第5回動燃改革検討委員会議事要旨
- 日 時:平成9年7月7日(月)14:00〜17:00
- 場 所:科学技術庁 第1、2会議室
- 出席者 :
(委員) 岸田座長代理、今井委員、久米委員、那須委員、野中委員、古川委員、矢野委員、吉澤委員 (科学技術庁) 近岡大臣、岡政務次官、石田事務次官、加藤原子力局長、今村官房審議官、林原子力局政策課長 (動力炉・核燃料開発事業団) 近藤理事長、植松副理事長
- 議 事:
(1)資料確認
(2)前回議事要旨確認
(3)議 題
1)コンサルタントによる調査の報告について
2)動燃改革検討委員会報告書(素案)について
○動燃改革検討委員会報告書(素案)について
○自由討議
3)その他
- 配布資料:
○資料第5−1号 第4回動燃改革検討委員会議事要旨(案)
○資料第5−2号 動燃の体質及び組織・体制の改革に関する調査報告書
○資料第5−3号 改革の実現に向けて(素案)
○資料第5−4号 科学技術庁の対応
○資料第5−5号 動燃改革検討委員会報告に対する別の意見<参考資料>
○動燃改革の基本認識
○動燃改革の基本的考え方
○原子力委員会(1997年6月20日)議事録−抜粋−
○動力炉・核燃料開発事業団の抜本改革について(自由民主党行政改革推進本部)
- 概 要:
(1)岸田座長代理による開会の挨拶の後、事務局による資料の確認があり、前回議事要旨について了承された。(2)事務局より、資料第5−2号に基づき、コンサルタントによる調査の最終報告として、動燃の体質及び組織・体制について、問題の所在、改革案の提案等について報告された。
(3)加藤原子力局長より、前回会合における座長指示に従って作成した具体的な動燃改革の姿として、動燃の改革を中心とした「改革の実現に向けて(素案)」(資料第5−3号)と科学技術庁自身の改革を念頭に置いた「科学技術庁の対応」(資料第5−4号)について説明が行われた(素案の要点は別添のとおり)。
本案を前回、前々回に審議した座長試案に加えれば、全体として報告書の素案となるものと位置付け、その内容等について自由討議が行われた。
また、岸田座長代理より少数意見等、報告書本文に付記する意見として委員より提出のあった資料が資料第5−5号である旨、説明がなされた。
<自由討議での各委員の主な意見>
(4)自由討議の結果、今後の進め方について、座長代理による総括として以下のとおり提案があり、了承された。
○今回の資料「科学技術庁の対応」については、内容を吟味した上で整理し、資料「改革の実現に向けて」において、適所に盛り込むべき。○改革のデザインにおいて、経営は国と原子力委員会と新組織の経営体の三者で構成されると書いてある以上、科学技術庁だけでなく、原子力委員会の責任と対応についても言及すべきではないか。
○問題は次の2つある。つまり、事故に対する対応の仕方といった問題と動燃の本来の仕事である原子力技術開発の成果が出ているかどうかという問題。科学技術庁に責任があるとすれば、その両方の責任があると思う。今回の「科学技術庁の対応」の資料には、事故にしか触れられていない。今述べた両者を一体的に盛り込むべき。
○一番最後の「社会に開かれた体制」に記述されている「職員の意識改革」は重要な問題であり、内容を吟味して冒頭の「経営の刷新」において言及すべき。
○原子力委員会や科学技術庁の問題については、第一部、第二部の基本認識等において言及されておらず、第三部において国の対応だけを章立てするのは無理がある。国の対応について記述するのであれば、動燃の側から見た科学技術庁の監督のあり方といった観点から言及すべき。
○国の監督の問題は科学技術庁の問題ではあろうが、より広く、関係機関全体の問題として捉えるべき。いずれにせよ、今回の資料「科学技術庁の対応」は、資料「改革の実現に向けて」に入れ込むことが可能であり、そうした工夫をすべき。国の対応を単独で章立てすると、木に竹を接ぐような形になってしまう。
○情報公開に関連し、事故については、正確に分かりやすい言葉で公開することが重要。
○動燃の人材が新法人で仕事をするにあたり、研究者本来の誇りを持って行えるようにする事が必要。その観点から、動燃改革に当たっては、反省ばかりではなく、新しい技術やコンセプトを世界に発信するといった、新法人がこれから担う役割をもっと盛り込むべき。
○本社を立地地域に設置する際の立地地域は、色々なオプションが考えられるので慎重に検討すべき。
○データ等に現れている現在の動燃に対する科学技術庁の影響度を考えると、新法人への指導監督については、業務結果の厳正な評価・監査のみならず、精神的なアドバイザー的なものも加えるべき。
○事故時の動員体制の整備に関しては、実際の事故に即応した訓練を行うことが効果的。また、緊急時の事故情報システムは、事故情報の的確な伝達をなし得るものとすべき。職員の意識を改革するための研修については、内部研修のみならず、外部への派遣研修も重要。緊急時の防災体制については、各機関が責任を果たし、役割を発揮し得るような体制を法制度的に明確化すべき。また、避難、防災の目安となるような事故想定の規模の明確化、防災訓練も重要。
○動燃は裁量権を現在でも十分有しているとの意見もあり、また、民間との連携についても形はすでに整っているという声もある。そうだとしたら、何故その行使が十分になされていないのか、機能していないのかが問題。
○規則等を見る限り、動燃に裁量権がないわけではないと考える。一般の企業における経営陣の決断プロセスみたいなものが、動燃には欠けていたのではないか。
○本委員会は7月末にとりまとめを行ったら一旦閉じて、あとは、委員会とは別の作業グループ的なものに任せた方がいいと考える。
○本委員会を7月末で閉じることに賛成。ただし、後で具体的作業の結果を聞く機会を作っていただきたい。
○本委員会は7月末解散でいいと思う。委員会の報告書を受けて、具体化していくのは、行政の問題であり、あとはお任せしたい。
○本日の議論を踏まえ、吉川座長とも十分調整の上、「改革の実現に向けて」を修正し、次回会合において、前回までの基本認識等と併せて、全体をまとめて動燃改革検討委員会報告書案として審議する。
(5)次回は7月30日(水)10時から科学技術庁・第1,第2会議室にて開催されることとなった。○動燃改革のフォローアップについても、本日の意見を座長に報告し、今後座長と調整の上、次回会合で方針を決定する。
(別添)
素案の要点 I.改革の実現に向けて(素案)
改革の具体化の方針
○事業を抜本的に見直し、部分的に解消・移管し、動燃を改組して新法人を組織
新法人への改組の要点
○新法人は、長期的な観点から実用化を目指したプロジェクト指向型の研究開発を遂行
○科学技術庁は、自らの改革を進めるとともに、安全確保を最優先としつつ、動燃改革の実をあげ、国民の信頼を速やかに回復すべく最大限努力
II.科学技術庁の対応
- 経営の刷新
○新法人の事業目標の明確化
・新法人は、長期計画等原子力委員会の決定を受け、具体的な事業目標を策定
○新法人における経営の機能強化
・手続き面等での科学技術庁の関与を極力減少させ、新法人の裁量権を拡大
○明確な経営理念の確立とその組織への浸透は理事長の責任
・理事会メンバーの人選は、従来の構成にとらわれず、幅広い分野から人材を登用
・新法人の経営に第三者による外部評価の機能を導入
・人材の適材適所を図るため、業務の特性に配慮しつつ、人事管理制度を刷新等
○新法人に対する科学技術庁の指導監督
・業務遂行は新法人の裁量で行い、科学技術庁はその結果を厳正に評価・監査
- 新法人の事業
○動燃の現行事業の分類
・新法人で実施すべき事業
○事業を進めるに当たっての配慮事項
(新法人の中核的事業)
−高速増殖炉開発及びそれに関連する核燃料サイクル技術開発
−高レベル放射性廃棄物処理処分研究開発
(その他)
−先進的核燃料サイクル技術開発等
−軽水炉再処理研究開発
・整理縮小する事業
(基本的に原研等へ移管又は廃止)
−フロンティア研究の一部
(民間への技術移転)
−ウラン濃縮研究開発
−海外ウラン探鉱
(撤退)
−新型転換炉開発
・事業成果が可能な限り経済性を持つようコスト意識を定着
・関係者との緊密な協力関係の構築による事業成果を円滑に技術移転
・原子力関連分野以外も含めた幅広い分野への開発成果の活用を促進
・整理縮小事業について、地元自治体等関係者と協議し、整理計画を早急に作成等
- 安全確保の機能強化
○運転管理体制の強化
・研究開発偏重を排し、運転管理部門を独立させ、役割分担を明確化
○安全確保の基盤整備
・民間との積極的な人事交流を通じ、運転管理に民間能力を活用
・請負作業員の規模の適正化に配慮し、職員と請負作業員との責任関係を明確化
・安全管理及び危機管理に関する徹底した教育・訓練の実施及びその結果を反映
・更新や老朽化対策の着実な実施及び最新かつ信頼性の高い技術を積極的に活用
○危機管理
・外部人材を含めて安全確保支援部門を組織
・原子力に固有な安全対策に加え、一般防災の考え方のマニュアルへの導入等
・所内や他機関の事故例を徹底研究し、教育・訓練及びマニュアルに反映
・緊急時対応要員の事前指名や抜き打ち形式等による効果的な訓練を実施
・危機管理マニュアルを整備し、役員、動員された職員等の役割分担を明確化
・緊急時にセンターとなる施設整備や事故情報伝達等の緊急時情報システムを構築
- 社会に開かれた体制
○広報・情報公開(状況変化に適切に対応できるよう新法人自身のために実施)
・外部研修等による専門家育成、外部専門家活用等広報体制の強化及び基盤の整備
○地域社会との共生
・明確な情報公開基準の設定、研究開発成果の積極的発信等により情報公開を徹底
・立地地元重視の観点から本社を立地地域に設置
○職員の意識改革
・地域住民との関わりにおいて、放射線の環境影響の積極的公開等立地地域の住民が安心して暮らせるよう努力
・活発な人事交流による意識の触発の機会の充実、人事的停滞性の回避
・自己革新や組織改革を可能とする研修、セミナー等を開催
科学技術庁の対応
○基本認識
・動燃の業務現場の状況を十分に把握しておらず、適切な監視・指導ができなかった
○改善のための留意点
・事故を小さなものに見せようとする傾向が払拭されなかった
・現地への運転管理専門官の常駐、抜き打ち立入調査等により安全監視体制を強化
・専門家の迅速派遣、危機管理オペレーション機能の確保等緊急時即応体制を整備
・役割分担や連携の明確化により地域が一体となった事故防災体制を充実
・業務結果の厳正な評価・監査により適切な緊張関係を維持し、新法人を適切に監督
・第三者による安全性の評価・支援機能を導入