科学技術・学術審議会技術・研究基盤部会
2002/09/04 議事録科学技術・学術審議会技術・研究基盤部会産学官連携推進委員会知的財産ワーキング・グループ(第6回)議事録 |
科学技術・学術審議会技術・研究基盤部会産学官連携推進委員会知的財産ワーキング・グループ
(第6回)議事録
1. | 日 時: | 平成14年9月4日(水)17:00〜19:00 |
2. | 場 所: | 虎ノ門パストラル ミント |
3. | 出席者: | |
委 員: | 伊藤(主査)、牛久、澤井、清水(勇)、隅藏、長井、中山、新原、牧野 | |
事務局: | 坂田審議官、加藤研究環境・産業連携課長、小山技術移転推進室長、佐々木技術移転推進室長補佐、杉江研究環境・産業連携課専門官 ほか |
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4. | 議 題 | |
ワーキング・グループ報告書骨子案について | ||
・資料1に基づき事務局から説明した後、その内容に関する質疑が行われた。 | ||
その内容は以下のとおり。 | ||
(◎・・・主査 ○・・・委員 □・・・意見発表者 △・・・事務局) |
◎ | まず、「![]() |
○ | 第三の使命ということが社会貢献で新しい産業の創成に資するというようなところまで踏み込むのであれば、知的財産の管理だけではとてもそういう使命は果たし得ない。逆に言えば、大学を一つのビジネス体として考えた場合、そこだけ切り取って大学の中に追加しても、ほとんど機能しないので、知的財産権を使ってビジネスに結びつけるまでの間のインキュベーションは避けて通れないと思われる。一つの事業として考えた場合、単に負債を抱え込むところばかりを作ることになり、収入が入るところについて一切議論の外に置くことは全体のバランスを崩してしまうことになるのではないか。ただ、ベンチャー・インキュベーションまで大学でやるのが本当にいいのかどうかということについては、きちんとした議論の上で選択すべきことだと思う。そこまで考えなければ、一つのフレームワークにならないのではないか。 |
◎ | 我々の大学ではハッチェリー(hatchery)という言葉とインキュベーション(incubation)という言葉を、この分野でのテクニカルターム(技術用語)として使用している。ハッチェリーとは、技術的にレベルは高いが市場性をまだ確立していない技術について、学内で市場性を確立できるようにしていく過程である。インキュベーションとは、市場性を持った技術を育てていく過程である。通常インキュベーションのほうが時間がかかるという考え方である。医学の世界ではハッチェリーは「卵をかえすところ」という意味であり、その「かえった卵を育てる」ことがインキュベーションの意味である。いわゆるプレインキュベーション的なインキュベーターが多分大学の中には必要ではないかという考えで、我々の大学は現在動いているところである。 |
○ | そもそも大学が企業と同じようなことは多分できないと思われる。企業でも、ある研究開発を行って、その成果が1割でも当たって、事業の柱になればいいほうである。ハッチェリーやインキュベーションは当たるか当たらないかの判断が大変難しいものであり、それを大学において全部行うことは大変困難であるように思われる。その辺をもう少しきちんと認識しておく必要があるのではないか。例えば、3ページ目に「知的財産の確保と管理・活用」「知的財産の保護・活用」と通り一遍で書いてあるが、それがどういう文脈から第三の使命に結びつくのか、あるいはどのような役割分担をしていくのかということが、この報告書を一般の方に理解していただくためには必要になるのではないか。産学連携は企業にとっても一つの大きな課題である。大学は必ずしもビジネスに結びつかない、いろいろな研究活動を行っており、その中からいろいろな形の成果が出てきて、その成果の中のあるものがひょっとしたら将来産業のシーズにつながるかもしれないという構図があると思われる。先ほど言われたハッチェリーみたいなところまでが大学で見えてくれば、そうした幾つかの将来の事業のシーズの選択と評価を企業サイドがアンテナを高くして行い、そこから産学連携が始まることになると思う。先ほどのインキュベーションからシーズの事業化まで見えてくれば、先行している産業界としては新たな市場の拡大を行い、結果として雇用の拡大が図られるようになるということが産学連携における産業界へのリターンとなり、その結果が税収増につながり、それがまた大学への新しい研究費につながるという大学へのリターンになる。こうした経済活性化サイクルの中における大学の中での知財の扱いと産学連携を整理してみることも大事なのではないか。 |
○ | 我々の大学のほうでも知的財産についていろいろと検討し始めているが、産学連携というレベルでいろいろとチェックしていくと、一元管理がどうしても必要になってくるのではないかということになる。大学が産学連携で活躍できる場の中の一つが知的財産であると思う。その辺をどのような形で一元管理できるかということが一番大事なのではないか。また、社会貢献が大学の第三の使命であるという形については、私も納得するが、その前には教育・研究がまずあり、その教育の領域から社会貢献につながっており、教育について非常に重要な役割を大学は持っていると思う。大学の使命を産学連携と結びつけようとした場合、こうした領域のこと、例えば、ベンチャー起業の精神・その方法等に関して、学生にどのような形で教えるのか、教育していくかということも非常に重要な大学の役割ではないか。その点についてもどこか基本方針の中に書いていく必要があるのではないか。 |
○ | 今年の2月にフランスのほうへ産学連携の調査に行ってきたが、フランスの制度として強調されていたのがインキュベーションであった。そこで重要だと思った点は、そのインキュベーションの中にも、かなり初期の段階のインキュベーションからかなり産業に近い段階までいろいろあったということである。大学の今後の在り方ということを考えると、少なくとも一番最初のインキュベーションの段階である、プレインキュベーションやハッチェリーといった部分については大学がかなりコミット(請負)していくということが、日本においても重要ではないか。その後のどの段階まで大学がコミットするかということについては、それぞれの大学のキャパシティや技術の特性に応じて決めていけばよいのではないかと思う。それから、第三の使命ということで報告書に書かれているが、大学の社会貢献の形について考えてみると、必ずしも産業に貢献するということとイコールではなく、研究成果を発信することによる市民に対する啓蒙活動なども含まれていると思う。この報告書案では社会貢献イコール産業であると読める気がするので、社会貢献の在り方というものは幾つもあり、その中で産業の育成や産業につなげるということがあり、その中で知的財産の重要性があるというイントロダクションにしてはどうか。 |
○ | 今の意見には同感である。社会貢献というと概念が広過ぎて、教育で人を育てて、それを社会に出していくという大きな意味の社会貢献も含まれることになると思われる。この報告書においては第三の使命という意味として、研究成果の社会還元あるいは研究成果の産業還元といった、ある種の事業創出につながるようなという意味でのキーワードで整理したほうが世の中にはわかりやすいのではないか。 |
○ | 知的財産戦略大綱の中において大学発の発明の創成は重要事項だと書いてあったと思う。この戦略大綱は知財立国を目指す国家政策として位置づけられており、それを今実現しようとしているものである。今回のこの委員会においても、そのことを抜きで議論することはいかがなものかと思われる。特に先ほど言われたハッチェリーとインキュベーションの関係でいくと、大学発の発明を創成するというハッチェリーがまず第一にあり、それを次に育てて実現化していくというインキュベーションの部分は次の手としてある。まずそのスタートであるハッチェリーをしっかりやるということを基本的な考えのところで学の使命と結びつけて報告書を作るべきではないかと思う。今回の案の中にはその部分がないので、全省、国全体の課題である知的財産戦略を文科省としても実現していくためにいろいろ鋭意やっていることの中の一つであるという書き方がいいのではないか。別に産業と結びつかなくとも研究成果を社会にアウトプットしていくということも大学の重要な使命であるが、その中で現実的な問題として求められているものは、産業界への研究成果の還元である。それを今、国家政策で急遽入れているわけであるので、そこを反映してはどうか。 |
◎ | 「![]() |
○ | この報告書を読んで大学の現場の人がどのように感じるかという視点が必要だと思う。大学の使命を研究、教育、社会貢献といった場合、法人化後の大学が、自らの大学の使命を高らかに宣言して、いろいろな整備をしていこうとしたときにどのような使命を立てるかという問題が出てくると思われる。社会貢献は非常に広い言葉なので何でも入る。例えば、北海道の有珠岳が爆発したとき、北海道の先生が20年ぐらい研究をずっとしていたおかげで結局死者を一人も出さないで済ませることができた。それは20年以上にわたる非常に長い研究の成果がそこで発揮されたという、非常に大きな社会貢献と言える。そうした広い意味においては言葉として、研究、教育と並んでもいいのではないか。知的財産はそうした社会貢献のほんの一部でしかないということになると思われる。大学全体の使命の中で、知的財産をどう位置づけていくのかということをきちんと考えて書かなければ、大学の人がこれを読んだときに非常に迷ってしまうのではないか。 |
○ | 確かに戦略大綱にはこの問題が書かれてあるが、戦略大綱を書いたときの精神としては、欧米と比べると日本の大学は内向きであり、いい研究をすることで満足をしていたが、莫大な国費を使ってやっている以上は、せっかくいい研究成果ができたのだから、それを産業界にも還元することがひいては日本の産業発達、景気低迷の打破の一つにつながるということであった。大学が内側だけ見ていてはいけないので、基礎研究は大事であるが、いいものができたら、それは社会に還元しましょうというつもりで知財戦略大綱のその部分は書いた。そうした雰囲気がこの報告書にも表れればいいのではないか。 |
◎ | 今の委員の意見は、これまで出た各委員の意見と同じ方向だと思われるので、もう少し事務局のほうでここのところを直していただければより良くなると思われる。次に「![]() |
○ | 帰属だけではなく、知的財産の問題を突き詰めていくと、大学が一つの組織体としてきちんと判断していけるのかというところに多分尽きると思う。事務局の説明においても、知的財産本部の体制整備に予算をつけるという話があった。恐らく、いろいろな先生が個人で知的財産を扱っている現状から、組織のほうにシフトしていくための機関帰属であるが、そうした場合、企業であれば、担当のラインが決まっており、きちんといろいろな意味でのジャッジメントをして、そのしかるべき人に権限が委譲されている。そうした仕組みをどのように組み上げていくべきかということにも言及したほうが、問題の本質がよくわかるのではないか。機関帰属という言葉だけが一人歩きしているような感じがする。単純な機関帰属ではなく、知的財産を有効に活用していくためには、知的財産がしかるべきところにまとまって、そこで一元的に判断するというところまで踏み込んでいかなければならない。会社でいえば知的財産部長が言ったことが会社の意思として動くというように、大学組織が意思決定の権限を現場のどこに今後置くのかということについて、産業界から見るとまだきちんと議論がこなれていないのではないかと思われる |
□ | 2.の一番最後の文章についてであるが、この書き方は概念が広いのではないかと思われる。「大学で生み出される知的財産について原則大学に帰属させ活用」とあるが、この大学を企業に読みかえれば、企業で生み出された発明は全部企業に帰属すると書いていることと同じであり、これはあまりにも乱暴だと思われる。「大学で生み出される知的財産のうち職務発明については云々」という表現が正確ではないか。これは後の解釈に大きな影響を与えるので、正確に記載したほうがいいのではないかと思う。特に真意はそのような趣旨だということで仮に書かれても、実際これが動き出した後で、各大学ごとにいろいろな解釈が出てくる可能性もあるので、正確に書かれたほうがいいと思われる。 |
○ | 先ほど委員から指摘があった、知的財産を取り扱うラインの確立が、おそらくこの問題の成否の鍵ではないかと思う。現在の大学の発明委員会の実情ははっきり言って悲惨であり、それではいけないということで知的財産戦略大綱の中で知財本部に言及している。その際、文科省に対して人、金の面で支援することをお願いしているので、これから大いにそれはやっていかなければいけないと思う。ただ、大学は企業と違って非常に難しいところがある。企業は一定のポリシーがあり、ある方針を決めれば、全社挙げてエンジニアをそちらに向けさせ、パテント・ポリシーもそれに合わせる。一方、大学の先生は各自が勝手なことを研究しており、いい発明ができても、それをフォローアップするといったことには関心を持たず、次の新しい研究を始めようとする。要は、一個一個の研究は立派でも、大学全体を見るとまとまりがないことをやっていることになる。フォローアップもしないで、知的財産の管理をきちんとやっていくということは大変なことであるが、これは大綱でやると言っており、文科省もやるし、特許庁も応援すると言っているので、この報告書にどれくらい書くかは別として、しっかりやってもらいたい。 |
○ | この報告書自体は国の施策としてこういう方向へ行こうという合意の下にベクトルを出さなければ、現場で携わっている者にとってはベクトルがしょっちゅう振れているように感じられ、やっていられないということになる。せっかく法人化するのであれば、それぞれの大学の置かれた立場によってはやろうと思ってもできないものもあることを踏まえ、選択は各大学が行うことを明言して、ただし、国の施策の方向はこうであるということを明確に書いていただきたい。そうすれば、現場で携わっている者はそれをガイドラインとして正義を貫けるということになると思われる。 |
◎ | 特許に関して、これまでに大学から有効に技術移転しているものもたくさんあると思われるが、組織としての管理が全くなかったということである。そのため、非常によくやっている先生は個人プレーとしてやってこられた。それを組織としてきちんと管理するということが重要なことであり、組織で一元所有をするかどうかということは問題ではないと思う。一元所有にすれば、それだけで不良債権を抱えてつぶれてしまう大学も出てくると思うので、一元管理をきちんとして、その後の問題については、今の委員が言われたような各大学のポリシーを発揮して、その一元管理したものをどうやって運用するか、あるいは本当に大学が所有するのか、どこが所有するのかといった問題に対応することになるのではないか。そうした多様性をこの報告書に残したいと思う。この帰属についての部分は何度も議論をする必要がある非常に難しいところだと思われるので、今日のところはまず全体を見るということにして、次回の案でまた検討するということでよろしいか。それでは、「![]() |
○ | 「2.(1)![]() |
○ | 昭和52年の学術審議会答申の考え方と、2.(1)![]() ![]() |
◎ | 平成11年に特許の取扱いについて文部省(当時)から一部改正通知が出ており、そのときの通知によれば、「受託研究、共同研究からの発明はすべて国が権利を継承すべきものとした」というように書いてあったと記憶している。そうした一部改正通知が出た平成11年の時点において、今回の機関有への転換に関連した意図が既に動いていたのか。 |
△ | 個人有から機関所有への政策転換について、私も必ずしも詳細は存じていないが、科学技術基本計画レベルでその大きな政策転換はなされている。平成8年度の第1次科学技術基本計画の基調としては、いずれにしても大学でできるだけ特許を取ってもらおうではないか、その取った特許はできるだけ社会に移転してもらおうではないかという考え方があった。この考え方は今も変わらないが、それをエンカレッジ(奨励)する手段として、個人所有にするほうがよりそれが進むのか、機関所有にするほうがより進むのかという議論がある。第1次科学技術基本計画のときには、特許をまずたくさん取ってもらわないといけないということで、インセンティブ(誘因)を与えるためには個人所有がいいという議論があった。その結果、従来は機関所有100%のものであっても、50%は個人所有にしようではないかということになった。そうすれば、その特許権が企業に移転されて、商売になってリターンがあった場合、半分は個人に入ってくることになり、それが研究者の特許を取るインセンティブをかき立てるのではないかという考え方が第1次にあった。ところが、第2次のときにはそれを機関有に転換してしまった。やはり個人が特許を持つということは、お金もかかるし、手続も煩瑣であり、結果としてはなかなかうまく移転できないので、移転を速やかにするためには組織がしっかりこの問題を管理しなければだめだということになり、明確な政策転換が第2次基本計画で行われた。そのような流れを各省庁も踏襲しており、今日に至っていると私自身は理解している。 |
○ | 昭和52年の学術審議会答申のときに私はメンバーであったが、先ほど委員が言われたような訴訟に勝てないという話ではないと思われる。もともと特許法第35条においては職務発明ならばそれは国に帰属させる権限が国(使用者)にあるが、その時代の要請で、教官の発明のかなりの部分を個人所有としてきたが、今度は事情が変わったから国に移すことにするというだけのことだと思う。記憶が定かではないが、昭和52年当時は、たしか国会で大学の先生は国の金を使って研究しながら全部自分のポケットに入れているのはけしからないという議論が起こり、それで何とかしようということが発端であったと思う。当時の委員の中では、国の金でやっている以上は国のものだという意見が強かったが、私はそのとき、国に帰属させてもろくなことはないので、なるべく国に帰属させないようにするのが全体のために良いと考えてその努力をした。その結果が審議会答申の文章になったわけであるが、現在の状況は当時と変わってきている。状況は変わっても特許法第35条の範囲内で対応できると私は思っている。これは、理念の問題よりはむしろ社会状況の変化の問題ではないか。この25年の間に、アメリカでも大学の発明は扱いが変わっている。そうした世界の状況も踏まえて変えるのだということでよろしいのではないか。つまりどちらが効率的かという問題で説明がつくと思う。そもそも理念でいくと、問題が難しくなり、まとまりがつかなくなってしまうのではないか。ここで一番問題なのは職務発明の範囲だろうと思う。報告書に職務発明の範囲について案1、案2と書かれているが、この二案のどこが違うのかよくわからない。案2は校費を含まない研究の結果生じたものも職務発明だということになるのか。大学の研究室で研究している以上は必ず校費は使っていると思うので、職務発明の範囲という点から見た場合、案1と案2はどう違うのか。 |
△ | 委員が指摘されているように、案1と案2は対立していないと思われる。案1は、校費や施設を利用している場合は、すべて大学のものだと言い切るということにしており、その例外は果たしてあるのかどうかわからないというぐらい考え得る最大限の範囲が機関に帰属するという考え方である。案2は、まず最大限を書いておき、そこまでの範囲については各大学が決めてくださいという考え方である。案1のように極端な最大限の例を示し、それよりも少し柔らかい範囲で妥当な線を何か書くという考え方もあれば、案2のように具体的にどの線かについては各大学のポリシーに委ねるという考え方もあるのではないかという意味で並べて、例示として書かせていただいている。そうした意味で、書いてみても対立しているとはあまり思えないし、案1が本当に案として成り立つものかどうかも確信が持てないが、話題として書かせていただいている。 |
○ | 確かに案2の大学におけるすべての研究の結果生じた発明という表現は、案1に書いてあることを同義反復したような感じであるが、この考え方が特許法第35条の職務発明であると裁判所において認定することはかなり難しいと思われる。今の状況は、サイエンス(科学)とテクノロジー(技術)の境界がだんだんなくなってきている。典型的な例としてよく言われるカーマーカー特許など研究の結果が即特許要件を備えるような時代になってきているので、研究及び教育が大学における職務だとすれば、その研究の結果生じた発明を職務発明と位置づけることが時代の要請としては仕方がないのではないかと思われる。 |
○ | どこかで線を引くとしても、なかなか引けるものではないであろうが、基本的には今、委員が言われたように割り切るしかないと思う。ただ、最近ビジネスメソッド(方法)特許が出ており、法学部の教授が発明もしかねないという状況がある。これは企業でも同じ問題があると思われるが、社長の運転手さんが何かビジネスメソッドを発明するかもしれず、その発明も職務発明に入るという解釈が裁判所で耐え得るかどうか疑問もある。ビジネスメソッドについては、その辺が心配である。 |
□ | 2.(1)![]() |
○ | 今の話についてであるが、大学の先生と職務発明についていろいろと話をして、大学の先生の感覚がどのようなものであるか聞いてまわったことがある。例えば、生物学教室の先生でゴキブリを研究して20年という方がいて、ゴキブリがある特異な環境下において特異な分泌物を出すということを発見し、それをうまく工業的に生産し、役に立つ物質にして、薬とかいろいろなものにしたとする。ゴキブリの生態を研究して、ある環境下で分泌物を出すことを発見したというところまでは、明確にその先生の研究の範囲であり、職務であるが、工業的にそれを生産するような研究をその次に続けて工業的に生産できるようになったというところはどうであろうかと質問すると、それもやはりその先生の職務ではないかという答が大方の意見であった。そうであれば、今度はその先生が教室でいろいろ黒板に書いたときに黒板を消すのが面倒だから、新しい黒板消しを発明した場合はどうかと質問すると、それは職務ではないという話になったので、やはり職務発明にはある一定の範囲があると思われる。研究、教育に加えて、第三の使命をはっきり書くことによって、第三の使命を果たすための職員の職務として、教職員の職務の範囲も広がりを持つことになると思う。第三の使命というところを明確に位置づけて書くということは、職務発明の範囲を明確にすることに役に立つのではないか。 |
◎ | 教官が兼務をした場合、兼務先での発明は職務発明に当たるのか、それとも当たらないのかについて教えていただきたい。 |
○ | 大学の先生の兼務については考えたことがないが、企業にもそれはあり得る。雇用関係の使用者は一人かもしれないが、特許法第35条における使用者が二人いるということはあってもおかしくない。訴訟になったことがないので、その解釈がどうなるかはわからない。ケース・バイ・ケースだと思うが、両方の使用者に対する職務発明になるかもしれないし、両方の使用者がどういう関係で扱っているかでまた変わるかもしれないし、あるいはどちらのほうに重点が置かれているかによって決まるかもしれない。 |
○ | 企業サイドの話でいえば、今の質問は契約できちんとやっておくことになる。ここでは特許法第35条でいう使用者が2系統あり、給料を払っているという意味での使用者と、あるテーマについての研究のための有形無形の環境を提供している使用者が別にいる中で、ある種の創作行為をやるわけである。兼業先が第35条でいう職務発明の使用者に当たるのかどうかということは事実関係を丹念に見ていったときに本当に該当するのかというところにいきつくであろうが、企業としてはリスクヘッジ(防止策)の意味で、いろいろな環境は契約上作っておくことを当然考えると思う。 |
○ | もちろん契約で決めていることが一番いいと思うが、問題は契約を決める前にどういう法律関係になるかということがまずあり、その上で契約を決めることになる。契約するにしても、個々の教授と企業との契約もあるであろうし、教授の使用先である大学と企業との契約をどうするかということもある。 |
○ | 基本的に機関帰属になるのであれば、企業と大学の間の関係、大学と先生の間の関係をどう作りこむかということになるのではないか。 |
○ | その辺の三者の関係がうまくできていれば、それが一番いいということは当然だと思う。私が考えているのは、その前の法律関係がどうかということである。 |
○ | 何もない状態でどうかということか。 |
○ | あまり参考にならないかもしれないが、逆に企業から大学に出向して発明をした場合、その出向の目的が教育であり、その発明が向こうの先生の下でやったものであれば、企業はその帰属について一切要求しない。ただ、その出向が企業が何か課題を持って、先生の指導の下で研究するということであれば、その研究成果については企業はやはり権利を主張することになる。その目的によって現実にはさばいているので、両方のケースがあり得る。 |
◎ | 多分この問題も知財本部のテーマの一つかもしれない。大学側においても、そのような議論があった。 |
○ | いろいろと議論が進んでいるが、全体的な流れのトーンとして、特許をなるべくたくさん取ってもらい、有効に使えるようにという形で今まで個人有で来たが、現実にそれがうまくいかなかったため、今度は機関有にするという話であると思う。なぜ個人有でうまくなかったのかといえば、個人的な例で申し訳ないが、企業と共願で160件以上の特許を持っているが、その場合はいずれにしても企業は使おうと思ったらいくらでも使えたわけである。多分今までの大学から出ていく特許の場合、企業との共願という場合がかなりたくさんあったと思う。企業は自由に使えたはずであるが、現実にはそれが使えていなかった。それは質が悪かったなどいろいろ問題があったと思われるが、同じことを今度は例えば機関有に変えたとしても、何かをしなければ、それがさらに役立つようにするのは非常に難しい話になるのではないか。機関有にした方がより有効に社会のために役立つ事になるとの、従来とは異なる説得力のあるロジックの構築が必要だと思われる。今度の場合はどのような形で役立つようにするのかということを示すことが必要ではないか。 |
○ | 個人有にしていたときには、生まれてきた研究成果をどう扱うかということは個人の属性に任されていた。企業と組んだときにも、企業がどう考えるかに任されていた。今度は先ほどのハッチェリーやインキュベーションが出てくる前提として組織有になるということであれば、組織としてのある種のウィル(意向)をどのようにそれぞれのテーマについて持つのかということになる。それは評価などがあるので先々の読みは難しくなるが、今まで個人に任せていた部分を第三の使命として、産業への貢献などに大学の成果を使いたいというウィルが入ってくるので、そこについてはそのような考え方でやっていこうというぐらいしか実際には言えないのではないか。企業はそれが使えるか使えないかいろいろな意味で見ており、企業の中で研究開発は、まさに研究開発投資であり、それが当たるか当たらないかは低い確率でしかない。そうしたものを今度の組織有で一元管理して、大学が何か社会的な意味での貢献をやりたいとしたときに、どういう特色を出してくれるのかということについても、この組織有は問われると思われる。組織有に変えて効率性が上がるのかどうかについてはよくわからないが、それはその大学自体が持っているウィルが問われることになるのではないか。 |
○ | 大学というのは知的財産の移転以外にも、社会的な貢献でもっといろいろな活躍をしている。例えば、共同研究や受託研究など企業との間で出入りしていろいろなことをやっている。知的財産を取ってそれをどうするかではなくて、その取る前の段階である共同研究や受託研究の辺りからの問題が非常に大事ではないか。 |
○ | パテント・ポリシーとはそもそもどういうフィロソフィー(原理)で立てるのかということがまずある。知的財産が生まれる前の段階から大学はどのような形でコミット(受託)していきたいのかということが、そのポリシーの中に出るか出ないかが重要である。 |
○ | こうした問題は、産学連携全体を大学全体で一元管理というか、外との窓口もすべて含めて行動をしていかなければ、現実に対応するのは非常に難しいのではないか。 |
○ | 冒頭で知的財産というところだけで切り取れば、全体の流れが見えないと言ったのはそういう意味である。リエゾン活動と切り離して、大学の現状、日本の企業の現状を考えれば、実際には欧米と比べて産業とのつながりが強い大学が多い。ただし、個人的なつながりである。それを組織で対応していくということになると、共同研究も含めたすべての活動がつながってくる。現在は先生方は企業との話し合いで行っているが、それを組織で契約まで持っていくとすれば、かなりドラスティック(抜本的)に組織に権限を与え、ルールをしっかり固めて対応しなければいけない。その場その場で決めていくというビジネスとは違い、国の施策である以上、そういうアドホック(その場かぎり)な物事の決め方では耐えられない。知財大綱にある知財立国になるということは、今まで大学が生産技術で企業のお役に少しだけ立っていたことから、もっとアーリーステージから結果を求めていくことになるということであり、そうした大きなパラダイムシフトの中で大学側の補助からメーンに移っていくことになるので、その辺の構図を示さなければ、逆にこれをマネージングする人にとってのインセンティブがなくなってしまうのではないか。ただのお手伝いではとてもやり切れない仕事になる。産学連携の中の重要な部分だという位置づけをしていただくとわかりやすいと思う。 |
△ | 我々の意識としては、これからの大学は社会の中でまずどうあるべきかということが原点にある。個々の問題は別にして、現在、社会が非常に変化したことによって、大学に対してすごく大きな期待が持たれている。社会貢献という言葉が適当かどうかは別にして、わかりやすく社会貢献という言葉を使うが、この社会貢献は研究だけではなく教育もあると我々は理解している。研究だけでなく教育の産学連携もたくさんある。教育のほうについて見れば、必ずしも大学が産業界のほうに貢献するだけではなく、産業界が大学の教育に貢献するところがたくさん出てきており、インターンを多くの企業で引き受けてもらったり、連携大学院でもいろいろな産業の研究所に入ってきてもらっている。また大学が社会人を受けいれるようになってきていることも教育での貢献といえるかもしれない。一言で言えば、教育も研究も社会に対して大学の能力を発揮するという文脈があり、この文脈の中でまず産学連携があり、その産学連携の中で産業競争力に直結した重要部分として知財という問題があると認識している。そこで、この問題について今までのように個人でアドホックに対応するということでは、大学総体としての能力は発揮できないのではないかということから、組織的な対応が非常に大事だと思われる。産学官連携サミット等の場で、いろいろな経験談を聞いてみても、今日産学連携あるいは知財で成功している一部の大学には三つぐらいキーファクターがあると理解している。一つは、大学として組織で対応している。二つ目には一元管理でワンストップ・サービスで対応していること。三つ目は、産業の現場、企業の現場と濃密なコミュニケーションを持っているということである。この辺が成功している事例になっていると思われる。産学連携における知的財産の位置づけをしっかりしなければいけないと我々も問題意識を持っているので、本日いただいた意見もしっかり踏まえて、もう少し工夫した書き方をしたいと思っている。 |
◎ | 組織として大学がこれから対応するということが今ここで求められているということは、ぜひしっかり書いて、その方向に持っていきたいと我々も思っている。それからもう一つは、現在非常に活発に動いている研究者の方を今までのように平均値に合わせないようにし、そのアクティビティ(活動)をこの一元管理や機関有でディスカレッジ(思いとどまらせる)しないようにしなければならない。小さいベンチャーが発展し、日本の産業を本当に支えるようになるまでにはまだまだ時間がかかるので、現在そうした活動を支えている人たちのアクティビティを下げないような制度設計をしていかなければならない。ただし、それぞれの大学、それぞれの先生は多様に動いており、一つのパターンではそれは律せられないので、自由度を持たせるような書き方についても検討する必要があると思う。職務発明という定義は非常に難しいようであるが、大学の一元管理や組織として対応するためには、大学でどのような発明がなされているかという情報管理が必要だと思われる。そうした意味での一元管理と、それからそれをどうやって運用するかということはまた少し違うので、その辺をうまく整理して、説得力のある案を作らなければならない。それでは、残りの時間で、報告書骨子案の5ページの部分について検討していただきたい。 |
○ | 当然機関有にしようとすれば、届出の義務が何らかの形で出てくることになる。ドイツの場合、たしか3カ月前に報告する義務があったかと思うが、現実に教育の現場に立ち返ってそれを当てはめようとするとき、例えば1カ月前とか3カ月となったときに、いろいろな問題が起きると思われる。この報告の義務についてはなかなか現場で受け入れられない可能性が出てくるのではないか。例えば、ドクターコースの学生が研究室に入って、その学生が関与した研究について特許が出てくるような場合が結構あると思われる。現実に学生が博士号を取るまでの例を申し上げれば、3年で学位を取得するとして、大学や研究科により異なるが、一般的には3年次の11月の時点までに論文が3本あることが学位取得の必須条件であり、3年次の12月の初めに博士論文を発表し、12月の終わりに印刷したものを出さなければならないというスケジュールになる。この場合、研究を始めて現実的には2年半弱で学位取得の基礎となる学術誌に掲載された論文3編を確保する必要があるが、発明の報告の義務づけによって、研究成果を論文として発表するのに、1カ月、2カ月(実際に特許を申請することになると、更に1、2カ月)ストップがかかり、学生は学術誌への論文投稿をその期間待つ必要に迫られ、最悪の場合は、十分な研究成果は出ているにもかかわらず学位が取得できない事が起こり得ることになり、多くの人々が困惑する事態が生じる。 |
○ | 「大学における研究の結果生じたすべての発明についての届出を徹底」とあるが、発明をした人がこれが発明だと思えば全部届け出なければならないということになれば、特許にならなくても発明ということになり、細かい発明ばかり出てきて書類ばかり増えてしまう可能性もある。原則的には特許出願しようとする発明についてということだと思うが、研究者の側にとっては特許出願すべきかどうかわからない案件でも、技術移転の専門家などから見れば、これは出願すべきだというようなケースもあり得る。発表する前にその発表する内容について届け出るというようなことも一つの運用の仕方ではないかと思われるが、それでも今言われたような論文発表や学位取得の要件との関係などの問題があるので、すべての発明について届け出るということは、表現の問題を含めて広げ過ぎではないかと思う。 |
□ | 骨子の関係で事務局と相談させていただいたこともあり、少し解説させていただきたい。大学での発明届出の徹底については、何回か文科省の答申でも今まで出ているが、大学の現場においては必ずしも徹底されていないということがあり、そうした意味で、情報管理の一元化の前提になるような届出の徹底という趣旨でここに入れたということが一つの背景としてある。その表現や対象の範囲については、これからの議論になると思う。論文発表との関係については、後のほうの7ページに出てくる技術情報の取扱いにおいて、論文発表しようとすることと特許出願しようとすることをどう考えるかについて触れている。今議論していただいている5ページの表現は、これまでの大学内での発明届出の徹底を基本的になぞって、さらにもう一回強調したという意図である。 |
○ | これは企業から見れば当たり前のことである。ところが、大学で見た場合、一体何をそもそも特許出願しようとするのかということについて研究者一人一人がわかっていないために多分できないと思われる。企業であれば、特許部門に届出をし、その特許部門が組織として一元的に判断することになっており、その前提として職務に関わるものについては企業であるのでプロフィット(利益)のためにとりあえずいろいろな情報を含めて出さなければならないことになっている。大学の場合、研究そのものの多様性と、産業貢献という意味においてどういう基準を設けていくのかということを整理した上で手続論について検討しなければ、この表現だけでは現場がいろいろな意味で混乱するのではないか。 |
◎ | 大学の教官自体が対応できないルールではうまくいかないと思われるので、その辺をどう設定するかということが重要である。また、多分知財本部みたいなものに力がついていけば、教官のほうから、この発明は特許になるのかということを聞きに来るようになると思われる。その環境を醸し出すまでにはこれから時間がかかるわけであり、最初からそれを全部行うのは無理であるので、いずれにしろ教官の意思に任せなければいけない。8月末にドイツの大学に行く機会があったので、機関有に転換された特許の現状について、産業化に熱心な先生に話を聞いたところ、法人機関有のシステムは全く動いていないというような話であった。大きい大学はきちんとしたTLOなどの組織が備わっていて対応できるが、TLOの全くないような機関では法律だけ作っても無理であるという話であった。日本の場合も、TLOなどを既に用意して、その対応ができている大学と他の大学との間に温度差が随分あるのではないか。届出徹底への対応も含めて、全体の制度化もしていかなければならないと思う。 |
○ | この規定を仮に作ったとしても、おそらく罰則規定はつかないと思われる。そうであれば、なるようにしかならない。現在でも要件に当てはまるものは全部出すということになっているが、現実には出していないものも多い。なぜならば、発明が発明委員会に出てくると、労務だけが増えて管理はできないというのが現状であるからである。逆に言えば、これはきちんとした管理システムがあり、その中の職員が教授のところへ御用聞きに行き(うまくコーディネートをし)、いろいろ相談することができるようになれば、うまく機能するということになるのではないか。そうした組織の体制の話であり、条文上の表現ではどうにもならないと思う。 |
○ | 全くそのとおりである。当大学の場合、その点をメインターゲットにして、十五、六人のコーディネーターが先生方をずっと回っていき一対一でヒヤリングをするということをした。その結果、罰則規定を設けずとも、毎年20件ぐらいしか出てこなかった発明の届出が年間300件近く出るようになった。これによって、先生方は非常にポジティブ(積極的)な考え方をしており、相談相手さえきちんと手当すれば、かなりポジティブに反応してくれるということについて自信を持つことができた。 |
◎ | 5ページの一番下に学生の発明の取扱いについて触れているが、研究室の中において学生単独の特許がどれだけ出るのかという疑問がある。学生が教官と一緒の特許に対して学生をどうするかという取扱いと、ここに書かれている学生単独の特許に対してどうするかという話は少し違うと思われる。研究室の発明のほとんどは指導教官の方針に関わるものであり、実例においてもほとんどが教官と一緒の発明である。ここは逆にマイノリティである学生単独の発明の話がかなり大きく書かれ過ぎているのではないか。 |
○ | 教官の指導の中から出てきた発明において、発明者の一人として学生の名前もついているという場合がほとんどだと思う。 |
○ | 確かに学生が発明者として名を連ねることはそんなに多くない。教員の発明をいろいろ現場で取り扱っていると、先生方が一番気にすることは、一緒に実験をしている卒論の学生や院生がおり、その発明を出願する際に学生をどうするかということである。そのときに、単なるお手伝いなどは発明者にならないといった基本的な考え方を説明して、大学の先生に学生は発明者ではないということについて納得してもらい、その先生だけが発明者という形になるケースが結構ある。結局この問題は、現場できちんと発明者は誰かということについて、その場で最終的に議論しておくことが一番重要ではないか。 |
◎ | 私が今問題にしたのは、この報告書の中での取り上げ方についてである。今言われた、学生も発明者である場合のケースをもちろん取り上げる必要がある。ただ、この報告書において、学生も発明者の場合と学生がメインの発明者である場合の取扱いについて別個に書く必要があるのかということである。 |
○ | 学生の件で気になることが別にある。例えば、マスターを経てドクターになる場合、あしかけ6年はその研究室にいることになる。6年もいれば、そこの研究室でどのようなコンセプト(概念)で将来に向けて研究をしているのかということをほとんど知ることができる。その学生たちが大学の外に出ていった場合、それらの重要な情報が全てあからさまになることが起こりえる。その辺のことを、守秘義務になるのかも知れないが、どう処理するかは非常に難しい話である。 |
□ | 学生が研究室の中で知った情報については、教育との関係も含めて、必ずしも法律上の特許権等とは違うと思われる。それについては、7ページにある技術情報等の扱い方について先生方に議論していただく部分ではないかと思う。また、主査の指摘についてであるが、今回の案では「学生の発明」と書いたところであるが、これは学生単独というよりは、先生との共同発明における学生の寄与分をどう扱うかというつもりで書いたものである。 |
◎ | 少なくとも今の発明委員会の規定では、教官しか出せないことになっているので、学生の発明も教官が連名して出すという形になっている。学生が関わっている発明は発明委員会に上がってきて一元管理されているという形が現状であるので、この報告書に新たに書いたのは、逆に学生だけの発明をどうするかということかと読みとった次第である。本日はいろいろと議論をしていただき、まだ残っている部分があるが、いかに大学でうまく継続して活性度をより高くしながら運用できるルール作りをするかということに収斂されつつあるのではないかと思う。 |
△ | 本日も非常に具体的な事例について、現に起こっていることや、まさに起こりそうなことを基にして議論していただいたが、今後も是非そうした議論をしていただきたい。我々は現場をサポートする立場として実務的なものをしっかり作っていきたいと思っており、単に大学のほうにこうしてもらいたいというような注文をつけるだけではなく、やるべきことはやらなければいけないということで、来年度の概算要求では先ほど申し上げた知的財産本部のようなことを考えている。例えばそうした新しい組織なり施策の在り方論について、この場で注文をつけていただいても結構であるので、15年度の施策の問題に限らず、大学の中で新たにこうした組織的なしっかりした対応をするために追加的に役所としてやるべきことがあれば、それについても議論していただきたい。 |
5. | 今後の日程 |
次回は9月中旬に開催する予定とし、各委員との日程調整の上、事務局から改めて連絡することとされた。 |
(文責:研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)
(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)