3.大学、国立試験研究機関の動向 大学発ベンチャーの状況

 我が国の大学発ベンチャーは欧米に比べて数は少ないが、近年増加傾向にある。

大学発の技術系ベンチャーの日米欧対比

アメリカ(1998) 279社 「AUTM Licensing Survey FY1998」より

ドイツ   (1997) 650社 「アテネプロジェクト報告書1998」より

イギリス(1996) 46社 「貿易産業省『Industry-University Co-operation Survey』 1996」より

日本(1999) 26社 「大学等発ベンチャーの現状と課題に対する調査研究」より

科学技術政策研究所等調べ

我が国における過去5年の大学等発ベンチャー企業設立数

我が国における過去5年の大学等発ベンチャー企業設立数

※ 調査時点(2000年9月現在)において存在する大学等発ベンチャーを対象としている。
 このため、過去に設立されたものの既に倒産したものは含まれていない。

「大学等発ベンチャ-の現状と課題に関する調査研究」の概要

1.本調査研究の位置付け

 文部科学省の「平成12年度21世紀型産学連携手法の構築に係るモデル事業」の一環として、筑波大学(先端学際領域研究センタ-リエゾン推進室長菊本虔教授)と高知工科大学(工学研究科近藤正幸教授)とが共同実施

2.概要

(1)第一次調査(平成12年9月実施)

 全国の自然科学系の学部・研究科を有する国公私立大学・高等専門学校、都道府県及びTLOの計400か所を対象とするアンケート調査の結果(回答率77%)、日本の大学等発ベンチャ-企業が128社に上ることが、初めて明らかとなった(ただし、起業しても既に倒産している企業は対象外)。

  • 大学等別では、龍谷大学(19社)、大阪大学(9社)、慶応大学、高知工科大学(6社)など、61校(国立大37、公立大3、私立大15、国立高専5、私立高専1)が関与
  • 大学等の関与の仕方(複数回答)としては、「人材移転型」が最も多く(70%)、次に「技術移転型」、「出資型」が20%程度
  • 起業に関する教育や相談機関の有無をはじめ、起業支援についての環境整備は、全般的に見て、私立大学よりも国立大学の方が積極的
  • 私立では、兼業規制が原則禁止から無制限までの対応の差が大きいほか、1大学で19社ものベンチャ-企業に関与しているところもあるなど、大学等間の格差が顕著

(2)第二次調査(平成12年11月実施)

 第一次調査で明らかになった128社を対象に、詳細な調査を実施(回答率57%)

  • 事業規模の平均像は、資本金1,000~3,000万円(42%)、社員1~9人(計70%)で、これらは起業時より増加。売上高は年1~5億円(36%)
  • 過半数(計63%)が10年以内の株式公開を目指している。
  • 起業時の資本金の出所は、創設者の自己資金の割合が高い(75%以上との回答が64%)。
  • 現在の問題点としては、「スタッフの確保」(31%)、「資金調達」(29%)が多く、さらにその内訳では、「技術開発のスタッフ不足」(13%)、「研究開発資金の不足」(12%)といった最も基本的な部分が問題となっている。

※ 本調査における「大学等発ベンチャー」の定義
 → 大学や高専(以下、大学等という)が関係して設立されたベンチャー企業のことで、関与の種別に応じ、以下の分類(複数回答)を使用。

(1)大学等または大学等の教員が所有する特許を基に起業(特許による技術移転型)

(2)大学等で達成された研究成果または習得した技術等に基づいて起業(特許以外による技術移転(または研究成果活用)型)

(3)大学等の教員や技術系職員、学生等がベンチャー企業の設立者となったり、その設立に深く関与したりした起業。ただし、教員等の退職や学生の卒業等からベンチャー企業設立まで他の職に就かなかった場合または退職や卒業等から起業までの期間が1年以内の事例に限る。(人材移転型)

(4)大学等やTLOがベンチャー企業の設立に際して出資または出資の斡旋をした場合(出資型)

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課

(研究振興局研究環境・産業連携課)

-- 登録:平成21年以前 --