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科学技術会議生命倫理委員会クローン小委員会(第12回)議事録 


1.日時        平成11年11月17日(水)    14:00〜16:00 

2.場所        科学技術庁第7会議室 

3.出席者 
    (委  員)岡田委員長、青木委員、位田委員、勝木委員、管野(覚)委員、 
                高久委員、武田委員、豊島委員、永井委員、木勝島委員、町野委員、 
                横内委員 
    (事務局)科学技術庁  池田開発局長、小田ライフサイエンス課長他 
    (文部省)川村研究助成課長 

4.議題 
    (1)東京農業大学におけるヒトの細胞核移植実験について 
    (2)報告書について 
    (3)その他 

5.配付資料 
    資料12−1  第11回クローン小委員会・第5回ヒト胚小委員会合同委員会議事録 
    資料12−2  第5回科学技術会議生命倫理委員会の概要 
    資料12−3  東京農業大学におけるヒトの細胞核移植実験に関する文部大臣コメント 
    資料12−4  クローン技術による人個体の産生に関する基本的考え方(案) 
    資料12−5  クローン小委員会報告書案の中間報告からの主な変更点について 
    資料12−6  クローン小委員会中間報告に対する意見公募への対応状況(案) 

6.議事 

(岡田委員長) 
  それでは時間がまいりましたので、始めたいと思います。 
(岡田委員長) 
  それではただいまから、クローン小委員会、もう今日で12回目ということになりました。皆さん、どうもご苦労さまでございます。 
  それでは初めに、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 
(事務局) 
  それでは配付資料の確認をお願いいたします。 
  まず一番上に議事次第の紙がございます。続きまして、資料12−1といたしまして、合同委員会の議事録。12−2といたしまして、生命倫理委員会の概要。資料12−3といたしまして、文部大臣のコメントが用意されてございます。続きまして、資料12−4が、クローンの本小委員会での基本的な考え方、報告書の案でございます。12−5が、中間報告からの主な変更点。12−6が意見公募への対応状況を整理した紙でございます。 
  資料番号は振ってございませんが、その後に3つ資料がございまして、科学技術庁から所管の研究機関に対して連絡をした紙の写し。同じく厚生省から所管機関に対して出した紙。最後に、木勝島委員からコメントをいただいたものをつけてございます。 
  以上が配付資料でございます。 
(岡田委員長) 
  そろっておりましょうか。よろしゅうございますか。 
  なお、議事録の訂正がございましたら、後ほど事務局のほうにご連絡をくださいますようにお願いいたします。 
  それでは、始めさせていただきます。 
  まず議事に入る前に、東京農大において、ヒト白血病細胞核を牛の未受精卵に移植する実験が行われました件につきまして、ご報告いたしたいと思います。 
  本件につきましては、先週、東京農業大学から文部省に報告が行われるとともに、学術審議会のバイオサイエンス部会及びクローン研究専門委員会が開催されまして、議論が行われておりますので、その状況を文部省の川村助成課長からご報告いただけるとありがたいんですが。 
(文部省・研究助成課長) 
  文部省の研究助成課長の川村と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。 
  資料12−3をもちましてご説明させていただきます。資料12−3は、昨日、すなわち11月16日火曜日の午前に、中曾根文部大臣から公表いたしました大臣コメントでございますが、その前に、この件に関して若干時系列的に申し上げますと、昨年8月に文部省の告示といたしまして、『大学等におけるヒトのクローン個体の作成についての研究に関する指針』を公表し、各関係機関に通知をいたしております。この通知は、資料12−3で申しますと、後ろ2枚についているものでございます。 
  その後、昨年11月に東京農業大学におきまして、核移植の実験が行われたという事実が今度のものでございます。これが今年11月8日、つまり先週の月曜日でございますけれども、この実験が指針に抵触するのではないかということでの報道が行われました。その後、東京農業大学からの報告を受けまして、先週金曜日、11月12日に学術審議会のバイオサイエンス部会及びそのもとに置かれておりますクローン研究専門委員会で審議が行われ、その審議を受けまして、文部省として幾つかの措置をしている最中であるということでございます。 
  具体的な内容につきまして、幾つかご説明をさせていただきます。 
  まず、資料の後ろ2ページについております研究指針でございますけれども、この中に第3条、第4条という条項がございます。第3条につきましては、研究内容に関することでございまして、「ヒトのクローン個体の作製を目的とする研究又はヒトのクローン個体の作製をもたらすおそれがある研究は行わない」ということといたしております。その趣旨に鑑み、「ヒトの体細胞由来核の除核卵細胞への核移植は、研究においてこれは行わない」とすることを研究指針として定めているものでございます。 
  第4条におきまして、手続的な規定がございます。「大学等の研究者は、計画している研究について、前条−−今申し上げました第3条−−の規定に違反するおそれがある場合又は同条の規定に違反するとの疑いが生じるおそれがあると考えられる場合においては、当該研究を実施する当たって、あらかじめ、当該研究が同条の規定に違反しないことについて、大学等の長の確認を受けるものとする」。こういう手続にいたしているわけでございます。 
  これに関しまして、実際に東京農業大学で行われました実験内容、それから、そのことに関し報告を受けて、クローン研究専門委員会で行われました審議結果につきまして、今ごらんいただいた紙の上2枚の資料を用いてご説明を申し上げます。 
  11月12日金曜日に行われました文部省の学術審議会バイオサイエンス部会において、クローン研究専門委員会の主査からご報告をいただいたまとめでございます。委員会の主査は、今日もお見えでございますが、豊島先生にお務めをいただいております。この資料に沿いまして説明いたします。 
  まず、東京農業大学からの報告によれば、この実験の内容としましては、応用生物科学部の教授が、昨年11月に、ヒト白血病細胞核を除核したウシ未受精卵に移植するという実験を行ったということでございます。若干補足をいたしますと、27個の卵子に対しまして、この移植が行われたということでございますが、8個が2細胞期以上まで行き、最後の2個が8細胞期まで来て、そこで止まったということであったということでございました。 
  同大学は、人のクローン個体作成にについての研究に関する研究指針、先ほどごらんいただきました指針でございますが、これは学内で周知はいたしておりましたけれども、このような研究を行われる可能性については想定をしていなかった。したがって、委員会も置かれていなかったという状況でございました。この教授も実験開始時には、この実験は指針には該当しないのではないかという考えのもとに手続もとっていなかったという趣旨でした。 
  この件に関して審議を行った結果でございますが、専門委員会としては、次のような考え方として取りまとめをいたしました。 
  まず第1に、実験と指針の関係でございますが、実験の内容は指針第3条に該当し、第4条の手続規定によって、研究の計画に当たって学長の判断を求めるべきものであったと。人のクローン個体の作成に関する規制のあり方については、当科学技術会議生命倫理委員会において、各領域に横断的にかかわる問題として法的規制の必要性等の観点からの検討が行われている状況でございます。文部省の指針は、その現下の状況を踏まえて、昨年7月の学術審議会バイオサイエンス部会の報告を受けて、当面、大学の研究が人クローン個体の誕生につながることのないよう指針を示したという性格のものだという確認をいたしております。 
  大学における研究は、研究の自由、研究者の自主性ということを原則とするものでございますが、研究と社会との接点によって生ずる種々の問題に関しては社会の理解を得る努力が必要であり、研究者自身が倫理的・社会的責任を十分に自覚をしつつ、厳しい自主規制のもとに研究を行うことが重要であるという考え方でございます。 
  このような考え方に立ったとき、本件のように研究に関する適正手続が遵守がされない事例が生じたことは、専門委員会としても、まことに残念な事態と受け取っているという認識でございました。 
  この件に関しましては、(2)にございますように、専門委員会としての認識をこのように取りまとめたわけでございますが、このような事態が繰り返されることのないよう、文部省から東京農業大学に対し注意喚起をされるとともに、早い機会に文部省としての見解を表明することが望ましいという提言でございました。 
  文部省としましては、東京農業大学に対しましては、昨日午後、お出でいただきまして、こうした事態が再発されることがないような、学内の体制について注意喚起をいたしたところでございます。また、文部省としての見解の表明ということにつきましては、この資料1枚目にございますようなコメントを昨日午前に大臣から公表しているところでございます。 
  次に、「指針の趣旨の再徹底について」でございますが、本件に関しては指針の解釈いかんというような意見も一部で見られたところでございますが、本件が指針に抵触するものであることは、学術審議会バイオサイエンス部会の専門委員会においては一致した認識でありました。しかしながら、この指針の趣旨や規定の意味が必ずしも研究の現場で十分に理解されていたとは言えない実態が現にあったということから、文部省から適切な方法により、再度指針について周知を図ることを部会として要望するということをおまとめいただいております。 
  なお、この研究費の取り扱いについては、本件実験は大学自身によって措置された経費によって行われ、外部から受けた研究助成金は支出されていないという報告がございまして、これを了承したという次第でございます。 
  この委員会報告が学術審議会バイオサイエンス部会に対してされまして、バイオサイエンス部会としても、これを承認をいたしおります。また、今申し上げました指針の趣旨の再徹底については、文部省としては現在、通知を出す予定で準備中でございます。 
  1枚目の資料は、このような専門委員会報告、バイオサイエンス部会で承認されたものに基づいて、再三申し上げますが、昨日、文部大臣から公表いたしたものでございまして、この当該実験が文部省指針に抵触するものであったということを文部省としても認識をしていること。それから、大学の研究は、やはり研究者自身の責任と自覚のもとに行うことが必要であって、本件が起きたことは遺憾であるということ。今後、指針を重視しつつ、適切に研究を推進していただくことを期待するという趣旨を申し上げているところでございます。 
  以上でございます。 
(岡田委員長) 
  どうもありがとうございました。非常に早く文部省のほうで対応していただいて、ありがとうございました。 
  本件は基本的には文部省の指針の対象となる大学における研究というものでありまして、文部省におきましては、学術会議での検討が続行しているという現状を踏まえて、指針の周知徹底を図るということでありますので、当委員会としましては今後の状況を見守りたいと思っております。また、お手元に資料として配付されておりますように、厚生省などの関係省庁におきましても、科学技術会議の政策委員会の決定について周知徹底を図っているところであります。政府において一応の対応はとられているものと、この問題については理解しております。
  しかし、より明確に基本的な考え方を国として打ち出す必要がありまして、本件を踏まえて、当委員会やヒト胚研究小委員会での議論を早急に詰めていく必要があると認識している次第であります。 
  これから委員の皆様方のご協力を、これに関してお願いせねばなりませんけれども、こういう判断のもとで、この東農大の件はご了解いただくということにして、今回は本日のこの委員会の本題にすぐ入らせていただきたいと思うのです。この本題が早く終わりましたら、余った時間でこの東農大の関連の問題についてご意見を聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 
  川村課長、ありがとうございました。 
  それでは、本日の本題に入らせていただきます。 
  9月29日に行われました第5回生命倫理委員会におきまして、先のクローン小委員会とヒト胚研究小委員会の合同委員会、これは7月28日に開催いたしましたが、ここにおきまして議論されました基本的な考え方については小委員会の方針が了承され、クローン技術についてはクローン小委員会で具体的な報告書の形で取りまとめ、ヒト胚性幹細胞等のヒト胚研究につきましては、ヒト胚研究小委員会で引き続き議論していくことになったわけであります。 
  本日は、昨年6月に当小委員会で出した中間報告に、その後の本小委員会での議論や生命倫理委員会での議論の結果、さらには意見公募で得られました一般の方々や学会などの意見を反映させたものを報告書の案としてお配りしております。本日の議論で小委員会として取りまとめまして、生命倫理委員会に報告したいと思っておりまして、これが今日の中心議題であります。 
  議論の進め方としては、報告書案について一とおり事務局から説明してもらって、その後で各委員のご意見を伺うことにしたいと思います。それでは、事務局のほうから説明をしてください。 
(事務局) 
  はい、かしこまりした。 
  1点、事務的なご連絡ですが、机にありますマイクは速記者用のマイクでございますので、ご発言の際にはマイクを持った者が参りますので、そのマイクを用いましてご発言いただくようお願いいたします。 
  それでは、お手元の資料につきましては、資料12−2で、生命倫理委員会での議論の概要をごく簡単にご説明申し上げます。 
  議事録のほうは実は生命倫理委員会のは今回から氏名入りで公開することにしておりまして、そのために少し慎重に確認をいたしておりますので、まだ完全にできておりません。申しわけございません。もうしばらくお待ちいただきたいと思います。 
  9月29日の概要でございますが、中心は(2)のクローン小委員会とヒト胚研究小委員会の審議の状況でございます。岡田委員長、町野先生から、規制の考え方を中心に審議状況をご説明いただきました。結論といたしましては、先ほど委員長からご紹介がありましたように、小委員会の方針、特に多数意見としての個体産生部分を法律で禁止するということが支持されて、最終的な報告をまとめるようにということでございました。 
  ただ、その過程では、・の3つ目にございますが、クローンだけを規制するのは唐突ではないか、他の生殖技術全般も合わせた法律で考えていったらいかがというご議論もございました。この点につきましては、現実的な対応として特に問題に大きい部分を禁止するということは非常に意味があるだろうということ。あるいは有用性等を考えた研究部分についてはガイドライン規制が適当であり、特に弊害の大きい個体の産生については法律で禁止するという考え方は妥当ではないかというご意見等々ございまして、現実的な方針として、こういう形でするということが基本方針として了解されたわけでございます。ただ、その上でやはり個体産生の部分だけを禁止して、ほかの部分が自由ということではなくて、もう少し全般的な視野というものは必要だろうということはご議論として出ております。 
  以上が生命倫理委員会の概要でございます。 
  続きまして、お手元の資料の12−4と12−5によりまして、報告書の案についてご説明申し上げたいと思います。 
  お手元の資料の12−4でございますが、これは昨日未明にファックス申し上げたものから、若干、二線消しが入ってございます。そこにつきましては、この最終的な案をお送りした後に、電話等でいただいたコメントについて二線消しの形で反映してございます。さらに木勝島委員のコメントにつきましては別な紙でいただきましたので、そちらを一番最後の資料として配付してございます。 
  それでは内容のほうに入らせていただきます。 
  まず、タイトルでございますが、『クローン技術による人個体の産生等に関する基本的考え方』と。中間報告の『クローン技術に関する基本的考え方』よりも対象を絞った表記としてございます。 
  その上で1枚めくっていただきまして目次でございますが、基本的には中間報告の構想にならってございますが、特に第3章の「クローン技術の人個体の産生への適用」の部分におきまして、「人クローン胚についで規制」の項を設けてございます。また、その関係で、第2章の2.「人の細胞を用いる場合」のところで、「クローン技術による人個体の産生」と中間報告ではなっていたところに、「ヒト胚の作成」というものが追加されてございます。その他、若干の文言修正が加えてございます。 
  次に1ページ目の「はじめに」でございますが、こちらは中間報告以降の事実関係、牛やマウス体細胞クローンの誕生、あるいは韓国における人の体細胞クローン作成したとの発表等について触れております。 
  続きまして2ページから第1章でございますが、こちらに関しましても事実関係等を中心に最新のものにアップツーデートする形で整理いたしてございます。中間報告に比べて少し構成で変えておりますのは、「技術的動向」の部分が膨らんでおります。これは今の報告書案の6ページに有用性に関する評価の項がございますが、こちらにおいて記述されておりました技術経緯、技術の変遷等につきましてまとめて、この動向の中に盛り込んだために記述が増えてございます。 
  各国の動向についても若干アップツーデートしてございまして、アメリカの場合ですと、法案審議、大統領提出法案等がございましたが、会議の終了に伴って廃案となっております。ただ、本年の議会においても体細胞核移植等を禁止する法案など2本が議員より提出されている状況でございます。 
  4ページから、「我が国におけるこれまでの対応」でございます。こちらも大きな変更はございませんが、先ほど研究助成課長からご説明いただきました文部省の告示の件が4ページの終わりから5ページにかけて紹介してございます。合わせて、このページの最後の「なお」書きでございますが、ヒト胚研究小委員会が設置されたという記述を加えてございます。 
  続きまして第2章でございます。6ページ以降でございます。 
  まず、「人以外の細胞を用いる場合」ということでございますが、「クローン技術による動物個体の産生」「拒絶反応を起こしにくい臓器を持つ動物の産生」ともに大きな流れは変えてございません。有用性を評価してございます。 
  ただ、(2)の「拒絶反応を起こしにくい臓器を持つ動物の産生」は、中間報告の案では、ヒト型表現抗原を持つという表現をしてございましたが、さらにいろいろ調べてみますと、かなりヒト型表現抗原を持つ研究はまだ非常に先端的といいますか、先に進み過ぎているといいますか、それほど大勢を占めておらない研究でございますので、より広い表現であります「拒絶反応を起こしにくい」という表現をとらさせていただいてございます。この点につきましては、拒絶反応についての知見等、必要な考慮が必要であると。将来の可能性について引き続き十分な検討が必要であるということを書いてございます。 
  2.の「人の細胞を用いる場合」でございますが、ここで特にヒト胚、人クローン胚の部分についての記述を追加するとともに論点を整理してございます。 
  まず冒頭でございますが、人の体細胞の核を人または動物の除核卵に移植した人クローン胚を作成すること、及びそれを母体に移植して、人クローン個体を生み出すことについては、いろいろここに書いてございますような発生過程におけるゲノムの修飾など、あるいは寿命・形態等の決定要因等々、移植医療や生殖医療等への応用があります。先ほど言いました基礎研究や移植や生殖への応用というものが考えられると。しかし、人クローン個体の産生は次章に示します人間の尊厳の侵害の観点から重大な問題がある。それに加え、現時点では体細胞核移植を伴うクローン個体の産生は、動物においても研究段階にとどまっている状況にある。このため、人に適用した場合、正常な発生が行われるか、細胞の寿命に関連すると言われているテロメアが短いことにより、どのような影響があるかなどについて十分な知見がないということを指摘してございます。また、仮に体細胞の遺伝子の損傷が存在する場合に未知の影響がある可能性も否定できないことから、生まれてくる子供の正常な成長が保証されるだけの十分な知見は存在しない。このため、実用的な技術とは考えられず、あえて実施をするだけの有用性はないと評価されると。この点につきましては、テロメアの関係等、最新の知見をもとに少し補強してございます。 
  追加したクローン胚の部分でございますが、人クローン個体を産生しない人クローン胚の研究については、体細胞の提供者と遺伝子が同一がであるという特性から拒絶反応のない移植医療などに利用される可能性があり、有用性が認められる余地があると指摘しております。ただ、ヒト胚の操作につながるという問題があることに加えて、現時点では、人以外の動物細胞を用いることにより必要な研究は実行可能であることから、人の細胞を用いて行うことについてはさらに慎重な検討が必要であるという評価をしております。 
  (2)でございますが、こちらは「細胞培養」となっております。中間報告では、「人個体を生み出さないクローン技術の適用」という表現でございましたが、中身が、簡単に言いますと細胞培養のことを記述してございましたので、わかりやすい表現に変えてございます。この点につきましては、2行目の後ろのほうからでございますが、現時点では、人個体を生み出さないことから、生命の誕生に関する倫理的問題は生じないと。また、一定の有用性が認められる。均質な研究材料の確保等、種々の科学的研究での有用性が認められるということで、今後、安全性のことを確認し慎重にする必要であるものの、細胞培養技術を用いた移植用細胞や移植用組織の作成等の医学的可能性も認められることから、有用性があるという評価をしています。 
  (3)の「胚性幹細胞の取り扱い」でございますが、こちらも記述が変えられててございます。特に昨年11月に米国において初めて、ヒト胚性幹細胞が細胞系として確立されたという報告がなされておりますので、その点を踏まえた記述でございます。 
  ヒト胚性幹細胞を適切に培養し分化させられば、均質な研究材料の確保、移植治療用の細胞組織の作成に活用できることから有用性が評価されると。また、現在のところ、胚性幹細胞からは、核移植や胚移植を行わない限りはヒト胚や人の個体が生み出されることはないが、その作成の過程において、ヒト胚または死亡胎児の組織を使用するため、ヒト胚の研究利用という観点から生命倫理上の問題が生じることから、その作成・使用に関してはヒト胚研究小委員会等で十分な技術的・倫理的検討が行うことが必要であると整理してございます。 
  次の段落でございますが、このヒト胚性幹細胞の樹立によりまして、新たな応用の1つとしてキメラへの応用が考えられます。ヒト胚性幹細胞を他の発生途上の動物の胚に導入するなどして、人と動物のキメラ胚を得て、そのような胚を母体に移植して人と動物のキメラ個体を生み出すことも理論的には可能である。人と動物のキメラ個体の産生については人間の尊厳や安全性の面で種々の問題が生じるものであり、人以外の動物により十分な研究が十分実行可能であることから有用性はないと評価しております。 
  8ページでございますが、「胚移植を伴う移植用クローン臓器の作成」でございます。人個体を生み出すことは不可能となるように、具体的には人の特定臓器のみを発生するように細胞の核の遺伝物質を改変し、この細胞核を核移植により胚を生み出し、その母体への移植を通じて特定の移植用クローン臓器を作成するということも理論的には考えられます。しかし、現時点では、母体への胚移植によりまして、人の個体を生み出さない形で特定の個別臓器をのみを産生することは技術的に可能性がないため、これらの技術を用いて、移植用クローン臓器の作成を試みることは人間の尊厳の問題と深い関連を生じざるを得ない状況にあり、あえて実施するだけの有用性はないと評価しております。 
  続きまして9ページでございますが、こちらから第3章「規制に関する検討」が始まります。この章ではまず、クローン技術の人個体産生等への適用を議論いたしまして、続いて、細胞培養、動物への適用、クローン以外の技術という形に議論を展開してございます。 
  「クローン技術の人個体産生等への適用」でございますが、まず、「科学的意味と問題点」を整理し、そこから規制をどうするか、規制の対象・形態といったところに議論を展開してございます。 
  冒頭の部分は大きな変更はございませんが、まず科学的視点からの意味といたしまして、まず受精を経ずに無性生殖の道を開くものであるということ。その結果、染色体組みかえや精子と卵の遺伝子の混合が起こらず、遺伝子が体細胞の提供者と同一となること。さらに、それによりまして、成長過程での環境要因による違いは生じるものの、生み出される人の表現形質が相当程度予見可能となる。したがって、表現形質が相当程度予見可能となることから、特定の表現形質を持つ人を意図的に複数生み出すことが可能となる。こういう意味を持つものと考えられます。このことは今までの生殖が全て有性生殖の過程を行われてきたのに対して、意図的に遺伝的に同じ個体を生み出させるものだという点で非常に異なる状況になるということです。また一方、前述したとおりの安全性に関連するような十分な知見がないということもございます。 
  その上で、「人間の尊厳の侵害」として、どのようなことがあるかということを整理してございます。 
  まず1点目は、動植物の育種と同様、特定の目的の達成ために特定の性質を持った人を意図的につくり出そうとすること。これは人間の育種と考えます。あるいは人間を特定の目的の達成のために手段・道具とみなすこと、人間の手段化・道具化と。こういったものに道を開くものであり得るということが1点目にございます。 
  もう一点、こちらは中間報告以降追加された考え方でございますが、特に町野先生のレポートにございましたように、人クローン個体固有の問題として、常に存在する特定の個人の遺伝子が複製された人を産生することにより、体細胞の提供者とは別人格を有するにもかかわらず、常にその人との関係が意識され、実際に生まれてきた子供や体細胞の提供者に対する人権の侵害が現実化・明白化することという特徴がございます。 
  1点目の育種や手段化・道具化の点は、例えば遺伝子組みかえといったようなところでも、一部そういうものがございますが、この2点目の、まるまる特定の方の遺伝子と同じものを用いるという点で大きな差があるということです。 
  この2点の問題があることについて容認することは、人間の個人としての自由な意思や生存が尊重される状態とは言えず、すべての国民が個人として尊重されるという憲法上の理念に著しく反することになるということでございます。 
  もう一点といたしましては、遺伝子があからじめ決定されている無性生殖という点、この点で人間の命の創造に関する基本認識から著しく逸脱するものであると。また、親子関係等の家族秩序の混乱が予想されること。 
  このようにクローン技術を医療以外の目的で便宜的に用いる場合はもちろんのこと、仮に生殖医療に使用し得る技術をとらえた場合であっても、人個体の産生への適用というのは人間の育種、手段化・道具化との側面を否定し得ない上、個人の尊重、人間の生殖に関する基本認識を侵すという整理をしてございます。 
  「安全性の問題」でございますが、こちらは先ほど申し上げたような安全性に関する問題が生じる可能性を否定できない現状では、生まれてくる人個体の安全性の確保は保証できず、クローン技術を適用することには重大な問題があると整理してございます。 
  (2)といたしまして、クローン技術の人個体の産生への適用について、どういう規制があるか、どういう考え方ができるかということでございますが、クローン技術は例えば原子力や宇宙開発といったような巨大技術とは異なりまして、一定水準以上の技術を持つ医師や研究者が比較的容易に実施し得る可能性があるということ。また、現時点では実態は存在していないものの、米国での民間の不妊治療計画あるいは外国人による日本でのクローン技術を利用した不妊治療計画が発表されるなど、近い将来、問題が現実化する可能性がございます。したがいまして、我が国としましても早急に対応することが必要であるということでございます。 
  この点につきまして、仮に人クローンの個体が誕生した場合には、個人として尊重されるというのは当然のことでございますが、このクローン技術で人個体を産生した場合には、(1)で示しているように、人間の尊厳、安全性両方の観点から問題があることを総合的に判断すると、人クローン個体の産生を禁止することが妥当であるということに整理してございます。 
  (3)でございますが、新しく設けたところでございまして、これはまず、人クローン胚を取り扱う研究について、個体は産生しなければ今まで説明してきたような重大な弊害はもたらすことはないと。また医療等の向上に貢献する可能性があることも否定できない。しかし一方では、人クローン胚は人個体の産生につながる可能性があるものであることから、ヒト胚と同様に人の生命の萌芽としての意味を持つものであり、その取り扱いは可能な限り慎重に行うべきであると。さらに重大な弊害をもたらす人クローン個体産生につながる恐れがあるという面からも配慮する必要がある。 
  これらを考慮いたしますと、正当な理由がある場合には人クローン胚を扱う研究は一定の限度で許容し得る余地はございます。ただし、これらの研究の是非は、その体細胞核を動物の卵等に移植して新たに胚を生み出す研究の是非も含めて、ヒト胚等を取り扱う研究について検討が行われているヒト胚研究小委員会でさらなる検討に委ねられるべきであるとしています。この人の体細胞核を動物の卵等へ移植するというのは、先ほどご説明がありました東農大の実験と同じものでございます。 
  11ページでございますが、「研究の自由との関係」。こちらは中間報告から大きな変更はございませんが、内面的な活動にとどまらない場合には無制限に自由ではないということで、必要な範囲で適切な規制を設けることは研究の自由の不当な制限につながるとは言えないという考え方でございます。 
  (5)「国際的な協調」。こちらも基本的には同じでございまして、技術や研究者の国際交流が進む中、我が国のみが諸外国と比較して特別に緩い、あるいは特別な厳格な規制とならないよう協調したものであることが必要であるということでございます。 
  続きまして、「規制の対象」でございます。現在の科学的知見では、ヒト胚は母体への胚移植の過程を経なければ出生・成長する可能性がないことから、人クローン個体の産生に対する規制は、人クローン胚の人または動物の母体への胚移植を禁止することが適切であるとしてございます。なお、人の細胞の核を動物の除核未受精卵に核移植して人クローン胚を作成し、それを人または動物の母体内に胚移植し成長させることについても、人クローン個体を生み出すという点では、人の未受精卵を用いる場合と同様でございまして、禁止のための規制が行うことは妥当であるとしてございます。 
  また、先ほど技術的に可能性を検討しました移植用臓器の作成、クローン胚の移植を伴う移植用臓器の作成につきましても、現時点は人個体を生み出すことと同等の実態を含んでしまうということから、人クローン個体の産生として禁止のための規制を行うことは妥当であるということでございます。 
  続きまして、「規制の形態」でございます。この点につきましては、まず「クローン技術の人への適用に関する規制の形態」をどうするかということでございますが、前段の部分は中間報告をそのまま引いてございまして、下から4行目の「少なくとも、国の示すガイドライン以上の公的な規制を行うことが適切である」ということでございます。 
  その点につきまして、さらに総理府が平成10年9月にまとめた有識者アンケートの調査、こちらで約7割が人クローン個体産生を法律に基づき禁止すべきであると回答していることなどを踏まえまして、さらに規制の強制力、柔軟性等について検討を本委員会で行ったと報告しています。 
  その結果といたしまして、人クローン個体の産生は人間の尊厳や安全性の問題が現実化・明白化し、その弊害の大きさから全面的に禁止されるべきであるが、ガイドラインによる規制では医師や研究者のコミュニティーに属さないアウトサイダーに対しての効力が十分でないと。これらを含むあらゆる者に対して有効な法律により強制力を伴った形で網羅的に規制をすることが妥当であるとの意見が大勢を占めたということでございます。 
  一方これに対しましては、法律による規制を行わなくても十分防止できるという意見や、医師法などによる免許の取り消しなどにより対応すれば十分であり、新規の立法は必ずしも必要ないとする意見。あるいは他の生殖補助技術等の規制とのバランスを考えた規制、あるいはヒト胚等の操作全般についての規制の中で検討すべき問題だと。こういう意見もございました。 
  これらの意見につきまして生命倫理委員会に報告したところ、人クローン個体の産生は法律による禁止することが妥当との議論であり、小委員会としても、それを踏まえた上で、そのような結論を得たという案を用意してございます。 
  また、クローン技術の人への適用の規制のうち、人クローン個体の産生の禁止以外の部分についても、合わせて規制の枠組みを整備することが必要であると。人クローン胚に関する研究については、人クローン個体を産生しなければ、さっき述べたような重大な弊害をもたらすことはなく、また医療等の向上に貢献する可能性があることも否定できない。したがって、罰則を伴う法律による規制よりも医師や研究者の自主的な遵守に期待し、技術の進展や社会情勢の変化に対して適時対応が可能な、より柔軟な規制のほうが適していると考えられるが、これら人クローン胚を使う研究に対する規制の形態は、ヒト胚等を取り扱う研究について議論を行われているヒト胚研究小委員会でのさらなる検討に委ねられるべきであると結論づけております。 
  なお、人個体の産生に技術に近い一定の研究・応用については、情報公開を行いつつ進めることが重要であるため、研究の独創性や知的所有権に配慮しつつ、研究・応用に関する公表義務の設定、公表された研究・応用例が一覧できるデータベースの作成等を検討することが必要であると。規制と一体となる形でのこのような情報公開の必要性についても指摘してございます。 
  次は「規制の見直し」でございますが、中間報告では、規制の時限的規制という形で、時限という言葉を使ってございましたが、見直しという言葉に変えてございます。クローン技術に対する規制に関しては、知見が蓄積するとともに安全性についての判断も確実になっていくこと。クローン技術と人間の尊厳との関係についてさらに議論が行われること。現在、いまだ可能性の段階にあるクローン技術の応用実例が今後、畜産の分野等で具体的に提示されるようになることなどにより、将来、クローン技術に対する国民の意識や規制のあり方をめぐる状況が変化する可能性があるとしてございます。このため、知見が相当程度蓄積される期間と考えられる3年から5年後程度のうちに見直しを行うこととし、その間に規制のあり方についてさらに検討することが適切であるという評価をしてございます。 
  「細胞培養技術の適用」。今までが人個体といいますか、人への適用の部分でございましたが、細胞培養技術の適用につきましては、個体を生み出さない細胞培養・組織培養については、種々の科学的・医学的可能性が認められ、安全性の観点から慎重な検討が必要であるものの、生命の誕生に関する倫理的問題という観点からは特段の規制をする必要性は見当たらないとしています。 
  次の3.でございますが、「クローン技術の人以外の動物の個体を産生する目的のための適用」についてでございます。 
  人以外の動物の個体を産生する目的のための適用については高い有用性が認められます。また人以外の動物の保護・管理等については、現在、「動物の保護及び管理に関する法律」による規制が適用されており、クローン動物についても特別の規制ではなく、この法律が適用されると考えるべきであると。なお、動物の保護・管理のあり方そのものに対してさらに検討が必要であれば、本小委員会とは別途の場を設けて検討すべきであるという結論づけてございます。 
  また、ほ乳類のクローン個体の産生については、データベースなどによる適切な情報公開を進めることにより、社会の理解を得ていく必要があるということを指摘してございます。 
  続きまして、4.といたしまして「クローン技術以外の生命関係技術」についての記述でございます。 
  人のクローン個体の産生は、従来、人の生殖が有性生殖の過程を経て行われてきたのに対して、遺伝的に同じ個体を意図的に生み出せるものであるという点で、これまでと全く異なる人の生命誕生のあり方を開くものである。その意味で他の生命誕生にかかわる技術とは質的に異なる影響を人間社会にもたらすものであり、現時点において、人の生命誕生にかかわる他の技術とは異なる強い規制が必要であると考えられるとしてございます。 
  この点につきまして、ヒト胚性幹細胞のところで紹介したキメラ等について触れてございまして、人と動物のキメラ個体やハイブリッド個体は−−この場合のハイブリッド個体は、人と動物が交雑した胚に由来する個体としてございますが−−この産生は人間の尊厳及び安全性の問題において人クローン個体の産生を越える問題を有する行為であり、その弊害の大きさから全面的に禁止されるべきものであるとしてございます。 
  ただ、個体を生み出さない人と動物のキメラ胚、ハイブリッド胚を取り扱う研究については有用性が認められる場合が想定され得るため、その是非を含めて、さらなる検討が行われるべきだとしてございます。 
  これらの点をさらに展開してございまして、生命の誕生にかかわる技術には既に一般化した技術もあるが、今後の技術的進化により、予想を越えた技術が出現してくる可能性がございます。生殖細胞のゲノムの改変や診断の問題、他の生殖医療技術の取り扱いの問題等については、新たに得られた知見などを踏まえつつ、今後の対処の方法についてのさらなる検討が不可欠であることは明らかであるという指摘をしてございます。 
  これらの問題には、それぞれ固有の技術上、倫理上等の議論が存在することから、一概にクローン技術等に関する議論を適用できるものではなく、改めて詳細に議論を行う必要があり、生命倫理委員会等におけるさらなる検討が望まれるとしてございます。 
  第4章、特に章を設けて「情報公開」の点を指摘してございます。 
  生命に関する科学技術は、その成果が人の体や精神に直接かかわる可能性を秘めていることから、国民の間にその節度ある推進を望む声が高まっている。また、その高度化・専門化に伴い、その正確な実態が一般の国民にとって容易に理解しがたいものとなっており、例えば実際には不可能な空想科学的な事態をも直ちに現実化するかのような議論があらわれ、国民の意識に正確な情報の不足から来る不安を生ぜしめているという現状分析をしてございます。 
  その上で特にクローン技術については、人クローン個体の産生への適用が懸念されるという意味で国民の関心が高く、研究の透明性を確保することにより、その懸念に答えていく必要がある。したがって、クローン技術の適用が許容される場合においても、研究の独創性や知的所有権の経済的価値などに考慮しながら、インターネットの活用等により、情報公開を行いつつ進めることが重要だとしてございます。 
  その上で、クローン技術を用いる研究者などに対しても、みずからの行為が真に人間・社会・自然と調和しているかについて不断に省察し、その研究の内容を国民に説明する努力を行うことが求められるということで締めくくってございます。 
  以上が報告書の案でございまして、それに加える形で資料12−6といたしまして『クローン小委員会中間報告に対する意見公募への対応状況(案)』というものがございます。 
  こちらは平成10年11月の第7回のこの小委員会の会合で紹介した意見公募の結果、こちらにつきまして整理したものでございます。非常に多様な意見をいただいてございます。それらにつきましてある程度分類をいたした上で、個々の意見についての対応の状況ではなく、それらをある程度取りまとめた意見の分類、それに対してどういう形で報告書に記述されているかという整理をしてございます。 
  例えば生命倫理に対する考え方であれば、クローン問題を単独で取り上げるのはいかがなのものか、あるいはクローン技術を評価するためには、いろいろな分野での学際的研究が必要であるということについてご意見をいただいておりますが、その点については、今回、特にクローンの問題というのは研究は急激に進みつつあり、また人クローン個体の産生は弊害が重大であることによって、この問題を取り上げております。ヒト胚を使う研究についてはヒト胚研究小委員会等で検討中であり、そちらで検討していくと。こういった対応状況を整理してございます。 
  個々の説明は割愛させていただきますが、報告書との対比で、どういう記述になっているかということを紹介してございます。 
  以上、簡単ではございますが、説明を終わります。 
(岡田委員長) 
  どうもありがとうございました。この『クローン技術による人個体の産生等に関する基本的考え方』についてですが−−これは、この委員会の前に既に各委員の方々にお送りしてあって、皆さんも読んでいただいておることだろうと思います。私としてはこれで大体妥当なところがまとまっておると思っておりますけれども、個々のところでいろいろなご意見を、これからお聞かせいただければいいと思います。 
  それで、事務局のほうで中間報告との変更点を資料12−5でまとめてありますので、これも対応しながら少し進めていけるとありがたいと思います。 
  まず、表題が『クローン技術に関する基本的考え方について』というのが中間報告で、今度の報告案は『クローン技術による人個体の産生等に関する基本的考え方』という非常に具体的なものにしてあります。そこから始まって、「はじめに」というところでは、中間報告以後の進展について事実関係を中心に書いてもらっておりまして、第1章のところで少し詳しくその点が書かれているというところですが、第1章のところで何かコメントはございますでしょうか。 
(横内委員) 
  ちょっとよろしいですか。2ページの中ほどの「ほ乳類における」という段落がございますが。 
(岡田委員長) 
  「ほ乳類……の核移植による」とかというところですね。 
(横内委員) 
  そうです。「初期胚の細胞核の核移植」という段落です。この段落は初期胚によるクローンについて述べているわけです。ところが、その最後の2行ぐらいが体細胞クローンになっていますね。体細胞クローンは、その後の「前述のドリーの場合は……」という段落に含まれるわけですから、段落を切っていただきたいと思います。つまり、初期胚の部分と体細胞の部分をきちんと仕分けておいていただきたいと思います。 
(岡田委員長) 
  ここのところはそうですね。 
(横内委員) 
  具体的に言いますと、5行目の「ものである。」で体言どめしてもらって、その後は体細胞のほうに移してもらうということでよろしくお願いしたいと思います。 
(岡田委員長) 
  ここのところは横内委員がおっしゃっているような形ではっきりさせておく必要がありますね。ここのところは幾つかダブっているところもあるようだし、少しまとめ方を変えたほうがいいかもしれないな。 
  それから、そこら辺のあたりのところで読んでちょっと気になったのは、ガードンの仕事は、多分一番早いのは1963年だと思うんだけれどもな。それで、63年からレポートがずっとつながってきてたと思うので、この「昭和45年には」という格好ではっきり書かんでもいいな。「40年以上前にあった」であったやっておいたほうが、これは……。非常にはっきり書くと、それより前にレポートがあったよと文句を言われるから。 
(事務局) 
  はい、わかりました。 
(岡田委員長) 
  だから、ここのところは横内委員のおっしゃったような初期胚のクローンというのと、それから体細胞のクローンという形ではっきりするような格好で、少し直しておいたほうがいいですね。 
(青木委員) 
  ちょっといいですか。ほ乳類を一般に使っていますね。ほ乳類は人間もほ乳類なんですね。ほ乳類というのは非常に広い範囲の動物なんですね。2ページの文章で、ここで使っているのはいいんですが、後のほうで出てくるときに、ほ乳類には霊長類、サルも全部入ってくるわけですね。この辺は気をつけないと、例えば2ページで使っているほ乳類は、これは間違いではないとは思うんです。ひっくるめた言い方で。後のほうで13ページに出てくるほ乳類になってくると、霊長類とかそういうものまで入ってきちゃうわけですね。このほ乳類という言葉でくくると。その辺のくくり方は気をつけておかないと。 
(岡田委員長) 
  それはそうですね。 
(青木委員) 
  生物学的な問題になるようですけれども、ちょっと……。 
(岡田委員長) 
  では、これはちゃんとチェックします。 
  大体、第1章の辺は非常に問題になるというところはないように思いますが、第2章というところで、ページ6から……。どうぞ。 
(位田委員) 
  3ページの「フランスにおいては」という段落で、この委員会の名前は「生命科学と医療」ではなくて「健康科学」だと思います。英語で言うとヘルスですので、「生命科学及び健康科学のための国家倫理諮問委員会」です。 
(岡田委員長) 
  「生命科学及び健康科学」? 
(位田委員) 
  もしくは「生命・健康科学」でもいいと思うんですけれども。あまり長くなるようなら。 
(岡田委員長) 
  はい、わかりました。 
  それでは第2章に移りたいんですが、第2章は6ページからですね。ここでは、クローン技術によるヒト胚の作成及び人個体の産生の項に安全性に関する記述とクローン胚に関する記述を、少しそれからのいろいろな報告との関係でくっつけてあるということと、7ページの「胚性幹細胞の取り扱い」というところでは、人におけるES細胞の確立等の記述を追加して、またキメラの記述も追加してあるということになっております。 
  ここの第2章についてコメントはございませんか。 
(横内委員) 
  ちょっといいですか。7ページで気になりますのは、上から7行目ぐらいの「テロメアが短い」ということ、それから9ページでも使っていますね。クローンのテロメアが短いかどうかというのはまさに研究が始まったばっかりなんですよね。それで、きちんとした定説ができ上がっているという段階まで至ってないと思われますので、あまりはっきりここまで書いていいのかどうか、これはちょっと気になります。 
  それから別の話として、(2)(3)ですが、最後の「有用性はあると評価される」、あるいは(3)では「有用性はないと評価される」となっているんですけれども、主語は一体何かという観点で見ていくと、この文章の中に主語が出てこないんですよね。ですから、ここのところはきちんと主語を明確にした文章にするべきではないかと思います。 
  以上です。 
(青木委員) 
  最初の7ページのテロメアのところはよろしいんじゃないんですか。 
(岡田委員長) 
  テロメアの、ここのところはどうしましょうか。 
(青木委員) 
  この文章はよろしいんじゃないでしょうか。 
(岡田委員長) 
  また、わからないわけですね。わからないと書いてあるわけですね。 
(青木委員) 
  はい。 
(横内委員) 
  9ページのほうと合わせて読むと、これは「テロメアは短い」というところが、言ってみれば安全性はまだわからないと読まれる恐れがあります。そして、10ページの上から10行目あたりの「前述したような安全性に関する問題が生じる可能性を否定できない」という部分で、この「前述のような」というのは何を指すかと考えたとき、このテロメアのことを頭に置いて読まれるとすれば、そのテロメアの短縮のところが書き過ぎかもしれないと思った次第であります。 
(岡田委員長) 
  いや、ちょっと読み過ぎじゃないかと思いますけれどもね。これも1つのファクターとして、そのデータを言っている人たちが確かにいるわけで、それがどうかということはわからんけれども、そういう話があるということだから、それが安全性のところに引っかかると。安全性が最も大変な問題があるわけですね。牛のクローンで、あれだけ何で死ぬんだ?  という問題を含めて、やはり横で見ているとわからないことだらけだなというのがあると思いますけれどもね。で、それはテロメアとはだれも思ってないんじゃないかな。 
  それならいいんじゃないですか。分野として非常に気にされるということはあるかもしれないけれども、これは人のクローン個体の問題としての安全性を書いてあるわけで、決して家畜のほうはどんどんやりなさいということにしてあるわけです。だから、それはそういう理解にしてください。 
  それで、第3章のところがキーポイントになってくると思いますので、第3章というと、ページ9からになるわけですね。 
(事務局) 
  先ほどご指摘のあった主語の件について一言だけご説明をしておいてよろしいでしょうか。 
  何カ所かございますが、確かに(2)の「細胞培養」のところで「有用性があると評価される」というのも主語が飛んでございますが、これは実は2行目の「しかしながら、細胞培養技術は……有用性があると評価される」となっています。それが明確化できるように工夫はしたいと思います。 
  それから「胚性幹細胞の取り扱い」のところでございますが、こちらにつきましては、「ヒト胚性幹細胞を適切に培養して適度に分化させれば」ということで確かに1つの文というか、句にしてしまって、有用性の主語が明確でございませんので、ヒト胚性幹細胞に関する有用性だということを明示できるようにしたいと思います。 
  最後の7ページの「有用性はないと評価される」という件につきましては、これは人と動物のキメラ個体の産生、こちらは有用性はないということでございます。 
(岡田委員長) 
  3章というところになりますと、3章のところは、どのぐらいつけ加えられたりしているかというのは、まとめの2ページに書いてあります。 
  9ページの1)の「人間の尊厳の侵害」の部分で記述を整理したり、追加してあります。 
  それから、10ページの(3)の人クローン胚の作成・使用についての規制という項を追加してありまして、人クローン胚の段階での問題や有用性を紹介した上で、ヒト胚小委員会での検討に委ねる旨の記述をしてありまして、最後に東京農業大学の今度の件につきましても、それに配慮して具体的な記述を追加してあるということであります。 
  それから、ページ11の(7)の「規制の形態」におきましては、人クローン個体産生の部分については法律で禁止するという大勢を占めた意見と異論についての整理をしてありまして、その上で生命倫理委員会での議論を踏まえて、小委員会としても法律で禁止するとの結論を書いてあります。合わせて、個体産生以外の研究の部分も規制する必要性が指摘されてありまして、クローン技術の人への適用全体を規制できるように配慮したという文章になっております。 
  13ページの「クローン技術以外の生命関係技術」におきましては、キメラ、ハイブリッドの個体産生を禁止する旨の記述をここに追加してあるということであります。 
  そういう格好でまとめてございますけれども、ご意見をお聞かさせください。 
(木勝島委員) 
  まず第1点、11ページ(6)の「規制の対象」というところで、これは非常に細かいことですが、上から4行目の「人以外の動物の除核未受精卵に核移植して」の後なんですけれども、こういうものを人クローン胚と言うのかどうか、ちょっとわからないところがあるので、10ページと全く同じ表現で、下から3行目から2行目にかけて「人の体細胞核を動物の卵等に移植して」、その後は「新たに胚を生み出す研究」と書いてあるので、この11ページの4行目もそれに合わせて「除核未受精卵に核移植して、新たに胚を作成し」と。この「人クローン」を削って「新たに」としたほうが10ページの表現と合いますし、人の体細胞の核を牛の卵に入れてできたものが人の胚かどうかというのは生物学的には興味がありますが、そこに突っ込むと面倒だと思いますので、そういうふうに改めたらいかがでしょうか。 
(岡田委員長) 
  ちょっとそこでストップしましょう。今、木勝島委員がおっしゃったような格好にまとめたほうが形としては整合性がありますか。どうでしょうか。少し表現がバラバラになっているかもしれないから、そこのところは整合性を取りますか。 
(事務局) 
  はい、修正します。 
(岡田委員長) 
  じゃ、どうぞ。続きを。 
(木勝島委員) 
  もう一つは大きい意見でございます。それについては長い文章を口で言うのもわかりにくいかと思いましたので、メモを出させていただきまして、お手元にお配りいただいています。 
  この文章の中で1、2、3、4と四点書きましたが、まず今申し上げた字句修正は2として書きましたことですので、これについてはもう申し上げました。 
  それから1番目の表題についての提案は取り下げさせていただきます。表題については今のままで結構だと思います。理由は、この報告書がクローン個体は禁止であるというところだけ明確な結論が出ておりますので、その内容をよくあらわした表題だと思いますので、今のままで、『クローン技術による人個体の産生等に関する基本的考え方』のほうがふさわしいと思います。 
  以上、細かいことでしたが、私が今日一番申し上げたかったのは、12ページの問題です。4と書きましたことについて申し上げます。 
  12ページの第2段落から第4段落。12ページの「その結果……大勢を占めた」、これを第1段落とします。ちょっと上に1行はみ出てきていますが、「その結果……大勢を占めた」が第1段落で、第2段落以降を、メモにお示ししたように書き換えていただけないでしょうか。 
  といいますのは、次の4行に書かれている併記意見、「一方これに対して……意見もあった」と。この中に4つ併記された意見がありますが、そのうちの前2つは特に何もしなくてもいいんではないかという消極的意見です。つまりガイドラインでいいとか、医師法でいいとか、その前2つと後ろの2つ、ほかの生殖技術の規制とのバランス、ヒト胚等の操作全般についての中で検討せよと、これは質的に異なる意見でありまして、前の2つは別に何もしなくてもいいんではないかという意見、後ろの2つは、もっと広い文脈でもっと厳しく考えなきゃいけないんじゃないかという意見です。この2つは切り離して、まずは必ずしも必要ないとする意見という前の2つのところで切っていただいて、それもあったが、「それらは小委員会の大勢とはならなかった」と言っていただければと思います。 
  その次ですけれども、「ヒト胚等の操作全般についての規制の中で検討すべきであるとの意見もあった」と書かれながら、次に、人クローンの法律による禁止という結論に一本化してしまうという2行が入りますと、ヒト胚等の操作全般についての規制の中で検討すべきであるという意見を却下したことになってしまうと思うんですね。ところが、その次の段で、「また、クローン技術の人への適用の規制のうち」の後で、「人クローン胚に関する研究については」というのをずっと見ていくと、ヒト胚研究小委員会で検討しろと言っている。ということは、この併記された最後の意見、ヒト胚等の操作全般についての規制の中で検討すべきであるというところを一部取り入れている意見になっているわけですから、これはぜひ生かしていただきたい。 
  ですから、ヒト胚等の操作全般についての規制の中で検討すべきであるとの意見もあった。それは多数意見にはならなかったけれども、人クローン個体を禁止するだけではなくて、ほかのこともあるのでヒト胚研究小委員会にさらに委ねるべきであると。こう続けていただいほうが文章としてはすっきりするのではないかと思います。 
  この報告書の結論としては、法律による禁止で大勢を占めたと。私はこれで十分だと思います。12ページの第3段落、今度改めて挿入された2行ですけれども、「これらの意見について、生命倫理委員会に報告したところ……妥当との議論であり、小委員会としてもそのような結論を得た」と。この2行は私は削除していただきたいと思います。といいますのは、7月の合同委員会では異論併記ということで合意したと思いますが、それについて大きな変化はないと考えてます。それから、生命倫理委員会がそういう意見だったから、小委員会もそれに合わせようという、この書き方は私は非常におかしいと思うんです。生命倫理委員会の意見がそうだから、小委員会もそうするというんだったら、小委員会なんて必要ないわけですから、この2行はなくていいのではないでしょうか。 
  そうしますと、この4のところにまとめさせていただきましたような文章でつなげていただければ、小委員会としての結論も出て、併記意見のうち、それを一部取り入れられるような問題の膨らみもあったということで、検討すべき問題はまだほかにもたくさんあったので、そっちは別にちゃんとやろうと、そういう報告書の流れが明確になると思います。 
  以上です。 
(岡田委員長) 
  そうすると、そこら辺をあなたの文章としては、どう書きかえていいのか、少し話をして下さい。 
(木勝島委員) 
  はい、読み上げさせていただきます。12ページ、「意見が大勢を占めた」というところまでは同じです。 
(岡田委員長) 
  どれを見たらいいのですか……。 
(木勝島委員) 
  4番です。 
(岡田委員長) 
  読んでください。 
(木勝島委員) 
  はい、読み上げます。こうしていただければと思います。 
「一方これに対して、法律による規制を行わなくても十分防止できるとの意見や、医師法等による免許の取り消し等により対応すれば十分であり新規の立法は必ずしも必要ないとする意見もあったが、小委員会の大勢とはならなかった。 
  また、他の生殖補助技術等の規制とのバランスを考えた規制や、ヒト胚等の操作全般についての規制の中で検討すべきであるとの意見もあった。これらも小委員会の大勢とはならなかったが、クローン技術の人への適用の規制のうち人クローン個体の産生の禁止以外の部分についても、あわせて規制の枠組みの整備をすることが必要である。人クローン胚に関する研究については」 
  ここは10ページや11ページの記述と合わせて、 
「人の体細胞核を動物の卵等に移植して新たに胚を生み出す研究も含めて」 
  という1文を入れていただければ、11ページと同じ表現で整合性が取れると思います。 
以下続けて、「研究も含めて、人クローン個体を産生しなければ、(1)で述べるような重大な弊害をもらたすことはなく」 
  以下ずっと同文で、 
「より柔軟な規制の方が適していると考えられるが、これら人クローン胚等を扱う研究に対する規制の内容や形態は」 
  内容についての議論はまだ結論が出ていませんから、「内容」という言葉を入れていただければと思います。 
「規制の内容や形態は、人胚等を取り扱う研究について議論が行われているヒト胚研究小委員会でのさらなる検討にゆだねられるべきである」 
  以上のように変えていただければということです。 
(岡田委員長) 
  どうもありがとうございました。 
(事務局) 
  1点、木勝島先生からご説明の中で、少し私どもが舌足らずだと思ったところを若干補足させていただきます。 
  今、木勝島先生が削除すべきとおっしゃられた事務局で用意している「これらの意見について、生命倫理委員会に報告したところ」の2行でございますが、この文章の趣旨は、若干舌足らずでございますが、生命倫理委員会に基本的な考えを示して議論していただいて、その結果を受けたと。それを踏まえて小委員会として議論して、こういう結論を得たと準備したところでございまして、決して生命倫理委員会で意見が出たから、そのまま小委員会として直ちにそれを受け入れるということではなくて、あくまで本日のこのご議論でもって、そういう結論を出すかどうかということについてご意見をいただければという趣旨でございます。 
(岡田委員長) 
  倫理委員会との関係のことで少し誤解があると私は思います。この文章のことではなくて、その前の話で。 
  小委員会での報告を生命倫理委員会に提出しますよと。そのときに、法規制という格好のことで認めていただいたから出したんです。併記じゃなくて、少数意見があるというのを、それにもかかわらず、やはり書いておいたほうが、いろいろな意見もあったからいいだろうと思って書いたわけで、これは併記ではないんですよ、実は。ですから、提出したときには、小委員会としては法規制が妥当であるという形の報告になっているわけです。ですから、そこは誤解ないように。 
(木勝島委員) 
  今、委員長がおっしゃったことが7月末の合同会議での、この小委員会の結論と9月の生命倫理委員会で出した結論ということであれば、7月の末に私はそういう合意をした覚えは一切ありません。異論併記という形で、多数意見に付けられていたあの四角囲いを私は外せと言ったはずで、それは外せないというから、じゃ、丸ポチになって差別はされているけれども、こういう意見もあったから、複数の政策オプション(選択肢)を示した上で、上の生命倫理委員会で決めてもらえばいいではないかということに合意したのであって、この小委員会が法律で人クローン個体を禁止するという結論に一本化することについて私は合意しませんでした。その点は誤解がないように。 
(岡田委員長) 
  木勝島さんが合意しなかっただけかもしれんけれどもね。 
(木勝島委員) 
  私だけかどうかということも明らかではありません。 
(岡田委員長) 
  だから、これは僕のはっきりした意見で言いますけれども、僕はそういう意味で出したと理解してください。 
(木勝島委員) 
  それは委員長の個人的なお考えですね。 
(岡田委員長) 
  個人的ではありません。そのときに全部の方に意見を聞きましたよ。それはあなたの誤解です。 
(勝木委員) 
  今の事実関係のこととは別なんですが、この趣旨としまして、基本的に人クローン個体の作成について法律で禁止するという方向については、私も、その方向でよいと思います。ただ、その議論の過程がどうであったかということは重要になってくると思うんです。私は、法律で規制することは必ずしも賛成ではなかったんですが、この間の議論の中で私は了解したつもりでおりました。 
(岡田委員長) 
  してもらったと理解しております。 
(勝木委員) 
  私自身はそう思いますが、しかし、重要なことは、それの議論についての理由づけということは非常に重要になると思っています。したがって、それにまつわる理由が随分書いてございまして、この2行は、むしろ木勝島先生がおっしゃった意味で言いますと、生命倫理委員会の指示に基づいて、テクニカルにここにもう一度返って来て、議論したような印象を与えますし、むしろ、この小委員会の提案したということが弱くなるような気がいたしますので、むしろこれは削除したほうがいいかと。 
(岡田委員長) 
  それはよくわかっているんです。今僕が言ったのは、木勝島さんの最初のほうのことに関しての理解の仕方が違っているということを言いたかったことであって、この文章のところは、こういう形のほうがいいかな。どうですか。何か事務局でまとめてもらった文章は非常にうまく走らんのだな。僕の感じだと、木勝島さんが今提案されたような文章のほうが流れはいいかと思ったんだけれども、どうでしょうね。ここら辺はちょっと聞かせてください。これは相当大切なところだと思います。この報告書としての。ほかにもっとうまい表現があるとすれば、お話ししてください。 
(勝木委員) 
  今の岡田先生のに私も賛成するという意味でございまして、初めにファックスをいただきましたときも、ここだけが何かわざわざ取ってつけたように、先ほどの木勝島先生がおっしゃったようなことを思い出させているようなことが書いてありますから、それは全体を見通してはあまり必要ではないような気がしますし、最初の木勝島先生の事実関係について行き違いについては私にもあるんですが、結果としては、ここをそういうふうにすれば十分よろしいんではないかと思います。 
(岡田委員長) 
  もう一回、僕自身が読んでみようか。 
「一方これに対して、法律による規制を行わなくても十分防止できるとの意見や、医師法等による免許の取り消し等により対応すれば十分であり新規の立法は必ずしも必要ないとする意見もあったが、小委員会の大勢とはならなかった。 
  また、他の生殖補助技術等の規制とのバランスを考えた規制や、ヒト胚等の操作全般についての規制の中で検討すべきであるとの意見もあった。これらも小委員会の大勢とはならなかったが、クローン技術の人への適用の規制のうち人クローン個体の産生の禁止以外の部分についても、あわせて規制の枠組みの整備をすることが必要である。人クローン胚に関する研究については、人の体細胞核を動物の卵等に移植して新たに胚を生み出す研究も含めて、人クローン個体を産生しなければ(……以下そのまま……)より柔軟な規制の方が適していると考えられるが、これら人クローン胚等を扱う研究に対する規制の内容や形態は(……)ヒト胚研究小委員会でのさらなる検討にゆだねられるべきである」 
  というような文章のようですがね。どうかな。 
(事務局) 
  1点、事務局の希望といたしまして、確かに木勝島先生のおっしゃるように4つの意見を2つに分けるというのは確かに正確だと思いますので、そういうことはできると思いますが、ただ、「大勢を占めた」と決めてしまいますと、小委員会としての結論はどうだったかが非常に気になりまして、どこかで「結論を得た」ということをぜひ入れていただきたいと思っています。 
(岡田委員長) 
  そうしてください。どこへ入れましょうか。 
(事務局) 
  例えば1つの修文といたしましては、今の2行の部分ですが、生命倫理委員会云々を落としまして、「これらの意見についてさらに議論した結果、小委員会として、人クローン産生は法律による規制が妥当との結論を得た」というような1文をきちんと入れてしないと、果たして結論がどうなったかと。 
(岡田委員長) 
  そうですね。そうしないとと困りますね。 
(木勝島委員) 
  その2行をどこに入れるかで、私が今提案して、委員長にも賛同をいただいた文章の流れが切れてしまいますから、そう言うのであれば、第1段落のほうで最後に「大勢を占めた」ということではなくて、「妥当であるとの結論を得た」でよろしいのではないでしょうか。その2行をどこかに突っ込むと、委員長の賛同をいただいた流れがまた切れてしまうので。 
(位田委員) 
  論理的に考えますと、「その結果」という12ページの一番最初の段落は多数意見が書いてありまして、「一方これに対して」ですから、そこに4つ並べてある意見は、これは少数意見であるということが明確になります。確かに木勝島さんのおっしゃるように最初の2つと後ろの2つは違うかもしれませんけれども、しかし、後ろの2つもクローンだけを取り出して規制するべきではないという否定的な意見をも含んでおります。したがって、「一方これに対して」というのは、クローン個体の産生について法律による規制をするべきではないという意見と、クローンだけを取り出してやるべきではないという2つの否定的意見、しかし、これは少数意見であったということが論理的にははっきりしていると思います。 
  ただし、そのバランスを考えた規制もしくはヒト胚についての全般的な規制については、これはヒト胚小委員会のほうにも関係しているわけですから、もう一度、これら後ろ2つの規制をどこかに、木勝島さんがおっしゃるような形で、「また」以下のところに入れ込んで、「他の生殖補助技術等の規制とのバランスや、ヒト胚等の操作全般についての規制に関しては」という形で後ろに続けるというのが妥当ではないかと思います。 
  ただ、もう一点、「その結果」というのが「大勢を占めた」ということで段落が締めくくってありますので、「一方これに対して」というのは、そこの段落は少数意見であるということがはっきりしておりますが、木勝島さんのように「小委員会の大勢とはならなかった」という文言を2度も入れますと、非常に文章としては美しくないと思います。 
(岡田委員長) 
  ここは一番大切なところですね。 
(町野委員) 
  文章を美しくするのは、おそらく事務局の方がやってくださると思いますけれども、その2行の「これらの意見について」というところは、やっぱり座りが悪いという感じが私もするので、おそらく、これはあるべきなのは端書きのところにあるべきものだと。つまり、この報告書の出てくる由来ですね。その権威について、若干、端書きのところで説明をして、その中に入れ込むべきものであったと思いますので、場所を移されたらどうかというのが1つの私の提案です。 
  それから2つ目は、木勝島先生が言われるのも一応わかりますし、先ほど位田先生及び岡田委員長が言われたようなことも、それで結構じゃないかと私は思います。 
(岡田委員長) 
  どこに入れたらいいんですか、それは。 
(町野委員) 
  どの部分ですか。「これらの意見について」の2行については、端書きのほうに入れて、少し端書きを膨らませたらどうかと。 
(木勝島委員) 
  「はじめに」のところですね。 
(町野委員) 
  そうですね。 
(岡田委員長) 
  最初のところ? 
(町野委員) 
  そうです。この文書が出てきた由来を説明しなきゃいけませんから。 
(岡田委員長) 
  そうか。そういうてはありますね。どうですか。 
(木勝島委員) 
  先の合意事項のことについて、私は、この報告書の書き方でもう一つ気になるのは、法律による禁止というのは、どういう法律にして、どういう罰則を設けるのかということが、この中で何も書いてないんですよ。 
(岡田委員長) 
  それに関しては、ここの小委員会の問題ではないと。 
(木勝島委員) 
  罰則についてはですね。はい。もう一つ、どういう法律にするか。これは政策設計として非常に大事なことで、私は、人クローン個体づくりを法律で禁止することに異論はありません。ただ、人クローン個体を禁止するだけの法律を単独につくることには反対です。そのような1片の短い法律をつくるだけでは、今の日本の社会、あるいは世界が直面している問題に全く対応できないと思います。 
  で、私は位田先生にこの小委員会の合意内容についてお聞きしたいのです。人クローン個体を禁止するのは法律によるという結論は、そういう一片の単独法をつくるという意味なのでしょうか。それともそうではなく、もう少し全体を考えた上で、例えばヒト胚研究の審査体制に法的根拠を与える生命操作に関する法律というようなものを構想して、その中で禁止されるべき研究として人クローン個体をつくるような研究というふうにはめ込む。私はそれが理想だと思うんですが、その点について、この報告書の中ではどういう法律をつくるのかについて全く触れられていない点が非常に気になります。ですから、法律による禁止という結論に一本化することに私はこだわるというか、抵抗をしているわけです。その点を確認したいのです。 
(岡田委員長) 
  いや、ちょっと待って下さい。それもあなたがちゃんと今までの流れを理解していないということなんです。それはなぜかというと、町野委員が委員会をつくってくださって、法律として出したらこうだというようなものをつくられたときは、まさにあなたが今言われている、個体以外のところも、ある規制の中に放り込んでいくという1つの整合性のあることをつくってくださったわけですね。 
  ただし、ここの委員会で、後の部分、個体をつくらないという側のところは現実的に非常にいろいろな問題点があるので、だから、これからどうなるかわかりませんけれども、できることなら法規制の中に入れてほしくないと。できることならガイドラインという形の流れとして、何とかやりたいという意見が圧倒的だったと思います。僕もそう思います。 
  ですから、町野委員の案は、つくられた最初の案のほうが座りがいいという話を皆さんされておったけれども、だけれども、現実的には少しそこのところを分けられますかという質問をして、分けられないこともないであろうというようなことだったから、そうしたわけでね。それで、そこの中には非常な現実的な問題点があって、その現実的な問題というのが同じ方向の話じゃないと思っています。ここの委員の中で、ある方はこっちからのためにそこのところを何とか緩くしたいという方で、逆さまのことで問題を提起したいという方とが混ざっていると思いますけれども、とにかくそれはそれとして、町野委員がつくられた中の個体というところだけは法規制という形をとるけれども、ほかのところはちゃんとやりましょうよと。ここの文章にも書くようにやろうということになっているんで、そこら辺はどうも木勝島さんの意見はあまりよくわかりません。 
(木勝島委員) 
  委員長の整理はよく理解できましたので、位田先生がどうお考えなのかをお聞きしたいのです。 
(位田委員) 
  私は基本的には、例えば生命倫理法なら生命倫理法、もしくは生命科学法などでもいいですけれども、全体を規律するような、規制だけではなくて推進するべきところは推進し、規制するべきところは規制するような全般的な法律をつくれれば、それが理想だと私は思います。しかし、それは現実を見ると理想であって、今回の問題については、私個人の考え方としては、人クローン個体の産生を禁止するという部分だけを取り出して、とりあえずは法律で禁止するというのが妥当だと思っています。 
  単なる一片のとおっしゃいましたでしょうか、単なる一片の法律というのがどういうことをおっしゃりたいのかよくわかりませんが、法律には例えば民法とか刑法とかのように非常に一般的な法律と非常に細かい特別法もありますので、人クローン個体の産生だけを禁止するという法律をつくっても、それを一片の法律と言われてしまうと私も何とも申し上げようがないんですが、それは1つの特別法として機能すると思います。中身をどう書くかというのは、これからの、立法作業の話かと思いますので、この委員会に与えられたマンデートというのは何をどういう形で規制するかという話でして、実際に法律をつくる場合には、我々の委員会がまた意見を求められるかどうかちょっとよくわかりませんけれども、遺伝子研究をなさっている方もしくは人クローンの問題にかかわるような研究をなさっている方の意見を求めて、そして妥当な内容の法律がつくられると私は思っております。 
(武田委員) 
  先生、木勝島委員の書いていることについて、ちょっとご質問をよろしいですか。 
(岡田委員長) 
  そうですね。先生に発言をしてもらわないといけないと実は思っていました。 
(武田委員) 
  実は、4のところの最初に2つを分けるということですね。これは私も分けたほうが非常に論理的に明確になろうかと思うんですが、最後の4行目に書いてございます「人の体細胞核を動物の卵等に移植して新たに胚を生み出す研究」と書いてございますね。これはハイブリッド胚を意味しているんでしょうか。もしそうだといたしますと、これはキメラ胚、ハイブリッド胚という今まで同じ同格に議論してきたように思いますね。そのことは、それから1ページ後の「クローン技術以外の生命関係技術」というところにまとめて書いてございます。だから、整合性を取る意味から、ここの木勝島先生がさし込まれた、私が読み上げた部分は、むしろここにはないほうがすっきりするのではないかということなんですが、いかがでしょうか。 
(木勝島委員) 
  これは10ページにある表現をそのまま使っただけです。私が念頭に置いていたのは、今度の東京農大のケースのような核移植研究のことです。ですから正確に言えば、人以外の動物の脱核未受精卵というふうに言うべきであると思います。ただ、10ページには、こういう短縮した表現が使われていましたので、そのほうが文章がずらずら長くならなくていいかなと思っただけです。 
(武田委員) 
  除核未受精卵というのと普通の未受精卵とははっきり区別すべきだと思うんですね。 
(木勝島委員) 
  おっしゃるとおりだと思います。 
(武田委員) 
  ここでは、これを除外していただいて、最後にございますから、そこでまとめて記述されているほうが非常にはっきりするような感じがいたします。 
(木勝島委員) 
  人クローン胚だけではなくて異種間での人と人以外の動物での核移植研究の規制のあり方もヒト胚小委員会に委ねられるということを、ここで合意していただけるのであれば、ここの文言についてはこだわりません。 
(岡田委員長) 
  やらんといけないようになるでしょうね。東農大の話もあるわけですからね。 
  それでは、一番大切なところをもうちょっと。町野委員のほうから、法規制というのを最初のところは入ったらどうかと。 
(町野委員) 
  いやいや、法規制ではなくて、生命倫理委員会ですか、それとの関係のことだけを端書きのほうに移したらどうかと。 
(岡田委員長) 
  何かここら辺をまとめるにはどうしたらいいですか。 
(町野委員) 
  いや、これは事務的におそらくできることです。 
(勝木委員) 
  生命倫理委員会のことを書く必要がありますか。 
(町野委員) 
  いや、そういうことではありませんで。 
(勝木委員) 
  むしろ結論がなかったということですよね。 
(町野委員) 
  この報告書のバックグラウンドの説明としての文章ですから、それでしたら、「はじめに」のほうに。 
(勝木委員) 
  町野先生がおっしゃる意味では、生命倫理委員会から委託されて、これを議論して、こういう結論を得たと。その後に続く理由によって、そうだというのを初めに書けと。こういうことですね。 
(町野委員) 
  文章を今、こしらえろと言われるとちょっときついんですけれども、そもそもというあれで、この審議の過程で何回か議論してきて、それで中間報告を出し、それからさらにいろいろ議論した末、一応、このような意見をもって生命倫理委員会にも報告したと。生命倫理委員会はこのような意見だったと。そしてさらに、この委員会は再度、会を開いて、このような意見を取りまとめたというような経緯を書くだけで私はいいんじゃないかと思います。 
(勝木委員) 
  内容ではなくて。 
(岡田委員長) 
  それがいいかもしれませんね。ここ、12ページのところに言うよりも。 
(永井委員) 
  ちょっとよろしいでしょうか。10ページの(2)の「クローン技術の人個体の産生への適用についての規制」のところですが、この項目の下から4行目ですか、段落があって、「人クローン個体が誕生した場合には個人として尊重されることは当然であるが」と書いてありますが、これは規制しようとしているのに、どうして誕生した場合には尊重すると、あらためてこの言葉を加えているのか。言っていることが何となく整合性を欠いているといった感じを与える。このままでもいいんだと思いますけれども、文章として、ここら辺はもう少し手を入れたほうがいいのではないかという感じがします。ここの点はどうなんでしょうか。なぜ、この表現がここに入ったのか、理由がわからないのですが。 
(町野委員) 
  意見といいますか、これが出てきた経緯というのは、一番最初のときからありまして、このように規制をすることによって出生してしまったクローン人間について、やっぱり人権を。これは人ではないとか、そういうような事態を避けなければいけないということがありまして、それは共通の合意事項だったわけですね。だから、そこからスタートしたわけで、この場所にあるのが座りがいいかはまた別といたしまして、理屈としては、これは当然のことだと思います。強姦をしてはいけませんけれども、そうかといって、強姦によって生まれた子供は殺せというわけにはいかないということですよね。それはやはり人として生まれた以上、尊重される権利を当然持っていることだろうと思います。 
(岡田委員長) 
  どこかでこういうものを表現しておくべきこともあるだろうし、置くところが、ここぐらいしかないかもしれんね。 
(永井委員) 
  法的に規制されていても、だれかがクローン人間をつくってしまった場合、既成事実だから、これはこれで尊重していくべきであると切っちゃうんですか。そこら辺が何となくわからないんですね。 
(位田委員) 
  「禁止したにもかかわらず、人クローン個体が」という言い方を前におく、つまり頭にワンフレーズをつければいいんじゃないかと思います。そうじゃないと、生まれたらという、ただ単に一般的なことで。 
(永井委員) 
  そんなことで、誤解の生じないようにもう少し手を入れればより良いのでは、と思います。 
(岡田委員長) 
  何かいい形容詞を考えますか。そうすると、少し座りがよくなる。 
(事務局) 
  1つの提案でございますが、頭に来ると唐突でございますので、この文を後ろに持っていって、「クローン技術の人個体産生への適用については……人クローン個体の産生を禁止することは妥当である」と。「なお禁止された場合に、人クローン個体が誕生した場合」とか、そういった形で続けることは考えられると思いますので、ちょっと文章を考えます。 
(岡田委員長) 
  その辺はちょっと、そういう趣旨で直しましょう。 
(位田委員) 
  もう一つよろしいですか。またもとに戻すような感じになりますけれども、先ほどから問題になっている2行、生命倫理委員会と小委員会の関係なんですけれども、要するに12ページの先程のところなんですが、端書きか前書きのところに、そういう経過を入れるとしますと、小委員会がどういう結論を出したかというのが少しあいまいになってしまうんではないかという気がするんですね。つまり、生命倫理委員会に報告したと。その後もう何回か会議を開いて、小委員会としては以下のような結論を得たということなんですけれども、結論としては、人クローン個体の産生を法律により禁止することであるという点は、どこかで書いておかないといけないと。 
(岡田委員長) 
  どこに書いたらいいですかね。 
(位田委員) 
  ここにポンと出てくるとなかなか難しいんですけれども。しかし、もしそれを書かないと、法律によるという意見が大勢であって、それ以外の少数意見もあったという形にしかならなくて、委員長が生命倫理委員会に報告されたように、小委員会としては法律によるのがいいんですよ、という結論が少しわかりにくくなってしまうんではないかと。それを仮に前書きのほうに書くとすれば、小委員会としては法律により禁止することが妥当であるという結論を得たとはっきり書く。そして、その中身ないしは理由については以下のとおりである、という書き方であれば、それでもいいとは思いますけれども。 
(岡田委員長) 
  前書きにでも書きますか。はい、どうぞ。 
(豊島委員) 
  木勝島先生の先ほどの提案のところですけれども、この提案の分け方というのは、わりと受け入れやすいと思うんですね。それで、その後ろのほうで、「人クローン個体を産生しなければ(……)より柔軟な規制の方が適していると考えられるが」と書いてありますが、この「が」は要らないというか、「考えられる」で一度切って、その後に、「以上の議論を踏まえて、人クローン個体の産生は法律による禁止することが妥当との小委員会の結論を得た」と。引き続いて、その後ろに「人クローン個体を産生しなければ(……以下そのまま……)」と続けていくと。そういう形にすると、少数意見も踏まえて議論した上でどうしたかということになると思うんです。 
(岡田委員長) 
  そうか。それでつながりますか。 
(豊島委員) 
  どこかではっきりしておかないと、また生命倫理委員会というのが行ったり来たりするから、非常にまずいです。 
(高久委員) 
  私は、前書きではなくて、「意見もあったが」に続いて、「小委員会として人クローン個体の産生は法律で禁止するという結論になった」と続けたほうがいいと思います。この場で書かないとおかしいと思います。いろいろな議論があったけれども、最終的には法律により禁止することが妥当であるという結論に達したという事を、ここに書かないとおかしいのではないでしょうか。 
(岡田委員長) 
  12ページの4行目のところですね。 
(高久委員) 
  はい。 
(岡田委員長) 
  ここが座りのいいところですね。 
(高久委員) 
  先ほどの議論にもありましたように、生命倫理委員会の報告したところという部分は外してしまえば。ここに書かないとおかしいと思います。前書きに入れるにしてもですね。 
(管野(覚)委員) 
  今のご意見に私も賛成で、ここではっきり入れておかないと、木勝島先生がおっしゃっるようなつながっていく書き方ですと、全体的な規制をやるという未練をただ残しだけという形のつながりぐあいになっていくんで、一たんここではっきり切って、そして「また」とここで一応区別したのでありますから、「また」で新たに始めたほうが自然だと思うんですけれども。未練は残ってはいるんだろうと思うんですけれども、そこのところを。 
(岡田委員長) 
  だから、そういう流れからいくと、その次のところの段落の「これらの意見について、生命倫理委員会に報告したところ」と。これは取ってしまっていいわけですな。 
(事務局) 
  確認させていただきますと、まず、「その結果」の段落、「一方これに対して」の段落があり、「これらの意見について」、さらに議論した結果、人クローン個体の産生は法律により禁止することが妥当との小委員会の結論を得たという文章がと。 
(木勝島委員) 
  そういうことであれば、何度も言っていますけれども、第1段落で「意見が大勢を占めた」というようなあいまいな書き方をせずに、「妥当であるとの結論を小委員会は得た」でいいんじゃないんですか。最初のほうに言ってしまって、後でこういう意見もあったけれども大勢にならなかったと。まず2つの意見を出してもらって、で、4つの併記意見はやっぱり私は2つに切っていただきたいと思うんです。そうすれば、このまま私が先ほど読み上げさせていただいたような文章で続けられるのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。 
(岡田委員長) 
  大体、そんな格好でいいですな。そうしましょうか。 
(事務局) 
  すみません。ちょっと1点だけ。今の点に関しまして、「一方」についてを2つの段落に分けるのはぜひそうします。それは確かに違うことですので、分ければいいと思うんですが、ただ、「これらの意見について」というのを入れないと、議論の経過が狂ってしまいまして、まさに管野先生あるいは高久先生がご指摘されたように、大勢を占めて、別な意見もあって、それらを踏まえて最終的にこういう結論を出したと。その上で、個体産生だけではなくて研究のところも合わせて議論していくことが必要だと。ちょっと別な流れで、そこを全部、木勝島先生がおっしゃったようにくっつけてしまうと、ちょっと意味合いが−−木勝島先生のご提案の中にあったように、必ずしもこの委員会では受け入れられなかった部分も含めて流れてしまうことになると思いますので、そこは一たん切って、今、高久先生、管野先生からご指摘のあった形のほうが、事務局としては僣越でございますけれども、議論を反映した文章になると思いますが。 
(岡田委員長) 
  いや、今のような格好にしましょう。大体それでいいですね。どうもありがとうございました。 
  ここが一番、何とかまとめておきたいところでして、これで大体、格好ができましたので、こういう形で次の生命倫理委員会のほうに報告するという格好を取りたいと思いますので、どうぞご了承願います。 
(位田委員) 
  その少し後のほうの「なお」書きのところ。12ページの2)の「規制の見直し」の上の「なお」書きの情報公開の話。ここと、それから次の13ページの3の人以外の場合についての最後の「ほ乳類の」、そこでも情報公開が出ているんですが、規制に関する部分に情報公開の話を入れるのは少し次元が違う話ではないかなと。というのは、第4章で「情報公開」が入っていますので、むしろ……。 
(岡田委員長) 
  その点は、ちょっと横内委員のほうからご意見を聞かせてほしいんですが。今の12ページの終わりのところとクローン技術の人以外の動物の個体の話ですね。それの情報公開という形のものを、ここへ入れる必要があるかないかということですね。 
(位田委員) 
  言ったほうがいいとは思いますが、ここがいいかどうかと。 
(岡田委員長) 
  畜産関係のところでは、いろいろなご意見が情報公開に関してはあったんじゃないかなと、ちょっと思っていましてね。 
(横内委員) 
  我々畜産分野では、情報公開を進めつつ研究を推進していくということで、こういうふうに書き込むのが一般的になっています。確かに14ページに第4章として「情報公開」でまとめていますから、12ページの書き込みは必要ないかもしれないですね。 
(青木委員) 
  先ほど、私が「ほ乳類」と言ったんですが、13ページの3のところは、これは最初の6ページの第2章にもあるんですけれども、「畜産用や研究用動物など」にしておいたほうがよろしいんじゃないんですか。「ほ乳類のクローン個体の産生については」と。 
(岡田委員長) 
  どこですか。 
(青木委員) 
  13ページの3です。位田先生が言った情報公開の部分。この「ほ乳類」は、これを第2章の1と整合性を合わせて、「畜産用・研究用動物などのクローン個体の産生」にしておいたほうがよろしいんじゃないでしょうか。 
(岡田委員長) 
  そのほうがはっきりするな。 
(事務局) 
  確認させていただきますが、それでは12ページの「なお」書きの部分はもう落として、4章のところに情報公開は一括して書くということでよろしゅうございますか。では、そういう方向で。 
(位田委員) 
  すみません。言葉使いのちょっと細かいところなんですが、そこの「なお」書きを落ちたのはいいんですけれども、その上の「また」というのは、やはり、これは「なお」ということになると思うんです。「また」だと話が続いてしまいますので。 
(木勝島委員) 
  話は続いているんです。切れちゃいけないんです。 
(位田委員) 
  その話はヒト胚にいっているんで……。 
(木勝島委員) 
  でも、政策態様としては、法律とガイドラインとのセットという全体像を示さなければいけないので、この話は続いているんです。そのことを私はずっとこだわっているわけです。切ってしまったら、人クローンを禁止する法律だけつくっておしまいと、そういうことになってしまう恐れがあるので、これは続いている話としていただかないと困ります。 
(岡田委員長) 
  委員会としては、ヒト胚のほうに続く後のことになるので、私が小委員長をもうやめるもう解散と言わない限り、成り立つと思っています。 
(木勝島委員) 
  それだけ細心の注意をして、切ろうとするのはどういう意図なのか、わかりません。 
(岡田委員長) 
  あまり難しいことをいうのはやめましょう。そうなるわけだから。 
(木勝島委員) 
  「また」は「また」のままでいいですね。 
(岡田委員長) 
  やっぱり、「なお」ですね。 
(町野委員) 
  これ全体についてなんですけれども、この報告書というのは、非常に重大なのは、とにかく人クローン個体をつくることについては法律による規制をかけると。それ以外のヒト胚についてはそうはしないと。少なくとも現段階ではですね。しかし、今お話がありましたとおり、何らかの完全に自由というわけではないと。これはある意味では中途半端と見られる考え方なんですね、法律家のほうから見ますと。おそらく法律のほうの人としては、全部規制すべきだという意見が私たちだろうと思うんです。他方、医療関係の方としては、これはある意味では、中途半端どころか、変なところに入ってきたと。余計なことがある文書だと。どっちからも、おそらく評判が悪いと思うんですね。ただ、このような行き方が許されるということについて、説得力がある論理を、これが提供しているかというと、私は後で評価されるところだと思うんですね。 
  それで一番、これで今もう一度読みまして気になったのは、有用性についての問題ですね。前のところで、クローン技術についての有用性についてはある程度書いてあるところがあります。しかし、人クローン個体をつくること、あるいは人クローン胚をつくること、それからキメラ胚をつくること等々の有用性については非常にさらっとしか書いてないし、あるいは何の例もないというところもあるわけですね。この有用性があるからこそ、全面禁止じゃなくて、ある場合にはいろいろなガイドラインとか行政的な規制ということになるというのが話の1つの運びですので、この点、もし今から間に合うようでしたら、もうちょっと具体的に説得力を持って書いていただけないだろうかということです。 
  どうもお時間を取りまして恐縮です。 
(岡田委員長) 
  幾つか具体例は挙げれるにしても問題も随分あるんですよね。いいところばっかり出していけば、すばらしいなということになるんだけれども、それぞれのステップのことを考えると、なかなか実用のところまで持ってくるのは難しいところもあるなということで、ESについて多分合っていると思っておりますけれども。いい面ばっかり挙げていくんだったら、高久先生、何か書けますか。 
(高久委員) 
  むしろ、ヒト胚小委員会のほうで有用性が問題になると。 
(岡田委員長) 
  どうせ整理していくという形をとって、これは生命倫理委員会、それから省庁のほうでの法律化をするかしないかで、そこでまた決まるんでしょうけれども、それの時間関係の中で入って、ここ自体ではちょっと外しておいたらいかがですかな。 
  では、ちょうど時間になりました。おかげさまで12回もかけてご協力いただきまして、ほんとうにありがとうございました。 
  確かに幾つかの宿題点があって、その宿題は処理するのが意外に難しいものもあろうかと思んですけれども、とにかく辞任せずに委員会を続けていこうと思いますので、そういう格好で宿題のほうも何とか処理するということで、個体産生のほうの法規制という形で親委員会のほうに出させていただきます。 
  どうもありがとうございました。 
(木勝島委員) 
  生命倫理委員会の次回の日程はもう決まっていますでしょうか。 
(事務局) 
  まだ調整中ですが、12月20日の週ぐらいを目途に調整しています。 
(木勝島委員) 
  また、それをお知らせいただきたいと思います。 
(事務局) 
  はい。 
                                                                    −−了−−