国立大学法人分科会 業務及び財務等審議専門部会(第32回) 議事録

1.日時

平成25年7月31日(水曜日)13時00分から15時00分

2.場所

文部科学省東館16F2会議室(16階)

3.議題

  1. 国立大学法人の財務諸表の承認及び剰余金の繰越承認について
  2. 国立大学法人の役員報酬規程及び役員退職手当規程の改正について

4.出席者

委員

奥野部会長、南雲委員、水戸委員、宮内委員

5.議事録

【奥野部会長】  それでは、お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
 第32回の国立大学法人分科会業務及び財務等審査専門部会を開催させていただきたいと思います。
宮内先生は後からいらっしゃるようですので順番を変えまして、今日皆さんに御相談いたしますのは、財務諸表のことと、それからもう一つの役員報酬の件、先にそちらへ行きたいと思います。
 最初に、議事の2番目、国立大学法人の役員報酬規程と、それから役員退職手当規程の改正につきまして御意見を伺うということからさせていただきたいと思いますので、事務局から説明をお願いします。
【事務局】  それでは議事の二つ目、(2)国立大学法人の役員報酬規程及び役員退職手当規程の改正についてという議題の資料について説明いたします。
 皆様、既に御案内のとおり、国立大学法人法におきましては、各法人の役員報酬等の支給基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかという点につきまして、評価委員会が文部科学大臣に対して意見を申し出ることができると規定されているところです。
 お手元の配付資料3の3ページを御覧ください。資料3の3ページ下段に国立大学法人法の抜粋を記載しています。第53条第2項のところですが、このような形で規定をされているというところです。
 今回お諮りする役員報酬規程の改正につきましては、こちらの資料3と机上資料を、また、役員退職手当規程の改正につきましては、同じように資料4と机上資料をそれぞれ御参照ください。
 それでは、お戻りいただきまして、資料3の役員報酬規程の改正に関する件です。こちら、前回のこの専門部会以降、1の人事院勧告等による国家公務員給与の改正を踏まえた規程改正の報告につきましては、法人から報告がありませんでしたので、今回は「2 その他の改正について」の報告をいたします。
 それでは、2ページを御覧ください。2ページ別紙1の内容です。最初に、役員の給与に関する改正ですが、こちら、理事の報酬につきまして、これまでは一定の額の範囲内で学長が決定することとしていたものを、あらかじめ理事の報酬額を複数設定しておきまして、学長が必要に応じて選択して報酬額を決定できるように改めた改正や、役員報酬の支給日が休日であった場合には、その翌日に支給するというような取扱いを規定するなど、役員の給与について改正した法人が11法人ありました。同じように、非常勤役員の業務量の増加等を考慮して、非常勤役員手当を増額する改正など、非常勤役員手当について改正した法人が3法人ありました。
 次の地域手当に関する改正ですが、人材確保等の観点から国家公務員と同様に地域手当を役員に対して支給する改正、あるいは離れたキャンパスの地域手当の均衡を図りながら、国の支給率に近づける改正などを行った法人が4法人ありました。
 その他の手当に関する改正ですが、同じように人材確保等の観点から国家公務員と同様に広域異動手当を支給する改正を行い、また、地域手当、広域異動等の新設に伴いまして、賞与の算出方法の改正などを行った法人が8法人ありました。
 最後の項目ですが、業績評価を反映した報酬の月額の決定等に当たりまして、経営協議会の議を経て決定する旨を改正した法人が今回、2法人ありました。
 以上が役員報酬規程改正に関する資料の御説明でございます。
 では、続きまして資料4国立大学法人の役員退職手当規程の改正について説明いたします。今回、各法人から届出のありました内容としては、大きく分けて2点ありました。1点目は国家公務員の退職手当の改正を考慮した変更でして、具体的な内容としては、退職手当の水準引下げに伴う改正、もう一つは新たに支給制限及び返納の制度を設ける改正です。2点目としましては、退職手当算定の際の在職期間の通算に関する改正など、その他の改正です。
 別紙1を御覧ください。こちらは国家公務員の退職手当の主な改正について示しています。平成24年11月16日に成立した国家公務員の退職給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律の主な改正内容です。国家公務員の退職手当につきましては、官民比較により官が民より高い水準であったことから、その格差を是正するために官民の支給水準の均衡を図るために設けられている支給率を段階的に引き下げることにより、支給水準を是正しようというものです。具体的にはこの表にありますように、改正前の100分の104という調整率を段階的に引き下げて、最終的には100分の87という調整率に改正するものです。また、この調整率の適用範囲でございますが、改正前は自己都合退職を除く勤続20年以上の者に適用されていましたが、今回の改正では全ての退職者に支給されることとなっています。この法律につきましては、国家公務員を対象にしたものですが、この法律の成立に先立って、各法人の対応に関して昨年の8月に閣議決定がなされています。
 こちらについては、資料4の6ページの参考を御覧ください。資料の下段に平成24年8月7日の閣議決定の抜粋を記載しています。この閣議決定において、法人の役職員の退職手当については、国家公務員の退職手当見直しの動向に応じて独立行政法人通則法等の趣旨を踏まえつつ、今般の国家公務員の退職手当制度の改正に準じて必要な処置を講ずるよう要請等を行うとされたところで、各法人はこれらを踏まえて必要な改正を行ったところです。
 それでは3ページに戻りまして、「1.国家公務員の退職手当の改正を考慮して行われた変更について」ですが、退職手当の支給水準の引下げについては、86全法人が国家公務員の見直しの動向に応じて、国家公務員の退職手当制度の改正に準じた改正を行った旨の届出がなされています。
 続きまして、4ページを御覧ください。退職手当について支給制限及び返納の制度を新たに設ける改正を行ったものです。国家公務員制度においては、平成21年の改正前の国家公務員退職手当制度においても懲戒免職等の場合には退職手当を支給しない、あるいは退職手当の支給前に犯罪が発覚した場合には退職手当の支給を差し止めたり、また、退職手当支給後に禁固以上の刑を受けたりした場合には退職手当を返納させることができる制度が既にありましたが、平成21年にはこれら支給制限等の対象範囲を拡大するなどの改正が行われました。具体的には括弧内に示していますが、退職手当を支給した後に禁固以上の刑に該当しなくとも、懲戒免職相当の非違行為が判明した場合には退職手当を返納させることができる、あるいは職員が死亡した場合であっても退職手当の返納や支給制限をすることができるように改正が行われたところでして、今回の専門部会までに国家公務員の制度に準じて、支給制限等の対象範囲を拡大する改正について届出のあった法人が13法人ありました。
 次に、「2.その他の改正について」5ページを御覧ください。まずは、役職員の在職期間に関する改正ですが、こちらは役員と職員の在職期間の通算関係の整備、あるいは地方自治体の職員が法人の役員となった場合の在職期間を通算することができるようにするなどの改正等について行った法人が4法人ありました。また、国家公務員の退職手当制度と同様に、退職手当を算出する際の調整額を支給することができるように改正した法人が1法人ありました。また、役員の業績による退職手当の増額あるいは減額につきまして、経営協議会の議を経る旨、明文化した法人が3法人ありました。在職期間の通算関係等の改正に伴う字句修正あるいは条ずれなど、規定の整備を行った法人が6法人ありました。
 以上が今回お諮りします役員の報酬規程、あるいは退職手当規程の改正に関する件です。以上、よろしくお願いします。
【奥野部会長】  どうもありがとうございました。では、今の2つの資料3と4の説明に関して、皆様の意見あるいはコメントがありましたら是非お願いします。
【水戸委員】  地域手当や広域異動手当などについては、各大学は、要するに常識の範囲内であり、大きくその平均からかい離したようなところはないのですね。
【事務局】  はい。基本的には国の地域手当あるいは広域異動手当を見つつ、各大学の方で御判断を頂いています。
 中には、国の給与制度では、国家公務員の官署があるところについて地域手当、広域異動手当が設定されていますので、国家公務員の官署がなくて国立大学しかない都市につきましては、国の地域手当が設定されていないようなところもあります。そういったところについては、各大学が近郊の都市の手当などを勘案しまして、独自で判断しているというところもあります。
【南雲委員】  地域手当、本拠地というのはどこなのですか。東京ですか。
【事務局】  各大学のことでしょうか?
【南雲委員】  国家公務員としては、東京の霞が関ですか。東京は東京で地域手当あるのですか。
【事務局】  はい、そうです。
【南雲委員】 すると全部あるわけですね。
【事務局】  はい。国家公務員につきましても、全国の国家公務員の官署のある地域について地域手当を支給する場合には地域手当の率が定められております。もちろん、地域によっては国家公務員の官署があったとしても、地域手当の設定自体が必要ないと思われる都市については、手当の率も設定されていないという状況です。
【南雲委員】  伝統的にあるのですね。
【事務局】  はい、そうです。
【南雲委員】  民間などから見ると、何のために地域手当があるのかなと思います。水準が低いから合わせるためにつけたのか。そうではなくて、やはり霞が関、東京が本拠地なら東京に比較して、例えば北海道に勤務している人は寒冷地で大変だ、したがって寒冷地対策手当とか、民間はそういうものがあるのです。例えば、東京に本社がある人が北海道へやがて時代とともに支店か何か作っていったと、そうすると東京は地域手当がないのですけれども、北海道へ行くことによって石油代がドラム缶で何本だとか、そういう話はよく聞きます。特に、海外も手当がありましたね。出張というと支度金などをくれたのです。何を支度したのかといったら、当時はこっちにいるときは背広がなかったから、海外に行く以上は背広やドレス買っていかなければいけないのだというようなことで支度金があって、どうも世の中変わってきたら、この地域手当なども、その性格というのは一体何なのかなというのをもう一回検証した方がいいと思うのです。水準が低ければ、賃金をその地域に合ったように上げればいいのです。
 特に、国立大学法人の場合は大学が一つ一つ独立しているわけでしょう。結果としては国のシステムに準じてやってはいるのだけれども、独立しているということであれば、例えば岩手大学なら岩手大学が本拠地が岩手にあるとすれば、そこに手当が要らないのです。岩手大学が東京に出張所を作ることによって、東京の物価は非常に高いとかいろいろな意味で生活にマイナス面が出るので、それは補填しましょうということで行うのは一つの合理性があると思うのですが、それがいろんな独立行政法人の事情を聞いても性格がよく分からないのです。もし、こちらで分かったら勉強の意味で教えてもらいたいのですが。
【奥野部会長】  地域手当という言葉自身が何か意味がなくなっているのですね、今の先生のお話だと。
【南雲委員】  そうです。やがて要らなくなると思うのです。
【奥野部会長】  法人で独自に決めるわけですから。ただ、このことは残っているわけですね。それで上下して何かバランスを取っているのですか。そういう意味ですか。
【事務局】  国家公務員の地域手当の場合には、全国に国家公務員が勤務をしますので。
【奥野部会長】  ですよね。それは分かります。
【事務局】  大体国家公務員の最低水準のところに給与のベースを設定しておきまして、その赴任した地域の物価などの状況に応じまして、地域手当という名称の地域に関する手当を支給しています。
【奥野部会長】  その場合はわかります、名称がね。
【事務局】  はい、引き上げる手当です。
【南雲委員】  東京が一番高いですよね。
【事務局】  そうです。
【奥野部会長】  結局そうなるでしょう。
【南雲委員】  それは分かるのです。
【奥野部会長】  法人なのに国と同じことを大学でやっている。先生のおっしゃることは、そういうことでしょうね。
【事務局】  あとは法人につきましては、おおむね国の国家公務員の俸給表を準拠して使っていますので、そういう点からいくと、ベースのところは国家公務員の地域手当支給前の水準におおむね準拠しているところで、あとは地域ごとにその地域に応じた手当を支給する、国家公務員の仕組みに準じた形で支給するという形を今のところとっているということです。
【奥野部会長】  それは規程があるのですか。国家公務員に準ずるというのか、表を使うとどこかに書いてあるのでしょう。
【事務局】  そうです。
【奥野部会長】  そのためにこういう調整をするということになるのですか、ロジックとしては。
【事務局】  国家公務員につきましても、何年かおきに地域手当がその率で適正かどうかということを検証しておりますので、その検証の機会に合わせて大学でも検証するという機会はあると思います。
【事務局】  役員の報酬はまさに今回、ここで御意見を伺う趣旨そのものでもあるわけですけれども、社会一般の情勢と比較してどうかということを御意見を頂くわけです。では、その社会一般の情勢というのは何だというのになったときに、国家公務員に準拠している、国家公務員の給与は人事院が民間の給与と調整してやっているということになります。その論法でいけば、国家公務員と合わせていけば社会一般の情勢に適合しているというロジックに今までなっているのですけれども、そういった地域手当込みの単価設定にしてしまえばいいだけですし、単価表を変えればいいだけですから、地域手当をわざわざ作らなければいけない理由はないというのはおっしゃるとおりです。また、特に教員の給与については今、この春からの政府の様々な会議の中で、むしろせっかく法人化したのに国家公務員のときの給与体系そのままのところがほとんどではないか、年俸制などをもっと積極的に取り入れて活性化しましょうというような御意見も頂いておりますので、今回の役員報酬の話が直ちにどうこうということではない、変わるかどうかということは分かりませんけれども、全体としてはそういった流れになっていくことは間違いないと思っています。
【南雲委員】  できるだけ手当はなくなっていくのではないですか、これからは。当時は1つの理由があって作ったのだと思うのです。だから、これからはむしろ年俸契約とか職務契約とかそういうのが出てくると、では退職金ももう無しにしてしまおうという、年俸という考え方もあるでしょうね。
【事務局】  そうですね。
【南雲委員】  特に外国人の教授とかを採用していくと、シンガポールはそうなっていますしね。
【事務局】  そうです。
【南雲委員】  だから行くと、3,000万あげますから来ませんかと。そうすると、全部込みなので大して変わらないのです。こっちに比べると。
【奥野部会長】  ほかはございませんか。
 その他のところの一番下にある業績評価結果の給与への反映というのは、別に普通の教員ではなくて、これは役員に引っ掛かるのですか。今の地域手当というのも役員だけなのですか。
【事務局】  今回はそうです。
【奥野部会長】  役員でも業績評価結果というものがあるのですか。
【事務局】  はい。例えば、職員でいうところの勤勉手当に相当するような手当がありましたり、退職手当についても法人の業績評価を反映した上での役員の業績評価を図ったりという点があります。
【奥野部会長】  そうなのですか。普通の教員のことはここには全く出てこない。役員だけですね。
ほか、ございませんでしょうか。
 退職のところは閣議で決まっているから、さっきと同じで国家公務員に準じてすいすいと、全部公立大学まで同じことをやられますから、ずっと下りてきて私のところも同じでやっています。
【水戸委員】  さっきの年俸制の話はこれと逆行していますし、公務員に準じて削減を要請されている訳ですが、なかなか踏み出すところは出ないのではないでしょうか。
【事務局】  そうですね。特に教員の場合、様々な外部資金を獲得するような教員のインセンティブとか、そういう観点からの導入というのは多分進んでいくとは思いますけれども、広く一般にということにはなかなかならないと思います。
【南雲委員】  それを希望したのはほとんど外国人教授ですよね。例えば3年契約で、年俸で契約してしまうと。そういう人は3年たったら帰るということでしょう。あるいは帰らないためにはあとまた、1,000万のせるなどしないと。年俸契約は、そういう力のある人は来るのではないですか。ただ、低ければ来ないですね。ある程度高くないと来ないと思いますよ。
【事務局】  あと医学部の臨床系の若い先生なんていうのは、職員になってもすぐ関連病院に出て、退職と採用を繰り返したりしますので、在職期間の通算という観点では今でももともと不利なのです。だから、そういうところもひょっとしたら進むかもしれません。
【奥野部会長】  通算など考えなくていいという意味ですよね。
【事務局】  年俸制にすれば、ですね。
【奥野部会長】  よろしいでしょうか。
【南雲委員】  どうですかね、この退職金の方がありますよね。
【奥野部会長】  はい。
【南雲委員】  これも出向とか転籍とか、あるいは今言ったように病院に研修に行くとか、そういうことについては、これからはできるだけ明確にしておいた方がいいと思うのですね。辞めるときになって通算にしてあげる方がいいのかそうでないのか決まっていないと、いい迷惑なのは本人ですよ。だから、ルールがはっきりしていればいいことであって、民間の企業でも出向先が持つのか出向元が持つのか、あるいは転籍という場合には出向とどう違うのかという、そういう定義付けをして、それで公表しておいて人事異動が発令されるということなのですよね。だから、出向とか転籍、あるいは地方自治体にいた人が事務長になって、事務長が今度は教授になったというときの通算はどうするのかということは、常に考えておく原則があってもいいと思うのです。そうしないと、大学によって時代とともに相当差がついてきますよね。それが公平なのかどうなのかという尺度をこちらの皆さんの立場からすれば、判断すべきだと私は思いますね。すぐどうしろということは、私、今、持っていませんけれども、労働力の流動化とかあるいは官民の交流だとか、国会では非常に口ではみんな言っているじゃないですか。だから、そういう基礎的なシステムを開発しないまま、官民の人事の流動化なんて、フレシキビリティのある働き方とか言って、そのうちに何か不安定労働者がえらく増えてしまって、税金も払えないような所得で働かされるような職業といいますか、形態ができてしまうというのは少し問題があると思いますね。
【奥野部会長】  私、公立大学関係者ですが、昔、法人になる前は国立大学の先生が公立大学に来ても、公立大学の先生が国立へ行っても、きちんと通算すいすいとみなすという言葉が1個あってできたのです。ところが、法人になったときから別な会社でしょうと言われてしまって、国立大学の先生が公立大学に来るときは私立大学と全く一緒でストップするのです。通算というのがなくなったのです。やはり私の大学というか、私の付近の、今、公立大学82あるのですけれども、その辺を見るとやっぱり流動性は一気に止まっているということはないですが、すごく悪くなっているのですね。こちらから向こうへ行く人も少ないし、向こうからこちらへ来る人もやはり少なくなるのです。実は、公立大学の方が安いところが多いのです。私のところは給料だけは保障しますと言って、どこから来ても同じ給料をずっと出すような仕組みを法人で作ってやっていますけれども、今のお話ですと、国立大学は国家公務員で行くときは多分みなしですと言っているのだと思うのですが、例えば、具体的ですが、文部科学省の方を公立大学法人の私のところへ来て教授にしたいと、やっときちんと書いてもらって、戻っても大丈夫なように書き換えてもらったのです。
【事務局】  公務員も割といろんなところに出向というような形で行くときも、もちろん退職金をもらわないでいきますので通算という形はありますけれども、おっしゃった教員同士の国公私間の異動はだんだんとそうなっていますね。だから、それがまた、前のように通算するという方向に戻していくのか、さっき申し上げたようにもう年俸制にするのではないですかという方向に流れていくのか。
【奥野部会長】  多分、年俸制にする方向だったのでしょうね、やられたときは。でも、なかなかそっちへすっと行かないために……。
【事務局】  難しいですね。
【奥野部会長】  通算しないというのだけが残ってしまっていて結構大変ですね。格差が広がってくると今度は大変ですよね。国立高専というのがあるのですけれども、そこだけはうまいことやっているのですけどね。直接関係ないのですが、役員ではないのですが。そういう問題はあるのですけれども。
 ほか、いかがでしょうか。では、この2つの件はいいですか。
(「異議なし」の声あり)
【奥野部会長】  改正の件に関しては、部会としては意見がないということでお返しすることにしたいと思います。
 では、宮内先生がいらっしゃったので、1に戻って財務諸表のところから行きたいと思いますが、国立大学法人の財務諸表の承認とそれから余剰金の繰越し承認の件に関しましてお話をしたいと思いますので、まず事務局から説明をお願いしたいと思います。
【事務局】  お手元の資料に沿って、また、昨年度の部会で2点ほど御指摘いただいた点につきましても併せて御説明させていただきます。
 まず、資料1の財務諸表の承認及び剰余金の繰越し承認に係る事務局における確認についてでございます。事務局における確認の方針ということで、合規性の遵守と表示内容の適正性という二つの観点から確認を行っております。具体的な確認内容については、(1)、(2)のとおり合規性及び表示内容ということで一括して確認しております。合規性については、チェック事項に記載のとおり提出期限が遵守されているか、必要書類が提出されているか、監事及び会計監査人の監査証明で特段考慮すべき点がないか、の3点について、特段問題がない旨確認を行っております。
 表示内容の適正性については、4点について確認を行っております。
1点目として、記載すべき事項について明らかな遺漏はないかでございます。例えば、重要な会計方針があるにも関わらず、それが注記されていないようなことがないかといった観点から、明らかな遺漏はない旨確認を行っております。
2点目として、計数は整合しているかでございます。それぞれの書類について、間違いなく積み上げをしている旨確認を行っております。
3点目として、書類相互間における計数の整合性が取れているかでございます。こちらについては、主要表の数字と附属明細書の数字が一致している旨確認を行っております。
4点目として、行うべき事業を適切に行っているかでございます。こちらについては、一度別紙3を御覧いただいた上で確認させていただきますが、期間進行基準の適用事業における行うべき事業を適切に行っているかの判断は、学生の収容定員について未充足・超過分がないかという観点で行っております。学生収容定員の充足率が90%に満たない法人は12法人あり、国庫納付すべき金額は約4,300万円でございます。昨年度は11法人で約4,300万円であり、特段大きな変化はございません。収容定員未達の区分は、主に専門職大学院、教職大学院、法科大学院となっております。学生定員の充足率が110%、小規模等々につきましては120%を超えた法人は14法人あり、国庫納付すべき金額は約3,500万円でございます。昨年度は18法人で約8,000万円であり、超過分に関しては顕著に減少したところでございます。
 5点目として、運営費交付金に係る会計処理は適正かでございます。こちらについても後ほど別紙を御覧いただきながら確認させていただきますが、まず、運営費交付金は国から負託された業務の財源であることから、受領時に一旦負債として計上し、企業会計のように直ちに収益化はしておりません。その上で、三つの収益化基準について、適正な収益化がされているかを確認しております。まず、期間進行基準でございますが、こちらは一定の期間の経過を業務の進行とみなして収益化を行う原則としての収益化基準であります。こちらについては、先ほど学生の収容定員の未充足・超過分で国庫納付すべき運営費交付金債務として残っている額は約7,800万円である旨を確認いたしました。
 また、法人の責めによらない事由によって運営費交付金債務として繰り越された事業もございます。別紙2を御覧いただきますと、平成24年度運営費交付金債務の平成24年度の交付額より生じたもののうち、期間進行基準の事業未実施相当額が計上されている法人は2法人ありますが、こちらが該当の法人となります。東京工業大学では約6,000万円と計上されておりますが、法人に確認したところ、工事中に地中を掘り起こしたところ、支障となるコンクリート等の残骸があったことや、近隣住民からの騒音のクレームがあったために工期が延長となり、法人の責めによらないやむを得ない事情ということで、期間進行で収益化を図ることができなかったということです。新潟大学においても、約1,200万円と計上されておりますが、こちらも事業の一環で日中交流検討会等の開催を検討していたようですが、日中関係の緊迫化により中止になるといった、世情のやむを得ない事情により期間進行で収益化を図ることができなかったため、事業未実施で債務として繰越しがされております。
 2ページにお戻りいただきまして、次に業務達成基準でございますが、こちらは期間進行基準の例外ということでありますが、こちらについても行うべき事業を行っていない法人は、相当額が運営費交付金債務として残っているか、残余の運営費交付金債務は全額収益化されているか、といった観点で特段問題がない旨確認を行っております。詳細は別紙4を御覧ください。
 最後に、費用進行基準でございますが、二つの観点で整理をしております。まず、費用進行基準は、特定の支出のために運営費交付金が措置されている場合などに適用され、支出額を限度として収益化することになるため、利益が発生する構造ではありません。一つ目は退職手当でありますが、こちらはまさに費用進行基準の典型であり、別紙5のとおり合計で約183億円が債務として残っている旨確認を行っております。二つ目は退職手当以外でございますが、別紙6のとおり、合計で約523億円の事業未実施による繰越しがされております。こちらは、例えば用地の購入や、PFIの毎年度の執行額や、補正予算で措置されたものといった、いわゆる特定の支出のために措置がされているということで、退職手当と同様にこれらの費用の発生相当額について運営費交付金債務が収益化され、その残額が運営費交付金債務として出ている旨確認を行っております。
 最後に6点目として、剰余金の繰越し承認を受けようとする額は適正かでございます。こちらも利益処分の書類を提出している法人につきまして、計数も含め、当期総利益の範囲内である旨確認を行っております。
 以上を踏まえて、3番の確認結果及びコメントでございますが、財務諸表の承認については、事務局として特段のコメントはないということでございます。また、剰余金の繰越し承認についても、特段のコメントはないということでございます。なお、剰余金の繰越し承認については、各法人からの承認申請額の範囲内で、財務省と折衝して具体的な額を固めていくことになります。
 次に、資料2の今後のスケジュールでございます。本日7月31日に財務諸表の承認及び剰余金の繰越し承認に関する意見聴取の機会を頂いておりますので、この審議の後、直ちに財務省協議を行う予定でございます。
 財務諸表の承認及び剰余金の繰越し承認に係る資料については以上となりますが、冒頭でも触れましたように、昨年度御指摘いただいた2点について分析をしておりますので、説明させていただきます。
 1点目は、運営費交付金債務が年々増加傾向にあるとのことでございます。特に、業務達成基準適用事業の債務が増えているとのことで、当該債務が平成27年度の中期目標期間終了時まで膨大に膨らみ続け、結果として使い切れずに国庫納付されてしまうことを懸念されていたかと存じます。
 業務達成基準適用事業の執行状況として、各期末における債務残高の推移を見ていきますと、平成22年度末における学内プロジェクト等の業務達成基準適用事業の債務残高は204億円であり、平成23年度末においては111億円に減少した一方で、新たに408億円が債務として追加された結果、合計は519億円であります。平成24年度末においては、平成22年度新規分は111億円から94億、平成23年度新規分は408億円から203億円にそれぞれ減少した一方で、平成24年度に新たに209億円が債務として追加された結果、合計は506億円となっております。
 これらのトレンドを見ていきますと、一番懸念されていた平成25年度末の計画ベースの債務残高は506億円から90億円となっており、中期目標期間末を意識してか、かなり減少しているというのが一つの注視すべき見方ではないかと思っております。減少幅もかなり大きく、例えば、平成23年度新規分は203億円から41億円で対前80%減、平成24年度新規分は209億円から29億円で対前86%減であり、さらに、平成26年度末においては、それぞれ2桁を切る予定でございます。
 平成25年度及び平成26年度においては新たな債務が追加されるわけですが、こちらについては、昨年度に御指摘いただいた後の9月以降におおむね20数法人の決算担当の部課長と話をさせていただき、このような問題意識をお伝えしながら、事業の早期執行を是非お願いしたいということで、意見交換を行ったところでございます。そのようなこともあり、今のところは当初懸念されたような、債務が膨らんでいくというような傾向は見受けられないのではないかと受け止めております。
 2点目は、寄附金の債務についてでございます。寄附金は、主として教員に張り付くような教育研究寄附金と、大学の戦略的な基金の大きく二つに分けて整理をしておりますが、これらの債務額が増加していくことは良いのか、さらには、基金が増えていくことは非常に喜ばしいことなのですが、教育研究寄附金が増加していくということは、社会に対して大学の研究活動が活発ではないという間違ったメッセージになりはしないかとの問題意識を頂いておりました。
 寄附金の執行状況として、先ほど申し上げた2種類の区分とその合計ごとに、平成16年度から各年度における受入れ・執行・繰越しの推移を分析いたしました。なお、大変申し訳ありませんが、2種類に分ける整理を法人化以降行ったのは平成23年度からであり、平成16年度から平成22年度については内訳が分からないため、トータルベースで整理しております。平成16年度は、平成15年度から繰り越された債務額が1,406億円あり、当期に新たに653億円の寄附金を受け入れた結果、合計で2,059億円が期首の時点であり、590億円が執行されて期末には1,469億円が債務額として残っております。執行率は約30%でありました。このような受入れ・執行・繰越しの推移を各年度で集計し、それぞれの執行率を見ますと、平成16年度から平成19年度にかけて約30%弱で推移していたところ、平成20年度には23%に落ち込んでおりました。こちらについて調べましたところ、当該年度に発生したリーマンショックにより、各法人は以後執行に慎重を期すようになったのが要因ではないかと推測しております。
 リーマンショック以降の平成21年度、平成22年度は23%、22%と推移しており、平成23年度、平成24年度は教育研究寄附金と基金分のそれぞれの執行率を見ますと、教育研究寄附金が25%、24%と推移しており、基金については、かなりアクティビティがあるといいますか、平成23年度が6%であるところ、平成24年度には11%にはね上がっております。基金は、設置の趣旨や使用計画等を明確に設定した上で、各法人がそれぞれOB会や企業を回って基金を募っております。基金の受入れ後も、何年も積み立てており、平成24年度にはやっと使えるところにまで達したことで、執行率が上がっていると分析しております。本来は基金から生じる果実で運用できるのが一番良いのですが、そこはなかなか見込みない中で取崩しを積極的に行い、寄附者の意向を厳粛に実現しているところであります。
 平成24年度の基金の受入額は108億円ですが、これは旧帝大が特に頑張っておりまして、108億円のうち、49億円は九州大学でございます。地元の大口からの寄附と聞いておりまして、九州大学は現在新キャンパスを整備しておりますが、そこの新講堂に是非使ってもらいたいという趣旨でございます。
 これらの推移を見てみますと、リーマンショック後に非常に景気の先行きが見えない中で、国の財政状況も厳しいとなると、寄附金が法人の財源として最後のとりでのようなイメージがあり、結果として使用頻度が留まっているとの見方もありますし、一方でやはり財務諸表の外形からいきますと、外からはやはり研究のアクティビティという点で、寄附者の意向に沿った執行が行われていないような誤解を受ける可能性があるのも事実ではないかと思っております。
 どちらの見方も、それぞれの観点に立てば一般的に言えることと思いますが、寄附金については、引き続きデータを取りながら注視をしていきたいと考えております。
 事務局からの説明は以上でございます。
【奥野部会長】  ありがとうございました。
 では、財務諸表の承認及び剰余金の繰越し承認に加え、今の2点の説明も含めまして、何か御質問をお願いしたいと思いますが。 
【宮内委員】  調べていただいた結果がこれで適切なのかどうかは分かりませんが、いわゆる基金としていただくものが増えているという結果は、幾らかはあるのだろうとも感じております。会計的に中身を区分して整理をするという考え方もないわけではないと思いますけれども、まだ基金の部分がそれほど大きくもないので、余りシンボライズしても仕方がないという感じはしていますけれども。やはり、客観的に受入れ金額に対して、3年分の残高が出ていることがノーマルかどうかは、世間が寄附で受けたものを3年間ため込んでしまっているように言われた際に、大学側はどう説明をするのか、という観点で見られるということは御理解いただきたいと思います。
 奥野先生は寄附金が法人内にたまることは悪いことではないと昨年言われて、私も、大学ではそういう感覚なのだというのが分かったので、寄附金債務が増えていくのも分かるような気がします。
【奥野部会長】  小さい法人は、寄附金も何年かためないと事業ができないのです。ただ、昨年宮内委員が指摘されて、財務諸表の貸借対照表や損益計算書にはこういったものが明確に出てこないと私も思いました。財務諸表の附属明細には、今、どこの国立大学も寄附金は幾らあるかというのを書くようになっていますよね。宮内委員の指摘を受けて、私の大学でも宮内委員がこう言っていたよと言いました。公立大学も幾ら寄附をもらっているかは附属明細書へ載りますよね。
【宮内委員】  載ります。
【奥野部会長】  その基金は幾らかという表を作るということになって、私の大学も作るようになりました。宮内委員がおっしゃったように、基金は3年分ためて何か事業をするというように、私もあらかじめ説明するようにして、大学の一つの事業の進め方かなとは思っているのですけど。
 他にございませんか。元へ戻ってもいいのですが。
【宮内委員】  質問ですが、前からこういうものがあったのか分からないのですが、別紙2の期間進行基準の中で、事業未実施分相当額というのが今、2件出てきているのですが、期間進行基準の事業未実施という考え方がそもそも存在するのでしょうか。
東日本大震災のときは、明らかに事業ができないということはもう明確だったので、未実施分として繰り越すことについては了解されていたのは、私も承知しているのです。独立行政法人でも現実にそういう問題がありましたから。しかし、期間進行であるということは、その年度において全額収益化されて利益を出すのだから、これについては剰余金を構成するというのがもともとのロジックだったのではないかと私は理解していたのですけれども、今後もこのような事例が出てくるのですか。
【事務局】  昨年も東日本大震災に加え、こういったやむを得ない事情によるものがありまして、こちらについては、法人から調書を取り、事務局においても確認の上で、これまでも繰越しを認めていたところであります。今年度はこの2件ですけれども、極めて限定的であるものとして整理をしております。ちなみに昨年度は、東日本大震災に由来する事例がかなり多かった状況です。
【宮内委員】  ただ、これをやると会計監査人が判断できないですよ。やむを得ない事情のメルクマールが何なのか分からないのです。そういう意味では、私は業務達成基準の繰越しについても、会計基準的には非常に反対だというのは当時からずっと申し上げていたとおりで、会計監査人が判断できるのかを何回も聞き、会計監査人が自ら判断できると言ったから、やらせているのですけれども、事実に基づいて会計は処理しようと言っているのに、事実でないものに基づいてこういう会計処理が出てくると、多分対応できないはずなのですよ。だから、これはどのようなステップを踏んで、これについて適正であるかという判断が行われるのか。
業務達成基準の設定は、法人の中で機関決定することが最低限のルールでありますが、ではその中に入れればいいと形式的な判断だけが行われて、事実がそれに追いつかなくなったときに困る事態になるため、この表を作り、しっかりと使いますと考えておりますということなので、そのように考えてやれる状態のものであればいいでしょうということだったのですが、そのほかにも期間進行基準の繰越しの話が出てくると、この判断材料は何があるのかと困惑してしまいます。
【事務局】  基本的には、会計監査人と法人との間で繰越しに至る経緯をきちんと話しながら、会計監査人に御判断いただいた上で、文部科学省に申請があり、事務局においても、真にやむを得ない事情である旨確認を行ったところです。こちらの定性的な判断基準については、明確ではないかもしれないですが、新潟大学については、日中関係に起因していること、また、東京工業大学については、地中を掘り返してみたところ支障となるコンクリートが出てきて、そのコンクリートを撤去するために騒音が発生して近隣住民からクレームがあったので、昼時の工事が非常に限られてしまったことをもって、個別に判断をしたところでございます。東京工業大学については、法人の当初の予見が甘かったのではないかと言われればそれまでなのですが、事務局としてはやはりやむを得ない事情であるとして確認をさせていただいたところであります。
【宮内委員】  運営費交付金は年間分として出ていますよね。
【事務局】  はい。
【宮内委員】  だから、工事分として例えば施設費として出ているのであれば、そのことについては非常に明確なのですけれども、1年分で頂いた運営費交付金をどう使うかは、まさしく大学自らのプランニングの中でやっているわけで、それができなかったら、期間進行によって利益に出るのが会計のメカニズムですよ。そうであるのに、それを利益にしないで負債に計上しておく考え方は、期間進行基準を会計処理の原則とすることに反しており、過去に独立行政法人ではほとんどが費用進行にいった結果、評価に何の役にも立たないという問題があったので、原則は期間進行ということで整理をさせていただいた経緯も踏まえると、これ以上、費用進行的な要素が入ってくるということは、私としては許せない思いが非常に強いのです。個人的な思いとしては、このような判断が個々に入ってくると、数字がゆがめられますよ。非常に恣意的な数字になってきます。
【奥野部会長】  なるほど。
【宮内委員】  だから、ルール上では期末に一旦利益で出して、中期末の段階で解消するものであれば、あるときは損が出て、あるときは利益が出て、最終的に中期末の段階でどうなのでしょうかという判断をすると。毎年毎年で何でもかんでもやるという考え方を取ってないわけですから、単年度での変動についてそんなにセンシティブになる必要性はないと思っているのですけれども、経営をされる方たちが非常にセンシティビティーが高いというか、センシティブになり過ぎているのではないかという気がするのです。
【事務局】  御指摘いただきました期間進行基準の事業未実施の判断については、一層の厳格化も含め、メルクマールもこれから検討させていただきたいと思います。
【宮内委員】  そうですね。
【事務局】  各法人は、極めて厳格に判断をしているのは間違いないのですが、対外的にもしっかり説明ができるよう改めて今後検討させていただきたいと思います。
【宮内委員】  認めたのが良いか悪いか分かりませんが、業務達成基準という収益化基準を認めたのだから、本来期間進行基準の事業未実施相当額というのは、法人において当初から業務達成基準を適用するよう検討されてしかるべき事柄だったのじゃないかという気がしてなりません。それが適用できずに手遅れになったため、期末に出てきてしまったという事態のように見受けられるので、やはりここは慎重に御判断いただきたいと思います。
【事務局】  承知しました。検討させていただきます。
 ほかに何か御指摘ございませんか。剰余金の方はいかがですか。
【宮内委員】  これは出てきた金額のそのままの対応ですから、特にありません。会計監査人もチェックしておりますので。
【奥野部会長】  そうですね。
 他に何かございませんか。
 もしなければ、先ほどの宮内委員の意見は考えていただくということで。
【事務局】  承知しました。
【水戸委員】  期間進行基準の事業未実施の判断について、きちんとルールのようなものを持つということですね。
【奥野部会長】  ええ、それを考えてほしいと。現行では少し違和感があるということで解していただいていいですか。
【事務局】  承知しました。
【奥野部会長】  では、剰余金については会計監査人のチェックがもちろん入っているわけですから、部会としてどうこうという意見はないと思いますが、最終的には財務省と協議の上で承認するということですね。
【事務局】  そうです。
【宮内委員】  剰余金もまた、債務と同じで使わずに残していくと、中期末に全部吐き出されるのです。そのときに多額に出てくると、結局は第二期の間、実はいらなかったではという話になるので。粛々と使っていただくしかないというのが実態で、あとは中期目標期間を越えて何にするのかという、今後の使い方を明確にしていけば、繰越しを承認されることもあるので。
【事務局】  第一期から第二期への移行時には、剰余金が繰り越される事情があったのですが、第二期から第三期への繰越しは、今後調整していくことになります。ただし、剰余金の額は第一期と比べるとかなり減少しております。
【宮内委員】  財務省との協議が終わったら、剰余金の文部科学大臣の承認は早々に出されるわけですか。
【事務局】  その予定です。
【宮内委員】  評価委員会の最終評価が出る前に承認が先行しているのですか。
【事務局】  財務諸表の承認が先立って、9月中の予定でございます。各法人は財務諸表承認後に遅滞なく官報掲載をしなければいけないことになっており、おおむね10月上旬ぐらいに掲載しております。剰余金の承認については、こちらは大変申し訳なかったのですが、昨年度は、概算要求が1か月遅れてしまったことや、補正予算もあり、財務省との協議が遅れた結果、承認の時期は3月になってしまいました。
【宮内委員】  今、どうなっているのか分からないのですが、財務諸表や剰余金の承認が出ないと、前任の会計監査人の責任の解除ができない状況になります。
【奥野部会長】  なるほど。
【宮内委員】  ずるずる引っ張って、当該年度がほぼ終了しようとするときに、新たな会計監査契約が締結されるという、世の中にとって非常識きわまりない事態が起きているわけです、現実に。
【奥野部会長】  そうなんですか。
【宮内委員】  これは国際的な監査ルールからすると、完全にローカルルールそのもので許し難い状態なのだけれども、やはり立て付けとしてはもうそれしかない。だから、一番困るのは監査報告書も全部出てしまって、その後、財務諸表を直せと言われたときで、かつて独立行政法人のことで検討したときには、このような場合には監査報告書は出し直さないと。公表される財務諸表と監査報告書が添付されている財務諸表が違うまま、二重のものを出しなさいという整理を総務省等としたのです。世の中にほとんどあり得ないことなのだけれども、独立行政法人と国立大学法人だけはそういう異常な事態が可能性としてあります。
【奥野部会長】  やはり、承認は早く出された方がいいですね。
【宮内委員】  主務大臣の承認並びにこちらの場合には大臣承認を早く出してくれと言っているのですが、いわゆる会社法をそのままもってきた立て付けの中で、株主総会が決算書の確定であるというのに合わせて出てくるのが大臣承認なので、結局そこまで確定しないという状態です。
【奥野部会長】  そうですね。ほかにもしなければ一応、期間進行基準の未実施の件に関しては、先ほどの意見を返すということにさせていただいてよろしいですか。
(「異議なし」の声あり)
【奥野部会長】  では、今日はお忙しいところ集まっていただきまして、どうもありがとうございました。では、これで終わることにいたします。
【事務局】  どうもありがとうございました。
【事務局】  本日の御審議の結果につきましては、10月下旬に評価委員会の総会が開催される予定でございますので、その場において御説明するということにさせていただきます。
 今日はありがとうございました。
【奥野部会長】  ありがとうございました。

── 了 ──

 

 

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