大学共同利用機関法人におきまして適当と考える区分により、現在より詳細にセグメント情報を開示することについて、現在、各ブロックで行っております交付金等の説明会で各大学等に要請をしているところでございます。
 なお、追加セグメント区分につきましては、可能な限り、この19年度決算から対応をお願いしたいということで考えております。
 駆け足で申し訳ございませんけれども、以上です。

【草間部会長】
 どうもありがとうございました。
 ただいま資料4‐1と4‐2に基づいてさまざまなご説明をいただきましたけれども、ただいまのご説明につきまして、ご意見あるいはコメント等がありましたらぜひ。

【佐野委員】
 資料4‐2の3.の剰余金総額、大学共同利用機関法人のうち3大学共同利用機関が繰越承認ということでしたが、あと1つは何だったでしょうか。

【事務局】
 自然科学研究機構におきましては、剰余金総額が発生しませんでしたので、剰余金の内数には入っていません。

【佐野委員】
 括弧内の10億と、それから後半の括弧内の8億の差は何ですか。これは積立金なんですか。

【事務局】
 積立金にまわっているところで、利用可能でない現金分が少なくなっています。

【佐野委員】
 それともう1点は、資料4‐1の6ページの企業会計の計算書類は、もう変更後のものを載せていただいたほうがよろしいかと思いますので、改訂していただければと思います。

【事務局】
 わかりました、見直しさせていただきます。

【事務局】
 自然科学研究機構は、損益においてはマイナスになっています。リース財産の費用処理の関係で、現金の授受は伴っていませんが、リース資産の支払利息分を費用計上しています。その分の支払いはないものですから、運営費交付金収入が入らないので、それでマイナスになっています。リース資産と病院の資産については、通常の企業会計のまま減価償却を残しているということもございますので、その辺のマイナスだと思います。

【草間部会長】
 この資料で、例えば4‐1のところの国民の皆様の実質的な負担額は何々であるなんて、今までこういった資料で、「国民の皆様」などという言葉は使ってきたのでしょうか。何か国民に対する説明責任という形で、ずいぶん官庁も変わったなという印象を受けるんですけれども、国民の皆様の実質的な負担額、要するに、税金ということでいいわけですよね。

【事務局】
 プラスして、結局、国有財産だったものを使っていますので、その機会費用をプラスして出しているということです。

【岡本委員】
 独立行政法人会計基準の表示の中に、そのとおりの正確な表現ではないですけれども、「国民の実質負担」というような言い方を入れていますので、それをもとに国立大学法人とか、いろいろなところでそういう表現が出てきているのだと思うんです。ただ、実質負担は何かというところはまだ問題で、今、事務局がおっしゃったように機会費用も含めるのか含めないかとか、いろいろ議論があるんだと思うんですけれども、その機会費用のところは今、できるところから開示をしていこうということなので、見られた国民側が「えっ?」と思うかどうかというところは、それを見ながらどこまでを開示をしていくかという議論になっていくのだと思うんですね。会計的に機会費用を入れるというのは、まだ事実上負担になっていませんから、それを含めること自体がいいか悪いかという議論は当然あるのだと思うんです。そこはちょっとまだ微妙な扱いかなと思います。

【草間部会長】
 わかりました。要するに、国民に対するアカウンタビリティーということで、わりと意識して書かれているのだろうと思うんですけれども、「実質的な負担額」は何なのかちょっとわからなかったもので。

【岡本委員】
 実質的負担という中身がほんとうに会計学的に言う意味なのか。損益計算書的なものと、今おっしゃった実質負担というのは少し乖離するような会計コードになっているので、損益計算書がそのまま国民負担になるということにはなかなかならないだろうという発想のもとに今のような表現を使って別の書類を入れているということになりますので、実際に国民負担というのは何だという議論は出てくるのだと思います。

【草間部会長】
 なるほど。

【岡本委員】
 これが正解ですというものは、今はまだないということだと思います。

【草間部会長】
 わかりました。
 どうもありがとうございました。
 これは報告ということですので、お聞きしておけばよろしいわけですね。
 それでは、次に、大学共同利用機関法人の中期計画の変更について、事務局のほうからご説明をよろしくお願いします。

【事務局】
 それでは、資料5をご覧いただきたいと思います。あわせまして机上配付資料の「重要な財産を譲渡する計画の説明資料」もあわせて参照いただければと思います。
 大学共同利用機関法人の中期目標計画の変更につきましては、あらかじめ評価委員会の意見を聞かなければならないこととされております。本日は、変更の申請のあった案件につきまして、専門部会に付託されている事項に該当する2法人の案件についてご意見をお伺いするものでございます。
 法人化の際に、国は各法人が現に教育研究に利用している財産及び将来的に利用の計画のある財産など各法人が教育研究を行っていく上で必要な財産を出資する形で現在に至っております。
 財産の譲渡につきましては、各法人の教育研究環境が適切に維持されるかどうかを確認する必要があるということから、大臣の認可事項とされております。
 ただし、中期計画に譲渡の計画が記載されておりまして、計画どおり譲渡が行われる場合にはこの限りではないということとなっているため、今般、20年度に譲渡を予定している2法人から、計画の譲渡計画記載の申請があったというものでございます。
 そこにございますとおり、人間文化研究機構におきます土地・建物の譲渡による変更及び自然科学研究機構におきます土地の譲渡による変更でございます。
 まず、人間文化研究機構でございますが、昭和63年7月に閣議決定、これはまだ法人化する前でございますけれども、閣議決定がございまして、国の行政機関の移転についてによりまして、移転対象機関に人間文化研究機構が設置しております国文学研究資料館が決定されております。
 理由としましては、東京の過密解消、首都機能の分散、地方の振興等の観点から移転を推進するというものでございまして、移転先は東京都立川市でございます。現在、国文学研究資料館は2月に移転を完了する見込みで移転作業を行っているところでございます。
 昭和63年8月に品川区のほうから跡地の払い下げの要望がございまして、以来、跡地処分については品川区と調整を図ってまいりました。その跡地の利用につきましては、近隣の戸越公園と一体となった公園として活用する予定でございます。
 建物の一部、旧三井銀行の建物であった建物につきましては、公園の一部としてそのまま活用していくということでございます。
 それ以外の建物につきましては、品川区のほうで取り壊しを予定してございます。
 土地・建物につきましては、時価で売却の予定でございまして、売却益につきましては、国立大学財務経営センターへ納付し、本立川移転の立川の用地の購入費用に充てるという計画で進んでいるものでございます。
 本件につきましては、立川の移転、いわゆる閣議決定に伴います跡地の処分でございまして、研究所が行う研究活動は、新研究施設においても支障なく実施することが可能であると判断できると思われますので、原案どおり認可しても差し支えないのではないかというふうに事務局としては判断しているところでございます。
 次に、自然科学研究機構の山手ロッジでございます。自然科学研究機構が設置しております岡崎にございます3機関、基礎生物学研究所、生理学研究所、分子科学研究所の3つでございますが、この山手地区の共同研究用の宿泊施設、その研究所外の研究者が来て一緒に共同研究するための宿泊施設でございますが、それがかなり老朽化しておりまして、今回、民間の近隣の明大寺地区の東側の隣接地の土地と民間が所有する土地と交換をするというものでございます。
 現在の山手ロッジは昭和40年の建設の建物でございまして、築40年が過ぎております。老朽化も激しくて、昨今の耐震上の問題もございまして、昨年、19年4月より宿泊者の安全の確保ということから使用を中止している状況でございます。
 先ほど、減損のときに宿泊施設のということを申し上げましたけれども、これも含まれている状況でございます。
 平成18年5月に明大寺地区の東側の隣接地の購入の申し出がございまして、その後検討の結果、山手ロッジの土地と交換で調整をしてきたところでございます。
 現有の山手ロッジにつきましては、先方負担で取り壊しを予定しておりまして、先方負担により山手ロッジと同規模、同等の機能を有する代替宿泊施設を交換対象の土地の上に整備し、それは寄附していただくというような形での計画を持っているということでございます。
 なお、現有の山手ロッジの跡地につきましては、宅地として利用するという予定になってございます。
 本件につきましても、土地の交換につきましては、同等程度の土地の交換と考えられることができまして、また先方負担により新たな宿泊施設等が整備されるなど、現在の機能は確保されるということで、特段の支障はないと考えられますので、事務局といたしましては、原案どおり認可しても差し支えないと考えている次第でございます。
 以上でございます。

【草間部会長】
 どうもありがとうございました。
 ただいま、人間文化研究機構と自然科学研究機構の中の2つの件に関してご説明いただきましたけれども、いかがでしょう。ご質問等ありましたら、どうぞ。

【岡本委員】
 変更案を承認することは私もいいと思うんですけれども、よくよく考えますと、話が決まってから中期計画に掲げて変更しますというのではなくて、今のお話だと、昭和63年の閣議決定の時代から決まっているだとか、古い建物だと思いますから、中期計画そのものをつくられるときに、むしろこういう予定ですと、書きぶりをどう書くかという議論はあるんだと思うんですけれども、そういうことを掲げておかれて、それでこういう実際の調整とか、交渉が進んでいくというのが計画の姿だと思うんですね。そうならないものかなといつも思うんですけれども、そういうことは非常に難しいんですか。
 というのは、話が決まってから中期計画を変えて実施するというのでは、計画の意味が何もないので、もう少し早めに、もっと言ってしまうと、中期計画の一番最初の原案を作られるときにこういう予定ですということを掲げて、それで進んだから処分するというようなことがもともとの趣旨のように思うんですが、これは机上の空論なんでしょうか。なかなか実際にはそういうことはできないんですか。

【事務局】
 品川区の閣議決定の話につきましては、法人化の際にそこまでの考え方の整理ができないままに、まず基本計画の作業を行わなければいけないということがありました。当時の品川区の状況が、いつの段階で具体化できるかということがあるとは思いますけれども、確かにその方向であるのだということを書くことは可能だったかもしれません。

【岡本委員】
 今後こういう重要な財産を処分されることが起こってくるというのは、急に起こるのではないと思うんですよね。ですから、ある程度見据えて、それから全政府的に不要な財産は処分していこうという話になっているわけですから、むしろ最初にそういう予定がありそうなところについては、決まった段階で変更するのではなくて、前もってやっていただくことがいいのかなと思います。これはあくまでも希望かもしれませんけれども、そういうふうにお願いしたいなというふうに思います。先生がおっしゃる国民に対して示すという意味においても、最初に示しておかないと、決まって変更して、それで処分しましたというのでは、何も示したことにならないと思いますので、そういう観点からぜひできるものはやっていただきたいということです。

【事務局】
 国文学研究資料館につきましては、もちろん閣議決定がございますので、計画の中には記載はあるんですが、重要な財産の処分ということに関しては、相手方の品川区の状況に応じていつ処分できるかということが言えないということがあって、記載をしていません。

【岡本委員】
 それはよくわかるんですけれども、実際に重要な財産の譲渡は相手方が承認しないとできないと思うんですけれども、基本的に、中期計画はそのとおりしなければいけないという話ではなくて、こういうことを次の6年の中でやるという予定ですから、あくまでもプランですよね。プランはこういうことがあると、重要な財産というのは、おそらくこれがおっしゃったように今後の研究に影響しないという意味合いを持ってくるわけですから、その辺はやっぱり書いておくべきものとしてあるのかなと思います。これはべき論ですけれども。

【事務局】
 岡崎の話につきましては、単年で動いているところがありまして、期中に交渉が相手方から来て話し合っている中で、この後の中期計画を変えたいという話が来ているので、どの段階で変えるかという部分があるかと思います……。

【岡本委員】
 ですから、プランはプランだと思いますので、これはこのとおりしなければいけないというものでは必ずしもないかと思いますので。
 それから、書かれる内容も、おそらく「譲渡する」としか書かれないわけですよね。

【事務局】
 そうです。

【岡本委員】
 相手方も書かれないわけでしょうから、その辺はちょっとそういう意味で。

【草間部会長】
 多分その平成16年に法人化したときは、ほんとうに大学にしましても、教育機関にしても、ほんとうにバタバタ中期計画を立てなければいけなかったというところで、この建物をどうするかなんていうところまでは詳細な検討ができないままだったと思うんです。

【岡本委員】
 そうだと思います。

【草間部会長】
 それと、プランはプランですというのと、中期計画をどう受けとめるかという、やっぱり89大学あるいは4研究機構がどう受けとめるかというところもすごく重要で、要するに、評価が中期計画に沿って自己評価をするという形でやっていきますので、そういう意味では、中期計画というのはプラン、いわゆる世間で言うプランです、というところの範疇では書けないような感じがするんです。

【岡本委員】
 先生のおっしゃることはよくわかりますし、そういう性格のものというのはわかるんですけれども、ここはあくまでも厳しめの意見として言っているんですけれども、やっぱりこういうことをしますということをどこまで出せるかということの中に、こういうものが入るかどうかということについてはぜひ検討をお願いしたいということを申し上げていることと、決まってから変更したのではプランの意味がないということを強調させていただいているのです。現実的な問題で、おっしゃったように移行時においていろいろな状況の中でやられているのはよくわかっていますが、今後こういう類似のものがある場合には、そういうふうにできるだけやっていくべきではないでしょうかということです。

【草間部会長】
 民間におられる方たちのご意見というのは、そういう厳しい見方をされる。やはりそれが必要だと思いますので、次回の中期目標を立てられるときに、どう反映させて、こういう建物の減価償却をどうするかとか、そういったこと、これは共同利用機関法人だけではなくて大学等にもかかわることですよね。だから、そういう意味では、その辺のところを今のご意見を尊重してぜひご検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 貴重なご意見をどうもありがとうございました。

【佐野委員】
 関連しまして、今の人間文化のほうだと、もう閣議決定で移転に伴う処分は決定済みというお話しですよね。いつかはやりますよという意味で決定済みである。

【事務局】
 そうです。

【佐野委員】
 それで、この部会に付託されている事項で評価委員会の意見を聞かなければならないという項目の条文では、重要な財産を譲渡し、また担保に供して、その計画ということになっているわけで、移転に伴う譲渡処分は既に政府の決定事項であって、我々の委員会で、その計画のどこを示されて意見を求められるのか。好ましくないねということはもうできない。例えば通常の事業計画で出すのであれば、本来であれば、どういう価格希望で、どういう形で、どういう契約条件で、こうしたいという計画に対して意見を言うということになるのだと思うんですね。しかし、このペーパーを拝見させていただいても、処分しますよ、決まりましたよというのは、もう既に所与の事実であって、何ら意見を聞く内容はない、見えてこないんです。その辺も、もしこの法人法の31条の参考のところをもうちょっと細かく拝見できるのであれば、つまり、この部会は計画の何の部分に対して意見を言うべきなのか、その辺がいま一つ見えてこないので、ましてや既に閣議決定されている既成の事実であると、ただ、そのタイミングについては今回ですよという、今年度ですよというだけのお示しでは、ちょっと何を申し上げていいのかよくわからないという気がいたしますので。

【草間部会長】
 その辺はいかがでしょうか。もう既に決まってしまった部分に対して私たちは、要するに、今これですと、書かれている中期目標、中期計画をこういうふうに表現を変えますよということについての審議でしかないという印象になるわけですね。だから、その前のそこに至るプロセスの中でこの専門部会あるいは分科会がどうパーティシィペイトしていったらいいかというのがやっぱり見えないというのは、ほんとうにこれは重要なことだと思います。だから、単に私たち、この中期計画をこう書きかえますよということを承認するだけではなくて、やはりプロセスの中でどういう役割を果たしていったらいいかということで責任を追わされているわけですので、その辺のところは大変重要なご意見だと思いますけれども、いかがでしょうか。

【事務局】
 この重要な財産を譲渡する、または担保に供する場合というのは、これは文部科学大臣の認可事項にしておりまして、それはどちらかといいますと、国の出資財産に限らず、独立行政法人や国立大学法人等が、そういった重要な財産を処分することによって業務の運営がおかしくならないかどうか、それをチェックするという面、それから財務的にもおかしなことにならないようにチェックするということになっております。
 他方、この国文学研究資料館については、ご指摘のようにもともと国の方針に従ってやっているという面がありますので、移転をするということ自体はもう決まっている事柄であるということは間違いないわけで、むしろ国のほうで責任を持って移転しても支障ないようにやってほしいというのが機関の側の話でもございます。そういう面ではこれについては少し特殊な面があろうかと思っています。
 他方、閣議決定そのものは機関を郊外に持っていきなさいということでございまして、その後の跡地の処分については詳細に決まっていない点もございますので、結果的にはそれについての具体的な手続は今になって決めるということになります。
 重要な財産の処分に関しては、それを中期計画という形で位置づけてやり、その際に国が関与して認可することで、それでも大丈夫かどうかということをチェックしておけば、そういう観点でございます。

【佐野委員】
 政策についてどうこうということではないわけですよね。それを実行するに当たって、その計画の中身、こういう計画で処分したいんだけれどもどうかとあらかじめ評価委員会の意見を聞いて確認をしようと、フィルターを通すということだと思うんですけれども、今、提示いただいている資料では、品川区の上程を受けて国の施策に従った処分をこの時期にやりますよということしか書かれていないので、そのことに対して何の意見を述べようか、ちょっとそこが見えない。国の政策云々については、この評価委員会の作業ではないと思いますので、それはそれで受けとめてはいるんですけれども。

【草間部会長】
 そうすると、もう少し具体的な方向、数値とか……。

【佐野委員】
 目標について意見を聞かれるわけですよね。ですから、一般の会社感覚で言いますと、やっぱり資金規模であるとか、譲渡条件の話を聞いて、例えばですけれども、ここは品川区と出てしまっていますけれども、そうではなくて、民間と交渉すべきであるとか、その提示価格では安過ぎるとか。そんな意見が出たり、処分そのものについては所与の事実なのでコメントができないとしても、本件についてはそういった条件等についての意見を求められるのかなと。
 それから、そうでない場合については、その資産処分そのものについて、こういった機関が処分したいと言っているけれども、それはどうなのか、評価委員会においては、その処分することによってミッションが果たせないのだから処分は差し控えるべきだとか。例えばそういった意見を求められるのか、いろいろな違いがあると思いますけれども、この上の件については、処分は所与の事実であって、その計画について意見を求められているのであれば、その具体が見えないと意見を述べられないのかなと、そんなイメージなんですね。
 内容について反対はもちろんするものではございません。

【事務局】
 机上資料のクリップどめされている重要財産の譲渡の計画の説明資料というものがございまして、それを1枚めくっていただきますと、国文学研究資料館の敷地の部分の状況につきまして、資料を用意しております。1枚めくっていただいて2ページの下の箱なんですけれども、経緯といたしましてはこのような経緯を踏まえておりまして、これは今後の予定として機関がつくっていますもので今後と書いてありますが、20年2月に資料館が移転し、20年3月、今これをお諮りしているんですが、中期計画変更の認可をいただけますと、その先には仮契約に向けた不動産鑑定評価の作業を依頼し、あくまでめどですけれども、5月、7月、このようなスケジュールで考えていきたいという計画です。

【佐野委員】
 よくわかりました。こちらの資料を拝見していなかったのでこういった中身を提示されて、いかがですかということでは、確かに手続がいいですねとか、そういったコメントができるのかなと思います。ちょっと拝見しないで申し訳ありませんでした。

【事務局】
 いえ、こちらもすみません、説明をちょっと省いてしまいました。20ページまで、評価額等も全部載っております。20ページ以降からまた1ページで大変申し訳ないんですけれども、こちらが自然科学研究機構の岡崎3機関におけます状況でございます。
 計画の話は、また2ページ、裏面でございますけれども、経緯的にはこのような経緯がございます。
 状況的には、次の3ページにございますが、山手ロッジというのが右の上のほうの場所でございまして、明大寺地区東側隣接地というのが下のほうの団地の上の隣接地ということでございます。今、国の財産を処分するときには、まず公共用が優先になるものですから、今、国有財産に関しては法律に基づいて、まず、地方公共団体と決めております。そこをまず、処分先として考えた上で、次に民間が来るという形です。法人化されましたので、自由に考えていいのではないかということもありますけれども、そこはもともと国の財産であったということもあって、周りの住民との関係等があって、やはり法人化した後も大学等も含めて、まず地方公共団体で取得するという希望があるのであれば、そこをまず優先して交渉しているという状況でございます。

【草間部会長】
 一応、この専門部会の役割として、このミッションとして今の価格表とかを見て、例えば妥当ではありませんと譲渡することを見合わせるべきというようなご意見をこの時点で言っても可能なんですか。

【岡本委員】
 言っても可能なんでしょうけれども、困りますよね。

【草間部会長】
 困りますよね。

【岡本委員】
 ですから、私がさっきから申し上げているんですけれども、早めに中期計画に載せていただかないと困るのではないでしょうかということだと思うんです。

【草間部会長】
 そう。だから、プロセスとしてここまで出てきて、それで、いや、これはいろいろ見た結果、どうも好ましくないので、好ましくありません、こういうご意見を申し上げても、これは先方も困ってしまうわけですよね。だから、そういう意味では、少しこういう案件が発生したときにプロセスを見せていただくことが……。

【岡本委員】
 ええ、そうです。ですから、事務局がおっしゃったように、国立大学法人が持っている重要な財産は、別に大臣が認可すればそれは終わってしまいますので、今のプロセスはそれと同じではないかということをちょっと申し上げたいだけで、そうすると、評価委員会は事実上絡めないのだと思うんです。

【草間部会長】
 そうですね。

【岡本委員】
 意見は述べられますけれども。
 ですから、やっぱり早めに閣議決定もあって、だれが見ても古いとわかっているようなものについては、次の中期目標期間ぐらいには予定が来るというのがある程度見えている段階で出して、中期計画を承認するときの議論として評価委員の側も認識しておかないと、今のようにほんとうにぎりぎりのタイミングになって資料がこうなっていますと言われ、これは困りますと意見を言っても、多分、事実上そういうことはできないでしょうし……。

【草間部会長】
 できないでしょうね。だから、要するに、専門部会で事実的に審議しましたというふうにするためには、そういう意味では、先生方、ご自分の使命をちゃんと感じていてくださって、やっぱりこういうパーティスペイトをしなければいけないのではないかということでご参加いただいているわけですので、ここでご申請いただきました、だからいいですというプロセスだけではだめで、どういうパーティスペイトの仕方をしていったらいいかというのは、やっぱりお考えいただいたほうがいいと思うんですね。
 特に財務とか、こういったことに対しては、ここが決めて上に持ち上げるだけの話ですので、ここで審議していただかないと、そのままスルーしてしまうわけですよね。だから、そういう意味では、ぜひプロセスをどうするかというのを少しお考えいただくということでお願いしたいと思います。

【草間部会長】
 今日は、ほんとうにそういう意味では大変貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。
 一応、いろいろご意見をいただきましたけれども、今後のことも含めて、改善すべきところは改善させていただくということでお願いして、とりあえず今回ご提案がありました人間文化研究機構と自然科学研究機構のこの計画の変更に関しましては、これでお認めいただくということでよろしいでしょうか。
 この件に関しましては、認可等の手続が終わる前に変更案に修正が入った場合などの扱いにつきましては、私にご一任いただくということでよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、平成20年事業年度における長期借入金償還計画の認可について、事務局からご説明をよろしくお願いいたします。

【事務局】
 資料6の平成20事業年度における長期借入金の償還計画の認可についてご説明いたします。
 机上資料にも同じ名称のものがございますので、そちらとご一緒にご覧ください。
 長期借入金の償還計画の認可ということで、机上資料の2ページ目でございます。国立大学法人法の第34条第1項の規定に基づいて、平成20事業年度における長期借入金の償還計画について認可をしていきたいと思っているところでございます。
 その机上資料の34条2項でございますけれども、「文部科学大臣は、前項の規定による認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない」ということで、今回、先生方のご意見を伺いたいと思っているところでございます。
 同じページの国立大学法人法施行令第8条の第4号でございますけれども、今回、高エネルギー加速器研究機構におきましては、キャンパスの土地取得があったわけでございますけれども、それについては施行令8条4号でございますけれども、今までは補助金等で段階的な取得を行っていたわけですが、平成17年度に長期借入金で一括購入をしたところでございます。それで一括購入をして、あと利息と償還ということで、平成18年度以降、平成18年、平成19年と同様の形で償還を行っているところでございます。
 資料6の番に戻ってもらいたいのですが、現在、償還計画額ということで、平成19年度末における長期借入金の総額が339億円ございます。平成20年度における償還計画額といたしまして26億円でございます。これは平成18年度、平成19年度と同額で償還しているところでございます。平成20年度末における長期借入金の総額が313億円でございます。
 償還期間は14年と1カ月というところでございます。現在のところ、平成32年4月まで同様の額で償還していこうと考えているところでございます。
 説明は以上でございます。

【草間部会長】
 どうもありがとうございました。
 ただいまの高エネルギー加速器研究機構の長期借入金の償還計画につきまして、ご質問あるいはコメント等、いかがでしょうか。

【岡本委員】
 これはもう新たなあれはないということですよね。

【事務局】
 これは毎年度規定にございますように、毎事業年度償還計画を立ててということでございますので、順調に行っている場合は特に何もない。例えば予算が仮に何かで多くついて、それで繰上償還をするとか、そういったような場合があったら償還計画が、例えば償還期限が10年1カ月が12年とか10年とかになってきて、それでも実際は弁済補償金とか、そういうものも出てくるので、有利不利はないですかとか、そういうような話になってくると思いますけれども、今回は今までどおり、17年に借り入れをして、18年からずっと順調に返しているということなので、今のところ特に問題はない案件ではないかなと事務局では考えているものでございます。

【草間部会長】
 よろしいでしょうか。

【佐野委員】
 あと、金利が変動したりなんかしたときにも、おっしゃったようなケースがあれば、その都度議論がということですよね。

【事務局】
 そうでございます。

【佐野委員】
 これも決まりがあるので、ここでかけるのはやむを得ないといいますか、やっていくということですよね。

【事務局】
 そうです。34条の毎事業年度認可を受けるということでございます。

【草間部会長】
 では、そういうことで、これもお認めいただいたということで、どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、役員報酬規程の改正につきまして、ご意見を伺いたいと思いますので、事務局のほうからご説明をよろしくお願いいたします。

【事務局】
 資料は資料7、それと机上資料のほうで「大学共同利用機関法人の役員の報酬規程について」というつづったものがございます。こちらでございます。
 大学共同利用機関法人の役員の報酬につきましては、各法人で報酬の基準を定めまして、それを文部科学大臣に届け出をすることになっております。文部科学大臣は、届け出がなされましたら、それを評価委員会に通知しまして、それが社会一般情勢に適合したものであるかどうかということをご審議いただいて、もし仮にそこで何かご意見がありましたら、そのご意見を大臣へお出しいただくというような形になっております。
 今回は、昨年の8月に前回のこの委員会がございまして、それ以後に改正のありましたところがございましたので、それをご報告いたしまして、それについてご審議いただくということになっております。
 まず、大きく2つの変更点がありまして、1つは、国家公務員給与の改正を考慮して行われた変更、それともう1つは、この委員会で審議いただいたことを踏まえた変更、その2点がございます。まず1点目のほうの話で言いますと、16年に法人化されたものではございますが、社会一般情勢に適合するものということで、各法人としましては、国の給与基準、国家公務員の給与基準を重要な参考資料として、ほぼそれを踏襲しているのが実態としては多うございます。特に職員については多うございます。
 ちなみに、役員の報酬を見ていただくときには、先ほどの机上資料の、最初のほう、これは各法人のほうからこういった形で改正しましたというのが添付してありまして、一番後ろに、これは国立大学法人と大学共同利用機関法人、セットの表にしておりますけれども、法人の長、学長あるいは理事長の給与がどういう水準になっているか実際に規程もつけております。それで大学につきましては、従来、国にありましたときから国の指定職号棒が定められておりまして、一番上が東京大学と京都大学でございますが、昔の指定職の旧12号棒というのがございまして、この号俸をそのままほとんど踏襲している形になっております。1,000円の差がございますけれども、そういった形で、以下、大学ごとに定められていたというのが実態でございます。
 ただ、大学共同利用機関法人につきましては、高エネルギー加速器研究機構を除きまして、残りの3法人につきましては全く新規ということで、人間文化につきましては真ん中辺にあります旧9号俸ということで106万6,000円。それと、自然科学、情報・システムにつきましては、その下のところの旧8号俸、99万4,000円ということになっています。高エネルギー加速器研究機構につきましては、これは昔の旧7号俸の92万2,000円をそのまま踏襲されていたということで、色は黒色のままにしております。
 ちなみに、赤く記している大学は、これは国でありましたときよりも低く設定している。青くしているところは、国でありましたときよりも高く設定している。高く設定しているほうは、法人化前に、例えば佐賀大学でしたら、佐賀大学と佐賀医科大学の2つの大学が統合されて、そういった意味で大学の学長の職責の重さを加味して高くした、そういったことが多うございます。
 資料7のほうへ戻っていただきますと、先ほど申し上げましたように、1点目としましては、国家公務員の給与の改正を考慮して行われた変更がありますということなんですが、昨年の人事院勧告に基づきまして、地域手当の支給割合が引き上げられました。これは一部でございまして、例えば東京の特別区、23区内のところとか、そういった一部のところの地域手当が0.5パーセント引き上げられたんですが、この給与勧告を受けた給与法改正の審議の際に、国家財政が非常に厳しいということで、指定職相当については、この改定は、0.5パーセント引き上げはやめましょうと。要するに、本省の審議官以上は指定職でございますが、そういった人たちは、こういう国家財政のもとでは給与を上げるのはやめましょうということで、指定職についてはとめた経緯がございます。
 今回、自然科学研究機構と情報・システム研究機構につきましては、職員につきましては国にならってこれを0.5パーセント引き上げたんですが、役員については、そこは引き上げないままにしたということを規程で明記したものでございます。
 具体的には、1枚めくっていただいて2ページ目と3ページ目をご覧ください。特に3ページ目のほうが表になっておりますのでわかりやすいかと思いますが、東京特別区のところで、職員については、上の改正後の100分の14.5パーセントということに改正したんですが、役員については、これを改正前の100分の14のままにとどめるということで、今回そこの部分の改正をしたというのがこの2件でございます。
 それからもう1点は、前回のこの委員会でご意見をいただきましたことを踏まえた改正でございます。
 具体的には、高エネルギー加速器研究機構でございますが、4ページ目をご覧ください。前回、改正前のほうの規程をお出ししまして、そのときにご意見をいただいたのは、実は高エネルギー加速器研究機構につきましては、先ほども言いましたように、旧7号俸のまま92万2,000円ということで、機構の中でも一番低いところを機構長の給与にしていたところでございますが、国際競争に打ち勝つためには、海外からも機構長になるような人を求めたいというようなご意見がございまして、ぜひここを改正したいということで、前回、機構長にあっては、7号給から9号給までの範囲内で機構長が決定できるという形にしてある、当然、経営協議会の議を経てという透明性、客観性を踏まえた上でございますが、それにプラスして、3項のところで、必要と認められる場合は経営協議会の議を経て、前項に定める額を超えて機構長が決定できるようにした。この趣旨自体は前回の委員会ではそれはよろしいのではないかということだったんですが、ただ、いくら上げるにしても、おのずとここは上限は人件費削減等求められているところからかかるものだと思いますというような説明は申し上げたんですが、やはりここは規程に明記すべきではないかと。上限を一応定めるべきではないかというようなご意見がございました。先ほどの机上資料の13ページをご覧いただけたらと思います。
 ここに号給が掲げてありまして、現在いらっしゃる機構長は、この7号給の92万2,000円なのでございますが、これをまず2項のほうで7号給から9号給、これはほかの法人にならった形で、8号給、9号給をつくっているということでございますが、この9号給を超えてもっと高いものを支給できるようにしたいということで、今回、改正案規程として出されましたのが、これの1.5倍まで、最高号給の100分の150まで定めたいと。ですから、106万ですから、約160万ぐらいまで最高は決められるような形にしたいということで規程の改正がなされております。
 また、4項のところでございますけれども、理事、監事につきましても、経営協議会の議を経て超えて定めることができるような指定をするんですが、そこも2号給上位までというふうに上限をここも定める、趣旨を踏まえて同様にここも上限を定めたというような改正がなされております。
 以上でございます。

【草間部会長】
 どうもありがとうございました。
 2つ案件が出されているわけですけれども、それぞれいかがでしょうか。まず1つは、地域手当の支給割合に関連したものと、もう1つは、高エネルギー加速器研究機構から出されている役員報酬の上限を定める改定ですけれども、ご意見等ありましたら。

【佐野委員】
 自然科学なんかは地域手当という手当がないんですけれども、一応、説明の都合上、地域手当というくくりでお話しいただいているということでよろしいですか。机上資料の5ページの第2条では、本給のほかは、特別調整手当、広域異動手当、通勤、単身、期末ということで、地域手当という手当名称はないんですが、多分、資料7でおっしゃっている地域手当というのは、便宜上そうおっしゃっただけかなという理解をしたんですが、それでよろしいですかという確認なんです。

【事務局】
 すみません、これは特別調整手当というふうに自然機構については言っております。申し訳ありません。特別調整手当というのが国で言っている地域手当ということです。

【佐野委員】
 イコールなんですね。

【事務局】
 イコールでございます。

【草間部会長】
 オールイコールなんですか。それだけ?

【事務局】
 はい、そうです。

【草間部会長】
 はい、わかりました。

【佐野委員】
 これはこれで完結しているんだと思いますけれども。特別調整手当とわざわざ変える理由も、給与規程なのでよくはわかりませんが。

【事務局】
 昔は調整手当というふうに言っておりました。それが18年に国のほうが改正しまして、そのときに地域手当というふうに変わりました。ただ、法人によっては特別調整手当と呼ばれているところがありますし、調整手当とそのまま使われているところもあります。

【佐野委員】
 地域手当そのものの賛否というのはまた別にあるとは思うんですけれども。

【事務局】
 はい。

【岡本委員】
 別の話でよろしいですか。

【草間部会長】
 はい、どうぞ。

【岡本委員】
 私は、地域手当はこれで全然問題はないと思っています。
 高エネルギー加速器研究機構のほうなんですけれども、同じようにする必要は全然ないと思いますけれども、似たようなので某独立行政法人の役員の方々の報酬をもっと上げるべきではないかと、同じように海外から優秀な研究者を招へいして、理事長なり役員に据えるという話だったんですが、そこでそういうふうに上げるという方向の議論と、財政的に厳しい折において上げる上げると言っていたのでは、なかなか国民とか一般の人たちの、一般庶民の感覚に合わないということがあって、それをどうしたらいいかという議論をしたんですね。そのときに1つ懸念だったのは、上のほうに上げるのはいいんですけれども、改正案が今の現状よりも高い方向だけに行くという議論はどういうものかなと。下もあって、その中で選択して高いほうも行くし、低いほうも行く。よくやった人は高くなるしという幅を持たせたらどうかという議論が出たんですね。
 この高エネルギー加速器研究機構を見ますと、今の現状よりも高くなる方向の議論だけですよね、この規程は。同じようにする必要は私はないと思いますけれども、ただ、研究機関という性格は大学共同利用機関法人であろうと独立行政法人であろうと、そこは一般の人から見ればそんなに変わらないでしょうし、他方では、そういうふうな規程の変更をしている独立行政法人があって、こっちはこういう規程の変更をする。同じ文部科学省の中であって、その違いについて意見が出るのではないかというふうに思います。

【事務局】
 高エネルギー加速器研究機構につきましては、先ほどもご説明しましたように、この一番後ろの資料でご覧いただいて、国立大学法人、今、86法人なんですが、あと4大学共同利用機関法人を並べたときに一番下のところに……。

【草間部会長】
 だから、そういうところではなくて、こちらにもうすぐ引き上げることだけではなくて、幅を持たせたらどうですかということです。

【岡本委員】
 おっしゃることはよくわかるんですけれども、号俸は国民の世界から見ればあんまり関係ない世界なんですね。それから、確かにおっしゃるようにもう一方の研究所は上のほうでした。ですから、号俸の中でどうかという議論が出るんですけれども、こういう規程を変更しましたというときに、今までの金額よりも数字的に高い方向だけの議論で果たして納得が得られるか。私は高いほうに持っていくことは重要だと思っているんですけれども、規程の中の書きぶりとして、工夫の余地として、選択は両方あります。でも、頑張った人は高いほうに行くような選択もできるし、ダメだった人は、あるかどうかわかりませんが、ダメだった人は下のほうに行くというような規程の書きぶりにしておいたほうが、納得感はあるのではないかということなんです。
 他方、この高エネルギー加速器研究機構は、確かに、今は一番下のところなんだけれども、それは国民から見れば狭い世界の一番下だからと、世の中の92万2,000円はどうかと言ったら、基本的にそれはたくさんもらっていますという議論になると思うんです。ですから、確かに今おっしゃっているように、給7号俸というのが一番下で書きようがないというのだったら別にとやかく私は申し上げるつもりはございませんけれども、やはりそういう配慮なんかをしたほうがいいのではないかということと、それから、今みたいな財政の厳しい折に、それも検討して、そういう幅を持たせましたというほうが規程としては通りやすいかなというふうに思ったので、今の意見を申し上げたのです。その辺はいかがなんでしょうか。

【事務局】
 社会一般的に見てどうかというところで言ったときに、1つは、昔、国家公務員であったところから、今、先ほどの表にありますように、ほとんどそれを踏襲されているところはあるんですね。

【岡本委員】
 おっしゃることはよくわかるんですけれども、私はこの規程の書きぶりの前に、やっぱり内外から優秀な研究者をもって、優れた人を長なり役員に入れる。そのためには高い給与を出すようにしなければいけないのはそのとおりだと思います。
 でも、それは頑張った人と頑張らない人がどうなるかわからないという前提があるならば、幅は持たせておいて、その幅の中でどれかを選択できるという形にしておいたほうがいいのではないかということと、それから、財務省とかに仮に話を持っていったときに、やっぱりこの幅の中からこうなりますと言ったほうが納得感はあるんだと。すみません、前の専門部会でどういう議論をされたか私は存じ上げない中でこれを言っているので多分混乱があるのだと思うんですけれども、ということを申し上げたいと思います。

【佐野委員】
 私は前の委員会のときに、この但し書き規程を足すべきほうの意見を申し上げました。
 その経緯といたしましては、7号から9号までの間では機構長が決定できるということになっていて、経営協議会の議を経てプラスアルファができる。だけど、そういう上限がないのはおかしいので、やっぱり歯どめをかけるべき、そういう議論の中では但し書きが必要と思ったんですね。
 ただ、そのときに思いましたのは、これは今、業務勘案というようなことが想定されているようなんですが、いわゆる月額給与の話ですから、業務勘案というのはできないわけですね。招聘のときにあなたはいくらですよという査定をしてやるような形になる。実際の業務勘案をした結果というのは、一般には退職金であるとか、賞与に反映されますから、事後的な支給になるかと思うんですね。これですと、今、7号から9号まで、もしくは決定によって150までプラスして、あなたの実績はこうですということを見据えて引っ張ってくるといいますか、そういう形になるんだと思うんですね。そのときに、あまり今ここで決めている、例えば90何万ですか、それを下回る額で招聘して、役員の業務を評価するというのは、逆に私は招聘しづらいのかなと……。

【岡本委員】
 佐野先生のおっしゃることはよくわかるし、多分、業務勘案というのは、給与の中にも入ると聞いていますが、多くはボーナスなんかで見るという議論だと思います。ただ、私も、下のほうにしろと言っているわけではなくて……。

【佐野委員】
 ええ、決め方ですね。

【岡本委員】
 見え方の問題として、規程の改正が上のほうに行く改正のようにしか見えない改正というのは、今のご時世ではいかがなものかと必ず言われるのではないかなという懸念と、であれば、結果的には私も上のほうに行く議論をするべきだと思いますので、選択の中で幅が持てるような改正にしておいたほうがいいのではないかということを申し上げました。もうの規程はは変えてしまったということですか。

【事務局】
 そうです。

【岡本委員】
 じゃあ、2つの研究機関がこういうふうに並んで出てきたときに、見る人が見たときに、こっちはこう、こっちはこうというのは、ちょっと懸念は感じると。
 ですが、もうあとはこの規程の書きぶりのご判断だと思いますので。

【事務局】
 規程の書き方としては、一応現行では7から9の間で幅を持たせて判断しますよということですので、低いほうとしては7ぐらいの人を考えますよという、そういう選択の仕方で考えて低い人と高い人と見ますという形にはしてはあると思います。場合によっては、そういう全体から見ると低いほうに設定することが高エネルギー加速器研究機構の場合には可能な規程に既になっていますという言い方になるのかなと思います。

【草間部会長】
 それで7から9という幅を持たせていますということですよね。
 それで、さらに上限を決めなければいけないときは、ここの上のほうの1.5倍にしていますということで……。

【岡本委員】
 わかりました。じゃあ、あんまりもう強く申し上げません。

【事務局】
 先生のおっしゃることはよくわかります。

【草間部会長】
 ご趣旨はよくわかると思うんですね。同じ理化学研究所にしても、国立大学のあれではないけれども法人であるという点では同じなので、だから、見た人が見たときに……。

【事務局】
 場合によって低く設定できる形になっているのだと思うんですけれども、高エネルギー加速器研究機構の場合には、その場合によって低くという場合が7号俸だというふうに考えているという形では……。

【岡本委員】
 今と同じという形ですね。今というか、前と同じというのでしょうか。

【事務局】
 はい。

【岡本委員】
 実質は何も変わらないと思います。だれも下のほうの人を呼んでくると思いませんですけれども、そういうことを懸念をしたものですから申し上げたと。

【佐野委員】
 独法と違って、これはほかの大学共同利用機関法人はこういう決めぶりをしているところはなかったんでしたか。

【事務局】
 ないです。今はもう……。

【佐野委員】
 ここだけが。

【事務局】
 先ほど言いましたように、ここであります106万と99万4,000円。

【佐野委員】
 その号俸ではなくて、経営協議会の議を経て自由裁量で上げられるという規程の書きぶりというのは、ここだけですか。

【事務局】
 そうです。

【佐野委員】
 わかりました。

【草間部会長】
 要するに、どういう書きぶりにするかによって、やっぱり国民から見たときに、わかりやすく、しかもそれこそ国民の皆様の税金を使っているという形で行くと、ちゃんとリーズナブルにやっているんだよというような、どういう書きぶりが一番説明しやすいか、わかりやすいかという辺ですよね。

【佐野委員】
 普通の民間で考えると、号俸を決めておいて俗人的に他の機関で上乗せがあるよというのはあんまりしないですね。

【岡本委員】
 そもそも出発点が違っていて、別に号俸にする必要は何もないわけですから。

【佐野委員】
 全然違うと思いますね、土台と言うのでしょうか。

【岡本委員】
 それはいろいろ過去の経緯もあって、今こういうふうになっているので、それでどこまでかなと。
 ただ、そうは言っても月給の金額が高いですからね。

【佐野委員】
 ここは本給だけですから、これにいろいろな手当が加算されますので、これ掛ける12がその他の年棒ではないので。

【草間部会長】
 確かにそうですね。

【岡本委員】
 そう見ると、やっぱり厳しめの目というのは、やっぱり意識しておいたほうがいいと思うんですね。

【草間部会長】
 そうですね。では、その辺も、とりあえず今日はこれで了承していただくということで、今日のご意見をいただいて、例えば高エネルギー加速器研究機構のほうからもう少しいい書きぶりがあるというご意見をいただいたりとか、あるいは、もし書きぶり等で変更させていただくようなことがあったら、また私に一任していただくということで、趣旨はこれで通させていただきたいと思います。

【事務局】
 本件についての扱いというか、今審議していただいていることについて、すみません、部会長にご説明が足りなかったかもしれないんですけれども、報酬規程につきましては、変更したときには文部科学大臣に届け出るということになっております。ですから、もう既に決まったものとして届け出をいただいておりまして、それについて文部科学大臣が認可するとか何とかということにはなっておりませんで、これは独法通則法の53条でございますけれども、文部科学大臣はその届け出いただいたものを評価委員会に通知させていただいて、評価委員会は、その通知にかかる報酬等の支給の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて文部科学大臣に対し意見を申し出ることができるという形になっておりますので、今回の報酬規程についてはもう既に変わっているものということです。
 もう1つは、社会一般の情勢に適合したものであるかということですので、本日のご議論については、法律上、文部科学大臣の意見をいただくということなのかどうかということなのですけれども。

【草間部会長】
 それはよろしいですね。

【岡本委員】
 それは私もさっきから申し上げて、構いません。

【事務局】
 事実上、お伝えをするという形で……。

【岡本委員】
 伝えていただくということだと思いますね。

【事務局】
 今後について、もし法人のほうで何かあったときには、また同じ手続で報酬規程の変更ということで出てきて、またこちらにお諮りするという形になります。

【草間部会長】
 そうですね。

【岡本委員】
 あえて言うと、伝えてくださいということと、ほかの独立行政法人なんかはこういうふうになっていますよということを十分ご配慮くださいということと、一般国民というのはどういうふうに見ていますかというのは、今日申し上げたようなことではないでしょうか。ないでしょうかです、これは。わかりません。

【事務局】
 前回は、ですから、その上限が書いていない、おかしいというご意見がありましたので、それをお伝えしたところ、こういう形で直しましたと来たということです。先ほどの借入金とか土地の譲渡のような認可という形ではないんですけれども、決まったものについてこちらから意見を言うと、その意見をもとに向こうでまた考え直してくるという状況があるということです。

【草間部会長】
 わかりました。
 それでは、そういう取り扱いでよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 本日事務局のほうで用意していただきました報告事項、審議事項、これですべて終了いたしましたけれども、何かそのほかにご意見ありますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 本日は、年度末のお忙しいときにお集まりいただきましてほんとうにありがとうございました。またいろいろ貴重なご意見をいただきまして、ぜひこの国立大学法人が国民の皆様に理解していただけるような業務あるいは財務運営をしていかなければいけないと思いますので、この専門部会もできるだけそれぞれの法人に対して厳しい意見をきっちり言っていかれるような形にしたいと思いますので、今後ともまたよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

‐了‐


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