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科学技術振興調整費
「省際ネットワークの整備・運用に係わる基盤技術の調査研究」
平成6年度〜平成8年度
評価結果

平成9年6月

科学技術会議政策委員会
研究情報高度化小委員会

 


| 本文 | 参考1 | 参考2 | 参考3 | 参考4 | 委員名簿 |

「省際ネットワークの整備・運用に係わる基盤技術の調査研究」
(研究期間:平成6年度〜平成8年度)

1.研究の目標

(1) 省際ネットワークの整備・運用・管理に関する研究

1) 省際ネットワークの整備・運用に関する研究

2) 省際ネットワークの安全性及び信頼性向上に関する研究
 省際研究情報ネットワーク(以下IMnetと略)を安定した研究開発環境として利用者に提供するとともに、インターネットの急速な技術進歩に対応するために必要なインターネットバックボーンの構築法・運用法・管理法の調査研究を行う。この成果を実環境に順次反映しながら、IMnetを安定的かつ先進的なネットワークとして整備、運用する。さらに、これらの研究を通じて将来のIMnetの本格的整備に必要な技術、データ、ソフトウェア等の蓄積を図ることを目的とする。
IMnetの幹線部分を整備し、これに研究参加組織を接続してネットワークを運用することにより、インターネットバックボーンにおける運用管理及びトラフィック制御に関する調査研究を行う。
 また、IMnet上において、運用管理情報等を提供する情報提供システムに関する調査研究を行う。
 さらに、IMnetの安全性・信頼性を向上させるためにヒューマンファクタ、暗号化、情報共有システムのセキュリティ、リスク評価などの調査研究を実施する。

(2) 省際ネットワークにおける経路制御の研究

1) 既存の研究情報ネットワークと省際ネットワークとの相互接続に関する調査研究

2) 研究データの形態に応じた省際ネットワーク経路制御方式に関する研究

3) インテリジェント経路制御方式に関する研究
 IMnetは、その名前からも分かるように、各省庁等が独自に構築してきた研究情報ネットワークの中核に位置づけられるもので、これらのネットワーク間の情報交換を至便にする役割をもっている。
 経路制御分科会は、上記役割を遂行するための調査研究を担当するもので、安定し、かつ効率的な経路制御の研究を進め、IMnet内にとどまらず既存の研究情報ネットワークの協力を得て、我が国の研究情報ネットワーク全体に適用されるべき相互接続技術の研究開発を目的とする。
 具体的には、IMnetが誕生する以前から運用されている、研究情報ネットワークとの協調的な相互接続に関する技術を研究し、我が国の研究情報ネットワークのトポロジー改善に関する研究を進める。また、研究データの特性に対応する経路制御についても研究する。さらには、新しい機能を追加して、経路制御を効果的に実現する技術について研究する。

2.成果の概要

(1) 省際ネットワークの整備・運用に関する研究

1)省際ネットワーク整備及び運用に関する研究
 インターネット・バックボーンの構築を通して、IMnetの運用に必要な技術の明らかにした。運営を円滑に進めるためのトラブル・チケットの発行・管理、トラフィック測定とその分析による効率的運用の実現、新しい経路制御プロトコルを用いた安定的経路制御、ドメインネームシステムの運用、World Wide Web(以下、WWWと略)による情報提供やニュースなどのサービス提供運用業務の省力化を行なった。

2)省際ネットワークの接続拠点におけるトラフィック制御技術の研究
 IMnetと複数の経路による通信を実現し、その利用法に関する知見を得ると同時に、地域研究所とのFrame Relayによる接続とIMnetとの使い分けによる有効利用方法を確立した。またトラフィック解析ツールによりトラフィック情報の収集を行い、トラフィック減少のために電子技術総合研究所のDele Gateのcache機能の有効性を確認した。ネットワークを通じたスーパーコンピュータの利用に関して、大阪工業技術研究所との間で一体化リモートNQSシステムを導入し、その効果を検証した。

3)省際ネットワークの運用管理システムに関する調査研究
 トラフィック等の統計情報の収集分析のために、ネットワーク・オペレーティング・センター(以下、NOCと略)内FDDIセグメント上にトラフィックモニターを設置し、そのデータを解析プログラムを用いて分析して整備・運用分科会に報告した。また模擬運用体制のもとでネットワーク監視システム・トラブルチケットシステムを試用・評価し、いくつかの問題を指摘した上で対策を検討し試作と技術評価を行った。

4)省際ネットワーク上における情報提供システムの検索機能に関する研究
 WWWサーバー上のHTMLテキストを分析し、その概要データを自動編集するプロトタイプを作成した。これにより得られる概要データの中から、指定した文字列を持つ部分を抽出するKWIC検索機能を開発した。更に既存の検索エンジンとKWIC検索を組み合せることにより、求める情報を得るまでの作業量が軽減されることを検証した。

5)省際ネットワーク上に分散構築された情報の統合運用技術に関する研究
 研究機関などに分散して置かれている情報を統合的に運用するための調査研究を行い、インターネットの中で最も活発に利用されているWWWを用いた情報提供システムが最適と判断した。Robotを用いた情報統合サーバーの構築を行い、IMnet-東京NOC内で情報提供を行った。また、IMnet自身のWWWサーバーを運営するための委員会を組織し、情報提供を平成7年夏より実施した。

6)省際ネットワークにおける情報提供システムの運用支援技術に関する研究
 通信総合研究所のネットワークをIMnetに接続した。次に、WWWサーバの効率的な管理運用を支援するための技術について調査検討を行い、実際の管理運用上の問題点を抽出した。また、研究者が自身の研究データを公開するための、WWWサーバへのデータ配置を簡単化するための技術について調査検討し、その問題点を抽出した。さらに、通信総合研究所の公開WWWサーバへの外部からのアクセス状況の調査分析を行った。

(2) 省際ネットワークの安全性及び信頼性向上に関する研究

1)省際ネットワークのセキュリティ確保におけるヒューマンファクタに関する研究
 IMnetを経由したインターネットへのアクセスを実現し、そこでのセキュリティ管理の実地経験を踏まえて、ネットワーク利用者並びにセキュリティ管理者を対象とする調査研究を実施した。さらに、早稲田大学と共同で、ネットワーク上での作業が利用者に及ぼす生理・心理的影響に関する実験研究を行い、人間の側面から見たネットワークセキュリティ管理の現状と課題を明らかにした。

2)省際ネットワークのセキュリティ確保におけるヒューマンファクタに関する研究
 コンピュータ作業における各種の生理反応を測定・評価し、ネットワーク作業を生理反応の面から評価するための最適な指標を決定した。また、ネットワーク作業を想定した生理測定用センサの改良を行った。科学警察研究所と接続して行った現実のネットワーク作業における生理・心理的測定実験により、初心者とエキスパートの違い、ネットワーク作業と一般のコンピュータ作業との差異を明らかにした。

3)省際ネットワーク接続時におけるLANのセキュリティ確保に関する研究
 仕様面から運用面まで広範に渡って現ネットワークの問題点を把握してインターネット上の不正行為を分類し、セキュリティポリシを明確にすることにより強靭で早期実現性のあるセキュリティシステムが構築できることを示した。また、任意のプロトコルを任意のデータ形式で解析できるネットワークセキュリティ解析ソフトウェアを完成させ、不正行為の監視・解析を簡便に行える環境を整えた。

4)省際ネットワークにおける暗号化・認証方式等セキュリティ技術に関する研究
 現在の航空無線通信やインターネットの遠隔ログインのような盗聴の可能性がある対話型のアプリケーションを安全に運用するために、通信内容の暗号化及び各セッション開始時のユーザ認証方式の実装と実験を行った。サーバ・クライアント間で暗号鍵を共有し乱数を発生させて暗号化及び復号化を行う方式により、従来の遠隔ログインと同等の操作方法で使用できる実装とした。

5)省際ネットワークにおける国際的情報共有システムのセキュリティ技術に関する研究
 多言語化技術に関しては、Mule(Multlilingual enhancement to GNU Emacs)が実現している多言語機能をC言語で書いたプログラムから利用可能とするMulelibの開発を行なった。セキュリティ技術に関しては、アプリケーションルータDeleGateを利用した出島システムとによって、電子技術総合研究所の大半の利用者の要求を満足させ、コストのかからない運用を行った。

6)情報ネットワークのリスク分析・評価に関する基盤的研究
 IMnetの安全性向上をボトムアップ的なアプローチにより実現させるべく、各参加研究機関のセキュリティレベルの底上げに寄与する技術とデータの整備を目指して、リスク分析技術の適用可能性を検討した。平成6年度は、セキュリティ技術及びリスク分析技術の動向調査を実施した。この結果を受けて、平成7年度及び平成8年度はリスク分析ソフトウェアのプロトタイプの試作、改善及び評価を実施した。

7)省際ネットワーク上での研究情報伝送における内容保全に関する調査研究
 情報の発信者認証技術や内容保全技術に関し、IMnetにおける標準的なセキュリティ方式を選定する際の判断材料を提供するため、既存ソフトFJPEM、Kerberos、PGPやファイア・ウオール等を入手して調査解析し、IMnet向けに構築した実験用ローカルネットに実装して、これらの方式の安全性、使い勝手、問題点などを比較検討した。またFJPEMを核にして、公開鍵証明書発行機能、鍵管理機能等をインプリメントしたサーバーを試作し、IMnet上での利用実験を行い、鍵管理上の課題を整理した。

(3) 既存の研究情報ネットワークと省際ネットワークとの相互接続に関する調査研究

1)BITNET/JOINと省際ネットワークとの協調的経路制御方式の研究
 BITNET/JOINと省際ネットワークとの協調的な経路制御方式について研究を進めた。研究テーマを(1)ポリシルーティングの実験、(2)トラフィックの収集と統計化、(3)輻輳時のデータ送出調整の観察の3つの小項目に分け、それぞれについて実験、考察を行なった。(1)ではBGP4を用いたAS(Autonomous System)間の経路調整、(2)ではプロトコル別トラフィック量の収集と輻輳の自動検知システムの作成、(3)では回線輻輳時にパケット毎に優先度を設定し、優先順位に応じたパケット送出を行い、その効果と影響を調査した。

2)SINETと省際ネットワークにおける協調的経路制御の研究
 学術情報ネットワーク(以下、SINETと略)とIMnetにおける協調的な経路制御方式について研究を進めた。学術情報センターが運用する主として全国の大学等を接続するSINETとIMnetを東京及び筑波の2箇所で相互接続し、経路の複雑さに対応可能な協調的経路制御方式を実証的に研究した。

3)国際理学ネットワーク(TISN)と省際ネットワークとの協調的経路制御方式の研究
 省際ネットワークが発足し、それ以前より国際理学ネットワーク(以下、TISNと略)のメンバーであった機関がIMnetにも移行することとなったため、マルチホーム環境で、広域ネットワークの経路制御を安定して行うことが可能か否かの実証実験を行った。その結果、OSPFtype2の基では、多くの機関をマルチホームで安定に経路制御することは非常に困難であり、マルチホーム化は避けるべきとの結論に達した。

4)WIDE インターネットと省際ネットワークとの協調的経路制御方式の研究
 経路制御に関する研究は、スケールに起因する問題が多い。慶応大学を中心とする研究情報ネットワークであるWIDEインターネットとIMnetの相互接続実験で構築した大規模環境を利用して、経路数・安定性の調査、BGP経路制御診断システムの構築、Any Castを用いたサーバ選択方法の検討を進めた。

5)関西地区におけるネットワークと省際ネットワークとの協調的経路制御方式の研究
 IMnetとWIDE Internetとの相互接続を東京及び大阪の2箇所で確立させた後、 BGP4を用いた協調的経路制御の実証実験を行った。実際の運用を通じてトラヒックの適正化や障害発生時のバックアップ機能を実現することにより、ネットワーク通信を効率的かつ安定的に行うための協調的経路制御方式が確立された。

6)国際接続における分散経路サーバに関する研究
 KDD大手町ビル内に国際ゲートウェイを構築し、米国及び韓国との接続を行うとともに国内の主要な研究情報ネットワークとの相互接続を進め、IMnetの経路制御研究のための環境を構築した。また、海外の経路制御情報登録システムの二次サーバを構築・運用するとともに、我が国国内の経路制御情報を収集してデータベース化し、試験的に運用した。経路サーバについては、機能、信頼性、処理性能に関する実験と試験運用を行い、相互接続点での経路制御に有効であることを実証した。更に、国際的なネットワークを利用した経路制御等のネットワーク技術の高度化の推進及び日米間及びアジア諸国との情報流通を活発にするため、アジア太平洋高度研究情報ネットワーク(APAN:Asia Pacific Advanced Network)構想が浮上した。ここでは我が国の主要な研究情報ネットワーク関係者の間で技術的課題を中心に議論が進められた。この際、経路制御分科会のメンバーが実質的にAPANの議論の中心的役割を果たせたのは大きな副産物であった。

7)多数の研究情報ネットワークとの接続における経路制御技術に関する研究
 IMnetと通信総合研究所との間では、3地点でマルチホーム接続し、接続地点によって回線を使い分け、また、障害時には他の回線が自動的にバックアップとなるような経路制御について研究を行い、運用を行った。また利用状況の調査等を目的として、トラヒックデータを収集した。その結果2年余りで、10倍程度のトラヒックになっていることが観測された。

8)接続拠点機能を有した研究機関における経路制御技術に関する調査研究
 筑波地区におけるTISNの接続拠点機能をシームレスにIMnetに引き継いだ。この間複数の外部接続を持つ機関として、外部経路間の協調についても実証した。その後も、IMnetの他に、宇宙開発等の利用目的の異なる対外接続を共存させるための内部ネットワーク構成技術と管理技術を確立した。

9)専用回線と公衆回線を組み合わせた効率的通信管理技術の研究
 農林水産省研究ネットワーク(MAFFIN)において、公衆回線,INS64等の公衆網を利用して安価で効率的な通信を行うための管理技術についての研究を開始した。しかし、当初高価であった中長距離専用線が大幅に値下げされ、更にはトラヒックも増加したため、回線交換接続の重要性が低下し、専用線をベースとするシステムへ次第に移行させた。

(4) 研究データの形態に応じた省際ネットワーク経路制御方式に関する研究

1)大容量数値データ等の伝送に適した省際ネットワーク経路制御方式の研究
 地球環境研究及び環境研究の両分野における、研究情報及び各種環境観測データの提供及び相互利用に関する調査研究を実証的に行い、1)情報収集と利用者ニーズ、2)ネットワークデータベースシステム、3)大容量データ交換、4)研究情報等の提供に関する調査研究を実施した後、国内はもとより、国際的にも流通可能な研究情報システムを構築した。

2)研究目的に応じた省際ネットワーク経路制御方式に関する研究
 理化学研究所は、TISNから科学技術庁ネットワーク(STAnet)/IMnetへの移行を段階的に実施した。新しく構築されたネットワークを用いて、医学生物学分野のデータベース及びWWWサーバを対象とした、トラヒック情報の計測・収集に基づき最適経路を求めるエージェントを開発し、ネットワーク負荷の軽減・分散を試みた。

(5) インテリジェント経路制御方式に関する研究

1)人工知能的手法に基づくインテリジェント経路制御方式に関する研究
 東京に設置された相互接続テストベッド及びそこに接続されたネットワーク(リアルワールド・コンピュータ・ネットワーク:RWCnet,工業技術院ネットワーク:AIST NETWORK)上に設置したワークステーション群を協調動作させ、経路制御に係る基礎実験を実施した。並行に動作する制御系を協調させるための通信プロトコルに関する検討を進めるとともに、ポリシールーティングの実施に必要な情報を安全に配布/共有するための新規プロトコルを提案し、その有効性を確認した。

2)多角的要因を考慮した最適経路制御アルゴリズムに関する研究
 インターネット・バックボーンとして、AS内外の経路制御を、多角的に行なう実験を進めた。AS内では、バックボーンをいくつかの階層に分割し、各階層に適切な経路制御プロトコルを利用したクラスレスな経路制御を行なった。またAS外経路制御のために、自AS経路を観測するためのリフレクターモデルについて研究を行った。また、AS内経路の不安定要素を自動抽出する研究を行った。

3.評価の概要

 本研究では、省際ネットの整備・運用・管理の研究を通じてインターネット技術の研究を行うと同時に、IMnet自体を安定したインターネットバックボーンとして収容組織に提供することが求められている。また、インターネット技術は現在も進歩を続けており、整備・運用・管理技術もこの変化に対応していくことが必要である。
 IMnetの課題担当機関における多様な内容の研究と、IMnetを研究の場とした相互協力により、ネットワークの整備・運用・管理に関する幅広い技術を蓄積することができた。これらの技術により整備された課題担当機関のネットワーク環境及びIMnetのバックボーン、そして3ケ年にわたるIMnetの運用実績は、インターネットの変化に柔軟に対応することができるネットワーク構築技術が、IMnetの整備・運用・管理の研究の中で確立されてきたことを示すものである。
 また、収容組織に対する安定したインターネット環境の提供についても十分達成されたと考えられる。さらに、これらのIMnetの運用実績は、異なる組織に属するネットワークを接続する際の機関間の連携を促す効果を生むとともに、
IMnetの本格的運用への移行に貢献した。
 本研究は、IMnet内だけではなく各省庁等が独自に構築・運用していた研究情報ネットワークとの間で、効率的かつ円滑な相互接続を実現する研究開発を担当してきた。その結果、IMnetが後発にも関わらず、他の先輩ネットワークにも信頼され、IMnetを中心とした研究情報ネットワークトポロジーが確立できたのは、本研究の充分大きな成果と考えられる。
 また、IMnetの構築が丁度新しい経路制御プロトコルの開発・普及時期と一致していたこともあり、BGP4、OSPF、CIDR等の新しい技術をいち早く取り入れ、我が国における経路制御技術の先導役を実現できたのは幸運でもあったが、新しい実験ネットワークであり、研究者の熱意と努力の賜物のためでもある。
 さらに、相互接続点で必要となる、経路制御情報登録システムや経路サーバについて、我が国の代表的なものとして構築できたのは、IMnetが「中立的な立場」を堅持していることの証でもある。トラヒックの性質に対応する、あるいは、新しい機能を追加した経路制御の研究は、次世代の品質制御技術の研究開発につながるものと考えられる。
 さらに、我が国の代表的な研究情報ネットワークの関係者及び代表的なユーザ研究機関から構成される経路制御分科会のメンバーが中心となり、次世代のAPANの構築に向けて力を合わせているのは、思わぬ副産物である。経路制御分科会なくして、このような協調関係をつくることは困難であったと言えよう。
 上記のことから、本研究課題の総合評価としては、優れた研究であるといえる。
 一方、本研究では、我が国の研究情報ネットワーク等を相互に接続し、産官学の研究機関が相互に通信できるようにすることも、もう一つの目的であったため、他の純粋研究プロジェクトと異なり、基礎研究よりも開発に重点が置かれた。したがって、研究成果の発表(特に原著論文)はそれほど多くないが、IMnetを利用している研究者にアンケート調査を実施した結果、IMnetの整備により情報利用環境が格段に改善されており、IMnetが高く評価されていることがわかった。

4.今後の考え方

 インターネットにおける技術的停滞は運用の問題を生じさせ、ネットワークのパフォーマンスの低下をきたすことになる。これまで、IMnetの整備運用技術は、研究の枠組の中でインターネット技術の発展に追随しながら発展をとげ、IMnetは我が国を代表する研究情報ネットワークの一つとしての地位を確立してきた。今後も安定したネットワーク運用を継続しつつ、接続拠点の全国規模での増設により我が国の基幹ネットワークとして整備し、全国の産学官の研究協力を推進するとともに、インターネット整備運営技術の一層の発展に貢献する必要がある。
 また、IMnetの運用に関し、商用ネットワークが増えている現状においては、例えば広帯域を保証した通信実験にIMnetを利用してもらうなど、商用ネットワークでは実現が困難な実験を実施することで、研究情報ネットワークとしての役割を明確にしていく必要があり、科学技術振興事業団においてもネットワークの高度化に必要な技術開発に取り組むことが期待される。
 一方、アジア地域を代表し、ひいては世界の重要なインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)として発展していくためには、世界のネットワークとの接続を図る必要がある。
 今後、実際の運用の経緯、データなどの研究課題へのフィードバックも考える必要があり、本研究による成果の国際的な場への報告や提案を行うとともに、さらに成果の実用化の展開も期待される。
今後我が国のネットワーク技術の高度化のためには、ギガビットレベルのテストベッドの開発・整備が必要であり、その場を利用して高速大容量伝送技術、経路制御等の要素技術の開発を政府のイニシアティブの下で実施していくことが求められる。また前述したようなAPANの構築が検討されているので、ネットワークの研究者は、より進んだ経路制御等ネットワーク技術の実証試験を展開することが重要と考えられる。また、IMnet及び本研究課題に参加した研究情報ネットワークの関係者は、引き続き我が国のネットワーク技術を先導する重要メンバーとして、新たな協調により研究活動を開始し、我が国全体の研究情報ネットワークの発展に寄与することが期待される。
 一方、研究者へのアンケート調査によると、今後高精細動画像の伝送、データベースのミラーリング、テレビ会議等のニーズが高まっており、IMnetの国内外の回線の増速、接続拠点の増設等が強く要望されていることが明らかになった。また、米国においては、現在の100倍〜1,000倍の通信速度のネットワークを全米に整備し(NGI計画)、大容量の情報を伝達処理し、各種のアプリケーションの高度化等の先端的研究の推進を図っている。
 このような状況下で今後政府が着手すべきこととしては、下記の事項が考えられる。
1)ギガビットレベルのテストベッドの構築、ギガビット回線を有効利用できるルータの開発、知的経路制御方式の研究、ギガビットレベルのテストベッドを利用した高度なアプリケーションの研究等を推進する。
2)IMnetの接続拠点の全国規模での増設により、我が国の基幹ネットワークとして整備し、全国の産学官の研究協力を推進する。
3)アジア太平洋高度研究情報ネットワークを関係省庁の機関、関係国の協力の下で整備し、経路制御、セキュリティ等のネットワーク技術の開発を推進するとともに、米国、アジア諸国等の海外研究機関との間で各種の共同研究を推進するよう検討する。
4)IMnetに関し、ツール化、自動化等による効率的、柔軟な運用を推進する。


(参考1)研究論文等研究成果

(1) 研究発表等
  原著論文による発表 28件(国内 20件、国外  8件)
  その他の誌上発表  59件(国内 55件、国外  4件)
  口頭発表      88件(国内 73件、国際 15件)
(2) 特許出願等      0件
(3) 受賞等        0件


(参考2)研究項目と実施体制

「省際ネットワークの整備・運用に係わる基盤技術の調査研究」
(研究期間:平成6年度〜平成8年度)

研 究 項 目 担 当 機 関 所要経費
(百万円)
1.省際ネットワークの整備・運用・管理に関する研究   1,195
(1) 省際ネットワークの整備・運用に関する研究   959
1) 省際ネットワーク整備及び運用に関する研究 日本電信電話株式会社ソフトウェア研究所 706
2) 省際ネットワークの接続拠点におけるトラフィック制御・運用技術の研究 通商産業省工業技術院情報計算センター 78
3) 省際ネットワークの運用管理 日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所 61
4) 省際ネットワーク上における情報提供システムの検索機能に関する研究 科学技術振興事業団科学技術情報事業本部 28
5) 省際ネットワーク上に分散構築された情報の統合運用技術に関する研究 厚生省国立がんセンター研究所がん情報研究部 48
6) 省際ネットワーク上における情報提供システムの運用支援技術に関する研究 郵政省通信総合研究所総合通信部 38
2) 省際ネットワークの安全性及び信頼性向上に関する研究   236
1) 省際ネットワークのセキュリティ確保におけるヒューマンファクタに関する研究 警察庁科学警察研究所防犯少年部 33
早稲田大学人間科学部 12
2) 省際ネットワーク接続時におけるLANのセキュリティ確保に関する研究 科学技術庁航空宇宙技術研究所数理解析部 21
3) 省際ネットワークにおける暗号化・認証方式等セキュリティ技術に関する研究 運輸省電子航法研究所電子航法開発部 30
4) 省際ネットワークにおける国際的情報共有システムのセキュリティ技術に関する研究 通産省工技院電子技術総合研究所情報アーキテクチャ部 44
5) 情報ネットワークのリスク分析・評価に関する基盤的研究 株式会社三菱総合研究所安全工学センター 64
6) 省際ネットワーク上での研究情報伝送における内容保全に関する調査研究 日本電気株式会社C&C研究所 32
2.省際ネットワークにおける経路制御の研究   993
(1) 既存の研究情報ネットワークと省際ネットワークとの相互接続に関する調査研究   781
1) BITNET/JOINと省際ネットワークとの協調的経路制御方式の研究 東京理科大学情報処理センター 33
2) SINETと省際ネットワークとの協調的経路制御方式の研究 学術情報センター研究開発部 72
3) 国際理学ネットワーク(TISN)と省際ネットワークとの協調的経路制御方式の研究 東京大学理学部 23
4) WIDEネットワークと省際ネットワークとの協調的経路制御方式の研究 慶應義塾大学環境情報学部 37
5) 関西地区におけるネットワークと省際ネットワークとの協調的経路制御方式の研究 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科 37
6) 国際接続における分散経路サーバに関する研究 国際電信電話株式会社研究所 382
7) 多数の研究情報ネットワークとの接続における経路制御技術に関する調査研究 郵政省通信総合研究所総合通信部 102
8) 接続拠点機能を有した研究機関における経路制御技術に関する調査研究 宇宙開発事業団筑波宇宙センター 30
9) 専用回線と公衆回線を組み合わせた効率的通信管理技術の研究 農林水産省農林水産計算センター電子計算課 65
(2) 研究データの形態に応じた省際ネットワーク経路制御方式に関する研究   79
1) 大容量数値データ等の伝送に適した省際ネットワーク経路制御方式の研究 環境庁国立環境研究所環境情報センター 48
2) 研究目的に応じた省際ネットワーク経路制御方式に関する研究 理化学研究所ライフサイエンス研究情報室 31
(3) インテリジェント経路制御方式に関する研究   133
1) 人工知能的手法に基づくインテリジェント経路制御方式に関する研究 通産省工技院電子技術総合研究所情報アーキテクチャ部 54
2) 多角的要因を考慮した最適経路制御アルゴリズムに関する研究 日本電信電話株式会社ソフトウェア研究所 79
3.研究推進 科学技術庁科学技術振興局 3
合        計 2,191

(参考3)アンケート結果について

 省際研究情報ネットワーク(IMnet)に接続している研究機関の研究者に対し電子メールによりアンケートを行い以下のような結果を得た。詳細な結果は別紙の通り。

1.調査対象:省際研究情報ネットワークに接続している研究機関の研究者

2.調査期間:平成9年4月21日〜平成9年4月30日

3.回答件数:152件

4.結果の概要

(1) 研究環境の変化
 インターネット接続により、情報のやりとりが国内、国外に対して容易にできるようになったことで、ほとんどの研究者が研究環境が良くなったとの判断を下している。具体的な改善点を聞いたところ、ホームページの閲覧とメールの利用により研究環境が改善されたという意見が目立った。

(2) メールシステム
 研究者は一日平均約15通の電子メールを受信していることがわかった。また、7割の研究者がIMnetの利用により電子メールの受信が増加したとしている。 メールシステムを利用することで便利になった点については、国内の研究者間の意思の疎通が図れるようになった意見が最も多く、ついで連絡作業が楽になるなどにより時間に余裕ができた、世界中の研究者と連絡がとりやすくなったという意見が多かった。それに対し今後の課題については意見が分かれたが、ウィルス等のセキュリティ問題、不要メールの増加に対し問題であるとする意見が比較的多かった。

(3) ホームページ
 研究者が所属する部署のホームページに関しては、7割以上が開設されているとの回答があったが、個人が開設しているホームページに関しては、意外に高く2割を越えていた。
 ホームページの閲覧により便利になったと思う点については、自分の専門分野以外の情報が容易に入手できる意見が半数以上と一番多く、ついで自分の研究に関する情報の送受信が容易にできるとの意見が多かった。それに対し今後の課題については、ホームページそのものよりもネットワークの容量、品質の向上があげられており、ついでコンテンツの整備の重要性を指摘する意見が多かった。また検索機能が十分でなく、高度化を指摘する意見も多かった。

(4) 電子メール、ホームページ閲覧以外の利用目的
 半分以上の研究者が外部のデータベースから情報を入手している。また、文献、論文等研究情報の送受信、コンピュータの遠隔操作の利用が比較的多かった。

(5) 研究者別の論文等研究成果のホームページへの掲載
 各研究機関で開設しているホームページ上において、研究者別に論文等の研究成果を掲載することについて意見を求めたところ、約6割の研究者が好ましいと回答した。

(6) 動画伝送
 ユーザのうち、ネットワークを動画で利用している研究者は1割程度だった。理由としては、動画を使用した研究を行っていないためであるとの意見が多かった。

(7) セキュリティ
 現在の省際研究情報ネットワークに対し、セキュリティに不安を感じている研究者が3割に至った。それに対し十分であると回答した研究者は1割にとどまった。

(8) 省際研究情報ネットワークの現状
 IMnetの整備開始時期(平成6年度)については、適当であった約6割、遅すぎた約3割であった。また、IMnetの利用によって変化した研究環境は、情報流通の面で大変便利になったが約5割で最も多く、次いで海外とのアクセスが効率的になり情報量が増加したが多かった。

(9) 省際研究情報ネットワークを利用した今後の研究または研究ニーズ
 今後テレビ会議システムの普及を期待している研究者が多く、それに次いでデータベース開発及びミラーリング、大容量データ(高精細画像、高精細動画を含む)の伝送、知的経路制御等要素技術の開発を希望する意見が多かった。

(10) 省際研究情報ネットワークの今後の展開
 今後省際研究情報ネットワークをどのようにしていけばよいかという問に対し、国外回線の増速を望む声が約8割で一番多く、ほぼ同じくらいの研究者が国内回線の増速も望んでいることがわかった。また接続拠点の全国展開についても約7割の研究者が整備を望んでいることがわかった。

5.総括

 研究者はIMnetの利用により、情報利用環境が格段に改善されている姿が明らかになった。
 研究者は毎日約15通の電子メールを受信し、国内外の研究者との意思疎通が緊密になっている。また電子メールのみでなく、外部のホームページへのアクセスも含めて、文献、論文等の研究情報を頻繁に入手したり、コンピュータの遠隔操作している様子がうかがわれ、全体的に情報流通面で大変便利になったと高く評価されている。
 一方、課題としては、ネットワークの容量不足、ウィルス等セキュリティ面の不安、コンテンツの整備の遅れ、検索機能の未熟さ等が明らかになっている。
 IMnetを利用した今後のニーズは、テレビ会議、データベース開発及びミラーリング、高精細動画像の伝送、知的経路制御等が指摘されており、また、IMnetの国内外の回線の増速、接続拠点の全国展開が強く要望されていることが分かった。

 

アンケート結果
 
調査期間:平成9年4月21日〜平成9年4月30日
対  象:IMnet接続機関の研究者
回答件数:152 件
調査結果(括弧内の数値は、実際に回答のあった実質回答件数に対する割合)
1. IMnetを利用することによって研究環境が改善されたと思いますか。
  (実質回答件数:152 件)
    1. 改善された   80.3% (80.3%)
    2. 変わらない   6.6% (6.6%)
    3. 障害になった   2.0% (2.0%)
    4. IMnet使用開始時期が不明   11.8% (11.8%)
             
2. [1.]で「1.改善された」と答えた方にお聞きします。
  IMnetの利用により改善された点はどれですか?(複数回答可)(実質回答件数:122 件)
    1. WWW(World Wide Web)の利用   75.0% (93.4%)
    2. 電子メールの利用   62.5% (77.9%)
    3. ネットワークを介してのコンピュータの利用   33.6% (41.8%)
    4. ネットワークへの接続の容易さ   32.9% (41.0%)
    5. 組織内のネットワーク整備の促進   32.2% (40.2%)
    6. 国内外の共同研究の促進   31.6% (39.3%)
    7. データベースの利用   30.9% (38.5%)
    8. 組織内でのネットワークへの理解の高まり   24.3% (30.3%)
    9. その他   5.3% (6.6%)
             
3. メールについておたずねします。
  (1) 一日平均何通くらいのメールが来ますか。   15.4
  (2) これはIMnetが利用できる前と比べて増えていますか。(実質回答件数:142 件)
    1. 増えた   29.6% (31.7%)
    2. 増えていない   27.6% (29.6%)
    3. IMnetが利用できる前はメールは使えなかった   25.0% (26.8%)
    4. 大幅に増えた   10.5% (11.3%)
  (3) メールシステムを利用することで便利になったと思うことは何ですか。
    (実質回答件数:148 件)
    1. 国内の研究者との連絡がしやすくなった。   50.7% (52.0%)
    2. 自分の都合のよい時にメールを読んだり、同時に複数人に連絡ができ、時間に余裕ができた。   24.3% (25.0%)
    3. 世界中の研究者と連絡がとりやすくなった。   21.7% (22.3%)
    4. 連絡を取る際、相手がいなくても連絡が可能となったり、相手に迷惑がかからなくなった。   21.1% (21.6%)
    5. 添付書類等でデータが簡単に送受信可能となり、文書の整理もしやすくなり、能率が上がった。   21.1% (21.6%)
    6. 伝えたい内容が正確に相手に伝わるようになり、記録にも残せるようになった。   14.5% (14.9%)
    7. 電話が減った。   9.2% (9.5%)
    8. グループ討論や共同作業が可能となった。   5.9% (6.1%)
    9. 消費する紙の量が減った。   2.6% (2.7%)
    10. FAXよりプライバシーが保たれるようになった。   0.7% (0.7%)
  (4) メールを利用することにより生じた課題は何ですか。(実質回答件数:106 件)
    1. セキュリティの問題、回線の品質の問題、ウィルスの問題が表面化してきた。   14.5% (20.8%)
    2. 不要なメールや冗長なメールが増加してきている。   10.5% (15.1%)
    3. 相手がメールを読んだかどうか不明である。   9.9% (14.2%)
    4. メールが多くて処理が大変になるときがある。   8.6% (12.3%)
    5. メール使用者、未使用者両方に対し連絡する際、二重手間になった。(LANが完全に普及していない。)   7.9% (11.3%)
    6. 障害等によりメールが届いていなくても、発信者は届いたと思いこんでしまう。   6.6% (9.4%)
    7. メール利用上のマナーを周知する必要がある。   5.9% (8.5%)
    8. サーバで処理するメールが多すぎて、システムが不安定になる。   5.3% (7.5%)
    9. ネットワーク管理者がいないため、トラブル時の研究者の負担が増加した。また管理コストが1セクションに集中している。   2.6% (3.8%)
    10. 相手との間でメール利用の技術的な違いがでてきた。   2.6% (3.8%)
    11. 名刺にアドレスが記載されてあってもメールを読まない人がいる。   2.6% (3.8%)
    12. 休暇等で長期に渡り職場を離れる際、電話なら連絡が取れてもメールだと対応が遅れる。   2.0% (2.8%)
    13. 文章表現をかなり注意しないと誤解が生じる場合がある。   2.0% (2.8%)
    14. 対面会話が必要な場合でも、メールで済ます者が増えた。   2.0% (2.8%)
    15. 気楽にメールのやりとりが行われるため、回答に時間がかかったり、後のフォローをしなくなったりしてきた。   1.3% (1.9%)
    16. メール送信中は仕事をしているように見えるが、実はそうでない場合が多い。   0.7% (0.9%)
    17. 提出書類を行政側が添付しないケースが多く、以前と手間が変わらない。   0.7% (0.9%)
    18. 商業目的の利用が研究目的の利用を圧迫しないようにすること。   0.7% (0.9%)
    19. 電話と違い送信者が特定できないときがある。   0.7% (0.9%)
             
4. ホームページについておたずねします。
  (1) 自分の所属する部署のホームページがありますか。(実質回答件数:151 件)
    1. はい   75.0% (75.5%)
    2. いいえ   24.3% (24.5%)
  (2) 自分個人のホームページを開設していますか。(実質回答件数:150 件)
    1. はい   23.0% (23.3%)
    2. いいえ   75.7% (76.7%)
  (3) ホームページを閲覧することで便利になったと思うことは何ですか。
    (実質回答件数:132 件)
    1. 専門分野外の研究情報(研究機関情報含む)が容易かつ迅速に入手できる。   53.3% (61.4%)
    2. 自分の研究に関する研究情報(データ含む)の送受信が容易になった。   46.1% (53.0%)
    3. ほしい情報を容易に検索できるようになった。   21.7% (25.0%)
    4. 最新の情報(アプリケーション等を含む)が入手できる。   11.8% (13.6%)
    5. グラフィック等の視覚情報を含む情報を容易に提供できるようになった。   6.6% (7.6%)
    6. 文献検索が容易にできるようになり便利になった。   4.6% (5.3%)
    7. 情報入手する際相手に迷惑がかからない。   4.6% (5.3%)
    8. 洋書等の発注が容易になった。   0.7% (0.8%)
  (4) ホームページを閲覧することにより生じた課題は何ですか。(実質回答件数:86 件)
    1. ネットワークの容量、品質の向上を図ること。   23.0% (40.7%)
    2. コンテンツを整備していくこと。また法に触れたり、不要なコンテンツや古い情報を整理していくこと。   19.7% (34.9%)
    3. 検索機能の高度化を図ること。   11.8% (20.9%)
    4. 情報発信に必要な予算や手間が大きい。   6.6% (11.6%)
    5. ウィルス、プライバシーの問題が表面化してきている。   2.0% (3.5%)
    6. 情報公開時に内容の検閲があり、情報のアップデートが容易でない。   2.0% (3.5%)
    7. 各ホームページの仕様が統一されていないため、情報の取り出しに時間がかかる場合がある。   2.0% (3.5%)
    8. ボランティアで研究者がネットワーク管理をしており、本来の研究業務を圧迫している。またそれに対して高く評価されていない。   2.0% (3.5%)
    9. 得られる情報が多すぎて、整理が困難である。   1.3% (2.3%)
    10. ホームページの統一した維持管理が困難である。   0.7% (1.2%)
    11. LAN環境が十分整備されていない。   0.7% (1.2%)
             
5. メールシステム、ホームページ閲覧以外の利用目的についておたずねします。
  (1) IMnetを利用して外部のデータベースから情報を入手していますか。
    (実質回答件数:150 件)
    1. はい   53.9% (54.7%)
    2. いいえ   42.1% (42.7%)
  (2) (1) 以外で具体的に何を行ってますか。(実質回答件数:58 件)
    1. 研究情報(文献、論文含む)送受信   27.6% (72.4%)
    2. コンピュータの遠隔操作   11.2% (29.3%)
    3. ニュース閲覧   5.9% (15.5%)
    4. 情報公開   4.6% (12.1%)
    5. オンラインサービス提供   1.3% (3.4%)
    6. 研究目的以外のサービスの利用   2.6% (6.9%)
    7. 会議   0.7% (1.7%)
             
6. 各研究機関のホームページ上に、研究者別に論文等の研究成果を掲載する考えについて
  どう思いますか。(実質回答件数:143 件)
    1. 好ましい   57.9% (61.5%)
    2. 好ましくない   10.5% (11.2%)
    3. その他   25.7% (27.3%)
             
7. IMnetを動画伝送のために利用していますか。(実質回答件数:152 件)
    1. はい   10.5% (10.5%)
    2. いいえ   89.5% (89.5%)
             
8. 「6.」で「いいえ」と答えた方にお聞きします。
  それはなぜですか(実質回答件数:133 件)
    1. 担当している研究において動画伝送の必要性がないから   73.5% (75.2%)
    2. IMnetのバックボーンが混雑してしまい、他の研究者に迷惑がかかりそうだから        17.6% (18.0%)
    3. 伝送実験をやりたくてもエンコーダが高価で手に入らないから        5.9% (6.0%)
    4. その他   16.2% (16.5%)
             
9. IMnetのセキュリティについてどう思いますか。(実質回答件数:150 件)
    1. 不安がある   30.9% (31.3%)
    2. 十分である   11.2% (11.3%)
    3. 関心がない   1.3% (1.3%)
    4. わからない   48.0% (48.7%)
    5. その他   7.2% (7.3%)
             
10. 省際ネットワークを整備し始めたのは平成6年度でしたが、その時期についてどう
  思いますか。(実質回答件数:137 件)
    1. 適当である    57.2% (63.5%)
    2. 遅すぎた   32.9% (36.5%)
    3. 早すぎた    0.0% (0.0%)
             
11. 総括的に見て、IMnetを利用し始めて変化した研究環境はどのような点でしょうか。
  (実質回答件数:115 件)
    1. 情報流通の面で大変便利になった。   49.3% (65.2%)
    2. 海外とのアクセスが効率的になり、情報量が増加した。   26.3% (34.8%)
    3. メール等システムに対処することで、忙しくなってしまった。   13.2% (17.4%)
    4. 電話が減った。   5.9% (7.8%)
    5. 出張等外出により情報収集する機会が減少した。   5.3% (7.0%)
    6. 時間を効率的に使えるようになった。   4.6% (6.1%)
    7. 得られた情報の取捨選択に手間がかかるようになった。   2.6% (3.5%)
    8. 出張が増加した。   1.3% (1.7%)
    9. 商用ネットワークではできない実験が可能となった。   0.7% (0.9%)
             
12. IMnetを利用した今後の研究または研究支援ニーズは何が考えられますか。
  (実質回答件数:71 件)
    1. テレビ会議   20.4% (43.7%)
    2. データベースの開発及びミラーリング   15.1% (32.4%)
    3. 大容量データ、高精細画像、高精細動画像伝送   13.8% (29.6%)
    4. 知的経路制御、セキュリティ、エージェント等要素技術の研究   9.2% (19.7%)
    5. 広帯域回線を利用した実験   6.6% (14.1%)
    6. スーパーコンピュータの同時運転   4.6% (9.9%)
    7. バーチャルラボラトリ   2.6% (5.6%)
    8. シンポジウム   1.3% (2.8%)
    9. 電子秘書   0.7% (1.4%)
             
13. 今後省際ネットワークはどのような方向に進めばいいと思われますか。優先順位の高い
  ものからお答えください。なお、実施する必要のないものには順位をつけなくて結構
  です。(詳細は別紙を参照のこと)(実質回答件数:144 件)
    1. 国外回線の増速   78.9% (83.3%)
    2. 国内回線の増速   73.0% (77.1%)
    3. 接続拠点の全国展開   65.8% (69.4%)
    4. 海外との新規接続   55.9% (59.0%)
    5. 政府の非研究情報ネットワークとの融合   40.1% (42.4%)
    6. 廃止   1.3% (1.4%)

 

(別紙)
13. 今後省際ネットワークはどのような方向に進めばいいと思われますか。優先順位の高いものからお答えください。なお、実施する必要のないものには順位をつけなくて結構です。
(実質回答件数:144 件)
    (単位:件)
    優先順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位
  1. 国外回線の増速 61 35 15 7 2 0 120
  2. 国内回線の増速 33 43 19 13 3 0 111
  3. 接続拠点の全国展開 34 15 34 15 2 0 100
  4. 海外との新規接続 12 27 23 18 5 0 85
  5. 政府の非研究情報ネットワークとの融合 10 11 16 8 15 1 61
  6. 廃止 0 0 0 0 1 1 2

 


(参考4)

省際研究情報ネットワーク構成図(平成9年4月1日現在)

 

 

研究情報整備・省際ネットワークの推進


科学技術会議政策委員会研究情報高度化小委員会
(主査) 猪瀬 博 学術情報センター所長
委員 池上 正 旭化成工業株式会社取締役研究開発副本部長
牛島 和夫 九州大学大学院システム情報科学研究科長
釜江 常好 東京大学理学系研究科教授
神沼 二眞 厚生省国立衛生試験所化学物質情報部長
後藤 滋樹 早稲田大学理工学部情報学科教授
斎藤 和男 科学技術振興事業団理事
塩見 正 郵政省通信総合研究所総合通信部長
菅原 秀明 国立遺伝学研究所生命情報研究センター教授
諏訪 基 工業技術院電子技術総合研究所情報科学部長
高木 清継 農林水産省農業研究センター研究情報部長(前)
農林水産省農業研究センター総合研究官(現)
高木 幹雄 東京大学生産技術研究所教授(前)
東京理科大学教授(現)
高橋 隆 京都大学医学部付属病院医療情報部教授
中島 洋 日本経済新聞社編集委員(前)
株式会社アスキー総合研究所社長(現)
西島 敏 科学技術庁金属材料研究所極限場研究センター長(前)
川崎重工業株式会社関東技術研究所技術顧問(現)
安田 浩 日本電信電話株式会社理事 情報通信研究所所長(前)
東京大学先端科学技術研究センター教授(現)
 
研究評価ワーキング・グループ委員
委員長 石田 晴久 多摩美術大学教授
委員 池田 克夫 京都大学大学院工学研究科教授
諏訪 基 工業技術院電子技術総合研究所情報科学部長
村岡 洋一 早稲田大学理工学部教授

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