第5期先端計測分析技術・機器開発小委員会(第5回) 議事録

1.日時

平成22年4月21日(水曜日)15時~17時30分

2.場所

文部科学省 3F2特別会議室

3.議題

  1. 先端計測分析技術・機器開発の今後のあり方の検討について
  2. 先端計測分析技術・機器開発のあり方検討委員会(JST)設置について
  3. 先端計測分析技術・機器開発事業の平成21年度事業報告について
  4. 産学イノベーション加速事業【先端計測分析技術・機器開発】の平成22年度事業実施について

4.出席者

委員

上野委員、近藤委員、佐近委員、志水委員、菅野委員、杉浦委員、
竹内委員、田中委員、中村委員、二瓶委員、原委員、松尾委員、
森川委員、山科委員

文部科学省

柳研究環境・産業連携課長、能見新技術革新室長、北郷研究環境・産業連携課長補佐

オブザーバー

小原独立行政法人科学技術振興機構理事
澤田独立行政法人科学技術振興機構開発総括
本河独立行政法人科学技術振興機構開発総括
安藤独立行政法人科学技術振興機構産学基礎基盤推進部参事役

5.議事録

(1)先端計測分析技術・機器開発の今後のあり方の検討について

【主査】
 昨年の秋の事業仕分けにおいて、先端計測分析技術・機器開発推進事業(以下「本事業」という)に関しても、その俎上に上ったが、1月の小委員会において、本事業も6年を経過しているということ等も含め、このタイミングで本事業の今後の進め方について、最初の原点に戻って検討してはどうかとご提案申し上げ、委員の方々からご賛同をいただいたところ。
 タスクフォースの中で3回にわたって検討した結果を取りまとめて、本日、小委員会にてご検討いただきたい。今後の予定としては、本日の小委員会でこれまでのとりまとめ内容についてご議論いただいた上で、小委員会とタスクフォースをキャッチボールのように行き来しながら仕上げていくという発想。
 そこで、なぜこういう議論をするのか、あるいはそれをどういう形にまとめ、どのような形で本委員会の事業展開のためにプラスになるように活用するかというようなこと、これはまさに小委員会の責任のもとに今後進めることでございますので、本日の配布資料をもとに可能な限り、委員の方々からご意見をいただきたいと考えている。

【事務局】
 先ほどの主査の説明に少し補足も交える形で説明させていただく。資料1について、先ほどお話のあったタスクフォースにて、主査のもと何人かの委員の方を中心に、小委員会に提出していただくための資料についてご議論頂き、その結果を踏まえ資料1および資料1の別紙として整理している。
 「検討/整理すべき事項」では、大きく3つの項目を書いている。1つ目は、先端的な計測分析技術開発に取り組むことの意義・重要性。2つ目は、計測分析技術の現状と成果、そして今後の課題。3つ目は、今後の先端的な計測分析技術実現に向けた基本的考え方(特に本事業について)。この構成で検討・整理をしていくことが必要ではないか。

第1として、「先端的な計測分析技術開発に取り組むことの意義や重要性」。この項目は大きく2つの内容がある。1つは、先端的な計測分析技術実現の意義、必要性の再確認、再整理。平成15年8月の時点でとりまとめた検討会報告資料を参考として添付しているが、このときに一度、必要性や意義についての整理を行っている。事業開始6年が経過した現時点において、その時点の整理を見直す必要がないかということで、もう一度原点に立ち返って検討を行うというのが1点目。2点目は、先端的な計測分析技術実現に向けた国の役割。先端的な計測分析技術に対して国がどう関わり、どういう役割を果たすべきなのかについて、現時点において、再度ご議論・整理をしておくことが必要と考える。

第2として、「計測分析技術の現状と成果、今後の課題」。

先端計測事業開始から6年が経過したことを踏まえ、これまでに出てきた成果だけではなく、世界及び我が国の現状を踏まえつつ、本事業でこれまでどういった成果が上がってきたかという点、特に社会的な貢献や、すぐれた成果が出てきているかといった点を踏まえ整理する必要があると考えている。(4)今後の課題で、今後、取り組み強化が求められる事項として、これまでの取組の反省等も踏まえ、今後さらに強化し取り組んでいくべき事項を整理する必要があるのではないか。

 第3として、「今後の先端的な計測分析技術実現に向けた基本的考え方」。

これについては全部で8つの項目を挙げている。

(1)「新成長戦略等の国の政策実現に向けた取組」
今、新成長戦略というものが重要な柱となっており、こういった政策に向けて本事業、また計測分析技術がどう貢献していくべきかといった点についてしっかり整理をしておく必要がある。

(2)「国の施策課題達成や研究開発基盤強化への貢献」
どのように貢献すべきかという点についても明らかにする必要がある。

(3)「研究開発プラットフォームの構築」
具体的には実際に計測分析を開発している側、ユーザー側がより密接な連携を図りつつ、その成果の開発・普及・実現を推進していく、そういった仕組みを構築していく必要がある。またそれとあわせて国際的標準化を想定した技術開発の推進が必要である。

(4)「戦略的重点化開発領域等の設定」
(1)や(2)とかなり関係する部分であるが、目標を達成するために先端計測分析技術の開発を進めていくというような観点からの推進も必要ではないか。

(5)「事業推進体制及び運営体制の見直し」
JSTで実施している本事業内容そのものの話であり、これまでの実施状況を踏まえ見直すべき点について、ご議論・ご検討いただく必要がある。

(6)「知的財産等をはじめとする研究開発成果の活用促進」
知的財産の活用促進のために、今後見直すべき点、取り組みを強化すべき点についての具体的内容を書いていく必要があるのではないか。

(7)「周知広報、事業評価への取組強化」
この先端計測の事業、あるいは計測技術開発の必要性についてさらに周知広報、あるいはこれまでの本事業に対する評価を適切に実施するためにはどうしたら良いのか、そのための取組を進めていく必要があるのではないか。

(8)「その他」
これは研究開発成果に対する収益の扱い方、マッチングファンドの扱いなどについてどのようにすべきかといった点についても少し取り上げる必要がないか。

 以上の点を考慮して、タスクフォースのメンバーの方でご議論、ご意見をいただいたものをこのような形に整理した。

資料2「検討すべき事項」についてはこのような形でまとめているが、資料1の3ページ目にもあるように、最終的に報告書の形で取りまとめる予定で、できれば7月上旬を目途としたいと考えている。具体的作業については、タスクフォースに参加している方を中心にお願いさせていただくことを考えている。資料1の別紙に「とりまとめの文書の執筆分担(案)」という形で作業分担案を作成している。まだ素案なので、小委員会の中でご議論やご意見をいただいた上で、最終的に進めさせていただきたいと考えている。

【主査】
 本来であれば小委員会をもっと早く開き、全体の考え方そのものをご議論いただくほうがよかったと思うが、世の中の情勢がいろいろ動いているという部分もあり、そういうものを踏まえながら、どのような形でまとめるのか。かなり戦略的な発想が必要であり、本日このような形でごらんいただければと思っている。
 資料1のような項目立てで資料1別紙のように皆様のご協力をいただいて文章をまとめようということ。本日ご議論をいただいた後、ご担当項目のご提案をいただければ、ご協力をお願いしたいと考えている。
 タスクフォースのメンバーには少なくとも各分担の全体のまとめの責任をお持ち頂くようお願いしている。
 実際に原稿を書くお立場にならない場合でも、責任はあくまでも小委員会にあり、査読はお願いしたい。そのようなことを念頭に置いていただいて、資料1の各項目をご覧頂いた上で、適切さを欠くのではないか、こういう記述もつけ加えるべきではないか等、ご意見があれば頂きたいと考えている。本事業の置かれている状況がかなり厳しいことから、このようなことで本事業の本来のねらい、目標等を今後とも最善の形に近い形ないしはやり方で進めていきたいと考えている。

 このように報告書をまとめることとなった主な理由としては、資料1の「はじめに」の部分に、「世界における当該分野の研究開発体制も進展しつつあることから」と掲げている。しかしながら、様々なところでご指摘を頂いた問題点、課題に対応した文言を散りばめる姿勢はご理解頂けると思う。

 世界の情勢について、「諸外国の動向」という章でJST研究開発戦略センターのご協力を頂いている。研究開発戦略センター、本事業に関連する海外動向調査を平成21年度に実施頂いており、その調査内容を盛り込んでいただくようお願いしている。

【委員等】
 非常に多岐にわたる項目がピックアップされており、逐一きちんとした意見をまとめることができれば大変良い提案になると思う。事業仕分け的な観点から、先端計測分析技術・機器開発に関連した他事業を俯瞰して整理することができれば、よりいいものになるのではないか。国の諸施策を俯瞰して整理したときに、本事業が占める位置・意義について整理して述べるができれば、より良い報告書になるのではないかと。

【主査】
 ご指摘の点はあらかじめ考えているが、全体を詳細に議論するのは難しい。現状をより明らかにし、その欠点を直すという観点からも、提案が望ましいというロジックを立てないといけない、できる範囲でそういう内容にしないといけないと思う。

【委員等】
 先端計測技術で開発されたものは、基礎研究とどのようにつながるか。一般の大学研究者の場合、科学研究費補助金や、ベーシックリサーチのファンドがあるが、このように大きな予算を注ぎ込むことは、時間的・予算的に難しい。したがって、科学研究費補助金等との連携をもう少し図ってはどうか。

【主査】
 科研費というのはボトムアップの最も大事な研究費であるということで、それは揺るぎがない。そこからこういう分野に向けての研究成果が出てくることも期待され、そういうものとの全体の流れのスキームというのは、わかりやすく表現したいと思う。基礎研究から芽が出て、そのアイディアとある種の予備実験的な成果を、さらにきちんとした形にするために、例えば本事業では要素技術プログラム、機器開発のプログラム、実証・実用化プログラムという流れがある。ほかの領域の研究成果との行き来は、出入り自由であり、全体像としてきちんとわかるようにしなければならないと思う。

【委員等】
 もう少し具体的なことをつけ加えると、こういう機器開発でできて、それが本当に長期間使えてこなれていくためには多くの年限が必要かと思うが、ユーザーとして長く使っていただいてブラッシュアップしていくという、インタラクションがないと継続して開発した技術が実用、そして長期間使われない可能性もあるのではないか。

【委員等】
 科研費にもいろいろな機能があり、項目3(4)(f)に若手研究者育成プログラムの設定とあり、科研費を一般的に科研費とするのではなく、こういうプログラムのもとに設定する柱のようなものを設定していただければ、より有効になってくる。そして、そういうものを今度、若手の研究者がわずか何百万の研究費を何年間か継続して使っていただいている。そういう中からいろいろな発想が出てくることがあると思う。そういうものをうまく拾っていくということは、なかなかこういう機会、場では難しい。

 したがって、項目3(5)(a)にある、学会との連携強化などということも、いろいろな学会活動を活用するとしながら情報をこちらのほうでもらってくる。何か特定のテーマを投げかけて、例えば若手の研究評価や、その中から機器開発へ繋がるもの等、いろいろな有機的な連携の仕方というのはまだたくさんあるのではないか。機器開発を中心にしながらも、今まであまり活用していなかった部分も利用できる、そんな面があると思う。

【主査】
 科研費の中にかつて試験研究という分化細目があったと思うが、それがなくなって、それにかわる機能をもう一度つくるべきという議論がタスクフォースのメンバーの議論でもあった。これは今おっしゃっていただいた、特に若手が自分のやってみたいことをそんなに大きな金額でなくて実施に移すことができるような、そういう科研費の分化細目があればすばらしい。

【委員等】
 これから国のプロジェクトで若手を育成しなければならないことは、現政権のモノから人へということになると思うし、そういった面ではよく考えなければならない、いい指摘だと思う。若手研究者が将来展望を描きにくくなり、人生を賭するに値する天職としての研究者という仕事の魅力を失わせるといった状況を招いている。

資料1で、項目が幾つも述べてあり、網羅的に漏れがないように、それぞれの項目、要素に分けて書かれている。これがほかの分野に対して参考になるように、それぞれ切り離して考えるということができるという点ではいいのかもしれないが、実際に研究している特に若手が一体これによってどうなるのかが思い描きにくいような気がする。

 それと関連し、逆に自分がどう育てていただいたかということをストーリーとして、私自身がどうやってきたかということを見ると、大人の背中、先人の背中を見て育ってきた。その大人たちがどうしてきたか、数十年前の高度成長時代で、今の団塊の世代の人たちがやってきたことを、それをいわばいいも悪いも、いろいろ失敗しても何とか頑張って前に進もうとしている姿を見てきたことがよかったと思う。ところが、今はみんな、日本はだめだということで、大人自身が自信を持っていない。

 そうであるにもかかわらず子供たちに頑張ってくれというのは、それは子供たちついてこないことはすぐに想像できること。数十年前から考えれば、日本はかなりいいところまで来ており、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われたときもあり、そういうことを考えると、だめなところばかり指摘され、大人が自信を失っている。もっといいところを見つけていけばたくさんあると思うし、そういったところを説明するような何かストーリーがないと、先端計測・機器の開発に限らず、特に先端のところでは若い人たちのアイディア、いろいろ新しい発想を入れてもいい、あるいは失敗してもいいと。とにかくチャレンジということが描けるような情報があったらいいと思う。

 単純に数千万等という話で、若手研究者育成プログラムを設定するということよりも、そちらのほうを考える、そちらも合わせて考えるほうがいいのではないか。

【主査】
 全体、項目だけで議論していると大事な点がぼけてしまう心配があり、ご指摘のような点をどこかで述べなければならない。

【委員等】
 ストーリーをどうやって描けるかというのがないと、何か客観的過ぎてわかりにくくなるような気がする。

【委員等】
 計測技術ではなくて、計測科学であるということ。もう一つは、標準化ということが、アメリカ、イギリス、ドイツ、それからユーロもすべて表裏一体になっているという、それは非常に大事な視点。
 1つの例として、ドイツにおいてはPTB(Physikalisch-Technische Bundesanstalt)が国家標準の開発と計測技術の開発検証、人材育成のために中国と2国間プロジェクトを立ち上げて、20年間、中国の国際標準を支援してきている。
どんなにすばらしい計測機器をつくっても、標準化というネットにかかったときに、それを念頭に入れていない計測機器開発というのは、戦略として非常に危ういのではないか。最先端の技術開発というのは重要であるが、もう一つのバックアップとしての国の戦略目標として、国際標準化というものを念頭に置いて、明確にそれがきちんと表裏一体の形で出ているか。
 来年度の新しい領域設定など、いろいろな議論が出てくると思うが、やはり国際標準化を戦略目標の中に入れた計測機器開発という視点をどこかに入れておくべきではないか。

【委員等】
 1つ問題意識を提言したい。最先端の先端計測技術の開発、機器の開発という非常に重要なテーマで、そのときに機器をセットとしてつくるのはセットメーカー。実際、センサー、コンポーネント、あるいはモジュールのようなものは中小企業がつくる。現在の中小企業の置かれている状況は大変厳しいものがあり、大手メーカーの系列や下請の企業というのは、今現在は建機とか半導体で大変景気のいい状態が続いている。しかし、サポーティングインダストリー企業と言われる物づくりの基盤的技術を担う中小企業が、国内で非常に厳しい状況になっている。国内のマーケットが小さく、国内の工場は赤字になっており、一方、海外へ進出した企業がプラスになっている状況。しがって、このような現状についての課題はぜひ含めておく必要があるのではないか。良い研究テーマがあっても、実際にものづくりを担う企業が衰退している点が、非常に大きな問題になるのではないか。このような視点で何か記述が必要か。

【委員等】
 人材育成、若手育成が大切であるということが多く盛り込まれていて非常に重要であると思うが、どのような人材を育成したいのかという観点がややあいまいな印象を受ける。ポスドク問題があり、学会でも人材育成、若手育成というのは常に議論になっている。本事業は、アカデミアと産とが共同してつくり上げていくものに非常に近いと思う。人材の行く方向というのを考えると、産業界からアカデミアの方に移られる方は多いが、その逆というのは実は多分非常に少ないと思う。アカデミアで実績を積んだ方が産業界にすぐ職を得られるかというと、なかなかそうなっていない。そういうバリアをなくすには人的交流が重要であり、産でもアカデミアでも通用するような人材を育成するというような、何かそういうよいプログラムになり得るのではないか。

【主査】
 いろいろな意見をなるべく取り込んで全体を構成するという発想でまとめたものであり、データ等は別表、あるいは資料に回して、本文は大きめの活字で簡潔になどというまとめ方になると思う。必要な点、重要な点等、盛り込むべき内容があれば、ご意見を承り再度タスクフォースで検討させていただく。

【委員等】
 中小企業の役割というのは非常に重要な問題。製造業の企業数から言えば、中小企業は日本全体の90%を超えている。物づくり産業の中の従業員数は、全体の30%が大企業の従業員で、残り70%は中小企業。物づくりの基盤の大半は中小企業が占めている。

(2)先端計測分析技術・機器開発のあり方検討委員会(JST)設置について

【説明者】
 先端計測分析技術・機器開発小委員会での議論にシンクロする形でJSTでも幾つかの項目について議論を始めている。JST内にあり方検討委員会を設置し、制度のあり方ということで、昨年度の行政刷新会議の中で指摘されていた部分もあり、例えば機器が製品化され売れてきたときに、国に収益を返すということも必要ではないかという議論もあった。また、現在マッチングファンドはJSTと大企業の場合は1対1ということでやっているが、例えば企業負担を増やしてはどうか等、議論もあった。メリット、デメリット等を整理し、今後本事業に取り入れていくのかどうか、議論をしていきたいと思っている。

 2番目の項目では、委託開発で得られた成果、特許については相手側の大学、企業が権利を有するというバイ・ドールを適用しているが、国で得られた成果として、JSTが管理する必要性について。もし活用されていない特許が出てきた場合には、広く活用する方策があるのではないか、そういったようなことについても議論をしていきたいと思っている。

 3番目の項目では、効果的なPRの仕方、本事業の評価として定量的な指標等、様々な議論を交わすということで、本検討委員会を設置している。メンバーは開発総括をはじめとし、メーカー、ユーザー企業、大学等、さまざまなセクターの方で構成されている。4月から始めており、委員会自体は1年間を考えているが、目途としては夏ぐらいまでに、ある一定の中間取りまとめをしたいと考えている。

 国費にて本事業を実施しており、事業の効果、社会的な貢献度が求められているので、一般の方にもわかりやすいインパクトのある客観的な評価指標というのが果たしてあるのか、設定できるのか、議論をしていきたいと思っている。

 また、支援のあり方についての議論もしていきたいと考えている、現在、課題選考を実施する評価委員会と、採択された課題を推進する開発総括が中心に支援体制を構築しているが、現在の仕組みで続けていくのが適当なのか、改善点その他があるのか等について議論していきたいと思っている。

 バイ・ドールによる知財管理については、管理の仕方、未利用特許の活用促進方法等について議論をしていきたいと思っている。

 マッチングファンドにおける負担割合の変動についても検討していきたいと思っている。さらに収益回収についても、メリット、デメリットを整理し検討したいと思っている。

 成果普及のあり方について、非専門家、一般の方等のPRターゲット、またアピールする方策等検討していきたいと思っている。JSTとしても学会との連携は十分でないところもあり、今後いろいろな連携方策を立てていきながら、効果的なPR、あるいは提案者の掘り起こし等について議論していきたい。

【委員等】
 何となく、評価に当たり採択した課題が全部成功するというような前提で話が進んでいるような気がするが、おそらく、それでは最先端のものはできなく、かなりの失敗の中からいいものが残ってくるのが本当の先端計測ではないか。このような観点を評価の面で入れていく必要があるのではないか。全部成功するものではなく、逆にそういうところにチャレンジしないと日本は最先端を切り開いていけないということを理解してもらうよう、うまく表現していただければと思う。

【委員等】
 上手くいかないという点に関し、ただ評価点をつけるだけではなく、どのような点でなぜ上手くいかなかったのかを検討し、今後どうすべきかを、むしろポジティブに捉えていくやり方もあるのではないか。

【委員等】
 事後評価も実施しており、サイトビジットにより評価委員の方々がいろいろなアドバイスをしている。

【委員等】
 企業が非常にその研究に近いところで有望だと思うものでないと、おそらく、マッチングファンドは実現しない。先端計測の分野では、マッチングファンドの対象・非対象を見極めた上で事業を進めていかないと、マッチングファンドというのは非常に危険で、中小企業はほとんどマッチングファンドにアプライしてこない。
 大企業がアプライしてくるのは、自身の研究領域で不足している部分、開発したい部分等、非常に目標と目的がはっきりしたところ。この辺の評価軸の理を考えていただきたい。

【委員等】
 現在の4つのプログラムの内、一番出口側に近い実証・実用化プログラムにマッチングファンドを適用しており、企業の規模に応じて、中堅、中小の場合は2分の1負担、大企業の場合は同等の負担という方法をとっている。

【委員等】
 最先端での研究開発を行う場合、最初から商業性等を求めていくのはどうか。最初にサクセスクライテリアを考えるとき、どのように定義するか、非常に重要である。産業界における最先端のニーズがどこまであるか、産業に要するコスト等、いろいろな面の制約があり、逆にそういうものを克服していかなければ、中国、韓国等には勝てない。

【委員等】
 昨今の議論は、先端計測機器がいかに売れるか、いかに汎用性があって、いかに利益を産むかという議論に終始されている気がする。本小委員会がスタートした時の議論は、オンリーワン、ナンバーワンを目指すという明確なターゲットがあった。しかし、それだけではなく、少しでも多くの人に役に立って使われるような、そういう視点を外してはいけないということで、2本立てで動いており、オンリーワン、ナンバーワンのところは数件ある。一度スタート時を振り返り、どのような考えでもって始めたかということを明確にしておく必要があるのではないか。
 失敗事例を残すことは非常に重要であり、成功事例よりも失敗事例をできるだけ正確に記述し、次の世代に残していくというようなことも考えていいのではないかと思う。

【委員等】
 アメリカのベンチャー企業では、例えば10個のうち9個以上は失敗に終わるが、そのなぜ失敗したかを皆が聞きたがるらしい。自身がどうすべきか、成功例を聞くよりも失敗例を聞いたほうが、よりためになる。日本では壊れない製品を物づくりしてきたという非常に生真面目な性格があるために、失敗は恥ずかしいという面があるので、何かそういった失敗をうまく表現していくようなシステムがあればいい。ある意味、こんな有意義な失敗をしてきたという説明が必要であり、成功例というのは大体思いつくことで、失敗の中からほかに適用してみたところ、非常にいいものがあったりする。

【主査】
 開発成果のフォローアップの件で、22年度予算の中に研究開発成果の社会還元を推進するという形で予算が計上されている。展示会への出展、成果シンポジウム、あるいはパンフレット等は十分にされているが、もう一つご検討いただきたいのは、実証・実用化プログラム等を経て、その開発成果を、必要とするユーザーに自由に使っていただくための仕組みを構築し、その実績を成功事例の評価にカウントすべきで、これはまさに成果の社会還元であると思う。
 オンリーワン、ナンバーワンの装置はすぐに商品化され売れるという性格のものではないにしても、そのデータは役に立つということであれば、必ず研究者が使いたがる。場をつくり、実際に使っていただくということ、ここまでやるのが本事業の出口の1つではないかと思うが、その段階ではなく、今までその目論見ができていない。そろそろ、その段階ではないかと思い、あり方検討委員会でも取り上げていただければと思う。

【委員等】
 プロトタイプ機そのものが幾つか出てきており、実証・実用化プログラムにつながったもの、あるいはつながっていないものもある。今後どのように有効活用していくかということは非常に重要であると思っており、今後の議論と考えている。

(3)先端計測分析技術・機器開発事業の平成21年度事業報告について

【説明者】
 21年度公募においては、トータルで284件の応募があり、65件の課題が採択された。これは過去6年の中では最大の採択件数。21年度から発足したソフトウェア開発プログラムは、プロトタイプ機の実用化並びに普及を促進するためにアプリケーション、データベース、プラットフォーム等、ソフトウェアを開発しユーザビリティ・信頼性の高いプロトタイプ機システムに仕上げるということを目的としている。プロトタイプ実証・実用化プログラムは一番出口に近いところで、企業がリーダーとなり実用化を進めていくプログラムであり、20年度から開始している。
 中間評価について、おおむね採択から1年後に評価委員会で厳正に評価をしていただいている。21年度については中間評価を28件行っており、Sの課題が3件、Aの課題が23件。Bの課題が2件という評価結果。
 事後評価について、20年度については21件の評価を実施した。そのうち、S評価が7件。具体的には、要素技術で3件、機器開発で4件がS評価。
 成果普及活動としては、分析展、BioJapan、Pittcon等へ出展し、ブース出展、成果報告会等を行った。さらに、本事業開始から5周年ということで、日本科学未来館で成果報告、展示、ポスター発表を行い、約500名の参加があった。
 特に、今年度は非常によい成果として、機器開発プログラムで2例ある。一つは、リウマチの早期診断に役立つX線格子干渉計撮影装置で、コニカミノルタと一緒に機器開発を行っている。もう一つは、新日鐵等と共に開発を行っていた単一粒子履歴解析装置。

(4)産学イノベーション加速事業【先端計測分析技術・機器開発】の平成22年度事業実施について

【説明者】
 本年度についても事業を継続し、すぐれた成果を創出していこうと思っている。方針として、継続している課題に対する様々な評価、開発総括のもと実施している。
 今年度の新規課題については、2月25日から4月7日まで公募を行い、相当数の応募件数があった。厳選な評価の上、採択していこうと考えている。また、成果普及についても効率的・効果的に実施していこうと考えている。成果の普及活動は非常に重要であり、専門家・ユーザーへの普及ということで、昨年に引き続き、経費節減しつつ分析展、BioJapan等への出展。また、日本分析化学会と連携し、年会の中で成果報告会を行うことも検討している。
 さらに国民・社会への周知ということで、広報用DVDの作成、サイエンスチャンネルでの放映も行っており、今年度もう少し工夫してDVDをつくろうと思っている。それ以外にマスコミ向けのレクチャー会のようなものも開催しようかと考えており、JST広報誌「JST News」にも成果が出たものについて記事掲載も考えている。
 プレス発表についても実施していきたいと考えている。さらに例えば教育委員会のようなところとも連携し、子供たちへのPRということを、一部行っているが、いろいろな試みの中の1つとしてやっていこうと考えている。
 企業とのマッチングについて、特に要素技術プログラムについては、大学単独の応募が多く、実用化につなげるため企業とのマッチングが必要になってくるので、JST産学連携事業の中で行っている新技術説明会や、J-STOREという特許のデータベース等での紹介も考えている。
 現場ニーズの把握について、例えばJST研究開発戦略センターとの連携によるニーズの把握や、知的財産戦略センターと連携し特許マップのようなものの試作等により、動向・ニーズ把握を行ってみたいと思う。 

【委員等】
 評価におけるS、A、B、Cにおいて、当初目標を達成し、上回ったか等の定義では、失敗に学ぼうという評価は入らないのではないか。当初目標は達成できないが、将来につながる特筆すべき成果をもたらした等。失敗の評価というのはなかなか説得力がないが、成功にもいろいろある。オリンピックも金メダルだけではなく、銀メダルも、銅メダルもあるとすると、成功のパターンが少し違うものもあるということであれば、先ほどの議論が生かされるのではないか。当初目標は達成しなかったが、特筆すべき成果であればBダッシュ等、難しいが何か工夫が必要ではないか。

【委員等】
 成功するまでにどのような失敗を重ねてそこに到達したか、失敗したから優れているのではなく、どのような失敗を重ねて成功に至ったか、この点についての記述も残しておくように。中間評価の段階で減額というようなケースはある。あるいは、こんなチャレンジをしたが、うまくいかなかったということを明確に記述し、それを評価のときに反映できるような形でやる。

【委員等】
 当初目標を達成するか、しないかだけがすべての前提条件になってしまうと、例えば3年半の中では達成しないが、実はそれは、10年という大きな計画での最初の3年であるかもしれない等、非常に矮小化され、本事業そのものが短期的なものしか取り込めないというふうになる。何か工夫の余地があるかと思う。

【委員等】
 本事業の最大の特徴は、採択後、研究がスタートした当初から開発総括による支援・アドバイス等がある。当初目標に対し、進行途中で、開発総括とリーダー、研究者等とディスカッションの上、開発途中での軌道修正等を行っている。

【委員等】
 短い時間の中、発表会で何かを聞いても、いいところだけしか言わない。しかし、現場へ行っていろいろ伺うと、そこにいる若い方たちのご意見等により、いろいろなことが見えてくる。現在やっておられることを、もっと鋭意やっていかれて、ここに力を入れたほうがいいのではないか、研究チーム以外のこういう方から知恵を借りたらいかがか等、後押ししていただければ、なおいいものが、BがAになったり、AがSになったりするチャンスが多くなるのではないかと思う。

【主査】
 最終報告を研究代表者がまとめるだけでなく、開発総括の方々がレポートをまとめておく。それをどう世の中に伝えるかというあたりは何か工夫、アイディアは。

【委員等】
 プロジェクト終了後、多くの人に使ってもらえるような環境になるには相当時間がかかる。終了後もウォッチングしケアをする。開発された装置をしばらくの間はどこかに設置しておいて、多くのユーザーに対する広報と、使える機会を設けてはどうか。

【主査】
 まとめ上げていく努力と工夫が必要である。本事業の成果をいろいろな形で社会に還元する仕組みを、もう少し精緻に考えることが必要かと思う。

【委員等】
 失敗から学ぶようなものとして、例えば開発総括がまとめたものをサイエンスライターの方に本に起こしていただくなど。

【委員等】
 そのときにハードルがどれくらい高いのかという説明が必要だと思う。B評価になっているものは、実はS評価のものよりも高いハードルを設定し、達成できなかったからB評価で、S評価のものは実は意外と低いハードルを設定していたからS評価だった、という場合もあるのではないかと思う。サイエンスライターの方が何か書くときに、ただA、Bという観点で評価するのではなく、ハードルが大体この辺りというような評価を一言入れておくと非常にわかりやすくなるのではないかと思う。

【主査】
 予算の大幅縮減にもかかわらず、これだけの応募があったという事実、これは大変大事なことだと思う。しかしながら、その中からどういう考え方でどれだけ採択するかというのは、応募された方々の気持ち等を考え、1つ歴史に記録を残すような構えで評価、採択基準、そのあたりをご検討の上、よい結論をお出しいただければということをお願いする次第である。

お問合せ先

研究振興局基盤研究課