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 ヒトゲノム研究について


  
  
ヒトゲノムの塩基配列は、人であれば皆完全に同じというわけではありません。  

個々の人のヒトゲノムの塩基配列を比較すると0.1%程度の違いがあることが知られており、この塩基配列の違いが、顔かたち、性格などの違い、すなわち人の多様性につながっています。  

また、塩基配列の違いによる多様性には、病気の有無やかかり易さ、薬の効き方副作用の有無などの人の健康・医療に関係するものも含まれています。

1990年頃から、世界の研究者が分担し、ヒトゲノムの全塩基配列を解読するための取り組み”ヒトゲノム計画”がなされて来ました。そして、2000年6月には、ヒトゲノムの全塩基配列の概要がほぼ明らかになりました。  

今後は、明らかとなった塩基配列を利用することで、塩基配列のどの部分がどう違えば(遺伝的多型)、どういう個人差(たとえば、病気のかかり易さ)に結びつくのかを明らかにするための研究(多型解析)が世界中で盛んに行われていきます。

このヒトゲノムに関する研究が進むと、単一遺伝病のみならず、痴呆、がん、糖尿病、高血圧、喘息といったありふれた病気に関係する遺伝因子が明らかにされると考えられています。  

また、これによって個人の遺伝的特徴(ゲノムの塩基配列)に応じた医療、”オーダーメイド医療”が可能になると考えられています。  

すなわち、個々の人に最適な治療法や健康管理方法を選択したり、副作用を避けた薬剤の選択や、より効果的な投薬方法を選択できるようになることが期待されています。  
 

しかし、これらのヒトゲノムの研究を行うには、多くの人からDNAサンプルを提供してもらい研究しなければなりません。  

たとえば、糖尿病に関係するヒトゲノムの箇所(塩基配列の違い)を見つけるには、数千人の糖尿病患者の方と数千人の健康な方から提供されたDNAについて塩基配列を比較する必要があるといわれています。