国立大学法人分科会 業務及び財務等審議専門部会(第5回) 議事録

1.日時

平成17年8月4日(木曜日) 13時~15時30分

2.場所

三番町共用会議所本館 1階 第3会議室

3.議題

  1. 財務諸表の承認等及び経営努力認定について
  2. 富山大学及び筑波技術大学の中期目標・中期計画素案について
  3. 国立大学法人の中期計画変更案について
  4. 国立大学法人の役員報酬規程及び役員退職手当規程の改正について
  5. 国立大学法人等の役職員の給与等の水準について
  6. その他

4.出席者

委員

 荒川部会長、椎貝委員、北村専門委員、清水専門委員、布施専門委員、筆谷専門委員、宮内専門委員、宮島専門委員、山本専門委員

文部科学省

 徳永高等教育審議官、清木高等教育企画課長、小松国立大学法人支援課長、奈良国立大学法人評価委員会室長、その他関係官

5.議事録

荒川部会長
 それでは、これから第5回の国立大学法人分科会の専門部会を開きます。最初に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

 ※ 事務局より配付資料の確認があった。

荒川部会長
 どうもありがとうございました。それでは、議事に入ります。まず、1番目ですけれども、財務諸表等の承認及び経営努力認定につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

事務局
 それでは、説明をさせていただきます。資料の1‐1をまずご覧いただければと思います。6月末に各法人から提出されました89国立大学法人の財務諸表でございます。その財務諸表をまとめ、概要という形で資料を準備させていただいてございます。まず、1ページ目に記載させていただいておりますのが貸借対照表の概要でございます。資産の部といたしまして、総資産額としましては8兆6,993億円という形になってございます。国から承継されました旧国有財産の土地、建物等を含みます固定資産としましては8兆945億円という形になってございます。なお、国立大学法人の特色でございます図書というものがございます。これにつきましては、4,588億円という図書を固定資産で管理するという国立大学法人ならではの財務諸表になってございます。そのほかに、流動資産としまして現預金でありますとか附属病院の未収入金、これが6,048億円と、総額8兆6,993億円という資産の部の合計額になってございます。負債の部でございます。負債の部につきましては、固定負債としまして1兆9,307億円でございます。このうち、センター債務負担金、それから長期借入金、これは旧国立学校特別会計時代の財政投融資金、それからNTTの貸付事業等で長期借り入れを行っていたものでございます。この負債総額として1兆1,326億円という形になってございます。負債総額としましては2兆6,423億円、差額の資本の部であります資本金につきましては5兆8,787億円というような貸借という状況になってございます。次のページをご覧いただければと思います。平成16年度中の損益の概要でございます。まず、経常費用としまして、国立大学法人の教育、研究、診療、それぞれの人件費を含まない事業経費としての決算総額が出てございます。教育経費としましては1,036億円、研究経費としましては1,803億円、診療経費としましては4,284億円という決算の状況でございます。また、役員、教員、職員の人件費総額、合わせまして1兆2,781億円でございます。これは経常費用総額の2兆2,583億円の56.6パーセントに当たるという状況でございます。これに対します経常収益でございます。国からの運用費交付金収益としましては1兆871億円、そのほかに学生納付金等の授業料収益としまして3,559億円、附属病院におけます収益としましては6,245億円という形になってございます。このほかに、移行時限りの臨時損失、臨時収益というものを加味しました当期損益計算におけます当期総利益としましては1,102億円という形になってございます。これについては、また後ほどご説明させていただければと思います。そのほかに、次ページ以降にキャッシュ・フロー計算書の概要、それから業務実施コスト計算書の概要につきましても、89法人ベースにおきましたものを集計させていただいてございます。次に、資料の1‐2をご覧いただければと思います。先般の当部会におきまして、財務諸表の承認、それから経営努力認定に係ります事務局における確認事項というのをご了解いただいてございます。その方針に基づきまして、事務局として確認をさせていただいたものを、ここにまとめさせていただいております。まず、事務局におきましては、合規性の遵守、それから表示内容の適正性、計数等のチェックをさせていただくことについて前回ご承認いただいております。まず、合規性のチェックでございます。2の(1)でございます。提出期限は遵守されたのかということにつきましては、すべての国立大学法人が6月末日までに財務諸表等を提出していただけております。それと、必要な書類はすべて提出されたのかということで、法律に規定されておりますすべての書類が提出されているということも確認しております。それと、一番重要な会計監査人及び監事の監査証明はどうだったのかということでございます。これにつきましては、すべての国立大学法人におけます監査証明について、適正意見表示という形になってございます。財務諸表の承認に当たり、特段考慮すべきものはなかったということを確認してございます。次に、表示内容の適正性を(2)で書かせていただいてございます。まず、記載すべき項目について遺漏はなかったかということで、財務諸表等の提出を受けたすべての書類につきまして、表示科目、会計方針、それから注記等について、遺漏のないものを確認してございます。そのほかに、計数の整合につきましても、基本的に計数の合計等、基本的な計数についての整合は確認させていただいてございます。次のページをご覧いただければと思います。書類相互間における計数の整合はどうだったかということで、主要財務諸表と附属明細書における相互について、基本的に整合しているということを確認しております。その次が、経営努力の関係に重要な案件でございます。行うべき事業を行っているかということでございます。運営費交付金の収益化を行うに当たりまして、行うべき事業をきちんと行っているかということで収益化をしていただくという形になってございます。まず、期間進行基準によります収益化につきましては、学生収容定員の充足率85パーセントを満たしているかどうかというのを確認させていただいてございます。そのほかに、成果進行基準の適用事業につきましては、財務諸表等の補足資料におきまして、行うべき事業を行った分だけの収益化をしているかどうかの確認をさせていただいてございます。それに準じまして、運営費交付金に係る会計処理の適正性というものを次にまとめさせていただいてございます。まず、期間進行基準のところでございます。学生の85パーセント、定員を充足していないところにつきましては、きちんとそれに見合う運営費交付金債務が残っているかということを確認した上で、その残余については収益化されているかということを確認しました。また、成果進行基準につきましては、基本的にプロジェクト事業等が大学で成果進行基準という位置づけをし、なおかつ、その事業内容につきまして進捗状況に応じた収益化がなされているかどうかということも確認させていただいてございます。3につきましては、費用進行基準の中の退職手当相当額でございます。これにつきましては退職手当の予算額につきまして、16年度中に必要となった退職手当総額についてだけがきちんと収益化されているかどうか、残りにつきましてはきちんと債務として残っているかどうかということも確認させていただいてございます。また、それ以外の費用進行基準のところでございます。これにつきましても、基本的に当該年度の執行残、不用額としてきちんと残っているかと、債務として残っているかということも確認させていただいております。上記の確認事項の結果としまして、3で確認結果及びコメントというものをまとめさせていただいております。基本的に、財務諸表を確認した結果、ポツで書かせていただいてございますが、若干、法人相互間における取り扱いの相違というものが認められました。まず、損益計算書の臨時損失、臨時利益のところでございます。物品受贈額と譲与消耗品費等の計上の範囲につきまして、若干の大学間で取り扱いの相違というものが認められております。また、損益計算書の一般管理費の計上範囲につきましても、大学間での相違が若干見られたというところでございます。それと、3番目でございます。キャッシュ・フロー計算書でございますが、ここに科学研究費補助金の出入りが計上してあったりされていなかったりということがございます。ただ、これにつきましては文部科学省の方で、このキャッシュ・フローの計上方法について、大学にお任せするという形の方針を打ち出しておりまして、実際どのような取り扱いをすべきだということを、まだ正確に言っていなかったということもあります。それと、キャッシュ・フロー計算書の資金残高でございます。これと貸借対照表の現預金の金額に違いがあったということでございますが、これも現預金でやるのか、あるいは定期預金等に計上するのかということで、トータルとしては変わりがないということは確認させていただいてございます。それと、決算報告書への国から承継した寄附金、委任経理金の計上方法につきましても、当該年度の委任経理金を計上している大学もあれば、国時代からの現預金をそのまま当該年度に受け入れたというような報告になっているという違いが見られております。セグメント情報につきましても、費用の配賦基準に若干の違いが見られたところでございます。上記の違いではございますけれども、基本的に、会計処理上、容認されている範囲を超えたものではないと、軽微な過誤であるということもあり、いずれも金額の重要性もないということで、文部科学大臣が財務諸表の承認を行う等に当たりまして、事務局としての特段のコメントはないと考えております。資料の次の3ページ目が、運営費交付金の収益化の考え方を一覧にまとめたものでございます。各大学ごとでございますが、まずaでございます。これが平成16年度の運営費交付金の各大学に対します予算措置額でございます。これに対しまして、当期損益計算、あるいは貸借の方で振りかえる額というものはb欄の方に書かせていただいてございます。北海道大学の例で言わせていただきますと、448億円の運営費交付金予算額に対しまして、当期運営費交付金を振りかえることが可能だったものが443億円という形になってございます。運営費交付金債務として残すべき額が5億円という形になってございます。この主な要素としまして、運営費交付金債務の内訳というものをc欄に書かせていただいてございます。期間進行というところが、収容定員未達相当でございます。これが85パーセントに満たない収容定員のある大学につきまして、残っているものをここにまとめさせていただいてございます。
 次の成果進行基準につきましては、各大学ごとのプロジェクト事業で、成果進行で収益化しているものについて、翌事業年度へ事業を繰り越しているものを、ここに計上させていただいております。それから、費用進行のところでございます。これにつきましては退職手当相当額としてお渡しした運営費交付金につきまして、翌事業年度の退職手当に使っていただくというものを、こちらの方に計上させていただいてございます。それから、事業費不用相当額でございます。特定の事業内容に運営費交付金をお渡ししたものにつきまして、当該年度に不用が発生したものにつきましては、こちらの欄で整理させていただいてございます。それから、事業未実施相当というのは、翌事業年度に費用進行ではございますけれども、繰り越して使用可能なものをこちらの方にまとめさせていただいてございます。それで、資料の6ページを見ていただければと思います。6ページでございます。ここが期間進行の収容定員未達相当額のところで、85パーセントの学生収容定員を満たない大学の一覧でございます。旭川医科大学の例でございますが、旭川医科大学の博士課程につきましては、収容定員に対します実収定が64.2パーセント、定員に対する未達人員として43人、それに対します旭川医科大学の運営費交付金算定予算上の学生1人当たりの教育単価が19万円、合わせまして817万円というものを債務として残すと。翌事業年度以降も、これは収益化をしないで、中期計画終了時点において国庫納付すべき額という形でございます。トータル7,794万3,000円というものが、そのように管理すると、今後管理していくケースでございます。その次が、7ページが成果進行基準の一覧でございます。平成16年度の運営費交付金の収益化に関しましては、基本的には期間進行基準と一部費用進行基準ということは、各大学の方に指示をしていたところでございます。成果進行基準の適用につきましては、各大学の学内におけるプロジェクト事業等の位置づけをしていただいて、ご自由にやっていただければ結構ですというような指導をしてまいりました。ただ、平成17年度以降につきましては、特別教育研究経費で措置された事業費につきましては、すべて成果進行基準で収益化しろというふうに財務省からの査定を受けてございますので、来年度以降はここにすべての大学が出てまいります。平成16年度は、基本的には3大学法人だけが、学内におけるプロジェクト事業としての成果進行基準を設けておりました。基本的に、北海道大学はプロジェクト事業として14本の事業計画を立てたのですが、最終的にはすべての事業が当該年度内において終了したということで収益化をしてございます。東京大学の例示でいいますと、まず東京大学の理学部の移転整備事業につきましては、当該年度中に事業が完了したものが1億5,000万円という形で、6,220万円につきましては翌事業年度、要は17年度に繰り越して事業の完成を行うという形の報告が来ています。そういう形で、すべての事業内容につきまして内容の確認を、学内における役員会等の資料等も取り寄せまして確認させていただいたところでございます。トータルとしましては、1億9,700万円ほどを成果進行基準の事業未実施相当額という形で負債で管理し、翌事業年度に収益化をするという形になります。それから、8ページのところが退職手当相当額でございます。これは費用進行基準で使った分だけを収益化するという形で、基本的には決算の終了時点と同時に財務省の方ともすり合わせをしている計数でございます。運営費交付金のA欄が16年度中に退職相当額としてお渡しした額でございます。それに対しまして、16年度中に実際に対象者として退職金の所要額として支払った部分がB欄でございます。A‐Bのところが、翌事業年度の退職相当額という形で負債で管理し、翌年度の退職金に使用していただく額という形になってございます。9ページが同じように費用進行基準で、業務不用相当額でございます。費用進行基準の中で、例えば休職者に対します休職者給与みたいなものは、事業費相当額について予算を措置しているところでございます。室蘭工業大学をご覧いただければ、休職者に対します給与としまして101万3,000円の事業費予算を組んだところ、休職対象者が復帰したことで、途中で未執行、不用となった額というものがございます。こういうものの寄せ集めにつきまして3,000万円ほどございます。これにつきましては、基本的には翌事業年度には要らないという形になりますので、これも負債のまま管理し、中期計画終了時点においては国庫納付という形になるというものでございます。その次の資料10でございます。この資料10が事業未実施相当額でございます。平成16年度は、台風被害等におきまして運営費交付金の補正予算の追加をしてございます。これにつきましては、災害復旧関連でお使いいただくという形で、費用進行での収益化というものを査定でいただいてございます。例えば、北海道教育大学、災害復旧関係で116万1,000円の運営費交付金、それに対しまして当該事業年度内に行われた災害復旧が61万4,000円、残りの54万6,000円につきましては、17年度以降におきましての災害復旧のために充てていただくようなお金でございます。そういうもののトータルとしましては、21億9,100万円ほどが翌事業年度の方へ繰り越されているということでございます。以上が資料1‐2の説明でございます。続きまして資料1‐3でございます。財務諸表と一緒に、同時期に事業報告書と決算報告書というものが提出されてございます。この事業報告書と決算報告書でございますが、これは基本的に財務諸表に添えることとされておりますけれども、当国立大学法人評価委員会におけます意見聴取の直接の対象とはされておりません。ただ、この事業報告書、決算報告書につきましては、当然当該大学の概要でありますとか業務内容についての内容を説明したものでございますので、今回の財務諸表の承認に当たりましての参考情報としての位置づけという形になってございます。当事業報告書と決算報告書につきましては、基本的には標準的な様式というものを文部科学省の方から各大学の方に示させていただいてございます。まず、その事業報告書でございますけれども、基本的には評価委員会の方に提出していただくことになっています業務実績報告書の引用でも構わないという形にしてございます。業務実績報告書の内容等を簡潔に記載されているというものが、結構見受けられるところでございます。また、業務実績報告書にはない年度計画予算でございますとか、資金計画とか収支計画などについても記載することになってございます。それで、提出されました事業報告書、決算報告書でございますが、事務局において確認させていただいたところ、標準的な様式から外れる大学はございませんでした。また、事務局の方で示しました標準的な様式について示した項目について、記載漏れというものもございませんでした。事業報告につきましては、先ほどもご説明しましたように、基本的には業務実績報告書をより簡便な表現にしている大学が過半でございました。それと、次のページでございます。決算報告書につきましては、平成16年度の年度計画の法人初年度予算につきましては、まだきちんとした見積もりができていなかったと、まだ移行でしようがなかったということもございますが、予算の見積もりとその後の事業の推移の格差というものがかなり見受けられております。ただ、この内容をよく調べてみますと、例えば17年度の入学者に係る授業料の前納を取りやめたことによりまして、実質的な16年度の授業料収入というものが、予算に比して少なかったというような事情もございます。これにつきましては、17年度にその分が授業料収入として入るということも考えれば、法人の判断で前納をやめたのかという形で判断できるというふうに思われています。そのほかに人員の計画管理でありますとか諸手当の見直し、それから施設整備の事業の遅れによる繰り越し、また病院におけます診療単価の増でありますとか、患者の増によります病院収入の増等の理由による差というものが出ている状況でございます。以上、確認しました結果としましては、事業報告書及び決算報告書についても、何ら特段、事務局としてコメントするものはないということにさせていただいております。それで、机上に配付しております机上資料の2というものをご覧いただければというふうに思います。机上資料の2でございます。先ほど、損益計算書のところで、当期総利益としまして1,102億円の総利益が出てございます。まだ、これは机上資料未定稿となっておりますのは、文部科学省の方でこの1,102億円の剰余金の発生理由というものを分析したものの案を、今回お示しさせていただいてございます。これについては、基本的にご意見等をいただければ、さらにもう少し分析をしたいというものがございますので、今回ご披露させていただければと思います。まず、国立大学法人におけます剰余金の位置づけというものを(1)のところで整理させていただいてございます。まず、国立大学法人は、基本的には計画どおり教育研究を行えば、損益が均衡するような財政措置というものがされているということでございます。その上で、損益計算におきまして収益から費用を引いた差額であります剰余金、これは利益でございますが、この生じたものにつきましては文部科学大臣の承認を受ければ、法人の裁量で教育研究の充実の方に充てることができるというインセンティブを与えているということになってございます。株主に対する配当を前提とした株式会社の利潤と位置づけが相違ということでございます。結果としまして、1,102億円の剰余という形になってございますが、基本的に中身を見させていただきますと、官庁会計時代におけます現金主義の発生認識のところから、企業会計における発生主義に変更になったことによります会計ルール上の要素というものが、かなりのものを占めているのではないかと分析させていただいてございます。その剰余金の要因であります主な収益の増要因というものを、先取り形式で、ここで分析させていただいてございます。まず、旧国立大学当時から承継しました未収の授業料でありますとか、未収の附属病院収入などの未収金というものを、法人移行時に限り一度に臨時の収益という形での収益認識をしなければいけなかったということでございます。この分につきましては、収益ベースで201億円ほどの収益の計上という形になってございます。ただ、これは当然16年度限りの要因ということでございます。それと、2におきまして、15年度末におけます医薬品とか、病院におけます医薬品とか診療材料の在庫相当額、これにつきましても国の時代にその医薬品等の購入はしております。それを移行時に当たりまして、各法人の方にそれを承継するという形になってございます。法人の初年度におきましては、それを一時的な収益として認識していただくことになってございますので、それが148億円でございます。これも、基本的には16年度限りの特別な要因という形で整理させていただいております。それから、3のところでございます。これが会計ルール上の話でございます。国から承継されております附属病院におけます診療機器等につきましては、会計ルール上、これは先行する独立行政法人と同等のルールでございますが、資産見返勘定というものを計上しまして、減価償却を損益に影響させない取り扱いという形にしてございます。ただ、当該病院におけます診療機器等につきましては、減価償却相当額についても収益の獲得が予定されるということもございますので、その差額、その部分についてが収益の要因となっております。これは国から承継しております部分の診療機器に関する部分だけでございますので、基本的に数年間、いわゆる減価償却期間が終了するまでは、漸減的に影響が出てくるものでございます。これが16年度に限りましては、436億円ほどの収益要因になっているのではないかというふうに分析させていただいてございます。そのほかに、4番のところでございます。これにつきましては、病院で購入しております、借入金で購入しております診療設備等でございますが、ここの借入金の償還期間と減価償却期間というものにタイムラグがございます。このタイムラグの差というものが、今回の剰余金の差という形になってございます。その部分を推計しますと、262億円という形になってございます。その他としまして51億円と。これは、その他もろもろの要因という形の整理でございます。その次のページをご覧いただければと思います。基本的に、では16年度決算におきます剰余金のうち、17年度に国立大学法人が直ちに使用できるものはどれだけあるのかというのを推計させていただいてございます。基本的に、直ちに使用できるものというのは、現金を伴う剰余金という形で整理したいというふうに考えてございます。今回の剰余金につきましては、会計ルールの変更等により生じた収益というものが大多数でございまして、必ずしも現金を伴うものにはなっていないという状況でございます。剰余金で事業を行うためには、支払いのための現金が必要ということで、これに見合う剰余金がどれだけあるのかというのを、国の決算ベース、いわば現金の出入り、認識したベースに置きかえて推計させていただきますと、約239億円ということになると思われます。この239億円が、国立大学法人が翌事業年度に法人の裁量で直ちに使用できる資金の額というふうに、整理させていただければというふうに思われます。これは国立学校特別会計時代にはできなかった取り扱い、法人になって初めてこのような取り扱いができたところでございます。法人化のメリットなり、経営努力で出てきたものというふうに考えられます。その他の剰余金は、国から承継されました建物等の売却をしなければ、基本的な使用が不可能な剰余金であるのではないかというような整理をさせていただいてございます。以上が、一応、事務局としまして分析をさせていただいたものでございます。ご意見等、ご指導等をいただければと思います。机上資料の3、机上資料の4は、上記のものを少し詳細に書かせて整理させたものでございます。それで、資料1‐4でございます。今後の承認、それから努力認定スケジュールでございます。本日、8月4日が部会で財務諸表の承認、努力認定につきます意見というものをいただければと思われます。当意見につきまして、今後の作業でございますが、基本的には8月中には財務諸表の承認をし、その時点におきまして各大学の方に通知したいというふうに考えてございます。なお、並行いたしまして、経営努力に関しましては、財務省の方との個別協議が必要になってまいります。基本的には同時期の承認というのを目指したいとは思っておりますが、こればかりは相手のあることでもございますので、今は事務的に10月のあたりに置いてありますけれども、なるべく早く承認を得て各大学の方に通知できるような努力をしてまいりたいと思っております。以上でございます。

荒川部会長
 どうもありがとうございました。ただいま説明がございました、この資料1から机上資料につきまして、これからご意見を伺いたいと思います。どなたかいかがでしょうか。

北村専門委員
 ちょっと会計処理の問題について、ちょっと教えていただきたいものがあります。机上資料の2の2なんですけれども、医薬品や診療材料の在庫相当額などがあるということで、これについては、具体的にはどのような処理なのでしょうか。とりあえず物品の場合には両建てをして臨時損益を上げており、したがって通常、損益には影響を与えていないという処理がなされているわけですけれども、この医薬品、診療材料については特別な処理がなされているわけですか。

事務局
 お答えします。2の平成15年度末における医薬品や診療材料の在庫相当額、148億6,800万円を計上しておりますけれども、考え方としましては、まず国立学校特別会計の時代に費用の支払いは済んでいる医薬品や診療材料につきまして、その実際に使用する段階、国立大学法人になった後にそれを収益として認識していると。費用と収益は対応していない。ここに基本的にはと解説にございますけれども、現金主義から会計主義における発生主義に変更になったと。その会計ルールの変更による移行時の問題として、このような収益が上がってきていると考えてございます。

北村専門委員
 確認ですけれども、収益として計上したというと、医薬品でなく、診療収入があるから、結果的に収益を計上しているという言い方なのかと思います。したがって、この額を収益として計上したという表現が、外部の人が読んだときに誤解を受けるのではないかという気がいたします。

事務局
 表現の方は訂正させていただきますが、事実関係としてはおっしゃるとおりでして、国の時代におきましては、医薬品や診療材料等のいわゆる消耗品を取得したときには、即、払い出しをしておりました。また、在庫として管理はしていたけれども、会計帳簿等には反映させていなかったという状況でございました。

清水専門委員
 ただいまの2の前のところの1なんですが、未収授業料による未収収入のところですが、これは法人化の前までの段階で、徴収不能資産との対応関係はどういうふうにして処理されていて、結果的にここに計上されている201億円なる数字が、未収授業料の潜在的なすべてではなくて、徴収不能資産という処理済みの結果ですか。

事務局
 1で未収授業料及び未収附属病院収入としまして201億4,200万円を計上してございますが、これは国立学校特別会計のときに、歳入徴収官が歳入徴収決定を行って、その歳入徴収簿という債権管理簿がございまして、そこに登載がなされていた金額の全額であるということでございます。国の時代におきましては、企業会計におけるような徴収不納処理、貸し倒れ処理等は行っておりませんので、全額が計上される形になるという形になってございました。

椎貝委員
 これはあくまでも15年度末のものですか。

事務局
 ここで計上してございますのは、15年度末の金額でございます。

北村専門委員
 この原稿は最終的にはインターネットで見られる形になりますか。

事務局
 基本的には、全体の決算を広く公表したいと思っていますが、その段階において、誤解を与えないように関係者に説明したいと思っておりますので、先生方からぜひご意見いただきまして、正確なわかりやすい表現にしたいと思っております。

北村専門委員
 その上で言いますと、4をそのままの文で見たら理解できない部分ですね。借入金償還額と減価償却との差額というものでは、これだけ損益、差額が出るはずがないというのが一般的な考え方だと思いますので。

事務局
 机上資料の3を、お手数ですがご覧いただきますと、机上資料の3の5ページ目のところに、借入金の償還と減価償却のタイムラグについてと。こういったペーパーを、机上資料3と、それに続きます机上資料4を、先ほどの机上資料2と同時に配付することによって、中身のご理解をいただこうと考えてございます。考え方等に遺漏があれば、教えていただきたいと思います。

北村専門委員
 借入金の元金償還がこれというのは、その借入金は何という結びつきがないと、借入金を返したものと減価償却との関係というのは一切ないわけですね、基本的には。ただ、その借入金が、全部返済元金が収益に計上されていると、そっちの方の問題だと思いますので。机上資料の4をもし書きかえることができるとすれば、借入金元金、償還、とにかく収入源を書かないと読んだ人がわからない。

事務局
 意見を踏まえまして、修正させていただきます。

山本専門委員
 インターネット上で公開されるという点では気になりますが、事務局にご確認いただいた確認結果及びコメントというところの資料1‐2で、これは専門的などうかということの判断で事務局から出ていると思いますが、これ以外、ちょっと抜けているものがあるのではないのか。例えば、先ほど来から出ております引当金で、授業料について計上しているところと計上していないところがあるとか。あるいはキャッシュ・フローで同じ教育系の大学ですね。こういうところがゼロになったり、国立大学法人会計基準と独立行政法人会計基準の違いは、法人間を比較担保するというもう一つの大きな目的があったわけです。ですから、それをもし正しいとすれば、将来的にということを、もし財務指標の比較お考えになるということであれば、これはこれでいいと思うのですが、将来に向けての課題として、書いておかれた方がいいと思います。

事務局
 おっしゃるとおりで、今後、きちんと統一をして、両者を比較した上で大学評価をしていこうというのが正しい方向だと思いますので、ご意見いただいて、統一的な取り扱いにすべきと感じる点は、評価委員会のご意見として、逆に書き加えていただいた方がいいと思います。

舘専門委員
 まず分からないのが、この剰余金の資料は国立大学全体の状況になっておりますけれども、剰余金の問題は個々の法人レベルですよね。だから、剰余金のある大学とない大学とかいろいろある。それが、細かな評価になっていくような気がするのですけれども。
 もう一つは、机上資料の、1ページを見ると1,100億円の説明は、これ基本的に病院の話だけですよね。そうすると、剰余金にかかわるというのは病院だけの話なのか、「その他(差し引き)」という残りのところの50億円が、では病院以外のところかなということだと思うけれども、そういう理解でいいのか。
 そうだとすると、次の2ページに、今度は1,102億円という数字があって、違う観点から見ているということで、現金化できるもので見ると239億円というお金が出てくるということ、流れがちょっとそもそも素人的には理解できないという感じがするのですけれども。全体と89法人というと、それから1,100億円の2ページ目の説明、これを合計すると1から5でその額になると思うんですけれども。剰余金の問題というのは、病院会計なのか。病院というのは私の認識では赤字だと思ったんですけれども、剰余金というのは会計上の処理をためていたんだという説明にもなるんだと思うんです。そうすると、赤字的な部分はどうなるのか。

事務局
 基本的に、個別大学につきましては、私どもの方で一応、委員会のご意見を踏まえた上で、説明文書をつくりたいと思っておりますが、それを踏まえた上で個々の大学についても、同様の趣旨の説明をしていくようなことにしたいと思っております。
 それから、また詳細なところで、未収の授業料ですけれども、基本的には、もちろん学生の授業料の未納分というのがありますから、基本的に病院だけということではございませんが、現に国立学校特別会計のときから2兆6,000億円のうち、およそ7,000億円が病院にかかるものでございまして、そのほかの部分については余り大きな、そもそも変更要因というのは余りないところでございまして、基本的にいうと病院部分が特にそういったものが発生します。要するに、病院が赤字ではないかというものは、これはいわばトータルとして、病院、いわゆる俗に言う病院が赤字だというのは、教育研究にかかる費用を含めて、一切合切、病院の人件費を病院の収入で賄えないから赤字だという意味でもございますし、あるいは狭義に教育研究費及びそれにかかる人件費を除いて、さらに病院収入だけ考えましても、今後、2パーセントの経営改善が求められていく中で、これではできないと。今回も財務センターへ償還金という問題がございまして。当然、正直に申しますれば、17年には経営改善努力が求められますから、このところが直ちに厳しい状況になってくるわけでございます。そういう意味では、極めて瞬間的な情報です。
 ちょっと机上資料2の説明資料の2ページをご覧ください。若干、すぐ使えるところでいいますけれども、2月、3月、病院に未収金があるのは毎年当たり前のことなんですね。効率化係数で毎年100億円、経営改善で100億円を求められていきますので、逆に来年以降は51億円の部分が199億円ないと赤字になってしまうという状況だと認識しています。

宮島専門委員
 こういうことをここで検討する理由の1つは、各大学における財務や経営に関する改善というものを、どのように改善すべきかということを、示唆するなり内容を直接伝えるなりする必要があると思います。そうしますと、先ほどの説明では、ある程度はやむを得ない、当然のことであって、従来どおりやればいいというようなメッセージを送ることになりかねないので。それから、国立大学関係者にとっては、何としても赤字を出さないことがまず最大の目的と見たのではないかという気がしてしようがないのですね。とにかく最初から大幅な赤字をしたら、良い評価をされる機会が閉ざされるという懸念があったんじゃないかと。どうもあれが、国立大学は予想以上に経費の節減に対して、かなり懸命になったというようなこともあって、そっちの方にウェートがかかってしまったところがある。その結果として、場合によっては剰余金が出てきているということもあり得るわけで。ですから、その辺は収支として、大学の結果というのは、経費と収益と両面から起こるわけで、他方で、自己収入なり、そういう努力を少し記載する必要があるのではないかと思います。
 もう一つは、これは質問ですけれども、実際、会計システムが本当に動くのかどうか、これを心配していたのです。果たして全部の法人で、このシステムにおきましては、それはきちんとうまくいったのかどうかなど、できればこの際、少し教えていただければ。

事務局
 財務会計システムの件でございますけれども、財務会計システムは導入に苦労された大学があるというようには聞いておりますけれども、結果として、その大部分は動いているというように聞いてございます。完全な形で稼働しているかどうかというのは、その大学によってまちまちですけれども、その主要な部分については、少なくとも財務諸表が出せる程度には動いたというふうに認識してございます。
 あと、大学において、国立大学法人会計基準等がどの程度膾炙されているかといった質問についてですが、今、会計検査院等からいろいろ細かな点について指摘を受けているような状況ではございますけれども、その趣旨でございますとか、大どころで大きな間違いがあるといったような状況はありませんで、主要な部分について、きちんと大学のキーパーソンの方にはご理解いただいておられる状況にはあると、そのように認識しております。以上です。

宮内専門委員
 先ほどの舘委員のお話について、これは全体の大学について、附属病院を持っているところだけの話ではなくて全体の話ですから、1はまさしく未収附属病院収入だけではなくて、未収授業料を含めた数字として出されているということであろうかと思います。そういう意味では、構造的な問題としてこれだけ大きな数字が上に出てきていて、残ったものの50億というのは、恐らく理屈の上では経営努力、自己収入等の増加等を各法人で行った結果の数字になっているのではないかと。ただ、この数字が本当にその数字になるのかどうかというのは、また検証する必要があるかもしれませんが、事務方で拾い上げていっていただいた数字だと思いますので。
 先ほど、山本委員からもありましたが、確かに3の国から承継された診療機器の減価償却費の問題については、これをこの後もずっと放置していていいのか。私も会計基準を作った責任の一端を感じておりますのが、これは明らかに想定していなかったところです。その結果の影響が、今年度だけで終わってしまうのであれば問題ないのですが、今後もやはり残ってくるということであれば、これを毎年、説明し続けなければいけないのか、それともルールを変えて修正をできるような形にした方がいいのか、その辺を再度ご検討いただければありがたいと思います。
 それから、先ほど宮島委員の方から言われた、確かに私もこれを見ていて、特に4との関係でいくと、附属病院が赤字じゃなくて実は利益が出ている。たしか附属病院で名実ともに赤字が出ているのは1カ所だけで、ほかのところは多分、全部利益が出た格好になるんですね。ところが、この利益というのは、ほとんど資金的な裏づけのない利益になっておりますので、今の考え方からいくと、目的積立金で経営努力認定の対象になってしまっている。そうすると、作りとしては、その積立金をもとに何らかの計画を立てて設備投資等まで行うことが可能であるという数字に割り込んできてしまっていると。だから、表面上、出た積立金をもとに、次の拡大アクションを起こしてはいけないよという警告を出すことの方が、私は重要じゃないかという感じを持っておりますので、それはまた形がどうであれ、メッセージとしてお伝えいただいた方がよろしいのではないかというように思います。

布施専門委員
 私も、委員の皆様方から出た意見と同じですけれども、ちょっと机上資料は、難しいという気がしておりまして、その参考として、机上資料3の、例えばさっきの資料2に当たりますか、これを読んでもまだまだ難しいなと思っていて。恐らく資料2の2行目の借入金の元金償還に見合う収益の獲得があることを前提としているという、こういう前提が置かれているんですけれども、ここがまたよくわからないということなのだろうと思うんですね。ですから、やはり最終的に公表するときには、少し文章をよりわかりやすくということが必要なのかなというふうに思いました。
 あと、ちょっと今までの議論と少しずれますが、資料1‐3の3の中で決算報告書と、予算と決算の差異が記載されているところがあるということですが、これは最終的には外部に公表されるものかどうかというのがちょっと気になっていて、それはされないということでしょうか。

事務局
 法律上、本部に据え置いて、外部に対して閲覧するということと、インターネット等で公表することを努力目標として定められているということでして、官報等では掲載されませんけれども、ホームページ等では出る可能性がございます。

布施専門委員
 この中で、資料1‐3の2ページの方で、確かに私もいろいろと予算と決算の差を拝見していたところ、このような4点ぐらいのところがすごく出ていたことは事実なんですね。その中で、特に気になるのは、2つ目のポツのところの人員の計画管理や諸手当の見直しというのがあって、これが大学によっては、普通、人件費でそう狂わないと思うんですね、固定費部分ですから。業績でやっている民間企業のような、そういう増加、減少をするわけでもないので、2パーセントとか、そのぐらいは狂っても仕方がないなと思うんですが、これは7パーセント、8パーセント狂う大学も見受けられたと。資料を見て。これはもともとの予算の立て方のその部分が、実績の部分と違っているんだろうということなんですけれども、ただもともと予算というのは、収入と支出というのは常に費用が対応して利益ゼロみたいな形で組まれているところに剰余金が出てきているということは、例えばもともと人件費を相当過大に見ていて、実際にはそんな払う必要もなかったのに、そこで利益を出したんだというふうに、逆にそういうふうに見られてしまう可能性もあるのかなと。初めから予算を多目に見とったんじゃないかというふうにも見られかねないので、この予算の立て方も含めて少し考えないといけないのかなというのが、ちょっと財務諸表などを拝見したとき、特に前期比較ができないだけに、今回はそういうところが気になったということでございます。

事務局
 大学の場合は、特に教官につきましては、私の方から強く教官は公募で選任するよう言っております。それと、あと、その大学、当然公募期間中は欠員が生じまして、1年間を通じて欠員ということはないんですが、特に大きな大学の中で広がりますと、いわば延べ三月というような欠員の累計というのは、だから、当然、大学によっては期間中に、結構、補正予算を計上して、余りそういうことがないようにするんですが、若干、大学によっては一切そういうことをしなかったということでございまして、私の方からすれば、ちょっとここを、もし仮に、今、先生ご指摘のような、もし誤解を招くことになりましたら、かえってマイナスになりますので、こういったものを公にする場合は、表現を改めたいというふうに思います。

清水専門委員
 資料1‐2のところで、1ページ目の(2)の「記載すべき項目について明らかに遺漏はないか」で、会計方針、注記等というのが書いてあるんですけれども、この製本された財務諸表で重要な会計方針が書いていないとか、抜けているのが3つか4つあるんですよね。見たら落丁でもあるし、あるいは書いていないのもあるのかもしれないので、これそのまま外に出てしまうと、重要な会計方針というのはまさに重要なわけだから、という気がしましたので。このままだと問題かな。

事務局
 基本的には落丁でございまして、個々の大学のホームページ等で公表するときには、当然重要な会計方針等を載せることになります。

清水専門委員
 最初の剰余金の話に戻るんですけれども、机上資料の2ですね、1ポツ最初の表現ですが、表現上の問題もさることながら、もしもこれを文字どおり受け取りますと、過渡期の、法人化初年度にあたって前期までの非法人段階での剰余金とみなされる収益を計上することによって、損益の均衡が成立していると。だとすると、その法人化以前のさまざまな収益を繰り越し計上したわけですね。それが無くなった以降は、損益が均衡するような財源措置として、51億円では到底対応できない。一層剰余金を積めという理解が成り立つような表現だと思いますがそれでいいのか。

事務局
 表現が不適切でございまして、ご指摘をいただきました損益が均衡するよう財源措置というところは、収支が均衡するように運営費交付金等を措置するという趣旨でございますので、これは簡略的な表現でございますけれども、収支が均衡するように財源措置というふうに表現を改めたいと思います。

椎貝専門委員
 机上資料の2の1と2ですが、再度、移行時限りの要因と出ていまして、これは大部分は理解できるんですが、移行時というのはどのぐらいのことなのか。

事務局
 平成16年度限りという意味でございますので、文言を修正させていただきます。

荒川部会長
 ほかに、いかがでしょうか。はい、どうぞ。

事務局
 今、この剰余金のことについて、別の原稿をつくっている理由は、客観的に説明したいというよりは、ここで、話し合われているように、基本的に、当然のこととは違いまして、世の中にこういうのを出しましたときに、全く国語的に、かつその会計の知識が全くない方、例えば新聞記者の方とかの前で説明をいたしますので。そうすると、ものすごく単純な話で、中身はよくわからないけれども、国立大学法人て1,100億円も儲けているのかと思われてしまうのは問題ですので、そういう意味で一定の知識がある方などについては、少し説明すれば分かっていただける話なんですけれども、往々にしてそういうことがないまま、全く単純に利益が1,100億円も出ているのかみたいなことだけが流れるといけないという意味で、客観的に間違った表現では困りますけれども、一方である程度わかりやすくという意味で、ほかにもこんな表現ができるかというのを、いただければありがたいと思います。
 もう一点、ちょっとすみません、そのことを大分今日話題にしていただいて、参考になっておりますけれども、先ほど宮島先生からご指摘のありましたように、そのメッセージを出していく上で、この件はそういう意味では、まさにそういう方面の話で、国立大学の皆さん、これから財源の努力をどういうふうにしていくかということとちょっと関係がないものですから。例えば、我々としては、期間進行、成果進行、費用進行というような形で見ていたわけでございますけれども、その今の進め方とかを見て、それぞれについて、こういう点をもう少し工夫したらいいんじゃないかとか、各大学でやってみる必要があるんじゃないかとか、ご覧になられたときに、大学によってはもう少し別のことを考えた方がいいんじゃないかとか、そういうようなことをお感じになったことがありましたら、個別でも結構ですので、ちょっとその感想なりとも聞かせてもらうと非常にありがたいものだと。

北村専門委員
 1つは、それと関係なくて前に戻るんですけれども、結局、利益分析をやったらこうだったと。その結果、何かというと、ほとんど初年度の移行時の特例だったということ。それによって出たものが、果たして経営努力という認定でもって、全額目的積立金の対象になっていいのかということですね。そこのところ、非常に問題だと思うんですけれども、それが前の部分と。
 それと、もう一つは、いわゆる成果進行基準というのも、何校かでとっているわけですね、初年度として。2年度目から全校がとるというものです。まだ、よく見てはいないんですけれども、成果進行基準の補足説明上のところで見ると、ほとんどのところ、業務が済んでいるところはプラスマイナス0で出てくるんですね。成果進行基準というのは、独立行政法人の場合もそうですけれども、費用進行基準だったら成果が反映されないから、成果進行基準に変えるという話になっているわけですね。成果進行基準なのに、何でプラマイ0で出るのというのがよくわからないんです。逆に言ったら。ですから、それを成果進行基準をとった意味がないんじゃないかなと。だから、もうちょっと成果進行基準をとるのであるならば、収益は100パーセント計上されるかもしれないけれども、それに対応する経費、事業というのはプラマイがあってしかるべきで、ないのはかえって成果進行基準じゃないんだということだろうと思うんですけれども。

荒川部会長
 この財務諸表等の承認、それから経営努力の認定に当たりましては、私たちの評価委員会が文部科学大臣に対して意見を述べるということになっているわけですね。本日、いろいろな意見をいただきましたが、よろしいでしょうか。それでは、進めさせていただきます。では、次に富山大学、それから筑波技術大学の中期目標及び中期計画素案につきましてご意見をいただきたいと思います。これは10月に、富山大学等、3大学を統合して、新しい富山大学がつくられたと。また、筑波技術短期大学は4年制の大学になったということで、筑波技術大学になると。このことから、新しい中期目標・中期計画の素案の素案についてご意見を伺いたいと思います。

事務局
 それでは、富山大学及び筑波技術大学の中期目標・中期計画の素案についてご説明をさせていただきます。お手元の資料2をご覧いただきまして、本案件につきましては資料にございますように、本年10月1日をもちまして、国立大学法人富山大学、富山医科薬科大学及び高岡短期大学の3大学を統合して、国立大学法人富山大学が設置され、また国立大学法人筑波技術短期大学、3年制でございますが、これを4年制大学化し、国立大学法人筑波技術大学として設置されるものでございます。それで、今回のこの案件の中期目標・中期計画の期間につきましては、新法人が成立する平成17年10月1日から平成16年4月に成立した国立大学法人の中期目標期間の終了時点である平成22年3月31日までの4年6カ月間とさせていただきたいと思います。なお、旧国立大学法人の中期目標期間中の業務実績につきましては、これを参考とした上で新国立大学法人の業務実績の評価を行うこととさせていただきたいと存じます。それから、今回の中期目標・中期計画の素案についてでございますが、本年6月29日の評価委員会総会におきまして、新大学の中期目標・中期計画の素案の本文の部分につきましてご意見を伺ったところでございます。今回、本部会におきましては、中期目標・中期計画の別表に当たります学部研究科等、予算、収支計画及び資金計画などについてご意見を伺いたいと存じます。また、今後の審議でございますけれども、平成17年10月の新大学設立後に両大学から、改めて役員会を通りました中期目標原案・中期計画案が提出され、評価委員会総会においてご審議いただく予定になってございます。中期目標・中期計画の素案の概要でございますが、4枚ほどおめくりいただきますと別添3という資料がございまして、富山大学をちょっと例にご説明をさしあげたいと思いますが、富山大学、中期目標・中期計画で、ちょっと抜粋で整理をさせていただいておりますが、1枚おめくりいただきますと、予算、短期借入金の限度額等々というものが表記されてございます。予算につきましては、平成17年度、10月からでございますが、21年度、4年6カ月分の推計予算、運営費交付金算定ルールの各種形成等に基づく法人の見積もりが出されております。これは具体的には、ページ数でまいりますと、富山大学の資料の4ページ目にございます。それから、8ページ目になりますが、収支計画として推計予算を発生主義ベースに置きかえて、損益計算書の形態にあわせて見積もった計画が表記されてございます。さらに、9ページ目に資金計画として推計予算、これも現況の出し入れに着目し、キャッシュ・フロー計算書の形態に合わせた、見積もった計画が記載されてございます。それから、短期借入金の限度額と。これは事故等の発生のため、資金繰りが困難となったような場合の借入金、一年未満、その限度額を示すものでございます。それから、重要な財産を譲渡し、また担保に供する計画と。これにつきましては、譲渡計画、あるいは担保計画がある場合について記載をするというものでございます。それから、剰余金の使途につきましては、決算上の剰余金は経営努力認定、先ほど意見がございました経営努力認定を受けることによって、目的積立金のその使途を示すものでございます。それから、その他として、災害復旧に関する計画等について記載をしてございます。それから、10ページになりますが、ここには学生受け入れ、収容定員の計画につきまして別表として整理をしてございます。これにつきましては、学生受け入れが始まります平成18年度、具体的に申し上げますと、今回、高岡短期大学を高岡短期大学部として平成17年度は残し、その学生がいなくなるまでは学年進行で残りまして、新たに平成18年度から芸術文化学部と、中ほどちょっと上段にございますが、芸術文化学部として学生受け入れを開始するということで、こちらの方に数値を書き込んでございます。以下、別添4として、筑波技術大学も同様の形で整理をしたものでございますので、あわせてご審議いただければと存じます。よろしくお願いいたします。以上でございます。

荒川部会長
 どうもありがとうございます。ただいま、この両大学の中期目標・中期計画素案につきましてご説明いただきましたが、このことについてご審議をお願いいたします。

荒川部会長
 この短期大学の学生の収容定員は4年制化すると減るのでしょうか。

事務局
 高岡短期大学から芸術学部になるんですが、充足定員は収容定員との関係で2年制が4年制になりますので、施設の関係もございまして、そのままにしますと収容できなくなりますので、それを見越した形で入学定員の設定をしております。

荒川部会長
 いかがでしょうか。はい、どうぞ。

椎貝委員
 ここで中期目標と中期計画というのがあって、普通は目標というのは、これをやろうということで、中期計画というのは、そのためにはこれこれのことをする、という形になるんじゃないかと思うんです。例えば、教育内容等に関する目標というのがあって、教育内容等に関する目標を達成するための計画、それから、アドミッションポリシーを明確にする、と書いてあるんですが、どういうアドミッションポリシーを目標としているのかということが必要なんじゃないかと思います。

事務局
 具体的な表現、内容につきましては、大学の判断にお任せをしているところでございますけれども、そうした意見があったということも踏まえて、大学の方とはまた、この分につきましては調整をさせていただきたいと思います。

椎貝委員
 どこかの時点では、具体的にアドミッションポリシーについては、我が大学ではこういうことをやるというのが必要なんじゃないかと思います。

荒川部会長
 ほかに、いかがですか。それでは、3番目です。国立大学法人の中期計画変更案についての説明をお願いします。

事務局
 中期目標・計画変更案について、資料3に基づきましてご説明させていただきたいと存じます。本案件につきましては、PFI事業に係る変更案でございます。当該PFI事業につきましては、既に中期計画の本文中に、その事業を確実に推進するということで表記をさせていただいている案件でございますが、今回、6大学、7事業につきまして、PFI事業による債務負担額が確定したことによります計画の変更でございます。具体的には、各年度ごとに、その総事業費を示すものを記載いたしまして、それが確実に行われるというような形で記載をするものでございます。個々については、詳しくご説明いたしませんが、本事業につきましては既にPFI事業として文部科学省において選択をいたしまして、既に実行するということを認めた上で、今回、本格的にその額が固まったことによって、その計画を示すという変更内容でございます。よろしくお願いいたします。

荒川部会長
 ただいまの資料3の6大学の変更につきまして、説明がありましたがいかがでしょうか。

宮内専門委員
 総事業費というか、債務負担の期間が、中期目標期間を超えるというふうになっていて、ここで出ている総事業費の関係で、中期目標期間における総事業費なのか、それともそれ以後のものも全部ひっくるめた総事業費なのか。そうすると、中期計画の中で取り込まれる予算と、そうでない予算が出てくるように思えるんですけれども、その辺の関係はどういうふうに、またここでどういう議論をしたらよろしいのか、ちょっと見えないんですが。

事務局
 すみません。具体的には、この額につきましては、これから財務省ともしっかり協議をしなければなりませんが、ちょっとこの表を見ていただきますと、中期目標期間中、本期、目標期間中でございますが、平成21年度まで、具体的に各年度ごとに数字を入れ、当該、目標期間中の小計ということで、まずそこまでを今回の期間中の額として示し、さらに次期、中期目標期間中にかかる事業費として右の欄に記載をさせていただきまして、あわせて総事業費というふうに記載をして、表記させていただいております。

宮内専門委員
 というと、ここで議論の対象になるのは、中期目標期間の数字という、そういうことになるんですかね。

事務局
 この評価委員会の法的性格上、形式的には中期計画期間中のことについての審議ということになりますが、そうはさりながら、その上で、その際、ご審議いただくときの、いわば踏まえるべき全体の状況なりを予見として、これは全体計画というのがあるということでございます。

荒川部会長
 よろしいですか。先ほど申し上げました、中期計画の変更につきましては、評価委員会は文部科学大臣に対して意見を言えるということになっておりますので。今、確認の質問がございましたが、特に意見がなければ。

宮島専門委員
 PFIの取り扱いは、少し前とは変わったんですか。

事務局
 大変残念ながら、本来の意味でのPFI手法は採用しておりませんで、単純に一般の平準化ということだけでございます。

荒川部会長
 ほかに、いかがでしょうか。

筆谷専門委員
 施設整備補助金と運営費交付金の内訳についてはどうなっているんでしょうか。

事務局
 この運営費交付金と施設補助金と分けておりますけれども、その区分につきましては、施設補助金の方につきましては、国の予算で、国債発行対象経費が対象となっております施設整備補助金で払うべき金額と、その残りの運営費交付金となっておりまして、具体的には施設整備補助金として入っておりますものは、設計費であるとか建設費であるとか、そのような経費。運営費交付金の方は、そのあとの維持管理費、運営費、金利、そのようなものが計上されております。以上です。

事務局
 基本的に、運営費交付金の中には、当然その分については別途積算がございますが、運営費交付金の性格上、いわば使途は全く自由でございますが、極端なことを申し上げれば、運営費交付金で、こういう積算がどこまで明確なるのか。もちろん積算としては上げましても、そのことについて、一対一対応で運営交付金が来るかどうか不明確ではございますが、積算として書いた以上は、大学としてその経費に充てるというある種の責務がございます。一方で、施設補助金でございますが、これは単純に単年度、単年度、国の補助事業でございますから、こちらは期待値ということになります。

宮内専門委員
 先ほど議論とは違うのかもわからないんですけれども、たしか国立大学法人、PFIの会計については、ペンディングのままであったように記憶しているんですが、ここでこういうふうに出てきたときに、いわゆる一般的な話としては施設費にかかわる会計処理の問題と運営費交付金にかかわる問題とが、このままでいくとちょっと解決できないままになってしまうような気がするんですが、そこはいかがなものなんでしょうか。

事務局
 PFIの検討につきましては、今、ご指摘がございましたとおり、会計基準等検討会議の場所では、事務局案は示させていただきましたけれども、それで一定の結論に達したという状況ではございませんでした。会計処理については、ただその考え方としまして、施設整備費補助金で取得をしたものに関しましては、PFIの事業のうち建物等の部分に関しましては、施設整備費補助金で借入金の償還をしていくのと同じ考え方でございますので、その施設整備費補助金が入った部分に関しては、建物という形が資産に変わっていくと。それは、減価償却費的な形にもなるかと思いますけれども、それだけ一般の維持、メンテナンスにかかる部分については仕分けをしてございまして、運営費交付金に入る形になってございますので、それは資産の価格には影響しない、単純な費用としてなるというふうに整理してございます。この件につきましては、秋口になりますと、前にもご案内ちょっとさしあげましたけれども、その会計基準等検討会議をもし立ち上げれば、その場所でまた改めてご議論させていただきたいというふうに考えてございます。以上でございます。

荒川部会長
 ほかにございますか。それでは、そのようにします。
 4番目の議事に入ります。国立大学法人の役員報酬規程及び役員退職手当規程の改正につきましてご意見を伺いたいと思います。事務局から説明をお願いします。

事務局
 資料の4をご覧いただきたいと思います。役員報酬規程の関係で5法人、役員退職手当規程関係で4法人の改正の届け出がございました。役員報酬規程関係の内訳は、役員の報酬額の改正として2法人。評価委員会の審議における主な論点等への対応状況ということで3法人でございます。また、国家公務員給与の改正を参考に、考慮して行われた変更ということで、2法人でございます。具体的に、次のページから新旧対照表でご説明をしたいと思います。まず初めに、前々回から、この専門部会でも議論が出ておりましたことですが、今まで役員報酬額について学長が別に定めるということになっていたんですが、経営協議会の議を経て決定するということを明確にしたこと。非常勤の役員につきましても経営協議会の議を経て決定するということを明記したということです。それから、今までは、学長、理事、監事と定額で決まっておりました。これを前々回からいろいろご議論をいただきまして、今回改めたということでございまして、まず基本本給表を1号から8号まで定めまして、そのうち学長については8号給ということで、ここの額は変えてございません。理事については、4号給から6号給ということで範囲を示しまして、この範囲内で決めるということでございます。監事につきましても4号給以内ということで、監事のところは今より1号給を下げまして、さらに範囲を設けたということでございます。また、常勤の役員の職務の困難度、実績等を勘案して必要と認める場合には、経営協議会の議を経て、理事と監事については、この枠を超えて号給を決定することができるということに、整理をしているということでございます。また、期末特別手当のところで別に定められていたものを、今までどおりですけれども、支給基準について期別の支給割合とか在職期間別割合というのを明記し、さらに必要と認める場合には経営協議会の議を経て増額、減額できることにしたいということでございます。通勤手当に関してですが、国家公務員も平成16年4月1日から支給単位期間、一般的には定期券の6カ月になりますが、一番長い支給単位期間で支給するということでございます。平成16年4月の法人化に伴って、当初は月単位で支払っていたのですが、やはり効率化とか合理化を図ろうということで、その定期券について6カ月単位とか、バスであれば3カ月単位とか、そういう支給単位期間別に支払うことにしたということでございます。非常勤役員手当の改正ですが、これまで、一律、非常勤役員手当については日額3万3,000円だったのですが、民間の方を役員に就ける場合に月額で払うのか、日額で払うのか、年額にするのか、また常勤にするのかも含めてですが、やはり民間から一線で働いていらっしゃる方で優秀な方をお呼びするときに、一律、日額3万3,000円の非常勤役員手当というのは、なかなか人が探せないということがあって、支給の方法も月額にするか、日額にするか、年額にするかは、それぞれその人、その相手によって考えたい。それから、業績とか、今までやられている内容とか、その人が今、受けられている給与等を参考に、いろいろ幅を持たせたいということで、今回こういう改正をしたということでございます。ただし、具体的な支給額については、決まりましたら、総長裁定を定めまして、これは公表をしたいと言っております。
 次に、俸給のところの改正でございます。参考につけておりますけれども、国家公務員の指定職の1号俸から12号俸まで、すべてを俸給月額ということで規定しておりまして、それで経営協議会の議を経て学長が決定するとなっていたんですけれども、そこのところは実際に使わない号俸があるのではないかというようなご指摘もございまして、今回そこを整理したものでございます。学長については、この中でも8号俸を適用します。それから、理事については6号俸、監事については4号俸ということで、明確にしたということです。さらには経営協議会の議を経て、これらの号俸の上限を超えて号俸を決定することができるということで、柔軟性を持たせてあります。また、期末特別手当でございますけれども、このところは経営協議会の議を経てということを明記したのに伴いまして、100分の10の範囲内で増減をするということも整理をしたということでございます。
 次の法人ですが、ここでボーナスについて、国立大学法人評価委員会が行う業績評価の結果だけを参考にとなっていたんですけれども、そこのところはそれ以外の要素もという指摘に伴いまして、「等」ということを入れまして、それ以外の要素も入れたということでございます。あとは、国家公務員の寒冷地手当が昨年度から改正になりましたけれども、この大学については労使交渉が成立したということで、職員給与規程について今年度から改正をするということで、これに伴い役員の寒冷地手当について、毎年11月から翌年3月まで月額で払うという改正をしたということでございます。退職手当でございますけれども、業績に応じと規定していたものをもう少し明確にしたということと、経営協議会の議を経てということを入れ込んだということでございます。それから、退職手当の額の決定においても、評価委員会の評価要素だけではなくて、それ以外の要素もということで、結果等の「等」を入れ込んだということです。次については、今までと内容は何も変わっておらず、文言の整理をしたということです。それから、最後でございますけれども、改正前は退職手当において、引き続いて教職員となったときには、この規程による退職手当は支給しないとなっていて、その教職員の中で、常時勤務に服することを要しない者を除くとなっていたんですけれども、その中に特任教員もきちっと入れておかないと、教職員ということだけで読むと読み切れないところがあるということで、特任教員というのを明記して整理をしたということでございます。以上でございます。

荒川部会長
 ありがとうございました。ただいま、事務局から御説明いただきましたが、何かございませんか。

椎貝委員
 退職手当のところですが、数学がわからないんですが在職期間1月につき、100分の12.5の割合を乗じて得た支給率に、役員としての在職期間におけるその者の業績に応じ、経営協議会の議を経て、0.0から2.0までの範囲で決定する業績勘案率から1を引いて出た値という点に疑問があります。そういうことだとすると、業績勘案率が0だとすれば、1を引いたらマイナスになってしまいますね。

事務局
 そういうことでございます。その役員として勤務した実績で、ゼロの評価が出たということについては、それから1を引きますのでマイナスになります。ですから、マイナスを出す。例えば、業績が非常に上がったという方は2が出ますから、2から1を引くと、1が出ると。要するに、普通であれば1ですから、1から1を引くとゼロですから、役員のところの業績額はないということで、役員のときの業績を通常の職員として通算した全部の退職手当に、さらに増減させるということでございます。

椎貝委員
 わかりました。私は、そういうことだろうとは思うんですが、マイナス評価になるということなんですね。

事務局
 役員の時の業績に応じて確定される分だけ増減させるということです。期間全体の退職手当は払うんですけれども、その中で役員の期間における業績をきちっと反映しましょうということでございます。

舘専門委員
 非常勤の役員手当で年額の場合、別に定めるというのは、別に何か定めが書いてあるのか、ここでは見えないんですが、非常勤だけれども、勤務実態がない段階で、月額、年額を払うということになるんですね。こういうことは、前例がなければいけないということはないんですけれども、前例があったりするのか、それから、非常勤の定義によると思うんですけれども。日額の場合、今度は逆に翌月に日額、実績に基づいて払う人との差が、同じ非常勤としても格段の差になるので。

事務局
 月額であれば定額ですから、毎月この額を払いますということですから、毎月17日に払うと。日額の場合は、実績に従って次の月に、先月分を払うということでございます。それから、年額の場合は、今聞いているところは、例えば週に2回、何曜日と何曜日に来てもらいます。1年間ということになると何日になります。ついては、あなたについては年額これだけでやりたいと。こういうふうな取り決めをすることも考えられるということで、一応こういう規程を定めたとは聞いております。まだ、そこのところは具体的にどうなるかというのは、まだ決まってはいないということでございます。

荒川部会長
 払い方がそれぞれ違うと。ほかに、いかがですか。どうぞ。

事務局
 非常勤手当の額について、今まで日額3万3,000円ということで明記をしておったわけでございますが、今回は総長が個別に決定するということになって、趣旨は大変結構かと思いますけれども、今までの議論の流れで申しますと、一見その額としては、支給額が、この規程上からは読めないということになってしまいますので、従来からのいろいろな議論の流れの中では、経営協議会の議論に諮って決めるとか、何らかの形で公表するということをきちんと明記するべきではないかというように思いますけれども、個別に対応するということでよろしいでしょうか。

荒川部会長
 今の話に関していかがでしょうか。よろしいですね。特になければ。
 ほかにございませんか。この役員報酬規程が、社会一般の情勢に合うのかどうかということではいかがでしょうか。よろしいですか。今いただいたご意見を文部科学省の方から各大学に言っていただくということでよろしいでしょうか。それでは、そのようにいたします。
 次に、最後でございますが、国立大学法人等の役職員の給与等の水準につきまして、これは資料の5‐1と2がありますので、これについて説明してください。

事務局
 それでは、まず資料5‐1から説明をさせていただきたいと存じます。「国立大学法人等の役職員の給与水準(平成16年度)」の概要についてでございます。まず、この資料の1枚目で全体的な概要をまとめてございますけれども、3ページの方に少し書いてございますが、各国立大学法人等の役職員の給与水準についてでございますけれども、これにつきましては「公務員の給与改定に関する取扱について」ということで、平成16年9月10日の閣議決定等に基づきまして公表するということになってございます。それで、本年6月末に、まず各国立大学法人等から各大学の給与等の状況が公表されました。それを受けまして、さらに文部科学省といたしまして、これらの取りまとめを行いまして、去る7月29日に全体の取りまとめの発表を行ったところでございます。それから、参考までに独立行政法人、国立大学法人以外の独立行政法人でございますけれども、こちらにつきましても同様の日程で公表されておりまして、取りまとめの方は総務省から全体的な総括発表がされたところでございます。今回の各国立大学法人等の給与水準の公表でございますけれども、今回が初めてということでございまして、ほかの法人の給与水準の状況を把握できるということがございますので、各大学法人において比較分析を行うなど、公表結果を十分活用して適正な給与水準となるように生かしていただきたいと。また、今後の経営戦略等に生かしていただきたいというふうに考えております。それから、今回、公表した平成16年度の給与水準でございますけれども、これはまだ単年度のデータでございまして、さまざまな要素によりまして毎年変動するということでございますので、今後、各法人の分析結果とか経年での変化を見据えていく必要があるのかなというように考えているところでございます。具体的な内容でございますけれども、4ページ以下に取りまとめの概要がございます。今回、公表した法人でございますけれども、それぞれの法人の規模とか職員数とか予算額、あるいは所在地等々、さまざまな要素がございまして、また比較対象人員の年齢構成とか役職の構成も違いがあるということがございますので、必ずしも同じぐらいの数字ということではなくて、各大学、格差が生じるということになるかと存じます。それで、4ページの、まず1の役員報酬でございますけれども、ここのところにおきまして役員の報酬の支給状況の平均が書いてございます。法人の長、それから理事、監事別に全体の平均が書いてございますけれども、法人の長についてまず見ますと、法人化1年目ということもございまして、おおむね法人化前の学長等の報酬とほぼ同様の、全体的に見ればほぼ同様の額ということになってございます。それから、理事でございますけれども、これも各法人、各役員ごとに支給基準が異なるところでございますけれども、おおむね法人化前の副学長、あるいは学部長等と、同程度の報酬となっているところでございます。それから、監事でございますけれども、こちらにつきましても理事と同様に、それぞれ支給基準が異なりますが、一般的には常勤理事よりも少し低目に設定をされているというようなことでございます。それから、役員の退職手当でございますけれども、これはまだ法人化1年目ということで、非常に数も少なく、法人の長4名、理事4名、監事1名という、合計9名ということでございまして、これらの役員に対します業績勘案率、または業績考慮による増減額につきましては、1.0または0円というような状況でございました。それから、3の職員の給与でございますけれども、まず事務・技術職員でございますけれども、これにつきましては対国家公務員のラスパイレス指数でございますが、86.6と、なってございます。これはいろいろな要素が考えられるわけですけれども、例えば地域ごとの物価水準が異なるということで、大学が都市部よりも地方に多く点在していること、あるいは地域による手当、調整手当等の影響によるというような要素がございます。また、比較対象人員でございますけれども、こちらにつきましては、基本的には常勤職員でございますけれども、16年度途中の採用者とか、あるいは法人間の異動をする者は除くこととなってございますので、このために比較的給与水準が高い幹部職員等が途中で異動すると、ここのデータから除かれてしまうということがございますので、そういったことも要素の1つかなというふうに考えております。それから、国の機関が相当数法人化されましたけれども、地方にとりまして国立大学という組織、職員、かなりの部分を、数を占めるわけですけれども、地方に多く点在していたわけですが、それが国立大学、法人化されて、全体の国家公務員から抜け出てしまうということで、地方にあるという要素に加えて、さらに通常の国家公務員が都市部の割合が高くなる要素が大きいかなというふうに考えているところでございます。それから、2つ目、教育職員でございますけれども、こちらにつきましては、対国家公務員ラスパイレス指数との比較、101.4と表のところにはなってございますけれども、現在の国の教育職員、教育職俸給表(一)の適用職員でございますけれども、今現在、120名というふうにかなり少なくなってございます。したがって、ここの欄のところにつきましては、法人化以前の国立大学を含む教育職員との比較でございますので、ほかの対国家公務員との指数とはちょっと違った内容となってございます。今現在の教育職の職員が120名ということで、かなり少のうございますので、そこと比較しますと、かなり偏った数字が出るおそれがあるということで、そのような比較をしているところでございます。101.4という数字で、若干高くはなってございますけれども、これにつきましては、例えば教員の流動性による、流動することによります年齢階層、あるいは人数の変動又は昇給分によるものが主な要因かなというふうに考えているところでございます。それから、医療職員でございますけれども、こちらにつきましてもおおむね、法人化前の給与水準を踏襲しているところでございますけれども、教育職員と同じように年齢構成とか、あるいは役職の構成等々によりまして、若干100より低い97.7というような数字になっているところでございます。それから、給与、報酬等の支給総額でございます。4のところでございますけれども、こちらにつきましては平成15年度法人化前、それから平成16年度法人化後と比べまして、若干減となっておりまして、約1.6パーセントの減ということになってございます。増減につきましては、詳細な分析が必要かと思いますけれども、主な理由、要素といたしましては、各法人の退職者の増減、それから人員の削減、あるいは学長等の役員の報酬の増減、あるいは寒冷地手当の廃止、縮減等々によりまして、結果的には1.6パーセントの減というふうになっているのではないかというふうに考えているところでございます。あと、役員の報酬1のところ、それから職員の給与3のところ等でございますけれども、資料1以下に大学別に細かい数字等をつけているところでございます。説明につきましては以上でございます。

荒川部会長
 ありがとうございました。このことについてご意見などいただく前に、資料5‐2について事務局から説明をお願いします。

事務局
 それでは、ご意見、ご質問等あろうと思いますが、資料だけ説明をさせていただきます。資料5‐2をご覧いただきたいと思います。ただいまご説明がありました給与等の水準について、この評価委員会における扱いにつきましてのご提案でございます。先ほど、議題4の方でご審議いただきましたとおり、役員の報酬、それから退職手当の支給基準、これにつきましてはこの評価委員会において審議を行ってきているところでございます。また、このような形で給与等の水準、これは役員、それから職員も含めたものでございますけれども、このような形で取りまとめられ、社会に広く公表していくというものでございます。基本的には、広く一般に公表いたしまして、各大学におきまして自主的に改善を図っていただくというのが基本でございまして、評価委員会として、法令上、例えば関与するということにはなっていないわけでございます。しかしながら、3つ目の丸にございますとおり、この役職員の適正な人件費管理というものが、法人化後の国立大学にとりまして大変重要な課題であるというふうに考えておりまして、やはりこの評価委員会としても、今後とも注視していくべき問題であろうというふうに認識をしております。このため、評価委員会としても、個々の大学の状況につきまして、確認をしてはどうかというご提案でございます。具体的には、1にございますとおり、例えば法人化以前の給与等の状況との比較、あるいは財務諸表等でも一定の整理をしておりますけれども、同規模、あるいは同性格の大学間同士の比較、こういったことによりまして、大幅な上昇、あるいは他大学と比較して大きな乖離が見られるような場合、こういうふうなものにつきましては、特別に理由を聞くなどして分析を行ってはどうかというふうに思っております。そして、2にございますとおり、こういった情報をもとにいたしまして、ただいま現在の年度評価の作業中でございますけれども、必要に応じまして年度評価の中でも取り上げていってはどうかというふうに考えております。具体的には、現在、先生方からご検討いただきまして、一定の評価の作業中でございますけれども、今後、各評価チームごとに評価会議を開いていただく、あるいは国立大学法人分科会を予定してございますけれども、そういった場で事務局の方で一定の整理をした資料を出させていただきまして、申し出をいただければというふうに考えているところでございます。以上でございます。

荒川部会長
 ありがとうございました。ただいまの説明があったことについて何かご意見があれば。はい、どうぞ。

山本専門委員
 よくよく考えると微妙な問題なんですね。総務省に置かれる独立行政法人評価委員会では、実はこれは総務省の強い指導があって、実際やっているんですが、そういう文面が出ない格好でやっているんですね。それは、やはり独立行政法人なり、この場合ですと国立大学法人という基本的な各法人の主体性に委ねられているところなものですから、評価に当たって、これは実際に使うんですけれども、しかしこういう、公開されること、文面として個人的には不安が残る。これを使って評価してくれというのは言われているんですけれども。評価委員会にも、使ってくれというのが、この場合は総務省の関係で、そういう指導も。彼らはそういうスタンスで、これをさせたんですね。これはそうなんですが、これはただ、国立大学法人や国立大学法人制度の元々の制度の経緯から言うと、これはちょっと微妙な問題があるのかなという気がいたします。

荒川部会長
 ほかに、いかがでしょう。はい、どうぞ。

事務局
 今、山本先生からご指摘あったとおり、独立行政法人には行政管理局の方から、これを評価に使いなさいということは強い指導でいただいておりまして、実は国立大学法人評価は今年からでございますけれども、実は同様に行政管理局長の方から通知がございまして、同じように冷静に評価をしてくれということが言われております。そういうこともございますけれども、そもそもがやはり適正な人件費管理というのが非常に重要な課題でございますので、実際に年度評価の方でどのように反映するのかというのはありますけれども、いずれにしろ何らかの分析をして、一定のチェックをしていくということは必要ではないかというふうに思っております。

椎貝委員
 大変難しい話だろうと思うんですが、私が経験しました海外の大学の場合は、例えば日本からノーベル賞をとりそうな人というのに、幾ら出したら来てくれるかという勧誘が最後にはできるようになっている。今すぐにやれというものではないですけれども、やはり何かそういうことが近い将来はできるようにしておかないと、優秀な人は集められないかもしれないという問題ですね。ただ私が国立大学での経験を考えれば、今のところはちょっとやむを得ないのではないかなと思うんですが。

事務局
 そうしましたら、ここはやはりきちっとした分析は評価委員会として行う必要があるんじゃないかと。おっしゃるように、それをたちどころに年度評価に反映するというのではなく、いつになるかは知りませんが、ただ我々として例えば椎貝先生おっしゃるような面があるから、この場合は高いんだということについて、やはり確認を求めていくという作業は必要なんだろうと思っております。そういう意味で、私どもとして、このことについて、この辺はこういうことで、先ほど出ましたが、今後どうするかということについて、特段決めておりませんが、専門部会、あるいは分科会として、こういったことを念頭に置いて、少なくとも大きな乖離のあるところについては、きちんとそのことについての状況なり、説明というのを把握していきたいということについての先生方の、いわば共通のご確認をお願いしたい。

舘専門委員
 乖離がみられるとなると平均化していなきゃいけないという印象があるということの危惧だと思うんですね、さっき椎貝先生の言われたのは。ですから、ちょっとデータとしては平均が出てくるんですが、一方でヒアリングをやった時に、実績の似た人の教職員の給与、それから役員にしても、成果に基づくということもやっているわけですね。今年に関しては、そんなところがはっきりあらわれているわけではないので、昨年までと比べて理由がちゃんとあるのかというようなことを確認するという意味では、今後はちょっと別のデータが必要かなと。

荒川部会長
 ほかにございませんか。それでは、この方針の趣旨は賛成、表現方法、取扱いに関しては今後検討が要る。それで大体皆さんご了解いただけたでしょうか。そのあたりを事務局と相談して扱うということでよろしいですか。それではそのようにいたします。
 それでは、今後の日程について事務局からお願いします。

 ※ 事務局から今後の日程等について説明があった。

荒川部会長
 ありがとうございました。それでは、これで終わります。

―了―

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