1.我が国における産学官連携施策 大学等の諸制度等の改善
(1)共同研究・受託研究の推進
1 国立大学、国研等の構内への国以外の者による共同研究施設の整備の促進(研究交流促進法の一部改正:平成10年8月施行)
- 国と国以外の者の研究交流を促進するため、一定の要件を満たす場合には、当該研究施設のために使用する土地の対価を時価よりも最大5割まで減額することが可能
- 平成11年度から不動産取得税、平成12年度から固定資産税の軽減措置も創設(研究交流促進税制)
2 会計手続の簡素化(平成10年度から実施)
- 国立大学と民間等との共同研究や受託研究の経費について、謝金・旅費など3つの費目を統合して新たな費目(産学連携等研究費)とし、研究計画の変更に柔軟に対応
3 受託研究等に係る資金の受入れ等の円滑化(産業技術力強化法関連平成12年度から実施)
- 国公立大学において、受託研究及び共同研究を行う場合の研究資金の受入れ及び使用を円滑化(複数年度契約の可能化等)
4 インセンティブの向上(平成12年度から実施)
- 研究者や大学の特許取得や受託研究の実施へのインセンティブを高めるため、国有特許に係る特許料収入や受託研究に係る間接経費の一部を当該大学に配分
5 共同研究等に従事する非常勤職員の給与の取扱いについての弾力化・簡素化(平成13年度から実施)
- 企業との共同研究・受託研究の効率的な遂行に資するよう、当該研究に従事する非常勤職員(学生を含む。)に対して、大学の判断により、能力に見合った給与の支給を一定の範囲内で可能に
(2)特許取得・研究成果活用の促進
1 技術移転の促進(大学等技術移転促進法の制定:平成10年8月施行)
- 大学における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進を図るため、TLO(技術移転機関)への助成金の交付などの支援を実施
- さらに、TLOの特許料等も軽減(産業活力再生特別措置法:平成11年10月施行)
2 TLOの国立大学施設の無償使用(産業技術力強化法関連平成12年度から実施)
3 特許料等の軽減(アカデミック・ディスカウント)(産業技術力強化法関連平成12年度から実施)
- 大学等の研究者及び公私立大学の設置者に対する特許料等の軽減措置を導入
4 国有特許等の円滑な譲渡等(平成13年から実施)
- 国に帰属する「特許を受ける権利」や「共有に係る特許権」の譲渡等を促進するため、随意契約による取扱いの範囲を整理
(3)人的交流の促進
1 国立大学教員や研究公務員の兼業等(営利企業の役員以外)
- 平成9年度から、兼業許可基準を緩和
-兼業の許可件数及び1週間当たりの延べ従事時間数の制限を撤廃
-企業での研究開発・技術指導に関連した兼業(技術コンサルティング兼業)を原則許可
- 平成12年度から、TLOが行う技術コンサルティングへの兼業も可能に
- さらに、民間等との共同研究や国から民間等への委託研究に関連した休職は可能
-その際、一定の要件を満たせば、退職手当の算定に際し、休職期間の1/2を除算せずに在職期間として通算
(研究交流促進法、平成9年:教育公務員特例法の一部改正)
2 国立大学教員や研究公務員のTLO役員兼業(平成12年度から実施)
- TLOの役員への兼業について、国家公務員法に基づく人事院規則の整備により一定の条件の下で承認
3 国公立大学教員や研究公務員の民間企業役員兼業(産業技術力強化法関連平成12年度から実施)
- 国立大学教員や研究公務員の民間企業役員兼業について、国家公務員法に基づく人事院規則の整備により一定の範囲で承認。公立大学教員についても各自治体が同様の措置
-研究成果の事業化を目的とする役員への兼業
主として役員の職務に従事する必要があるときは、人事院の承認を得て休職にすることが可能
-株式会社等の監査役への兼業
4 大学教員や研究公務員の任期付き任用
- 大学の教員の任期を定めた採用を実現(大学の教員等の任期に関する法律(平成9年))
-各大学の判断で任期制の導入やその範囲(新採に限らず内部登用も可)、任期の長さ等を決定可
- 若手研究者の任用や優れた研究者の招へい
(一般職の任期付き研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律(平成9年))
-研究公務員を任期付きで特別の俸給体系により採用することを可能に
-若手の研究者の能力を涵養する場合:原則3年(人事院の承認を得て5年)
-特に優れた研究者を招へいする場合:原則5年(人事院の承認を得て7年、特別の計画に基づくプロジェクトでは10年)
- 研究公務員の採用について任期を定めることを可能に(研究交流促進法(平成4年改正))