資料3−2

中西輝政委員からのコメント

11.5.26

1.21世紀は、民族や宗教等に係わる様々な紛争が発生し、世界的に価値観の対立・混迷が深まるものと予想されるが、そうした中、日本としても、国家目標・ナショナルアイデンティティのようなものを世界に対して明確に掲げるということが重要になってくる。
科学技術による立国ということは、このための大きな柱の一つとして位置づけ得るもの。科学技術を、単なる手段としてでなく、それ自体が価値を持つ、日本の国家目標・ナショナルアイデンティティを構成するものとして、より重要な位置付けを与えることが必要ではないか。

2.国際社会との係わりという点では、科学技術を国際協力・国際貢献の柱としてとらえるということが重要だが、もう一つ重要なこととして、科学技術の戦略性ということを、各国とも強く意識してきており、国単位で科学技術を囲い込んでいくような動きも底流にははっきりと出てきていることが挙げられる。
日本としてもこうした状況に対応していくことは必要であるし、協力一点張りということでは、日本だけ一体何を考えているのかということになり、却って理解されないおそれがある。しかし、あまり過度に戦略的に行おうとする動きに対しては、それはおかしいということも発信していかないといけない。科学技術を排他的に囲い込もうとする流れを崩していく上で、日本のように科学技術の水準の高い国が訴えていくことが重要。

3.安全保障に関しては、特に情報能力に係わる技術が重要。有事の際のみならず、平時においても、情報に係わる技術は、国の安全保障にとって非常に重要な決め手となる。
  広義の安全保障という観点からは、科学技術の水準そのものが、国の安全保障の水準にも係わるということになる。 (ある科学技術を)軍事利用しなければしないで、そのことがまた、政治的に大きな意味を持ってくる。こうした問題についても、我が国としての哲学のようなものを考える必要があるのではないか。


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