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 第31回科学技術会議総合計画部会議事録
(平成12年  第4回) 

  1. 日  時:平成12年6月15日(水)  10:00〜12:15 

  2. 場  所:虎ノ門パストラル  桔梗の間 

  3. 出席者:
    (委  員)井村部会長、石塚議員、佐野議員、前田議員、阿部委員、池上委員、木村委員、
              小林正彦委員、小林陽太郎委員、篠沢委員、関澤委員、寺田委員、鳥井委員、
              鳥居委員、野依委員、前野委員
    (事務局)科技庁:青江科学技術政策局長、上杉科学技術基本計画室長、丸山同室長代理  他
              文部省:遠藤学術国際局長、井上大臣官房審議官  他 

  4. 議  題 

    (1)科学技術システムの改革について(3) 

      事務局より資料1について説明。 

    【理想的な創造的研究システムの実現】 

    • これはCOEを実現していこうというもので、競争的資金の拡充とオーバーヘッドの導入によりCOEは自然に出来上がっていくものではある。 
    • 各省庁が実施すると、縦割りとなってしまう。理想的なシステムを実現に近づけるためにすでに提案したとおり、各省庁が責任を持ったホリゾンタルな取組みにするべき。3年前に京大の総長とともに検討し、大学と国研によりフリーゾーンを作るという案を提案した。大学、国研に産業界も加えて、フリーゾーンをテスト的に作ることを提案したい。その研究所の運営は産業界の人に任せるのがよい。産業界の人は基礎研究からビジネスまで幅広い経験を持っており、全体のバランス感のある今までにないマネジメントが期待できる。ただし、産業界が入っても国が出資して受け皿を作るべき。 
    • 研究所レベルとあるが、文部省の従来のCOE育成により成果があがっているものも多い。そういう中から研究所レベルまで大きくするというのであれば賛成である。初めから研究所レベルというのは問題ではないか。 
        大学の場合、研究所として教育と切り離していいのかどうか心配である。欧米では教育と一体でうまくいっている例が多い。 
    • 大学と国研では状況が異なり、池上委員の提案は国研が対象であろう。今の大学のCOE育成はグラントレベルのものである。 
    • 大学、国研、企業、それぞれのカルチャーがあるが、私の提案は、大学、国研、企業が一緒にやるというものである。場合によってはバーチャルなものになるかもしれないが、マネジメントを今までと違うようにしたい。 
    • 資料の「2)国際水準のマネジメントの実現を目指すこと」の項の、機関長を民間からの登用も可とするということを付け加えればよいのでは。 
        これは、今までは研究費の投入だけを考えてきたが、今後は人をつぎ込むことも含めて戦略的投資が必要ということではないか。 

    【地域科学技術】 

    • 各地に新しい産業が生み出されることが重要である。国立大学は地方自治体から資金をもらえない。地財法の改正を含めて考える必要がある。 
    • 現行基本計画では、地域科学技術についてかなり書かれている。今回検討している時期計画では重点がうすくなっている印象がある。国全体で地方分権がいわれている状況にある。競争を強調すると東京以外残らなくなるのではないか。大学ないしは国研が拠点となっている場合は成功している。即効性という点ではすぐに効果に結びつかないであろうが、いろいろな支援をするべきであり、もっと強調するべき。 
        ポスドクを地域に送り込むことも考えられる。ネットワークによりコミュニケーションも取りやすくなっているし、ライフスタイルとしても地方は環境がよい。 
    • 従来、岩手県の南部地方であれば、鉄の研究がよいというように、地域というとその特性を生かさないといけないという考え方があった。グローバル化した現在、どの地方にあっても世界水準にないと生き残れない。どのようなシーズがあり地域をどういう方策で伸ばすのか、戦略をしっかり検討する必要がある。飛行場や道路など、研究者の生活の快適性も考慮しないといけない。特産や地場産業にこだわらない方がよい。 
    • これまでは、産業界がポスドク等の採用を敬遠する傾向にあった。本施策によりポスドクが産業界とコンタクトを取り、人が流れていく仕組みを作りたい。 
    • 地財法の大学への適用をはずして欲しい。日本と同じように中央集権的なフランスにおいても産学センターを作って成功をしている。従来、県立大学を作ってきたこととの調整は必要であろうが、是非進めて欲しい。 
    • 現行の地財法では、委託研究は受けられるが、無償又は廉価で建物や土地を借用することができない。 
        科学技術とは本来は普遍的なものであり、地域性はない。地域に合わせた振興という意味であれば、これまで、産学官連携などでいう産が第二次産業ばかりを想定してきていたが、地域においては第一次産業や比較的小規模の第三次産業があり、これらに属する新たな産業に結びつけた振興も考えるべきである。 
    • 地域に合わせた科学技術振興という意味である。地域において次の世代に合わせた新産業を作っていく必要があり、地場産業ではなく新産業を興すクラスターを作っていくことの重要性を延べている。国の研究機関は関東地方に圧倒的に集中しており、各地域の国公立大学が中心にならなければクラスターはできない。地財法の改正は訴えていくべき。大学が独法になると地域に合わせた展開が必要であろう。そのときにも地財法のしばりが制約になる。 

    【科学技術系人材の育成】 

    • 技術者の育成、大学院教育、DCの支援が大きな点である。現在ポスドク制度の一環としてDCの支援の対象者は3000名で、博士課程の学生の10%弱である。優秀な人材を育てるためにも、この率を増やす必要がある。 
    • 実践的教育とあるが、2種類を用意するということか屋上屋を重ねるというものなのか。 
    • 研究者育成と専門家育成の二つの方向で養成しようというものである。 
    • ロースクールやMBAなどのような教育が科学技術の分野にも必要であろう。リカレント教育を想定している。 
    • そのようにはっきり書いた方がよいのでは。 
    • 国際的に活躍する研究者の育成という点から、若いうちに海外を経験することが必要。博士課程の学生が海外に行って研究し、それが博士論文の核になるようなしくみが必要。5年間のうち後半3年間を海外でというようなことができないか。 
    • 現在でも一定の年限であれば可能である。大学院ではスクーリングもあるので、全期間、海外というわけにはいかないであろう。 
    • なぜ優秀な人が博士課程に進学しないのかというと、出た後の行き先に不安があるから。出口から考えるということをするべき。その意味ですでに提案した研究者市場というものを作り、行き先は大学、国研だけでないというイメージを広げるべき。企業の方にもドクターに関心をもってもらうべき。お金の面ばかりでなく、仕組みの工夫が必要。 
    • 大学院教育についてはここで議論すべきかどうか疑問ではあるが、世界水準という観点からはテクニカルサポートが欠落している。アイルランドではうまく支援者を育成している。テクニカルサポートのための教育という支援部門を作るメカニズムの観点も加えるべき。 
    • その点は技術者の育成という項にて記載してある。 

    【知的基盤】 

    • ここでいうデータベース、計量標準では、知的基盤の範囲が狭いのではないか。世界に通用するジャーナルが日本にない。後発で育てるのは難しいであろうが、日本の強い分野では可能ではないか。評価者もまた基盤であると言える。知的基盤とはもっと広い意味で考えるべきではないか。 
    • 鳥井委員に賛成である。前回も述べたとおり、ハードウェア、ソフトウェア、ヒューマンウェアが三つとも立派でないといけない。ここではソフトウェアについて書かれているが、ヒューマンウェア、すなわち、人材育成が落ちているのでは。 
    • 知的基盤がしっかりしていないと砂上に楼閣を作っているようなものである。知的基盤の整備は地味であるが難しいこと。 
    • ここで述べられている知的基盤の定義が一般に言われているものより狭いのではないか。言葉の定義を明確にするべき。 
    • 知的基盤ワーキンググループでは、広義の意味での知的基盤について議論していただいた。ここでは狭義の知的基盤について述べている。 
    • 学会の情報発信の件はどこかに入れるべき。 
    • ご指摘の点は「(8)国際的な科学技術活動の展開」の2)の項に記載されている。 
    • 影響力のある人がエディタになることが必要。研究者はいいジャーナルに発表したいという気持ちがある。優れたチーフエディタをリクルートする必要がある。 
    • フランスやドイツでも、かつて国際的なジャーナルであったものが、現在では国内誌になってしまっている。これは、フランス語やドイツ語が科学技術用語でなくなってきたためで、英語圏の戦略に負け、ジャーナルの国際的な地位が下がったのだが、科学技術そのものが低下したわけではない。この点では、日本はこれらの国と協力していく必要もある。 
    • 文部省において、ジャーナルを審査した上で、額は少ないかもしれないが、支援を行ってきた。エディタや分野を選んだ上で、支援をすることが必要であろう。 
    • コミュニケーションスキルという問題がある。そのようなスキルのある人材の問題と深く関係する。日本の新聞の国際的評価・影響力というのはどのようなものか。 
    • 新聞の世界は、誰かが書いたものをすぐに引用するものであり、日本の記事を海外で引用することもよくあることで、海外からの提携もある。これは日本の経済的地位が向上したことも一因と考える。 
    • 経済以外の分野で、インテレクチュアルに日本の新聞の国際的評価・影響力はどのようであろうか。 
    • なんとも言えない。 
    • ジャーナルより速いインターネットという手段が出てきた。ある例では、大学院生が2回も登場しクローズアップされた。これは教授がその大学院生をプリンシパルオーサーとして投稿させることを認めたためである。 
    • 今後インターネットによるジャーナル投稿がさらに普及するであろう。 
    • 大学院生の研究に対して「これは君の研究である」と教授が言ったことがすばらしい。これはいままでの日本の研究者のカルチャーに欠けていたこと。内容について即座に議論できるのは実際にやった人である。インターネットという手段があったために反響を呼んだのであろうが、一つのカルチャーを崩したということはすばらしい。 

    【研究支援体制】 

    • 研究支援体制が弱いことが日本の大きな問題と指摘されている。現行基本計画において数値目標を掲げたがほとんど前進が見られなかった。これは国家公務員を増やすのが難しいためである。競争的資金を増やすことにより支援業務を手当てすることができるが、単価が安いこと、年度を越えた雇用が難しいことが問題点である。 
    • 国研や国立大学が独法化されれば財政的制約は残るが、定員管理という点での自由度が増すのではないか。 
    • そのとおりである。しかし、国立大学は平成13年度中に結論を出し、独法化は平成15年、16年頃になる。それまでの間は現状の枠組みであり、何らかの手を打つ必要がある。 
    • 支援者の処遇の問題がある。従来、研究者より低い処遇となっていた。現在、設備のメンテナンスは研究にとって重要であり、研究そのものとも言える。支援人材は重要であり、処遇の改善についても触れるべき。 
    • 支援者の処遇は重要である。能力に見合った報酬という意味であれば、競争的資金において支払える。定員の中で支援者の処遇ができないという問題は指摘されているが、競争的資金により支援業務をアウトソーシングすれば処遇できる。 
    • 現基本計画に比べ、かなり後ろ向きの印象を受ける。計画変更なのか、目標達成までの暫定措置なのかを記載すべき。 
    • 研究者一人に支援者一人いうシステムは昔の話。海外においても個別的になっている。今は支援者がつくというよりシステムが重要。人を張り付けるという考え方は改めるべき。支援のための十分な資金は必要。 
    • 研究支援体制という項になっているが、内容は支援者の話になっている。 
    • アウトソーシングというのが考え方である。 
    • 上から与えるのではなく、研究者自身がそれぞれの支援体制を作れるようなシステムが重要。DC、PDも上から与えるのではなく、研究者自身が雇えるようにするとよい。国が学生に賃金を与えるのは学生等を公務員にしているようなものである。 
    • 科研費では、研究者が直接に雇用関係を結ぶということは認めないためできない。 
    • 大学教官が直接雇用関係を結ぶというのは難しい。労働者派遣という形ならば可能である。 
    • 科研費の一部は特殊法人である日本学術振興会で担当しているのであるから、他の特殊法人のように日本学術振興会が雇用関係を結ぶということができないだろうか。研究者が自分の意志で学生を雇えるような措置が必要である。 
    • 科研費は優れた研究を進めるための補助金であり、一般研究者の生活をサポートするための補助金でない。安易に緩和をすると問題になりかねないので、慎重にする必要がある。 
    • 10年前に特別推進を利用している研究者から支援者を雇用できないかとの要望を受けた。ちゃんとした評価のもとに行う必要がある。 

    【社会とのコミュニケーション】 

    • ここでの議論ではジャーナリストは研究システムの内部に入っていない。クローン人間など社会は科学技術に関心をもっている。ジャーナリズムは社会と科学技術を結ぶものであり、アカウンタビリティという観点からも、社会とのコミュニケーションの項目は付け足しでなく、一番最初に置いて、重視すべき。 
        資料にはいいことがたくさん書いてあるが、具体的にどうするのかをはっきりさせないと何も進まない。科学技術コミュニティーが社会から孤立している。研究者の作ったパンフレットを誰も読まないという話を聞いた。わかりやすく書く人を育成しないといけない。 
    • 科学ジャーナリズムの育成ということを主張したら、国がすることではないのではと言われたことがある。 
    • 様々なタイプのインタープリターが必要であり、科学ジャーナリストの育成は必要である。 
    • これからの高度情報化社会ではその機能を積極的に活用して、専門家と非専門家との相互のコミュニケーションを図り、また、一般の人が国の科学技術政策決定に参加する道を拓いていくという視点も重要である。 
    • 一般向けにわかりやすい本を書いた人を表彰するという案もある。 
    • 生命科学の分野では、社会とのコミュニケーションは特に大切である。これを行わないと研究ができなくなる。これは重点化のところに関連するが、病気や疾病についての記述が少ない。生命科学という言い方では一般に対して訴えられない。リスクアセスメントの観点も必要。 
    • 臨海副都心に理解増進施設が400億円で作られている。これにここまで投資する必要があるのか。例えば、リタイアした研究者を1000万円で何人か雇用し、学校で教えることとする等国民への情報発信を充実する方法の方がより効果的でないか。具体的に何をするか決めるべき。 
    • 太字で記載されている部分は重要。大学等ではインターネットによる研究者紹介のホームページを作成しているが、自然科学系は90%近くの者が掲載しているのに対し、人文社会系は少ないのが現状。社会に科学技術の成果を移転するためにも、科学ジャーナリズムを含めた、科学技術を売り物にする第三次産業の育成が必要。 
    • 研究者から社会に説明することは重要。独法でも考えているのか。研究者が下手なパンフ作っても意味がないとの意見あったが、(6)の支援体制にはアカウンタビリティのための支援も合わせて考えるべき。 

    【国際的な科学技術活動の展開】 

    • 日本で定職に就く外国人が少ないのが現状であるが、大学においては変わりつつある。No.1の外国人が来てくれる時のポイントは給与を含めた待遇、場所、研究費。研究費については、最初に来るときには科研費の申請を事前にしておくなどの必要がある。日本人と同等に競争できる仕組みについては是非進めて欲しい。 
    • 記載内容には問題ない。情報発信に関し、「論文等」と書かれているが、これを載せる雑誌は、日本では全て学会誌で、学会が片手間にやっている。米国と英国では、出版を生業とする者が請け負って商業誌化している。日本では、これが充実しておらず、研究者が研究に没頭できるようにするためにも、科学技術の情報発信を生業とする産業を育成する必要がある。 

    【科学技術基本計画のフォローアップ】 

    • 第1期のフォローアップは3年目にしたが、その後、終了時にも行うつもり。 
    • 計画が実行できたかというフォローアップも大事だが、3つの目標に対しどれだけ効果があったかをフォローすることも重要である。 
    • 資料では科学技術の研究システム改革ということで話してきたが、科学技術と書きながら殆ど「研究機関、研究者が・・」という表現になっている。科学だけでなく技術と言うことも視野に入れまとめる必要がある。情報の発信についても、指摘のあったように国民とのコミュニケーションのプロが研究システムの外に出ている印象を受ける。国際的なコミュニケーションに関し、こういう人材の貢献は非常に大きい。 
    • その他、意見あれば事務局まで連絡願う。 


    (2)科学技術の重点化戦略について 

      事務局より資料2について説明。 

    • 「国家的・社会的課題に対応した研究開発の重点化」の中にも基礎研究的なものが入っており重要と思うが、これがここから分離されているような印象を受ける。インパクトファクターの高い論文に出せる成果が重点化項目に影響を及ぼしているものもある。欧米との比較において科学の面が多かったが、工学においてはインパクトファクターの高い論文だけでなく、特許や新産業の創出等重要な項目がある。 
    • 評価の項ではそのように記載されている。今回は基礎研究と社会ニーズ対応に分類したが、ボトムアップ型とプロジェクト型に分けるとそれぞれに基礎研究と社会ニーズ対応が入る。 
    • 重点化について、これは国の投資に関するものの話だけか、それとも民間も含めた国全体のことを言っているのか。また、4つの重点分野と3つの重視する分野があるが、ここに入らない分野があるのか。何でも入りそうだが。 
    • これは国家投資の分だけである。民間に関して口を挟むことはできない。また、分野に関しては、ここでは分類の便宜上7つに分けた訳で、社会基盤分野には防災やフロンティア等その他という感じで雑多に入っている。 
    • 例えば情報等民間企業が進んで投資するところに国が投資する必要はない。そう言った点から、重点化と言うが戦略が明確でない。全分野を重点分野として、その下に種々の技術があるものの、全部含んでいるような印象である。日本が強いところを更に強くする、民間がやらない放っておくとダメになる部分に投資するといった戦略が必要なのではないのか。 
    • 民間が進んで投資するところへの投資は意味がないが、融合的な領域への投資は必要である。 
    • 資料に記載されているものはどれも重要な課題であり、推進が必要である。財政投資を考えた時、誰にどの機関に投資するのかが重要であるが、現在の延長線上のままでは全く駄目。異分野同志を統合することが必要である。本資料ではこの視点が抜けている。人を養成するとともに如何に異分野をコーディネートするか。学術分野においても最近細分化が進んでいるが、技術については総合化が大事でありこれを如何にするかしっかり詰めて欲しい。 
        先般から話に出ている、人のコーディネーション、地域のコーディネーションが重要。インパクトファクターは個人のものであり、これがそのまま科学技術の実力を現している訳ではない。これらの分野を推進するためには、異分野の優秀な人材を結集することが重要である。そして、誰が司令塔の役割を果たすのか? 
    • 情報に限って言うと「IT」という表現は曖昧。「ハイテク」のような普通名詞と同じ位置づけ。表現をもう少し精査すべき。 
        国が何をするか。国研に金を入れるのは分かるが、大学にはどう繋げるか。大学も含むならIT人材の育成という観点で教育という面で間接的に資金を入れることも考えるべき。企業はバイオやIT等の各分野における優秀な人材を期待している。大学が独法化する時に教育も含めて検討するのか、本部会でやるのか。 
    • 教育の問題については別のところで検討する。大学の研究は含まれている。本件は国研だけを対象とした問題ではない。 
    • バイオサイエンスという言葉を使うのか、生命科学とするのかそれぞれが持つ意味合いを認識し表現を考えるべき。また、本資料にはこれまでの基本計画と異なり、健康科学、疾病という観点がないのが大いに気になる。NIHはNational Institute of HealthであってNational Institute of Life Scienceではない。NIHの21のセンターには病気の名前が付いているものが殆どである。国家戦略としてゲノムとか脳とかの研究を行う場合、知的探求という立場だけでなく、国民の健康にどのように役立つのかという目的をはっきりさせる必要がある。ヒトゲノム解析計画が始まったときも癌対策というのが国民に対する説明であった。その観点から整理すべき。 
    • ライフサイエンスの前文に詳細を記載する。 
    • むしろ、前文の表現によりゲノム科学が逆に矮小化されているのではないか。 民間企業ができないこと、民間企業に期待することを明確にすべき。企業ができないのはリスクや費用が大きい研究。これを国研・大学と一緒にやれるシステムが必要。今書かれているのは資金の重点配分のみだが、資金だけでなく、施設整備まで戦略的・重点的にやっているハーバード大学は医学の研究者を沢山抱えて、論文数で世界のトップになった。重点的配分というのは資金だけでなく、人材、施設までも含むべき。 
    • これは検討すべき項目ではあるがちょっと難しい。大学に対し要望するしかない。 
    • 重点化についてそれぞれのウェイトが分からない。 
        参考資料に各分野おける水準の評価について、欧米と比較して高い低いとあるが、この評価が重点化にどのように生かされたのか。「国家産業技術戦略」の前文に米国での戦後50年にわたる基礎研究の成果の重要性が示されている。基礎研究を産業技術に展開することが重要である。ここで、例えば製造技術については米国と比較して低いとなっているが昔は高いと言われていた。これが何故低くなったのか。欧米の研究開発・展開の施策等を分析したもので説明いただければ分かりやすい。重点分野・技術についても、フォローを行い評価結果を吟味し臨機応変に見直していくことが重要。評価と戦略プロセスについて整理すべき。 
    • 日本から強い弱いを客観的にいうのは困難。基本的方針として、日本が弱くてもやらなければならないものや日本が強く今後も期待されるものをやる。この参考資料として各種調査を行った。 
    • 一つは国家産業技術戦略の分野別計画を参考にし、科学技術基本計画論点整理で議論した結果に、国としてしなければならないものを加えて決めた。製造技術の点については、2年前の商務省の報告で80年代には日本は強かったが90年代には逆転したとあり、次世代の製造技術において欧米は産学官のプロジェクトを強烈に推し進め強くなった。 
    • 米国が逆転したとき、例えば超精密技術など軍事でコストパフォーマンスを考えずに投資した技術の移転が大きくあるのでは。元来、軍事技術の民需への応用は考慮していなかったと思う。長期に渡る思い切った効果を狙う研究も重要である。 
    • 重点化について、4つの重点分野、3つの分野の何項目かが重要とあるが、これらはどこにアクセントを付けるかで意味づけが変わり、4つ、3つと分けるのは困難。国家的・社会的課題に対応した研究というのはプロジェクト的研究。これについては、基礎研究が産業に繋がるまでのチェーンとして考えるべき。産業界からこれが欲しいというもので、共通でやった方が効率的という分野であるべき。今が強い弱いというのでなく21世紀に日本が生き残れるかどうかという観点から考えるべき。予算が付いているところが囲い込む等の発言が前回あったが、予算配分の実権はどこにあるのか。プロジェクト的研究をするため大まかな方針を答申しても、最後決定するのは予算。重要度を大中小と分けて、大は少なくとも決め、中もある程度決めないとこの集まりは空論になってしまう。ここで、本件を議論すべき。そうでないと、従来の延長線上で終わってしまう。 
    • 産業界からの意見として発言したい。本資料で理解できない点は国民に向かってまとめているのかどうかということ。至る所に予算を取るための霞ヶ関的表現が散りばめられている。国民のための科学技術基本計画としておかしい。又、資金は国にも民間にもある。誰がどう金を使おうと、国としてやろうとしている方向を決めればいいのではないのか。そういう方向は現基本計画には示されてはいない。この分野を重点開発領域として、国は力を入れますという文章のトーンが必要。重点開発領域を示すことにより国家戦略の8割は分かる。なお本計画は夢のある計画とすべき。宇宙や海洋についてはマスメディアも良く取り上げるにも関わらず少ししか記載されていない。重点領域にあげると各省庁が予算を囲い込んでしまうというところがありありと見える。霞ヶ関的なものを出すのは問題がある。魅力のある重点領域を出して欲しい。 
        更に、司令塔の問題、予算の仕組み等、こういったものがしっかりと背後にあって、実行できる形での議論が必要。これがないと不毛になる。 
    • 次回に総合科学技術会議のあり方について議論したい。 
    • 情報技術をやろうと言った時、目的としては経済システムとの絡みもあればアジア地域との相互理解もあるかも知れない。目的・問題が明確になっていてこれに対しどう対応するといったものを出さないといけない。今のままでは、重点戦略が出ても夢がない。 
    • 重点化が基軸。国として目指すべき目標があり、これにどういう課題があり、この技術に繋がるかというのが大事。食料の安定供給のために食料科学技術の重点化などが必要だが、このためにゲノム解析では矮小化していないか。また、強い部分だけでなく、基礎・応用を含めて総合的にまとめる必要がある。 
    • 21世紀に向かって厳しい環境ではあるが、科学技術の発展に向けて頑張らねばならない。政府の投資額の限界を考えると、勇気を持って重点領域を定めることが重要。しかし、どの分野であっても科学技術は夢を与えるものであるのだから、本資料において「それ以外」と書かれたところが差別されたと思わず、白けないように、説明を工夫し、重点化の意味を知らせるやり方もあるのではないか。重点領域を定めるというアプローチは賛成である。 
    • 重点化のやり方について感銘を受けているが気になることがある。例えば意識調査は国際比較することが多いが、生活、職場などでの満足度を比較すると日本は非常に低い。日本人は会社への帰属意識が強くよく働くが、全ての項目に対して満足度が低い。科学技術に関する施策を実施した時、日本人の満足度が高まるだろうか。例えば、90歳まで平均寿命が上がると、今後誰が養うかという悲観的な見方が出てくる。ここで議論することか分からないが参考まで。 
    • 次回、重要な項目についての部会長案を示すので議論いただきたい。 

      次回会合:7月12日(水)10:00〜12:00
                東海大学校友会館

     以上