先端計測分析技術・機器開発小委員会(第10回) 議事録

1.日時

平成17年11月29日(火曜日) 10時~12時

2.場所

三菱ビル 地下1階 M9会議室

3.出席者

委員

 二瓶、近藤、志水、田中、中村、西野、原、松尾、森川各委員

文部科学省

 根本研究環境・産業連携課長、青木研究環境・産業連携課専門官

オブザーバー

(説明者)
 佐藤独立行政法人科学技術振興機構先端計測技術推進室長

4.議事録

(◎:主査 ○:委員等 △:事務局の発言)

予算状況説明について

事務局
 先端計測分析関係の予算であるが、総合科学技術会議の評価は必ずしも芳しい評価ではない。

委員等
 どういう点において芳しくないのか。

事務局
 まず財政状況がかなり厳しく全体的に抑制している。また、この事業は16年度、17年度とかなりの課題が立ち上がっており、その様子を見てということで、一気に増額という評価はいただいていない。まだモノができていない段階で、逆に夢のある課題がいろいろ出ているのにどうして、とこちらも思っている。

主査
 3年度目での評価はもちろん納得できないが、19年度に向け他省庁との調整も含め、もう少しきちんとした理解を行政当局、財務当局に持っていただく努力をさらに加速すべき。まさに逆方向の議論といった印象を受けている。

開発領域・機器開発プログラムと要素技術プログラムについて

委員等
 前回、「環境情報及び生体応答情報の実時間多元同時モニタリング」の議論があったとき、必ずしも環境情報と生体応答情報の2つを同時に測定できる必要はないと思っていた。また、一方、ここで必要となるリアルタイム計測は要素技術でもカバーできると思っていた。ところが、いただいた資料では、要素技術は必ずしもこのような開発を目指す視点には立っていない。「環境情報及び生体応答情報の実時間多元同時モニタリング」で必要とされる技術の一部を、要素技術の項目に回した方が良いのではないか。
 環境計測の場合には、基本的には最初に環境研究の目的があり、そのために重要なパラメーターを測るための技術開発を行うという目標が設定される。一個一個の要素技術は大事であるが、むしろ最適な要素技術を組み合わせて、その目標に向かっていくということが大事である。例えば様々な大気成分のリアルタイム計測は環境計測でますます重要になってきている。最適な技術の組み合わせで、研究・モニタリングにとって必要性がある測定器を開発するというのは非常に大事なことである。環境の分野については、要素技術の項目を設定する際にそのような、必要性を重視した視点をもう少し考慮する必要があるのではないか。

主査
 後ほど、要素技術とシステム開発をもう少し峻別した方が、本来ねらっている要素技術の課題が採択しやすくなるのではないかという議論を行うが、今ご指摘の点が、システムとしての共通技術を重視した開発体制というご指摘であれば、やはりシステムに入る課題になるのではないかという感じを受ける。

委員等
 例えば試薬をどう組み合わせて、どういうすばらしいものができるかというところまで見通しを立てておかないと、有効な環境計測技術につながりにくいと思う。

主査
 要素技術の方から、同時計測というシステムの実現に向けたアプローチがあっていいだろうと、そういうご指摘ですね。

委員等
 そうです。それはほかの分野と違うかもしれないが、少なくとも環境分野はそうである。

主査
 ご指摘のように、環境分野はほかの分野と研究対象がずいぶん違うという点は確かにある。その点を加味した判断があってもしかるべきだというご指摘である。この文面を読むと、同時ということだけが議論になっているが、実はご意見の基本にあるのは、システム開発か要素技術開発かという切り口にかかわっていると、そういうご指摘である。

特許について

委員等
 特許は、押さえておかないとせっかくやったことが特に海外にまねされてしまうという点で、非常に重要である。そういう点で、特許を一つの評価対象にすることは基本的に賛成であるが、「特許に関する予定を書く」となると、実際、特許は外部の人に話してはまずいことなので、どのように書くかが問題になる。私どももプロジェクトを立てるときに特許何件という目標は立てるが、どういう特許を書くかということは言えない。評価する際に、特許の予定を知らさなければならないとすると、その内容を知り得る人を限定し、それを知った人は外部に漏らしてはいけないことになる。特許の基本的な目的から逸脱するような方法を評価に含めるのはまずいと思う。

主査
 全くご指摘のとおりである。前回の議論は、知的財産権を重視した開発を行うというのがこのプログラムの一つの柱であり、特許化を強く意識して提案書が書かれているにもかかわらず、実施に入った後、特許化への熱意が下がっては困るので、もう一回リマインドしていただくという趣旨で、中間評価に含めるということであった。

委員等
 趣旨は非常にいいことだと思う。ただ、評価の方法である。

主査
 今回の中間評価の実施方針の中にこの文言を書いて通知した。ただ、どういう特許を出すかという内容までお願いしたとは思っていないがどうか。

事務局
 前回の議論でいろいろあったが、特許は内容まで踏み込まないと評価は難しい。特許の出願は推奨している。しかし、どういう評価ができるかというと、数でもなかなか難しく、内容についてはどこまで開示できるかという所があり非常に取り扱いが難しい。基本的に、権利化は実施しなければいけないと思っているが、それを評価にどのように反映させるかというのが、これからの検討課題である。

委員等
 この議論のときには、特許申請出願までは含めていいとのことだった。出願していればフォローできるからである。
 また、関係のない特許をいっぱい書く人がいるから、出願中の特許について出願記録をきちんと掲載させ、必ずフォローできるようにすることが重要である。

主査
 中間評価は最終評価と違って今後があり、少し努力が足りないという研究者及びグループに対し、もう少し努力していただきたいという趣旨だったと思う。
 特許の評価もご指摘のとおりで、研究と無関係な特許を評価するわけにはいかないし、数ではなくて質の面に踏み込むべきではあるが、大変難しい。
 知的財産権の権利化に関しては、ただいまのご議論を参考にして、今度は最終評価の議論が来年、再来年ぐらいに必要になってくる。ご指摘のような点を大事にしたい。

委員等
 装置の設計図をかいた時点で、基本特許の申請は必ずやらなければいけない。それが中間評価のところに出ていない。中間評価以降、今度は応用特許を続けて出さなければいけない。海外メーカーが日本の特許申請を全部チェックし、基本特許が出たら応用特許を本国で出すというのが一番怖い。日本の特許体制は曲がり角に来ている。
 少なくとも装置開発では、基本特許は必ず中間評価のときに出願していなければならない。基本特許を出していないのに、次の応用特許は取れない。ですからJSTにはきちんと見ていただきたい。

事務局
 この制度として特許をどのように考えていくのか、当初しっかりと打ち出していなかった。したがって、募集する場合の応募の条件にも、特許の出願等について要件に入れていない。大学の先生方は研究に走ってしまうので、特許を要件に入れると非常にしっかりしたものになると思うが、逆に出願していないものは申請しにくいということもある。

委員等
 打ち上げ花火のようなテーマが100件出ても意味がない。本当に企業と練って、基本特許ぐらいは出すという覚悟で打って出てもらわないと、せっかくの機器開発がダメになるのではという気がする。ネガティブな方を見ないで、ポジティブな方を見てほしい。

事務局
 もう一点は、大学の先生方が出願をしたくても、大学の体制面で難しい。特許出願の費用が学内にないということが現実に出ている。この制度では、日本版バイドール法適用ということで、全て委託側に権利関係は確保してもらう。大学の事務局はなかなかその費用が出せず、先生方も困っておられるという状況も聞いている。

主査
 逆に、何でも網をかぶせようという方向性により教員、教官が戸惑っているという状況もある。もちろん特許に関してかなり遅れている大学もある。しかし、それは一つのファクターで、もう一つは、企業と大学が組んで共同開発するときに、特許の権利関係が十分に整理されていないという点である。考え方はこの委員会で文章化して出したが、現実に権利をどのようにチームで分担するか、チーム内で結構混乱があったのではないか。このプログラムの特許化、権利化についての考え方をJSTが基本線を示せば、その手の混乱は避けられると思う。特許の問題は、最初から随分いろいろな議論をしたが、現実には少しずつ遅れているという感じがある。

委員等
 CRESTだとJSTが窓口になって特許申請できるのでは。

事務局
 基本的にはみんな大学にお預けする。大学が出さず、JSTが出してもいいというものについては、JSTが出願するという考え方である。

委員等
 大学の若いスタッフにとっては、非常にいい救いになっている

事務局
 JSTは海外の特許については全面的に協力しているが、国内については、基本的には大学が出願する方向である。

主査
 今のお話は、この先端計測分析機器の事業でも、JSTの今の枠組みの中に位置づけられていると考えてよいか。

事務局
 はい。日本版バイドール法適用なので、基本的には大学など受託者側が出願する。この事業ではチームリーダーが関係機関と協議して取り扱いを決めるということで、我々が余り口は出さない。何かアドバイスを求められれば答えるが、基本的には、そのチームリーダーの所属機関にお任せする。

主査
 やはり事務局がチームリーダーに判断を迫るような仕組みをとらないといけない。これはJST以外にやるところがないと思う。
 いろいろな意味でこのプログラムの成果が世の中から注目を集めているので、今からでも遅くないので、きちんと進めていきたい。

委員等
 最初の申請時の段階で、この部分が特許になりそうだと書くのは情報を出してしまうので非常に危険だということであるが、特許の可能性を審査員はどのように判断することになるのか。

主査
 申請書はかなり具体性がないと評価してもらいにくいため、大学の場合、かなり権利化の前のことでも書く傾向にある。

委員等
 特許というのは、1週間遅れや1月遅れで他の人が出していたということが結構ある。我々も経験があるが、本当に1週間ぐらいで勝った場合もあるし、負けた場合もある。特許が本当に重要だということを理解してもらうためには、特許というものを意識させるために、少なくとも関連特許はどういうものがあるかを書かせる。やはりまだ出していないものを書くのは、かなりリスクがある。関連特許を書かせて評価をどうするかという問題はあるが、意識をもたせるために、そこまではできるのではないか。

委員等
 今までの議論に関連して、具体例を2つほど申し上げたい。
 お客さまのサンプルを依頼分析でお受けするときに、全く同じ、あるいは非常によく似たサンプルが1、2カ月のうちにあちらこちらから出てくる場合がある。それを分析して、今まで分からなかったものが分かったというときに、すぐに特許にしておかないと、本当にタッチの差で遅れてしまう。皆さんは、自分が世界で最初に発明して、多分ほかの人は考えていないだろうと思われるが、特許を押さえておかないと、後でものすごく悔しい思いをする。また、依頼分析の次の週に、学会などで勝手に発表する先生もいらっしゃる。私どもが悔しい思いをするだけでなく、その先生にとってもライセンス収入を逃してしまっている場面によく出くわす。やはり特許というものを常に頭の中に入れておいて、それをうまく権利化していくことを、もう少し常にリマインドしていただくとこの評価も高まるのではないか。

委員等
 大学関係の方はまだ特許に対する認識が甘く、これまで訓練がされていない。ここ最近、TLOなどが特許を出せという時代に急になっているので、本当に意味のある特許はどのように出すのかを知らずにいい研究をされている先生も多いと思う。フォローアップの意味で、JSTからインストラクションしてもいいと思う。

委員等
 JSTは開発総括がかなり丁寧に各研究を回っていらっしゃる。その先生を通して何か方向性を出していただくといいかもしれない。

主査
 予算が厳しい折に、国費を使ったプログラムをどう成果に結びつけるかという意味で大変大事な議論だと思う。現在進行中のもの、あるいは来年度採択のものに対して十全の備え、制度としての備えをしておく必要があるというご指摘であった。

事務局
 特許については、非常に急がないといけない場合と、詰めを行う必要がある場合と、ケースによって感覚的に学ぶものであると思うが、研究者の方はそこまでなかなかできていないし、知財本部もまだそこまでできていないと思うので、小まめにフォローしていきたい。
 また、比較的以前から先行の研究があり関連特許を出されている方が立ち上がりが早い感じがするので、申請に当たっても、特許を取っていることがプラスになるという感触を申請者の方が持っていただくよう、工夫していかなければいけないと思っている。

委員等
 特許を出願する、あるいは維持するための費用を、ここから出すことは可能なのか。

事務局
 直接経費からは支出対象としていない。しかし間接経費として直接経費の30パーセントをお支払いしている。その中から支出するというのが基本的な考え方である。ところが、その間接経費が大学に入ると、特許に回らずにほかに回ってしまうというのが現状という気がしている。

委員等
 特許がどのように出てきたか見える形に経費的な面から変えるということは現実的に可能なのか。

主査
 ご指摘のとおりで、間接経費で賄うという趣旨であるが、受け取った側が必ずしもそういう体制になっていない。主な大学にはTLOがあるので枠組みはあるが、それもうまく実働していないというのが現況ではないかと思う。
 間接経費が出ているということは、もう少し当事者が主張していい。大学によっては全然関係がないと思っている所もあるかもしれない。仕組みはあるが、それがきちんと動いていない。

委員等
 今回の機器開発では、特に特許取得が大事だというのは今お話をされていたが、それだけ重要なものが間接的な費用になっているというのもちょっと不思議である。

事務局
 特許は一つの財産権になる。それをだれの権利にし、だれが費用を負担するかということになる。基本的に大学の権利にする場合、その費用をJSTが出すことはできない。かつては、権利をJSTの名義で出して、一時JSTが費用を立て替えるということもあったが、今はTLO、大学の知財本部が一義的に出願していただく。そこで出さないものは、研究者に権利が戻され、先生方がどのように扱うかということになる。

主査
 現状は大学が遅れており、企業の方がしっかりしているので、実際には企業を通して特許化するというのが多い。逆に、それだといつまでたっても大学の職務発明が育たないという面もあるが、制度的な枠組みづくりは進んできている。その実態をどうきちんとするかが問題で、一般論ではなく、このプログラムについてどうするかについて、もう少し努力が必要かもしれない。

事務局
 間接経費の割合も3割と高くしているので、知財本部などに対し十分理解してもらうようにフォローしていきたい。

(1)先端計測分析技術・機器開発事業の実施状況について

(資料2に基づき、平成17年度先端計測分析技術・機器開発事業における選考プロセス及び採択結果について、先端計測分析技術・機器開発事業平成17年度中間評価についてが説明。)

委員等
 中間評価で、例えば大幅見直しとか、あるいは研究打ち切りなど、そういう判断をされたプロジェクトも出てきているのか。

事務局
 はい。SABCで、C評価については打ち切りということである。

主査
 参考資料1があるが、今ご紹介いただいた機器開発プログラム、要素技術プログラム以外のCREST、さきがけなど、JSTの枠組みの中の研究課題も一覧表としていただいているが、この全体像は、いわゆる先端計測分析技術関連予算から研究開発費が出ているという意味なのか。

事務局
 先端計測分析技術・機器開発プロジェクトの課題を一覧表にしてある。

主査
 CREST、さきがけは、先端計測絡みの新規プロジェクトとして、16年度、17年度にスタートしたものがある。そのほかにもERATOや独創的シーズ、ゲノムネットワークが載っている。こういうものはどういうカテゴリーなのか。

事務局
 先端計測技術については今年度40億。JSTの中の先端計測関連課題というのがCREST、さきがけ、ERATO、また、技術移転などを合わせて24億が他の事業ということで、JST全体として合計64億円の先端計測関連課題をリストに挙げてある。

主査
 概算要求と実際の結果をお伺いするときに、今の大枠でいつもお答えいただいて、そのうち、機器開発が本年度で言えば40億とお伺いしている。いわば40億以外の予算がどういう研究課題に対して出されているかということは余り具体的には知らなかったので、これを出していただけて大変ありがたい。
 先の総合科学技術会議の評価は、こういうものを含めた全体の評価なのか。

事務局
 機器開発プログラムと要素技術プログラム、つまり、この事業についての評価である。CRESTなどは機器開発が目的の事業ではなく、研究する過程でそういう課題が上がってきたということであり、政府全体でこのような整理をしているが、事業そのものの評価としては除いて評価をしている。

主査
 その一部の評価に基づいて関連予算を財務省が増やしたり切ったりということになると思うが、そうではないのか。

事務局
 作業としては両方見ながらであるが、主として事業ごとに作業をしていくので、機器開発と要素技術のパッケージになったこの事業について査定作業が進められるとご理解いただければと思う。

主査
 財務省から見れば101億全体が影響を受けるのではないのか。

事務局
 SABC評価はそれぞれごと、例えば40億について実施している。全体の数字は実際に課題選択のプロセスを経ないと出てこないため、事前に評価がしづらい。

主査
 16年度からこの枠組みがスタートし、機器開発に関連する予算が増えていった。この資料が全体像であるが、その命運をこの委員会のプログラムの評価で全体が浮き沈みするという構造なのかなと思うとともに、他でもやっているから要らないという議論は、全く逆立ちしている。要するに、全体の101億でみんなやっている。そのうちの40億円をここで今議論している。

事務局
 この40億は一番中心であり、ここがどれだけ伸びるかが一番大きな影響を及ぼす。

(2)平成18年度募集にあたっての論点

(資料3に基づき、平成18年度募集にあたっての論点について、事務局が説明。

主査
 機器開発プログラムの開発領域に関して、説明をもう少し書いた方がいいのではという案である。説明書きを書いた方が、応募の際の判断の基準になっていいのではないかというご議論である。

委員等
 基本的にいいと思う。ただ、判定しなければならない情報がどんどん出てくると判定者の負担にもなり、評価する人員と、評価のための情報量とのバランスが大切だと思う。

主査
 具体的に書くことはご指摘のように両面がある。ガイドとして書くという意味と、余り書き過ぎると全く新しい申請を抑制してしまうという意味があり、通常は後者を配慮して余り書かない。自由な発想を受けたいという理由づけで、今までは具体的な例や期待される成果を書いていない。
 ただ採択課題を絞らなければいけないという状況だと、ある程度的を得た提案が欲しい。何が大事かということを提示して、むしろ核心を突いていただくような提案を出していただくという期待がある。そうだとすると、少なくとも研究ニーズと期待される成果程度の分量の説明書きは必要ではないか。

委員等
 私自身、評価の立場に立ったことがないので、これが果たして評価する方々のどれだけの負担になるか。逆にこういうものがあった方が評価しやすいのか、それが判断しかねる。

委員等
 基本的にはいいと思う。一番心配なのは、機器開発を要素技術プログラムに持ってきて、要素技術を10倍ぐらいに膨らませた形で機器開発の予算をとる。すばらしい題名のシステムの提案が出てきて、もし内容が分からなければ、みんなシステムがいいと思ってしまう。そうすると試薬やソフトの開発は全部落ちてしまう。
 検出器や、現在約3週間かかっている生体トモグラフィーが数時間でできる国産ソフト開発などは、お金もそれほどかからない。1千万あれば2年間研究開発ができる。2億何千万のシステム開発に、25人の若い研究者を支また、評価は、我々委員も皆汗をかいて一生懸命手伝うので、何とかそういう方向を推進していただきたい。える要素技術の予算を持っていかれるのはもったいない。ものづくりをこつこつやっている若手研究者にもっと光を当てるべき。
 また、評価は、我々委員も皆汗をかいて一生懸命手伝うので、何とかそういう方向を推進していただきたい。

委員等
 今のコメントで、例えば長時間かかった分析を数時間でできるようにするという話があったが、それは要素技術とは違うのか。要素技術なら、先ほど言ったことと必ずしも矛盾しているとは思わないが。

委員等
 よく分かるが、システムにかぶってくると先ほどの歯止めがきかない。そこはやはり個々の技術という点に絞るべきである。システムであれば、機器開発で実施する方がいいのではないか。

委員等
 ただ、個々の要素技術に関しても具体的な目標・必要性が明確化されているはずである。

委員等
 要素技術は1つのためではなく、X線にも電子線にも機器開発にも役に立ち、波及効果が大きい。しかしそこにはなかなか光が当たらない。
 試薬でもぱっと新しいものが出てくることもあるし全然見えないときもあると思う。でも、それをやっていない限りは1パーセントの輝きにぶつからない。そういう意味で要素技術は大事である。

委員等
 その辺りは自分の理解が必ずしも十分でない。要素技術の具体的な利用法・目的がなくて開発方針のイメージが湧きにくいのではないか。最初から広い応用があると分かっている要素技術の場合にはそれで良いかもしれない。異なった分野でさまざまな利用法があると分かっていれば考え易い。しかし一般的には、ある要素技術の応用先として中心的な研究課題・分野があるのではないのか。

委員等
 やはり装置につけて、装置の性能が1けた上がったということでないといけない。

主査
 システム開発とのリンクはあるが、エレメントを重視する開発である。今あるベストのエレメントを集めれば、システムとして必ず進歩する。本当にジャンプするような進歩は得てして要素技術の進歩に根差しているということが、インストルメンテーションではかなり重要である。それが余り予算をかけなくてもできるという話なら、そこに重点を置かない手はないという話になる。先ほどおっしゃった、システムの組み合わせの妙というのは確かにあり、現実の世の中は大体それで動いていると思う。

委員等
 はやぶさがイトカワから持ってくる1グラムの中から未知の物質を見つけるために、現在、単粒子を計測するシステムの開発をメーカーに頼みこんで作っていただいている方がいる。その分析システムのディテクターにもし予算がついて、それを受けてメーカーが作れば、もう1けた以上感度が上がる。現在は企業に対し既製品をちょっと変えてくれないかと言って作ってもらっているようだが、これはどこにアプライしても全然通らない。この場合のディテクターは、はやぶさのために何とか検出器を作りたいという壮大な目標がある。

委員等
 まさにそのことであり、目標はあるのではないか。この目標が開発にとって非常に重要な駆動力だと私は思う。

主査
 やはり課題だけ書いたのでは分かりにくい。また、採択件数が絞られてくると、ポイントを示すことを兼ねた説明があっていいのではないか。そんな理由で、この資料では非常に詳細に書いてあるが、主として目的の説明をつけ加え、もし可能であれば、装置の例ぐらいは例示してもいい。しかし、それは必ず書くということではなくて、ちょうどこの半分ぐらいの分量の説明文をつけ加える。そういうことでどうか。
 次に要素技術の内容を少し明確にしてはどうかということであるが、案の1の方は、定義に「等」とか「例えば」とかということを使わずに明確にするというのが趣旨である。案の2は、機器開発については対象外と明記する。それと、後で出てくるが、予算の枠組みを明示するという話があるので、その2つで、要素技術かシステム開発かの判断を誘導することになると思う。
 予算のところの案の1は、予算を最初から分けるという考え方。案の2は、1課題当たりの要求予算請求のめどを数字で示すという考え方である。これを公募要領に書いて、要素技術に関して誤解を生まないような努力をしてはどうかという提案である。

委員等
 非常に基本的にいい方向に進んでいると思う。
 要素技術に関しては、産と学が一緒にやらなければならないのか。

事務局
 これはそれぞれ単独でもできる。

委員等
 単独ですか。それだったら結構です。
 というのも、学の方が試薬あるいはソフトを開発するときに、産と一緒だと、ある装置だけにしか有効でない技術が開発される可能性がある。それが逆に産が狙う部分でもあるのだが、この装置を使わなければ分析できないと囲い込むのは欧米のメーカーで多くあり、そういうことをされてしまうと全体の学術的な伸びを抑えてしまう場合もある。逆の場合ももちろんあるが、そういった点で、要素技術はもちろん産も入っていいが、産が入らなければならないという形にはしない方がいいと思う。

主査
 先ほどのご意見で、要素技術とシステムの峻別が必要だという点と、予算面で大きいものと小さいものを同居させると、結局大きい方にみんな取られてしまうから、要素技術はある程度小振りな開発という部分をきちんと組み上げる仕組みを作るべきだというご指摘であった。そうすると、予算を明示した方がよいということでいいか。

委員等
 その方がよい。機器開発の方は予算総額が大き過ぎる。要素技術は、本当に広くそこに光を当てるということを期待している。これを充実すれば、他省庁との違いがもっと明確に出てくるような気がする。

委員等
 機器開発プログラムの開発領域の説明のところに要素技術の例示が書いてあるが、これを要素技術の説明のところに持っていくことも可能である。この委員会で領域を議論しているということは、やってほしいものがあるからである。領域非特定ももちろんあってよいが、それに関連する要素技術もサポートしましょうという提示の仕方もあると思う。

主査
 領域にリンクした要素技術というのをエンカレッジしてはどうかというご指摘で、具体的なイメージを作るためにこのような部分を要素技術に書き込むことはあっていいのではないか。より幅広くというイメージとどのようにバランスをとって応募者に伝えるかということであるが。

委員等
 目利き人を信頼するしかないので、そういう方法をある程度ご理解いただいて、できるだけエンカレッジする方向に行ってほしいというのが我々の希望である。

委員等
 もちろん、幅広い吸い上げというのも非常に重要だと思う。

委員等
 今回、いろいろな文章の補足をされているのは大変すばらしい。この委員会はいろいろな有識者の方のご意見をもとに領域を絞り込んでおり、アウトプットのイメージもかなり明確になっているので、応募する側も評価する側も同床異夢であってはいけない。総合科学技術会議での評価も、まだ中間ではあるといっても、第三者の方が理解するには、やはり明確に特許の件数や、それが機器の開発に結実したとか、広く応用されるような要素技術の開発に成功したなど、アウトプット重視型にならないと、この委員会そのものの存在も問われると思う。
 また予算を例示することは、応募する側にとても理解しやすく、自分たちがやろうとしていることがこのプログラムでどこまでいけるのかというイメージが明確になるので、非常に効果があって、いい提案ではないかと思っている。

主査
 それでは、先生方のご意見の趣旨の方向でまとめて成案を作るということにさせていただきたい。次回は成案として点検の作業をお願いする。
 もう一つ大事な議論のポイントとして採択のプロセスがある。実際に今までは、要素技術とシステム開発の案件を共通の審査体制のもとに行っている。現在は、物理系、化学系、生物系、その他という分類で4分科会体制を組んでいる。来年度の予算がかなり厳しい場合は、採択件数とのバランスから、一括してまとめて審査することがあり得るという発想が一部ある。このフローチャートはそういう発想だと思うが、独立して要素技術を担当する評価委員を中心に専門委員を含めた審査体制をとるというプラン、それを対応案としてはいかがか。
 19年度は再度分科会ごとにパラレルに議論をしていただくような体制を復活するということを念頭に置いてご議論をいただきたい。

委員等
 人数は専門委員の数だと思えばよいか

主査
 そうである。
 評価委員は、委員長、副委員長、また各分野を想定した委員の決まった人数であらかじめ委嘱をするのか。

事務局
 委嘱をする。専門委員も守秘義務の関係で委嘱をしているが、何人でなければいけないということはないので、評価に適切な方には、さらに加わっていただくことも可能である。逆に、担当する課題がない場合にはお休みいただくこともあるのかもしれない。

委員等
 18年度、19年度で様子が変わるかもしれないということになれば、非常に弾力的な運用であり、いいのではないかと思う。

主査
 今回は、過去2年の審査体制に比べると少し様子が変わるが、ポイントは要素技術をもう少し重視した審査体制が必要ではないかと思う。

委員等
 主担当、副担当の先生の目利きも重要である。特に要素技術は分野がかなり特定されるので、本当に評価できる専門委員にお願いしてもらえるかどうかである。
 上がってきたリストから専門委員を選べというのは、その段階でかなり質が決まってくる気がする。書類選考のときにも、本当の専門家に見てもらわないといけない。

主査
 分野ごとに割るというのは合理的ではあるが、最終的にはやはり評価委員全員で全体を見ていただかないといけないということではないか。

事務局
 4分科会の話であるが、初年度に520件の応募があり、これに対応するにはどうしたらいいかをいろいろ検討し、4つに分けないと無理なのではということで、4分科会方式でやった。1つにした場合、例えば物理とバイオのテーマを同じ委員で評価するということになりかねない。どういうやり方が一番いいかというのは難しい。これでいいというものはない。

委員等
 日本は先に専門委員を決めてから割り振る。そうするとピント外れなところに行くのは仕方がない。まして要素技術は、テーマごとに専門委員を選んで委嘱しない限りは、無理だというのがまず1点。

主査
 「課題の査読に最適な専門委員を追加委嘱できる」というのは含まれている。今のような含みで今後も検討するということでいかがか。確かに専門委員に適任者を得れば、本当にだれが見ても文句の出ない課題が残ることになるため、これは非常に大事なことである。なるべく現役に近い人がいいというご指摘は本当にごもっともである。
 現役の人はもちろんいいが、別の観点で言うと、利害関係を気にするとなかなか難しい。ただ、だれが見ても文句の出ないベストの結論を出すことが一番大事である。形式的正義を考えて議論をする時代ではない。だれがベストか、これをやらせるのはだれかと、それを皆さんが真剣に議論する時代になっている。いい結論を出すための体制を考える、それがこの委員会でやるべき一番大事なことではないか

委員等
 資料2に「評価における利害関係者の排除」と書いてある。同一企業に所属している者とあるが、これではだれも企業の人は評価委員に入らない。こういう留意事項は棚上げして、上がってきた申請書について一番的確な評価をできる人を最優先で委嘱するという覚悟がなければ、どのように門戸を直しても、本当にしかるべき専門委員にお願いができない。
 大学は同一学科、研究室を排除するのに対し、企業は同一の企業というのは全然質が違う。片方は3万人の企業で、片方は数人の研究室である。まずこの見直しも含めて、ぜひとも考えていただきたい。

主査
 今後の対応、少なくともB評価という事実は大変重いので、これをはね返すため、我々が今後どういう方向に努力をすればいいか、それを真剣に考えるべきタイミングだと思う。
 また、こういう評価をはね返すために現状を少しでも改善して、説得力のある何かを出さないといけない。それが本委員会の役目だと思う。ぜひ先生方にもより高い評価を得るために我々は何をすればいいかということをご検討いただき、次回も引き続きご意見をいただければと考えている。

委員等
 今年度採択課題で、機器開発プログラム6件のうち4件は企業と独立行政法人である。本来、機器開発の一つは大学の人材育成という大きな柱があり、企業と大学が組んで、例えば大学院の学生が企業へ行って一緒に機器開発するなどがあって然るべきである。そういうものが見えない。文科省のプロジェクトにしては、大学の次の世代に対するものづくりという人材育成の大きな柱がなかった気がする。それが見えないと他省庁と変わらないと思う。

主査
 総合科学技術会議の見解の第1項に、経済産業省及び厚生労働省等の類似事業との間でとあるが、経済産業省は念頭にありますけれども、厚生労働省の類似事業と言われてもぴんとこない。対応策を考えなければならないので、次回の委員会に資料を出していただければありがたい。

事務局
 わかりました。

主査
 本日はありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課

(研究振興局研究環境・産業連携課)