知的基盤整備委員会(第18回) 議事録

1.日時

平成19年5月24日(木曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省 10階 研究振興局会議室

3.議題

  1. 知的基盤整備計画の見直しについて
  2. その他

4.出席者

委員

 澤岡、石田、岩田、大川、大野、小幡、小原、齋藤、豊則、二瓶、根岸、藤田、松尾、御園生 各委員

文部科学省

 佐野研究環境・産業連携課長、上田研究環境・産業連携課長補佐

オブザーバー

 吉田経済産業省知的基盤課長

5.議事録

(事務局より資料を基に説明の後、質疑)

【委員】
 前回の最後、中核的なセンターというものがどういうものか、分野によって理解が違っているため、整理がつかなかった。今回、バイオ関係がずいぶん登場しているようだが、それぞれの分野に議論があったように記憶している。ナショナルバイオリソースプロジェクト(以下NBRP)の中の中核的な機関を今回選ばれたという話は分かったが、我が国全体として生物関係の知的基盤の中核的なセンターがNBRPということにはならないのではないか。
 前回の議論の中でどう整理して、どの部分をどこが担うかということはなかなか結論が出ないまま、中断してしまったように思っているが、今いわれたのは、NBRPの中の組織をどうするかという話だった。生物関係の知的基盤全体の図がどういう絵になるかという話は、つまりエンディングのままということなのか。

【事務局】
 NBRPのみではない。前回、横軸の遺伝子、微生物、細胞、植物、といった観点からそれぞれ代表的な機関を選んではどうかということで事務局としてお諮りして、さまざまな議論があったことである。
 一方、縦軸と横軸で整理していて、こういったそれぞれの生物遺伝資源があった上で、その基礎基盤というものを担う機関等、当然政策目的にも合致した上で進めている。その中の1つとして、基礎基盤を担う中核的な機関としてふさわしいのではないかと考えているNBRP採択機関である。去年の議論では中核的な機関は少なくとも研究用材料と計量標準、この2つについて必要だろうという議論であり、これは昨年、お諮りしていたものと変更ないが、我が国の国家計量標準機関である産総研、こちらを中核的な役割を担う機関として位置づけるといったことで整理しているし、当然ご議論を踏まえて、修正が必要であれば当然検討したいと思う。

【委員】
 政府全体が科学技術・学術審議会を受けて各省連携でやっていて、また知的基盤の各省連携の中核になるのはこの委員会なので、私どもも大変重視している。経済産業省自身も知的基盤計画というのも持っているけれども、それもこの委員会での議論を参考にさせていただきながら昨年、見直しをさせていただいた。
 その中で1点だけ申し上げたいことは、この参考資料4と今日の議題にかかっている24ページの表5は若干の違いがあり、私どものバイオを担当している課とも相談したけれども、前回も議論があったように、ある程度包括的な機能を有するということが世界的にも期待されているのではないか、つまり参考資料4のところまでは、関係府省も含めてコンセンサスがあるのだと思うが、この24ページの表のように翻訳していいかどうかということについては引き続き調整をさせていただきたいと思う。
 基礎基盤のところに経済産業省の例えば製品評価技術基盤機構のものを入れてほしい、そういう議論はあったが、参考資料4を変えるつもりはなく、考資料4と24ページの差のところだけである。

【委員】
 私自身は自分の研究所の名前が出るので若干戸惑っているところがあるが、参考資料4は予算案のためで、すべてプロジェクトや事業や運営費交付金ということですよね。こちらは中核的機関ということを何か書けということでこういうことになったのではないかと想像している。そのときに去年の議論ではNBRP、これは基礎基盤の集大成であり、しかもそこに参画するのは機関として応募をして、機関として責任を持ってやってもらうということになっているので、NBRP採択機関ということになれば、それでいいのではないか。リソースによってかなり違うことがあって、一方的に大きなものをつくればいいというところがあれば、やはり小さなものから育てていかなければいけないという両方あって、それはバランスだと思う。最終的にはもちろんある程度大きくなった方がいいと思うが、そうではないところもある。

【委員】
 今おっしゃったことについては全く否定することはないが24ページの表5のタイトルは「中核的な役割を担う機関」なので、それがこれまでの議論とどうなのかなということで調整させていただきたいだけである。

【委員】
 ここは何とかして合意しましょうという表なのでやはり機関を書かざるを得ないのではないか。採択機関群ということでも1つの言い方だが、プロジェクトではちょっと話が。

【主査】
 さまざまな次元でまとまったものが入ってしまっているという意味で参考資料4の方が社会常識からいったら変な資料だなという気はしないでもないが、これは総合科学技術会議が決めたものである。だからこれと24ページの表5の間の整合性を省庁間で上手に調整していただきたい。

【委員】
 そういう意味では責任を持てない部分があるが、生物資源の知的基盤自身がかなり未熟なところがあって、全然バラバラに進んでいるように思える。このNBRPはずいぶん頑張っているが、その間の連携がうまくいっていないのが実は問題で、だからナショナルレベルでそれをよくするためにこれを契機にいろいろな連携をやっていただくのは非常にいいと個人的には思っている。現実には現場レベルではいろいろな連携をやらせていただいて、だから、軋轢が起こるようなことではなく、主査がおっしゃるようにうまく整理していただくと非常に前向きにベクトルがそろう可能性のある世界ではないかと私は思っているのでそのように文部科学省の方もお力添えをいただきたいが、現場サイドからするとてんでバラバラなので非常に困っているのではないかとも思う。また研究中心の基盤の方は提供に手間をかけるのは大変なので、そういう意味での連携もおそらく役割分担できるというふうに我々は考えている。

【事務局】
 今後のスケジュールでご説明するが、経済産業省を含めある程度ご意見はいただいたが、引き続き来月までには各省調整の協議もちゃんと整えたいと思う。

【委員】
 参考資料4は総合科学技術会議が考えたグランドデザインだと思う。そこの調整をきちっとやらなければいけないし、それがバランスよくデザインされてこそ、本当の知的基盤だと思うので、その出発点としてこれが提示されたと考えた方がいいと思う。
 それに対応する中身、表5もその一部だと思うが、それが基本的にグランドデザインを実施する母体だし、それをちゃんとやってくれる人がいないといけないので、そういう人たちがそれなりに評価されるように、そういう責任を持って具体化するための1つのステップとして別の表にした方がいいかなと私は思う。
 表5に相当するところは、ここに入っておられない方もたくさんおられると思うので、そういう方にも出していっていただいて、その中から本当の日本の連携というのを考えた方がいいし、それでこそ中核機関も働きやすくなると思う。グランドデザインとインプリメンテーションのところはしっかり考え方を分けて進めていった方がいい。

【主査】
 24ページの一番上に遺伝学研究所と書いてあるからここがプロジェクトを、仕切っているのかと思うと、先頭に書いてあるだけでそうではない。

【委員】
 あくまでも文科省のプロジェクトなのでそれをどこが仕切るとかそういう話はない。ただ、これは歴史があって、大学の中でのいわゆる生物遺伝資源というのは小さなものがたくさんあって、それを少しまとめてきたのは遺伝学研究所がやっていることは事実であるがプロジェクトとは少し違う性質である。最初の案は、この一番上のところに24機関をずらずらと書くというのはいくらなんでも格好が悪いので、一番見える形で情報を整理しているからということで書かれたのではないかと想像している。

【委員】
 もう一歩それを進めたらいいというのは、岩田委員のご意見だが私も同じ意見だ。今、一番上だけ議論しているが、生物資源として全体の連携をどこかで考えないといけないのではないかということを申し上げている。私が前回危惧したのは、ほかの分野が大体1分野1ないし2機関であって、生物系資源もそういうニュアンスがあったように記憶している。無理矢理この中で1つを選んで全体ということになることは好ましくないなと思う。

【委員】
 25ページの、赤い字で最後の方に「府省連絡会」というのがある。中核的機関連絡会とかいろいろなものが動いて、それの連携の試みは何回もしているが、今いったような問題があってあまり進んでいない。

【委員】
 この府省連絡会というのは役所間の連絡会で、現場でも生物遺伝資源の難しいところで多種多様であり、1か所に集めるというのは不可能だと思う。連携しながら分担することによって我が国のリソース整備、知的基盤を整備する必要があって、そこをどうやったら進めていけるかという努力が今後必要なのではないかと考えている。キーワードは連携と分担、その仕組みを両輪でやっていく必要があると私は思う。

【委員】
 ひとつ報告書の中で将来的に考えていかなくてはいけないのは、中核的機関をつくるというのはおそらく恒常的にこういうのを把握、維持していかなくてはいけないことなので、そこの部分をどうするかというのをこの中に何か一言入っていただけるといいと思う。

【主査】
 プロジェクト終わりで、それでさよならでは本当に大変なことになる。

〈資料2、表3-3の輸入品の表についての質問と説明〉

【委員】
 この数字は市場規模が非常に分かりやすいが、そろそろ評価の仕方を変えたらどうだろうかと思う。いろいろなレベルがあると思うので、使っている回数、質、数、クオリティー、インパクト、国際的にどれだけパワーを発揮できるかなど、透明性、客観性、それから説得力のある評価基準で実施されたりして、その中から本当の日本の社会にとっていい整備の仕方(指標)をつくるといったことを、それぞれのところでご提案いただき、最終的にそれを比較検討してベストなやり方を決めるというふうにした方がいい。お役所の中で上から全部評価しようとしますと、どうしても件数だけでいってしまいますので、もうちょっと質的なところを一種の専門家の方と緊密に連携を図りながらしていったらどうかと思う。

【主査】
 そこまでは大賛成だが、具体的にという各論に入ったときに分野ごとにずいぶん考え方が違うと思います。どこかでモデルをつくって1つお手本が出てくるといい。

【委員】
 それぞれ実際どういうインパクトがあったかとか、かなり戦略的によくデザインされているようなところがあるので、アメリカだけではなく、いろいろな国の評価の仕方や知的基盤の整備の仕方の進め方みたいなものを理解して、日本として本当に外に対してこれだけすばらしい評価の仕方で進めているというのをいえるぐらいのレベルにまで高める必要があると思っている。例えばデータベースでも別にためておく必要のないデータもあるので、それはもうちょっと柔らかく、それぞれの状況に応じて適切なやり方を、それぞれの専門性を持ってきちっと正直にいっていくというのは大事だと思う。

【事務局】
 先生ご指摘の点はまさにそのとおりで、単純に量だけ提示すればいいというものではさすがになくなっているといったことは考えていて、後ろの方の参考についている戦略目標の方にも今回赤字で書いてあるところに括弧書きで提供数を書いたように、何とか目標設定できないかといったことを書いてある。
 今後もフォローアップは必要であるし、こちらの委員会でも中核的な機関からの提言といったものを聞いていき、こういった指標をいいものにしていきたい。

【委員】
 科学技術基本計画の中で総額67兆円使っていると思うが、社会に対して責任を果たす為にも、大野さんのSpring-8に大勢の人が幾らでも使いやすいように、鮮度があって大勢のサイエンティストが興味を持つ、それなりの目玉を幾つかサンプルできちっと出す方が大事だと思っている。

【主査】
 今のようなことを目に見える形でデータベースをつくって世の中に出すというのは、この整備委員会の仕事を考えたときに、この場が最適か。それともそういうことをやるべき任務のところがほかにあるのか。

【委員】
 社会のいろいろなレベルで興味を持っておられる方とか、使った方がいい方のところへどう発信するか、もう1つは日本のブランドイメージをどうやって高めるかというのもこの知的基盤の非常に大事な話なので、そのためには英語、いわゆる国際レベルでの情報発信を本気でやらないと、ただでさえ沈み込みつつありますので、それを何とかしないといけない。どこまでできるか分からないが、学術会議で議論させていただいて、できれば来年のG8にそれなりにインプットできれば一番ラッキーだ。

【委員】
 今、岩田先生がいわれたことはもっともで、ここに上がっているものは知的基盤の基盤たる所以のところをきちっと説明できるようにしておく必要がある。この書き方だと欧米と比べてですから、そうではなくてそこにある種の戦略性というものが必要で、ちょっと細かい分野別の戦略書が要るのではないか。

【委員】
 その件で、例えばコメの種があるとすると、日本がこれからコメを食べていくためにどれだけの種があればいいなど、むしろ日々の飯の種に関係した話につなげていったり、それ以外の本当の社会に還元するような部分を他分野の方が分かりやすく説明されると、それは大事だとみんなサポートするような気がする。やはり数だけだと国の委員会いう感じがしない。

【委員】
 DNAシーケンサーやNMRなど新たに追加していただいたこの2つが先細りになっているように見える。医療機械にしても今の世の中で旬の時代が終わって、次の世代に乗り換えようとしているものがたまたまここに出てきてしまったから、こういうふうに見えているのではないかと思う。これも先ほどの岩田先生がいわれた評価方法と絡めれば点数が少ないから悪いということではなくて、実は非常に役に立ってこういうのがあるといったことが見えていれば、別に数値的に下がっているということは大きな問題ではない。したがってもう少し適正な範疇で、例えば医療機械全体で機械を見てみるとかいうような見方があっていいのではないかと思う。

【委員】
 その点に関して、私も次のことを育てるということが重要なんだということを主張するある種根拠にもなり得ると思う。次の伸びゆくものの数字をまた入れ込んでいくような主張があっても非常に分かりやすいかなと感じていた。

【委員】
 これはヒトゲノム終了ということで、もうゲノムはいいという時代に一旦なったんですが、実はこの少し前からアメリカでは1,000ドルヒトゲノム、1桁ではなくて何桁も速いものをつくろうという新しい限界突破のことが行われており、今年からもう上市されている。桁が全然違いますから全く新しいサイエンスが生じている。そういうことが実は外国では起こっていて、それがバーンと上がってくる。これは下がっているがそういうことが実はあって、ケーススタディーとして、もしうまく書けるのだったら知的基盤を上げるためにはいいのかなと思った。

【委員】
 そういう意味では、将来有望で推進すべき機器や方式まで含めてこの手のものはということにしていかないと、戦略性を持ったものになりにくいのではないかと思う。

【委員】
 アメリカはアメリカで表面に見えている、使えるデータだけではなくて、いろいろなことを考えながら、それなりのやり方をやっていると思う。日本は近隣とそれなりの協力をしながら、北朝鮮やロシアなど非常に微妙なところの資源等も含めて、長期戦略をきちっと立てるための知的基盤をちゃんと位置づけて、それはむしろ外にオープンにしないできちっとやるようなところが必要だ。

【委員】
 知的基盤が重要であるということは第3期科学技術基本計画にも書かれているが、具体的な戦略、要するに第3期科学技術基本計画で書かれていることをどうやって実現していくのかということは最も重要だと思う。それはここのどこに書いてあるのか。

【事務局】
 第3期計画の中の推進の1つの大きな特徴として、戦略重点科学技術をこの5年間で集中投資していこうということが既に第3期基本計画に書かれてある。このライフサイエンスの基盤整備や、先端計測についても戦略重点科学技術に位置づけられていて、これはある意味、この5年間の1つの方向性だと考えている。この報告書では17ページ以降に知的基盤整備のあり方といったことで、この動き全体をまずとらまえて、基本計画を抜粋させていただいた上、18ページに整理の重点化を書いてある。これを踏まえて、19ページ目以降になるが、それぞれ戦略重点科学技術として位置づけられたものを改めて整理させていただき、こういったものを推進していこうといった方向性でまとめてある。先ほどから根岸委員からもご指摘いただいているが、事務局としても、それぞれの領域ごとに細かい戦略があると思っている。例えばこの計測機器についてはこの委員会の下部組織に先端計測技術機器開発小委員会というものを設けていて、そこで事細かにどういった方向で投資していくかということを議論されるわけである。
 こういった状況はそれぞれの領域であるので、私どもは全体でこういう方向で推進していこうというこの報告書にどこまで細かく盛り込むかというのはいつも頭を悩ませながら考えている、それが実は現状である。

〈資料3、4に基づき今後のスケジュール、運営規則の説明〉

【主査】
 以上のような進め方で次回6月19日と21日の間の皆様のご都合を伺った上で早急に開催のご案内をさせていただきます。今日はたくさんご意見をいただきまして、どれだけどのように盛り込めるか、大変苦労されると思いますが、事務局の方でよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

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研究振興局研究環境・産業連携課

(研究振興局研究環境・産業連携課)