先端計測分析技術・機器開発小委員会(第5回) 議事録

1.日時

平成16年12月3日(金曜日) 16時~18時

2.場所

文部科学省 10階 第1、2会議室

3.出席者

委員

 二瓶、井戸、北澤、小原、近藤、志水、下平、田中各委員

文部科学省

 小田研究振興局審議官、根本研究環境・産業連携課長、小島基礎基盤研究課大型放射光施設利用推進室長、呉ライフサイエンス課ゲノム研究企画調整官、室谷研究環境・産業連携課研究成果展開企画官、鎌田研究環境・産業連携課課長補佐、青木研究環境・産業連携課専門官

4.議事録

(◎:主査 ○:委員等 △:事務局の発言)

(1)先端計測分析技術・機器開発プロジェクト関連事業の進捗について

(資料2に基づき、先端計測分析技術・機器開発プロジェクト関連事業進捗状況について説明)

委員等
 「ゲノムネットワーク研究の戦略的推進」関連の事業は大学の先生だけで検討されるのか、それとも企業がパートナーとして組んでいるのか。企業がパートナーとして入っている場合は、企業も参加した責任を持つのか。

事務局の発言
 もちろんそのとおりである。今回、この分野では全部で二十数課題の応募があり、いわゆる情報解析のための解析手法が一番必要なものだということで、どちらかというとサイエンティフィックなものを中心に開発を行うこととなったが、応募課題の中には企業との共同研究も含まれている。

(2)先端計測分析技術・機器開発事業の平成17年度公募方法等について

(資料3、4に基づき事務局より説明の後、資料4の論点について討議)

主査
 本小委員会は1月にもう一度開催を予定しており、その折に、より具体的に公募要領の表現、内容等の議論を含めてまとめの議論を行いたいと考えている。したがって本日は、この件に関する基本的な方向性、どの部分を重視して今後の具体的なまとめをするかということに関して議論いただきたい。
 機器開発プログラムについて「プロジェクトに「戦略性」が欠けているのではないかとの指摘があるが、どのように対応すべきか。」この点について意見をいただきたい。
 一体戦略性とは何かという議論を本当はしないといけない。この事業は初年度33億円という枠組みの中でスタートした。この限られた予算の中で今我が国が最も必要としている先端機器開発を効果的かつ的確にプログラムを進めるということ、それがまさに戦略であり、そのことをより明確に申請者に対して伝える必要があるということがこの部分の最も大事な点ではないかと思う。
 前回、戦略性を議論するならば、公募要領に明記すべきであるという指摘があったが、それは公募という性格上当然そのように考えなければいけない。ただし、その戦略性そのものがどういうことかというよりも、むしろ申請者が自分の提案のどこを戦略的なものだと考えているかということが非常に大事なのではないか。
 公募要領の中に「関連研究分野の戦略的観点から見た申請課題の重要性」として申請者が自分で書く欄を設けて、自分の研究課題を戦略的観点から自己評価してほしいというような1つの考え方があるのではないかと考えるが、意見をお願いしたい。

委員等
 公募要領に戦略性の自己評価欄を入れて、できるだけ提案者の考えを問うというのは、私は大変結構だと思う。今の枠組みを見ると非常によくできているように思うが、適切な目利き人をどれだけ確保できるかという点も非常に大事で、枠組みを幾ら整備しても、結局目利き人不在のままで進んで行くというような事態を一番憂慮している。

委員等
 私自身のアイデアがなぜここまで発展したかというのは、やはり非常によい目利き人がいらっしゃったからこそだと考えている。公募要領の中に関連研究分野の戦略的観点から見た申請課題の重要性について記入する欄を設けてはどうかということについて、これは目利き人がそれだけ判断する材料が増え、開発内容を見て判断することが難しいというときの、いわば第2の観点としては非常にいいのではないかと思う。開発する人がどれだけその内容を理解しているか、それを周りの人に伝えられるかという能力も非常に大切だと思う。
 2番目によいアイデアでも、デファクトスタンダードとなって、結果的に製品となって広がる場合もあるので、単に技術がどれだけすぐれているかだけでなく、最初に発端になる人がどれだけ周りの仲間を集められるかということ、それの1つのあらわれとなるのが、説明責任ということだと思う。そういう形で選ぶのも1つの方法ではないかと思う。

委員等
 戦略性というと本当の目利きがやるということなのだろうけれども、公募であるので一定の方向で進めるというのも多分難しいかと思う。倍率のことがあるが、みんながいいと言うのは多分いいのだけれども、そうでなくて、ある特定の先生方が非常にこれはいいというようなものを、冒険かもしれないが取り上げるというように、審査委員の中でもう少し議論をして、審査委員の中で戦略的な考え方というのを何か共有して、その上で思い切ってやるというようなことがあればよいのではないかと思う。
 戦略性の観点を記入するというのは、テクニック的にはいろいろな書き方があって、上手に書く人はうまく書くように思うので、余り影響はないのではないかと感じた。

主査
 戦略的観点をはっきり示すことは、当初想定のできない新しいアイデアを幅広く求めるという公募制度の枠組みと方向性が違う心配があるという御指摘はもっともである。しかし、少なくとも非常に競争率の高いプログラムに応募するからには、当事者がこの課題がどういう意味で重要なのかということを戦略的観点ということで示すということは必要ではないかと思う。
 提案の中から独自に戦略性を見つけ、あるいは目利き人としてその将来性を見抜くという観点は審査であるので非常に大事なポイントである。提案者の自己提案と審査委員の専門家としての立場からの理解、将来性を見抜く力という両者が必要であるということはそのとおりだと考える。
 次に2番目の「技術的に見て実現性の低い課題が採択されているのではないか。また、個性的な課題が採択できていないのではないかとの指摘があり、どのように対応すべきか」という事項について、意見をいただきたい。
 参画する機関(特に企業)の責任を明確にするため、分担開発する機関名を採択時に公表するということは1つのアイデアであると思う。産学連携が非常に大事な枠組みであるので、実現性の低い課題ということを議論する上では、装置づくりのプロである企業の方々が、この装置をこういうふうにしてつくるという非常に明確な方針を持っているかどうかを確認すべきであるという指摘である。

委員等
 これは絶対必要でないかなと思う。学だけで企業の方が十分に熟知していないような性能まで踏み込んでこういうものができるというふうに書いてしまったとしたら、それはちゃんとパートナーとして参加している企業の代表者もその責任を共有するのでなければならない。やはり責任の所在を明確にするという点では、両方がイコールパートナーでないと先端機器開発はできないと思う。
 公募では開発者のデータとか研究開発歴、主要文献、知的財産を記入させているところがあるが、特許番号、文献が書いてあるだけでは、審査員の先生が実際に調べるのが大変である。従って、選考委員の先生方のロードをできるだけ助ける意味でも、それから選考の精度を上げていただくためにも、論文の別刷り、特許申請の写しは申請する人が当然つけなければいけないのではないかと思っている。

委員等
 目利きが必要という話が先ほど出たが、選考委員が内容を見て、これは行けそうだということで選べられたのなら、それでいいのではないか。それが途中で成功するかどうかは、1年進めてみて判断してだめなら振り落とせばいいのではないか。あえてここに深くこだわらずに、選考委員の先生に任せていけばいいのではないかと思う。

主査
 実現性の低い課題の観点の議論は申請書の書き方あるいはその証拠づけが余り具体性がなかったために審査のプロセスで大変ご苦労されたということが背景にあるのではないかと思う。審査委員の判断を手助けするための情報という観点は、審査の効率性あるいは的確性を助けるという意味で必要ではないかと考える。
 企業とのパートナーシップの確認という問題は、イコールパートナーとしての産の責任をもう少し明確にする。これが本来のこのプログラムの趣旨からいって当然必要なことだと考える。
 3番目の項目、「採択率が低く、精度の高い審査が難しいのではないかとの指摘に対して、どのように対応すべきか。」について意見をいただきたい。
 審査の精度を高めるための具体的な方法として、1つは機器開発に実績のある人を専門委員に追加するというアイデアが書いてある。JSTの説明の中に、審査委員の選定基準の話があり、非常に厳格な基準で、申請者、これは幅広く公募するため、非常に大きな母集団になり、その母集団で利害関係のある方を排除しようという思想のもとでできている。それですっきりできればもちろんそれが一番公平な制度であるということは明らかであるが、若干専門性の高い領域に関しては、そういう基準であると逆にその分野を熟知している人たちが全員排除されかねないという心配がある。一般論では、審査というものの公平性を期すためにこういう利害関係者の排除ということは絶対必要なのであるけれども、そのやり方はさまざまであり、実際に審査に上る案件1つひとつに対して利害関係者を排除するという原則で行くのか、全部の集団に対して利害関係者を排除するという原則で行くのか、現実には全部の集団に対して排除するというのは非常に難しいので、そこを検討いただきたいというような指摘ではないかと思う。
 もう1点の研究代表者を学と産の両方にしてはどうかというのは先ほどのことと関連をしている内容である。

委員等
 審査委員の基準、特に利害関係者の排除という意味では、このプログラムは特に産業界の方を審査委員に入れるかどうかということで最初から問題があった。ライバル企業が出してくると思われるようなところの産業界をすべて避けたということがある。それから、自身が出さなければならない人もなるべく避けるようにした面はある。そのために審査委員がクォーリティーの低い人たちになってしまったかどうかということがここでは観点だと思う。もしもそういう状況であるとしたら考えなければならない。
 もう1点の審査委員会との対応においては、私たちもある部分反省があり、それは、この親委員会の思いが審査委員会に十分に伝わらなかったというようなことに対して若干の反省を持っている。もし戦略がこの委員会にあるのであれば、それを比較的一般的な形で世間にも通るような形で文章化する必要があるのではないかと考える。この親委員会の戦略をはっきりさせれば、それは審査委員会でも対応できるというのが第1点である。
 第2点は、もう少し具体的な解決方法としての提案であるが、昨年はこのプログラムが余りにも評判になり過ぎていたというようなこともあって、JSTもそうであるし、この委員会もそうだったかもしれないし、あるいは文科省もかなり気にしていたということがあった。この親委員会自身が審査をやればプロジェクトを作った思いは全部伝わるわけであるが、それではいろいろな問題があるというようなことで審査委員会と完全に分けてしまった。この委員会から審査委員会に例えば1人ずつ分科会に入るとか、いろいろな解決方法はあるのかもしれないと思う。その辺りを今年少し工夫すれば、今まで問題になっているようなことを解決できるのではないかと思う。

委員等
 確かにライバル会社の企業を排除されたというのはやむを得ない措置かと思う。ただ学の方からすると、先端機器というのは本当に専門家の数の少ない分野であるが、その反面非常にすばらしい人材がいらっしゃる。そういう方々は決して、自分が少し関連しているからといって、アンフェアなチョイスをするような人ではなく、私はそういう人をもっと信頼していいのではないかと思うので、そのあたりをもう少しJSTの方で勘案いただきたい。
 JSTサイドも御苦労されて、親委員会と何とかうまくマッチングをとりながら進めようとされていることは大変ありがたいことだと思う。スタートのときというのはいろいろな問題点が出るけれども、それが2年目、3年目になって非常にいい方向に向かっていくということになれば何よりだと思うので、親委員会とJSTと文科省が連携を取っていくという点はぜひ委員の1人としてもお願いしたい。

主査
 4番目「採択1課題のみの開発領域では、中間評価における絞り込みができず、開発時の競争的環境ができないのではないかとの指摘があるが、どのように対応すべきか。」この点については、その下に3点の指摘があり、ゼロでもいいのではないかということ、要するにある枠組みの中の相対評価ではなくて、全体の中での絶対評価という考えである。ただ、どうしても1つだけ選ばれると、競争的環境に支障を来たす心配があるということに関しては、枠組みを越えた絶対評価で本来の競争的環境というものを認識していただく。そういう意味で、必ずしも無理して2つ取らなくてもいいのではないかという意見が主要である。ただし、ほかの議論との兼ね合いで、ひょっとしてすぐれた課題が浮かび上がってきてないということがあれば、それは別の観点の改善によって、当然1課題だけではなくて2課題採択されるようなケースもあり得るということで、この点についてはここに挙げられた意見を参考に今後の検討を進めるということでよろしいのではないかと考える。
 要素技術プログラムについて、1番目の項目「想定した要素技術に該当する採択課題が少なく、機器開発事業との区別が不明確との指摘があり、どのように対応すべきか。」この観点は確かに実際に審査した結果を見ると、かなり力を入れて議論したつもりのものが、実際には採択されていなかったということがある。
 そこで、公募要領の見直しが必要ではないかということが主な考え方である。また、予算面でのもっと応募をしやすい枠組みを提示してはどうかという指摘がある。一口で要素技術といっても、いろいろなものがあり得るが、昨年の検討委員会のレベルでは、比較的予算を要しない、そういう課題がたくさん出てくるのではないかという想定をしていた。それが実際にどうであったかということであるが、申請の仕方に関してもっと明確な枠組みを示すべきであったのではなかろうかという反省点がある。そのあたりを軸に検討を進めるべきではないかと思う。
 2番目「要素技術の特色を配慮した選考が必要ではないかとの指摘があり、どのように対応すべきか。」これは選考の観点ということで、審査の側で要素技術というものを的確に判定する、審査するための方法がないかというような問題点につながっている。
 本年の公募要領は3つの観点を掲げただけで、ある意味でシステム開発と要素技術開発の区別が余り明確ではなかったという反省点がある。このようなことを考えると、要素技術プログラムの方の公募要領は少し手を加えて、適切な応募がたくさん出てくるように考えるべきである。できれば審査の観点からも適切な提案が採択されるような仕組みを考えるというような検討が必要ではないか、そのような論点になろうかと思う。

委員等
 質量分析を例にすると、もうかっているのは、試薬とかソフトウエアが中心になってきている。ハードウエアである質量分析装置の性能はもちろん上ってきているが、それをさらに上げるために感度を上げる試薬が注目されており、非常に重要になっている。
 質量分析装置を一回買ったら、メンテナンスに少し経費がかかるぐらいで、本当にお金がかかるのは試薬である。このような現状をどこかで説明して、それを日本の中で開発するのが大切であるというようなことを示せば、日本の中で埋もれている技術、アイデアを引っ張り出して、実用化につなげることができるのではないかと考えている。
 ソフトウエアに関しても、せっかく測定したデータをどのように解析するかということが重要である。メーカーの立場からは、今それが欠けているということを考慮すると、やはりそういったところを要素として具体的に指し示すことによって、公募に対して参加する意味があるのだなと参加者に考えていただけるのではないかと思う。

主査
 ある種要素技術の共通の問題かもしれないが、ニーズとシーズが結びついてないことによって日本の機器開発の発展にとってマイナスになっているということを感じる。公募要領に具体的な例を掲げ、こういう性能を持つ一群の試薬を検討し、つくり、実用化するというようなチームを編成し、それで応募していただくというようなこともいいのではないか。こういうプログラムを通してニーズとシーズがきちっと結びつくような、そういう体制を支援するようなことができれば、恐らくかなり短時間のうちに進歩が見られるというような気がする。

委員等
 初めのところで公募要領に申請課題の重要性を記入する欄を設けたらいかがかという提案があったが、むしろこれは要素技術にぴったりする。例えばこういう試薬を開発して質量分析の感度を上げるのだというような、明確な重要性を書くようにすれば、選考委員の先生も判断が非常にしやすいのではないかと思う。

(3)第3期科学技術基本計画の策定について

(資料5に基づき事務局より説明の後、自由討議)

主査
 この議論については、12月の中旬に親委員会である知的基盤整備委員会において取りまとめがおこなわれる。本委員会の話題、すなわち先端計測分析技術・機器開発関連ということでは、本日の議論とその後のメールでのやり取り等の意見交換が最後のチャンスということになる。従って、本日はこの原案に基づき、なるべくたくさんの意見をいただき、その意見を組み込んだ形で再度原案修正をした後に、取りまとめを行い、親委員会に提出するという手順をとらせていただきたいと思っている。
 それでは順に、(1)「先端計測分析技術・機器開発事業の推進」という項目に関して意見をいただきたい。

委員等
 先端計測機器というのは5年やったらもう基礎は終わってしまって、あとは実用化だけやればいい、そういう分野であるとすれば、この書き方でいいと思うが、私には到底そういう領域であるとは思えないが、その点はいかがか。

事務局の発言
 今まで計測機器関係の開発は、大型のプロジェクトはないものの、いろいろな取り組みがあった中で、なかなか実用化まで行くのが厳しかったということがある。特に実用化を目指した施策という表現を使ったけれども、そもそもこの機器開発事業が始まったときに、今後の先端の研究を行う上で新たな計測分析機器が必要であるといったところで日本が遅れをとっていることの認識と、それから田中委員の業績がノーベル賞を取られたように、非常にこの分野自身が研究として重要であるということであるので、特にナノテクというような分野で進展する研究と歩調を合わせて先端計測分析技術・機器開発のプロジェクトは進めていかなければいけないという認識をしている。

事務局の発言
 5年、6年で開発事業という形で実現していかなければならないという観点が非常に強い事業であるので、今度の第3期基本計画の中でやはり花開いていただかなければいけない状況が多々ある。
 他方、計測機器すべての政策をこの事業でカバーすることはできないわけで、この事業の中からまた新たな機器開発というものが生まれてくるかもしれないというふうに考えているところである。

委員等
 恐らく第1段階の間にかなり芽が出てくるだろうと思うが、それで実用化するかしないかわかってきて、恐らくいくつかは来年度のうちには見えてくると思う。そのほかに残されているものがたくさんあって、それで第3期科学技術基本計画ではそういうのも取り上げられるようにしておいていただくといいのかと思う。原案では、すべては実用化の手前まで来ており、これからは実用化に取り組むという感じになっているので、文章を少し工夫してはどうかと思う。

主査
 あと2年後に第3期計画の枠組みの中に入るが、そのときにさらに一段進めたいという意識は私もそう思っているが、その一段進めるということの内容が、もう既に始まったもののプロトタイプができて、それを実用化するという表現だけでなくて、その手前にさらに多くの分野で重要な機器開発事業に着手するという、そういう部分がもう少し強調されていてもいいのではないかと思う。

委員等
 先端機器開発についての論議の中で我々が思ったことは、こんな装置があったらいいな、そういう先端機器を開発したいなという、そういう夢をかなえてくれるプロジェクトがあるというのが一番大きかったように思う。機器開発をしてやはり実用化に耐え得るものを目指してほしいという思いが非常に強くある。少なくとも先端機器開発については、やはりそういうところを明確にして本当に実現して、それを使って最高のデータを出せるのだというところを目指してほしい。

主査
 2番目「異分野融合と新研究領域の創出」について、先ほどすこし話題に出たハードウエアと情報処理のコンピューターとをまさに融合したような機器、そういう機器で新しい画期的なものが出てくる可能性があるのではないかというような考え方である。この項目について意見をいただきたい。

委員等
 異分野の融合とか、今後の新しいプロジェクトの推進というときに、1つ新しい芽を見つけていかなければいけないと思う。そのときに、今具体的に開発予定領域というものがあるけれども、これはある非常に大事な部分だけを取り出したと思う。しかし、もう少しこれに関連するような、あるいはある特定の分野に非常に大きなインパクトのあるようなものについても、申請をある程度認めて、やや枠を広げるという努力をしていった方が、次の新しい芽を見つけるときにいいチャンスになるのではないかと考える。

主査
 第3期の基本計画ということで新しい面を強調して、次のステップではこういう新しい目標を掲げるという感覚でこういう項目をセットすることを考えてきた。指摘のようにころころ基本的な立場を変えるという意味ではなく、従来の枠組みがあって、それにこういう観点を重視するという発展の仕方を提示して、なるほどこの機器開発の分野は幅も広いし、奥が深いなと皆さんに理解していただければという発想があった。ただいまの指摘は大事な分野がきちっとあって、それをどういう見方でその重要性を強調するかという感覚でいいのではないかということではないかと思う。この点をもう少し事務局と検討してまとめ上げたいと思う。
 第3点目の「戦略的な先端計測分析機器の開発」、ここでのキーワードの1つは、期間を短縮するスピードアップということを実現するためには、各実施主体を中心とした関連情報の蓄積、人材育成、そういうものをある意味で集約し、さらに研究体制を強化するための中核的機関となるようなものを考え、全体として戦略的に取り組むという内容である。中核的機関という言葉はかなり踏み込んだ表現ではないかと私も思っているが、こういう仕組み、これを第3期で実現することを目指す、そういうことに関して意見をお願いしたい。

委員等
 具体的にこのような中核的機関という例は、外国あるいは日本にあるのか。

事務局の発言
 少なくとも先端計測機器の分野では、こういった名前を打って前面に出しているものは国内ではない。ここで言っている中核的機関というのは、ある組織に対してCOEですというように明確に示すというイメージとはすこし違って、我々の事業の対象として選ばれた組織が、その5年間なりに研究の投資を受けて、何らかの形でコミュニティが形成されて、その情報が集まる。ここからは1つの仕組みが必要だと思うが、例えばweb上に何らかの計測機器関係のポータルサイトを設けて、計測機器のこういった分野についてはどういった企業が関係して、こういった人たちが関係して、そこから出た成果はこんなものでしたというふうに位置づけていく。大げさに新たな建物を建てるとか、さらなるお金を積むとかというよりも、蓄積されたものが消えないような仕組み、そしてそこの機関には人とノウハウが集まっているのだということを世間に提示していくような仕組み、そういったことをイメージしている。

委員等
 スケールは小さいかもしれないが、NIHがそういうセンターを持っている。あるプロジェクトが終わったらそのセンターに機器を返す。次の新しいプロジェクトが始まったときにそれに対する先端機器として改良して使っていったらどうかという形で提供される。あれは非常によく動いていて、私は日本にあのような組織がないのが大変残念だと思う。もう少しブラッシュアップして、スケールをもう少し大きくして、そういうものが日本に1つあるとすばらしいと思う。

委員等
 先端計測分析技術・機器開発研究所みたいなものがある方がいいかどうか、あるいはそういう学科なり研究科なり、そういうものがあった方がいいかというレベルでまず考えてみる。その次は、先端計測分析技術の情報流通センターみたいなものが国としてあった方がいいか、あるいはどこかの国立研究所とかあるいは大学の研究所のようなところに拠点になるようなセンターがあって、多くの人がそこを利用するようなことがあり得るかどうか、そうしたら研究は推進されるかどうか、これが第2番目ぐらいの視点だと思う。第3番目は、先端計測分析技術・機器開発関係で情報流通をさせるセンターがあった方がいいかどうか。それから開発のファブだけをやる、そういうところがあった方がいいかどうか。あるいはそういう支援センターみたいなものが、どこか研究室が開発しようとしたときに、支援グループがどこかにいたとしたら非常にこれは進むのかどうか、その辺りで考えて、もし非常にいいとなればそういうものをつくるという、そういう提案ではないかと理解している。

委員等
 2年や3年で次のステップへ進むというのも少し問題ではないかと考える。次は異分野というような話であるが、異分野というのは1つの追加にすぎないと私は考えている。
 第3期は、基盤整備の中で機器をつくるということであるが、ではつくるのをどうするのか。つくる側のインセンティブを刺激するような施策が必要ではないかと考えている。

主査
 実際の機器づくりの現場で産学の連携が有効に働く仕組みづくりへの取り組みを少し紹介いただきたい。

委員等
 現在の産学連携がうまくいってない理由の1つはニーズの汲み上げが非常にうまくいってないことがあると考えている。このためニーズのデータベースつくりというのをこの3~4年取り組んできた。研究者側からこういうニーズがある、こういうものをほしいということを発信していただき、それに対して産業側が対応する。そういうニーズが最初から発信されていて、普段からそういう体制を構築していきたいと考えている。

主査
 先端計測分析技術の拠点になるようなセンターあるいは、情報流通をさせるセンターといような仕組みは、先端機器開発でもぜひ必要であり、そういうものが実現できれば非常に効果的であるという印象を持っている。この項目については、もう少し言葉を追加して、まさに今後の科学技術立国を目指す日本において、こういう分野を継続して発展させる。そういう仕組みをつくるのだというような狙いを明確にした表現にしてはいかがかという気持ちがある。
 本日いただいた意見をもとに、第3期基本計画に対するこの分野の方向性について、文書化を図り、それを委員に点検いただいた後に、今月中旬の親委員会に提出するという段取りを踏みたいと思うが、よろしいか。

(委員一同了承)

主査
 それでは、本日の議論はこれで予定を終了いたします。

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課

(研究振興局研究環境・産業連携課)