知的基盤整備委員会(第17回) 議事録

1.日時

平成18年7月14日(金曜日) 16時~18時10分

2.場所

三菱ビル9階 964、965会議室

3.出席者

委員

 澤岡、漆原、岡、奥野、久保田、黒木、合志、小原、齋藤、二瓶(正)、二瓶(好)、根岸、藤田、松尾、御園生各委員

文部科学省

 佐野研究環境・産業連携課長、堀内研究環境・産業連携課企画官、上田研究環境・産業連携課課長補佐、宇野科学技術・学術調査員、佐藤知的基盤整備係

オブザーバー

 吉田経済産業省産業技術環境局知的基盤課長

4.議事録

(◎:主査 ○:委員等 △:事務局の発言)

知的基盤整備計画改定案について

(知的基盤整備計画改定案につき事務局より資料を基に説明の後、各論点ごとに質疑)


[論点1] 第2章成果と課題

 2005年度のフォローアップとして、知的基盤は順調に整備されていること、知的基盤を整備している機関においても体制の構築が進んでいる。
 その結果として、これまでの流れに従いつつ適切な情報提供等により、より質の高い知的基盤整備を目指す体制を構築することが重要である。

委員等
 5年間で整備がすすんだと書いてあるが、なぜ進んだのかについて、一歩踏み込んだ記述が必要である。

事務局
 たとえば生物遺伝資源については文部科学省のナショナルバイオリソースプロジェクトがあり、他方、製品評価技術基盤機構では微生物の整備がかなり進んでいる。計量標準は産総研で整備が進んでおり、計測方法・機器は今後新しい計測機器の開発が進んでそれが市場化すると挽回するのではないかと考えている。

主査
 物理標準が5年間で3倍になっているが、この解説をお願いしたい。

委員等
 産総研では目標にそって年度計画で開発を進めており、民間の力なども借りているが、数値的にはそのとおりである。

委員等
 経済産業省配付資料中、経済産業省関係の知的基盤整備目標の平成18年度見直し(案)中に記載がある

主査
 埋もれていたものが見つかったから数が増えただけではなく、努力の結果であるという指摘があったが、13ページの記載については、整備状況が良くなったといってよいか。

委員等
 計測分野ではまだ途上である。力を入れ始めたからといってすぐに成果として現れる分野ではない。体制整備に向けて大きな努力をしているのは事実であるが、成果を上げたという表現でひと括りにされることに計測分野はなじまない。

委員等
 うまくいった点と残った問題、課題を書き込んでおくのがよい。以前の委員会で提出された資料ではバイオ関連の測定機器に関しては状態が悪いという書きぶりであったし、アンケート結果も知的基盤の整備体制について各研究機関や大学などでは不十分というまとめであったと記憶しているので、最後の5行は簡単すぎると思う。

委員等
 お二人の意見に賛成である。計測方法・機器については時間のかかる分野であることを考えると、記述が楽観的すぎる。他の部分に関しても、これまでの議論をふまえると、もう少し細かく区分するのがよいとおもう。

委員等
 いつも議論になることだが、生物資源にしても数字が把握しがたい。たとえばシロイヌナズナの整備数が大幅に違っている。またアンケートにしても論理的ではない。2001年の計画はそもそも知的基盤整備すらなかったところでそれが大事といっている点でよかった。今回は、見直しということであれば、この5年間でどういう変化があったのかがわかる形にする必要がある。ここにあげられたデータだけをみて、よくなったと単純には言えない。知的基盤は続けていってこそ5年10年先に成果がでること、さらにどう利用されたかが重要なので、そこに向けた展開にしなければならない。

委員等
 3ページと4ページで数字が大分違うものがある。

事務局
 13ページの記述に関して、これまで良好に整備されてきてはいるが、まだ現時点では不十分であるという趣旨にかえさせていただく。計測方法・機器については、特にまだ進めるべき点が見られるという記述に変更する。

主査
 この5年間の成果を記述することはいいと思うが、そうでない部分もある。もう少しがんばればすごいことになるという前向きな表現のほうがよいので、デリケートな表現を工夫していただきたい。

委員等
 データがたくさん示されているからこそ、逆に揚げ足を取られるのではないかという気がする。たとえば機器に関して、DNAシーケンサーがほとんど外国だという話があったが、それが抜けて違いがわからない。そこがはっきりよくなっているということであればいいが、これだけではわからない。計画書の構成がまずい。

事務局
 予算の編成期間中にこのレポートを出すことが適切という考え方のもと、現時点で書けるだけのものを書いて各省に働きかけつつ、できるだけ知的基盤の整備を推進していきたい。宿題や不明点が残るかもしれないが、今の時点のベストということでこのレポートをまとめていただきたい。

主査
 主に来年度の概算要求に使われるが、来年度以降長期的に拘束を受けないのか

事務局
 5年間の計画なので、参照されることになる。

委員等
 本質的に時間を要するものとそうでないものをひとつの表現でくくるのは、やはり無理がある。性質の異なるものは別々に表現したほうが正確な情報が伝わるし、整備の目標を達成したのだから予算はもう必要ないだろうというような判断材料にされなくてもすむと思う。

[論点2] 知的基盤の戦略的な重点整備

 第3期科学技術基本計画が策定され、効果的・効率的な科学技術の政策の推進という観点から、分野別推進戦略による重点化の考えにシフトさせる。
 そのために、分野別推進戦略の重要な研究課題と戦略重点科学技術の知的基盤に特に関連する部分について、知的基盤整備計画における4領域(研究用材料、計量標準、計測方法・機器等、データベース)における重点を案のとおりとすること。

委員等
 2001年度の10年計画を置き換えるのか、それともそれに付け加えて第三期基本計画にのっとって重点的に追加するということなのか。

事務局
 前の計画の考え方を踏襲することが前提で、この報告書の中で追加的に書いてあることをやる。特に質的な面から向上を図っていくことを書く。

委員等
 第三期基本計画の重点施策を整理したものということであれば分かるが、従来からの重点施策も含めるのであればこのままでは不十分である。17ページ(2)の4領域における重点については、あくまでも第三期基本計画に従って追加的、重点的に整備すべきことを記述したと明記する必要がある。そうでないとここに書かれているものだけが重点的に整備すべきと理解されてしまう懸念がある。

委員等
 普通に読むと、重点化というのは重点であり、他はやらないというのが、この種のスタイルの文言だとおもう。そうではないのであれば何か補足しなければ問題がある。

委員等
 報告書には、知的基盤が将来どういう形になるべきというビジョンを書くべき。今後5年間を拘束し、わが国全体の知的基盤の方向性を左右する文章であるので、どこが遅れていてどこに力を入れるべきということも工夫して書くべきだと思う。

[論点3] 効率的な整備・利用を促進するための体制整備

 2005年までの量的観点については、順調な推移を示していることに鑑み、本計画では参考まで2010年目標を付して、これまでどおり整備を進めていくことが、より効率的に整備を推進していくため関係諸機関の連携を図ること、利用者ニーズを踏まえた価値の高い情報を提供できる体制を構築し利用が効果的に行われるようにすることが重要であるとすること。

委員等
 知的基盤として整備したものをどうフィードバックして還元していくかまで踏み込む必要がある。コスト負担についても少し検討を始めるなど、ふれておく必要がある。

委員等
 「これまでの方針にしたがって」とあるが、それが何かはっきりしていない。また整備について、整備を効率化するためにはまとめたほうがよいという議論があるが、利用となるとリソースによってちがっているため、学会、産業界他の利用の方法を考えると組織形態も違ってくる。整備だけではなく利用についても重要なので検討いただきたい。

委員等
 基盤の整備は手段にすぎず、提供され利用されてはじめて意味があるというメッセージを出していく必要がある。

[論点4]

  • 研究用材料
     各省庁の希望聴取をもとにあげている、中核的な役割を担う機関(案)について記述すること。
  • 中核的な役割を担う機関に求められる役割
     研究用材料における関係諸機関との連携、知的基盤の所在や技術情報の集積等の役割とすること。
  • 基本的な推進方針の検討
     中核的な役割を担う機関が連携を図っていくための協議

委員等
 中核的な役割を担う機関について、前回議論からの経過を教えていただきたい。

事務局
 各省庁に問い合わせて、中核的な役割を担う機関として適切だとおもわれるところを回答いただいて記述している。

委員等
 分類に関してかなり違うと思う。各省からあがってきたものが妥当かどうか判断しないといけない。たとえば、微生物といっても病原微生物もあればそれ以外のさまざまなものがあり、目的別にミッションもちがう。きめの細かい議論があった上で決定されるべきである。植物もひとまとめになっているがブレイクダウンするほうがよい。逆に、ミッションをきちんとした上で、その中に微生物や動物があり、もう一段分類が分かれている必要がある。また生物遺伝資源をもっている方は意欲、やりがいをもってやっているからこそよいものができるわけだが、まとめてしまっては、代表になったところはいいが、ならなかったところはディスカレッジされる。それぞれのミッションはきちんとあげる必要があるが、それをだしてもらった上で、生き物に関してはここがきちんと責任をもってくださいと支援するなどの形にしないといけない。この表が一人歩きするのはまずい。もう少し工夫しないとつぶしてしまうことになりかねない。

委員等
 知的基盤整備をやってきた中で、どこが一番中核機関として相応しいかを評価したものが出ないといけない。単に省庁に問い合わせて出てきたものを並べるというのは縦割り行政の弊害。これまでの成果、評価に基づき中核的な機関をこちらが選ぶという態度が必要。

委員等
 これらの中核機関はすでに説明のあったことはすでにやっている。それを改めて書く必要はないと思うが、改めて書く理由は何か。

事務局
 基本的な考え方として、現在やっている機関をエンカレッジしたいということがある。この報告書に書くことでできるだけ財政的その他の支援を受けて目標達成に向かっていただきたいということがある。重なりがあるのではないかという点について、たしかにそのとおりであるが、ひとつにはすぐにはどこに1箇所ときめられないということと、連携をきちんと強調することによってむだがないよう効率的に整備していくという考え方を強調することがある。心配事項については連携や情報提供、ユーザーニーズをきちんととらえてやっていくことなどによって説明していければと考えている。

委員等
 将来生物系の資源に関する知的基盤は相当大きなものになるわけで、今はまだ初めのところにいる。どういう方向性をもってどういう体制で進めばよいゴールに向かうことができ、そして、その過程でこの知的基盤がどのように活用されるべきかについて、もう少し具体的に書いていただきたい。

主査
 問題は2つあり、1つはこの中核的機関の分類が一人歩きすると誤解を与える便宜的な分類であるため、整理しなおすかどうかという問題、もうひとつは機関名を並べる必要性があるとすれば、工夫のしようがあるかどうかということである。

事務局
 事務局としてこの案が現時点でのベストである。ある程度中核的な機関を絞って、どこかに大きな役割を集中していくようなことをやる場合にはもう少し時間がかかる。19年度の予算編成に生かすためには、ある程度我慢しなければならなくなる。

委員等
 事務局案のように書かないと、何か計画があってそれを阻害するということか。

事務局
 そういうことはない。

主査
 ただ総合科学技術会議の報告書では、今後の方向として中核的センターを置いてやることを明言している。ここでは中核的な役割を担う、としてぼかしているが。

委員等
 科学技術基本計画では中核的なセンターを指定し育成する、とあるが、この報告書では「指定」ではなく、役割を担うとか位置付けるという表現になっている。これは指定はまた別に行うということか。

事務局
 指定という用語は、何かしらの権限を国のかわりに付託するというイメージになる。もともとそこまで考えたものではないのではないかということで、より具体的な考え方を示すこの報告書では、指定という用語は使っていない。中核的な役割を担う機関という表現については、それぞれが1個や2個にしぼられるときに、その機関がやるだろうものをそれぞれやっていることをあらわすために使った用語である。

委員等
 それでは閣議決定を満たしたことにならないのではないか。先生方がおっしゃっているように、きちんと基準を作って評価してそれに合ったものを表記し、さらに領域で分担があるのであれば、それをきちんと反映したほうがよく、まさにそれが指定である。そこまでの作業が間に合わないので、指定ではないと整理されているのではないか。そうであれば、指定は将来はやるが、予算に間に合わせるための何かをやるという提案であると理解するが。

委員等
 独立法人から中核的センターに関するアンケートを依頼されて答えたが、ここにあがっている中核的役割を担う機関の取り上げ方は、自分たちが意思表示したものと違う。事実に反しているようなものもあるのではないか。各省でまとめているのかもしれないが、自分はこの出ている表とは違う答え方をした。また、中核的な役割を担う機関に求められていることは、それぞれの独立行政法人のミッションや中期計画、要員配置計画などと深くかかわるので、中核的役割を担う機関として認定されて不都合がないかについてきちんと最終確認する必要がある。

委員等
 この表の後に中核的な役割と中核的な機能を付け加え役割を明示することによって、かなり連携を意味することができるのではないか。

委員等
 やはりもう少し細分化しないとなじまない。たとえば植物といっても作物はわかるが、それだけでやってしまうと難しい。特に大学は書いていないし、中核として難しいところがあるが、やはりそこにしかないものもたくさんある。大学は育成というところがなければ、怖くて中核機関に名乗りをあげることはできない。その部分をきちんと配慮してほしい。

主査
 分類についても、専門家の知恵を借りてもう少し検討しましょう。これは最終的にはパブリックコメントの必要もあるし、その前に各省庁に確認をとるので勝手に走り出すことはない。

委員等
 同じ科学技術会議の中にライフサイエンス分野のワーキンググループがあり各BRCごとの分担のような話をしていると聞いている。調整して同じ方向性でお願いしたい。

事務局
 研究用材料の部分で、中核的機関を今の時点で明示した方がよいのか悪いのか。細分化の問題はいろいろ調整しながらやることは可能だと思うが、そもそも中核的機関を指定することについて、研究用材料についてはふさわしいかどうか。ふさわしくても書く必要がないのか、それとも書くのだが書きぶりの問題なのか、表現、工夫の問題なのか、教えていただきたい。総合科学技術会議にこれを出したのは科学技術学術審議会なので、そことの整合性を考えつつ、研究用材料については時期尚早であるということであれば、今後事務局として準備のしようがあるので、どうとらえておいたらよいかをお聞かせいただきたい。

委員等
 書くというのはすごく大きなことなので、書くことによって予算が取りやすい等の大きなメリットがあるならば書いてもよいとおもうが、よほど的確でないといけない。たとえばこの中の総意としての的確な分類や代表機関など。中核機関を置く意思表示によって予算確保がしやすいのであればよいと思う。

委員等
 予算を確保することとセットで提案いただきたい。名前だけ通って義務だけ負わされて、予算はごめんなさいでは、その機関の中期計画に大きな影響を与えるほどの状況に陥ってしまう。単に研究者が自分のコレクションを豊かにする、がんばってくださいというレベルの話ではないことを十分ご理解いただきたい。義務だけがふってくるような形にならない表現を工夫しておく必要があると思う。

委員等
 書くのは書いてもいいとおもうが、今はまだ書けないと思う。特に大学については育成している最中であり、それを今書くことはできない。一方中核的にする、効率的にする、ニーズに合わせたものにすることは重要なので、将来的には中核的センターが明示されることが望ましい。そのときにはきちんと分類した上で、本当の中核的センターが1つずつあるような形が望ましい。中核的センターは閣議決定なので、最終的には指定しないといけないとおもう。有力な機関がデータにもあるように、やっているのは事実だから、リストを今作っておくことはかまわないと思う。

主査
 将来の広報機関としてポテンシャルがあるということで分類を全部とって付録に並べるぐらいはいいが、それをつけることによってあまりメリットがないのであれば、一生懸命やってもしょうがない。その判断をご検討いただきたい。

[論点5] 計量標準

 独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合センターを、中核的な役割を担う機関とすること。

委員等
 1つは中核的センターを指定するかどうかついて、計量標準だけが指定されていると全体の整合性として問題が無いか確認したい。2点目は、計量標準は最先端の研究に基づいて新しく標準を精度をあげて数値が出せる部分があると理解しているが、この部分が非常にさらっとした書きぶりになっている。最先端の研究開発を支えることができる体制が必要になってくると思うので、盛り込んでほしい。

委員等
 計量標準については、各国に1つの中核的な機関があり(NMI)、それらが相互挿入していろいろな国同士の計量のトレーサビリティをつなげるという国際的なルールがある。計量標準に関して、国際的に国を代表する研究機関がきまっているため、それでよいと思う。逆にバイオの場合には、国際的にどういうものがBRCなのかが、微生物以外はまだあまり決まっていないのでなかなか難しいと聞いている。

委員等
 強いてここに追記してほしいのは、連携の問題である。特に計量標準の場合は、非常に多くのニーズが短期間に集中し、産総研だけでは対応仕切れない。今後バイオ関連の標準の要求が国際的にも重要性を増している中、一カ所の中核的研究機関だけでは担いにくい部分がある。関係各省庁がそれぞれ関連研究機関をもっており、それらの機関と協力して進めるべきところが多いと思われる。特に研究開発を先に進めることが必要な分野なので、専門家のいる研究機関の連携が円滑になされる体制作りをすることが必要である。

委員等
 計量標準は標準物質という側面と物理標準ではかなり性質が違う。物理標準の方は極端に言えば日本に1カ所あれば安心していられるが、標準物質は一種の消耗品であり継続的に供給されないといけない。まったく維持管理の性質がちがうので、そのことを意識して主張した方が間違いがなくてよい。

[論点6] 計測方法・機器等

  • 先端計測分析技術・機器開発をJSTが中心に進めていくこと。
  • 共用可能な装置等についてポータルサイトをJSTを中心に整備を進めること。
  • 計測機器等の共用の重要性も示すこと。

委員等
 4.(1)開発の部分はこの記述でよい。(2)に関して、計測機器分野では利用促進は重要である。ここの書きぶりは国公立、および大型のものに偏りすぎているという印象をもつ。国および国立大学に話は限定されているように見える。私立大学も生き残りの時代に大変苦労しており、例えば原子炉をつくって放射化学分析を売り物にして社会に供用している例は過去にもあり、現在も放射光設備をもってやっている大学もある。将来に向けて考えるという立場からすれば、書き直していただきたい。また、中型に関して、例えば数億円レベルの電子顕微鏡は分野で特化おり、ハードウエアだけではなくそれを使う技術が非常に重要である。そういう特化した装置をいかに社会に有効に使っていただくかということも大事なファクターであり、わたしは中核的な役割を担う機関が必要であると考えてきた。ユーザの立場、特に小ぶりな産業界の研究者等を念頭に置くと、国公立の大型設備の供用化とは別の観点の共同利用を促進する必要があると考えている。これはソフトなネットワークということで、情報を共有して世の中の多数のユーザに利便性を提供するという仕組みであり、重要であるが作るのも大変である。ただしあまりお金はかからないので、こういう分野をエンカレッジする文言を基盤整備計画の中に書き込んでいただくことは将来に向けて非常に大事であるとおもう。

主査
 私立大学がもっている比較的高額な装置は、私立大学が100パーセントお金を出している例はほとんどなく、30パーセント~50パーセント補助金を使っており、従って税金を十分つかっている。膨大な数があるはずで、ここもできればJSTのポータルサイトの一つに加える方向で努力するという書きぶりを工夫していただきたい。

委員等
 この報告書全体に言えることであるが論理的でないところがある。表中の外部利用に供しているという意味も、どこまでやっていたらそうなのかがわからない。法人化に伴い実質的に供用の動きが増えているとあるが、この表からはその前後がないために本当に増えているのかどうかがわからない。文章に対する正確さ、信頼感の問題がある。ちゃんとした基準が必要である。

主査
 この表は私も問題があると思うので、なくてもいいならとってしまった方がいいと思う。

委員等
 たぶんこの部分は研究交流促進法の法律ができてそれ以降主に企業等の研究者に供用されたケースが増えてきたという実績を述べていると思う。これは超大型の設備に関して法律をつくって促進したという実績があるので、その考え方をさらに推し進めるという意味では非常によいことだと思っている。大きいものばかりではなく小さい方も視野に入れて全体の利用促進を進めるようなニュアンスで書いて頂ければと思う。

委員等
 共同利用機関や大学などで共同研究機関というのがあるが、栄えている共用機関がある一方でそうではないところもある。その分かれ目は非常に単純で、利用のための旅費をどこが負担しているかという問題になる。どんなに利用しなさいと言われても学生を連れて行こうとしたら相当の費用が発生してそれがバリアになって結局うまくいかないということが起こる。共同利用したくなるような形に本来はもっていかないと、共同利用は進まない。ぜひそのあたりを考えていただけると共同利用が進むのではとおもうので、表現を工夫していただきたい。

[論点7] データベース

  • 中核的な役割を担う機関を特に定めず、各機関の自主性に委ねること
  • 統合DBの必要性について記述すること。

委員等
 バイオリソースの場合はバイオリソース全体で1個つくるわけではなく、やはり分野を分けていたが、データベースにしてもDNA、タンパク質、人間特性と分ければそれぞれやっているところがあるわけで、そこの理屈がどう違うのかがわからない。ここでさらっとかかれてしまうとデータベースとしてもつらい。データベースは知的基盤の最前線で最も重要な部分である。2001年から5年たって今は様変わりしており、どんどん進んでいるにもかかわらず、この知的基盤整備計画では計測データのデータベースしか扱わないとなっており文献情報などは扱っていない。しかしそこをやらないと知的基盤なんてあり得ないという時代だと思う。知的基盤といえば、材料とともにデータベースはものすごく大きなものであり、それがこれだけの分量しかページが割かれていないのは、ちょっと信じがたい。前との矛盾もあるし、いかにも短いなど、バランスがきわめて悪いと思う。何か特に理由があるのか。

委員等
 一段落目終わりの、「個々のデータベースを整備している個々の機関が中心となって利用者ニーズを反映したデータベースを構築する」とあるが、データベースは大きいものから小さいものまであり、かならずしも機関がデータベースを整備しているとは限らず、大学の一研究室がやっているかもしれない。したがってこの書き方は現実に即していないケースも多いのではないか。また個々の機関が利用者ニーズを反映したデータベースを構築するということだが、個々の研究機関は利用ニーズを反映したデータベースを構築せよということか、それともするように支援するということか。データベースに関しては中核を置かないで個々にやっているところがしっかりしてくださいということなのか、しっかりしますという宣言かもしれないが、それは何かおかしい。もう少し考えていかないとこれは大変ではないかとおもった。

委員等
 データベースは相当重要なので書き込んでほしい。自分たちが考えている問題点のひとつに、統合化、ネットワーク化の必要なことがある。例えば化学物質のデータベースは法律も多くの省庁にわたっており、データベースもいろいろな省庁で作っているが、統合化、ネットワーク化のためには、化合物名をはじめ解決すべき課題が多い。これらは将来的に相当大きな問題であり、整備する必要がある。

委員等
 ライフ分野でも全く同様。辞書をつくって違う概念、違う分野のものを結びつけようというオントロジーという学問が進んでおり、それによってデータベースを物理的に一緒にするのではなく、ばらばらでよいからそれぞれから重要な知識を集めてくるという、データベースの統合化が今まさにはじまっている。ライフサイエンス関係では、総合科学技術会議でやるべしということがあったが、統合データベースが今まさに始まりつつあり、知的基盤としてはものすごく大きいことのはずである。一方個々の素材データベースもちゃんとつくっていかないといけない。そこの部分のうまい棲み分けをサポートすることが国として重要だと思う。知的基盤計画を私たちの名前で出すのであれば、今の時代もう少し書かなければ恥ずかしい。

[論点8] 戦略目標及び経費

  • 案のとおりとすること。

委員等
 最後の文章は非常に心強いが、こう書いただけではお金はどこからも出てこない。知的基盤が本当に大事だったら出さないといけない。研究して初めて知的基盤が出るし、知的基盤を使って研究費がでるのであるから、お金は研究費から出すべきで、研究費の一定割合が知的基盤の整備に使われるという思想はあり得る。研究と一体でないといけない。研究を進めるためには知的基盤が必要で、何パーセントかはそこに使うべきということもあってもよいのではないか。あちこちで議論はされているとは思うが、研究を進めるためにはやはりロジスティックが必要で、そういう仕組みがあれば、そういうことをする人も出てくる。人材を育てるといっても裏付けがなければいけない。そういう部分で何か研究費が出る形の、実現可能性がある制度ができるようなことを考えられればありがたい。

委員等
 国際的な取り組み部分について、国際協調よりも国際競争の方が強く出すぎている感じがする。知的基盤の構築は膨大な資源の要る仕事であり、国内でも役割分担と連携が必要であるように、国際的にもやはり役割分担と連携でうまく力を合わせてやっていかないとつくっていけない。したがって、国際協調のニュアンスがある方がいいと思う。

主査
 01の計画がつくられたとき、4分野に絞り込んで知的基盤を一つのかさの下に置いて計画を立てたが、時間とともにそれぞれ独自の発展をしており、皆同じ次元で見ることができなくなっている。全体をひとつの切り口で議論するのは難しく、委員も全く違う分野であり、難しいことは推察できる。ただこれは日本の発展のためにも絶対必要な大事なところなので、知恵をしぼっていただきたい。自分たちも協力する。

事務局
 このレポートをまとめるに当たっては、親部会である技術研究基盤部会との関係と、科学技術学術審議会総会との関係がある。また法律で定められているパブリックコメントも必要なので、日程を調整した上でまた本委員会の日程調整をさせていただきたい。

午後6時10分 閉会

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課

(研究振興局研究環境・産業連携課)