第5期知的基盤整備委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成21年4月23日(木曜日)11時20分~12時25分

2.場所

文化庁第2会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 主査代理の指名、運営規則について
  2. 小委員会の設置について
  3. 第5期における調査検討事項等について
  4. その他

4.出席者

委員

石田、岩田、漆原、大野、長我部、笠井、河瀬、久保田、小原、齋藤、柘植、中村、根岸、原田、藤田、松尾 各委員

文部科学省

田口研究環境・産業連携課長、北郷研究環境・産業連携課長補佐

オブザーバー

技術・研究基盤部会 白井 部会長

5.議事録

【柘植主査】
ただいまから科学技術・学術審議会の技術・研究基盤部会知的基盤整備委員会の初回を開催いたします。技術・研究基盤部会におきまして指名を受け、本委員会の主査を務めます柘植でございます。それでは、議事次第に従って進めて参ります。

 (事務局より、配付資料の確認、その後、委員の紹介)

【柘植主査】
 それでは、議題1について、まず、技術・研究基盤部会運営規則の第2条第7項に従い、私から主査代理を指名します。原山委員にお願いしたいと思いますが、よろしいですか。

 (「異議なし」の声あり)

【柘植主査】
次に、この委員会の規則について、事務局から説明をお願いします。

 (事務局より、資料2の説明)

【柘植主査】
 質問はありますか。それでは、この知的基盤整備委員会の運営規則を資料2の通り、決定してよろしいですか。

 (「異議なし」の声あり)

【柘植主査】 
 それでは、議題2の小委員会の設置について、事務局から説明をお願いします。

 (事務局より、資料3の説明)

【柘植主査】
 先ほどの技術・研究基盤部会では、産学連携と知的基盤整備に関して、今までの視点を超えた視点がかなり議論されました。それを本委員会と小委員会でどのように仕分けして進めていったら良いでしょうか。

【事務局】
 技術・研究基盤部会のもとに、産学官連携推進委員会、知的基盤整備委員会が設置されまして、産学官連携推進委員会では、産学官連携に関してイノベーション創出、科学技術を超えたところまで議論し、知的基盤整備委員会では、科学技術活動の基盤としての研究材料やデータベース、それを社会に還元するための活動を支える基盤の部分、また人材まで視野にいれて議論していただく理解であります。
 その中で、科学技術活動の基盤を支える重要なツールである先端的な計測機器や分析機器につきましては、知的基盤整備の一環として先端計測分析技術・機器開発事業として始めております。全体の方針は知的基盤整備という枠組みの中できちんと決めていくため、本委員会に先端計測分析技術・機器開発小委員会を設けて、事業の基本的な推進の方策を議論していただくことを予定しております。

【柘植主査】
 本委員会そのものも当然ミッションを持っているわけで、技術・研究基盤部会からの命題に対して、本委員会でも議論は続けて、小委員会に丸投げするのではないという理解でいいですか。

【事務局】
 はい。ただ、先端計測分析技術・機器開発事業の進め方などについては、ある程度、小委員会に任せて、折にふれ報告を受ける格好でよろしいかと思います。

【柘植主査】
 そういう理解のもとで、本委員会のもとに小委員会を置くと決めさせていただいてよろしいですか。

 (「異議なし」の声あり)

【柘植主査】
 それでは、先端計測分析技術・機器開発小委員会を設置することで決定します。
 次に、知的基盤整備委員会運営規則第2条第2項に従い、小委員会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員を指名することとなっており、資料4に委員名簿(案)を用意しました。意見はございますか。

【柘植主査】
 特に意見もないようですので、委員、臨時委員及び専門委員につきましては、原案のとおり指名いたします。また、知的基盤整備委員会運営規則第2条第3項に従い、小委員会の主査を指名しますが、本日、ご欠席でありますが二瓶委員にお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

 (意見なし)

【柘植主査】
 それでは、議題3に移ります。

 (事務局より、資料5の説明)

【柘植主査】
 先ほど技術・研究基盤部会では、知的基盤の再利用も含めて有効活用していく仕組みの強化が必要であること、また、計測機器等のハード、ソフトを支えている人、それを使って種からイノベーションという社会経済的な価値まで具現化していくプロセスとのリンケージの視点をもっと強くしないと、なかなか社会から見えにくいという議論がありました。
 本委員会のミッションはその視野まで踏み込まないといけないと考えており、そういう視点も含めて、委員より一言いただきたいと思います。

【石田委員】
 先端計測分析技術・機器開発では、ハード面を中心に、いろいろなことを議論して、毎年工夫されてきていると思いますが、それ以外のいろいろな研究資材、標準試料等について、整備計画のフォローもきっちりやりながら、23年度からの方針を議論していかなければなりません。

【岩田委員】
 昨年度からの経済危機で、知的基盤のトレンドに合わせて戦略や研究の構造をデザインしてきた会社が非常に厳しくなりました。これだけ国のポテンシャルがある資産を知的基盤として使って、打たれ強い国家にするためには、ほんとうの意味での基礎まで立ち上った知的基盤の位置づけが非常に大事だと思います。

【長我部委員】
 知的基盤整備ということで、今まではプラットフォームをどう整備するかが中心だったと思いますが、整備したプラットフォームの上でほんとうにイノベーションが動くかにフォーカスを当てなければいけません。
 複数プラットフォームを使い回して社会的な経済的なところまで持っていくためには、リーダーとなる個人の資質、複数の領域を一人で全部カバーするぐらいの統合型の人材が必要であり、それから、プラットフォームのマネジメントについても意見を言っていかないといけません。

【河瀬委員】
 遺伝資源やゲノムリソースにしても国家的な資源であることは間違いないですが、単に持っているだけではなく、どう利活用していくかも含めて、重要だと思います。
 それを担う人あるいは組織については、研究成果として論文という形で評価できない部分をどう仕組みとして支えていくべきかを考えていただければと思います。

【原山委員】
 最先端の研究をサポートするためのインフラを実際に使えるものに落とし込み、出口という公共財的な部分、また、新たなビジネスに落とし込んでいく戦略をどうするかを議論しなければいけません。
 国際的な知的基盤に対して、日本がどの程度まで相乗りできるか、外部のリソースをいかに使ってきて日本の研究者に使えるものにするか、その辺の仕組みも具体的なところで考えなければいけないと思います。

【久保田委員】
 整備された知的基盤が、ユーザーから見てどのように評価されているのか、非常に使い勝手のいいものなのか、クオリティーがユーザーの要求を満たすレベルになっているかも含めてきちんと評価をして、その上で、数のみでなくて質を吟味することが必要になってきていると思います。
 国際的な取り組みに関して、国際間の取引のルールと相互承認を中心に議論されてきましたが、今、どの国も、非常に予算的に厳しくなってきており、国家間での相互利用の仕組みまで考えながら、議論を進めていかなければならないと思います。

【小原委員】
 生き物は随分整備されてきていますが、それがどのぐらい使われているのか、しっかり検証して、よりよいものを継続的にいく計画を作っていただきたいと思います。
 たくさんのデータベースを統合的に使おうというプロジェクトも始まっているが継続的にいっていません。データベースをつくる人が人材を継続的に使わないといけませんが、プロジェクトである限りはどうしても消えてしまい、インセンティブもなくなってきます。

【松尾委員】
 今のような有期雇用では、理系に将来が見ず、魅力的な職種でなくなってしまうことが非常に怖いです。トップの人材を育てることが重要であるとともに、いろいろな職種の理系の科学技術にかかわる人材を育てることが重要で、そういう規模感がある人材育成のもとに知的基盤を支える人たちができてくるのではないかと思います。
 それから、日本では論文誌に投稿するときに、海外の論文誌に投稿したがる傾向があり、日本からもきちんとした情報発信手段を持つことを考えていけたらいいと思います。

【漆原委員】
 人材とデータベースに関して2つの側面から、データベースにかかわる継続性がなく、評価がされにくいことが何年も言われつつ全然変わっていないため、知的基盤整備にかかわる人材を評価するシステムを何とかつくったほうがいい。また、知的基盤を使うほうのユーザーの教育も考えたほうがいいと思います。

【大野委員】
 SPring-8の中にある機器は最先端機器の固まりですが、残念ながら、最先端になればなるほど外国の機器を多用しています。
 それから、多くの実験データのデータベースをどのように構築して残しておくかも大きな問題です。また、任期制でない職員の制度で継続的につなげていくことが、いろいろな基盤となり、ある意味非常に重要ではないでしょうか。

【笠井委員】
 バイオリソースを継続的に維持していく上で、下支えの人材もあるわけで、今、そういう人材は全く保障されない立場にあります。そういう人材の教育、保障もぜひ必要だと思います。
 それから、例えば外国からバイオリソースを収集したり分譲したりする場合、いろいろな障壁があり、もし包括的に解決できる仕組みをつくることが日本の中でできれば、非常に有利になると思います。

【齋藤委員】
 実験動物では、胚の凍結保存が可能になり、かなりの動物が保存されるようになってきて、基盤としては非常に整備されていると思います。それをどう使うか、今ちょうどその時期に来ている感じがします。

【中村委員】
 すそ野が広くなければ絶対トップもうまくいかないと思っており、最先端の技術とトップの研究者を育てると同時に、下支えの人材もどう育成していくかはとても大事だと思います。
 理系でのキャリアパスについて、女子学生たちに講義を去年ぐらいから始めており、下支えからトップまでどう人材育成していくかが、とても大事ではないかと思います。

【根岸委員】
 知的基盤と出口の話との間の連関性をもう少し客観的に検証できる評価基準を地道に検討していかないと、知的基盤がどの程度どう必要かという量的な側面に踏み込めません。そういう意味では出口、さらにはイノベーションとの連関性を、科学的な定量的な理論武装していかないと、知的基盤の推進そのものがなかなか持ちにくいと思います。
 有期雇用の話とも関連し、とにかくネイチャーに論文を出した人が評価される単純な話になってくると話が循環していくので、その辺も含めて議論する必要があります。

【藤田委員】
 ユーザーに知的基盤が提供されるのは、特許関係から見ても非常にすばらしいと思います。特許の審査では、ある程度の数の実施例が明細書中に記載されていないと、特許保護が実施例に限定される傾向があり、特許庁に対しても様々な面から意見が出されています。もし、いろいろな材料が提供されていれば、例えば大学の先生であっても十分な保護を得られる支援もできるのかと思いました。

【柘植主査】
 今いただいた意見は、技術・研究基盤部会からの意見も、大体同じ問題を視座に入れていると感じます。知的基盤整備に対しての継続性も含めて一層の充実は当然ですが、最終的な社会の出口、イノベーションという道筋の中で知的基盤整備計画をもう少し広くとらえ、あるいは、それを支えているすそ野の人材を育てていくことも広い意味での知的基盤整備計画であるという見方が漏れていると思います。
 ぜひとも、小委員会にも今日の議論を伝えて、単なる平成19年のフォローアップではなく、少し広い意味での知的基盤整備計画という面でも議論していただき、平行して本委員会でも、次回に向けて、今日の論点を少し整理して深めていきたいです。
 科学技術・学術審議会の人材委員会では、中間まとめを基に最終提言に向けているが、中間まとめを各委員へ配付するよう事務局にお願いします。この知的基盤整備の人材という面で、今日の議論を包括したものが提言として結びつくと思います。

【柘植主査】
 それでは、閉会とします。ありがとうございました。

 

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研究振興局研究環境・産業連携課