国立大学法人の類型化にあたっては、規模、学部構成、附属病院の有無など様々な切り口が考えられるが、財務分析は財政構造が類似した国立大学法人間で比較考量することにより財政状態や運営状況の客観的把握が可能と考えられる。
財政構造に直接的に影響を及ぼすのは、財政規模及び収支構造への影響の2点である。
また、国立大学法人の類型毎に一定規模を確保可能なよう配慮する必要があると考えられる。
財政規模による類型化にあたっては、保有資産の額、事業費規模、学部数、学生収容定員、教職員数などが主な指標として考えられる。
財政規模が相当規模以上の国立大学法人においては、附属病院及び多数の附置研究所を有し収支構造が特徴的と考えられること、管理部門におけるスケールメリット発現が想定されることなどから、大規模大学を一類型とする。なお、以下、学生収容定員は、中期計画におけるものとする。
相当規模未満の大学は、財政規模が比較的小さいため、学部が医科系学部のみで構成される国立大学法人における附属病院、及び学部が教育学部のみで構成される国立大学法人における附属学校が相当程度影響すると考えられること、また、大学院のみで構成される大学、短期学部のみで構成される大学は、財政構造においても顕著な特徴を有すると考えられることから、同様の学部で構成される国立大学法人をもって類型化する。
相当規模未満の大学で、学部等の構成により収支構造において顕著な特徴を有しているとはいえない大学は相当数に及ぶことから、さらに、財政規模及び学部等の構成の双方に着目して分類を行う。
着目点として、附属病院は財政構造に与える影響が相当程度に及ぶことから、医科大学以外の大学で附属病院を擁する大学を一類型とする。
当該分類において附属病院を擁する大学を除外しても、残余の大学が相当数に及ぶことから、当該区分を一類型とすることは、他の区分との権衡にかんがみると適当ではないと考えられる。
一般に、教育研究活動において実験等を必然的に伴う学部等とその他の学部等において、所要経費は大きく異なることから、学部・大学院の学生収容定員に着目して理工系中心と文科系中心の類型に区分し、学生収容定員からは理工系、文科系のいずれに区分し難い大学については、総合的な類型に区分することとする。
上記の分類を基礎としつつ、目的に応じて、例えば、附置研究所が概ね10以上あり相対的に必須の自己収入が少ないと考えられる国立大学法人とその他の国立大学法人、研究経費が教育経費を上回っている研究志向型国立大学法人とその他の国立大学法人などと類型化することも考えられる。なお、この場合であっても、時系列的な比較の重要性に鑑み、一旦定めた類型を保持する必要があることに留意すべきと考えられる。
区分 | 大学 | |
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病院有 | 1.大規模大学 <13大学> |
北海道大学、東北大学、筑波大学、千葉大学、東京大学、新潟大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、岡山大学、広島大学、九州大学 |
2.中規模病院有大学 <24大学> |
弘前大学、秋田大学、山形大学、群馬大学、金沢大学、福井大学、山梨大学、信州大学、岐阜大学、三重大学、鳥取大学、島根大学、山口大学、徳島大学、香川大学、愛媛大学、高知大学、佐賀大学、長崎大学、熊本大学、大分大学、宮崎大学、鹿児島大学、琉球大学 | |
3.医科大学 <5大学> |
旭川医科大学、東京医科歯科大学、富山医科薬科大学、浜松医科大学、滋賀医科大学 | |
病院無 | 4.中規模病院無大学 <10大学> |
岩手大学、茨城大学、宇都宮大学、埼玉大学、お茶の水大学、横浜国立大学、富山大学、静岡大学、奈良女子大学、和歌山大学 |
5.理工系中心大学 <13大学> |
室蘭工業大学、帯広畜産大学、北見工業大学、東京農工大学、東京工業大学、東京海洋大学、電気通信大学、長岡技術科学大学、名古屋工業大学、豊橋技術科学大学、京都工芸繊維大学、九州工業大学、鹿屋体育大学 | |
6.文科系中心大学 <7大学> |
小樽商科大学、福島大学、東京外国語大学、東京芸術大学、一橋大学、滋賀大学、大阪外国語大学 | |
7.教育大学 <11大学> |
北海道教育大学、宮城教育大学、東京学芸大学、上越教育大学、愛知教育大学、京都教育大学、大阪教育大学、兵庫教育大学、奈良教育大学、鳴門教育大学、福岡教育大学 | |
8.大学院大学 <4大学> |
北陸先端科学技術大学院大学、奈良先端科学技術大学院大学、総合研究大学院大学、政策研究大学院大学 | |
9.短期大学 <2大学> |
筑波技術短期大学、高岡短期大学 |
高等教育局高等教育企画課