産学官連携基本戦略小委員会(第5回) 議事録

1.日時

平成22年7月14日(水曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 産学共創の場の構築について
  2. 産学官連携基本戦略小委員会における調査・検討状況報告(案)について
  3. その他

4.議事録

【西山主査】 

 それでは、ただいま、ほぼ定刻となりましたので、第5期科学技術・学術審議会技術研究基盤部会産学官連携推進委員会基本戦略小委員会の第5回を開催いたします。
 本日は、オブザーバーといたしまして科学技術振興機構の菊池部長及び森本部長にご出席をいただいております。後ほど森本部長にはご説明をいただくことになっております。

 初めに、事務局から異動についてご紹介いただくとともに、委員の出欠の確認と配付資料の確認をお願いいたします。

(山﨑技術移転室長補佐より異動の紹介、委員の出欠及び配布資料の確認)

【山崎技術移転推進室長補佐】

 まず、7月1日付で事務局の異動がありましたので、ご紹介申し上げます。研究環境・産業連携課専門官、井上弘亘が着任いたしました。

【井上技術移転推進室専門官】 

 よろしくお願いいたします。

【山崎技術移転推進室長補佐】 

 ありがとうございます。

 委員の出欠でございますけれども、欠席のご連絡をいただいておりますのが、柘植委員、渡部委員のお二人でございます。なお、竹岡委員はおくれてご出席されるとのことです。

 それでは、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第をごらんいただきたいと思いますが、本日は、配付資料4でございますが、まず資料1「産学共創基礎基盤研究について」ということで、これは後ほどJSTの森本部長からご説明いただく資料でございます。資料2_1は、「調査・検討状況報告(案)」でございます。続いて資料2_2でございますが、この検討状況報告の概要になってございます。それから、資料2_3は、この施策取り組みの工程表ということでご用意させていただいております。
 ほかに、机上配付の参考資料として、ブルーのファイルにここに書いてあります資料を机上配付しておりますので、ご確認いただきたいと思います。
 なお、落丁や欠けている資料がございましたら、事務局までお申しつけください。

 以上でございます。

【西山主査】 

 それでは、早速議事に入りたいと思います。

 本日は、お手元の議事次第にありますように2点の議題がございまして、産学共創の場の構築ということと、本小委員会における調査・検討状況報告(案)ということの2点でございます。

 最初に、議題の1に入らせていただきます。
 議題1は、「産学共創の場の構築について」です。現在、産学共創の場について科学技術振興機構の検討会において鋭意検討を進めておりますので、その状況を科学技術振興機構の森本部長より報告していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(森本部長より資料1について説明)

【森本部長】

 おはようございます。科学技術振興機構(JST)の森本と申します。本日は、JSTが検討を進めております産学連携支援の制度につきましてご紹介させていただく機会をいただき、ありがとうございます。

 では、早速ですが、お手元にございます資料1を用いましてご紹介させていただきます。
 JSTでは今年度、産学共創の場の構築としまして、「産学共創基礎基盤研究」という新たな制度の試みへ向けて検討を行ってまいりました。本制度の内容をご紹介さしあげる前に、まずは3ページをごらんいただきまして、JSTが現在行っております産学イノベーションを加速する制度についてちょっとご紹介させていただきたいと思います。
 こちらにございますように、現在、2つの制度、「戦略的イノベーション創出推進」及び「先端計測分析技術・機器開発」という2つの制度を走らせております。前者のほう、「戦略的イノベーション創出推進」では、JSTが既に行っております基礎的な研究の取り組み、そこから創出されました成果をもとにしまして、産学のコンソーシアム形式で新産業の創出の核となる技術を開発し、イノベーションを加速していこうというもの。一方、「先端計測」のほうでございます。こちらについては、先端計測分析の技術を開発しまして、研究開発の活動を支える基盤の強化を図る、こういった2つの制度を既に走らせております。これらの制度、それからJSTのほかの産学連携の制度、あるいは他機関が行う産学連携の支援の制度、いずれも、それらの多くは、学から産、シーズからニーズへの技術移転、というようなことが中心に考えられていたと思います。今回、新たに始めます「産学共創基礎基盤研究」、この制度では、産学イノベーション、この事業の3本目の柱としまして位置付けております。簡単に申し上げますと、今までのシーズからニーズ、学から産へという技術移転という発想を転換しまして、いわゆるディマンドプルとも言われておりますが、そのような形で産学の対話を通じたキャッチボールを行うことによって、スパイラル的な発展、いわゆる知の循環システムというようなことを位置付けて考えております。つまり、ここにございます産学連携の領域を基礎研究領域まで拡大し、産学の対話のもと、大学等が産業界に貢献する基礎研究に取り組むことにより、産業競争力の強化及び大学等の基礎研究の活性化を図るということを考えております。
 1ページ戻っていただきまして、2ページにありますこちらの絵が、本制度の概要を示しております。本制度のキーは、見出しにございますように「「知」のプラットフォームの構築」ということにあります。これは、新成長戦略の実行計画工程表にも記載がございまして、産学の対話による「知」の創出段階からの協働、つまり非競争の領域、それと競争の領域、これら2つを「「知」のプラットフォーム」と定義しております。本制度について具体的にご説明させていただきますと、この左上、緑の「産業界」というところがございます。この産業界から産業界共通の解決すべき課題、議題、問題というようなものを提案していただき、これを技術テーマとして位置付けます。この技術テーマを、産学の出口のイメージとして産と学で共有していただきまして、これを大学が擁する「知」の学の知、これを活用して解決を図っていこうというものでございます。技術テーマの解決を果たす大学を募りまして、基礎研究を実施していただきます。得られた成果、解決策については、産業界へ提案していただくことになります。大学においても、産業界の知見を基礎研究にフィードバックすることで一層の基礎研究の活性化が期待されると考えております。産業界がディマンドを示し大学が解決策を示すという成果の共有を通じて、産学が対話する「共創の場」を形成し、産学がより好ましいパートナーを獲得する、そして、「知」の循環を起こして、将来のオープン・イノベーション、国際標準化、人材育成といったものにつなげるというものです。いわば産と学の「共創の場」、これを共同研究の苗床としての役割、こういうものを果たしていければと思っております。本制度を通じまして産と学が特定のパートナーを見出しまして共同研究が進んでいけば、それはもう非競争の領域から競争の領域、こちらのフェーズに移ります。ここまで行きますと、JSTが既に行っていますような制度で産学共同を行っていく、あるいは省庁の壁を超えて適切な制度を用いる、規模や内容に応じて適当な制度を用いて次のフェーズに進んでいくというようなことを考えております。今年度は、2件の技術テーマについて本制度で推進をしたいと考えております。1技術に10大学程度に参画してもらいまして、課題の解決策を進めていただきたい、基礎的な研究の知見から進めていただきたい。1大学へは1,000万円から3,000万円程度の予算を準備させていただきたいと考えております。また、研究のフェーズが進むに従いまして、大学が果たすべき役割も移り変わっていきますので、2年程度で大学には次のフェーズに渡すべくバトンを渡していただきたい。制度全体としては、10年程度で「知」の循環を起こし、こちら、最終の出口、オープン・イノベーションなどにつながっていけばと考えております。
 4ページに進めさせていただきます。今申し上げましたような基本スキームのもとに、有効に機能し得るような仕組みはどういったものかということを、産官学の有識者の方にお集まりいただきましてご議論いただきました。
 5ページにございます、検討会でお集まりいただいて議論したメンバーの方々です。「科学技術と経済の会」鈴木様に議長を務めていただきましてご議論いただきました。今までに3回の検討会を開催しております。
 6ページに、検討会でいただきました主な議論についてまとめさせていただいております。まず、制度の趣旨につきまして、基本的なディマンドプル、産業界からの共通の課題を学の「知」で解いていこうと、こういう考え、あるいは非競争の領域、前競争の領域、そういったことを対象とすること、あるいは産学の対話を持つことの重要性、これらについては皆様から支持をいただきましたが、一方、いかに具体的な課題を見つけて取り組んでいくか、そして課題解決、大学に基礎研究のフェーズで課題解決を取り組んでいただくためには、具体的な数値目標であるとか、具体的なテーマの細かいスペックまでを盛り込む必要がある、こういうことの重要性についてもご意見をいただいております。また、制度の運用につきましては、支援の金額、期間、想定しているものもありますが、やはり内容に応じて柔軟に考えるべき、幅を持たせて実行すべきであるというようなこと、それから、進捗の管理や評価には企業の厳しい視点で臨むべきであるということ、それから、プロジェクト全体を引っ張っていくPOの方の人選は非常に重要であるというようなことの意見もいただいております。また、そのほかにも、企業がどうしても絡んできます。企業のディマンドというものが出てきますので、やはり企業の秘密の保護、それから成果の取り扱い、情報の共有の仕方、こういうものについては考えを事前に明らかにしておく必要があること、それから、企業や産業界あるいは基礎研究を行う研究者、双方にとっても魅力のあるインセンティブが見えるようにしておく必要があること、このような意見をいただいております。また、新たな制度としての取り組みでございますので、具体的なイメージを持っていただけるサンプル、こういうものをつくってお見せするのがよいのではないかといった意見もいただいております。
 7ページになります。これが、我々、検討会を通じて、それから基礎的なスキームで考えていたことを一目であらわす、こんなような図になります。赤い部分、非競争の領域、この部分が、我々が、今回、対象にしたいと考えている部分でございます。産業化の進展度、これはまだまだ要するに前競争、競争前の段階であるというもの、それから産業界として共通の解決が求められる、要するに非競争の領域であるというもの、このようなものを考えております。本制度の運用とともに時間が経過していけば、特定の大学と特定の企業が特定の研究の課題で連携が強まっていく。こうなりますと、非競争の領域から競争の領域へフェーズが移ることになります。これらすべてを「『知』のプラットフォーム」としてとらえております。産学の対話を通じて、左下から右上にフェーズが進んでいけば、これが、我々が果たすこの制度での役割であると考えております。具体的な制度の仕組み、進め方について、このような流れを考えております。産業界から技術テーマを募集し、その後に大学等に対して技術テーマの解決をするため研究課題を募集します。ここでポイントとなりますのが、産と学の対話というものをこのプロセスの中で設けていくことだと思っております。産業界は産業界のディマンドを示した、大学は解決策を示したと、双方が一方的に言うのではなく、お互いにすれ違いのないように、やってほしいこと、やったこと、できたこと、こういうものを、対話を通じて相互理解をしていくことが大切だと考えております。新たな施策でございますが、今年度はこのように進めていきたいと考えております。これまでに制度の大まかな在り方については議論をいただきましたので、できるだけ早く技術テーマの募集に入りたいと思っております。その後、産学の対話の場などを設けて、課題については今年度中に選び、1月には研究が開始できるようなスケジュールでいきたいと思っております。また、何しろ新しい取り組みでございますので、想定していたことを超えるようなご意見、要望、要求、あるいはいろいろな問題があるかと思いますが、前向きに取り組んでいきたいと思っております。制度運営上の初期的なふぐあいなどは今年度中にできるだけ解決して、来年度は少しフェーズを早めた前倒しのスケジュールで臨みたいと考えております。先ほども申しました委員会でも、わかりやすい事例を示してはいかがかというようなことで幾つか事務局として産業界の方に接触してお話を聞いてまいりました。ここでは、これら2つの事例を示させていただきました。あくまでもイメージでございます。実際にどのようなものになるかわかりませんし、また、実際の研究の課題を設定するということになりますと、本制度の検討会でもございましたように具体的なスペック、数値目標、このようなものも入れ込んでいかなければいけないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、社会的に優先度の高い技術課題を重点的に解決すべきではないかと考えております。

 繰り返しますが、これら2つ、あくまでも事務局が産業界の方からお話を聞いてつくった事例ですので、そのようにご理解いただければと思います。

 簡単ですが、以上でございます。ありがとうございました。

【西山主査】 

 どうもありがとうございました。

 早速ですけれども、ご質問、ご意見、お願いいたします。

 どうぞ。

【森下委員】 

 制度自体は非常にいいかと思いますし、今までなかったようなタイプの研究課題になっておもしろいと思うんですが、先ほどお話があったように、大学、10大学で各大学1,000万円ずつぐらいというお話でしたね。各大学に対しての基金です。そうすると、1,000万円でできることはそんなにないと思います。正直、国の将来をかけるような大型プロジェクトをするにしては、金額が、割り振りが少な過ぎるのではないかと思います。むしろ、5,000万円ずつぐらいで3大学、4大学のほうが、よほどいいものが出るのではないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

【森本部長】 

 類似の意見といいますか、我々も懸念しているようなところが少しございます。
 ただ、新しい制度でもありまして、まずは10大学ほどに広く浅くというような、ちょっとそう見えてしまうものになっていきますけれども、研究のフェーズが進んでいくに従って、おそらく産業界のニーズにこたえられる大学と、思ったほどではなかったものと分かれてくると思います。そうすると、少しずつ注力をしてフォーカスしていけたらと今は考えております。

【森下委員】 

 もう1点ですが、当然、産業界からのニーズが大事と言いながらも、産業界などはもう自分のお金を使わない限りは、あまり本気でやらないと思うんです。例えば再生技術が出ていますけれども、今一番問題は産業界が乗ってきていないことが原因だと思うんです。決してニーズがある領域ではないように思います。そうすると、産業界のほんとうのニーズをどうやって酌み上げるのか。本当のところを言うと、産業界の方はお金を出してもいいぐらいのものがニーズだと思います。必ずしもそこが見えていないように思うのですが、それはどのように今後していくんでしょうか。

【森本部長】 

 我々も試行錯誤してやっていこうと思いますが、まずはここにございます左下の領域、おそらくこんなにきれいなピンクの大きなところではないと思うんです。ほんとうの非競争の領域、企業が個別の将来を考えずにやれる領域は、もっと小さい、ほんとうは左下なのかもしれませんが、まずはその部分を対象にしてみたい。企業が自分のお金を出してでもやりたいとなりますと、競争領域、右上になってきますので、まずは左下の非競争の領域に少しこだわってみたいと考えております。

【西山主査】 

 どうぞ。

【秋元委員】 

 今の森下さんの意見と非常に似ているところがあって、このテーマを選ぶときに、外部有識者へのインタビュー、必要に応じてワークショップ開催と、この辺、どのぐらい産業界のニーズを聞かれて、あるいは具体的にはどんなテーマがこの再生医療、臓器再生以外に出てきたのか、ちょっと教えてほしいんですが。

【森本部長】 

 スケジュールでちょっともう少しちゃんと述べればよかったのですが、まだ技術のテーマの公募が始まっていないんです。もう近々始める予定でおりますが、今まだ制度の基本的な設計の段階で、委員の方にお集まりいただいて検討したところでございます。少なくともこの委員の中には、産業界の方がいらっしゃいますので、そのあたりの方にお話をまだ聞いた程度ですので、これからいろいろ集まってきたら、これはと思うものについては、少し制度をちゃんとご理解いただいて深堀りをしていく必要があるのかと思っております。

【秋元委員】 

 そうしますと、今年度は、この臓器再生技術開発というこの中からテーマを選ぶということですか。

【森本部長】 

 いえ、これはそうではございません。あくまでも例示です。新産業に向けた業界の課題、共通の課題に対して研究をやっていくというようなスタイルがなかなか今までにないもので、イメージが伝わりにくいと思ったので、こういったわかりやすい例ですね、社会的に重要で緊急を要するようなものについて、事務局であくまでも例をつくってみたというところでございます。必ずしもこれになるというものではございません。例でございます。

【西山主査】 

 どうぞ。

【澤井委員】 

 今の質問にも絡むのですが、この技術テーマの募集は、だれに対して、どういう募集のかけ方をして、そのテーマの調査は具体的にどういうふうにやるのですか。

【森本部長】 

 技術テーマの募集ですけれども、我々としては、業界団体、その1社特有の技術テーマというものでは、ちょっと特定の企業の支援になってしまいますので、好ましいとは考えておりません。理想は、業界団体といいますか、先ほど委員の方の中に鉄鋼協会の方がいらっしゃったりしますが、そういう業界として業界全体の課題になっているような案件があればお寄せいただきたいというようなことを考えております。

【西山主査】 

 どうぞ。

【石川委員】 

 私、検討委員会にも入っているので、そこでも大分申し上げたので、ここで言うのも何ですが、ちょっときょうのプレゼンの中身だと、今、お三方からご質問があったような懸念が出てくると思います。基本的にはこれは本気で新産業を興すだけのテーマを民間企業が出せるかというところに尽きる話で、それを、出せるだけの場をつくれるか、大学はそれに対してどうこたえるかという問題なんです。
 これ、私はA級課題、B級課題、C級課題と言うんですが、B級課題、C級課題が出てくるのが目に見えてしまうので、A級課題を出してもらわなければいけない。ところが、企業の方はよくご存じだと思いますが、A級課題というのは自社でやる方向にあるので、その自社でやる方向の中から自社ではやり切れないA級課題をどうやって出していただくかというスキームづくりだと思うんですね。そのときに考えなければいけないことは何かといったら、基本的に業界団体の普遍的なテーマは別な課題、つまり基礎的研究の中、学会の解説誌に書いてあるようなテーマは、JSTの中でもほかのテーマでこなしているわけです。だから、そういった一般的課題はほかの科研費でもいいですし、JSTの中のCRESTでも何でもいいですが、それでやるべきである。ここでやるべきはそうではなくて、新産業を興すという目的が1つ、大きな目的があって、その新産業を興すために企業はこれだけは欲しいということを言っていただくと。逆に言えば、これだけは欲しいと言った限りは、大学がそのスペックを満たしたら、必ず使ってもらうようにオブリゲーションをかけなければいけない。それをどういう仕組み、スキームの中でやるのかが疑問です。ちょっといないところで申し上げるのはフェアではないんですけれども、ここに業界団体の方がいらっしゃって、そこから出たテーマは普通にあるテーマで、それだと、ほかの科研費なり何なりでやっていることであって、新産業を興すという意図や意識が感じられないわけです。だから、これならばこの業界をこうするならば、我々は必ず使うんだというようなテーマを出してもらう、その仕組みの問題だと思います。それはなかなか仕組みですが、その仕組みだけではうまくやっていくのは難しい。この中で私はあり得るのは、人だと思っていて、そういうことを引き出せるだけの魅力ある人が引っ張るだけのテーマが出てくるかどうかというところにポイントがあるのではないかという予測をしています。
 ですから、これは総論は非常にいい方向性にあるんですけれども、各論に関しては相当にJSTの中でテーマを出していただくスキルを磨かないとうまくいかないのではないかというコメントを大分申し上げたんですが、あまり採用されていないので、ちょっとショックを受けています。

 以上です。

【西山主査】 

 ほかにありますか。

 私から質問ですが、これはタイムスパンの問題があろうかと思うんです。それで、最終ゴールは10年後ぐらいにイノベーション達成ということをこの考え方はイメージしているのか、あるいは、イノベーションにつながることが考え得る技術テーマの1つの成果が出てきたのだというようなところを成果としてイメージしているのかによって随分違うとおもいますが、どう考えているのでしょうか。

【森本部長】 

 どのような技術テーマにするかによってタイムスパンの考え方は非常に違ってくるところだと思います。いろいろ事務局として聞いてみますと、エレクトロニクスとか材料のようなもの、比較的世に出る、役に立つ期間が短いもの、こういうものについては、おそらく10年である程度の1つの形が見えるのではないかと考えております。
 また、ライフのような問題ですね、非常に足が長いもの、こういうものはちょっと10年では難しい。そうなりますと、やはり礎を築くところまでなのかなと考えております。

【西山主査】 

 もちろん技術領域とか事業の分野によっても違うかもしれないんだけれども、何となくイノベーションを達成するということであるとすると、あまりにも何となくスケールが小さくて、そんなに簡単に、こんな程度でイノベーションができるんだったら、もうとっくにたくさんできていると思います。これは、従来パターンの域を出ていなくて、1件に3,000万円でほんとうに産業界が考えてやってイノベーションを達成できるんだったら、これは、正直言って日本は圧倒的に勝ちますよね。この施策は、草の根的にやるんだということを発掘するんだということであればいいんだけれども、ほんとうにイノベーションを達成しようと本気でやる気があるのかというようなイメージを、企業から見るとそういうふうに思われると思いますが、どうでしょうか。

【森本部長】 

 先ほどもお話しさせていただきました、この左下、ピンクの部分ですね、この部分をこの制度では担いたいと思っております。先ほどのもう一つの図、俯瞰図でありましたように、この制度ではあくまでも非競争の領域、この部分に焦点を当てたい、ここでいわゆる苗床としての機能を目指しておりまして、ここで1対1のパートナー、大学と会社のパートナーができれば、このフェーズから10年を待たずに、もう飛び出していただいて、次のフェーズに移っていただいて結構。で、ここが、いわゆる共同研究等を支援する、産学連携を支援する制度ですから、ここからイノベーションにつながっていけば、そのための苗床の制度として機能できればと考えております。

【西山主査】 

 私の個人的なイメージは、「イノベーション呼び水共同研究プラットフォーム」だとちょっと思えるんです。ですから、こういう段階が出発起点としては産業界も参画して、小さいかもしれないけれども1つの技術ができて、それを小さい小額マネーだけれどもできて、そういう部分があまり今までにないと。いわゆる科研費のレベルでは、特に企業と話さなくても純粋基礎研究型で幾らでも提案できますよね。そうではなくて、最初から企業も参画して呼び水マネー的に、企業も一部金を出したほうがいいかもしれませんけれども、そういうようなことがもっとあったほうがいいのではないかという、この課題の作戦としてはね、非常にいいのではないかと思うんですけれども、ビッグなイノベーションをつくろうとするという点では、これだとちょっと企業は乗れないのではないかと思います。お金が小さ過ぎますよ、いずれにしても。イノベーションをやるといったら、もう基礎研究といったって、ある程度芽が出ていなければ10年後にイノベーションなんかできるわけないと思います。その辺が気になりますが。

【森本部長】 

 ありがとうございます。

 ご指摘のとおりだと思っております。この制度で大きなイノベーションを起こせる規模でも金額でもないと思いまして、あくまでも対話の場、今までのシーズ・オリエンティドであったものをディマンドプルに、少しでもそういう方向での産学連携の芽が出せないかというようなのがこの制度のねらいでございます。あくまでもこの制度を完結すればイノベーションが起きるということは、今のところは考えておりません。

【西山主査】 

 例えば東大にプロプリウスという具体的な取り組みがありますよね。既にこの辺については、かなり東大としては産学連携の中で具体化を図っていらっしゃって、この部分は一部、消化されている側面もあると思うんですけれども、それと比べてどうか、何か評価されていますか。

【森本部長】 

 はい。プロプリウスについては、東大の産連本部にお邪魔しましてお話を伺ってまいりました。視点としては非常に似ているところだと思います。産業界からの要望に、プロプリウスの場合は東京大学がどうこたえられるのか、産業界のニーズを産連本部がしっかり聞いて、それを大学の中で解決できる人を募ると、あるいは声をかけるというようなやり方をしていると伺いました。非常に似ている側面があると思います。この場合ですと、東大に限らずオール・ジャパンというところがひとつ違うと思います。ただ、産業界のニーズをしっかり聞いて、それを一方的ではなく産業界と学で対応しながら解決策をねらっていくところは非常に似ていると思っております。

【西山主査】 

 ほかにございますか。

【渡辺技術移転推進室長】 

 ちょっと補足させていただきます。

 先ほど、この「「知」のプラットフォームの構築」に関しまして、予算額が少ないのではないかという厳しいご指摘をいただきました。まさに私どももそのとおりだと思っておりまして、やはり昨年の事業仕分けの影響などで、22年度予算につきましては、右上に書いてございます、たった3億円しかついていないというところでございます。しかしながら、これは非常に重要な施策だと思っておりますので、新成長戦略の工程表にも、この「「知」のプラットフォームの構築」を入れていただいております。こういったことを踏まえて、さらにこの後説明させていただきます基本戦略の中でも、今年度は試行的にやっていただいたものを、もう少し技術課題も増やす、規模も拡大していくということで本格的にこれを広げていきたいということで、むしろ基本戦略にしっかりと盛り込んでこれを拡大させていくように努力したいと思っております。

【西山主査】 

 ほかにございますか。

 どうぞ。

【竹岡委員】 

 課題の採択の最後のテーマ事例のところで、これはあくまでも事例だということで、基本的にこれ、基礎研究なのだと思うんです。しかも、3年から10年というのは、ほんとうのことを言うと今の時代からすれば、かなり時間がもう長過ぎるのではないかと思えるぐらいのあれですが。
 つまり、技術の変化がものすごく激しいですよね。こういう出口的な表題といいますか、これがほんとうにいいのかなというのはちょっと実は見ていて思って、つまり基礎研究で出てくる技術がどういうふうに変わって、実際にどういうマーケットで応用されていくのかは、実は3年後、10年後になると、変わっている可能性があるよねということが考えられるので、採択するときのこのテーマの書き方が、これは確かにわかりやすい、今の感覚で言えばわかりやすいのですが、それが逆に結果を縛ることがないような、ある種の自由さを研究者の側に確保していただけるような制度設計をしていただければと思います。

【森本部長】 

 ありがとうございます。

 事例をつくるときにも、いろいろな方にご意見を伺いまして、その中の1つに、企業の方ですけれども、10年後を今考えろと言ってもこれは考えられないというような意見をいただいております。イメージを持っていただくためにかなりちょっとわかりやすいものを強引に挙げさせていただいたというところはございますが、委員のご指摘のとおりだと思います。数年先がわからないような分野はたくさんあると思います。そのあたりについては、できるだけ柔軟に、それから、課題の採択した後も、最初の計画を最後までということではなく、これはPOに当たる方、このあたりは柔軟に技術の流れを見ながら対応していただけるように運営していきたいと思っております。ありがとうございます。

【西山主査】 

 ほかにありますか。

 どうぞ。

【飯田委員】 

 すごく乱暴な言い方をしますと、今の竹岡委員の話と関連してくるのですが、昔の漫画の世界で「将来こういうものができるといいな」という、非常に漠然としたものがありましたね。その漠然と夢を描いていかないと、結局はこういうことになってしまうので、非常に漠然としたものを出せるような雰囲気づくりが必要です。今回お金が少ないというのは、これは呼び水として次につなげていこうということしかないのかなと思うのです。幾ら何でもこれだけの予算ではできないと思いますので、ぜひ将来の夢、何となくほかの人に通じるような夢を描いていただけるとありがたいと思います。

【森本部長】 

 ありがとうございます。

【西山主査】 

 あと、もう一つの視点があろうかと思うのは、これ、産学連携でやろうとしているわけですよね。そのときに、産業界側が大学にこういうのをやってほしいということを大学が受けてやるという基礎研究だと。これはまあわかりやすいのですが、実は産業界側のほうが持っている技術がすぐれている場合も往々にしてあるわけです。そういう場合、しかし、それだけではうまくいかないと。だから、産と大学が共同でそれをやっつけるというような部分も、何か産業界がこれをやってほしいと頼んで一方的に頼むのではなくて、そういうケースもあっていいんだけれども、両方が取り組まないとうまくいかないケースもあるような気がする。それをどうするかがあまり明確に出ていない。そういうことを合わせたほうがいいのではないかと私は思います。

【森本部長】 

 はい、ありがとうございます。

 おっしゃるとおりだと思います。一番はやっぱり対話をすること、共創の場で対話をすること、これには心がけていけたらと思っております。

【西山主査】 

 どうぞ。

【澤井委員】 

 今の主査のお話にも絡むのですが、先ほど石川先生もおっしゃいましたけれども、業界にいろいろテーマを聞くといったときに、業界って枠がもうはまってしまっていて、僕は、今、どうもいろいろなところで議論していると、そこが一番問題で、むしろ業種横断的にどうやって意見を聞くかということをかなり意識的にやらないと業界の壁が崩れなくて、きょうのこのテーマも、多分、業界ではそれぞれ個々に挙がっているんだけれども、わざと外して、何か業界にまたがって何か案件がとれなければだめとか、ちょっと何か別の発想でのテーマ選定のところの中に知恵を絞ってほしいという感じがちょっとしました。

【森本部長】 

 ちょっと、あまり想定をしていなかったというか、想定していましたけれども、ちょっと難しいと思っているところだと思います。さまざまな業界から提案が寄せられた場合、おそらくその業界をまたいでも、ベースになるような部分がもしあるのであれば、そのあたりは選考のときに業界同士で話し合ってもらうというようなこと、業界をまたいだ対話というものも、これはあってもいいのかなと、やりようなのかなと、ちょっと今、思った次第でございます。

【西山主査】 

 どうぞ。

【石川委員】 

 澤井委員のおっしゃるとおりでして、私、何回も申し上げたんですが、業界がまとまって出したテーマは、もうキャッチアップのテーマか過去のテーマしかないんですよ。それを出しています。しようがなくて、次の夢をどうやって記述するかで、その夢も、ちょっと失礼な言い方をすると、企業から出てくる夢の大半はキャッチアップなんですね。大半のキャッチアップを全部捨てて、残りわずかにあるキャッチアップではない新規テーマをどうやって拾い上げるか、それが夢にどうつながるかをテーマにしなければいけないわけであって、この2つの例題なんか、もう零点なんですよ。それを総論として言うのは簡単ですが、これを実際にやるのは大変な話で、POの人のスキルを問われます。だから、それをちゃんとやれる人を育て、その人がそういう10あるうちの8のキャッチアップを捨てられるPOを育てないと、残りの2は日本の産業界の構造を変える呼び水にしようという思想をやるには、そういう方策を立てなければいけないと思います。業界間で話し合うなんて、もっとキャッチアップのほうに丸まっていくのが目に見えていますから、業界間でけんかさせるなら話は違うのですが。

【西山主査】 

 産業界も耳が痛いけれども、保守的ですからね。

【石川委員】 

 そうだと思います。東大のプロプリウスなどは、もう普通にやってしまいますと、丸っこいテーマが起きて終わりなんです。それは大学としてやっても損なんですよ。意味ないんです。そうではない、とがったテーマを丸っこいテーマの石ころの中から拾い出す作業をちゃんとやれるかというところがポイントだと思います。

【西山主査】 

 そうですね。どうぞ。

【三木委員】 

 今、石川先生が言われたので、ちょっとオーバーラップするんですけれども、このプロジェクトをやるとしたら、やっぱりPOの権限ですよね。ここにかかっていると思うんです。その辺はどの程度の権限、もちろん、POの方の質の問題とセットになるんですけれども、それをどう想定しているのかということ。
 それからもう一つあるのは、イノベーションということを言うのであれば、大学を中心にした基礎研究だけではなくて、産業界の基礎研究。ただ、大学から生まれてくる基礎研究の知財部分をどういうふうにプールするのかという問題、この辺まで踏み込んでいないと、産業界の中からいろいろな意見が出ても、まあどうでもいいようなものが選ばれてしまうような気がしますし、制度的に何を担保するのだということもないと、産業界からも積極的な意見が出てこないのではないかという、その辺を危惧するのですが、どういうふうにお考えですか。

【森本部長】 

 POにつきましては、一番の肝になるところかと思っております。産業、それから学についてある程度事情がわかっている方、いい方をできるだけ選びたいと思っておりまして、どちらかに偏っていてはいけないのかなと思っております。それで、できるだけの権限を持っていただきたい。POの采配で方向が決められるというようにしていきたいと考えております。
 それから、知財につきましては、これは非常に難しいところだと思いまして、基本、その提案をしていただける企業、業界ですね、個別の企業になりますと、その企業の知財というものは必ず守っていかなければいけないというのが基本だと思います。
 それと、どういう条件で参加していただくのか、これについては一律のものでなかなか決められないかなと。個別にかなり詳しく取り決めていかなければいけないのかなと思っております。プロプリウスにお話を聞いた際にも、一律に企業は扱えないというようなお話を伺っておりまして、個別に企業がどこを目指して、どこまで出してくるのか、これをちゃんと聞いた上でルールを決めないとなかなかうまくいかないというようなことをお伺いしておりますので、そのあたりは、そこをならわせていただきたいと考えております。

【西山主査】 

 まだあろうかと思いますけれども、議題2に移ります。

【森本部長】 

 ありがとうございました。

【西山主査】 

 議題2は、本小委員会における「調査・検討状況報告(案)」についてであります。もちろん、今までずっと議論してきておりまして、その内容をもとに案ができております。

 それでは、事務局からその説明をお願いいたします。

(渡辺技術移転推進室長より資料2_1~2_3について説明)

【渡辺技術移転推進室長】 

 それでは、お手元の資料2_1をごらんいただきますでしょうか。こちらは、前回の議論、それから、その後、各委員に対しまして書面による意見の提出を求めましていただいた意見を踏まえ、前回の骨子案をもとに「調査・検討状況報告(案)」という形で事務局で作成させていただいたものでございます。
 まず、全体像を把握していただくために、資料2_2をごらんいただきますでしょうか。こちらが、この「調査・検討状況報告(案)」の概要となってございます。前回の議論の中でこの基本戦略の全体構造、それから、国が行うべきことなのか、大学が行うべきことなのか、どの施策が重点なのかといったことがメリハリがついていないのではないかというご指摘を踏まえまして、事務局として全体として3本の柱に整理させていただいてございます。
 1つ目が「産学官による『知』の循環システムの確立」ということで、「「知」のプラットフォームの構築」、それから公的事業投資機関との連携による実用化研究支援の強化といったことを盛り込んでございます。
 2つ目が「大学等における産学官連携機能の強化」ということで、産学官協働ネットワークシステムの構築、民間企業との共同研究の戦略的推進、大学等特許の戦略的活用といったことを盛り込んでございます。
 3つ目が「産学官連携を担う専門人材の育成」ということで、産学官連携による人材育成プログラムの開発・実施、リサーチ・アドミニストレーターの育成・確保といった形で3本柱に大きく整理させていただいた上で、国が行うことにつきましては、「国は」ということで主語を明確化して、国が行う施策をクリアにしてございます。大学等に取り組んでいただく施策については、「大学等は」ということで整理してございます。この本文においても、この整理を徹底してございます。さらに、早急に重点的に行うべき施策につきましては、この青字で書いてございますように「重点施策」ということを明記させていただきまして、それがわかるような形で整理してございます。
 さらに、資料2_3をごらんいただきますでしょうか。この基本戦略における施策・取り組みについて、どういった実施主体がどういったスパンで事業を行っていくかということについて整理してはどうかというご意見もいただきましたので、こちらにございますように、それぞれ3つの柱ごとに、それぞれの施策・取り組みを書かせていただいて、その横に各実施主体、国なのか、大学等なのか、研究開発独法なのかということを整理して、さらに短期的に行う、平成22年度から23年度にかけて行うべきことと、中期的に行う24年度から25年度に行うべき事項ということを整理いたしまして、さらに特に重点的に行うものを網かけで整理させていただいたものでございます。この資料の2_2と2_3をごらんいただきますと、この基本戦略の全体像が把握できるかと思ってございます。
 それでは、資料2_1につきまして、前回の骨子案からの変更点を中心に説明させていただきます。
 まず1ページ目をごらんいただきますでしょうか。「はじめに」ということで、この基本戦略の位置付けと、これまでの小委員会における検討の考え方などを整理してございます。
 それから、2ページ目で「イノベーション・エコシステムの確立に貢献する産学官連携の基本方針」に関しましては、委員からいただいたご意見を踏まえまして、「(1)世界情勢の変化とイノベーション競争時代の到来」という小見出しをつけさせていただいた上で、本文の中で例えばライフ・イノベーションやグリーン・イノベーションなどに関する記述を加えるといったところで記載を修正させていただいてございます。
 それから、3ページのところでは、「(2)イノベーション・エコシステムの確立に貢献する産学官連携の実質化」という見出しを加えさせていただいた上で、全体の構成を整理したことに伴いまして、この図1を変更させていただいたところでございます。それから、6ページ以降が「イノベーション・エコシステムの確立に貢献する産学官連携の戦略的施策・取組」ということで、具体的な施策・取り組みを書いてございます。まず、「産学官による「知」の循環システムの確立」ということで、7ページから具体の施策ということで「「知」のプラットフォームの構築」を記載してございます。こちらにつきましては、先ほどの議題でございましたように、具体的な技術課題をどういった形でやっていくかということのイメージがわくように、先ほどJSTからご説明いただいた技術課題のイメージ例を7ページの下に加えさせていただいてございます。
 それから、8ページにつきまして、こちらもJSTにおける検討委員会における検討を踏まえて、この「「知」のプラットフォームの構築」のコンセプトを少し整理し直させていただきましたので、この図2を修正させていただいたところでございます。それから、9ページ目、「公的事業投資機関との連携による実用化研究支援の強化」につきましては、ここは基本的に大きく変更はございません。
 それから、10ページ目に「大学等における産学官連携機能の戦略的強化」に関しまして、「現状と課題」の中で、11ページ目の中ほどにございますが、特許の評価については時間を要するということのご指摘をいただきましたので、この中ほどのところで、「特許は出願から取得までおよそ6年間かかり、さらに譲渡・ライセンスなどに結びつくまでに相当の時間がかかるため、平成16年度に国立大学が法人化され、知的財産本部等が整備されてから出願された特許の実用化を評価するにはさらなる時間を要することに留意する必要がある」という文言を加えさせていただきまして、また、共有特許のことも話題になってございましたので、「大学等の保有特許件数に占める共有特許の割合は平成20年度において37.5%となっており、我が国の特許制度においては、他の共有者の同意を得なければ譲渡・ライセンスを行うことができないため、共有特許の活用が課題となっている」という課題を加えさせていただいてございます。  12ページ以降でございますが、「産学官協働ネットワークシステムの構築」というところでございますが、この(2)や(3)などところにおきまして大学等において取り組んでいただく取り組みを記載してございます。ここに関しましては、実際に、では大学等が取り組んでいただくのに際して具体的なイメージがわかるようにしたほうがいいのではないかというご指摘をいただきましたので、例えば12ページの中ほどに参考事例を加えさせていただいたような形で、それぞれの大学等が取り組むべき事項につきましては、なるべく具体的に参考となる事例を追加させていただいているところでございます。同様に14ページの産学官協働ネットワークシステムの構築のお世話役につきましても、参考事例を加えさせていただいてございます。
 それから、「民間企業との共同研究の戦略推進」に関しましては、15ページでやはり共同研究の在り方の見直しという関係で、もう少し大学等において具体的にどうしたらいいかイメージがわくように、15ページの上のほうで、「例えば、一定額以上の研究資金の提供を受ける共同研究の場合、研究計画書に出口イメージとそれを念頭に置いたマイルストーンを記入する、研究の中間段階で当初の研究計画書を柔軟に見直す仕組みをビルトインするといった工夫が必要である」といった文言を加えるとともに、参考事例を加えさせていただいているところでございます。
 それから、16ページ、今度は大企業との共同研究の推進に向けた取り組みに関しましても、参考事例を加えさせていただくとともに、委員からいただいた意見の中で、最近のグローバル化ということを考えたときに、海外のグローバル型の大型企業との共同研究の重要性が高まっているのではないかと、そういった点に関しての記述が必要ではないかということで、16ページの下から17ページの上のところにかけまして国際的な産学官連携、特に海外企業との共同研究の推進についての記載を追加させていただいてございます。
 それから、17ページの「大学等特許の戦略的活用」の「大学等特許の戦略的集積・活用」につきましても、18ページで参考事例を加えさせていただいてございます。
 さらに、19ページでございますけれども、19ページの中ほどで「また」以降で「共有特許の活用につきまして、「大学等においては、例えば、企業との共有特許について相手方が実施しない場合には大学等に返還する契約とする、若しくは大学等の知財戦略上保有する必要に乏しい場合には企業等に譲渡するなど、柔軟な対応を行うことが必要である」という記載を追加させていただいてございます。
 それから、「海外特許取得・海外侵害対応の支援」につきましては、20ページ目におきまして国が海外特許侵害の支援をするということの意義をもう少しクリアにしたほうがいいのではないかという意見をいただきましたので、20ページ目におきまして「ライセンスされていない大学等特許のうち」「将来的なライセンスの可能性が高く、多くの分野や多様な企業に活用されるなど裾野が広がりそうな技術が海外特許侵害等され、国益を損なうおそれがある場合においては、重点的に、海外訴訟等に対する公的支援を行うことが必要である」ということで、国益を損なうおそれがあるということをより具体的に記載させていただいたところでございます。
 それから、21ページ目以降の「産学官連携を担う人材の育成」に関しましては、特に23ページ目の「リサーチ・アドミニストレーターの育成・確保」の関係で、大学等におけるリサーチ・アドミニストレーターの受け入れ体制の整備が重要ではないかというご指摘を受けまして、「優秀な人材がリサーチ・アドミニストレーターを目指し、定着していくことにより、効率的な研究マネジメント体制が確立されるよう、リサーチ・アドミニストレーターの処遇や受入体制を整備するとともに、将来を見据えたキャリアパスを構築していくことが重要である」ということを記載させていただいております。
 最後に24ページのところで「おわりに」ということで、この基本戦略を今後活用していただきたいという趣旨のことを加えさせていただいてまとめてございます。

 以上でございます。

【西山主査】 

 ありがとうございました。

 それでは、本報告(案)につきましてのご質問、ご意見、議論等をさせていただきたく思います。どなたかございますでしょうか。

 どうぞ。

【澤井委員】 

 基本的に今までやってこられたものなので、事務局で打合せを行った時にお話ししたんですけれども、このイノベーション創出を加速するシステムのイノベーション・エコシステムと考えたときに、ある意味では要らなくなった特許とか使わなくなった特許を、譲渡するというスキームで見るのか、もう放棄してしまうということをもっと考える要素をどこかに入れておいたほうがいいのではないかとちょっと思っていて、特にいろいろな形で援助してきた権利が変な形で譲渡されて、パテントトロールみたいなところに渡ったときに、ある種の弊害を起こすようなこともあるので、何かもう少し自由にそういう選択肢もあるよというのは、どこかにわかるようにあったほうがいいかなという印象はちょっと受けました。
 例えば、18ページの一番最後のところは、「特許権の知財ファンドや企業への譲渡は大学等が最終的に判断することが重要である」と書いてあるのですが、これはあくまでも権利を常に持ち続けてどこかに渡すという前提があるんだけれども、そういう中で放棄するのも一つの手ですよというふうなニュアンスがあってもいいのではないかという印象がちょっとあります。

 以上です。

【西山主査】 

 ありがとうございました。

 ほかにございますか。

 どうぞ。

【秋元委員】 

 やはり特許のことなんですが、11ページのところで例えば真ん中以下ぐらい、「しかしながら、特許は出願から取得まで6年かかり」云々、「時間を要することに留意する必要がある」とありますけれども、これ、JSTの委員会では、四、五年たってしまうとライセンスするチャンスは非常に少なくなっているから、むしろ減らしていこうという方向で検討されているかと思うんですが、それとこの書き方がちょっと一致していないように思います。長く持っていればいいというものではなくて、3年ないし5年くらいたってしまうと、もうほとんどライセンスのチャンスがなくなる。ですから、むしろそれをめどにして減らしていこうという考えなんですが、この辺はどういうふうにお考えですか。

【渡辺技術移転推進室長】 

 この文言を加えさせていただきましたのは、平成16年度に国立大学が法人化されて、知的財産本部が整備されてきて本格的に大学等の特許が保護されて、それを活用に向けて動き出してきたということで、かなり特許の出願件数、それから取得件数も増えてきてはいるのですが、そういった本格的に大学が知財意識を持って取り組んできてから取得したものが、これから評価されていくのではないかと。だから、今、ライセンス化されているものは、法人化前の段階のものであるので、そういった観点から時間を要するのではないかということを書かせていただいたところでございます。
 ただ、澤井先生、それから秋元先生がおっしゃったように、もう使えない特許は放棄するという選択肢もあるのではないかということは一つの議題ではないかと思っています。なので、この委員会でもご意見いただいた上で、大学等にあえてそういったことを言ったほうがいいのか、それとも、やはりもう少し特許の評価については時間がかかるということで慎重なほうがいいのか、そこら辺はご意見いただければと思いますが。

【秋元委員】 

 ちょっと追加発言になりますけれども、むしろ、1大学でやっている特許を考えるよりも、幾つかのものを基盤的な研究は、いわゆるパッケージ、バンドリング化したほうが産業としては非常に使いやすいというようなことで、これもたしかJSTでそういう方向で検討されていると思いますが、その辺についても一言何かあったほうがいいのではないかと思います。

【渡辺技術移転推進室長】 

 今の点につきましては、まさに特許の集積・活用のところで記載させていただいてございまして、17ページから18ページにかけて、まず「大学等の特許の多くが基礎レベルでピンポイントの技術であり、そのままでは事業への活用が困難なため」ということで、「大学等、研究開発独法、TLOにおいては」ということで、「特許をパッケージ化して特許群を形成して、企業にとって魅力のあるものとし、事業化につなげていくことが必要である」ということで、大学や研究開発独法などみずからで連携して取り組んで、パッケージ化を取り組んでいただくことが必要ではないかということで、具体的には、下に参考事例で挙げてございますけれども、岡山大学や鳥取大学さんなどでこの特許ポートフォリオのようなものを形成するようなことなどが進んでいますので、まず1つ目は、大学などが主体となってこういったパッケージ化の努力をしていただきたいというメッセージを発してございます。その下に「さらに」ということで、JSTなどが行っている科学技術コモンズのスキームを活用したり、今後さらに公的事業投資機関、産業学識機構などが知財ファンドなどを検討してございますので、そういったものにつなげていくために、例えばJSTのような機関で大学等の特許の情報を集積して、それをパッケージ化することを促していくということを提言させていただいているところでございます。

【秋元委員】 

 ええ、確かにそうですが、ここで1つちょっと問題になるのは、こういうコモンズに出す特許ですね、この維持・管理費用がさらにまた大学側にもてというような方向で言っていると思うんですよね。そうしますと、大学の負担がやっぱり非常にかかるだろうというようなところがちょっとあるんですけれども。

【西山主査】 

 よろしいですか。

【秋元委員】 

 はい。

【西山主査】 

 ほかにございますか。

 私から何点かちょっとあるんですけれども、資料2_3、施策・取り組みの工程表を拝見していまして、産学官連携基本戦略なんだけれども、国と大学しか書いていなくて、産業界が何も書かれていません。これでは産学官連携にならないのではないでしょうか。やっぱり産業界も変わっていかなければいけない側面を持っていますのでこれは新しいことを生み出そうとしているのですから。
 ですから、今ここで議論するには、ここに書かれていないから、時間が不足するからやりませんけれども、やはりここに産業界も何らかのコメントをしないとまずいだろうと思うんです。それがまた、この「検討状況報告(案)」に、すべてではないんだけれども一部は産業界のコミットメントがどうのとか、あるいは産業界はこういうふうに変えていこうとしているとか、そういう部分も一部検討してまた盛り込んでおく必要が僕はあると思います。これは現段階でのまとめの問題点ですね。多々あるように思いますけれども、これが1点です。
 それから、8ページの、先ほどもJSTの森本部長からご説明いただきました「「知」のプラットフォーム」なんですけれども、基本が対話だとおっしゃいましたけれども、それはもう全く原点が対話にあることは論を待たないんだけれども、やはり対話というレベルでは「「知」のプラットフォーム」のインパクトが弱いので、一歩、二歩踏み込む必要があると思うんです。もちろん、前提が対話だけれども。その際に方向性として、従来よりは基礎研究に踏み込もうと、産学の連携の中で、ということですよね、一番重要な点は。そうすると、何点かありますが、私の経験も含めて言うと、前から言っているんですけれども、例えばいつも私は引き合いに出しますが、小柴先生の純粋基礎研究は浜松ホトニクスの貢献によって成り立った側面が、相当強くあることも事実なんです。そうすると、小柴先生からすると、もちろん全部の戦略なり全部の構想は先生が持っておられたと思うけれども、それを推進するときの1つのドライビングホースとブレークスルーした1つのポイントの1つは浜松ホトニクスが光電管を開発できたこと、相当それがあった。
 したがって、私は、それにたぐいするアイテムは、理学部などに行きますと非常に多いように思っています。ものすごく感じます、実際に現場に行きますと。ですから、そういうものを発掘することが大事で、それは、こういうことをやればもっと大きな進展が早くできるよという部分を、やっぱりこのプラットフォームの中にそういうことをやらなければいけないんだということを盛り込むべきだと思います。これが1点。
 それから、もう1点は、東大のプロプリウスのときの経験なんだけれども、アイデアはすばらしいアイデアをやはり先生方が持っておられるわけです、当然のことですけれども。これについては、乗れるんですね、アイデアとしては即。だけれども、何かやろうというときに、産業界のビッグカンパニーでもなかなか乗れないという状況を何点か私は体験しました。それは、それをやろうとすると、すぐお金がかかってしまうような段階に至って、かつ、人も出さなければいけない、金も出さなければいけないというのは、確かに大企業としては確率の問題もあって、一番最初の段階で人も出す、金も出すというのは、ちょっとそれは行き過ぎではないかというので、あまり日の目を見ないと。その辺の仕組みは欧米のほうが得意なものだから、アイデアのところでは非常に先駆的に持っているんだけれども、時間だけがどんどんたっていって、その部分についての構造的な技術力は大学よりも企業が持っている場合が往々にしてありまして、その辺がどんどんおくれていってしまうというような体験を持っています。ですから、その辺が大学の先生のアイデアがあったときに、アイデアの段階をもうちょっと次に進めるためのステップの何か呼び水マネー的な取り組みを、企業が参画しやすいような仕組みを、対話だけではなくて踏み込んだと、この2点をもう少し具体的に織り込んだほうがよりわかりやすいのではないかと個人的には思います。ご検討いただきたいと思います。

 ほかにございますでしょうか。

 どうぞ。

【森下委員】 

 「はじめに」か、最初のところの「世界情勢の変化」と「イノベーション・エコシステム」のどちらでもいいんですけれども、やるべきことはそこに書いてありますし、いいと思うんですが、逆に世界的な位置付けとしてのイノベーションの今の日本の状況が全然やっぱり出てきていないのではないかと思うんです。ご存じのように中国、韓国はすごく発展している中で、アジアの中でも日本だけが残っているというか、むしろ、どちらかというとアジアのエンジンの中で唯一壊れている場所は、今、日本になりつつあるので、もう少しやっぱりその周辺環境を見た中で、やっぱりこの時期にイノベーションを確立しないと日本は生き残れないという要素などは前面に出したほうがいいのではないかと思うんです。これは非常に強かった時代の日本の書き方だと思います。今、どちらかというとイノベーションという中で日本は非常に苦しい状況に陥っていますので、もう少し世界的な視点から見た日本のイノベーションの状況も記載しないといけないと思います。何となく、これはすべきことは書いてありますけれども、なぜこういうことをしなければいけないのかということがやっぱり見えてこないような気がするんです。これは、前文なり実際の先ほどの「国際的な競争力」のところ、どちらでも結構なんですが、もう少し世界的な状況の流れもやはり記載したほうがいいのではないかと思います。
 それから、お金に関して、非常に書きにくいのだろうと思いますけれども、日本のこの領域の科学技術予算は非常に少ないので、世界的な視点の中でもっと全体的に増やしていく中で産学連携に対しての注力が必要だという視点もないといけないと思います。仕分けの話を言うわけではありませんけれども、なぜお金が要るのかという疑問がでてくるのは、日本はたくさん使っているという勘違いがあると思うんです。むしろ少ない中でここまでやっているというところをもう少し見えるようにしたほうがいいのではないかということで、これも「はじめに」か「国際的な競争力」のところかどちらでもいいと思うんですが、もう少しデータも入れながら記載されたほうが説得力が出るのではないかと思います。

 以上です。

【西山主査】 

 どうぞ。

【竹岡委員】 

 やはり「「知」のプラットフォーム」のところの1_1の7ページ目から8ページ目の書き方が、やっぱり読んでいて依然として分かりません。それで、きょうのJSTさんのこのレジュメなどで少しは施策として何をしようというのはわかったんですけれども、もう少し仕組みとしてどういう仕組みかということをきちんと、何というのか、これはあるべき姿論なんですよ、書き方が。「こういうような課題設定を的確に行い」とかね。そういうことではなくて、まず施策としてこういう仕組みをつくるのだ、それはきょうの議論の中で呼び水となる、そうですよね、お金の規模からいっても呼び水にしかならないでしょうから、でも、とにかく呼び水として。
 で、それからもう一つ大事なのは企業側にある基礎研究のシーズ。これが、企業側だけで、今、育てていくのは非常に、ある意味で一種の投資ですから。これはほんとうに投資なので、難しい時代に入ってきている中で、企業のシーズと大学のシーズとを両方持ち寄ってイノベーションの、それこそイノベーションのシーズにしようねという取り組みだろうということだと思うんです。
 それから、そういうもう少し仕組みの書き方をちょっと変えていただきたいのと、先ほどもちょっと申し上げたイメージ例はちょっとやめて、それから、本文の中にも「社会的優先度の高い分野の技術課題」と書いてあって、これも政治を意識しているのかと思いながら読んではいるんですけれども、正直言って基礎研究の段階でどの出口になるかがあまりハードになっていいのかというのがほんとうにちょっと、つまり、あまりかたくなっていいのかというのがちょっと思っているところなので、ちょっとここも実用研究とは違うのではないかと思いながら読んでいます。
 もう一つですが、これは質問なんですけれども、これは結局、施策として書いているので、私が思うに、やはり基礎研究の段階になってくると、共同研究より前の段階での企業と大学との交流の促進が、実はすごく大事な役割を果たしていると思っているんです。だから、例えば従来型の奨学寄附金とか、それから、企業に有償でいろいろな研究機器設備を貸し出しをして、企業の研究者が大学に常時常駐するようになるような仕組みとか、また、大学がショーウインドーを持つとか、何かそういうような地道な取り組みになるんですけれども、そういうのがあって企業の研究者と大学の研究者が交流してというのがあるのではないかという部分もあって、それもあえて今までやっていることだから施策としては書かないということなら、それはそれでいいと思うんですよ。ちょっと私もこの「報告(案)」の位置付けがちょっとわからなかったので、今までそういうことをやってきた、それはそれとして今後も位置付けをして、そして、なおかつ人為的な仕組みとして、施策としてこれを入れるのだということなんでしょうか、ということ質問なんですけれども、すみません。

【渡辺技術移転推進室長】 

 共同研究のところにつきましては、この記載の中でも2の「産学連携機能の戦略的強化」のところの中で、「民間企業との共同研究の戦略的推進」というところで書いてございます。ただ、ここに書いてあることは、基本的に国として仕組みをつくるということよりも、やはり大学等がそれぞれ、これまでの議論の中でも共同研究の枠組みの、特に契約力が非常に重要になってくるのではないかとか、具体的な共同研究の在り方とか、そういうのが重要になってくるのではないかというご指摘をいただいたことを踏まえて、大学等において共同研究をどう戦略的に取り組んでいただくかということの取り組み例をなるべく示すという形、ですから、新しい施策を共同研究のところで出すということではなくて、共同研究のところにつきましては、具体的な事例を示してこういう方向で取り組んでいただいてはどうかということで提案させていただいているという記述になっています。
 それに対しまして、先ほど8ページですか、この8ページの「「知」のプラットフォームの構築」の考え方として、まさに競争領域とは特定の大学と特定企業の共同研究ということになりますので、その前の段階のフェーズの場というのが、これまでやはりできていないのではないかということ、それを施策としてしっかりやるべきだということを盛り込ませていただいたのがこの「「知」のプラットフォームの構築」という形で整理させていただいたつもりでございます。

【竹岡委員】 

 共同研究ではない仕組みだという前提ですね。

【渡辺技術移転推進室長】 

 「「知」のプラットフォーム」のところはそうです。

【竹岡委員】 

 それはどういう仕組みなのか、というのが見えるように書いていただきたいです。

【渡辺技術移転推進室長】 

 はい、わかりました。

【竹岡委員】 

 それの意味が、きょう議論の中に出たすごく重要な、例えばやっぱり産業界側の貢献とか、産業界側からのシーズも生かすという、要するに産業界側もお金というのか、突っ込んでいけるような、そういうような書き方をやっぱりしていただけるといいかなと思います。

【渡辺技術移転推進室長】 

 ありがとうございます。

【三木委員】 

 「「知」のプラットフォーム」の件、きょうお話を聞いて大分イメージはわかったんですけれども、実は、これよりももう少し出口が近いイメージで、今、施策で打っているものはクラスター事業ですよね。これ、産業界の方と結構基礎的な部分と、それから展開型、そして出口というところで、それぞれ地域で中心にしてグローバル展開をやろうという事業が片一方で動いているんです。これ、ナショナルセンター的にやるということなので、例えばナノテクネットとかいろいろな大学の整備を現在進めていると思うんですけれども、そういったところに継続的なやはりリスクマネーをナショナルセンターでやるとしたときに、これをやはり書き込んでおかないと、きょうの予算規模を聞いて、私はもうちょっと唖然としたんですけれども、そうしないと、次の予算要求とか今後に影響力を及ぼさなくなってしまう。その点が一番欠けているような気がして、若干追加されたらどうでしょうか。地域論法のこういうものは相応のお金、1カ所当たり10億円とか入っているわけですよね。それに比べてナショナルセンターがこれでいいのかという問題だと思っております。よろしくお願いいたします。

【西山主査】 

 はい、どうぞ。

【飯田委員】 

 少し細かいところで人材育成のことになりますが、21、22ページのインターンシップのお話と、リサーチ・アドミニストレーターの育成というところに疑問があります。
 というのは、インターンシップを産学連携本部のほうで進めていくのか、あるいは大学の中でも高等教育のほう(キャリアセンター)でいくのかです。窓口がキャリアセンターの場合と産学連携になっているところでは、当然、最初から意識づけが全く違っています。ここで求めているものは、どちらかというと産学連携のほうで動いていただく人だと思うのです。一方産学連携のほうは、いやそれはキャリアセンターのほうでしょうということのようです。これは実際に体験していることの話なのですが、企業が大学に求める契約書の書き方が違ってくる、産総研が大学に求める場合にもそういうことが起きているみたいですが、担当者がかわると同じ企業でもやはり契約書の書き方が変わるということがありますので、それに対応することが必要です。国で産学連携のインターンシップについては産学連携本部かキャリアセンターのどちらがきちっと把握するというようなことが書けるかどうか、これはちょっとわかりませんけれども。書けないかもしれませんが、もし書けないのであれば、大学でこういうリサーチ・アドミニストレーターとか産学連携に携わるインターンシップについては、産学連携本部、あるいはそれに類するところが指導力を発揮していただきたいというような書き方はできないものでしょうか。

【渡辺技術移転推進室長】 

 インターンシップの関係につきましては、特に国として産学連携推進本部でやるべきであるとか、キャリアセンターでやるべきとか、そういった形を明確に決めてということではなくて、やはり大学によって事情がそれぞれ違うと思うんですよね。非常に総合大学でいろいろな学部があるようなところと、非常に工学系の単科大学のようなところで非常に事情が変わってくると思いますので、ですから、国としてそこはこのインターンシップの精神を、産学連携推進本部と積極的に関与してとか、そこまでちょっと言うのはどうかなという感想を持ってございます。
 ただ、「リサーチ・アドミニストレーターの育成・確保」ということに関しましては、これは産学連携の推進という観点もございますし、これから進めていく上では、一つは産学連携を担う人材の育成という観点から、産学連携推進本部などが最初は中心となっていただくことも必要になってくるのかなという。
 というのも、リサーチ・アドミニストレーターとは、今まで日本の大学の中では制度として定着してございませんので、そういったことをまずは定着させていくことに関しましては、この委員会から発して産学連携推進本部などを軸に進めていただくというメッセージを発することはできるかなと思っています。

【飯田委員】 

 できる範囲でやっていただくと。

【西山主査】 

 ほかにありますか。

 今のリサーチ・アドミニストレーターのところで関連して申し上げますと、現実は大変だとはもちろん思うのですが、具体的にこういう施策を打ったら、いつごろ、このぐらいのことにしたいんだというようなことが、特に新しく取り組むからして必要ではないかと思います。ここに書いてあることは、国はこういうことを検討したいと言っているわけですね。それは検討しないより検討したほうがいいに決まっているんだけれども、こういうことをやるというふうにしなければいけないのではないかと思います。どのくらいの力を入れて。それで、そうしたときに、それがどのぐらいのことが出てくるんだねと、どのくらいの時間で、ということがやっぱりクリアにできる限りしていかなければいけないのではないかと思うんです。ここに「重点施策」と書いているわけですから、「短期」とも書かれているから、その辺が肝要になってくると思います。ほかもそうだと思いますが、これは一例で今言っています。そのときに、ちなみに、その最大のゴールは、大学の実際に研究者が研究に専念できるようにしたいということが最大の眼目でしょう。そうすると、リサーチ・アドミニストレーターの育成・確保も大変重要なんだけれども、研究支援者も問題があって不足しているのが顕在化しています。この辺も総合的にとらえたときに、最終的なゴールは大学の研究に専念できる人のレベルを上げていくことがポイントなので、このリサーチ・アドミニストレーターが徹底的に不足していることについてどうしていくのだということを、やっぱりスターティングポイントの評価と実態調査、それと、それはどのぐらいにしていくんだよという部分がもう少し踏み込む必要が、今後の課題かもしれないけれども出てくるのではないでしょうか。今ここに書かれていることで言えば、こういうことをやればプラスサイドに行くことはだれでもわかるのだけれども、その程度なのかということですね。

 ほかのことはありますでしょうか。よろしいでしょうか。

 どうぞ。

【竹岡委員】 

 今のことと関連して、大学の職員の人事制度をもう変えていかなければいけない時代に入っているのになかなか変わっていかない。一番いいのは、こういうのを大学の評価項目の中に入れてしまう。つまり研究を支援する人材とか、こういうリサーチ・アドミニストレーター、そういうものを評価項目の中にほんとうに入れてしまうと、一気に大学の職員の人事施策が変わってくるのではないかと思います。
 ただ、文部科学省さんの中でも、多分、縦割りだと思うので、だけれども、これを今度は大学の評価に、別の部署の評価に反映させるようにしていくと、人材のところはちゃんと実行されていくというふうになるのではないかと、こう思っておりまして、それは報告書に書くことなのか、あるいは文部科学省さん内部で決めることなのか、分からないのですが。

 済みません、これもまた感想になって申しわけありません。

【西山主査】 

 どうぞ。

【三木委員】 

 全体の話なんですけれども、別添2の、資料2_3の工程表で、多分、表向きに出す書類はこのくらいしか書けないのかもしれないんですけれども、実は具体的な数値に直せる目標があれば、平成25年度末の時点でも平成23年度末の時点でもいいんですけれども、そういう数字が入れられるものは入れておかないと、実は工程表としては機能しなくなると私は思っておりまして、その辺のところは最終的には表に出すか出さないかは、まあいろいろ判断があるんでしょうけれども、事務局としては数値的な目標をある程度イメージされているのかどうか、その辺、ちょっとお伺いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

【渡辺技術移転推進室長】 

 非常に予算との関係もありますので、どの程度言えるかというところはあるかと思いますけれども、ちょっとこの場では申しわけございませんが、例えばリサーチ・アドミニストレーターのところにつきましては、大体共同研究1,000万円以上の機関がどれぐらいあって、それから算定すると大体どれぐらいの規模があるといいのではないかとか、そういった算定は行ってございます。ただ、それは今後、予算の折衝とかそういったこと等もございますので、ちょっと今の段階で明確に書くのはなかなか難しいのではないかと思いますが、ちょっと今後の工程表をより実効性があるものとするためにそういったものも事務局で考えていくべきだということはもっともだと思っています。

【西山主査】 

 どうぞ。

【澤井委員】 

 たまたま今、資料2_3の話が出たので、先ほどの室長の話、最初のご指摘とも絡むんですけれども、これ、実施主体のところに産業界を入れるというのが1つあると思うんですけれども、もう1回こうやってよく見ると、「『知』の循環」「産学官機能の強化」と大きな項目があって、一番最初のところに研究開発の独法がここだけに入っていて、ほかのところに入っていないんですけれども、これは何か意図的に外してあるんですか。何か、ここでのいろいろな「知」をつくって出していくための結節点に研究開発の独法を位置付けているとすると、2の項目の中でもどういうふうな機能をここに担わせたいのかが本来あるような感じがするんですけれども、それが出ていないのは何か理由があるのでしょうか。

【渡辺技術移転推進室長】 

 これは本文に基本的に書いてあることを踏まえて整理したものでございますので、今の段階でそれぞれの施策のところで研究開発独法が具体的にどういう取り組みを行うかということがまだ十分に議論されていなかったこともございまして入っていなかったものですが、可能な範囲で、例えば「産学協働ネットワークシステムの構築」などに関しましては、研究開発独法も重要な役割を担ってまいりますので、ちょっとそういった観点から本文の中で少し書けるかどうかということも含めてちょっと検討したいと思います。
 あと逆に、ちょっと産業界の視点がないというご意見をいただいたのですが、この今までの小委員会の中でも、具体的に産業界の役割としてそれぞれの施策に対してどういうことを求めるかというご意見も、まだ議論はいただいていないので、もし具体的に例えばこういうところで産業界に対してこういうことを求めたほうがいいのではないかとか、そういうものがあれば、そこを踏まえて可能な範囲で記載したいと思っております。

【西山主査】 

 どうぞ。

【南委員】 

 今のことと違うことでもよろしいですか。

【西山主査】 

 はい、どうぞ。

【南委員】 

 非常に丁寧によく書かれている印象がありまして、ここで議論したことがほんとうに集約されていると思うんですが、ちょっと全然違う次元のことを言って恐縮なんですけれども、これ、先ほども竹岡委員も言われたように、これが報告書でどういう位置付けか、だれに向けて出すのかということにもよるんですけれども、非常に興味のある方は手にするかもしれませんけれども、これが直接一般に、一般の国民が読むというものではないので仕方がないとは思うんですけれども、やはり当然のことながらここでの議論がかなり深い議論になっていますから、ここに書かれていることも非常に丁寧に読まないと難しい話なわけですよね。
 一般的にやはり事業仕分けとかいろいろなことがあってこういうふうに産学連携ということについても非常にいろいろな影響が来ているというような文脈で考えますと、やはりこれをどういうふうに発信するかということをやっぱり視野に入れながらこれをつくったほうがいいのではないかと。
 そのときに、例えば言葉が非常に片仮名で多くて片仮名言葉が多いのと、例えば「リサーチ・アドミニストレーター」も、説明されたらよくわかりますけれども、それにさらにまた「シニア」がつくのが出てきたり、それから「リーディング大学」とか、もう一般の人は、やっぱり2つ3つ聞くともうノーサンキューになると思うんです。
 私、この会に属させていただいて全く産学連携ということをあまりよく知らないところから出発して、いろいろな方にこういう話をすると、皆さん、結構よくわかるんですよ。先ほどの小柴先生の研究のことなどはものすごくいい例で、どうして科学技術と産業が連携しないといけないかということを平たく話せば、わからない人はいないのに、こういう議論になるとやっぱりわからないし、新聞もこういうことは非常に難しいですから、一般向けでないので、そのままは書けないんですよね。
 これとは別次元で考えたらいいとは思うんですけれども、やっぱり一般の人にわかるような言葉で平易に発信することも視野に入れながらつくっていただかないと、なかなか一般のメディアもこれを外に向けて発信はできづらいので、ほんとうに申しわけないんですが、もう少し「分かりやすさ」というところを視野に入れて、考えていただきたいというのがリクエストであります。

【西山主査】 

 何か事務局、コメントありますか。

【渡辺技術移転推進室長】 

 非常に重要な課題だと思っています。

 ただ、やはりご指摘の中で、突然こう片仮名が出てくるということがございましたので、その言葉を変えるかどうかということもありますけれども、例えば注釈をもう少し充実させるとか、もしくは、これをまとめて出すときに概要のようなものを1枚ぐらいつくるときには非常にわかりやすいような表現にするとか、そこら辺はちょっと工夫させていただきたいと思います。

【西山主査】 

 どうぞ。

【石川委員】 

 ちょっとまた話題が変わるのですが、9ページにあるベンチャーに対する支援の文言ですが、先ほど三木委員もおっしゃっていたのですが、今、アーリーステージの技術開発に対して国がどう支援するかということは、日本の産業界にとっては非常に大きな課題であって、このスキームをどうつくるかは、この委員会の中でも積極的に発言していったほうがいいと思う。
 その中で、このページの書き方が少し何か文科省の自虐的な表現になっているので、もっと生き生きと積極的に書いていただけるとありがたい。1つに、例えば第2パラグラフの中で、アーリーステージに対する民間投資が十分でないことからという、これは正しいと思うんです。ないことから、産業革新機構等の公的投資機関に頼るかというと、それはそれで合っているのですが、民間の投資機構ももっとアーリーに顔を向けてよねということは言っていいと思うんです。その上で、産業革新機構と公的なほうも当然アーリーに。だから、経産省の方がいらっしゃるかどうかわからないんですけれども、産業革新機構がアーリーステージに顔を向けているかというのは甚だ疑問でして、これはこういうふうに期待が大きいと言うんですが、ちょっと態度を変えてもらわないと期待が大きくならないというのがあるかと思います。そこらは、もう少し強く主張してもいいかと思います。
 それから、その次のパラグラフにある「企業の事業活動を所管していない文部科学省は」ということなんですが、大体これはだれの文書かといったら小委員会の文書なので、文部科学省の文書ではないので、こんなことを言う必要はないので、むしろ積極的に経済産業省と連携を組んでこのアーリーステージあるいは新産業創出のためのスキームに省を挙げて取り組む、あるいは省庁連合で取り組むぐらいの発言があってもいいのではないかと。ついでに言いますと、その次のパラグラフで、「これは関連する複数機関があることを直ちに縦割りとみなすのではなく」というのは、半ば省庁の縦割りを認めてしまっていることでありまして、これをわざわざ書くこともないだろうと。経産省だけではなくて、財務省、金融関係も含めてここのスキームをどうするかを日本の国を挙げて検討していかないといけない時期に私は来ていると思います。それを、この小委員会から積極的にアピールするという。やるのは相手かもしれないし、一緒にやるのかもしれませんが、アピールすることは生き生きと書いていただければと思います。

【西山主査】 

 どうぞ。

【秋元委員】 

 このベンチャーのこと、それから革新機構のことについて、私も若干関与しているのでお話ししたいと思うんですが、大体、例えばライフサイエンスにしろ、何にしろ、ベンチャーの成功確率は千三つなんです。ほぼ0,5%です。ただ、そこに非常に技術とか、知財とか、事業化のモデルをきちっと評価すれば、大体1,000のうち100ぐらい選んだら、100のうち5つぐらい成功すると。これは、大手のグローバルに闘っている、あるいはグローバルのメガハーブも大体好感を持つというのは、かなり選んでやっていますから、そこから成功する確率は、今、8%なんですよ。だから、そういうようなことをきちっと考えて、このベンチャーをどうやって支援するのか。リスクマネーをどうやって投入するのかと、これを考えなければいけないこと。
 もう一つは、1,000の中から100を絞り込む、これをどういうシステムで国として考えていくのかというところも大事だと思うんです。そういうことがきちっとわかって書かないと、ここの意味は何を言っているのか、私は全然わからないです。

【西山主査】 

 ほかにありますか。

 ちょっと変なことを聞きますというか、よくわからないので確認のためにも聞くんですけれども、私、総合科学技術会議の民間出身の議員と経団連とで定期的に議論しているんですけれども、先ほどの竹岡委員とも関係しますが、日本の国立大学法人のいろいろな、例えば職員の制度の改革とか、いろいろなことを含めて改革しようとしたときに、だれが命令権を持っているのでしょうか。要するに、いつも話すと、国立大学法人になって以降は、国立大学法人のトップがいろいろなことを決めていくので、だれも命令権を持っていないようにちょっと見えるんですけれども、実際はどうなんでしょうか。そのとおりなんでしょうか。

【渡辺技術移転推進室長】 

 基本的に国立大学法人ということで、法人の中の改革ということに関しましては、それぞれの法人の長である学長と役員会とで決定していただくことになるかと思うのですが、ただ、そこを、そもそも国立大学法人制度をどうするかということ、それから、それの評価を踏まえて資源配分をどうするかとか、そういったところについては、やはり国として、特に具体的に言えば高等教育局で指示していくというか、そういうことになっているところでございます。

【澤井委員】 

 今のご質問は人事権を持っているかということの意味なのではないかという印象を受けたのですが。

【西山主査】 

 例えば、はっきり言うと、文科省さんがこういうのをやってほしいと言いますよね。こういう施策をと。そうすると、それはみんな横並びでぱっとできるような仕組みになるんですか。大学が変わってしまうんですか。いやいや、それはもう個別にみんな大学法人の長が、こんなのはやりたくないとか、いや、入れろとか、というふうになることなのか。

【渡辺技術移転推進室長】 

 そもそも大学の自治という原則があった上で、さらに国立大学法人については国立大学法人で意思決定をしていくことが基本になっているかと思います。

【西山主査】 

 いろいろな点で問題点が大学の中でまだ多々あるわけですね。もちろん改善はしてきているけれども。
 例えばこんなこともあったんですけれども、例えば大学院の人たちの人材育成で非常に日本の大学は個別の先生に依存している、と言われているんですよ。よい先生に当たった生徒は良い。残念ながらさえない先生に当たった人はさえない。これは人材育成の根本だから。ですが、それは大学の運営としては国家的な損失ですよね、個人に依存し続けているのは。もちろんいい先生に当たった場合はいいのですが。これをやっぱり最低限学科型に、学科全体で育成するのだというふうに変えていかなければいけないということはもう顕在化しているんだけれども、それをどうしていくとなると、それは大学が勝手にやる、独自にやる話だというようになってしまう。日本としてどうするというようにならなければならないと思います。産業界側から、こういう大学のこういう学科は非常にうまくやっていて非常に我々は助かっているよというようなことを発信することが必要です。このように総合科学技術会議からは言われてはおります。

どうぞ。

【竹岡委員】 

 ちょっと話はずれますけれども、基本的には大学が根本的に会社と違うのは、株主がいないんですよね。だから、改革をしようとするときに、株式会社だと業績が悪かったら株主が黙っていませんし、マーケットがもう黙っていないので、おのずと改革をしなければいけないというか、変えていかなければいけないというモチベーションがすごく強く働きますが、大学については、研究者はかなり競争的な環境で生きているように今はなっていますが、やっぱり事務方の職員はそうではないんですよ。それで、そこのずれがすごくあるのですが、1つは学長によって、その学長の裁量がすごく強くなる仕組みになっているのは間違いなくて、大学によっては相当仕組みを変えている大学があって、そこはやっぱり基本的に学生の競争、入学試験の倍率が上がってきたりするという効果は確かにある。だけれども、やはり先ほど言ったようにそれが職員レベルの改革までいくかというと、ちょっと違うので、やっぱり一番きくのは大学の評価なんです。国立大学ですけれども、評価の指標の中に、例えばこの中の一文でもいいと思うんです。要するにこういうことを熱心に取り組んでいる大学、例えばこの人材のところを熱心に取り組んでいる、改革に取り組んでいる大学の評価をよくするというか、何かちょっと一文だけでも書いていただくと、ものすごく実は大学に対してはインパクトが。なかなか変わりたくないというところが根底にある、大学の中でせめぎ合っているわけですよ。変えたいという人、変えなければいけないという人と、変わりたくないという人が。その変わりたくないという人がそのままではだめなのということを一文書いていただいて、それを評価につなげていただくと、産学連携をやっている方とか研究を熱心にやっている方の人たちへのリソース配分も随分変わってくると思いますので。

【渡辺技術移転推進室長】 

 特に国立大学につきましては、国立大学法人法に基づいて評価制度が定まっているわけですが、基本的に中期目標、中期計画の達成度を評価するということになっているわけです。したがいまして、それぞれの大学において中期目標、中期計画をどう掲げたかと、それの達成度を評価することになってございますので、その根本的なところについてはやっぱり法改正をして、そもそもの国立大学法人評価の制度を変えていかないと相当難しいのかなと思ってございます。
 ただ、私も実は前職は国立大学法人評価を担当しておりましたけれども、ただ、そういった中期目標、中期計画の達成度と評価するのとをあわせまして、各大学の特色ある取り組みとか、そういったものを積極的に取り上げようということで、非常にユニークな取り組み等につきましては、それを評価書にもはっきり書く、それを事例集のような形でアピールするという形で、そういう形で後押しということはしてきたということはございますが、先生がおっしゃっているような形で直接書くというのは、ちょっと今の現制度では難しいのかなと思っています。

【竹岡委員】 

 どうやって変えていけばいいでしょうかね。

【石川委員】 

 大学関係者が一言も言わないのはあれなので。

 渡辺さんはもう的確に役人としての表明をなさっているので、言いづらいところを全部飲み込んでしゃべっていらっしゃるのですが、言いづらいことを申し上げますと、例えば国立大学法人法等で、職員あるいは教員の給料は上限・下限が決まっていまして、その俸給表上をどう動かすかは大学の裁量でできるのですが、俸給表上はある幅の範囲内でやらなければいけないという制約があります。ですから、教授の最高給料はアップリミットは決まっているということになります。ですから、先ほど主査がおっしゃっていた学科の中で何人かの教授がいたときに、それを差をつけるということに関しては、俸給表上の差はつけられなくて、それの昇進の程度に差をつけられるという形。昔は、減給ができなかったんですけれども、今は減給も方針として入れてありますので、前後に上げることはいいんですけれども、これは上が公務員と一緒に決まっていますので、それ以上のインセンティブを与えることができない。ある幅の中での努力は大学でできるというのが実態の答えなんです。評価ということに、ですから、インセンティブとして給料のインセンティブはその程度、ある程度の幅の中での喜びしかないんですが、それに対して、外部資金の研究をやる喜びであるとか、それから、学生が育っていく喜びは、やった人に来るんです。ところが、そういう喜びは、やらない人には何ら感じられないので、インセンティブにならない。やる人に関してはインセンティブになるのですが、やらない人は見向きもしないということになる。それは、同じことは何に言えるかというと、評価にも言えます。大学は、今、評価なれ、評価疲れをしていますので、評価にどんな項目が来ようが、それに対してどう対応するかのなれと疲れを感じていますので、対応を、賢いですから、大学の先生方は対応をやってしまうという状況にあります。
 ですから、もう少し施策誘導するということであれば、その施策誘導が個人あるいは組織に対してほんとうのメリットに向かう方向に施策誘導していかなければいけないので、形式論をやってもあまり動かないというのが私の勝手な感想になります。

【西山主査】 

 どうぞ。

【三木委員】 

 評価の話があったので、少し発言しますけれども、評価とは基本的に複層的であっていいわけで、今の国立大学法人を評価する仕組みは、これは1つのチャンネルに過ぎないと。
 そういう意味で言いますと、複層的評価を進めていくためには、文部科学省の方にもちょっとお話ししたことがあるんですけれども、国と、それから大学等がパブリシティー戦略を持つことが非常に大事なのだと思うんです。民間は、非常にしっかりしたパブリシティー戦略をお持ちですよね。これは、実はパブリシティー戦略を展開していく中で評価は自然に複層的になっていきます。そういったところは、事務局の方とは個人的にはお話はしたんですけれども、この段階で今、書き込むのはちょっと難しいかもしれないんですけれども、中長期の課題としては大きな課題になるのではないかと思います。特に、霞ケ関がパブリシティー戦略がうまいのかどうか、私はよく知りませんけれども、その点も含めてパブリシティー戦略が大事であると思っています。

【西山主査】 

 若干、時間の制約もあり、本日はこの小委員会の最後の会議の場でありますので、親委員会に報告をするという制約の中で最低限まとめなければいけません。まとめに関して何かご意見があれば言っていただきたいのですが、今までのことを勝手に言いますと、ここに事務局がお書きいただいた目次があるんですけれども、この目次自体がだめという意見は今まで出てきていなくて、個別にいろいろ書かれた内容についての修正とか、このほうがもっといいのではないかという意見は、きょうも随分、多々出たと思います。それは、もちろん修正を織り込むことのためにやっていますから、それは当然のことだと思いますけれども、そのほかに全体のまとめということで何かご意見があれば、今お伺いしておきたと思います。

 よろしいでしょうか。

 どうぞ。

【菊池部長】 

 実施機関として、この場でオブザーブの機会をいただいて非常に高尚な意見を毎度伺って参考になるところが多いところでございます。
 今回のこの報告書の中で、特に最初の図1にある「死の谷」という、「明日に架ける橋」ということで、それを何とかやりましょうという中で、私どものような支援機関もきょうの話題になりました「『知』のプラットフォーム」であるとか、あるいは、公的な事業投資機関との連携とか、あるいは知財の面でのいろいろな支援とか、そういった点でのお話がいろいろいただいたかと思います。それで非常により具体的にこういう報告書の中に書ければいいのではないかというご指摘もあったかと思っています。
 一方で、先ほど申し上げたように、「明日に架ける橋」をどういうふうに実現するかというふうなところで、我々もいろいろ先生方とのお話の中でそれを具体的にどういうふうに進めるかというところをやっているものでございまして、今、どこまでこの報告書の中に書いていただけるのかという点では、我々も非常に興味がありますし、また、積極的に関与しなければいけないというところではございますが、そういう、常に新しいところに入っていかなければいけないという現実もあって、一方では期待感を背負いながらも不安感ありというところでございますので、その辺のところがうまく表現していただければという、非常にもう雑駁でございますが、そういう実施機関としてのコメントでございます。

【西山主査】 

 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

 本報告(案)は、最終的に成案としまして親委員会に8月5日に報告することになっています。ですから、それまで時間はないのですが、全体のまとめに関して、もちろん不十分な点があるので言い足りないこともあるでしょうし、新たに気がついてこういうふうにしてほしいということもあるでしょうから、その辺を事務局側に、本日から1週間以内に各委員からまとめに関してご意見があれば事務局にお伝えいただく、それを踏まえて事務局は織り込んでいく、というふうにさせていただきたく思います。

 それで、さらに細かい字句とかそういうことについては、事務局と主査にご一任いただければと思います。それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【西山主査】 

 では、そのようにさせていただきます。
ということで、本日の内容はもう十二分に織り込むことが大前提であります。

 そのほかに、きょうの委員会での事務局からの連絡事項はございますか。

(渡辺技術移転推進室長より今後の予定等について連絡)

【渡辺技術移転推進室長】 

 産学連携推進委員会、いわゆる親委員会でございますけれども、8月5日の木曜日の10時から12時に予定してございます。何人かの委員は、こちらの委員会のメンバーでもございますので、その点、周知させていただきます。ありがとうございます。

【西山主査】 

 最後に、ちょっと気がついたということが何かおありになれば、ぜひとも。

 もしおありにならなければ、本日の小委員会は、では、これにて閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

 

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