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第1回動燃改革検討委員会議事要旨

  1. 日    時:平成9年4月18日(金)10:00〜12:00

  2. 場    所:科学技術庁第1、2会議室

  3. 出席者  :
    (委員)
    吉川座長、今井委員、岸田委員、久米委員、那須委員、野中委員、古川委員、矢野委員、吉澤委員
    (科学技術庁)
    近岡大臣、岡政務次官
    (事務局)
    石田事務次官、加藤原子力局長、今村官房審議官
    (動力炉・核燃料開発事業団)
    近藤理事長、植松副理事長

  4. 議    事:
        (1) 開会
          ○近岡大臣挨拶

        (2) 議題
          1)動燃改革検討委員会の開催について
          2)動燃事業団の経営の現状と課題
          3)動燃改革に関する主な論点について
          4)自由討議
          5)動燃改革検討委員会の今後の進め方
          6)その他

  5. 配付資料:
    資料第1−1号  「動燃改革検討委員会」の開催について」
    資料第1−2号  「動燃事業団の経営の現状と課題」
    資料第1−3号  「参考資料」
    資料第1−4号  「動燃改革に関する主な論点について」
    資料第1−5号  「動燃改革検討委員会の今後の進め方(案)」

    参考資料
    ○「動燃事業団アスファルト固化処理施設における火災爆発事故への対応」
    ○ハ゜ンフレット「アスファルト固化技術開発施設」
    ○ハ゜ンフレット「高速増殖炉もんじゅのナトリウム漏れ事故と原因究明のあらまし」
    ○ハ゜ンフレット「どうねん」

  6. 概    要
    (1)事務局石田事務次官から開会の発言があり、はじめに近岡大臣から挨拶が行われた。近岡大臣から、吉川弘之委員を座長に、岸田純之助委員を座長代理にと指名がなされ、引き続き、事務局より各委員の紹介が行われた。

    (2)事務局より、資料第1−1号に基づき、本委員会の開催経緯、調査検討事項等の説明がなされた。

    (3)動燃事業団・近藤理事長より今回の事故等に対する陳謝とともに動燃の概要について説明がなされ、続いて動燃事業団・植松副理事長より資料第1−2号、第1−3号に基づき、動燃事業団の経営の現状と課題について説明がなされた。

    (4)事務局より、資料第1−4号に基づき、動燃改革に関する主な論点について説明がなされ、引き続き自由討議が行われた。

    (5)自由討議における各委員の主な意見は以下の通り。
    ○改革の言葉には動燃の存続が前提との響きがある。解体も検討の視野に含めるべき。また、ただ「解体」というのではなく、動燃を患者に見立てれば、病歴、経過、続行中の治療方法、将来の見込み等を付して進めるべきであり、こうした処方箋をつくることが本委員会の使命と考える。
    ○解体もオプションに入ると理解している。しかし、エネルギー政策はこの委員会で議論するものではないと考えている。また、動燃は歴史的なエネルギー政策の一翼を担う機関として、重要な情報と経験、実績を持っており、それを失うことは今後の解体も含む展開において我が国の大損失であり、その点も忘れてはならないと考える。
    ○動燃解体もあるということを確認して議論すべき。また、原子力には政府主導という特殊性もあり、政府の責任も検討に含めるべき。
    ○政府が関与していて、さらに完全にやれないようでは、どんな形態になっても、国民に安心してもらえるような原子力の利用はできない。総理も言っているが、自分も政府の責任も含めて論じるべきと考えている。
    ○30年経てきて、施設そのものに対するメンテナンスはどうやってきたのか。施設そのものが寿命ということもある。寿命の基準とか、予算面でもメンテ費がちゃんと組まれているか、ハードそのものに改良は加えられてきたのか。これらの点がまず明らかにされるべきだ。また、正常な状態では十分であったとしても、緊急時には休暇の人も連れてくる必要があるくらいタイトな人員配置なのか。人員としても、緊急時に十分対応できる体制になっているのか明らかにしてほしい。
    ○動燃の経営責任といっても、動燃にどれだけ権限があるのかが重要。動燃はどこまで主体的に権限、人事、予算というものを獲得してきたか。動燃に限ったことではないが、政府系のプロジェクトに関しては、この辺に本質的な問題がある。動燃の経営責任というとき、動燃にどういう権限があり、それに対して、どの程度責任を負わされているのかを明確にすべき。
    ○動燃は、緊急時対策を固有に持っていると思うが、その詳細を報告して欲しい。
    ○一番重要なのは、動燃がその存在意義を問われているという組織の本質論である。動燃は、市場メカニズムを明確には持っていないわけであり、基本的に組織が主体的に何をやりたいかというビジョンや、ミッションを新しく打ち出すことが必要。国でできることの本質は何かという点を踏まえ、特殊法人の組織のあり方を考えてみたい。
    ○原子力の研究開発集団は、日本の国家にとって非常に重要な知的資本(インテレクチュアル・キャピタル)であり、その人材の有効活用を図るべき。長期的視点からこれらの点の検討が必要。
    ○保安については、普段から、責任者は誰で、その人の意志がきちっと通っているかどうかが重要。緊急時の人員についても、その責任者に権限を与え、応援者も含めた体制を予め決めておくこと。
    ○運転管理に関するデータベースを整備し、どういうことが起こり得るのかを掴んでおくこと。更に、緊急時には事業所全体としてどういう動きになるのかを想定し、それに対する訓練が重要。消火確認はその場の最高責任者が確認するのが常識だが、今回の場合どうなっていたのか。また、体制だけでなく、管理運営の議論も必要。研究開発ばかりに光をあて、施設の運転管理を軽んじていたのではないか。
    ○民間の発電所を含めて原子力施設全体と社会との関わり合い、特に、動燃と社会の乖離が問題。原子力は、技術的な先進性だけではなく、情報公開の先進性も必要であり、動燃はこの問題に背を向けてきたのではないか。また、原子力の安全性を強調するあまり、傷をつけたくないといった考えが働き、結果として覆い隠すということになったのではないか。原子力の安全確保の体制、危機管理問題、それに関するハード・ソフトの両面、人の資質、訓練等、まさに現状がどうなっているのか、どういう点が問題なのかを突き詰めて議論したい。
    ○今般のような事故は、民間では起きないと思ったが、動燃では起きると思った。民間では、日常の些細な事故でも解決策を積み重ねているが、動燃にはそれがない。動燃は政府関係機関ということで、従業員の安全管理などの面でも甘いところがあったのではないか。動燃では、数十年にわたる民間での経験などが活かされていない。
    ○今回の事故は一種の人災に近い。一次災害を二次災害にしたのは大きな問題である。また、一般の人への情報の開示が重要。特にスポークスマンは、冷静が条件であり、発表内容は極力わかり易くすべき。
    ○民間であれば採算に合わなければすぐやめるということができる。政府はなかなかやりづらい面もあると思うが、要るものは要る、要らないものは早く止めるといった決心も重要。

    (6)各委員より述べられた意見に関し、座長より以下のまとめがなされた。
    ○原子力政策という意味ではこの委員会では議論しないが、国がいろいろなことに携わって、動燃という組織をつくり、実行している点からいえば、当然、国、政府の指導における責任から入って、関連するもの全部の責任体制を見直す必要がある。従って、国の指導責任も含めることを議論の前提としたい。
    ○動燃の解体をも視野におくことが前提であるが、動燃という組織が我が国における政府機関の一つとして、一体どういう位置付けにあるのか議論すべき。
    ○動燃には、研究開発と原子力発電所と同じような非常に高い社会的な責任を持っている安全性が問われる部分があり、研究開発と管理運営体制の問題を組織論として議論すべき。
    ○経営体である以上、経営における権限と責任というのは一体どう定義されているか、民間企業と異なる点も踏まえ、ビジョンとかミッションが何であったか、それが組織の一人一人にどう影響していたかを十分に認識し、議論すべき。

    (7)座長より、今回の各委員の意見については、事務局で整理し、次回はそれを踏まえてさらに議論を行うこととすること、また、動燃事業団からも本日の質問等に対して報告を受けることにする旨の確認があった。

    (8)事務局より、資料第1−5号に基づき、今後の進め方について説明がなされた。委員会開催のおおまかなスケジュールとともに、委員の方々の発意による個別調査の実施の他、外部コンサルタントによる調査も行い、それらも委員会における審議に反映していく計画が説明された。なお、委員の個別調査については、委員会として公式に認める活動ということで確認された。

    (9)委員からの質問等に対して適宜説明が必要なことから、次回以降も毎回動燃事業団に出席を求めてはどうかとの提案が座長よりなされ、了承された。

    (10)次回は5月12日(月)14時から17時まで開催されることとなった。