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第3回科学技術会議ヒト胚研究小委員会議事録

  

1.日  時    平成11年5月12日(水)13:30〜15:30 2.場  所    科学技術庁第7会議室(通商産業省別館9階) 3.出席者

(委  員) 岡田委員長、勝木委員、迫田委員、武田委員、豊島委員、木勝(ぬで)島委員、

             町野委員 

(事務局)科学技術庁研究開発局長  他

4.議  題

  (1)ヒト胚性幹細胞(ES細胞)の作成についての論点

  (2)ヒト胚性幹細胞(ES細胞)の使用についての論点

  (3)その他

5.配付資料

  資料3−1  ヒト胚あるいは胎児組織の診断・治療・研究への対応

  資料3−2  人胚研究の公的規制の現状と動向

  資料3−3  ヒト胚性幹細胞の作成に関する論点メモ(案)

                  ヒト胚性幹細胞の使用に関する論点メモ(案)

  資料3−4  第2回ヒト胚研究小委員会議事録  

6.議事

(岡田委員長)    

  時間をちょっと過ぎてしまいましたが、始めさせていただきます。きょうもお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。また、午前中からの先生方、どうも日程がこういうことでなかなかとれなかったということがあるようです。 

  それでは、初めに事務局のほうから配付資料の確認をお願いいたします。

(事務局)    

  資料は、本日は議事次第を除きまして4点ございます。資料3−1が武田先生に作成していただきました資料、「ヒト胚あるいは胎児組織の診断・治療・研究への対応」でございます。資料3−2が木勝島先生に作成していただいております「人胚研究の公的規制の現状と動向」でございます。資料3−3は事務局の作成しております「論点メモ」でございます。資料3−4が前回議事録でございます。以上4点でございますが、もしお手元にございませんようでしたら、早速配らせていただきたいと思います。以上です。

(岡田委員長)    

  資料は整っているでしょうか。よろしゅうございますか。 

  それでは、議事に入らせていただきます。

  前回の小委員会では、検討の進め方につきまして、委員の皆様から活発なご議論をいただきましたが、ヒト胚性幹細胞にまず焦点を当てて検討を進め、必要に応じてヒト胚自体の検討を行うということにしてはどうかとの共通認識があったと思っております。

  ヒト胚性幹細胞の作成につきましては、実際に作成された米国においては、ヒトの胚から作成する方法と、中絶胎児から採取した始原生殖細胞から作成する方法がとられております。そこで、まず、ヒト胚または中絶胎児の細胞を採取して作成に用いることの是非が重要な議論のポイントになるのではないかということであります。

  この点につきましては、前回委員会におきまして武田委員に、国内での取り扱いの現状につきまして関係の情報をまとめていただくようお願いいたしましたので、本日は、まずご説明を武田先生のほうからお伺いいたしたいと思います。さらに、ヒト胚の研究利用に関しましては、木勝島委員に外国の考え方につきまして取りまとめていただきましたので、そのご説明もお願いしたいということであります。

  また、事務局には、前回までの議論を踏まえまして、ヒト胚性幹細胞についての論点メモというのを作成していただいておりますので、最後に簡単に、そのメモについても説明をしていただきたいと思います。

  それらすべての説明が終わりましてから、まとめて委員の皆様にご議論いただくということにしてみてはどうかと思いますので、ひとつどうぞよろしくお願いいたします。

  そういう形で進めていきたいのですが、よろしゅうございますでしょうか。

  では、そうさせていただきます。

  それでは、ヒト胚あるいは胎児組織の診断・治療・研究に対する国内のこれまでの対応につきまして、武田委員のほうからご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(武田委員)    

  それでは、資料3−1をごらんいただきたいと思います。3−1の最初の3枚は、今回考えたものですが、その次についています参考3と申しますのは、産婦人科学会の学術講演会での選考規定でありまして、その中に倫理面について1行だけございますが、倫理的な配慮があるということと、資料4が、現在までに倫理的に注意しなくてはならない事項についての学会の会告をまとめたものです。この資料の参考4と申しますのは、既にクローン小委員会のときに提出したものですので、ほとんどの先生はご存じかと存じますが、念のためにつけておきました。 

  今回、ヒト胚研究で問題になります点で、既に産婦人科学会で検討されました、あるいはまだされていない事項等について、まとめて簡単にご報告いたしたいと存じます。

  まず、受精卵あるいは余剰胚の研究への利用ですが、これは、ヒト精子・卵子・受精卵に対する研究に対する倫理規定ということが産婦人科学会で昭和60年3月に会告として出されておりまして、その中の研究の許容範囲で、これは研究の目的が不妊症の診断・治療の進歩に貢献するということだけに限っておりました。その限定された目的の中で、受精卵は2週間以内と。これは3胚葉に分かれる前までの、つまり、原始線条があらわれる前までの胚でして、各国とも同じような基準をとっているところが多いのですが、2週間に限って用いることができる。

  ただ、参考3の20ページ、21ページのところに解説がありますけれども、こういった2週間に限ってですが、発育段階の途中でとめて凍結保存するということも認めていまして、凍結保存の期間は、提供者の生殖年齢を超えない範囲というふうに規定しています。この時期、胚性幹細胞についての影響は全くありません。

  この受精卵に対する取り扱いにつきまして、その後、受精卵の着床前診断が倫理委員会に申請されましたことを受けまして、38ページにありますが、平成10年9月に、不妊症以外の目的ということを適用追加いたしましたものです。このときも胚性幹細胞等についての議論は行っていませんで、会告の中で、研究に対する申請があれば、個別に審査するというふうなことがありますので、強いて申しますと、そういう個別審査の対象にはなるというふうには理解されます。

  次に、ヒト胚性幹細胞、先ほど申しましたように、産婦人科学会では特定の倫理規定はございませんが、各研究機関内の倫理委員会で、正確には胚性幹細胞とは申しませんけれども、stem  cell、幹細胞樹立ということでの審理が行われております。私が関係していました国立小児病院の倫理委員会からの項目を挙げさせていただきましたが、stem  cell の臨床応用につきまして、この場合は羊膜細胞を利用して、比較的幼弱な胎児の付属物の細胞ですが、それからstem cell (幹細胞)を樹立するという方法で、実際の臨床応用としては、遺伝性疾患、そこに書いていますような責任遺伝子の同定を行うとか、あるいは細胞治療、アンチトリプシン欠損症が出ていますが、そういったものの治療に用いるということが研究の目的に記述していまして、そういう審査をいたしております。

  一方、胎児組織の臨床応用ですが、胎児組織の中には胎児付属物と胎児自身がありますが、付属物につきましては、既に臨床に利用されておるのが二、三あります。それを最近、新聞紙上で多分ご存じだと存じますが、臍帯血バンクでして、つまり、正常に産まれました胎児の臍帯血を集めまして、それを細胞分離して白血病治療に用いるとか、あるいは羊膜細胞を分離して、これも細胞輸注しましてゴシェー病に用いる。これは国立小児病院で1989年に行われたものですが、そういうことが、これは特別の倫理的な審議を行わないで実施された例です。

  一方、先ほども委員長からヒトの胚性幹細胞の樹立に対しまして中絶胎児を用いるというお話がありましたけれども、中絶胎児の使用につきましては、24ページに「死亡した胎児・新生児の臓器等を研究に用いることの是非や許容範囲についての見解」と出てますが、これは基本的には研究です。研究に用いる場合の許容範囲ということを決めたわけでして、死体解剖保存法の定めるところに従う。これは実は研究解剖と、それから、局所解剖が具体的に記載されておりますけれども、これで完全に全部が研究の方向に対応できるというものでもないように思われますが、当時は死体解剖保存法に定めるというところに従っています。しかも、そういう中で、こういう死胎を用いる以外に研究の方法がなくて、研究成果が極めて大きい場合とかいうふうな条件下で、取り扱い者は原則として医者に限るというふうなことです。

  この胎児を用いました研究に対する報告は、先ほど申しました学会での発表に際しましての倫理的な採取の配慮につながっておりまして、参考3にありますような選考規定をつくったわけです。

  なお、中絶胎児につきましては、平成9年に名古屋大学の倫理委員会から「中絶胎児を用いたDi Goerge 症候群の治療」について、こういうことを行っていいかどうかという質問を受けまして、それを受けました倫理委員会が会長の名前で名古屋に報告いたしましたのが、下に書いてある1)と2)でして、平成62年の会告は、臨床応用を想定はしていないということが1点、2点目が、中絶胎児組織を治療に用いることの是非については、倫理的、社会的に極めて重要な問題を含んでいるから、より広い立場で国民的合意が必要である。したがって、厚生科学審議会のようなところで審議するのが適当ではないかというふうなことで、むしろ名古屋大学には、そちらの方向で審議をしてくださいということをお願いしたわけです。

  ここまでが大体今までの研究に対する規制の主なものでして、それから後、私が書きました妊娠中絶の許可条件です。これは、ついせんだって改定されました優性保護法から変わりました母体保護法に出ていまして、母体保護法の中で、人工妊娠中絶ということが定義されています。これは、胎児が母体の外に出て生命を保続できない、通常22週未満ということで、こういうことで中絶を行うことができるという条件が14条の抜粋で書いていますが、第1が経済的事由、第2が、暴行または脅迫で強制的に姦淫された妊娠というふうなものに限って中絶が優性保護法のもとでできると規定しています。

  先ほどの中絶胎児ということに関連することで、こういったもの以外に、現在審議されておりますのは、その下の注に書いています3点でして、1点は多胎妊娠の減数手術です。これは、3胎以上の多胎妊娠が最近は排卵誘発法で多発していまして、そのために未熟児施設が非常に不足を来しております。そんなことも踏まえまして、産婦人科学会の倫理委員会でも検討いたしました。その結果は34ページの多胎妊娠に関する見解の一等最後のところに出ていますが、胎児減数手術については適応・安全性などの医学的問題点、並びに現行法規との関連性、さらに倫理的、心理的問題など、その実施には解決しなければならない問題点があり、理事会として検討を重ねたが、いまだ結論が得られていないということで、広い立場から検討しないといけないという状態でとどまっています。

  それに加えまして、最近、日本母性保護協会で検討されたというふうに伝えられましたのが、多胎妊娠の減数、それから、女性の意志による中絶、つまり、reproductive  rightsの問題ですが、それに加えて、致死的奇形を理由とした中絶等々が現在検討されている状態でして、これはまだ制度化されたものでもありませんし、公でそれを議論した状態でもありません。現在なお検討中であるというのが正しいかと存じます。

  それから、胎児組織・臓器の移植は、現在、臓器移植法の適用には入っていません。15歳未満は適用に入りませんので、現在は認められないということになろうかと存じます。こういった胎児臓器というのは、死胎児あるいは無脳児からの臓器提供が十分考えられるわけですが、ほとんど現実には議論されていないというのが現状です。

  大体以上が産婦人科学会の受精卵、胎児等についての倫理的な検討の概要です。

(岡田委員長)    

  ありがとうございました。 

  今の武田委員のご説明の中のことでご質問ございますか。

(迫田委員)    

  一つ、胎児組織の応用の研究のところで、これは胎児の場合の生殖細胞ということについては一切言及していないというふうに理解されるわけですね。つまり、中絶胎児の持っている生殖細胞について何か研究をしたいというふうになったときには、こちらで考えるんですか、それとも、精子、卵子、受精卵、こちらのほうが。

(武田委員)    

  もし中絶胎児の精巣あるいは卵巣を用いるということになりますと、中絶胎児のほうで検討することになろうかと存じますが、現在までに申請はありませんし、実際に出ました時点では、当然、こちらの方向で審議の対象になると思います。 

(岡田委員長)    

  ほかにございますか。

(木勝(ぬで)島委員)    

  二つお聞したいと思います。一つは、鳥取大学で検討が進められている、マウス培養精子と言ったらいいんでしょうか、ネズミの中で培養された人間の精子を人間の卵子に受精させる実験について、産婦人科学会のほうにも審査を上げるという話が漏れ聞こえてきておりますが、この件はどういう扱いになる予定でしょうか。

(武田委員)    

  現在、鳥取大学での話は、まだ実際はヒトの卵細胞に受精をさせるということではなくて、その前段階での精子の成熟というふうなことで伺っておりますけれども、現在、鳥取大学の倫理委員会で審査中です。これは多分、6月にその結論が出ようかと思いますが、結論が出ましたら、日本産婦人科学会のほうの倫理委員会に審査を申請するというふうに聞いております。

(木勝(ぬで)島委員)    

  ありがとうございました。 

  それからもう一つは、3ページ目の参考2のところですが、胎児組織の移植、これは中絶胎児の組織利用という中に入らないのでしょうか。これは日産婦の会告ではお認めになっていないというのはわかりましたが、臓器移植法では規定がないので認められないと解釈するというのは、これは日産婦学会のほうでそう解釈されているということでしょうか。

(武田委員)    

  臓器移植法の適用外であるということですか。Di Goerge 症候群で細胞をばらけまして、インジェクションするということでDi Goerge 症候群については実は申請があったわけです。ここで書きましたのは、そういうことではなくて、臓器そのものを移植するということは認められないと。だから、例えば甲状腺とか下垂体とかいう細胞をばらけましたものを使って細胞輸注を行うということは別の問題というふうに私は考えておりますけれども、それでDi  Goerge 症候群のときは、逆に名古屋大学にお答えをしたというのが経緯です。

(岡田委員長)    

  例えばパーキンソン病のときにドーパミンの細胞というので、ヒトの胎児の脳というのを普通よく外国のデータでありますが、こういうのは認められているんですか。

(武田委員)    

  現在まだ申請がありませんので、多分、臓器移植という範疇には入らないと思いますので、もしありましたら、細胞輸注という状態で多分審議する立場になろうかと思います。

(迫田委員)    

  ちょっと聞き逃したかもしれませんが、胎児組織の研究の場合ですが、これも必ず登録するか、あるいは申請をするというふうになっているんでしょうか。

(武田委員)    

  いいえ、このことについては特別な登録の規定はありません。最初にありましたヒト精子・卵子・受精卵に対する研究につきましては、研究目的等々をすべて登録することになっていまして、その一部を私も調べてまいりましたが、実は公表していませんので、一つ一つ言うのはご勘弁いただきたいと存じますが、極めて詳細に研究目的を記載いたしております。これを幹事団でまず審査いたしまして、幹事団で問題がないということの結論を得ましたら、理事会に提出して、理事会で審議するという形になっております。

(岡田委員長)    

  次に、「各国における人胚研究の公的規制の現状と動向」につきまして、木勝島委員のほうからまとめていただいておりますので、ご説明をお願いしたいと思います。

(木勝(ぬで)島委員)    

  資料3−2という番号の「人胚研究の公的規制の現状と動向」という資料で、本文は、ページを振って4枚あります。それから、その後に英語の文書のコピーで、付録1、イギリス、付録2、オーストラリア指針と2枚つけてあります。 

  ここで公的規制としましたのは、法律またはそれに準ずる規制を指します。学会などの個別のガイドラインなどは対象としていません。

  まず、1、人胚研究の法規制がある国及びその年代と形態ということですが、アメリカ、ドイツ、スペイン以外の国では、みな、人胚研究の法規制は、生殖補助医療全般の管理法の中に規定されています。その国々と、その立法が行われた年の一覧を挙げました。

  ただ、ドイツもスペインも、一応法律の名前はこういうふうになっていますが、両方とも生殖補助医療の規定も含んでいます。アメリカだけが予算法の中で、合衆国連邦政府の予算は人胚研究には使ってはいけないという規定があるだけです。これは毎年の予算法の中に必ず書き込まれるということが96年から行われております。

  コメントとしては、基本的な前提として、体外受精などの生殖医療開発で人胚研究が本格化し、逆に体外受精技術により研究利用できる人の胚が多く産み出されるようになった。そのために1980年代に生殖医療の是非と規制の論議が主にヨーロッパなどで進んだわけですが、その中で人胚研究の規制も考えられるようになりました。ですから、それ以前には、70年代の末ぐらいまでは、少なくとも人胚研究は国の規制なしに行われていました。現在では、人胚研究の応用は産婦人科の領域をもちろん超えるようになったわけですが、産婦人科が供給源であることに変わりはないので、生殖医療の規制の一環として人胚研究の規制が検討されることが普通です。これが先進主要国の状況とお考えいただいていいと思います。

  次に2、では、人の胚と言うとき、どう定義が法律の中でされているかを挙げてみました。これは国においてまちまちです。幾つか抜き出しておきました。スウェーデン、フランス、デンマークでは、胚とは何かという規定が法律の中にはありません。

  次に、3の規制の内容ですが、これは国によって実にまちまちです。ともかく全面禁止というのがドイツ、オーストリアです。

  研究助成金の支出をしないというのがアメリカです。

  フランスは、原則として禁止する。例外的に胚を侵害しない研究のみ保健大臣の許可制ということになります。

  さらに、条件付きで国の機関による審査許可制は、イギリスとデンマークです。

  スペインは、こういう細かい規定を設けています。

  オーストラリアの連邦政府の指針は、施設倫理委員会の審査を求めています。胚を壊す研究は例外としてという非常に厳しい位置づけになっています。

  最後に、スウェーデンでは、もとの受精卵をつくったカップルの同意をとらなければいけないといったような条件規定だけで、許可制のようなコントロールの仕組みはつくられておりません。

  並べ方として、一番先が厳しくて、だんだん条件付きに緩んでくるという感じで並べてあります。考えられる政策の選択肢としては大体こんなところではないかと思います。

  続いて、規制内容のほかのポイントとしては、まず、研究目的の限定があります。例えばイギリスの法律では、認めていい研究の目的として不妊治療の進歩、先天性疾患の原因研究、流産の原因研究、避妊技術の向上などが挙げられています。

  この限定の中でイギリスの認可機関が、許可した人胚研究の一覧が、5枚目の付録の1です。イギリスでは、法律によって生殖医療専門の国の行政機関ができまして、そこが人の胚の研究についても審査許可を出すことになっています。この専門行政機関はHFEAという名前ですが、付録1はそこの年次報告書からとってまいりました。ご参考にしていただければと思います。施設別にどういう研究目的でやっているかという一覧が挙がっています。

  研究目的の限定の仕方としては、フランスのように、その胚に直接利益があるか、または、生殖補助技術改善のためというような規定もあります。

  規制内容の次のポイントとしては、研究目的で人の胚をつくっていいかどうかということがあります。これも国によって対応が分かれておりまして、それはやってはいけないとはっきり法律で規定して禁止しているのが、アメリカ、フランス、それから、オーストラリアの政府指針です。

  それに対して許可制で研究目的で人の胚をつくってもいいとしているところが、イギリスとデンマーク。研究目的の胚作成の是非について規定がないのがスペインとスウェーデンです。

  次に重要な問題として、余剰胚作成の制限があります。余剰胚というのは、不妊治療において体外受精をするときに着床させなかった余った胚という意味です。研究利用をしようとして、不妊治療において必要以上の体外受精をやって胚をいっぱいつくっておいて、わざと余らせて利用しようというようなやり方を防ぐために、ドイツの法律は、一つの治療周期で三つ以上の受精卵をつくることを禁止しています。オーストラリアの指針も、その数を抑えることを求めています。フランスでも、現在検討中の胚研究の法律の見直し論議の中で、胚研究を認める場合は、不妊治療においてつくれる胚の数の制限が必要であるという提言が出ています。もし仮に研究目的での人胚作成を禁ずるのであれば、そうした生殖医療規制と結びついた規制が検討されなくてはいけないと思います。

  それから、EU加盟国の間での共通規制条項として、時限制限(受精後14日以内まで)、これは日本産婦人科学会の会告と同じです。それから、胚を研究しているときに、胚自体の遺伝子を変えてはいけないということ。ハイブリッド−−雑種ですね、動物と人間の交雑胚をつくってはいけない。それから、研究利用するときには、利用する受精卵を産み出した元の男女のカップル両方の同意が必要である。こういうところがEUの共通の規制条項ということです。

  それから、人の生命の操作として禁止される研究はどういうものがあるかというリストですが、これは国によってまたいろいろです。最後につけました付録の2で、これは先ほどからオーストラリアの指針と申し上げているものの一部ですけれども、その第11項として、やってはいけないことという禁止規定がありまして、大半は人の胚の研究利用にかかわる事項です。これが一番包括的で分かりやすいと思いましたので、ご参考につけました。

  2ページ目に戻っていただいて、法律で禁止するということは、クローン小委員会でも議論がありましたが、刑事罰をつけている国が多いです。その場合、どれぐらいの罰としているかを、順に並べてみました。例えばフランスでは、法律で禁止されている人の胚の研究をした場合、禁固7年、罰金70万フランという重い罰をつけています。

  それに対してドイツは、禁固3年または罰金。ただし、クローン、キメラ、ハイブリッドは禁固5年。イギリスでは、人胚研究を無許可でやったり、法律の規定に違反してやった場合は、禁固2年以下、あるいは罰金。クローン、キメラ、ハイブリッドはそれよるずっと厳しくて禁固10年以下です。イギリスでは、そのほかに陪審によらない有罪判決という、裁判形式があるそうで日本で言う略式起訴のようなものなんでしょうか、その陪審によらない有罪判決であれば禁固6カ月または及び罰金。スウェーデンでは、罰金または禁固1年以下。オーストリアでは、ここが一番軽くて、罰金50万シリングまたは14日以内の代替自由刑。自由刑というのは、要するに牢屋に入れるということだと思います。

  このように人間の胚の研究利用をどれぐらいの刑罰をもって禁止したらいいかという点は国によってだいぶ違っています。

  次に、4、規制ないし公的管理の根拠ということですが、EUの報告書は、規制の根拠となるヨーロッパの共通価値を列挙しています。まず胚の段階からの人の生命の尊重。それと、人の苦痛の救済、つまり必要な医療の開発研究はしたほうがいいということだと思います。それから、医療の質と安全の確保の必要、医学研究がそれらの確保に役立つ場合はやったほうがいいだろうということでしょう。そして研究の自由。さらに、女性またはカップルの自由なインフォームドコンセントということも必要だとされています。

  あとは各国の考え方が違いますけれども、例えばフランスでは、民法典という国の基本法に、「法は、人間の至上性を守り、その尊厳へのすべての侵害を禁じ、人の生命をその始まりから尊重することを保障する」という一文を入れました。これを根拠に人の胚の研究も規制していいのであるということになっているようです。

  また、オーストラリアの指針では、人の胚の道徳的地位の考え方はオーストラリアにおいては多様であるので、胚の人間的性質を反映した仕方で生殖補助技術の研究は制限されるべきであるとしています。多様なので、どれか一つの考えをとることはできないということだと思います。

  最後に、これは法学的な理屈ですけれども、人の胚は、完全な人間であるとはちょっと言えないだろう。ただ、単なる物であるとして、物扱いするにも抵抗がある。法律というのは基本的に人間か物かどちらかしかないというのが民法や刑法の理解であると思います。その前提の上で、人でも物でもない、新しい第三のカテゴリーとして人の胚の保護を別にやらなければいけないという考え方が出てきます。既存の法律には人か物かしかないから、そうでないものというのがあれば、それはまた別に規定しなければいけないという考え方です。特にこの考え方にのっとって民法と刑法を大きく改正したのがフランスです。ヨーロッパでは、人でも物でもないカテゴリーの中に動物も入ってくるようになってきまして、動物実験の規制の根拠として動物の福祉という考え方が法の中に入ってきているようです。

  3枚目の一番上に参考として、主要宗教の人胚研究に対する態度を挙げておきました。人胚研究に対して厳しい態度をとっているヨーロッパやアメリカの国の背景にはキリスト教の価値観があります。カトリックは、公的な立場として人胚の研究利用は認めないとはっきり言っています。プロテスタントは、条件付きで容認という多少融通無碍なところがあります。ユダヤ教は、これをはっきり認めているそうです。イスラムは、認めないそうです。

  それに対してアジアの世界宗教、儒教、仏教などについては、今のところわかりません。中国では、人の胚の研究という問題はあまり関心を持って議論されていないと聞いています。日本もそうでしょう。その背景にある生命観、宗教的態度の違いをこの小委員会でも調査する必要があるのではないでしょうか。

  続いて、5の国際ルールの調整に行きます。人胚の扱いについて各国の立法がいろいろまちまちな中で、国際的にもルールを調整しなければいけないという動きがヨーロッパで出ています。ヨーロッパ評議会という機関が「人権と生物医学条約」という条約を作りました。生命倫理に関する法的拘束力のある世界で初めての国際文書と言われていますが、その条約の第18条に、人の胚の研究が法律で認められている国では、胚の適切な保護を確保するようにとあり、さらに研究目的で胚をつくることを禁止する規定を設けています。これがヨーロッパでの今のところのコンセンサスということで、国内法が研究目的の胚の作成を認めている国は、この条約に署名しないか、イギリスは署名しておりません、あるいは署名してから国内法を変えることが求められることになります。

  さらに、ヨーロッパ連合では、ヨーロッパ議会がヨーロッパ連合の生物医学研究助成を人間の胚の研究には出さないよう求める動議を出しました。それを受けて、ヨーロッパ連合の倫理グループというのがありまして、そこが以下のような答申を出しました。ポイントは、人間の胚は法的保護に値するけれども、どれぐらいの保護の対象にすべきかは国によって考え方が違うから、どれかひとつの立場をヨーロッパ連合としてはとることはできない。従って、ヨーロッパ連合の助成対象から人胚研究を排除するべきではないという見解です。今年の1月の末にヨーロッパ連合の意思決定機関である閣僚会議が、この倫理グループの答申に沿った決定を下しました。ヨーロッパ連合においては、人胚研究は、それが合法とされている国でのみ事前に所轄の倫理委員会の審査をパスすれば連合助成を受けられることになりました。

  ヨーロッパを超えた国際社会の中では、国際連合組織の中でユネスコの国際生命倫理委員会やWHOなどは、人胚研究についてのルールづくりを今のところ取り上げておりません。

  最後に、6、1998年以降の最近の動きをまとめておきました。イギリスでは、去年の12月に政府の諮問委員会がクローンに関する報告書を出しまして、その中で、イギリスの法律では、先ほど申し上げたように、人間の胚の研究については目的を制限していたわけですが、その目的の制限を変えるよう求める提言を出しています。具体的には、ミトコンドリア症の回避と臓器・組織の修復研究を、認められる人胚研究の目的として追加するように提言しています。ミトコンドリア症の回避というのは、クローニング、核移植によってできることですが、臓器・組織の修復研究というのは、クローンだけではなくて、ES細胞研究なども想定していると考えられます。この提言を受けて、これから政府、議会がどう対応するか、実際にこうした線に沿って法改正が行われるかどうかが今後の焦点です。

  次に、フランスは、1994年に生命倫理法と総称される膨大な法律群をつくりましたが、その中に、施行5年後に見直すという規定がありまして、今年がその施行5年後に当たります。その見直しの最大の争点が人の胚の扱いです。去年中にフランスの医学アカデミーと国家倫理諮問委員会が、人胚研究の禁止を解除するよう求める意見を政府に提出しています。さらに、今年2月になって、フランスの議会、国会に、科学技術政策評価局というものがありまして、そこが生命倫理法の見直しについての報告書を出しました。その報告書によると、フランス国内では、人の胚の研究を認めていいかどうかについて意見の対立がある。その両極の意見のどちらをとるかによって二つの選択肢がある。一つは、先ほど申し上げた人の生命をその始まりから尊重するという法律の原則を徹底して、人の胚の研究を例外なしに全面禁止してしまおうという改正。もう一つは、人格の発生の線引きというのを考えて、それを法定化してしまおうという改正。どこから人の人格が生まれるか、受精後14日目に神経系の原型ができるときとする。あるいは受精後、7日目という提言もあって、これは胚盤胞、つまり、着床が可能になるところまでで切るという考え方です。そうしたどこかで線引きをして、それ以前の人の胚研究は認めるということです。多分化能細胞研究、これはES細胞のことだと思いますが、これは細胞治療の規定の枠内におさめてはどうかという示唆も出されています。こうしたいろいろな提言を受けて、最終決定をするのは議会です。議会の審議は今年いっぱいかかる見通しであると聞いています。

  次にドイツです。イギリスやフランス、アメリカなどでは、去年の11月の人のES細胞樹立の成果発表の後、いろいろ動き出したわけですが、ドイツでは、人のES細胞樹立の公表後も、人胚研究を全面禁止している法律の見直しを求める政策論議は表立っては起きていません。医学界、研究界も含めて、内外の事態の動きを静観する構えのようです。

  次に、オーストラリアですが、去年の12月、国家保健医学研究評議会という、アメリカのNIHに相当するような機関だと思いますが、そこの倫理委員会がクローンに関する報告書を出しました。その中でクローン個体産生を禁止するほかに、ES細胞を含む人の組織のクローニング研究にも言及しています。人の胚の研究を制限する規制法は、オーストラリアでは、ある州と、ない州に分かれているので、すべての州において人の胚の研究を厳しく制限する法律をつくれと提言しています。それから、人の胚の研究を管理する法定の機関もつくれという提言をしています。内容としてはわりと厳しい見解であると思います。

  それに対して、今年の3月に、オーストラリア科学アカデミーがこれに対する対抗報告書を出しまして、その中で人の胚研究を厳しく規制している今のやり方を見直し、既存の厳しい州法の撤廃を求める提言を出しています。その代わりに各施設の倫理委員会と国の専門委員会による二重の審査による許可制でもって、ESを含めた人の胚研究を進めるべきだとしています。これは現在の日本の遺伝子治療の進め方と同じようなやり方であると考えられます。いずれにせよ、オーストラリアの国全体としての最終的な意思決定は、所管大臣の対応待ちということで、まだ提言段階です。

  最後にアメリカですが、よくご存じのように、今年の1月にNIHが、既に樹立されたES細胞は人間の胚とは言えないから、これは連邦助成を認めてもいいだろうという法律解釈を採用しまして、研究の指針と監督体制を設けて助成を解禁するという方針を発表しました。今年の夏と夏までにその指針案が官報に公表され、国民の意見を求める予定だそうです。これに並行してアメリカに国家倫理諮問委員会がありますが、そこが幹細胞研究への連邦助成の是非を検討中で、これも今年の夏ころまでに最終報告書が出る予定です。ただし、アメリカでの議論は、ほかの国と違いまして、人胚研究への連邦助成は法律で禁じられていること、同時に民間ではそれが認められていることの是非は問題にされていません。それを前提に、その上でES研究への連邦助成が認められるか認められないかということだけが検討されています。それはアメリカ特有の事情で二重に限定された論議だと思います。アメリカ以外の国では、クローンでもES研究でも、常に人胚研究全体、官民全体を視野におさめて検討が進められています。

  以上です。

(岡田委員長)    

  どうもありがとうございました。非常にきちんとまとめていただきまして、ありがとうございます。 

  それでは次に、「ヒト胚性幹細胞の作成、使用についての論点」について、事務局から簡単にご説明をお願いいたします。

(事務局)    

  それでは、資料3−3でございます。既に武田先生、あるいは木勝島先生からかなり詳細なご説明がありましたので、重複するところがあるかもしれません。そこは若干飛ばしてご説明させていただきたいと思います。 

  前回の委員会におきまして、論点メモを議論いただきましたが、その中で作成の部分と使用の部分とは若干性格が異なる二つの議論かもしれないということで、今回の資料では、ES細胞作成に関する論点とES細胞の使用に関する論点と分けてございます。

  まず、作成のほうでございますが、基本認識は三つの方法でES細胞を作成できるということで資料を整理してございます。もしこれ以外の方法がございましたら、ご指摘をお願いしたいと思います。

  一つは、ヒトの胚から作成する場合、二つ目が、中絶胎児から採取いたします始原生殖細胞から作成する場合、三つ目が、ヒトのクローン胚を作成して、それから作成する場合、その三つが今考えられている作成のケースだと思います。

  ヒトの胚から作成する場合が1)でございます。ここでは、いわゆる生殖目的で作成されましたけれども、その目的で使用されないこととなった胚、いわゆる余剰胚と呼ばれるもの、あるいは研究目的で新たに胚をつくる場合、いずれも含めておりますが、そういったヒト胚から作成する場合です。胚盤胞からES細胞をつくったり、あるいはもうちょっと後の胚の段階からEG細胞をつくったりというようなことがあり得るだろうというふうに考えられているかと思います。

  ヒト胚の研究目的での使用に関しましては、今、武田先生、木勝島先生から詳しくご説明がありましたので、省略いたします。

  検討事項としては、ヒトの胚から作成する場合に、一つには、まず、ヒト胚というのは何かということがあると思います。木勝島先生の資料にもヒト胚の定義というのが冒頭にあったと思います。

  2ページ目ですが、次には、ヒト胚の研究使用の是非について検討する必要があるであろうと思います。その選択肢については、先ほど木勝島さんの資料にスペクトルがあったと思いますけれども、全面禁止から非常に緩いものまであるだろうと思います。その場合、どのような考え方に基づいて、どこまでが許されるのかということを検討する必要があるだろうというのが二つ目の論点でございます。

  三つ目の検討すべき論点。もし仮に許される部分があるとすると、どの部分が許容されるのかということについて検討する必要があるだろうと思います。先ほど木勝島先生の資料の中で、オーストラリアではこういうのはだめというケース、イギリスではこういうケースが許容されているというケース、いずれも出ておりましたけれども、それらのどのようなケースが許容されるのかといったこと、それはどうして許容されるのかということを議論していく必要があるだろうと思います。

  4番目の検討のポイントは、ヒト胚をつくるそのもととなる配偶子の研究使用一般についてもその考え方を整理する必要があるのではないかということでございます。

  武田先生にご説明いただきました産科婦人科学会の会告におきましても、精子、卵子、受精卵が一体となって会告になっていたかと思いますけれども、そういう意味で受精卵のみならず、その前段階についてもやはり検討が必要ではないかというのが第4の検討項目として挙げられると思います。

  そのほかにもあると思います。

  それから、二つ目のヒトの中絶されました胎児から採取されます始原生殖細胞から作成する場合。これは、各国の考え方につきましては、すべて調べているわけではありませんが、基本的には、各国とも、中絶の決定と胎児組織利用の決定が独立している等々の一定の条件を満たした場合には、それを前提として許容しているように思われます。ただ、こういった中絶された胎児から始原生殖細胞を採取して、ヒトのEG細胞を作成するという具体的なケースについて、具体的見解はまだどの国も出していないと思います。

  日本のケース、産科婦人科学会については、先ほど武田先生がご説明されたとおりかと思います。

  したがいまして、検討すべき事項の項目の案といたしましては、死亡した胎児から研究目的で細胞や組織や臓器等を採取することの是非。特にヒト胚性幹細胞の関係で申しますと、始原生殖細胞を採取して、それを作成に利用することについての是非というのがまず検討項目として挙げられると思います。

  その次の段階になると思いますけれども、そういったことが認められるとした場合には、先ほどの研究用細胞などの採取と、それが欲しいために中絶をしますというようなことを防ぐための中絶決定の独立性を確保するといった方策等々が検討される事項として挙げられると思います。

  3番目の方法でありますヒトクローンの胚をつくって、胚の一定段階の時期からES細胞ないしEG細胞を作成するといった方法につきましては、クローン小委員会でヒトクローン胚の取り扱いについて議論されておりますので、ここにつきましては検討すべき事項等々は特別に挙げませんでした。そちらのほうの議論によるかと思います。

  4ページ目は、ヒト胚性幹細胞を使用する場合の論点でございます。これは、先ほど木勝島さんがアメリカのところで若干説明されておられたかと思いますけれども、胚性幹細胞の使用形態を考えてみますと、それを産み出してから、産み出されたものを使用するという形態も考えられますけれども、どこかほかのところで産み出されたES細胞を購入するなり、あるいは譲渡を受けるなりして、自分のところの研究ではそれを使うだけであるというようなことも考えられると思います。現実におそらくゲロン社から買うという選択肢がすぐにでも起こり得る事態であるとは思います。そういったことを考えますと、使用方法につきましては、どういう形態でそれが使われるかにつきまして幾つかの分類ができると思います。

  一つが、ヒトの個体になり得るような胚が産み出されない、ES細胞を分化等々の研究に使うけれども、それは個体にならない場合が考えられると思います。ヒトの組織・臓器形成メカニズムの研究とか、ヒトの細胞の分化の研究であるとか、そういった一般的な研究が考えられると思います。

  二つ目は、新たなヒトの胚を産み出してしまうような研究の形態が一つあると思われます。その形態としては、5ページの上のほうに○が二つありますけれども、一つは、キメラをつくる場合です。他のヒト胚とES細胞をまぜてキメラをつくるという研究が一つあると思います。もう一つは、ES細胞を特別な環境中で培養することによって、ES細胞に由来する細胞だけから個体が出てくるというような研究がマウスで行われているというお話を西川先生がされておられましたけれども、そのような研究を行う場合というのが考えられると思います。これはいずれも新たなヒト胚が産み出されるという範疇のものであります。

  三つ目が、人と動物のキメラの胚を産み出す研究。すなわち、ヒトのES細胞を動物胚とまぜたり、またその逆によって、人と動物のキメラ胚を創出するような研究でございます。これにつきましてもクローン小委員会のほうで若干議論が関連で出ておりますので、既にそちらのほうで議論が進んでいることでございます。

  4点目、これは前回委員会で、個体を産み出すようなことはほとんど考えられないであるということで、前回の資料では、個体を産み出すというところにかなりのスペースを割いておりましたけれども、ここは4)として一括してございます。新たなヒト胚やキメラ胚を作成し個体を産み出そうという試みはおそらく技術的には可能かもしれませんけれども、現実には理論的可能性にとどまるのじゃないかというお話が前回委員会であったと思います。しかしながら、もし実現された場合には、ヒトのキメラ個体や、あるいはヒトのES細胞のみの遺伝的形質を受け継ぐクローン個体や、人と動物のキメラ個体ができてしまうということになるので、新たなヒト胚を産み出す以上に多くの問題点を含むものではないかと思われます。

  これらのケースについては、したがって、胚を産み出す場合についての検討が行われましたら、その先に個体を産み出す研究もさらに議論をするという順序で議論をするような性格の項目ではないかということでございます。

  1点だけ補足いたしますと、先ほどのような、作成はしないんだけれども、使用だけするということにつきまして、NIHは、木勝島さんのお話のとおり、作成された系統の細胞は既に胚となる性質を失っているので、それは使うのは連邦助成はしてもいいという見解を示しております。一方、それに対しまして、つくられたES細胞、その時点では既に胚としての性質を失ってしまったようなものではあるけれども、作成の履歴を考えたときには、履歴の段階で人の胚の滅失を伴うようなつくられ方をした場合には、作成段階まで立ち戻って問題視するというような考え方も出されておりまして、そのような考え方についても検討しておく必要があるであろうと思われます。

  以上でございます。

(岡田委員長)    

  どうもありがとうございました。 

  武田委員と木勝島委員からのご説明があり、事務局から問題点の整理がありましたが、全体的にこういう形の整理に対してのご質問とか、それから、こういう問題点をどういう格好で進めていくかということも含めて少し討論をしていただけるといいと思っております。ES細胞に関しては、多分、生物・医学系の歴史の中で、ほっとするというか、びっくりするというか、新しい方向ができたなというか、そういうふうな感じが見えるような発見というか、現象というのは、10年に1回も多分ないのだと思います。そういう意味で、マウスでESが1985年ぐらいにあったというのは非常に驚いたわけで、その流れの中でヒトということになって、ヒトということになると非常に具体的な利用について、いろいろな面で考えられるという状況下の中でそれが出てきたというのが一つの流れの中にあります。倫理との問題というところで、どういう解きほぐし方をしながら、研究の制限をできるだけ自由な方向に持ってこれる道筋はないだろうかという検討の委員会になるのだろうと実は思っております。事務局では、そういうのを含めてそのための問題点整理をつくってくださったのだと思っています。問題点整理というのがこういうことでいいかご意見をお伺いしたいし、こういう問題点を踏まえて、重点を置いて討論すべきところと、それほどでもないところのウエートのかけ方という問題が存在していると思いますが、そこら辺に関しましてご意見を伺わせていただきたいと思います。

  問題点整理で書いてくださっているものの中で、受精卵のハンドリングという格好の問題ではいろいろな問題点を考えていかなければならないということで、多分、中絶した胎児から始原生殖細胞を採るという道は先にあるのではないかというニュアンスがここの整理の中に入っているような気がいたします。

(木勝(ぬで)島委員)    

  検討すべき事項でぜひもう一点加えていただきたいことがあります。それは、日本産科婦人科学会の会告が規定されているように、ヒトの胚、精子、卵子、中絶胎児などの取り扱い責任者を限定するのかしないのかという論点です。ヒト由来の生殖細胞や胎児などの取り扱い責任者は医者と限定したほうがいいのか、それとも生物学者や技術員のような人にも認めていいのかを検討しておく必要があると思います。おそらくヒトの胚、中絶胎児自体と、そこから樹立された細胞とではおのずから異なってくるかと思いますので、きょう資料3−3としていただいたこの論点の中にそれぞれ入れてディスカッションしていただければと思います。

(迫田委員)    

  今、岡田先生がおっしゃったことなんですけれども、これは非常に大きな医学的なES細胞ができたということは事実であるということで、その辺は理解はしておるんですが、研究の制限をできるだけ少なくして、自由にするための、というふうに最初に先生に言われてしまうと、いや、これはどれだけみんなのためにいいものであるかということと、どこまでそこがきちんとできるかということについて議論する場であるというふうに理解したいものですから、なるべく研究の制限を少なくして、自由にするためのというふうに先に言われてしまうと、それでいいんだろうかという疑問がやっぱり浮かんでしまうんです。ですから、ES細胞についてのメリットとか、それがどれだけ科学の知識や医療に役に立つものであるかということはきちんと事実として伝えていただいて、そして、それを利用するのはどういうことが可能かということをきちんと議論したいと。お言葉を揚げ足取りみたいで申しわけないんですが、そういうふうに多くの人に理解してもらいたいと私は思います。

(岡田委員長)    

  そういうことで進めていただきたいと思います。

(勝木委員)    

  ちょっと木勝島先生に質問したいんですが、最後のところに、アメリカ特有の事情で二重に限定された論議があるというふうに書いてございますけれども、さっきから考えているんですが、これ、ちょっと理解できないので、御説明願えますか。

(木勝(ぬで)島委員)    

  アメリカでは、ご承知のように、胚よりも以前の段階の胎児の扱いについて、中絶が認められるか認められないかが激烈な政治論争になりまして、その問題を議論しだすとすべて止まってしまうので、だれも触れないようにしているというのが、少なくとも連邦政府レベルでの事情だと思うのです。胚というのは、またさらに胎児よりもさかのぼった点ですので、アンタッチャブルに近い、相当対立の激しい部分なので、胚研究へ連邦助成が法で禁じられているわけです。これは非常に部分的かつ限定された規定なんですが、それを変えようとすると緩めようというほうも厳しくしようというほうも両方のロビーイングがあって動かないデッドロックの状態にあります。それがアメリカ特有の事情ということで、それがあるものですから、現行の連邦助成の禁止だけでいいかどうかということが検討対象に出てこないという状況にあります。つまり、それは触れないようにしておいたほうがいいという政策判断が各レベルであるように私には見受けられます。それがアメリカ特有の事情と申し上げていることで、二重にというのは、要するに、連邦政府のお金を出すか出さないかというところまで限定されているという意味です。ですから、連邦政府以外では、州政府はそれぞれ判断してくれということ、民間はまったく対象外ということです。

(勝木委員)    

  NIHが認めるというのは、連邦助成を禁止するということに触れずに、どうしてそれが認めることができるんですか。

(木勝(ぬで)島委員)    

  それは、申し上げましたように、アメリカの現行法というのは、予算法の中に人間の胚を作成または使用する研究に支出してはいけないと書いてあるのです。ですから、既に樹立されたES細胞株を使う研究は、ヒトの胚をつくるものでもないし、使うものでもないという法解釈なわけです。もちろんこの解釈に抵抗する議員もたくさんいるということです。

(勝木委員)    

  わかりました。法解釈よりも、法を無視してのということですね。この間、豊島先生がおっしゃったけど、超法規的ということですね、いわば。それでもないのかな。

(木勝(ぬで)島委員)    

  これはNIHが法律顧問と相談した上での解釈にもとづく措置だというので、超法規ではありません。アメリカは日本よりも厳しい法治国家ですから、超法規的措置というのはアメリカではまず無理だと思います。NIHがそういう法律解釈のもとにNIHの政策決定をしているということなので、それに対してNIHの外では各方面からいろいろ異論は当然出てくると思います。最終的に議会や裁判所がどう判断するかは、これからの未解決の問題です。アメリカ最大の医学研究予算を担う行政機関として一つの法解釈をNIHは出した。それぐらい少なくとも樹立されたES細胞株の研究にはNIHはお金を出したいということだと思います。

(武田委員)    

  木勝島先生、一つご質問ですけど、先生がお書きになった中の2ページ目に、余剰胚作成の制限というところで、ドイツの法律では一周期3個以上の受精卵作成を禁止すると。これは最初の胚保護法の中に入っているんでしょうか。

(木勝(ぬで)島委員)    

  そうです。

(武田委員)    

  これ、全然変更ありませんか。

(木勝(ぬで)島委員)    

  胚保護法は改正はされていないと思います。

(武田委員)    

  そうですか。受精卵の凍結保存法が確立されてからも同じような状態でしょうか、ドイツで。

(木勝(ぬで)島委員)    

  胚保護法は1990年にできておりますので、もう凍結保存についても想定していると思います。

(武田委員)    

  それはちょっとご説明としてお伺いしたいんです。 

  それから、論点メモでぜひご検討いただきたいのは、キメラ個体の作成なんですね。ここに胚性幹細胞ということではなくて、胎児組織、先ほどもちょっと申し上げました羊膜細胞なんかを大きく使いましてstem  cell ができた場合に、それが実際に有効かどうかという検討の前段階で、ヒトのstem cell を動物の受精卵と一緒にしてキメラをつくって、確かに生着するということを確認するという方法がとられる可能性があるんではなかろうかと思うんですね。そういうときに、ここで規制するキメラ個体の産生ということがどういうふうに対応するのか、もう少しその辺を詰めていただければ大変ありがたいと思いますね。実際にキメラ個体をつくってどうのこうのということの前に、stem  cell そのものの機能を評価するためにつくるということが起こり得る可能性がありますので、その点のご検討までをお願いいたしたい。

(迫田委員)    

  論点のところなんですが、ヒト胚から作成する場合、1)ですが、余剰胚の場合と研究目的で新たに作成した胚を用いる場合というふうに括弧内で書かれていますが、多分、これも検討すべき事項に入るのではないかというふうに思うんですが。つまり、余剰胚の場合と新たに作成する場合というようなことも一応挙げておいていただきたいなと思います。

(武田委員)    

  それから、日本の今の生殖医療の現状から申しますと、中絶胎児の始原生殖細胞を用いるということを言うと、余剰胚を用いたES細胞の作成ということのほうが先行する可能性が非常に高いと思うんですね。したがって、特に14日未満の受精卵をどう定義するのか。それまでinner  cell layer からのstem cell 樹立というのをどういうふうに考えるのか。多分、その辺が基本的なことになろうかと思いますので、お願いいたしたい。

(岡田委員長)    

  これの問題に関しても、事務局で分類してくださっているように、どこから採るかという問題と、それから、ESになった細胞をどう使ったらいいのかということの二つがあると思いますが、確立されたES細胞をどう使うかという側のほうは、多分、ヒトクローンの問題とか何とかも含めての流れの中とよく似たところが、相当近いところがあると思いますので、個体という格好でいきますと。だから、バイオ系での研究という側のほうは、それほどの抵抗がないということが常識的には多分あろうかと思います。だから、一番気になるところといえば、どこから採るかというあたりの問題のところが非常に気になるところでもあるし、胚の受精卵のハンドリングというのはやったらいけないという形をとったとしても、これが例えば外国へいってそういう形のものをつくり上げて持って帰ってくるという可能性は非常に高いものだろうと思います。ですから、ここら辺のところは相当しんどい問題がありましてね。そういう現実的ないろんな国でもすぐできるものだというようなものも含めた格好での何か安定した考え方というのをどうやってとってくるかということも私自身は気になっているところなのです。 

  ですから、そういう意味では、多分、ヒトのESというのに中心を置いて考える研究であれば、ある人の体細胞を核交換して組織適合性が同じESをつくって、それを分化させてという格好の夢がばっと流れてくるということがどうしてもすぐ出てくる問題なのです。だから、そういうふうな形のことを含めて、よその国でちょこっとやればできるということも多分あるだろうし、そういう現実的な動きを含めて、現実的な一つの安定した考え方、方策というのがつくれれば非常にありがたいということで、これは相当難儀だというのをまた逆に思っています。

  そういうことで、まずはどこから解きほぐしていくかということについて少し皆さん方のご意見を伺いたいのですが、どこから採るかという側の話からいくか、それとも、採れたものをどう使うかという側のほうから制限していくかというのはどうですか。そういう整理の仕方はあんまりよくないでしょうか。

(豊島委員)    

  ちょっともとへ戻るのかもしれませんが、木勝島先生にもう一度確認しながらということになるかと思いますが、アメリカでは、そうしたら、公的資金の援助を得ないような側面からだと、これからでも何度もES細胞をつくれるということかなという感じを一つ持つんですが。それが一つ。 

  それから、日本でも、逆に言うと、大学は規制している。文部省はガイドラインを規制している。それから、科学技術会議で国からの助成は規制している。だけど、それを除いたところでは、日本でも基本的にはアメリカと同じ状態にあるのかという問題があると思います。それに関してのどういう解釈が成り立つのかということに対して。

(木勝(ぬで)島委員)    

  最初のご質問は、もちろんそのとおりです。おっしゃるとおりで、アメリカでは民間の研究費を使って何をやってもいいことになっています。この問題に限らず、何でもそうです。 

  二番目のご質問については、次の問題として、文部省の告示の後の通知で、ヒトのES細胞研究も審査を申請しなければいけないカテゴリーに入れられました。科学技術会議は、クローン胚にかかわるものだけで、ES細胞のほうには何も規定も差し止めもありませんから、今のところ日本では、大学以外のところでは、産婦人科学会の中でやる分には学会の会告で、それ以外では規制という意味ではアメリカよりも緩い状況にあるとみていいかと思います。

(迫田委員)    

  いろいろなところでうわさに聞くのが、ゲロン社からES細胞を使いませんかとかという話があるというような、これは単なるうわさでしかないので、現実にはそれがすごく差し迫っている事態なのか、それともそれはただ、まだそういうことがあるんじゃないかという想像で伝えられていることなのか、その辺の実態を知りたいのですが、勝木先生、何かそういうような話はあるんでしょうか。

(勝木委員)    

  私はほとんど知りませんけれども、ゲロン社と関係のある日本のベンチャーの人に聞きますと、ゲロン社は非常に慎重で、ウイスコンシン大学の倫理規定ですかね、譲渡についてもそこにかなりの判断を任せているという話を1月ごろに聞きましたので、その後、変わっているかどうかわかりませんけれども……。 

  先ほどから岡田先生がおっしゃっていることを、私はマウスでそういうことをやっているものですから非常によくわかって、実際にヒトの胚性幹細胞を使って研究をしたいということは私自身にもあります。それで、先ほどの話で申されますと、要するに、大学をやめちゃって、民間に出て、それほどお金がかからないとしますと、実際に日本でできるわけです。そういう意味で、そこまでのヒト胚性幹細胞に対して現在の判断で価値があるかどうかということに関しては、学問的には私は、価値はあると思います。ただ、これを人に応用すると、例えばトキシコロジーにしても、再生医学にしても、今言われているさまざまなことに関して申しますと、極めて重要なマイルストーンであるということは確かですから、議論としては、アメリカのように、かなり骨太に議論をしたほうがいいと思います。骨太という意味は、この細胞の重要性は非常に高いと思いますので。

  しかしながら、もしこれを野放しにしますと、先ほどから問題になっておりますように、余剰胚を使って核移植をする問題だとか、あるいは、結局、供給源になるのは卵子ですから、それが売買されるようなことも起こるようなことが予想されることを我々は非常に不安に思うわけです。そういう観点から申しますと、細胞になったものについては、だれかが監視するというような許可制にすることによって、そこはきちっとやっていくことが重要だと思います。一方、胚の取り扱いについては、胚からES細胞を採るところの議論というのは、アメリカでもまだタブーといいますか、あんまりしないようにしているのが現状だと思います。これから我々がやるとすれば、ものすごく大変な議論になるんではないかという気がして、それはやってもよろしいですけど、ヒト胚性幹細胞の重要性ということから考えると、その有用性と同時に危険性をきちんとコントロールできるようなところをつくってやるべきである。今は直感的にはそう思います。

(事務局)    

  先ほど武田先生のお話しされたことで、現在の産科婦人科学会の会告では、ヒトの胚を使って研究していい場合の目的の限定があると思うんですけれども、ES細胞をつくり出すというのは必ずしも不妊治療とか生殖医学発展のための範疇ではとらえ切れない部分があると思うので、現在の会告のもとで、果たしてES細胞をつくるというのが許容されているのかいないのか質問させて戴きたいと思います。もし許容されていないとすると、日本国内では許容されていない現状になると思うので、その辺のご検討が過去にあったかどうか教えていただければと思います。

(武田委員)    

  昭和60年に制定されましたときの余剰胚の利用というのは、不妊症研究に限るということになっておりました。したがって、不妊症以外の研究には使えないということがありましたけれども、平成10年に、先ほども申し上げましたように、着床前の原始診断ができるようになりまして、着床前の受精卵の一細胞を採り出しまして、それで遺伝子疾患の診断に用いるというふうなことを許可したわけです。 

  そのときに、実は文章を変えまして適用範囲を広げております。その適用範囲を広げたのが、「ヒトの体外受精・胚移植の臨床応用の範囲」についての見解というのが37ページの次なんですが、そこで適用範囲を、この一番最後の行、「本法の適用範囲を拡大する必要が存在し、かつ我が国の技術水準で十分可能であるとの結論に達した。しかし、適用範囲の歯どめのない拡大につなげないため、その実施については、生殖医療に十分な技術を持った施設で、適正な適用範囲の中で行うんで、それは本会で別途審議する」ということで、基礎研究に対する適用を認めたわけなんです。

  これを拡大解釈しますと、14日未満の受精卵については使えるというふうにも解釈されるわけなんです。私が先ほど申し上げたのは、その辺を明確に取り上げて、規制するかどうかということをご議論いただきたいという意味で申し上げたわけです。

  ただ、現状では、先ほど木勝島先生がおっしゃったけど、ほんとうに規制がないに等しいというところに拡大してしまったんですね。全体として、ES細胞についてはしっかりとした根拠をつくった上で規制する必要があるというふうに思います。

(岡田委員長)    

  今、勝木委員からお話があったみたいで、ヒトのユースでどんなことになるのか、ほんとうはわかっていない、だれもやっていないということであれなんですが、木勝島委員から出していただいたイギリスの民間のヒト胚研究リストがありますが、例えばどこか研究施設を指定して、そこで何か研究してみるということも含めて、いろいろなことを考えてみる必要があるのでしょうか。ES細胞を買うことは多分、いずれできることになると思いますが、それで、ある培養系での問題としてはオーケーだというような形をもしもとれたとして、全体がざっとそれで広がってやっていくという格好のことで大体問題点はないだろうというような形が出てくるのか、それとも相当慎重にやったほうがいいという格好で、何かの組織というあたりのところであるところまで対応していくというようなことが必要な部類のものでしょうか。ここら辺はどうでしょうか。

(勝木委員)    

  私は基礎科学者なものですから、今、いろんな夢のようなことを言われておりますけれども、基本的な性格さえまだよくわからないわけですね。核移植のときにも申しましたけれども、要するに細胞を培養しますと、条件によって遺伝子発現の状態が変わって、見かけ上は正常に見えるけれども、培養したときの履歴が残ります。そういう基本的な条件がまだよくわかっていないわけです。ただ、世の中で言われていますように、あるいはゲロン社が言ったように、可能性は確かにある。その可能性というのはとても重要な可能性を示していて、サイエンスのエディターが言ったように、ブレークスルーである。珍しくブレークスルーだという大きな言葉を使っているんですが、ブレークスルーというのは、研究のブレークスルーではなくて、これが人に使える可能性を開いたという意味だろうと思います。 

  マウスなんかで研究しまして、ES細胞で例えば血管細胞にしたり、膵臓の細胞にするというようなことがもしできたとしますと、そこでの特殊な条件、ファクターが見つかってくるはずです。そのファクターが見つかったときに、それを今度はヒトの現場でそういうファクターを用いればいいんで、細胞は使わなくてよいわけですね。その場合使わなくてもいいというようなことが結局のところ基礎研究としては一方で走っていくわけです。基礎研究がヒトというものに対して当てはまるかどうかというのは、やっぱりヒトを使わないとわからないので、そのためにヒトのES細胞が重要になるだろうというふうに思います。

  したがって、そういう研究をサイエンティストとしてはぜひやるべきである。規制すべきではないと思います。ただし、それを実行するに当たって、ヒトの卵子なり、始原生殖細胞もそうですが、そういうものに対する特別な地位をここで議論しているさなかに、そこをすっ飛ばさない限り議論が始まらないものですから、私としては、ES細胞に関しては、もしそれを使えるような状態になったときには使うべきであるというふうに思います。

  ただ、それをつくるところに関しては、私はいまだに、残念ながら、ヒト胚を操作することについては納得できないところがたくさんありますし、先ほど武田先生のお話ですけれども、私は今まで我が国では産婦人科学会という非常にプロフェッショナルな集団に、会告のような規定まで設けさせること自体が、ちょっと言い方を変えますと、利害関係者がみずからの規定をつくるというのは極めて難しいことではないかと思います。それはここで議論しなくちゃいけない二つの問題ではないかと思います。

(武田委員)    

  原則、私、今、勝木先生がおっしゃったことに賛成なんですがね。ただ、ES細胞を使っての研究を今までの生殖医療と同じように野放しにするのかどうかという点がもう一点あるんですね。これも前から先生がおっしゃったと思うんですけれども、生殖医療で生殖保存技術の施設で日本が特異的なものですね、実際の実施申請施設が200を超えているという状況なんですね。外国だと非常に限られたところでライセンス制で行われておりますけれども、それが全くその規制がないと。同じようなことが、今度、ES細胞その他で起こってきた場合に、コマーシャリズムが入るとは必ずしも申しませんけれども、非常に拡散されてしまう可能性があって、レギュレーションがきかなくなる可能性がある。そうしますと、ある一定の期間を国で審査したところでES細胞なんかについては取り扱うとか、何かそんな手ができますと、少なくとも倫理面での規制だけではなくて、多方面のレギュレーションが、国家機関とは申しませんが、ある日本の一つの大きな方向性の枠の中で決め得るんではなかろうかと。そういう形での方向性が示されれば、将来的な円滑な研究をむしろ助成することになるんじゃないかという感じもします。

(迫田委員)    

  今、勝木先生がおっしゃった基礎研究が大事だということはとてもよくわかります。ただ、先ほど豊島先生がご質問なさったように、今の状態でES細胞を日本でつくるということが、あるいは民間だったり、そういう研究機関で可能であるんだとすれば、それがもし同じような方法でES細胞ができた。それは別にどこの規制にもかかっていない。そうやって例えば勝木先生のところにES細胞ができました。どうぞ先生、研究でお使いになりますかと言われたときに、先生はどのように判断するのでしょうか。

(勝木委員)    

  大変難しい質問ですけれども、基本的には、そもそもヒトのES細胞を使うといったときには、全く出所は無視しようという観点なんですね。ですから、それとは別に、出所についての規制は別にしようという、これは矛盾していることは私はよく知っていて言っているんですが、つまり、泥棒社会の論理の中で泥棒のエキスパートを育てるという、ちょっと例えが悪いですね。そういう社会の中で、しかし、それは我々の科学的な知見としては極めて重要な知見につながるに違いないという、そういう判断なんですね。ですから、迫田さんから質問されているのは大変難しいんで、そういうものについては、そもそも本来認めないという前提があって、それで、公認されたものをある程度どこかで、それしか使わないという前提で、行ってはどうでしょうか。難しいですね。ちょっと答えになりません。済みません。

(迫田委員)    

  ですから、その場合に、それは私がそうしてほしいと言っているわけじゃないんですが、例えば仮定として、どこか全くニュートラルな研究機関が余剰胚で、それは例えばちゃんとインフォームドコンセントもあって、それで最終的には基礎研究の目的のためにあるところがきちんとES細胞をつくる研究をしますというようなことであったら、どうなんですか。そういうことは考えられるんですか、られないんですか、先生の中で。それでいいのですか。

(勝木委員)    

  私は現段階では、ゲロン社のものを使うということを念頭に置いて考えております。そのほかのものは使わないというか、今考えていないというのが実際の意見の骨子です。つくることに関しては、やっぱり深刻な議論が必要で、つまり、アメリカでも、彼らはお金の使い方から、場所から、人の使い方から、ものすごく注意しているということは、もしかしたら極めて重大な議論が起こるかもしれないということを前提にしているわけですね。しかし、それでもやったことの意味というのは出てきたわけですから、矛盾したことを言っていることは承知の上なんですが、私は、Embryonic  stem cell とEmbryoとはでき上がったものは違うという認定のもとに、EmbryoからEmbryonic stem cell  を作るところについては分けて議論しようと。本来は分けられないことを承知の上で分けて議論しよう。それぐらい重要なことだと。

(武田委員)    

  今、つくるもの、使うものと両方の議論がありますけど、使うことについて、臨床医学というのは非常にES細胞からの発展する新しい医療ということは期待していると思います。だから、これは使える方向でちょうど今、遺伝子治療が随分、初めは厚生科学審議会のレギュレーションの中にありましたけれども、P53なんかのものは各大学の倫理委員会に任せたように、だんだん拡大していっていますね。そういう方向性をES細胞は持っておりますから、少なくとも責任遺伝子の解明とか、あるいは遺伝性疾患に多分限らないでしょう。疾患の基本的な治療という点では、今後やっていかなくてはいけない有用な方向性はあると思うんですね。そういうことを認識した上で、一体どういうふうなレギュレーションを行うかということが基本ではなかろうかと思います。

(木勝(ぬで)島委員)    

  作成と使用について分けて議論するうえで、一つ大事だと思うことがあります。作成するときにいろいろな条件をつけるとします、こちらでの政策の検討の結果として。例えば胚の提供についてカップルからちゃんと自由な同意をとっておかなければいけないとか、中絶胎児の場合だったら、中絶の決定と切り離して譲渡の許可を得なければいけないといった決まりが必要だと思うのです。そういう条件づけと同じルールを、よそでつくったものをもらって使うときにも、その出所に対して、こういう条件を守った上で取得されたものであるかを確認することを義務づける必要があると思います。 

  それを一番感じたのは、ヒトゲノム研究のときです。人から遺伝子を採ってきて、元は血液であったり、いろんなものであったりするんですが、そこからゲノム、あるいは遺伝子の研究をするとき、その研究者が医師ではなくて、生物学者だった。そうすると、どういう人の何を材料に使っているんですかという質問が市民からあったとき、その先生は答えられなかったんです。私たちは知りませんと言われたんですね。今まではそれでよかったかもしれませんが、これからは、人間の素材を使う場合は、それでは許されないでしょう。医療現場とは関係ない実験室で研究している生物学者も医学者も、ヒトの素材を使うときには、一定の倫理的要件を満たしたものであるかどうかの確認を義務づけられるべきだと思います。

  例えば中絶胎児を使う研究は、今、日本でもいろいろ行われておりますが、その場合は、提供協力病院として産婦人科の病院がある。その産婦人科の施設の倫理委員会を通って、そのルールにのっとってちゃんと同意条件などを満たして採られてきたものであるということを提供協力者に確認してもらう。使用する施設はそこまでちゃんとやらなければいけないでしょう。使用する施設は必ずしも医療機関ではないことがあるので、できたES細胞を使用する場合を別に分けて考えたとしても、そういう条件の特定とその確認の義務づけのような規制が必要ではないかと考えます。

(豊島委員)    

  ちょっとだけ今のところから外れますが、勘弁してください。先ほど武田先生が言われた中で、例えば遺伝子治療に関して、各大学の倫理委員会に任されたとおっしゃいましたが、任せておりません。これは誤解です。P53など使うのに関しましても、まだ各大学の倫理委員会がそれをこなせるところまできちっといってないというふうな判断です。将来は医療としてもそういうふうになってきた場合には、それはきちんといろんな条件がクリアされたら、今の一般の薬剤と同じように、きちっとどこかに登録して、それを治験という形で審査された上で許可されるようになるということは考えられますけれども、今の段階ではまだそこまでいっておりませんので。 

  もとへ戻らせていただきますけれども、現在、医学の畑では再生医学というのが非常に進んできていて、将来の発展を、今、武田先生がおっしゃるように、皆さん非常に待望しているわけですね。人間から臓器をとるんじゃなくて、とってきた素材を使って、そこにいろいろな形でのstem  cell を組み合わせれば、もう少しうまく臓器のリペアができるんじゃないかというのが、これがこの次の問題。そのときに、現時点では、それぞれのヒトの持っているところからのstem  cell をいただいて、それを何とか組み合わせて、うまく増やしてやろうということですが、今のような状況になってくると、勝木先生のお話じゃないけれども、ES細胞からそういうものができないかというのが非常に大きな要望として出てくる。それをどういうふうにしてこれから先、規制あるいは応用していくか。それから、もしstem  cell が使えるようになったとしても、今度は、そのstem cell の中に核移植で自分の抗原を入れていきたいということ、新たな形に持っていくということは当然起こると思いますが、そういう意味での広い形での規制も含めてどういうふうにするべきかということは考えたいなという気がします。

(岡田委員長)    

  だんだん時間がなくなってきましたけれども、これ、大分大変な作業みたいだけど、方向性として、ESなんか全面禁止せいという話には、これからもならんでしょう。なるかな。ですから、そっち側のほうの圧力はそれほど大きくはなくて、進めたいという圧力のほうが多分強いだろうと思いますが、それを動かしていくためのガイドラインとしては、こういう形のものなら何とか動けるだろうかというような感じのものに多分、この委員会はなっていくんですかな。委員会としては。どうなんでしょうね。

(勝木委員)    

  今の先生のご意見なんですが、さっきの基礎科学的な観点から申しますと、安全性とか、そういうことがとても気になることの一つです。非常に能力のある細胞であるだけに、そういう基礎科学的なところをきちんと押さえるのが現在の段階では一番大きな問題と思います、私は。つまり、繰り返し私は申しているんですけど、ほんとに何もわかっていないのに、全部わかったかのごとく報道されていますし、そういう前提で発言するわけですね。ですから、先ほどの細胞のそういう基本的な性質というものをきちんと現在の段階で研究する対象としてES細胞を使うということについては、それはヒトES細胞でなければならないという局面があります。おおよそのことを射程に入れての話ですけれども、そういう研究はぜひやるべきだと私は思います。 

  ただ、問題は、だから、そこのところを、木勝島さんがおっしゃったけれども、前もって倫理的なものを決めておいて、それにもとらないようなものだけを許すと、いわばそういうことですね。そこもおそらく、今、議論を始めたら、とてもすっ飛ばさざるを得ないぐらいのことで、もとのところはもとのところでここできちっとやって、武田先生もさっきおっしゃったので、それにしり馬に乗って申し上げるんですが、産婦人科学会という非常にプロフェッショナルではあるけれども、同時に利害関係者の集団ではなくて、我々が利益を受けるほうと同時に、先ほど申しましたように、もしかしたら危険とか倫理にもとるようなことがあるかもしれないので、それについて切り離して議論をする。切り離してというか、ES細胞を使わないという議論は、おそらく私はあんまり意味のないことではないかというふうに思いますけれども。

(迫田委員)    

  自分はどういうふうに考えるかということはよくわからないんですが、勝木先生のお話を伺っていると、つまり、ES細胞の作成は、例えばとりあえず禁止、あるいはしばらく禁止。ゲロン社のES細胞を用いて研究することについて登録制だか、ガイドラインだとかをつくりましょうというようなことをおっしゃっているというふうに理解できるんですね。そういうことについて、ほかの皆さんはそれでいいんですかという感じで、研究者の皆さんはそういうふうにお考えになるのかしらというふうなのが私の疑問です。

(岡田委員長)    

  木勝島さんの発言の中にあったわけですね。

(迫田委員)    

  というか、作成禁止で使用するだけするというのでいいんだろうかという。

(岡田委員長)    

  どうやっていったらいいかというのは相当難しいですが、今お話しになった迫田委員と勝木委員のほうのお話ですね、こういうのははっきりさせておく必要があるかもしれません、この委員会として。いろんな問題がたくさん出てきたけれども。

(武田委員)    

  今の迫田さんと勝木先生の方向だけではなくて、ビジネスライクなものを探そうとする動きはたくさんあるわけですね。それはそれなりにガイドラインをつくらないといけないんじゃないかなという感じがしているということですね。それは、だけど、クローンのガイドラインとか禁止条項とかいうものとは本質的に少し違うように思います。したがって、ここで言うガイドラインというのは、一つの方向性を示せば、あれはだめです、これはどうですというふうなはっきりした、いわゆるレギュレーションという形でのあれは必要ではないんではないかという感じがするんですね。必要ではないと言うと……、少なくともクローニングというものと少し距離があるように思いますし、方向性として、つくる側と使う側と両方あって、つくる側のことはさておいて、使う側の立場から見ますと、これは多分、医療でこれから、これができることを望む方向にいくんではなかろうかと思います。そこがどこから出たものであれ、それが非常に有効で、安全性が確認されれば、それは使う方向にまたいくだろうと。そうすると、つくるということと使うということとは少し切り離して考えないと、話が常にこんがらがってしまうような感じがするんです。

(木勝(ぬで)島委員)    

  私は、どういう規制がいい悪いとか、ああしようこうしようという中身の議論は今日はしてないと考えています。基本的な検討の方向や考えられる論点はこうだとしか言っていません。私は、作成と使用に分けるにしても、研究計画審査をするしない、公的な計画審査をするしない、施設内の自主的審査にゆだねる、ゆだねない、施設限定をするかしないか、先ほど申し上げた取り扱い責任者を医師に限定するかしないか、目的を限定するかしないか、するとすれば、どう限定するか。そうした論点を作成と使用それぞれについて書き込んでいくマトリックスを作って検討していくべきだと思います。 

  私は、ヒトの胚を使う研究計画については、少なくとも今の日本の遺伝子治療並みの審査体制を設けてもいいのではないかと考えています。文部省の告示を改めて拡充するなり、充実するなりというのも一つの手ですし、そういう政策オプションについてはいろいろあると思います。全面禁止だ、全面認可だという、そういうオール・オア・ナッシングということはあり得ないと思います。

(勝木委員)    

  私がオール・オア・ナッシングなことを言ったように聞こえたかもしれませんが、木勝島委員のような考えで申したわけです。そのときの線引きのところに性質の違うものが二つあって、使用することについては、ゲロン社でできたものがそこにあるんだというふうに、少しそこは飛びますけど、そういうふうに申し上げたのです。ですから、先ほど余剰胚をどうするかとか、中絶胎児をどうするかというような議論が出ていますけれども、そういう議論というのはとても大事で、例えば余剰胚という言葉そのものから受ける感じは、私はとても困ったなというか、どう反応していいかという、余剰ということが果たして適当な言葉なのかどうかというぐらいに考えるものですから、結局、ヒトの胚に対する特別な審査体制というのをいずれにせよつくる必要性は消えていません。その延長上にES細胞もあるんだということを申し上げました。

(事務局)    

  もう時間が来ておりますが、次回以降の進め方を考えますと、時間をかけて議論すべき項目と、急いで議論をしておかないと事態が先行してしまう事項と、両方あると受け取っております。したがって、議論の順番をどうするかということになるのと思います。お話を承っておりまして、まず、使用をするという段階、特に外国でつくられたES細胞を使用するというものについてどう考えるかというところを最初に議論をして、そのほかのところについては、長期的にはすべて議論していくという立場に立ってそちらについても、議論の段階ごとに、議論が進んでいくに従ってだんだんと考え方が少しずつ整理されていく。それに従ってだんだんと、もしかしたら許容範囲が広がっていくかもしれないし、広がらないかもしれないというステップワイズの議論をしていただくのかなという印象を先ほどから持っております。 

  したがって、次回について、使用の段階、特にヒトの胚が産み出ない、そういった個体を産み出さないようなものについて議論をお願いをまずしてはどうかなと。そこが多分、勝木先生がおっしゃられた、ゲロン社のES細胞を使って研究されるという、当面、非常に研究圧力が高い部分ではないかと思いますし、ほっておくと、何もないままどんどん事態が先行してしまう部分であるのではないかと思いますので、そこについてご議論をお願いをしてはいかがかと思います。その段階では作成についての考え方とか決まってないわけですので、いろいろな前提条件を厳しくとった上で使用についての検討をするということになるのではないかと思うんですが、その議論をとりあえず行って、その次の段階で、作成あるいはヒトの胚を産み出すような使用の研究等々を順次ご議論をお願いできれば、当面事態が先行してしまうというようなことを防げるということと同時に、長期的な議論についてもきちっと対応していくということになるのではないかと思いました。

  その辺、次回以降の議論をどのように事務局のほうで対応し、資料を用意しというようなことを考えますと、その辺の進め方について、ここで方向をお示ししていただければありがたいなと思いますものですから、その辺を申し上げました。ありがとうございます。

(勝木委員)    

  今のは、先ほど木勝島さんがおっしゃったように、具体的に審査体制というようなものを考えていくときの議論と一緒にしたほうがいいんじゃないでしょうか。そうしないと、また、要するに野放しになるということの不安があるわけですから、それのほうがいいような気がしますけど。

(岡田委員長)    

  今お話のあったようなことも含めて、次回どうするかというのを少し考えていかなければなりませんが、会の前に、こんな形の討議ということでという大ざっぱな内容、それを委員の方に回しておいていただいて、それで整理していったほうが、どっちにしろいいような気がします。ここで資料をさっと見てという形も、時間との関係もありますので、なかなか大変だと思います。資料を前日ぐらいまでには皆さんのところに送っておいていただくという形でやっていただけると非常にありがたいのですが、できることなら。 

  そういうことで、きょうの議論、非常にフリーに話をしていただきましたので、いろいろな問題が出てまいりましたが、まとめまして、事務局と相談して、次回の方法を少し考えて、皆さんにあらかじめご連絡するというふうな格好をとりたいと思いますので、よろしくお願いします。

  では、どうもきょうはありがとうございました。