資料5 財務諸表の承認及び積立金の新法人の最初の中期目標期間への繰越承認に係る事務局における確認について
1.確認の方針
財務諸表は、国民その他の利害関係者の判断を誤らせることのないよう国立大学法人の財政状態及び運営状況を適切に表す必要がある。また、筑波技術短期大学、旧富山大学、富山医科薬科大学及び高岡短期大学の決算において最終的に積立金となった額が適正か、筑波技術大学及び新富山大学の最初の中期目標期間への繰越申請を受けた額が適正か確認する必要がある。
したがって、事務局においては、文部科学大臣による財務諸表の承認、積立金の新法人の最初の中期目標期間への繰越承認にあたって、合規性の遵守及び表示内容の適正性の確保の観点から確認を行った。財務諸表等の数値については、事業報告書の一部を除き、会計監査人等による監査の対象となっているため、主要な計数等について確認を行った。
なお、国の予算は基本的に1年間を通じた額を措置しているが、事業は期間の進行に伴って実施されるもののみとは限らないため、事業未実施相当額が運営費交付金債務として留置され、精算のため収益化されることとなる。この収益化額を新大学の最初の事業年度において精算することを前提に、積立金全額について、新法人の最初の中期目標期間へ繰越承認する取扱いとしている。また、旧法人の一切の資産負債は国から再度出資される取扱いとなり、国庫返納する資産はない。
2.確認内容
財務諸表の承認及び積立金の新法人の最初の中期目標期間への繰越承認について、法令上の位置付けは異なるが、下記「合規性の遵守」及び「表現内容の適正性」について、確認すべき項目は基本的に重複していると考えられるため、下記リストにより一括して確認を行った。
(1)財務諸表
1.合規性の遵守
チェック項目 |
チェック結果 |
提出期限は遵守されたか。 |
全ての国立大学法人が12月末日までに財務諸表等を提出した。 |
必要な書類は全て提出されたか。 |
全ての国立大学法人が、以下の書類を提出した。
- 財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、利益の処分に関する書類、国立大学法人等業務実施コスト計算書、附属明細書)
- 決算報告書
- 事業報告書
- 会計監査人及び監事の監査証明
|
会計監査人及び監事の監査証明に、財務諸表の承認にあたり考慮すべき意見はないか。 |
全ての国立大学法人における監査証明は、適正意見表示であり、財務諸表の承認にあたり考慮すべき特段の意見はなかった。 |
2.表示内容の適正性
チェック項目 |
チェック結果 |
記載すべき項目について、明らかな遺漏はないか。 |
・財務諸表等の提出を受けた全ての書類について、表示科目、会計方針、注記等について、明らかな遺漏はないことを確認した。 |
計数は整合しているか。 |
・計数の合計等の基本的な計数について整合を確認した。 |
書類相互間における数値の整合は取れているか。 |
・主要表と附属明細書との相互間における整合など、書類相互間における数値の整合を確認した。 |
行うべき事業を行っているか。 |
- 期間進行基準の適用事業について、「運営費交付金当期振替額・債務内訳一覧」により学生収容定員の充足率が85パーセントを満たしているか確認した。
- 成果進行基準の適用事業について、「財務諸表等の補足資料」などにより行うべき事業を行っているか確認した。
|
運営費交付金に係る会計処理は適正か。 |
- 全ての大学における期間進行基準の適用事業について、学生収容定員未充足の大学がないことを確認した。
- 全ての大学における成果進行基準の適用事業について、事業の進捗に伴い運営費交付金債務が収益化され、その残額の運営費交付金債務について、精算により収益化されていることを確認した。
- 全ての大学における費用進行基準の適用事業のうち退職手当相当額について、費用の発生額と同額について運営費交付金債務が収益化され、その残額の運営費交付金債務について、精算により収益化されていることを確認した。
- 全ての大学における費用進行基準の適用事業のうち退職手当相当額を除く事業について、費用の発生額と同額について運営費交付金が収益化され、その残額の運営費交付金債務について、精算により収益化されていることを確認した。
|
(2)積立金の新法人の最初の中期目標期間への繰越し
1.合規性の遵守
チェック項目 |
チェック結果 |
提出期限は遵守されたか。 |
全ての国立大学法人が12月末日までに承認申請書等を提出した。 |
必要な書類は全て提出されたか。 |
全ての国立大学法人が、以下の書類を提出した。
- 承認申請書
- 貸借対照表
- 損益計算書
(※「その他文部科学省令で定める書類」は未指定。) |
2.表示内容の適正性
チェック項目 |
チェック結果 |
記載すべき項目について、明らかな遺漏はないか。 |
全ての書類について、明らかな記載誤りや遺漏はないことを確認した。 |
3.確認結果及びコメント
国立大学法人から提出された財務諸表等について確認したところ、特段の過誤などはないことを確認した。
したがって、事務局として、文部科学大臣による財務諸表の承認及び積立金の新法人の最初の中期目標期間への繰越承認にあたって、特段のコメントはない。
運営費交付金当期振替額・債務内訳一覧
(単位:円)
|
法人名 |
期首残高(a) |
運営費交付金当期交付額(b) |
当期振替額(c) |
運営費交付金債務(d)=(a)+(b)-(c) |
運営費交付金債務(d)内訳 |
収益化額 |
資産見返運営費交付金 |
建設仮勘定見返運営費交付金 |
資本剰余金 |
計 |
期間進行 |
成果進行 |
費用進行 |
収容定員未達相当額 |
事業未実施相当額 |
退職手当相当額 |
事業負不用相当額 |
事業未実施相当額 |
36 |
富山大学 |
139,498,000 |
3,648,558,000 |
3,680,321,000 |
107,735,000 |
0 |
0 |
3,788,056,000 |
0 |
|
|
|
|
|
37 |
富山医科薬科大学 |
160,490,000 |
3,129,737,000 |
3,219,983,000 |
70,244,000 |
0 |
0 |
3,290,227,000 |
0 |
|
|
|
|
|
88 |
筑波技術短期大学 |
106,445,279 |
1,084,196,000 |
1,168,803,615 |
21,837,664 |
0 |
0 |
1,190,641,279 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
89 |
高岡短期大学 |
98,334,000 |
758,177,000 |
851,945,000 |
4,566,000 |
0 |
0 |
856,511,000 |
0 |
|
|
|
|
|
合計 |
504,767,279 |
8,620,668,000 |
8,921,052,615 |
204,382,664 |
0 |
0 |
9,125,435,279 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
筑波技術短期大学以外は、千円未満切り捨てで暫定的に作成。
積立金の新法人の最初の中期目標期間における使途内訳
(単位:円)
法人名 |
精算のための収益化額(注)内訳 |
計 |
期間進行 |
成果進行 |
費用進行 |
収容定員未達相当額 |
教育研究活動活性化経費未実施相当額 |
事業未実施相当額 |
退職手当相当額 |
事業不用相当額 |
事業未実施相当額 |
36 |
富山大学 |
0 |
500,000 |
324,785 |
344,623,148 |
0 |
58,870,863 |
404,318,796 |
37 |
富山医科薬科大学 |
0 |
0 |
11,177,242 |
134,563,235 |
0 |
73,038,450 |
218,778,927 |
88 |
筑波技術短期大学 |
0 |
0 |
0 |
106,445,279 |
0 |
0 |
106,445,279 |
89 |
高岡短期大学 |
0 |
0 |
0 |
174,272,852 |
0 |
92,876,654 |
267,149,506 |
合計 |
0 |
500,000 |
11,502,027 |
759,904,514 |
0 |
224,785,967 |
996,692,508 |
- (注)精算のための収益化額は、事業年度末日に運営費交付金債務として留置していた金額と一致する。
- (注)新法人においては、上記精算のための収益化額について、使途を特定した目的積立金とする。