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第2回動燃改革検討委員会議事要旨

  1. 日    時:平成9年5月12日(月)14:00〜17:00 

  2. 場    所:科学技術庁第1、2会議室 

  3. 出席者 :
    (委員) 
    吉川座長、今井委員、岸田委員、久米委員、那須委員、野中委員、古川委員、矢野委員、吉澤委員 
    (科学技術庁) 
    近岡大臣、岡政務次官、石田事務次官、加藤原子力局長、今村官房審議官、田中原子力安全局次長 
    (動力炉・核燃料開発事業団) 
    近藤理事長、植松副理事長 

  4. 議    事:
    (1)資料確認 

    (2)前回議事要旨確認 

    (3)原子力委員会の取り組みについて
      ○近岡大臣発言 

    (4)議  題
    1)事故報告
      ○動力炉・核燃料開発事業団東海再処理施設アスファルト固化処理施設における火災爆発事故の原因調査状況について
    2)今後の検討項目の整理
      ○動燃改革に関する主な検討項目
      ○自由討議
    3)核燃料サイクルと動燃の事業
      ○核燃料サイクルと動燃の事業の位置付け
      ○動燃事業団の業務とその実績について
    4)動燃事業団における管理運営体制について
      ○動燃事業団における施設維持管理・人員配置について
      ○動燃事業団における危機管理体制について
      ○自由討議
    5)その他
      ○動燃改革に関する外部コンサルタントによる調査実施について
      ○その他 

  5. 配付資料:
      ○資料第2−1号 「第1回動燃改革検討委員会議事要旨(案)」
      ○資料第2−2号 「動力炉・核燃料開発事業団東海再処理施設アスファルト固化処理施設における火災爆発事故の原因調査状況について」
      ○資料第2−3号 「動燃改革に関する主な検討項目」
      ○資料第2−4号 「核燃料サイクルと動燃の事業の位置付け」
      ○資料第2−5号 「動燃事業団の業務とその実績」
      ○資料第2−6号 「動燃事業団における施設維持管理の現状」
      ○資料第2−7号 「動燃事業団における事故時の人員配置の現状」
      ○資料第2−8号 「動燃事業団における危機管理体制の現状と課題」
      ○資料第2−9号 「動燃改革に関する外部コンサルタントによる調査実施について」 

    <参考資料>
      ○「第28回原子力委員会(4月22日)議事録−抜粋−」
      ○「第30回原子力委員会(5月9日)の審議概要メモ(暫定版)」
      ○「動力炉・核燃料開発事業団の概要」 

  6. 概    要
    (1)吉川座長による開会の挨拶の後、事務局による資料の確認があり、前回議事要旨について了承された。 

    (2)近岡大臣から、5月9日の原子力委員会において、1)今般の動燃問題に関連し、核燃料サイクル確立の重要性はいささかも変わるものではないこと、2)事故現場の視察を含め、原子力委員会としても積極的に対応していくことの2点が確認された旨発言があった。さらに、原子力委員会と本委員会とで意見交換を行うことの提案がなされたことについても発言があった。意見交換の提案について、吉川座長は有意義なことであるとして、各委員に同意を求め、了承された。 

    (3)田中原子力安全局次長より、資料第2−2号に基づき、動燃東海再処理施設アスファルト固化処理施設の火災爆発事故の原因調査状況について説明が行われた。 

    (4)事務局より、資料第2−3号に基づき、動燃改革に関する主な検討項目について説明がなされた。これを踏まえ、今後本委員会で検討すべき項目を中心に自由討議が行われた。 

      <自由討議での各委員の主な意見>
      ○経営方針に研究開発の目的だけでなく、開発した新技術を使うユーザーである電力等の意向も反映していくべき。
      ○動燃の縮小という発想だけでなく、動燃に蓄積された経験を活かすという発想も必要。動燃は多量の核物質を取扱う経験等、非常に貴重な資産を有している。また、動燃の基本ミッションは多様、複雑かつ相互に絡み合っており、個々の業務の改廃の議論には慎重な検討が必要。ミッションの間の情報のフィードバックが必要であり、単純に業務を切り離すということでは、逆に過去の失敗を学習する機会が失われる。
      ○研究開発型組織としてのミッションの明確化とともに、情報公開等の社会科学的な研究を実質的に行うというミッションも併せ持つべき。
      ○時間が限られていることもあり、検討項目の各テーマにランク付けをし、絶対にやらなければならないものを徹底的に検討するのも一案。
      ○検討項目の中の細かい論点を積み上げて結論が出るものではない。本委員会では、原子力開発の特質も十分念頭に置きつつ、「動燃のあり方」に重点を置いて検討すべき。各委員がどのような決心をもってこの問題を処理しようとしているかを確認し、議長が整理する形で委員会を進めていくべき。
      ○動燃改革の基本的方向付けは、1)運用面の大幅な改革、2)一部を動燃から離して他に移す、3)部門を全部分散、といった3通りの選択肢があると考える。そのうち1つに決めるやり方と、3通りの問題点と対策を指摘するやり方があり得るが、本委員会としては、時間の関係もあり、後者の方が良いのではないか。
      ○主要な検討項目の第一には、安全最優先の施設の維持管理、運営等の実質的な問題がくるべき。今回の事故を例に取ると、安全性を最優先にした施設の建設そのものを熟知した人がいないままスタートした上、管理運営面も実験的データ等が十分でないのに試験的な運転をするといった体制であったこと等に問題があったのではないか。そうした点を考えると危機管理体制等の個別項目の検討も重要。   また、心理面も含めて改革していくことも必要。
      ○原子力利用は社会に開かれたシステムであることが必要であり、原子力と社会との関わりという観点も重要。石油工場等は、法体系においても地域社会全体を含めた防災計画を作るなど、地域と一体となっているが、原子炉等規制法は内的構造の強い法律との印象が強く、法律そのものをみても原子力は閉鎖的なものになっているのではないか。原子力の専門家の観点だけでなく、一般防災の観点も含めた訓練、組織や人材の育成等も考えるべき。
      ○地元との共生に経験を有する電力からの職員が出向していても動燃にはそうした人を活かせない体質があると聞く。単に嘘をついた人が悪いというのではなく、その背後の体質問題が重要。
      ○動燃発足から30年経ち、米国カーター核不拡散政策によるプルトニウム利用停止や地球環境問題など、原子力を巡る情勢が変わり、原子力に対するミッションも変化してきている。何れにせよ、ウランを利用できるだけ利用し、どうしても残るものだけ廃棄物にするという考え方が重要。今の動燃のままで現在日本が担っているミッションが遂行できるのかという観点の議論をすることが必要で、本委員会はそういうところまでの決心をする場ではないか。
      ○動燃は国の原子力開発のために作ったもの。作った人や、原子力政策をどうするかを考えるところがミッションを決めるべきで、本委員会はそれを議論する場ではないと考える。ミッションを決めれば、組織体の経営方針等は自然に決まってくるもので、本委員会はそうした事について議論すべき。
      ○諸外国での研究開発仲間がいるか否か等、周辺の客観条件を含めた意味でのリアルなミッションを、本委員会でも考えざるを得ないのではないか。動燃のミッションは技術の提供者としての動燃とユーザーとしての電力といった問題もあるが、この場での議論は動燃は提供者としてのミッションを有効に果たせるかに絞られている。その場合、議論するのは動燃のあり方ということになる。
      ○動燃のあり方といっても、様々な問題がある。特に、問題なのは法令などの規則のしばりと研究者の意欲との関係がうまく機能していない点。その背景としては、プルトニウム利用等に関わる日本の孤立など原子力をめぐる情勢の変化があり、監督官庁も社会も有効な助言ができにくい状況というものがあると思う。そうした状況の中では、本委員会の検討は細かくやるのでなく、動燃のあり方を重点的に議論し、それについて個別の検討項目でチェックしていくといったやり方がよいのではないか。

    (5)加藤原子力局長より、資料第2−4号に基づき、核燃料サイクルと動燃の事業の位置付けについて説明があった。引き続き、動燃事業団・植松副理事長より資料第2−5号に基づき、動燃事業団の業務とその実績について説明があった。  

    (6)動燃事業団・植松副理事長より資料第2−6号、資料第2−7号に基づき、動燃事業団の施設維持管理及び事故時の人員配置について、また資料第2−8号に基づき、動燃事業団における危機管理体制について説明があり、説明に対する質疑があった。 

      <主な質疑応答>
      ○安全点検をした後に何らかの支障があった場合、点検者、動燃、国のどこに責任があるのか。
      ・動燃における施設運転の最終的責任は動燃理事長。その間、各事業所長、部長と各段階で責任が持たされている。
      ・国の検査に問題があれば、国に責任があるのは当然。
      ○この11〜12年間、動燃職員がほぼ同じ人数である理由は何故か。また同時にプロジェクトは拡大してきたとのことだが、動燃職員一人一人の責任は大きくなってきたのか。
      ・動燃職員は、予算で職員数が認められたものしか採用できないため、職員数は頭打ちになっている。ある意味で、一人一人の責任の範囲は拡大している。

    (7)これまでの説明等を踏まえ、今後の進め方等について、さらに自由討議が行われた結果、5月中を目途に各委員から動燃改革に関する提案を座長に提出し、それらを踏まえ、座長が改革の基本的な方向性について試案を取りまとめること、次回会合(6月6日)において、その試案を個別検討項目と照らし合わせ、たたき台として検討することを座長が提案し、了承された。 

      <自由討議での各委員の主な意見>
      ○今般の事故の要因は人の面が重要。人には「私的個人」、「働く社会人としての個人」、「組織に組み込まれた人」の三種類がある。動燃の職員は、個々の能力はあるが、「組織に組み込まれた人」の面で問題を生じ、今回の事故につながったと考える。
      ○動燃には、労使の関係にも問題があったのではないか。労務、雇用、人事等の最小限の情報をこの委員会で把握することも必要。
      ○緊急時の一時的対応は現場の人間に任せて、理事長は責任をしっかりとるのが本来の姿なのに、現在の動燃はそうなっていない。また、緊急時において、事後対策のような広報などの対応がとられていることにも驚き。さらに、現場のトレーニングもほとんどできていないようである。改革案を検討する際には、机上の空論だけでなく、そうしたものをきちんと押さえておくことが重要。
      ○薬を作る場合、拮抗薬というものを作る。人の安心には、マインド面だけでなく、科学的な安心もある。放射能の無害化などの研究も含めて考えるべき。
      ○各委員が改革のイメージ案を作るのでなく、次回、座長案を提出していただき、それに基づいて議論するのが望ましい。
      ○各委員の意見をもう少し聞いた方がいいとも考えているので、次回までに各委員の意見を座長に出し、その上で座長が試案をまとめるのではどうか。
      ○動燃のミッションは、フロンティアとして知力を絞り、例のない技術開発をする一方で、絶対安全を追求し、最終的にコマーシャルにつなぐといった相反するような矛盾を抱えた課題がある。この三つの矛盾がうまく管理できなかったのが、事故隠し等を招いたと考えられる。そのため、これらの点を整理できなくては解決にならなく、試案を作るとしたらそれらをうまく説明できるものでなければならない。
      ○委員会の議論の基本的方向は、地域社会との共生、社会的な安全等の原子力施設の運営の問題、危機管理のハード、ソフト両面等の問題を含めての大づかみの考え方ということで良いのか。
      ○試案というのは、こうした難しい課題を処理するためのあるべき組織を仮説的に出すこと。その仮説について、危機管理がうまくいくか、労務管理はどうか等の個別問題を考えていくことができるのではないか。個別問題をその上で議論できる骨格としての提案といったイメージである。

    (8)事務局より資料第2−9に基づき、本委員会への材料の提供等を行う外部コンサルタントを「アーサーアンダーセン」に決定し、調査を開始した旨、報告があった。 

    (9)次回は6月6日(金)15時から富国生命ビルにて開催されることとなった。