国立大学法人分科会 業務及び財務等審議専門部会(第35回) 議事録

1.日時

平成26年7月29日(火曜日)14時から16時

2.場所

文部科学省東館16F2会議室

3.議題

  1. 国立大学法人の財務諸表の承認及び余剰金の繰越承認について
  2. 国立大学法人の業務方法書の変更について
  3. 国立大学法人の役員報酬規程及び役員退職手当規程の改正について
  4. その他

4.出席者

委員

宮内部会長、市川委員、熊平委員、田籠委員、巻之内委員

5.議事録

(1)議事進行について,宮内部会長から説明があった。
【宮内部会長】  では,所定の時刻まではまだですけれども,皆さんお集まりになったので始めたいと思います。第35回国立大学法人分科会業務及び財務等審議専門部会を開会いたします。
本日は,国立大学法人の財務諸表の承認ほか2件について御審議いただきます。
まず,国立大学法人の財務諸表の承認及び剰余金の繰越承認について御意見を伺いたいと思います。事務局から説明をまずお願いします。

(2)国立大学法人の財務諸表の承認及び剰余金の繰越承認について,事務局から説明があり,意見交換が行われた。
【事務局】 今回,委員の皆様が初めてということもありますので,会計基準のたてつけの方から説明した方がよろしいのかなと思います。資料1の後ろに補足資料1「国立大学法人の会計制度」という資料がございます。
まず,基本的なたてつけを簡潔に御説明させていただきます。国立大学法人の会計制度、国立大学法人会計基準はどういうものかということであります。まず,ここに企業会計をベースに,「独立行政法人会計基準」を参考としつつ,大学の特性を踏まえた基準でありますということで,企業会計原則に基づいて独立行政法人も国立大学法人も,いわゆる複式簿記の世界でセットされているのですが,それにまず所要の修正を加えているのが独立行政法人で,それに更に修正を加えているのが国立大学法人会計基準ということになります。
企業会計から独立行政法人会計基準への修正のポイントは,1番として,公共的な性格を有し,独立採算制を前提としないということ。2番として,政策の実施主体であって,政策の企画立案の主体ではないということ。3番として,出資する資本主を制度上予定していないということ。株主という概念が当然あるのですが,そこは制度上予定していないということであります。
国立大学法人会計基準は,ここは踏襲しているのですが,それに加えて,学生納付金,授業料,附属病院収入という,固有かつ多額の収入を有するということであります。ほかの研究開発法人はほとんど税金の世界ということなのですが,大学の場合はおよそ過半が自己収入,それと税金たる運営費交付金というもので構成されているということ3番として同種の法人が多数設立されていると。この比較可能性の観点というのもあり,そういうところを見通した形で設計をしなければいけないというのが,当初のたてつけであります。
次のページをおめくりいただければと思います。こうした国立大学法人会計基準でありますが,財務諸表の体系といたしましては,ほかの独立行政法人と同じであります。いわゆる左から貸借対照表(B/S),損益計算書(P/L),キャッシュ・フロー計算書,利益(損失)の処分に関する書類書類,ここまでは企業とも同じかと思います。独立行政法人・国立大学法人の固有のものとして,国立大学法人等業務実施コスト計算書,これは損益計算書(P/L)に計上をされてはいないのですが,国民が負担しているコストをあらわす書類で,後ほど簡単に触れさせていただきます。それから連結財務諸表であります。
このコスト計算書には,例えば固定資産の減価償却でありますとか,土地の運用利回り,例えば東京大学の本郷のキャンパスを民間に貸した場合はどれくらいの利回りになるのか,損益計算書に表れないものが計算されている書類があるということです。そこに附属明細書が加わって財務諸表として完結するというイメージであります。
次のページを御覧いただきますと,財務諸表の承認に至るプロセスで,現在は,各法人から6月末までに財務諸表の提出を頂いており,今,評価委員会からの意見聴取を法律に基づいてやっているということでございます。この後,財務大臣協議を行いまして,文部科学大臣の承認という流れになります。
次のページをおめくりいただければと思います。運営費交付金の収益化基準というところです。運営費交付金,税金ということでありますけれども,ここも企業と違っていて,企業の場合は,もう即収益というふうな認識になろうかと思いますが,「運営費交付金は,国からの事業の負託であると位置づけ,受領したときは運営費交付金債務として負債計上」するということになっております。すなわち,国民の負託という観点から,まず負債であろうという認識が,国立大学法人・独立行政法人含めて全ての共通した考えで,1回債務として受けるというところが企業と大きく違うところでございます。
一旦債務で受けたものをどう収益化するのか,大きく3つのイメージがあります。期間進行基準と業務達成基準と費用進行基準ということで,簡単に御説明いたします。
まず,この期間進行基準と申しますのは,基本的な原則で,「一定の期間の経過を業務の進行とみなし収益化する」。「費用を削減した場合,利益が生じる」ということであります。これは,国立大学の場合は多様な財源,授業料収入,病院収入,運営費交付金,様々な収入をもって支出に充てているため,1事業と1財源が連動しているかといいますと,特定が非常に困難な場合もあるということで,一定の期間に応じて業務を進行したとみなして収益化をするということです。これは1年に1回,年度末ということであります。
例えば,オレンジのところの資料ですが,運営費交付金債務で100を受け,最終的に運営費交付金の収益100ということになっていますが,その際,費用が80しかかかっていないと,利益が20生じるというたてつけになっています。これが一般的な国立大学法人に通じる期間進行基準ということであります。
それから,真ん中の業務達成基準ですが,一般に事業の特定,収入と支出の財源と対応関係が明らかに難しい前提の中では,一部,特別な教育研究プロジェクト等経費につきましては,一定の事業と交付金の対応関係が明らかにされている場合がありますので,それにつきましては業務の達成をきちんと図れるということで,業務達成基準というものを適用しております。
このイメージとしては,同じように運営費交付金を100債務で受けたときに,事業を展開したときの業務の達成度が90%といったときには,運営費交付金の収益を90として認識しなさいと。その際,費用が80ということであれば,利益が10出るたてつけであります。利益が出ない場合もあります。100%業務の達成度が財源をもって100%だということでありますと,利益が出ないという場合もあります。
それから費用進行基準というものがあります。特定の支出のために運営費交付金が措置されている場合に,その支出額を限度として収益化する。例えば退職手当が80(費用)発生したら,その分だけ収益化を図るということでありますので,残りについては債務として残り,ここは利益が出る構造にはなっておりません。いわゆる退職金,土地の借料とか,義務的なお金はこういう費用進行基準で,利益が出せないような構造にはなっておりますけれども,こういったものが費用進行基準に該当するということになります。
後ほど,この内訳も出てまいりますが,基本的にはこの3つの収益化の中で国立大学法人,きょうの御審査の観点もそういったことになろうかと思います。
次のページをおめくりいただきますと,貸借対照表と損益計算書のイメージ図ということで,これは期間進行の場合ということなのですが,先ほどの貸借対照表でいきますと,運営費交付金債務が負債の部で1回100受けて,しかし現金・預金が増えますので,資産の方に同額計上されると。これが末の損益計算書の段階で100もらったけれども,教育経費と研究経費で80しかかからなかったということでありますと,交付金の収益は収益として期間の経過により自動的に収益化されますので,利益の方で20数字が出てくるといったイメージになろうかと思います。
最後のページになりますが,国立大学法人の利益の認識につきまして整理したのがこのペーパーであります。特に国立大学法人の場合,税金だけではなくて病院収入・授業料収入と様々多様な自己収入がありますので,そこはほかの法人と違うとかなり幅を持たせて認定しているというのが実際のところであります。
「国立大学法人が行うべき事業を行ったことを立証することにより,文部科学大臣は原則として経営努力認定を行う」ということです。すなわち剰余金の承認ということでありまして,行うべき事業を行わなかった場合はどういうものかというものを逆説的に整理をしているのがそこの一番下のところです。基本的に,計画どおり教育・研究を行えば,損益はフラットというたてつけではあります。これは企業と違うところでありますが,実際にはこの箱書きの損益計算書のところで,右の矢印で費用については節減の場合もありますし,国立大学法人固有の病院収入・授業料・自己収入の増加もありますので,こういったことで利益,損失が様々出ているというのが実態ではありますが,損益フラットの構造の中で剰余金の繰越承認をする際の行うべき事業を行わなかった場合については剰余金の認定はしませんというものが,ここの黒丸3つであります。学生収容定員が未充足の場合,行うべき事業を行わなかったということであります。それから超過です。これは学生定員が超過するということは質の点でどうかということです。それから天変地異の話です。こういった場合は剰余金の承認はできないというようなことになろうかと思います。
これが国立大学法人会計全体を通じている基本的な構造ということでありまして,参考資料の1というものを御覧いただければと思いますが,これが先ほどのB/S,P/Lの一覧の資料ということであります。数字のイメージを持っていただいた方がいいかと思いまして,これをあえて2つ目に御紹介させていただきました。まず,B/Sの方でありますが,資産の方からです。ここは民間とそれほど違いはないと思いますが,固定資産(土地・建物),それから変わったところでは図書というものがかなり,4,700億円強ありますけれども,それを増減分析したというものが対前年度ということであります。
例えば土地で言いますと,73億円減となっていますが,これは例えば,これは京都大学が農場を売却して,その収入が入ってきたとかであります。
それから,建物につきましては927億円増えておりますが。今回の場合は,ほとんどが再開発というものが何十年に1回ありまして,そういった建物が増えているというのが,ここの大きな増えた理由であります。
それから流動資産のところで見ますと,現・預金が増えているというのもあります。これもいわゆる特定の大型の補助金の収入を受けるとお金がどんどん上がるという場合があります。東北と京都で400億円くらい補助金の収入がありまして,これはまた翌年に消化されるということでありますが,年度末ではこういうような状況でありますと,資産の部では挙げられます。
次に,負債のところをおめくりいただきますと,負債の部,純資産の部です。固定負債・流動負債というたてつけで,資産見返負債というものがあります。これは大学の方で運営費交付金や授業料で固定資産を買った場合,見返負債に買った金額を振り替える調整勘定というような説明の仕方にさせていただきますけれども,ここの数字が増えているということは,それだけ前年度に比べて資産を買ったということになります。
それからセンター債務負担金,長期借入金,これはいずれも法人化前と後との病院の再開発整備事業の借金ということであります。附属病院は基本的に税金にはほとんど頼っておらず, CTとかMRI,入院の治療,外来診療,そういった病院収入をもって施設の整備に充てるというルールになっておりますので,その際,財政投融資でお借りしたような事業の返済ということで,例えばセンターの債務負担金が着実に減っているということ。長期借入金については法人化以降の話ですので,今は増えているという状態であります。
それから,流動負債の運営費交付金債務というものがあります。今回は平成24年度1,307億円が1,187億円に減っております。後でこの1,187億円の内訳も御説明させていただきます。
それから寄附金債務につきましても,これは税金ではないのですが,寄附者の意向に応えてきちんと教育・研究をやるという責務を国立大学の先生は負っておりますので,その意味でやはり債務として認識する。これも民間ではなかなか見られないたてつけかと思いますけれども,寄附金の債務という認識が,大学の方で2,500億円程度たまっていると,そういうイメージであります。
それから純資産の部で行きますと,資本金ということで5兆9,676億円。これは法人化のとき,平成16年度に全ての現物出資がほとんどではありますが,一部,昨年の補正予算で国立大学の特定の研究開発出資事業に現金出資が1,000億円与えられています。
次に損益計算書に入らせていただきます。これも民間と違うところは,まず配列が違うというのがあろうかと思います。普通は収益から始まるようでございますが,独立行政法人の場合は費用から,いかにきちんと適正に使うといった観点から,費用が先に来ているとも承知しておりますが,中身としては業務費,教育費,研究費,それから診療経費,ここだけでもう1兆円を超えるという状況でございます。それから人件費が役員・教員・職員ということで,ここで約1.2兆円ということでありまして,事業費ベースで行くと,約3兆円に迫る経常費用で2兆7,000億円という,経済規模というふうに言ってもよろしいかと思いますけれども,ここの増減は金額的には,事業規模が増えております。1点,教員の人件費のところで202億円の減は,復興の関係で国家公務員,国立大学法人,公共関係のところは給与が平均7.8%減というものが平成24年度と25年度にかけて行われておりますので,その影響で人件費が下がっているということはございます。
それから経常収益のところで行きますと,つかみとしては運営費交付金が約1兆円,学生納付金が3,000億円超,附属病院が約1兆円と,そういった収入構造でありますので,運営費交付金よりはるかに自己収入の方が多いというようなたてつけになっております。これが経常収益ということであります。
そして臨時損失・臨時利益なのですが,例えば,固定資産の除却損が臨時損失に挙がってくる。それから固定資産の売却が,臨時利益の方に挙がってくる,そのようなイメージで全体としてとっていただければと思います。
それから最後になりますが,前中期の積立金取崩,目的積立金取崩というのは,これまでの決算で各大学に蓄積されたものについて一部この25年度会計において取崩しをして,教育研究の用に供したというようなイメージで持っていただければよろしいかと思います。これが損益計算書のイメージです。
それから,次のページをおめくりいただきますと,キャッシュ・フロー計算書。これは民間と変わりません。現金の流れということで,国立大学法人・独立行政法人につきましても,業務活動,投資活動,財務活動ということで,それぞれの区分に応じて足し算・引き算をしているというようなものであります。
次に,業務実施コスト計算書,これが国立大学法人固有の資料ということでありまして,これは一番の「業務費用」は損益計算書に近いところはありまして費用が2兆8,089億円あり,それから自己収入を差し引くと,業務費用としては1兆1,000億円が自己収入以外のところで賄われている区分です。
そこで,2番から損益外減価償却というような名前が出ています。これは基本的に民間では当然ですが,建物を買ったりしますと,基本的に減価償却がかかってくるということではありますが,国立大学法人につきましては一定の要件下の下,一部につきまして減価償却費として認識しないというものがあります。それは損益外減価償却ということでありまして,その考え方としては,基本的に「損益をフラット」が基本的な財産構造というのが1つと,それから,この損益外の部分は国から毎年予算が充てられると。そういうたてつけで損益外の整理をしているものが一部ございます。これが1,300万円でありますとか,それから,政府出資の機会費用,401億円というのがあります。これも先ほど申し上げたように,国立大学法人に出資した土地につきまして,仮にこれを運用で回せば,どんな金額になるのだろうか,10年国債の利回りを使って算出するルールになっておりますが,そういったものを先ほどの業務費用の合計1兆1,539億円から足していきますと,国立大学法人全体を支える税金のコストとしては,1兆3,000億円あるというものを国民にきちんと示すために,損益計算書以外でつくっているということであります。
それから,次のページをお開きいただきます。これが利益処分の資料でございます。全体として,当期未処分利益,当期総利益349億円の中で,利益処分として文部科学大臣の承認を受けようとする額が30億でそれ以外は積立金です。一言で言えば,この積立金はキャッシュの裏づけのない観念上の利益というようなもので,この30億円の方が現金の裏づけのある利益でありまして,これが実際に各大学の方で活用するものでございます。
それから逆に損失の方ですが,今回は86大学中21大学で損失が発生しております。その積み上げが▲57億円ということであります。損失が出ますと,その損失の処理ということですが,これは1つには過去に積み立てておりました積立金を取り崩していくというのが26億円,それでも足りなければ前中期,第1期の中期目標期間に認定された繰越しの積立金を取り崩していくというようなことで,55億円ということでありますが,57億円と55億円の違いは,一部の大学においてこの取崩額では足りないというような状況がありました。その場合は繰越欠損ということになりますので,それが2億円の隙間ということであります。次期の繰越欠損金は▲15億円ということで,これは2大学合計で発生しております。
参考資料1を説明させていただきました。
【宮内部会長】  ただいま説明のあったことに関して,御質問や御意見を頂ければと思います。どなたからでも御自由に発言をお願いします。
【宮内部会長】  もしなければ,続けていただきたいと思います。
【事務局】  資料1に入らせていただきます。財務諸表の承認と繰越しの承認の事務局における確認についてというA4の資料に縷々(るる)書いてございますが,合規性と表示内容の適正性の2つの観点から確認しております。合規性のところは,確認項目にあるとおり,非常に形式的な話です。会計監査人の意見も含めて特段の意見はございません。
表示内容の適正性のところでありますが,記載すべき事項,計数は整合しているか,書類相互間の不整合はないかということであります。この一番下の行うべき事業を適切に行っているかというところで,「期間進行基準の適用事業について,学生収容定員の充足率」があります。これは別紙3「期間進行(収容定員未達相当額)・(定員超過相当額)」があります。これが行うべき事業を行っていなかった法人の一覧で,上が学生収容定員の充足率が満たない,90%以下の大学。それから定員を超過している大学ということであります。これにつきましては,大学院がほとんどで今回の特徴としては,皆,法科大学院の話です。90%に満たない大学に対し、学生当たり教育単価で,未達部分の予算措置額を国庫納付していただく構造です。6,400万円が今回の決算で債務として残し,平成27年度の第2期の最終年度で国庫納付すべき額です。同じように定員超過につきましては,その超過分について,国庫納付すべき額が1,600万円で,合計約8,000万円。これが行うべき事業を行っていないために,決算上は債務として残す内訳になります。これを確認いたしました。
資料の2ページ丸2「業務達成基準及び費用進行基準の適用事業について,『財務諸表等の補足資料』等により,行うべき事業を行っていることを確認した」件については、参考資料3で,各大学のそれぞれの事業の内訳としてその目的と要件,金額の整理について確認をいたしました。
次の「運営費交付金に係る会計処理は適切か」ですが,別紙1の資料を見ていただければと思います。債務の内訳として,運営費交付金の当期の交付額が約1兆円,9,938億円, 25年度の期首において交付金債務が1,300億円ありましたので,合計すると約1兆1,000億円ですが,この運営費交付金債務について, 25年度はどのように振替をしたかというのが,この当期振替額(c欄)であります。収益化額は費用の額,資産見返運営費交付金は固定資産の購入額,建設仮勘定見返運営費交付金は工事中というイメージでよろしいかと思います。それから資本剰余金は,土地や美術品の購入額でございます。
そうしますと,運営費交付金債務((a)+(b)-(c))として, 1,187億円残っているということでございます。この運営費交付金債務が1,187億円なのだということを前提に,次のページを見ていただきます。その運営費交付金債務1,187億円を大きく「うち25’交付額から生じたもの」と,「うち24’以前交付額から生じたもの」と2つに分けて,期間進行,業務達成,費用進行それぞれの要因についての資料でございます。
まず,期間進行基準において事業未実施による繰越しが1件あります。それから,先ほどの収容定員の未達・超過による繰越し8,000万円について先ほど確認いただきました。
それから業務達成基準の債務残高が310億円あり,事業不用相当額が800万円ほど,8,106あると,そういう見方であります。
それから費用進行基準につきましても,退職手当で交付された分,その他の事業の未実施相当額が債務残高として残っています。以上、各国立大学法人から提出された調書により事務局で精査しているということでございます。
資料1に戻っていただきまして,期間進行基準の適用事業については,学生の方の未達収容定員の状況を確認し,業務達成基準につきましても,行うべき事業をきちんと行っているということについて補足資料を含めて確認し,費用進行基準につきましても確認しているということで,全て問題ないという結論になっております。
「剰余金の繰越承認を受けようとする額は適切か」につきましては,当期総利益の範囲内であることを確認しました。当期総利益は,先ほどの資料では349億円になります。
結論として,財務諸表については事務局の方から特段のコメントはございません。また、剰余金の繰越承認につきましては,全ての法人において当期総利益の範囲内ということを確認しております。
ただし,剰余金については今後財務省との協議がございます。
ここで資料1の説明を終わらせていただきます。
最後に補足資料2を御覧いただければと思います。期間進行基準の繰越7,100万円に関してです。昨年の当委員会において期間進行基準は期間の進行に応じて収益化を図っていくことがルールなのに,繰越しを行うのは,よほどの理由が必要だが,実務指針で認められている天変地異の範囲が,必ずしも要件が厳格に定まっていなかったため、厳格化を図るべきではないかという御指摘がございました。今回要件を厳格化すると同時に大学に通知あるいは会議の場を通じて厳格化をしていくということを発しまして,真にやむを得ないものという説明をしてまいりました。結果、該当が1件あり、その1件がお手元の資料の徳島大学です。台風ということであります。例えば、降雨は24時間80ミリ以上,あるいは1時間20ミリ以上,暴風であれば,10分間の平均の風速が最大15メートル以上といった災害のメルクマールで確認した結果、徳島大学についてはやむを得ないと判断いたしました。以上、昨年の宿題を踏まえての対応になります。
補足資料3につきましては,寄附金の話でございます。寄附の話も前回,前々回から様々な御指摘がありました。25年度は2,500億円程度の債務残がございます。資料の緑色の数字が各大学の残高でありますが昨年度より増えております。
一方で,この水色が先生方の教育研究に係る寄附金ですが,この棒グラフの数字がその内訳の残高で,増えております。その下の基金受入額が,法人化後大学の方で戦略的な基金を用意しており,そこの執行状況でございます。大きく寄附金は2つに分かれるということですが,シェアとしては圧倒的に教育研究の方が多い中で,残高が増え,執行額が減っていることについて,様々な考え方はあると思うのですが,やはり世間で寄附金をもらったというものを何年間ずっとため込んでいるというようなことはどうなのだろうかと。ある意味,そういったものが膨らんでいくと,真面目に仕事をしていないのではないかと思われないかとか,大学の研究が活発ではないのではないかというような懸念を持つのではないかというような御指摘がされております。
一方で,事業を進めるためにはまだ1年の額では足りないので,2年,3年のためという場合もあるという現場の声もありますけれども,いずれにいたしましても,ここ2,3年の寄附金の経過状況から,景気の状況にもよるのか,少しため込んでいるのではないか。各国立大学法人の先生方の捉え方として,最後のとりでみたいに思っておられるかもしれませんけれども,これを決算上見たときに,これでいいのかというような疑問も呈されておりますので,御報告させていただきます。
最後に資料2です。今後のスケジュールですが,今後,きょう御審議いただいて御意見がなければ,財務省の承認手続に入ります。もう1個,また、先ほどの30億円の剰余金につきまして,財務省の協議というものを経て承認になります。こちらの時期は未定です。
事務局からの説明は以上でございます。
【宮内部会長】  ただいま説明があったことに関して,御質問・御意見を頂きたいと思います。どなたからでも御自由に発言をお願いいたします。
【市川部会長代理】  定員超過の問題で,別紙3の定員超過区分欄に学部と書かれているのは,例えば茨城大学であれば幾つか学部の中の1つの学部ということですか。それとも学部全体を押しなべてということなのですか。
【事務局】  学部別です。
【田籠委員】  学部別でしょうね。多分ね。そんな気がします。
【市川部会長代理】  個別の大学へのヒアリングを先週もしましたが,大学院の場合定員の2倍以上取っているようなところがあるわけですが,これは問題ないのでしょうか。
【事務局】  もともとこの定員超過は学部だけで,大学院ではやっていません。学部段階で定員超過したら駄目だという罰則のようなものです。大学院の方をやると,かなりの研究科がオーバーしてしまいます。
【田籠委員】  逆に後期課程は少ない。
【市川部会長代理】  大学院の定員超過について検討の余地はないでしょうか。
【事務局】  超過は学部だけとか,それからくくり方とか,これで固定しているわけではありませんが,今後どうしていくのかという話は,別の議論になります。
【田籠委員】  出口とリンクしないとね。そこであぶれちゃうわけだから。
【事務局】  そうですね。
【田籠委員】  それは別の議論ですね。
すみません。最後に御説明された補足資料の寄附金のところなのですが,これは民間からの寄附金が基金と寄附金で入ってきましたと。その当該年度に使用した金額というのが書いてあって,その折れ線の方が残額ということですか。
【事務局】  いや,折れ線が受入額です。残額が棒グラフの2,086億円になります。
【田籠委員】  これは過去からの経年の残額。
【事務局】  そうです。基本的に留保されたものがあって,受入れ,使い,残りという,その繰り返しのです。
【田籠委員】  受入れ,使い,残りの,残りがこのグリーンなんですか。
【事務局】  そうです。2,571億円。
【田籠委員】  そんなに残してるんですね。海外への留学奨学金に図充当するなど、積極的に活用すべきではないでしょうか。
【事務局】  構造としては,ここのピンク(基金)の部分が,今485億円あって,これが16年度から,今まで寄附金というのはどうしても先生方それぞれがもらっているみたいな,ひもつきみたいな。
【田籠委員】  ひもつきですよね。冠講座など。
【事務局】  そうです。それを大学全体の戦略として使う基金がなかったので,法人化のときにそういうものをつくらないと,つまりハーバードのような。それでここが今増やしているのが,ここの431億円が485億円まで来ています。
【田籠委員】  いや,昔頼まれたので,よく知っていますけれども。何に使うのかを聞くと明確ではなく、使途が分からないから企業としては出せないということがありました。
【事務局】  まさに留学生とか,それから国際交流とか,大学全体の事業として使用するのはこのピンクの基金の部分になります。
【田籠委員】  青の部分は先生方の,共同研究ですね。
【事務局】  そうです。
【田籠委員】  本当に共同研究ならもっと実行されていると思うのですけどね。
【事務局】  ここは,そうですね。予算がかなり限られている中で,最後のとりで的に残しているのだと思います。
【田籠委員】  残しておけと。
【事務局】  残しているという作用が先生方にあるのかなというのもありますし,先ほどのこれまでの御意見で,もっと使えばいいだろうという話もあって,ここはずっと注目していたのですが,ちょっとそろそろこれはどうなのかなという時期に来ているかと思われます。
【田籠委員】  一方で官民ファンドとか入れるわけだから,まずはこれを積極的に使うべきではないでしょうか。
【宮内部会長】  いや,それは私が以前に,これが一方的に増えていくということ自体,国立大学の関係者の方々は,ひたすらいいことだと思っているわけです。だけど世間から見たときに,それはいいことには必ずしもつながりませんよというお話をして,でも内容はこの基金的なものが増えていっているのですかねという話だったので,実態を調べてもらったら,逆に基金の方が使われちゃって,これの見方としては,平成25年度においては84億基金の受入れをしているのだけれども,結果的には前年から比べると5億円しか増えていなくて,かなり使っちゃっているという状況がここでは起きているということなので,ちょっと事態がイメージしたのと違うようなことになっているので,やはりこれは何とか各大学にも働きかけた方がよろしいんじゃないでしょうかという,そういうことだというふうに理解しています。
【田籠委員】  はい,分かりました。
【宮内部会長】  ほかにございますでしょうか。
【市川部会長代理】  今の基金,寄附金というのは,個人の先生方が例えば企業からもらってというのが寄附金ですか。
【事務局】  はい。
【市川部会長代理】  通常私学だと,国立もあると思うのですけれども,100周年の記念事業をするとかいう,それとは別。
【事務局】  それはどちらかというと,例えば医学部の30年とかいうと,恐らくこの水色のところに入ってくると思います。大学全体の120周年ということでは。
【市川部会長代理】  何か建物を建てると。
【事務局】  はい。ピンク(基金)のところに入ってくると,大体そんなイメージです。
【市川部会長代理】  そうですか。この基金というのは,私学で言うと3号の基本金というような形で,先ほどちょっと言われましたけれども,国際交流,留学生とか,あるいは基金をつくって,その運用益で運用するというような,そういうイメージでいいのでしょうか。
【事務局】  運用益で本当はやれれば一番いいのですが。
【市川部会長代理】  足らないかもしれませんね。
【事務局】  結局そこまで行かないので,これは相当何年か前に上場企業やOBの先輩で社長をやっておられる方、同窓会など先生方が学長を筆頭に回って,その結実として485億円です。
【田籠委員】  東大は積極的ですね。
【市川部会長代理】  だから,そういう意味では別に,先ほど議論がありましたけれども,残っていてもいいのではないかと。
【事務局】  ここの部分については,まだ大いに残っていても。問題はその水色のところがやはり。
【田籠委員】  出した側の立場でものを考えると,有効に使って欲しいと。
【宮内部会長】  そういうことなのです。だから私が死んじゃった後,研究してくれても,余り意味がないよという,そういう類いの話で。
【事務局】  承りました。
【市川部会長代理】  そこは多分大学の中にいる者と,そうではない人と考え方が違うように思います。基本的に私学は永続的に存在するような仕組みになっていますから,基金を運用して,運用益を出してやるということだから,そんなにどんどん消費せずに計画的にやればいいのではないかなと思うので,この辺に考え方の違いがあるかなと。
【事務局】  いえ,とんでもないです。
【熊平委員】  当期振替額は,運営費交付金が,当期に,どう使われたのか,どれだけ使われたのかということですね。
【事務局】  資料1,別紙1になります。
【熊平委員】  ビジネスの世界では,何割くらい消化したのかを評価し,それも併せて期首の運営費が決まります。交付金債務は,過去の運営費交付金が未活用であることを意味するという理解でよろしいでしょうか。
また,当期の運営費交付金は,過去の運営費交付金の活用状況に基づいて決まるという理解でよろしいでしょうか。
【事務局】  この決算上の世界と予算の仕組みは,基本的に別であります。
【熊平委員】  違うのですか。
【事務局】  法人化前は細かく決められていたのですが,今はもう運営費交付金は渡しきりとなっております。これは使途の定めのない交付金ということになっております。
予算上は一定の考え方で,予算措置をするので,基本的に運営費交付金のほぼ9割は,各大学の方で自由に使っていいというたてつけになっております。
その結果として,残りの10%はあるのですが,こういう使途で使っているということが報告にあって,それについて決算上正しく使ったのかという点が御審議になるのです。
【熊平委員】  運営費交付金の活用状況は,本委員会では,判断しなくてよいという理解でよろしいですか。
【事務局】  この委員会においては,運営費交付金という税源もあるので,基本的に。
【熊平委員】  正しく会計処理されているかどうかということですね。
【事務局】  いわゆる企業会計の真実性,合規制の観点で御確認いただくということですね。
【熊平委員】 分かりました。
【事務局】  それで,今の先生の御観点で行けば,業務運営の評価として各ブロック単位で(Aチームとか,Bチーム)で行います。
【熊平委員】  はい,了解しました。
【宮内部会長】  ほかにございますでしょうか。
それでは,財務諸表等のいろいろ意見はございましたけれども,財務諸表等の承認については特に意見はないということでよろしいでしょうか。
併せて剰余金の繰越承認については,今後財務省との協議により繰越の金額が変更となる場合が想定されますが,その際は私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
【宮内部会長】  それでは,そのようにさせていただきます。
次に,国立大学法人の業務方法書の変更につきまして,御意見を伺いたいと思います。内容について,事務局から御説明をお願いします。

(3)国立大学法人の業務方法書の変更について,事務局から説明があり,意見交換が行われた。
【事務局】  資料3でございます。国立大学法人の業務方法書の変更案についてでございます。
まず,業務方法書の認可については,あらかじめその評価委員会の意見を聞かなければならないということになっております。
業務方法書には,出資であるとか,契約等に関する業務について書かれているものでございます。今回この1,2,3の3点について変更が出てきているということでございます。
まず1つ目ですが,政府調達に関する協定を改正する議定書の発効に伴う変更でございます。この業務方法書の中に,政府調達に関する協定の適用を受けている契約については,同協定に定められた手続に従うというところが記載されているのですけれども,今回,平成26年4月16日にこの協定を改正する「政府調達に関する協定を改正する議定書」が発効しておりますので,業務方法書の変更が必要となったものでございます。それにあわせて,その他の字句修正も図っているというところでございます。
この政府調達に関する協定,では何が変わったのかと申しますと,もともとの適用基準,例えば物品で言えば国が1,600万円以上になれば政府調達にかけなければいけないというところだったのですけれども,その基準が1,200万円に引き下げられています。ただ,国立大学法人については1,600万円のままですので,実際は国立大学法人は変わらないということです。
また,適用対象となる役務の範囲も拡大されているのですけれども,大きな変更はございません。
次に2と3でございます。この2と3は国立大学法人法の改正に伴う変更ということでございます。本年4月に国立大学法人法が改正されまして,ベンチャーキャピタルへの出資というものが可能になりました。これに伴う業務方法書の変更が出てきているというものでございます。2がその出資を行う予定をしている,東北大学,東京大学,京都大学,大阪大学において業務方法書の変更が出てきていると。
また3でございますけれども,今回出資に関する法律が追加されたということで,今までの7号というのが8号に繰り下がったということで,変更になっているものでございます。これが82法人です。
具体的に見ないと,イメージがわかないと思いますので,その次のページに,東北大学の業務方法書の新旧対照表ということで,左側に改正案,右側に現行というところですけれども,この第2条,出資のところです。ここで追加されているのが認定特定研究成果活用支援事業者に出資する,これが法律で追加された部分ですが,ここについて追加ということでございます。
また,その下,第4条の業務の委託というところで,前回第7号とされていたのが第8号に変わるというものでございます。
そして,次のページでございます。次のページの第6条というところが政府調達のところでございます。2項のところで,政府調達に関する協定を改正する議定書,これが追加されております。平成7年のものも残っているのですけれども,これは実は今回の改正議定書を受諾していない国がまだ4か国残っておりますので,並列して今は残ってしまうというものでございます。
附則においては,これは認可の日から施行するのですけれども,国立大学法人法の改正に伴うところ,第2条と第4条,これは出資のところです。そこに関わるものについては4月1日で,政府調達に関わるところについては4月16日から適用するということでございます。
以上でございます。
【宮内部会長】  ただいま説明のあったことに関しまして,御質問・御意見を頂ければと思います。どなたからでも御自由に説明をお願いいたします。
最後の3については4法人が条文を引用していないというのは,どういう書き方をしているのですか。
【事務局】  これは例えば東北大学の例で言えば,「本学は,国立大学法人法第22条第1項第1号,2号,第4号,第5号」等と書いてありますが,そこの部分について業務内容を書いています。
【宮内部会長】  全部言葉で書いてあるのですか。
【事務局】  はい。法律の条文等を引用していなければ,ここは変更にならないというところです。
【宮内部会長】  ほかにございますでしょうか。
【事務局】  はい。今回政府調達の改定と,法律も改正がありましたので,今回申請が出てきたということでございます。
【宮内部会長】  それでは,よろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
【宮内部会長】  文部科学省としては,原案のとおり,国立大学法人の業務方法書の変更の認可をしたいということですが,これに対しては意見なしということでよろしいでしょうか。
あわせて,この件については,認可等の手続が終わる前に変更があった場合等の扱いについては,私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
【宮内部会長】  それでは,そのようにさせていただきます。
次に,国立大学法人の役員報酬規程及び役員退職手当規程の改正につきまして御意見を伺いたいと思います。内容について,事務局から説明をお願いいたします。

(4)国立大学法人の役員報酬規程及び役員退職手当規程の改正について,事務局から説明があり,意見交換が行われた。
【事務局】  それでは,議事(3)の国立大学法人の役員報酬規程及び役員退職手当規程の改正についての御説明をさせていただきます。
既に御案内のとおり,国立大学法人法におきましては各法人の役員報酬等の支給基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかという点につきまして,評価委員会より文部科学大臣に対して意見を申し出ることができると規定されております。この点につきましては,お手元の資料4の3枚目をおめくりいただきますと,右肩に(参考)と示してあります資料がございますが,こちらの中段以降に条文を抜粋させていただいております。国立大学法人法第53条の第2項でございますが,今申し上げた内容の規定がありますので,御参照いただければと思います。
それでは,御審議いただく前に,国立大学法人の役職員の給与,それから退職手当の支給基準につきまして,若干補足させていただければと思います。国立大学法人につきましては,平成16年に法人化したわけでございますが,役職員の身分につきましても,それまで国の1機関ということで国家公務員であったところ,その身分が変わったというところでございます。そういった状況の中で,役職員の勤務条件につきましては,従来,国家公務員のときには全て法律等で定められておりましたが,法人化後は労働法制等が適用になりますので,原則,労使自治のもとで各法人がそれぞれの経営戦略等に基づいて制度設計をするということになっています。
とは言いましても,国立大学法人は運営費交付金によりまして運営されているというところでございますので,国家公務員の給与でありますとか,民間の役職員の給与等の動向を見つつ,いわゆる社会一般の情勢に適合しているかどうかという観点を踏まえて,また,それぞれの法人の実績等の事情を考慮した上で定めなければならないとされているところでございます。
今回お諮りいたします役員の報酬,それから退職手当の支給基準につきましては,自ら定めることができることになっておりますが,先ほどのような国立大学法人法等の条項に基づきまして,評価委員会で御意見を頂くというような仕組みになっているところでございます。
それでは,今回お諮りします役員報酬規程の改正につきましては,資料4と机上の参考資料を,それから役員退職手当規程の改正につきましては資料5と参考資料を,それぞれ御参照いただければと存じます。
では,最初に資料4の役員報酬規程の改正でございますが,前回,2月のこの評価委員会の専門部会以降,1の人事院勧告等に基づく国家公務員給与の改正を考慮して行われた変更に関する届出はございませんでしたので,今回は2.その他の改正について報告をさせていただきます。では,1枚おめくりいただけますでしょうか。
2.その他の改正についてでございます。各法人より次の改正の届出がございまして,中身について御説明させていただきます。1点目は役員の給与に関する改正でございます。内容といたしましては,将来的に常勤監事を置くことを想定して,常勤役員の本給表に監事の規定を追加する改正,また,大学の給与制度として年俸制を導入したことから,年俸制適用者が役員となった場合を想定した改正,現行の常勤役員の本給表にさらに1号俸下位の号俸を設定する改正,役員報酬について,従前は一定額の範囲内で学長が決定することとしていたものを,あらかじめ役員の報酬額を複数設定し,選択できるよう整備する改正,それから大学改革の推進のために新設された総括副学長の報酬に対応するため,理事に適用する号俸に幅を持たせる改正,さらに,国の要請を踏まえ,各大学がそれぞれの法人の事情に応じて様々な対応が行われてきました報酬の減額支給につきまして,平成26年1月又は2月に終了する改正,また,同年3月分の減額率を現行の7割とする改正など,8法人より届出があったところでございます。
2点目は,非常勤役員の給与に関する改正でございます。非常勤役員の給与につきまして,これまで日額で設定されていたところ,月額支給とする改正がございます。その逆に,実質的に月額支給から勤務日数に応じて日割計算により支給するという改正,また,給与の報酬の減額支給について常勤役員と同様に対応する改正など,7法人より届出が出されてございます。
3点目は,地域手当に関する改正でございます。複数のキャンパスに分かれている大学におきましては,地域手当の支給率が異なる場合がございますが,そういった場合にキャンパス間の不均衡緩和等のために,国の支給率の範囲内で支給率を引き上げる改正を行った法人から届出がございました。
4点目は,その他の手当に関する改正でございますが,すぐれた研究成果とともに多くの外部資金を獲得した研究者に対するインセンティブとして手当を新設する改正,また,国家公務員の給与制度と同様に,広域異動手当を新設する改正,賞与の取扱いについて,国家公務員と同様の取扱いにするよう表現を修正する改正など,3法人から届出がございました。
5点目は,業績評価の結果の給与への反映に関する改正でございますが,報酬を増減する場合に,経営協議会の議を経ることについて明文化する改正を行った法人から届出がございました。
6点目はその他の改正でございますが,休日の設定につきまして,労働法の規定に合わせて一本化するという改正を行った法人から届出が出てきております。
以上が役員報酬規程に関する改正でございます。
続きまして,資料5の退職手当規程の改正でございます。1の国家公務員の退職手当の改正を踏まえた変更につきましては,退職手当の支給制限と返納制度を設ける改正について届出がありまして,2のその他の改正につきましては,業績勘案分の決定手続に関する改正について届出がございましたので,報告をさせていただきます。
1枚めくって,別紙1を御覧いただければと思いますが,こちらの方は退職手当について支給制限及び返納の制度を設ける改正でございます。国におきましては,平成21年に退職手当の支給制限等の改正が行われております。こちらは改正前の退職手当制度におきましても,懲戒免職等の場合には退職手当を不支給とし,退職手当支給前に犯罪が発覚した場合には退職手当の支給を差し止めるなどの支給制限の制度がございましたし,また,退職手当支給後に禁固以上の刑に処せられた場合には,退職手当を返納させるという制度が既にございました。平成21年にはこれらの支給制限等の対象範囲の拡大などを図った改正が行われております。
具体的には括弧内にお示ししておりますように,改正前の退職手当については支給制限の対象は全額でございましたので,一部支給・一部制限ということができなかったわけでございますが,改正後には非違行為の性質等に応じて一部支給・一部制限が可能になりました。また,禁固以上の刑に該当しなくとも,退職手当を支給した後に懲戒免職相当の非違行為が発覚した場合には退職手当を返納させることができることとし,また,非違行為が発覚した際に職員が既に死亡している場合であっても,遺族に対する退職手当の返納や支給の制限ができるように改正が行われているところでございます。
このような国家公務員の制度改正に準じて支給制限等の対象範囲の拡大などを行う改正について,1法人からその改正を行った旨の届出が出てきたところでございます。
続きまして,2.その他の改正でございますが,次のページをおめくりいただきますと,業績勘案分の決定手続にかかる改正でございますが,内容としましては,退職手当の増減について,経営協議会の議を経ることを明文化する改正について,1法人から届出が出されたところでございます。
以上が退職手当規程の改正に関する御報告でございます。国には役員という職種がございませんので,直接国と比較できない給与もございますけれども,それらは別としまして,国と同様の仕組みで設けられている給与・手当につきましては大幅な増額を伴う改正は今回はありませんでしたので,御報告いたします。以上でございます。
【宮内部会長】  ただいまの説明も踏まえ,御質問や御意見を頂ければと思います。どなたからでも御自由に発言をお願いします。
これは私からで,長岡技術科学大学の返納の制度は,もうほとんどの大学でこの方法をとっておられるのですか。
【事務局】  そうですね。平成21年に国の方では改正が行われましたけれども,それ以降,各大学において順次改正を進めております。今,数で申し上げますと,86大学の中で80大学が改正済みでございます。あとの残った6大学につきましては,現行の仕組みの中で国家公務員と同様の対応が可能であるとする大学もございますし,まだ検討中という大学もございます。そういった役員の支給制限をするような事態が幸いにして生じていないということもあって,まだ様子見というところの大学も若干あるようではございますが,ほとんどの大学が改正済みでございます。
【宮内部会長】  何か起こったときに,これが整備されてなかったので対応できないということはあり得ますね。
【事務局】  そうです。
【宮内部会長】  実際に,非違行為があった職員が亡くなっているというケースで,返納等の対応ができるか,できないかと言ったら,現実的には非常に困難なのかなという気がします。
【事務局】  現実的な争いになる可能性も。
【宮内部会長】  ありますよね。
【事務局】  はい,あるのではないかと思われます。
【宮内部会長】  返納や支給の制限といった対応ができると言っていて,実際にどういう場合にやるのかという話は,執行する側は大変じゃないかなという気がしますけど。
他に何かございますでしょうか。
【市川部会長代理】  役員の給与の件なのですが,先ほども年俸制という話があったと思うのですけれども,その場合,比較的高額の給与を想定しているのでしょうか。
当然,大学の中だから,そんなに高額の給与を出すということにはならないのだろうと思うのですけれども,この辺の議論はこの規程をつくるときにあったのでしょうか。
【事務局】  そうですね。当然,各大学には説明責任を果たす義務がございますので,そのような状況が生じて批判を受けるようなことのないように,大学の考えを外向けに説明する機会というのは設けるべきだとは思っております。

【宮内部会長】  ほかには。
それでは,特に改正案件について特段の意見がないものとしてよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
【宮内部会長】  それでは,そのようにいたします。
それでは最後に,今後の日程について事務局から説明をお願いいたします。
【事務局】  本日御審議いただきました結果につきましては,8月4日月曜日開催の国立大学法人評価委員会総会において報告をさせていただくということになっております。
以上です。
【宮内部会長】  最後となりますが,先般の通常国会において独立行政法人通則法の一部が改正になり,それにより今回の議論の全てにおける評価委員会の意見聴取が廃止となります。文科省におかれましては,本日議論となった寄附金債務,期間進行基準の債務繰越につきましては,引き続き進捗状況等を確認し,問題があれば,その都度各大学に対し指導を徹底されるよう,当部会として要請いたします。
なお,これに伴い,当専門部会の今後の取扱い等については,別途検討されると聞いております。
それでは,本日の議事は終了いたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

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