国立大学法人分科会 業務及び財務等審議専門部会(第4回) 議事録

1.日時

平成17年6月22日(水曜日) 13時30分~14時45分

2.場所

三番町共用会議所本館 1階 第3会議室

3.議題

  1. 財務諸表等の承認及び経営努力認定について
  2. 財務諸表等の年度評価への活用について
  3. 国立大学法人の役員報酬規程及び役員退職手当規程の改正について
  4. その他

4.出席者

委員

 荒川委員、椎貝委員、舘専門委員、宮内専門委員、山本専門委員、清水専門委員、筆谷専門委員、布施専門委員、宮島専門委員

文部科学省

 徳永高等教育局審議官、惣脇高等教育企画課長、清木国立大学法人支援課長、奈良大学評価室長、高比良給与班主査、その他関係官

5.議事録

荒川部会長
 それでは、これから第4回国立大学法人評価委員会国立大学法人分科会業務及び財務等審議専門部会開催させて頂きます。
 最初に、事務局から出席者の紹介及び配付資料の確認をお願いします。

 ※ 事務局より出席者の紹介及び配付資料の確認があった。

荒川部会長
 ありがとうございました。それでは議事に入ります。
 まず、財務諸表の認定、それから経営努力認定につきまして、事務局から説明をお願い致します。

事務局
 はい。それでは説明させて頂きます。
 いよいよ今月末に各大学法人から平成16年度の決算に伴います財務諸表が文部科学省の方に提出されて参ります。国立大学法人法で準用します通則法38条の規定に基づきまして、文部科学大臣は財務諸表を承認するとき、それから、やはり準用します通則法第44条の規定に基づきまして、損益計算書におきます利益について、前事業年度から繰り越した損失をうめた後の残余についても文部科学大臣が経営努力認定の承認を行なう場合には、評価委員会の意見を聞いて承認をすることとなっております。本日は、財務諸表の承認、それから経営努力認定の承認にあたりまして、事務局として確認すべき事柄、それから評価委員会として確認して頂きたいと思われる事柄、それから評価委員会から意見の聴取方法における事務局案について、議論をお願いしたいと思っております。
 それと、参考までに、机上にはまだ会計監査人の監査証明書が付されておりませんが、事務処理上の観点から各大学のご理解のもと、まだ案ではありますが、平成16年度の財務諸表を集めさせて頂き、机上に置かせて頂いております。
 まず資料2です。今回の財務諸表、それから経営努力認定につきまして、まず事務局において確認すべき事柄として考えられるものが、まず合規性の確認です。当然提出期限を遵守しているか、各種調書類がきちんと添付されているのか、それから会計監査人及び監事の監査証明を添付しているのかといった合規性の確認をまずさせて頂きたいと考えております。
 そして内容の確認です。当然、書類の数値の整合性等についても事務局できちんと確認させて頂きます。それから、当然行なうべき事業を行なっているかという事も確認すべき事柄ですので、それもさせて頂きます。そのほかに、運営費交付金債務として、きちんとした額が適正に残っているかということも事務局の方で確認させて頂ければと考えております。
 次に、「2.評価委員会における確認事項」ですが、まず事務局において確認した内容の確認というもので、例えば、数値の整合性において、必要に応じ確認して頂ければと思います。それからイとウです。経営努力認定に関しましては収益化の考え方、それから債務として残っている額というのが大変重要な影響が出てきます。その基準とされる学生収容定員に対する学生実員の比率ですとか、成果進行基準に基づく事業の進捗度、それから費用進行基準適用の事業に対する収益化の根拠等につきまして評価委員会の方でも確認して頂ければと思います。それと「(2)その他の確認事項」についてですが、これはあくまでも例示として書かせて頂いております。中期計画と財政状況との整合性が取れているか、それから資本蓄積が適正になされているかなどかなり大局的な点から見て頂ければと思います。主にこちらの点につきまして、本日、評価委員会の方で例えばこういう観点からも見たい、事務局にこういうものを準備してもらいたいということなどについて本日議論して頂ければと思っております。
 最終的には評価委員会からの意見等を頂きまして財務諸表の承認等を行ないます。基本的にはありえないものと考えておりますが、まず「(1)事務局における確認」で財務諸表の承認、それから経営努力認定にあたりまして財務諸表の変更が必要になったような場合、そういうものにつきましては評価委員会から意見を頂きまして、適正な財務諸表に差し替えた後に経営努力認定、それから財務諸表承認を行ないたいと考えております。そのほかにも、例えば、財務内容等をみて頂きまして、その内容に懸念が生じたというようなものにつきましては、業務運営に係る改善意見が必要になると思います。ただこの場合には、評価委員会からの意見という形ではなくて、評価委員会からコメントという形で頂きまして、そのコメントを事務局が法人にお伝えすることにより、法人が自主的に業務運営上の参考にして頂けるというような手続きを取らせて頂ければと考えております。
 経営努力認定、それから財務諸表の承認につきましての趣旨説明は以上です。

荒川部会長
 はい、どうもありがとうございました。ただ今この資料2につきまして、事務局の立場と委員会の立場とそれから意見ということで説明頂きました。これから少し議論に入りたいと思います。何かご意見、ご質問がありましたらお願いします。

舘専門委員
 よく整理されているのではないかと思います。最後の「業務運営に係る改善意見」等の場合はコメントをするということですが、ニュアンスとしては分かるのですが、もう少し説明して頂ければと思います。

事務局
 財務諸表の承認につきましては、例えば、その財務内容等の中でA法人については異様に人件費が高いため、その結果、承認しないということにはならないと思っております。つまり、そういうものについて意見という形で頂いてしまいますと、その意見を反映させた形で進めなくてはならなくなりますので、あくまでも大学側への業務運営上の参考意見、コメントとして使わせていただいて、基本的に財務諸表の承認については粛々とやらせて頂ければというように考えています。

清水専門委員
 最後の「3.評価委員会からの意見等」なのですが、専門部会と評価委員会との関係なのですが、ここで謳われている「評価委員会として意見を頂き」というのは、主体はどこなのでしょうか。この専門部会が意見を頂くのでしょうか。この主体がよく分からないのですが。「評価委員会としてコメントを頂き」というのは誰に対して、或いは誰がこのコメントを受け取るのか。その辺の関係はどうなっているのでしょうか。

事務局
 文部科学大臣です。
 「評価委員会としての意見」の決定ですが、専門部会での決定をもって評価委員会の決定となるよう定められています。それを踏まえ、文部科学大臣が承認等を行うこととしています。

宮内専門委員
 今の3の(1)のところですが、「財務諸表の変更などが」といっておりますので、財務諸表の変更と、その他の変更を含んでいるということだと思いますが、もし財務諸表の変更を行なうような場合に、当然それは監査人の意見が付されたものを出されてまいりますので監査人の意見を変更する事態になる可能性がないわけではないのです。実は、独立行政法人の関係においても、そういう微修正があるものがどんどん差し替えられて監査報告書は変わらないまま同じものが出ているというような状態がありまして、監査的には、重要性の問題で計算書類が少々変わっても監査意見そのものにはそれほど影響を及ぼさないということは十分考えられますので構わないことではあるのですが。一応小さい金額でも意見を付すのかどうかという問題を含めて少し調整を図って頂いた方がよろしいのかなと。でも幾らかでも違っていたらこの評価委員会で意見を言うべきなのか、そうすると当然直すということにならざるをえないので直すということになるのではないかと思いますが、その辺はいかがなものなのでしょうか。

事務局
 ちょっと条文にあたって頂いてはどうかと思います。国立大学法人法第35条において準用する独立行政法人通則法第38条第3項の規定に基づいて、文部科学大臣が、この財務諸表を承認するときには、あらかじめ、国立大学法人評価委員会の意見を聴かなければならないこととされています。聞いた上で、文部科学大臣が承認をするという手続きを取るわけです。ですから、細かい数値等のミスがあった場合には、評価委員会の正式なご意見を頂くということではなくて、事務的に差し替えてそれで済ませたいと思っております。したがって、実際問題としてはよほどのことがない限りは正式に評価委員会から意見を頂くということはないと思います。一方先ほど申し上げましたコメントですが、これは法律に基づく意見ということではなくて、感想のような形で少しここを改善したほうがよいのではないかというものを、法律に基づく意見とはまた別に感想を頂いてもよいのではないかという趣旨です。

宮内専門委員
 そうするともう1つ確認させて頂きたいのですが、このコメントの部分については情報公開法の対象となって公開、公表するものになるのでしょうか。

事務局
 なります。意見というのは基本的に承認するか、しないかということの意見なのです。したがいまして、ただ単にそれは意見としては承認する、承認しないということになってしまうのですが。それ以外のことはコメントということでお願いしたいと思っております。

事務局
 法律上は意見をいうかどうか、つまり承認するかしないかだけなのですが、せっかく見て頂くわけですからまた色々な感想もあると思いますので、大学にとって有益な感想も頂けたらと思います。

筆谷委員
 今色々聞きましたが、本日の会議の目的というのはここから、1から3まで書いてあることの中に何かまだ6月30日が提出期限ということでまだ時期は早いですよね。どうなのでしょうか。今日は財務諸表の内容について説明をお伺いするという趣旨なのかどうか。今日の会議の趣旨をもうちょっと分かりやすく説明して頂きたい。

事務局
 はい、おっしゃるとおり、実際の財務諸表につきましては、今月末に正式な財務諸表が文部科学省に提出されてまいります。提出されてきました後、こういう手続きを踏んで、最終的な承認行為をしていきたいという合意を採りたいということです。本日は机上に配付させて頂きましたものは、先ほど申しましたように、まだ事務的に各大学からご協力を頂いて提出されたもので、正式なものではありません。当然このままお渡しするわけにはいきませんので、当然正しいものがでてきた段階で、例えば全校横並びに並べたような資料でありますとか、そういうものを準備させて頂き、委員の先生方にお渡ししたいというように思っております。

筆谷委員
 ですから結局今日はどういう趣旨でどういうことをするのかといった今日のことをお聞きしたいのです。

事務局
 私ども事務局としてみるべきもの、それから評価委員会として確認して頂きたいということの合意を取らせて頂くのとほかに、それ以外に、私どもが考えた事務的に考えたこと以外にこういう観点からも準備して頂きたいというものがありますれば、それをいただきたいということです。

筆谷委員
 マネージメントレターというか、いわゆるここでおっしゃっているような、この1~3までに書いている内容についての意見なり、見解は経営者の方に述べられたものがあるのではないか。或いは監事さんのそういう報告書にですね、そういうものを私たちに見せて頂けるのかどうかと。そういう点についてどのようにお考えか。そうするとこれをみながらあらかじめ問題点が分かった上で検討すると。かなり鮮明に問題点が明らかになる可能性があるかなと。その辺はどうでしょうか。

事務局
 文部科学大臣に提出されるのは公認会計士ですとか監事からの監査に関する意見ということでして、その意見の中に今マネージメントレターとおっしゃったような内容のものが含まれているかといいますと、通常は含まれていないものと認識しております。ただ監査の意見等をいただくその中に、通常これは必要的記載事項ではありませんが、例えば業務内容の改善について、まさに先ほど議論にでておりましたコメントが付されている場合がありまして、そういったコメント等を参考にして、大学、私どもがそういった情報をうかがい知ることは可能だと思います。マネージメントレターの提出まで私どもは監査意見の一貫として求めているものではありませんので、今回必要だということであれば、大学から別途何らかの方法でマネージメントレターを入手することはありえることだと思いますが。そういう意見であれば受け止めたいと思います。

筆谷委員
 ぜひそういうものを我々の意見形成のために入手して頂きたいというようにお願いしたいと思います。

山本専門委員
 独法の監査基準の改正の議論の時にマネージメントレターというのは情報開示の対象になるかならないかというのはかなり議論したことなのですが、あれは最終的にどうなったのですか。それによってマネージメントレターが出るか出ないかということになります。

宮内委員
 マネージメントレターの最終的な決着というのは実ははっきりとしていないのです。基本的には出されたものすべてが公開の対象になるのではないかというような話が出ているのですが、ただ、もしそれを公開してしまうとマネージメントレターの発行がなかなか会計士側から出なくなるだろうということも含めて、公開しなくてもよいような措置をとれないものかということは総務省の方からはそういうコメントが出されたまま終わってしまっていると記憶しています。

山本専門委員
 公認会計士協会はまだスタンスは決まっていないのですか。

宮内委員
 協会自体はそのことについてのジャッジメントは一切しておりません。それは国立大学法人としてはどういうような位置づけになるのか。

山本専門委員
 国立大学法人も同じなのです。ですからそこを確認しておかないと。

筆谷専門委員
 そういう情報公開の問題もありますが、我々が何とか押さえるというものは無理なのでしょうか。そういう点で法的な見解はいかがでしょうか。

事務局
 基本的には国立大学法人からでてきた文書は公開の対象になります。特別な理由がある場合、つまり公益を害するとか、プライバシーに関わるとかそういうような理由がない限りは公開せざるをえないということになります。そういう前提で法律上決まっている文書であればもらえるのですが、追加してということになるとそういう問題も生じてまいりますので、したがって結果的に文書をもらうということは難しい状況であります。

荒川部会長
 ほかにありますか。

布施専門委員
 「3.評価委員会からの意見等」というのがあってその上に「2.評価委員会における確認事項」がありますね。この評価委員会における確認事項と意見との関係なのですが、もしこの確認事項、例えば(2)のウ)とか、例えば資本蓄積が適正になされているかということで、仮にノーだった場合にこれは意見として言うという関係にあるのか、それともそれは感想になるのかとそういうことで、逆に言うと確認事項というのは意見を言うためのチェックリストといっては言いすぎですが、基本的なチェックを行なう項目であって、ここにあっていた場合には意見としてはマルで、逆にここにあげた事項でバツということになると意見に関わるのかどうかその関係についてちょっと教えて頂きたいのですが。

事務局
 基本的に「2.評価委員会における確認事項」の(2)というのは、あくまでも参考で見て頂くという形になると思います。これがだめだから意見をそのまま直接だすということではありません。

荒川部会長
 色々と意見がでましたが、この方向につきましては、大体皆さんのご意見はこれにほぼ一致してそう異論はないと、細かいことは色々ありますが、理解しましてよろしいでしょうか。
 はい、そのようにさせて頂きます。また細かいことは私に一任して頂きたいと思います。
 では2番目ですが、財務諸表等への年度評価の活用についてですが、これについて説明願います。

事務局
 それでは引き続き説明させて頂きたいと思います。今回財務諸表というものを文部科学省に提出して頂くということになります。当然そういうものが提出されるということは、その中に書かれております財務データを活用した財務分析ということを行なうことと考えております。本日は、現時点で文部科学省として考えております財務分析の在り方、それからその際に活用します指標、それから財務分析を行なう場合の留意点についてご説明をさせて頂きまして、それで先生方の専門的な観点からご意見やご議論を頂いた上で私どもの今後の財務分析に役立てていきたいというように考えております。
 資料3‐1から説明させて頂きたいと思います。
 「国立大学法人の特性を踏まえた財務分析のあり方(案)」です。今ご説明しましたように財務諸表に書いてあります財務データというものを活用しまして、そのほかに学生収容定員でありますとか年度計画における業務目標などの定量的・定性的データと組み合わせて財務分析を行なっていきたいと考えております。そういう財務分析を行なったものにつきまして、ではどのような活用の仕方が考えられるかということを2番の方に書かせて頂いております。まず国立大学法人における活用としましては、当然法人自らが自分たちの財政状態を把握する。そして自らの改善に資するという管理会計的な観点からの財務分析の活用が考えられるのではないかというように思われます。当然その結果を用いまして、利害関係者に対して財務状況等について説明責任を果たすことも可能になるだろうと思われます。
 それから、当然取り巻く利害関係者の方から見ますと、利害関係者のそれぞれの立場で必要な財務情報を把握することも可能になります。
 そして、法人評価委員会による活用ということで(3)に書かせて頂いております。この財務諸表の財務分析の結果というものは、当然財務会計面から法人の業務活動の実態が把握可能となりますので、年度評価ですとか、中期目標評価のための参考資料として活用が可能になるのではないかと思われます。また年度評価の際に、その時点における法人全体の情報把握も必要になってきますのでその際の参考資料にも活用が可能になるのではないかと思われます。
 文部科学省としましても個々の法人だけでなく、法人全体の財政状況についての説明責任がありますので、そういうものに活用させて頂きたいと思っております。
 次のページにいって頂きまして、それでは実際に行う財務分析に係る指標というものをどのように考えているかというものを3番にまとめさせて頂いております。私立学校の場合ですと国立大学法人にとっては財務内容や財務体質等の前提がかなり相違していることに留意する必要があります。私学につきましては当然学生納付金等による収入に依存した独立採算ですが、国立大学法人というのは、ある一定の規模において国からの運営費交付金が投入されるという前提が違っているところに留意した上での指標の設定というものを考えていきたいと思っています。
 4番です。では実際に財務分析をするときにはどうしたらよいかということを書かせて頂いております。国立大学法人、89法人全てを横並びで並べてしまいましても、当然国の時代の元々の財務構造、それから保有資産の高さとの相違があります。したがって、なるべく同じようなものをグループ化した財務分析結果というものが活用可能となるような形にしていきたいと思っております。
 それから4の(2)で「財務分析の手法等」という形でまとめさせて頂いております。一般的な財務分析手法としましては、期間比較でありますとか、予算比較でありますとか、他の大学法人との比較ということも考えられますが、平成16年度につきましては基本的には期間比較というものが出来ないということに留意する必要があるだろうと思われます。もう1点ですが、当然分析をしますと、その観点としまして効率性とか収益性という色々様々な観点があります。財務諸表を活用する場合におきましても法人の裁量によらないというものが結構多数あります。例えば、元々国の時代に保有していた国有財産をそのまま法人の方に出資しており、それで資本金が構成されたり、固定資産が構成されたりしています。当然最初から有意の差があります。そういうところもきちんと十分に留意する必要があるだろうと思われます。こういう点から考えまして、財務分析結果というものにつきましては、基本的には年度評価の参考資料にとどまるのではないかというように考えております。
 続きまして次の資料3‐2です。先ほどご説明させて頂きましたグループ化、類型化についての今の案をご説明いたします。2番ですが、各大学法人規模が大きく違います。まずは同じような財政規模を持つ「大規模大学」というのを1つのまとまりにしたいと考えております。基準としましては、学生収容定員が概ね1万人以上、それから学部の数が概ね10学部以上あるようなものにつきましては「大規模大学」という1つのグループ化を図ってその中で指標を用いたものを作っていきたいというように思っております。その次の考え方としましては財政構造において顕著な特異性があるもの、同様の学部で構成されているというものを類型化したいと思っております。例えば医科系大学で在りますとか、教育大学、それから大学院大学と短期大学につきましてはそれぞれの同様の学部で構成する大学をもって類型化をしたいというように考えております。大規模大学とこういう単科大学系を類型化した後まだ相当数の大学があります。それにつきましては基本的に財政構造に与える影響がかなりあるものと思われる病院を有するか有さないかということで1つの類型としたいと思っております。次のページをご覧頂ければと思います。そうやって病院のある大学、病院のない大学を類型化し、もう1つの類型としまして例えば学部大学院の学生収容定員に着目しまして概ね理系が中心であるのか、文系が中心であるのかというところで区分したいというように思っています。中規模の病院のある大学、中規模で病院のない大学、それから理系が中心の大学、それから文系が中心の大学、こういうグルーピングで分析をさせて頂ければと思っております。
 3番につきましては、このような考え方で現在89法人ある大学を分けると、こういう形になるというものを示させて頂いております。
 それで資料3‐3です。このようなグルーピング化したものにつきましてそれぞれ財務指標というものを活用してそれぞれ色々な係数等をだしていきたいというように思っております。「財務分析結果の年度評価への活用(例)」ということですが、あくまでも例示として示させて頂いております。財務分析結果の中身につきましては、年度計画の中の財務の改善みたいに、そもそも財務が客体となっているものもありますが、基本的に教育研究の質の向上でありますとか、その他大多数の部分につきましては財政状況そのものを基本的に現しているのではないというものが結構あります。それと先ほど申しましたように2番ですが、基本的に私学の指標をなるべく活用したいと考えておりますが、私学は学生納付金による収入独立採算運営ということが前提になっておりますので、指標の設定にあたりましては分母を学生の帰属収入等、学生の納付金収入等でやるものが多くあります。ただ国立大学法人の場合には基本的には国からの運営費交付金という形で財政措置されることになっておりますので、私学の指標を活用しつつも分母については業務費等を中心にしたいと思っております。それで点線の中に書かせて頂いておりますのはあくまでも例示と考えているものです。ざっぱくに並べてあり大変申し訳ないと思いますが、例えば、年度評価において、それぞれの事項毎に財務諸表として考えられるものについてはこのような指標があるのではないかというものを少し並ばせて頂いております。本日参考資料という形で財務指標等の基礎資料というものを並べさせて頂いております。各決算報告書でありますとか、貸借対照表、損益計算書の各科目ごとに指標を考えるとこのようなものがあるのではないかというのを参考の4という形で資料として付けさせて頂いております。
 本日先生方にご意見を伺い、こういう指標もあるのではないかということを教えて頂ければそういうものも活用して今後の財務分析をより良いものにしていきたいと思っております。
 それと最後の資料3‐4です。これは財務諸表の公表について今考えているものをまとめたものです。基本的に国立大学法人法では法人毎に財務諸表を公表することになっております。法令上の義務として官報に掲載したり、本部において見られるようにすると。そのほかに努力義務ですが、ホームページへの登載ということもしております。国としましても基本的に先行独立行政法人と同じように、文部科学省のホームページ等において各大学のホームページへリンクするような形を取りたいと考えております。それともう1つ評価委員会の評価結果と大体時期をあわせて文部科学省として国立大学法人全体の財務諸表を取りまとめた上で、財務分析結果とあわせて情報公開、情報提供ということをしていきたいと思っております。それと独法ではありますが、国立大学財務・経営センターというのがあります。こちらの方におきましても平成16年度につきましては「国立大学の財務概要」という形の冊子を発行する予定です。それともう1つが17年度以降の決算についてはデータベース化を図り、各大学からの経営相談に応じるべく基礎資料とすることでの検討をしているということです。
 一応説明は以上です。

荒川部会長
 はい、ありがとうございました。ただ今資料3‐1から3‐4まで、それから参考資料について説明して頂きましたが、この年度評価の活用についてご意見賜りたいと思います。いかがでしょうか。

宮内専門委員
 3‐2の類型化の中でも言われているのですが、収支構造への影響ということで附属病院があるところとないところがあり、会計基準の制定を行なっている段階で附属病院がある場合の自己収入による固定資産の購入と、それからそれに伴う借入金の発生とこれの償還の可能性という問題についていわれておりますが、今回の分析の中ではキャッシュフローをベースにした数値と申しましょうか、参考の4を見せて頂きますと決算報告書という形で出ているものと、それから貸借対照表がありまして損益計算書があるのですがキャッシュフローステートメントを使っていないのです。せっかく会計基準でキャッシュフローステートメントを作るというように言っており、なおかつ債務の償還可能性についてはキャッシュフローステートメントをみれば分かるということ、また、これとセグメントをどう絡めるかという問題はあろうかと思いますが、セグメントを絡めて情報を頂ければその辺のところが本当に返しているのかいないのかということについても十分に状況把握が出来ると思いますので、その辺はキャッシュフローステートメントをベースにした分析をもう少し加味して頂ければというように思いますが。

事務局
 ご意見のとおりですね。キャッシュフローステートメントにある、特に業務費をもって、附属病院の病院収入をもって借入金の償還が出来ているかのということは重要な指標だということがよく理解できるようになっておりますので参考にさせて頂きまして、この中に含めて、取り込んでいきたいと思います。以上です。

荒川部会長
 キャッシュフローステートメントというのは日本語になっているのですか。

宮内専門委員
 会計基準の中でキャッシュフローステートメントはキャッシュフロー計算書ですか。

事務局
 資金収支計算書という言い方もしますが。

山本委員
 債務償還の計画でやっているかどうかという評価の中でキャッシュフローステートメントの活用というのは事務局サイドでチェックされて我々もチェックするのですが、財務センターの方でもそこら辺は金を貸している身ですから今の点を踏まえてやることになっております。ようするに事務局からお話があったように、年度評価の際にそれぞれ財務諸表を使ってやるというのは、例えば今の病院でもそうですが病院だけを切り出したということをまずやらないと、法人を類型化しても所詮それだけで財務諸表を評価するというのは危険なわけです。やはりこういう専門部会で、もう少し時間をかけてやって頂かないと評価は非常に統制力が強いものですから、センターが経営改善とかをやる分にはまだ良いと思うのですが、その辺はかなり慎重にやっていく必要が多分あるだろうと思っております。
 それと最初の資料と関連して、これは事務局のお願いで我々もしなければいけないことなのですが、今の段階で出てくる資料をみていますと、円単位で出ている財務諸表と千円単位のものと、100万円単位で出ているものとあるわけですね。これはちょっとオープンになる場合にみっともないですし、或いは財務分析上も少し問題がありますし。そうすると今おっしゃったようにキャッシュフローステートメントの活用にかなり制約があって、そういうのは多分先ほどの事務局の話にありましたとコメントということになって、だから財務諸表が不適切だということには全くならないわけなのですが、そういうところも踏まえて、もう少しこういう専門部会で先生方の意見を頂いて、こういうところを直したらどうかというコメントをたくさん頂いて、当面はむしろそっちの方が重要ではないかと思います。

荒川部会長
 財務センターでやるわけですよね。

山本委員
 はい。ただし目的は財務・経営センターは国立大学法人のためにやっているわけですから評価のためにやっているわけではありません。

宮島専門委員
 年度評価というのは先ほどいったように管理会計的な意味合いで、自分たちの経営とかそういうものをより改善するという意味での指標として使われることが多くなると思うのですが、そうすると今の話では要するに物差しを何とか作ろうということなのですね。類型化するということは一種のリアルスティックを作って、標準形みたいなものを示すというところに目的がおそらくあるのかなというように聞いてはいたのですが、そういう趣旨で今回これが議論されているのか、或いは横並びでみてまさしく評価をするための何らかの序列をつけるためと考えるのか、そこのところが少し分からなくなってきているのですが。

事務局
 年度評価そのものは、あくまでも年度計画に記載した事項の実施状況について評価を行います。ただ1番大きな問題点は業務運営の改善といったときに、各国立大学法人が、何を頼って改善をするのかということの指標自体がでていないわけです。正直言ってそういったものを今まで国立大学という特性を踏まえて分析をしておりませんし、各国立大学も努力の方法が分からないものですから、1つ大きな目標はこういうことを分析することによって、特に色々な大学を全体から見た中で先生方に分析して頂くことによって、また、類型化によって、ほかの大学と比べてうちの大学はこういった点が努力すべきだとか、努力が足りていないということが分かりますし、どういう方向に向けて努力をすれば良いということが分かります。
 もう1つは年度評価や中期計画の評価は法律で決まっているわけですが、法律上の評価ということを離れて国立大学法人というものを今後も発展しうるためには、社会的な説明の意味合いにおいて、いわば年度評価ということにこだわらないで一定の私どもとしても何らかの評価といいますか、よくやっているとかやっていないとか、こういう努力をしていますよということは、なかなか一方では運営費交付金の中でも私どもが色々考えた病院については不採算部門を抱えているわけで、これは必ずしも民間の病院のように不採算部門を切れば良いということではありませんので、ありていに申し上げれば効率主体業務の割には非採算部門について一般会計での繰り出しが認められ、半額交付措置をしているという制度があるわけですから、私どもからすればそもそもそういう今後私ども自身が国立大学に何らかの形で財政措置、制度変更を行なっていく際の理論的根拠がありませんので、大学のためでもありますし、私ども自身の行動のためでもありますし、社会的な説明責任ということも、ここのところはそのようなこと全体をない交ぜにしたような形です。

宮島専門委員
 先ほどありましたように期間評価は難しいわけですね。そうすると、1つは旧国立大学から国立大学法人に切り替わって、初年度としてどういう見方をするのかということ、特に会計関係の方についてはお考え頂きたいという気が致します。
 もう1つは国立大学の場合にはこのように財務的にきちんと評価をすることもありますが、やはり初年度ということと、中期計画の中でどのように年度計画がどう動いていくのかということも十分見えていないというところもあると思うのです。そこの見方そのものは我々注意したいとは思っておりますが、どうしても財務とか、決算、色々こういうのが出てくると数字が非常に雄弁で、しかも明白なことを語る可能性がありますので少し留意した方が良いのではないかと思います。他方、私立大学から見ていますと一種の比較可能性の問題はいずれ出てくると思います。そういう意味での運営費交付金等を前提に置きながら、教育研究など同じようなミッションをもったものとしての財務の在り方など気を付けておきたいと思います。少し抽象的な話で申し訳ありませんが。

筆谷専門委員
 ちょっと技術的な話で申し訳ないですが、まず財務諸表を作るということと、それから財務分析を行なうということですが、それぞれ財務諸表を作る場合には会計方針というのが在るのです。財務分析については指標がありますのでまず1つはこれの各々について適用していくわけですが、これの会計基準の統一といいますか、何か山本先生のところは近くに違ったやり方をやっているところもあると思いますが、それはちょっと一例ですが、何か統一的にするべきものはあるのかどうか、その辺を少し。何か統一すべきものをという点と、今これは例えば今資料3‐3を見せてもらっていますと、これはいわゆるフロー分析が中心でありまして、すっとフローを対比して、つまり資本効率、資本回転率をこれはどのように回転しているかという資本回転率に関する例えば建物の分母にもってきて、ようするに固定資産の貸借対照表と損益計算書の費用項目というようなこともお考えになった方がよいのではないかと思います。今まではどちらかというと単式簿記になれていらっしゃるからこの分析のものがでてくるのでしょうが、普通は分析というとこれらを関係比率というのですが、こういうこともお伺いしたいと思いました。

事務局
 会計方針につきましては、先ほど言及がありましたが、国立大学法人会計基準があり、さらに具体的な取扱いについて書かれております実務指針という相当程度横並びの比較可能性を意識している方針等を既に定めております。従いまして財務諸表としまして先ほど千円単位ですとか、百万円単位というようなものがあって必ずしも統一したものがないというご発言がありましたが、例えばそれを事務局では千円単位で並べて全ての国立大学法人の貸借対照表でありますとか、損益計算書、その他指標を全部横並びで見られるようなそういったものを用意する予定です。それに基づいて色々分析を頂ければというように考えております。また確かにご指摘のようにこれはストック面には着目せずに今までのフローに中心をおいた指標に準じておりますので先生の意見を踏まえてまた取り込んでいきたいと考えております。

舘専門委員
 これは要するに先ほどご紹介頂いた法令でいうと、財務諸表承認のときの意見のためのあれですね。要するにこれは財務諸表承認のための議事をやるわけですね。だけどせっかくやるのであれば財務分析を少しやってもらうと、年度評価も、或いは中期目標期間終了後の評価にも役立つのではないかと、そういう課題もあるということですね。もし今度の年度評価に役立てようというならばこの決定は先行しなくてはならないですね。その辺のスケジュールがちょっと分からなかったのですが。
 それから、資料3‐3で私立は帰属収入でやるけれども国立大学は運営費交付金が主なので業務費等でやる。業務費等というのは支出の方になるのでしょうか。業務運営に当たる収入という意味なのか、会計の常識なのかもしれないのですが、その点で外部資金の扱いとか、いわゆる収入が国立大学で会計上、統一に扱われているのでしょうか。いや扱われていれば良いのですが、または扱われていないからこういう発想があるのか。業務費等というときと業務費というときと同じなのかどうなのかその点も含めて教えてください。

事務局
 結局、何と言うのでしょうか、年度評価というのは先ほど言いましたように、基本的には各年度計画を履行したかどうかということで、それは資源配分に反映するわけではないのですが、それでも各大学が様々な課題、業務運営とか、財務内容の改善というような努力をしている。では一体何に向かって努力しているのかということ自体を大学も分かっておりませんし、我々も分かっておりませんのでそういった時に努力をする方向が果たして本当に良いのか、間違っているのかということも含めて年度評価に表れますので、分析作業を通じて、また、年度評価を通じて同一類型大学間でのいわば努力程度の判断の参考にして頂けるのではないかと思います。また同時に私どもからすれば年度評価にあわせて国立大学全体の改革推進状況を、年度評価とは別に評価委員会として分析したいと思っておりますので、そちらの方にはこういった努力をしている大学が何大学位で、特にこういった取組は非常にいい事柄ということで明確に出てくると思っております。

事務局
 2つ目の質問にお答えします。まずなぜ分母を業務費としているかということですが、資料3‐3の「2.財務分析結果の年度評価への活用(例)」の前提にいれておりますように、私立学校においては基本的には独立採算経済主体で収入が業務活動の量を規定するのですが、国立大学法人では、例えば法人の自己収入でありますとか、国から措置される以外の収入をどう位置づけるかという問題は残っておりますが、基本的には大きな部分は国からの財源措置を受けております運営費交付金や施設整備費補助金により運営されておりまして、そういったことを考えるとどちらかというと消費を専ら行う主体として考えております。私学では業務の規模を規定する収入を例えば色々な指標を作る上での分母にあてるのに対して、国立大学法人ではここでは事務局の案としまして支出全体のベースの中で例えば人件費は何割位といったような指標を使ってはどうかというように提案しているところです。
 また業務費と業務費等との使い分けですが、業務費といいますと通常の経常的なお金の出入りの出の部分を表しておりまして、臨時的な部分を除く通常の教育経費でありますとか、研究経費そういったものをさしております。等といった場合に支出全体という意味で少しここでは言葉が足らなかったと思いますが、臨時支出を含めて要は支出全体という意味で使っております。

山本専門委員
 結論的には結局同じことなのですが、財務評価は一応この評価委員会でやるスタンスなり方向付けはしておかないと。やはりこの国立大学法人法の制定の趣旨からいって、まずこちらで財務償還についても基本的なスタンスを固めてやっていく必要があるのではないか。実際は年度評価で出来ないかもしれませんが、そういう姿勢を明らかにしておくということ重要なことだと個人的には思っております。

清水専門委員
 色々ご意見、私参考になったのですが、私ども学校法人会計基準に基づいてこれまで財務運営をやってきたことから考えて、まだ国立大学法人会計基準ということがまだ明確に定まっていないのですか。

事務局
 定めております。

清水専門委員
 それをベースにしたら議論がそれほど混乱しないのではないかと思うのですが、まずもってこの会の役割なのですが、先ほど事務局サイドからもお話がありましたように、中期計画の中でも単年度の年度計画の中にある業務改善の目標ないし計画なるものが年度内にどこまで達成されているか。その中で財務指標に結びつくような業務改善目標についてのみここでは評価せざるを得ないと思うのです。そこで類型化の問題で、ここではおそらくこれは正しく言えば財政構造が違うものを同じ比較基準で比較できないであろうことから、なんらかの意味でカテゴライズした。それをフローのサイズから始まって様々な意味の財政のストラクチャーの違うもの、ある程度類似するものをカテゴライズして、それについて先ほど挙げられました業務改善計画なるものが財務指標に結びついている限りにおいてそれと比較しながら見ていく。カテゴライズされたものを相対的に比較することによって、改善目標が達成されているかどうかを絶対的ではなくて、相対的に見ていくという理解でよろしいのでしょうか。

荒川部会長
 よろしいですね、はい。

清水専門委員
 特に病院の件は、私立の医学部及び附属病院を有する総合大学も大変大きな問題なのです。ただし、私たちも先ほど独立採算といいましたが、厳密には学校法人会計基準は独立採算という前に自己資金原則ということをある程度のフィロソフィーとして今日まで来ているのです。その際ここで言う附属病院なるものと学部との関係、これは簡単には断ち切れないのです。病院、例えば人件費も医学部の人件費と病院における人件費の配賦の方針というのは1つは非常に恣意的になりやすいのです。例えば病院だけを分離して人件費だけを計上できない中で、会計基準としてこれが分離可能だという議論があるのですか。到底私は出来ないと思います。そうしますとここで財政上の評価をする場合にもやはりこれは医学部及び同附属病院を有する大学においてはそれを含めた形で、本来決算ベースで病院を分離せよということは色々学校法人の場合にも要請があるわけです。それは形式上の問題であって、本質は財政評価をする際には完全には分離できないと私は思っております。その辺の議論は。

事務局
 そこはなかなか難しい。一応運営費交付金の構造状態、病院に係る運営費交付金と病院外の運営費交付金を明確に区分しているわけです。ですから前提としては病院に関するいわば会計的なものとそれ以外のものとは明確に区別しているという前提で我々は今運営費交付金を配分している。ですから、おっしゃられたように、我々がこういう分析を通じて、よりはっきり申し上げて、今のような配分の仕方を単純に従来の講座制を前提として講座評価は全部医学部の方で数えて、病院の助手をこちらで数えているという伝統的なものをやっているだけです。筑波大学は他の大学は全く違うということの中で果たして今のような経営改善係数をかけるということの中での運営費交付金の設定の仕方自体を逆に改善していかなくてはいけないと思っておりますが、まだ我々としては改善すべきということを財務省側に持っていく理論的ベースもありませんので、逆にこういう分析を通じて私どもにそういう知恵を授けて頂ければ大変ありがたいと思います。

山本専門委員
 ただセグメント情報は国立大学法人会計基準で出すことになっておりまして、私学と違って、それはようするに監査対象にもなっています。ですからそこは学校法人と違うところでありまして、その値を全く無視してまた評価は出来ないという難しさがあります。

事務局
 問題は、最近、事務の一元化というのを昭和60年頃からしてきまし、て事務職員の配置の仕方も病院の事務職員なのか、医学部の事務職員なのかはっきり分けて、便宜的に分けているだけかもしれませんが、大体そういう事務官との関係とか、病院の管理をしているのか、患者サービス部門の中にそういう区分さえありませんから、先ほど言ったように外部資金、治験に係る研究受託費を講座に入れているとか、病院の方に入れるのか、それさえも本質的な取り決めもないのか、ちょっとその辺も含めてぜひお知恵を借りたい。

清水専門委員
 それはもちろん私立の医学部附属病院の場合でも、医学部と病院の方に人件費配賦する時に臨床医だけをもっていくとかですね。基礎系医学部、治験は専ら医学部の基礎系の方がやっていたと。しかしその場所は病院だったと。それを完全に分離する何てことはとてもではないですが現場を知っている人間から見れば難しい話です。

宮島専門委員
 それはおっしゃるとおり大学というのはそれが非常に難しいところがあるわけです。しかし附属病院とそれから学部研究所、それから研究科なんてファイナンスの仕方が全く違うという面があって、特に国立大学法人の附属病院の場合には特に施設関係のものが完全に別のやり方をしますので、我々がはじめプレビューしたときは出来るだけセグメント情報としてもっと細かくしてほしいという気持ちがあったことは確かです。最終的にはセグメント情報を附属病院だけを出すということになってきていて、それはもちろん完全には出来ませんが、しかしその前から実は各大学はおそらく附属病院と医学部の間では一種の按分の仕方を色々工夫しながら同じ先生が臨床医をしているわけですから無理なのですが、やはり財政的な責任を少し明確にするにはある程度按分、むしろ按分の仕方を明確にした上で一種のセグメント情報は出してもらわないと。おそらく財務的にみたときの評価とは非常に違ってくるということだと思います。ですからそれは別に附属病院の場合は特に厚生労働省のコントロール下にあるということもありますから、なかなか文部科学省だけでは出来ないことも在るかと思いますが。

清水専門委員
 いやいやおっしゃるとおり私どもで経営管理情報を作っているわけです。そうしなければいつまでたっても医学部は将来決算ベースで大赤字なのです。一方の帰属収入、源泉であるところの医療収入を込みにすれば何とか総合大学として他学部の費用負担で設けて容認できるような範囲に収まるだろうと。それで経営判断をどこでするかということもありまして、おっしゃるとおり私もセグメント情報について一応按分はしているわけです。その按分が果たして財政改善といったときに適切な按分なのかどうかといったら、まだまだ議論の余地があるだろうと思っています。

宮内専門委員
 先ほどまさしく今の議論の中でセグメント情報として病院とそれ以外のものは少なくとも分けましょうと。そして財政構造的にも手当ての違いがあるので、ここのところは分けざるをえないですねと仕切りをしたという経緯がありますので、それはそれででてきたものを監査済みのデータということで信頼するしかないだろうと私は思っております。
 先ほどのカテゴライズした上で大規模大学というところの中に基本的には大規模大学の中にはほとんど医学部は、医学部というか附属病院がついているということのようですので、その部分を除いてデータを分離した上で取って見るということが果たして可能なのかどうかです。セグメント情報で出ているのは損益と残高、かなり大きな残高しかでていませんから、その分析が可能なのか可能でないのかどうなのかということがちょっとよく分からないのですが、少なくとも損益だけではなくてキャッシュフローについては分離してお出し頂かないと、いわゆる財政上の手当てとしての自己収入による借入金の返済というものの関係が見えなくなるというところになるのではないかと思いますのでお願いしたいと思います。

事務局
 人件費のところを除いてはある程度分けることが可能だと考えます。しかし人件費の部分は先ほど清水先生がおっしゃったとおり、どのように配分するかということが非常に難しい問題がありまして、一定の仮定計算において分けざるをえないかと思います。ですから、一定の仮定計算が入っているものであれば分析の材料としてお出しすることは可能だと思っております。

事務局
 今こういうことを申し上げて良いのかどうかということはありますが、文部科学省の中で例えば医系の教官がどれだけの時間、研究を行って、教育を行なって、診療を行なってというようなタイムスタディを試験的にとっております。そういったタイムスタディをとっておりまして、例えばタイムスタディに基づいて人件費を機械的に配分していくといったことは可能かと思います。それでA先生の診療経費は例えば3割相当分といったように分けたもので人件費を仮定計算で分けて、そして病院部分を除いた、もしくは病院の部分だけを特出しした形が損益計算書でありますとか、或いはキャッシュフローステートメントとかを出してくることは技術的には可能です。しかし一定の誤差があるということはご了承頂きたいと思います。

荒川部会長
 どうもありがとうございました。ほかにありませんか。
 今までの議論で、キャッシュフローステートメントの問題がありました。それから附属病院の扱いということもありますが、しかしこれはこれからこういう仕事をしながら私たちがよりよい方向を探っていくという、その貴重な資料になるということでした。他にありますか。全体としてはこのような方向でよろしいでしょうか。もし細かいことがありましたらまた頂きますので私のところにお願いします。
 それではそのようにします。
 3番ですが国立大学法人の役員報酬規定及び役員退職手当規定の改正についてということで、これについて内容をまず事務局からお願いします。

事務局
 資料の4をご覧頂きたいと思います。前回第3回後から今日までの間に各法人から届け出があった内容です。まず役員報酬規定関係の改正について、大きく分けて3つありまして、1つが昨年の6月の総会の際の主な論点として整理したものに対応した改正が1つ、それから昨年国家公務員の給与で寒冷地手当の大幅な改正があったということでそれを考慮した変更が1つ、それからその他非常勤役員の報酬額の改正とか、人材確保のために必要な手当ての支給とか、語句等の整備などがあります。最後に役員退職手当規定関係で3法人の変更がでてきております。
 まず役員の賞与に関しまして、一つは今までは職員給与規定に準ずるとしていたのですが、役員報酬規定で明確に整理をしまして、基準日以前の期間におけるその者の在職期間の区分に応じて割合を定めると明記をしたということ。国立大学法人評価委員会が行なう業績評価の結果だけをもとに100分の10の範囲内で増減をするということになっていたのですが、それ以外の評価項目を入れるということで、「及びその者の職務実績等に応じて」ということを明確に入れたということです。また、国家公務員等から役員になった方について引き続き在職した期間とみなすということで、当初昨年の段階ではまだ整理ができていなかったものについて整理をしたということです。
 もう一つは、これは退職手当とも関連があるのですが、元々国立大学法人評価委員会の行なう業績評価の結果またはその者の業績に応じというのが入っていたのですが、退職手当の方に国立大学法人評価委員会のみの評価結果というのがありまして、そこにそれ以外の評価を入れ込んだということで字句の修正をしたのと、それから前回の第3回の部会で議論がありましたのは、そもそも100分の10の範囲内等々で増減をする場合等の法人内でのルール化が明確になっていないではないかということでルールを早急に整備してほしいということ、少なくとも増減をするときには学外委員が入った経営協議会等の議を経てやはり決定すべきではないかということを早急に大学の方に周知しました。その結果、その要素を入れ込みまして、字句の整理を含め、「及び役員としての職務実績を総合的に勘案し、経営協議会の議を経て」ということで整理をしたということです。
 次に、寒冷地手当に関係するものですが、国家公務員について今までは10月31日に一括で払っていたものが毎月払うという制度の改正がありまして、それに準じて役員報酬規定を改正したということです。
 それから次の大学についてですが、法人化に伴いまして非常勤の監事なのですが事業と財務ということで監事の職務を分けまして、若干額の違う報酬を支払っていたわけですが、これは、事業担当の監事については、明確に監事の業務プラスアルファということがあったものですから、報酬額についてその分を考慮していたものです。その業務が一段落したということがありまして、非常勤監事の手当の額を一律にするという改正内容です。
 それから調整手当に関する規定が今まで役員についてはなかったのですが、例えば東京とか調整手当がついているところから役員出向とかで来られた方々についてその異動保障をしたい。そうでないとなかなか人材が確保できないということもありまして整備をしたということで、調整手当が支給できる規定にしたということです。この改正にともない、賞与について整備をしたということです。
 それから、法人化に伴いましてこの大学は国家公務員に支給されておりました単身赴任手当という制度を一旦廃止致しました。しかし、最近単身赴任というのが多くなってきているということがあり、これが出ないことに伴って人材が確保できないのは困るということで、今回特別赴任手当というものを設けるということです。内容については一定額を3年を限度として支払うということになっております。これはやはり人材確保のためには必要だということで今回新たに設けたということです。
 その他として、賞与の通算関係の整理を行なったもの及び給与の支給日の17日に関して土曜日とか、日曜日とか、それ以外の時で休日にあたる時にどうするのかということを明確にしたというものです。
 退職手当の関係ですが、今まで国立大学法人評価委員会の評価結果のみだったのですが、結果及び役員としての在職期間におけるその者の業績等というそれ以外の要素を入れた大学が一つ。今までその他の業績結果が入っていなかったものですから今回それを入れ込んだということと、退職手当についても経営協議会の議を経て行ないますということに明確にした大学が一つ。また、引き続き職員となった期間ということで通算規定の整備を行なった大学が一つです。
 今回の改正については以上ですが、一言付け加えさせて頂きます。前回、第3回の部会の時に役員報酬を引き下げた大学がありました。具体的には理事の俸給を指定職の7号俸相当から6号俸相当に引き下げたと。監事について6号俸相当だったものを5号俸相当に引き下げた。この時にやはり全体の役員報酬、国立大学法人全体としての役員報酬の水準がまだ分からないのだが少し高いのではないかという話があってそれは個別に対応するということになっておりました。当該大学としても、現在検討しているところですが、非常にまだ大学としても厳しい財政状況にあると。それから理事とか監事に就く者の経歴が様々でもあること。他大学の報酬等も調べた結果やはり指摘があったとおり、少し体力に合わないかもしれないということがあって、今鋭意検討がなされておりまして、現時点の検討内容につきましては、理事につきましては現行の指定の6号俸という上限は変えないのですが、それぞれの方々の経歴等に従って幅を持たせたいということ。それから監事については今5号俸なのですが1号俸下げまして、ここのところも一定の幅を持たせて、上限を指定の4号俸として幅を持たせた規定にしたいということで今月末の経営協議会に諮った上で改正を行なう予定と聞いております。そういうことは各大学で行なわれているということですのでご報告させて頂きたいと思います。以上です。

荒川部会長
 ありがとうございました。ただ今この役員報酬規定と退職手当規定の改正につきまして何かありましたらお願いします。いかがでしょうか。この評価委員会では、この役員報酬規定等が社会一般のこの情勢に即しているかどうかということについて文部科学大臣に意見を申し上げるということだったのですがよろしいでしょうか。

山本委員
 最終的にこれは公開されますから問題ないと思いますが、それぞれの大学で公表されたときに責任あるお答えが出来れば良いと思うのですが。非常勤の理事の方で、ほぼ同じ給与についての説明をする準備はしておいた方が良いと思います。

荒川部会長
 大学としては、常勤の方が多いのですか。

事務局
 各大学法人に監事は2人いるのですが、常勤・非常勤1人ずつというようなところもありますし、両方非常勤というところもありますし、両方とも常勤というところもあります。まちまちです。

荒川部会長
 それは大学の規模によるということですね。

事務局
 今、山本先生からもお話がありましたが、6月30日の財務諸表の提出に向けて、附属明細書にあわせて総務省が定めたガイドラインに従って役員の報酬とか、それから職員の給与の水準というものを公表することになっております。そこで多分、各大学、周りの大学がどういう水準にあるのかというようなことが初めて分かりますので、それを見た上で自分のところの人件費の割合とか、財務状況とかをある程度自己評価して頂いて、自分の大学の体力にあった水準なのかどうかということを自己分析して頂いて、改善して頂くということになるかと思います。

荒川部会長
 今は分からないわけですね。

事務局
 規定上は公表されているのですが、やはり幅があるものですから実際にその方に幾ら出ているのかということが、役員にとっては特に分からない部分がありまして、給与水準の公表が行われれば大体分かるということになると思います。

清水専門委員
 経営協議会は全ての国立大学法人に設置されているのですか。

荒川部会長
 はい。

清水専門委員
 この「経営協議会の議を経て」というときの経営協議会の方々には報酬が出るのですか。

事務局
 外部の方は謝金とか実費という形で出ています。

宮島専門委員
 こういう形で明確になる役員報酬規定などはかえってつつかれるという可能性はありますので、もう少しその点についてはきっちりというか、チェックしてほしいと思いますが、そういった形で出てくるものは分かりやすい。

事務局
 改正の届け出がなされてきたところで問題点と思しきところは指摘しているのですが、法人としてもう少し経営協議会というものをきちんとした手続き機関だという認識を持つ必要があると考えています。大学の中で伝統的に評議会の方には何か諮らなくてはならないとの意識があるのですが、経営協議会にどうやって手続き機関としていわば特に財政会計上のそういった透明化の手続きを担保していくのかということに関して少し認識が欠けているきらいがありますので、その点について今回規定をきっちりと見直してもらっていきたいと思います。

宮内専門委員
 監査人が何か言っているのか、何も言わないでいるのかちょっと分かりませんが、先ほどの非常勤監事に関する報酬規程を変更した大学で、見直されたわけですが、業務としてそれだけのものがあったから、労務の提供に対する引き下げであるということは十分に理解できるのですが、監事の果たしてそれが業務であったのか、現実に実際のラインにおける業務であるのではないかということからみると、これはいささか監事の報酬として、手当としてお支払いするということにはあまり適切ではないような気が致しました。

荒川部会長
 分かりました。今後そういう仕分けもこれを通して段々良くなっていくと思いますが。ほかにありますか。よろしいでしょうか。
 それでは今日はこれについては大筋についてはよろしいということにさせて頂きます。それでは事務局から今後のことについてお願いします。

 ※ 事務局より次回の会議日程等の連絡がなされた。

荒川部会長
 ありがとうございました。それでは本日はここで終わりたいと思います。

―了―

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高等教育局高等教育企画課