平成17年7月13日(水曜日) 16時~18時30分
古河総合ビル 6階 第F2会議室
二瓶、近藤、志水、中村、西野、松尾、森川各委員
藤田大臣官房審議官、根本研究環境・産業連携課長、工藤研究環境・産業連携課課長補佐
(説明者) 澤田開発総括、本河開発総括、伏見開発総括、高木開発総括、佐藤独立行政法人科学技術振興機構先端計測技術推進室長
(◎:主査 ○:委員等 △:事務局の発言)
(資料2-1に基づき、平成18年度先端計測分析機器開発事業の開発領域について事務局が説明。資料2-2で以下の5領域を案として提示)
委員等
情報通信分野の領域が抜け落ちており気になっていた。取り上げていただいてありがたい。ナノ、バイオは重要なキーワードであるが、情報通信分野で日本の研究者はすごくポテンシャルがあり、やるべきことも多い。
前回示されたのは4領域だったが、5領域に増えたと理解してよいか。
主査
前回は4領域に集約できると考え4領域を示した。委員のご意見を踏まえ1領域を付け加えるように準備した。
委員等
2つの分野にまたがるものを重視するという方針はとてもよい。
委員等
3.で「計測限界を突破するための情報通信機器・ソフトウェア」だと、情報通信機器とソフトウェアの融合したものが浮かび上がってくるような気がする。もともと情報通信機器はソフトウェアが先行しているのが当然である。この事業は計測分析機器開発なので、「突破するための計測分析機器」といった表現でないと、総務省のプロジェクトと同じ形になる。先端機器開発だという事業の目的を明確にする意味でも、ぜひ検討して欲しい。
主査
2.で、合志先生のご提案は、環境情報とそれに対する人体の応答情報の両方を同時に実時間でモニタリングするといった学術的に興味深いものではあるが、そのようなシステムはかなり限定されてくる。もう少し幅広くいろいろなアイデアを募集するという発想に立つと、あまりたくさんの制約を同時に課さない方がよいと思い、表現を若干変えた。同時モニタリングというのは非常に興味深い。しかし、実時間多元モニタリングということで、いろいろな組み合わせがあると思う。
課題設定で十分に注意しなければいけないのは、字面から応募者が受け止める情報が、必ずしもこちらの考え方と一致しない場合がある。そういうケースをなるべく減らす努力をしなければならない。そうすると、開発領域の表現そのものも相当吟味する必要があるが、若干の説明がどうしても必要である。公募要領に、誤解を避けるための説明を書く必要があると感じている。
委員等
2.で、環境情報及び生体と2つ入れると、2つのかなり異なったメソドロジーが入ってくる。異なった性質のものを2つ同時に1つのグループが開発しなければならないとすると、かなり負担が大きいのではないか。
この場合、どちらかだけ、あるいは、どちらかを想定しつつ片方だけやるというスタンスでもいいと考えるのか。
主査
確かにそうである。この書き方で真意が伝わるかどうかということである。
「及び」を「両者同時に」と言えば非常に分かりやすくなり狙いもはっきりするが、両者同時を必ずしも狙わずに、一方を重視して他方のリファレンスをとるというような装置開発も含めたいと考えている。
委員等
それを説明書きに書いてあればいいと思う。
主査
目標設定という意味が、応募者にどの程度的確に伝わっているかというのは、実は非常に大事な問題である。しかし現実には応募者が応募者の理解のもとに提案をするということで審査が始まるため、審査の段階でも考え方の不整合が起こり得るし、採択された結果の推進においても、そういう問題が起こる可能性がある。
委員等
領域の融合と技術の融合は違う。1.で、非生物、生物ともにナノレベルで可視化するとあるが、非生物とは違い、細胞内や生体、例えばトモグラフは、ナノまでまだ行っていない。ナノレベルという縛りを行って、バイオ関連の技術が果たしてフォローできるか心配である。非生物とバイオを並列するというのは難しいのではないか。
主査
ご指摘はそのとおり。ただ、ナノバイオというときのナノレベルは、原子の粒を並べてみるナノレベルと違う。2桁は違うと思う。それをあえて両方並べるところにこの領域の意義がある。
インストルメンテーションとしては、2桁の領域を両方カバーすることは当然みんな狙っている。重点4分野のナノ・材料という表現も、基本的にふくらみを持たせた意味で使われている。
委員等
1つの技術で2つをカバーするのではなく、それぞれの分野でナノレベルの技術開発を行うと考えてよければ、結構である。
委員等
先ほどバイオのレベルが数百ナノとおっしゃったが、実はタンパク質分子は2~3ナノなので該当する。もちろん数百ナノもやっているが、現在バイオナノ、つまり2~3ナノで1つのタンパク質の動態を調べる技術が進んでおり、今ここで問題にしているのは2~3ナノのレベルだと思う。
委員等
そうすると機器がかなり限定される。領域設定したときに機種が固定してしまうと、かえって足かせになるのではないか。このままだと機種はほぼ決まってしまう。そういうものでカバーしきれない新しい分野から、何か上げてこようとする方々が意気消沈せずに打って出ることができる配慮が必要だと思うが、その点はどうか。
委員等
バイオナノについては、この表現で大丈夫だと思う。
委員等
先生からそう言ってもらうと安心で、この表現で進めたい。
主査
バイオのサイドからもこの表現で誤解なく理解できるという指摘は大変ありがたい。
1.の「ナノレベルの物質構造・状態3次元可視化」はこのままとする。
2.の「環境情報及び生体応答情報の実時間多元モニタリング」については、タイトルに言葉をつけ加えることで改善することができればよいが、なかなか難しい。
委員等
合志先生のお話だと、ウェアラブルにするため非常に小型化を目指されていた。実時間なので小型化が含まれてくると思うが、それがここに入るのかどうか分からない。
また、この重点分野というのは要素技術にもかかる内容か。
主査
要素技術は別である。これは、機器開発の領域設定である。
委員等
要素技術にもう少し違った例文を入れることは可能か。
主査
可能である。その点については次回以降に扱いたいと思っているが、要素技術をもう少し重視する方向で公募要領の表現を補えないかという議論は、今年の秋に行いたいと思っている。
ここの5領域は機器開発の領域と理解して欲しい。
委員等
公募要項には補足説明を入れてもよいのか。
主査
従来の公募要項は領域を並べただけであったが、そこに説明を2~3行つける形にすれば、応募者に対しもっと親切だと思う。
事務局
説明の内容まで検討してもらえば掲載することは可能である。
委員等
2.で、「環境情報と生体応答」より「及び」とすることで、アンドからオアになって相当広い領域をカバーできる。ただ、何を狙っているのか、説明に加えるとよいと思う。
主査
確かに、アンドからオアに切り替えるという意味で「及び」が入っているが、「及び」に代えて同時というのを復活させる手がないわけではない。環境の場合、同時というのはかなり大事である。
委員等
私は強くこの領域を推した立場であるが、同時という語を削除したことに対して若干考えが違う。実時間と同時、この2つはキーワードだと思っている。
直接・多元素・多成分同時計測は平成16年度実施領域にあるが、実時間で、ミクロだけではなくてマクロで、しかも生体応答情報と環境情報とを融合させるというのは、確かに特化したという見方もあると思うが、逆に難易度が非常に高い。同時というものを入れるからこそ、新しいコンプレックスを目指し、バイオ要素技術も含めた様々な技術をもっと深く掘り下げていくことができる部分もあるのではないか。
主査
今の議論をあわせて、「及び」はオアという意味を込めて、同時モニタリングの「同時」を復活させるということでどうか。
ブレークスルーを狙うためにハードルを高く設定し、それをクリアできるアイデアを求めるという考え方で、ずっと今まで来たことは事実である。そういう経緯もあり、同時モニタリングの「同時」の2文字をつけ加えるということとしたい。
委員等
同時に実時間を把握すると、圧縮伝送技術高度化が見込まれるなど、意外と面白い分野にテーマが発展していく可能性がある。
主査
次に、3.の「ハードによる計測限界を突破するための情報通信機器・ソフトウェアとハードの融合システム」について議論したい。
委員等
「情報通信」の代わりに「計測分析」と直してはどうか。
主査
「情報」の言葉が抜け落ちるのは困る。
委員等
これは、一旦「・(なかてん)」で切れて、その後は副題ということか。
主査
そうではなく単語の並列である。要するに、情報通信機器とソフトウェアを一体なものと考えている。これを例えばコンピューターと置き換えてもよいが、あえて情報通信機器としたのは、コンピューターよりはもう少し先端的な情報機器を念頭に置くということと、ソフトウェアというキーワードを課題に入れたかったということである。ソフトウェアのウエイトが今までの応募において軽いため、あえてソフトウェアというキーワードを領域表現の中に入れるという発想である。
委員等
これは情報通信分野の領域として掲げているが、一方で例えば無収差電子顕微鏡などは、情報通信領域というよりはむしろソフトウェア技術を有効に活用した計測機器といった見方ができる。この領域の設定は、情報とその他との組み合わせになっているが、この領域の分かりにくさの原因だと思う。
主査
直接の答えではないかもしれないが、情報というキーワードを表に出したい、つまり分野融合の方向を目指したいという理由である。
先ほどのご指摘については、狙いをはっきりさせるため、「融合システム」を「融合計測分析システム」としてはどうか。
残る問題は「情報通信機器・ソフトウェア」についてである。
委員等
情報通信の分野は、十数年以上も前から他省庁ではるかに巨大な金額をつぎ込んで推進してきた。それをなぜ先端機器開発のプロジェクトに入れなければいけないのか疑問である。本音を言うと、情報通信機器を丸ごと落として、ソフトウェアとハードウェアの融合計測分析システムとした方がはるかに分かりやすい。情報がなくなるのは困るかもしれないが、ここまで情報に義理立てする必要はないと思う。
委員等
「ナノ・バイオ」や「環境・バイオ」は、計測分析する対象を指している。だから、同じレベルで「情報」と言うと、情報に関する計測になるから、オシロスコープや電圧計のようなものが対象になるのではないか。これでは混乱して分かりにくい。
委員等
委員会としてどの領域をカバーすべきかということも議論になると思うが、先端的なものであるならば、できるだけカバーしてエンカレッジしていくのがよい。情報の分野が欠落しているため、キーワードとして提示した。
確かにその分野はここで面倒を見なくてもよいという考えもあるだろうが、量子情報などの分野はこれから重要になる分野だと思うので、情報というキーワードがあればその分野の人たちも呼び込めると思い提案した。
主査
結論として「情報通信機器・ソフトウェア」の「通信」を削除して「情報機器・ソフトウェア」に改め、最後の「融合システム」を「融合計測分析システム」に改めたい。
委員等
これは、通信になってくることは想定しないのか。通信があまり重要でなければ削ってよいと思う。
情報という場合、制御を行うこともあるし、非常に膨大なものを分析することもある。通信だと、例えば、非常に距離が離れたものを非常に高速なものでつないで制御することによって初めて測定できるということがあるかもしれない。計測システムが巨大な場合はモデルが出るが、今回そういうものを想定しないのであれば、削ってよいと思う。
主査
通信も入れるべきという議論は一昨年ぐらいにあった。ただし、先ほどの議論のように情報通信とまともに挙げると分野が違うという誤解を招く心配があるので、あえて通信は省いた。情報機器で十分だと思う。
情報機器とだけ言われても通信を念頭に置く方からの応募もあり得ると思う。したがって、この2文字を削除しても全く通信を念頭に置く方の応募を妨げることはないし、逆に誤解が避けられると思う。
委員等
「融合計測分析システム」という表現があれば、少なくともそれに関わり合いのある技術が積極的に他の分野から入ってくるという意味で解決する。そういう理解で補足説明に工夫を凝らせば、十分対応できると思う。
(この結果、以下の5領域を選定)
(資料3に基づき、先端計測分析技術・機器開発事業の実施状況について、佐藤室長、澤田開発総括、本河開発総括、伏見開発総括、高木開発総括がそれぞれ説明。)
主査
通常誰でも考えてやればできるようなものを総動員したという感じのテーマがある。
委員等
そのテーマについては、分解能を上げるため超伝導体を用いるという技術的に新しい試みが含まれている。
主査
ブレークスルーを期待するという大きな目標からすれば、やはりどこかに鍵になるような、今まで誰もやったことのないというところが欲しい。そういう芽があればエンカレッジして進めて欲しい。
委員等
X線を分光するための樽型に湾曲させたシリコン単結晶の皮膜がある。これは原理的には知られているが実用例がない。それを技術的に小さいものに仕上げることができれば、X線が非常に高輝度になり微小粒子からの蛍光X線が強くなる。そういうことも、技術的にはぎりぎりのチャレンジである。
委員等
環境の計測の開発は、そもそもプリンシプルが大変だというのはすごく分かる。これと矛盾するのだが、環境の場合、本当にこれが環境として大事でこういうものを測る必要があるということから出発するのが本来の筋である。ほかにも用途があるとか、これにも使えるというのは邪道だと思う。まず目標がしっかりと設定されていて、定量的にこのぐらいの精度が必要だと決めないと本当はいけない。
それから、環境から出発すると商品化が難しくなり必ずしも売れる製品にならない。しかしどちらかに徹底しないとどちらにも使えないのではという気がする。
委員等
この技術は小さな微粒子を削って、皮膜、外膜と芯の構造や物質の違いを見るという、環境化学的には非常に意味がある試みである。環境微粒子は中心部と表面で構造が違う。それで成因がたどれるという立場で微粒子を分析するというものである。1ミクロン以下の微粒子の表面から削っていき有機化合物が分かるというレベルの技術、感度があれば、有機半導体や有機デバイス、さまざまなポリマーでも削っていけば見えるのではと思う。
企業が今のところあまり興味を持ってないため、本当はそういうところに非常に大きな用途があるということを我々は企業に投げかけていく必要がある。
委員等
要素技術に光が当たって欲しいといつも思っている。先ほどのテーマの技術のポイントは検出器である。従来のものより1桁上げるような画期的な検出器があるなら要素技術としてぜひ推進してほしい。
次に、X線がどういうメカニズムで出るのかが全然分かってない技術に関するテーマがある。X線は出るが全然再現性がなく、その現象はもう20年来議論になっている。
もう1つは、平行の結晶を通ってX線の検出器となっているが、おそらくあれだけの大きさだとシリコン検出器しかない。そうすると製品で出しているのを取り付けているだけだと思う。
メカニズムの方は問題で、特性X線が出てこなくて別のX線が出たりすることがあるかもしれない。分析機器の開発に本当になり得るのかどうか心配である。
委員等
ご指摘のとおりだと思う。
申請者は独自にこの現象を見出されて、自分たちはオリジナルだと思って申請されたという経緯がある。実際は、20年以上前に企業の日本人研究者によって本研究に極めて近い現象が見出されていた。先日、それらの方をお呼びしてメカニズムを明確にするため理論的な検討を行った。そのとき、明らかになったことは、日本人の研究にヒントを得てすでに本現象を利用した小型X線光源がアメリカでは市販されている。申請者の研究は光源の開発ではなく軽元素の高感度な分析手段に使おうというもので、私はそのためには現象の理論解析が必要と考えている。メカニズムが解明されれば、自ずと再現性や定量性が改善されるはずであると考えられる。
委員等
まさに先生のおっしゃることを聞きたいと思っていた。分析ではなくX線光源の新しい光源の様子を見るというように特化して指導していただくと、ユニークな存在意義があると思う。
委員等
それだともう既に世の中にある。今、メカニズムは最優先でやるべきだということでやってもらうことになっている。何十年も分からなかったことなので、果たして分かるかどうか分からない。
委員等
検出器のような要素技術をぜひエンカレッジしていただきたい。この技術はやはり光源の方にエンカレッジしてほしい。
委員等
光源の方がよいのではないかと申し上げておく。
委員等
要素技術と機器開発の両方に関係があると思うが、参考資料によると特許の記載があるものとないものがあり、基本的に記載のないものは申請時に特許が出ているという理解でよいか。
事務局
この課題へ応募いただくときに、既存の特許のあるものは記載いただいているが、申請段階で必ず特許の申請なり取得していることを条件としていないため、まだ特許のないものもある。
委員等
大変興味深い話がたくさんあり非常に貴重な財産だと思うので、事業化できそうなものについては、ぜひとも特許を出す方がよいと思う。
委員等
先ほど、参画機関の企業が必死にならないとできないと申し上げたが、その企業にとって儲かるということが明確でない限りなかなか乗ってこない。実際に日本の企業にみんな断られ、海外企業にプロトタイプを作ってもらっているテーマがある。
契約では、この計画終了後2年間は秘密で、作ったものは全部こちらに引き渡すことになっているが、2年後にその海外企業は独立して売れることになる。そうすると特許をこちらが持っていても、相手が製品を安く売り出せばシェアを奪われてしまう。そういう問題がある。
ほかにも問題は多数ある。ものになるかどうか分からないものを開発する場合、大学の先生1人では絶対にできない。それで企業とタイアップしなければならないわけであるが、儲かるということが明確になるまで企業が乗ってこない。これはたいへん難しいところである。
主査
ご指摘の点は、これからこのプログラムでどのように進めるかという観点からも非常に大事なポイントである。この場合、最初のチーム編成の際の確認の努力が不十分であったのではないかと思う。もちろん、ものを作るというプロセスで今のようなお話があることはよく理解するが、最初にやる気のない企業と組んだ提案は却下すべきだと思う。今日の議論は進行状況をお伺いすることが目的なのでそこまで踏み込まないが、基本的な考え方はそうだと思う。
ぎりぎりのところでいろいろなバランスがあるが、一度スタートした研究なので、あるところまでは目処を立てて欲しい。どんな形で中間評価をするのかという問題が新たに起こるが、そういう実情があるというご報告は参考にしたい。
(資料4に基づき、中間評価の実施方針について説明。)
事務局
JSTとしては、中間評価で結果的に落ちた課題の予算を新規課題に回すことは可能だと思うが、新規課題の予算を確保するために課題を削るという方向では考えていない。
主査
本来厳密な中間評価を実施するということが大前提である。
委員等
機器開発プログラムと要素技術プログラムとの相互の組み替えは想定しているのか。要素技術に非常に面白いものが多いことと、機器開発でも要素技術的な点で面白そうなものがあった。
主査
想定はしていない。予算規模も研究体制も目標も違う。しかし先ほどのご意見にもあったようなご指摘が出るとすると、中間評価を通して現実的な検討をしないといけないという可能性もある。
委員等
先ほどの先生の説明の中に非常に大事な問題があった。
海外企業で実施する場合、基本特許を取っているかどうかが大事である。しかし基本特許を取っていても製作を依頼すればその製作段階で応用特許は全部押さえられてしまう。応用特許を持たれ、基本特許と応用特許がぶつかれば基本特許が負ける。つまり全部押さえられる。これをどう捉えるか大きな問題だと思うので、JSTの考えを聞きたい。
もう1点は、機器開発は装置ができても成果を発表できるのはかなり後になるから、装置開発の段階で少なくとも特許が上がってこなければいけない。中間評価の段階では機器がまだ十分にできていないから、機器開発の段階で特許だけはきちんと取るというのは研究者の方々に理解してもらう問題ではないか。
特許に関する議論が今まで一つもなく欠落している感じがあるので、次回でも結構なのでぜひ検討して欲しい。
事務局
評価の基準の中に特許についてはっきり書かれていないが、知的所有権が十分に確保されているかどうかを判断の材料の1つとしてもよいと思う。
応用特許の問題であるが、開発計画の実現可能性と開発機器の市場性が判断材料に入っているので、外国企業が直接このプロジェクトに入ってくるかどうかについては別の議論だと思うが、このプロジェクト自身では開発計画どおり進んでいたとしても、既に凌駕されるようなものができているのならば、開発中止も決断せざるを得ない場合も出てくると承知している。
主査
今の点は大変大事である。中間評価の段階でもう一度評価基準の中に盛り込んだ方がよいと思う。中間評価の段階で特許が十分に押さえられてないということは、このプログラム推進のための努力を払っていないと見なされても仕方がない。
事務局
昨年の10月から開発チームが動き出し、準備、セットアップをして、やっとデータが上がり始めるかどうかという段階が現段階である。今度の秋に第1回目の中間評価があるが、その時点までに権利化を義務づけるというのはテーマによってはかなり厳しい。
主査
権利化ではなく、特許申請である。それをしていないのは努力不足だと思う。
事務局
テーマにもよると思うが、努力不足だと一律的に言えるかどうか判断できないところがある。
委員等
1度も特許の明細書を書いたことがないという方もあると思うので、特許に関する予定を書いてくださいという表現にしてはどうか。
思いついたらすぐ書いた方がよいのだが、データをしっかり取ってから出願したいという気持ちもあるかもしれない。本当は出願していただいているのが一番いいが、予定が全くないということでは困る、という表現にしてはどうか。
事務局
大体、理解できます。
委員等
悩ましいのは、ある製品を開発したときにどこに行っても全然受け入れられず、知り合いの方に頼んだら、700万でアメリカのベンチャーはやってくれるがやらない方がいいと言われた。基本特許を取っていると言ったら、基本特許なんかだめだ。そこに製造を依頼したら応用特許で全部押さえられる。売れるものだったら絶対だめ。売れないものだったらいいけどと言われた。
そこをどう考えてカバーしてあげられるのか、開発総括の先生にお願いしたい。応用特許のところは将来本当に売れるかどうかも分からないから、せめて基本特許だけは押さえているというような形を取ってほしい。
先端機器開発をする先生方は、機器開発の段階で特許の1つや2つは出さなければいけないという責務を持っていなければならない。スタートしてまだ1年以内だから成果が出ないというのは分かるが、特許を出せないというのは疑問である。特許申請は機器開発にとって非常に大事なことだと思う。たとえ装置ができなくても、これだけは税金を使った唯一の申し開きだと思う。
事務局がかばう気持ちも分かるが、ここは開発総括の先生方に研究されている方々に対し特許申請だけは行って欲しいとプレッシャーをかけることも大事だと思う。
事務局
推奨は常々やっている。
委員等
中間評価の段階で全然特許申請していないというのは、評価の対象に当然なるのではないか。事務局が一生懸命推奨していて、それで3年たって、特許出願が評価にならないというのはどうかと思う。17年度は1年半なので仕方ないかもしれない。しかし3年目で中間評価を受けるプロジェクトは幾つもある。その段階で関連特許を出願して努力をしているんだという姿勢がなかったらだめだと思う。それこそ一番大事である。
主査
今年に限ってはご指摘のとおり実質1年しか経っていないが、来年以降はもう考慮の外である。JSTが特許申請の手助けもしている。中間評価にこの項目が落ちているというのは問題である。ですからぜひ入れたい。
ただ、今年度の評価基準にどう運用するかはもう少し考える余地はあっていいと思うが、入れる方向で修正するということで、事務局と協議の上、委員に文書でお問い合わせをした上で決定するという手続きにしていただければと思う。
委員等
申請時に義務だと書いてあるのか。
事務局
申請時にはそこまで書いてない。それから、最初に応募する段階で特許のないものでも応募可能ということで出させている。
委員等
その辺の約束が今後どうなるのか。
事務局
今後どのように明確に書くか、どこまで書くかということはある。
主査
それでは、その点の修正を加えるということで。了解頂きたい。
本日はまことにありがとうございました。
研究振興局研究環境・産業連携課