知的基盤整備委員会(第16回) 議事録

1.日時

平成18年4月21日(金曜日) 16時~18時

2.場所

古河ビル6階 F1会議室

3.出席者

委員

 澤岡、岩田、漆原、岡、奥野、久保田、黒木、合志、小原、齋藤、豊則、二瓶(正)、二瓶(好)、根岸、藤田、御園生各委員

文部科学省

 佐野研究環境・産業連携課長、堀内研究環境・産業連携課企画官、上田研究環境・産業連携課課長補佐、青木研究環境・産業連携課専門官

オブザーバー

 吉田経済産業省産業技術環境局知的基盤課長

4.議事録

(1)知的基盤整備計画改定案について

(知的基盤整備計画改定案につき事務局より資料を基に説明の後、質疑)

【委員等】
 知的基盤の定義について、知的創造活動の成果物のみならず、知的創造活動のための材料・試資料も知的基盤に入るのは当然だろうと私は思うが、資料3の文章を見てもはっきりしない。得られたものをある程度体系化し、使用できるようにして初めて基盤であるという点はおっしゃるとおりで、そうなるものは必ずしも知的創造活動から出てくるとは限らない点と、知的基盤は知的資産を得るソースによって権益されるだけではなくて、得られたものをどういうふうに整備、提供できるようにしてあるかによって決まるという点、その両方を定義しなければならないのではないか。

【委員等】
 今後緊急に使われるかもしれないものを集めただけではだめと私も思っておりましたが、資料3の1ページには、そうやって蓄積されたものを体系化して提供できるように整備してあることをもって知的基盤と書いてあるので、ここまできちんと言っていればよろしいのではないか。

【委員等】
 こういうものが知的基盤であるとはっきり書いた方が良い。ソースに関しては、知的創造活動の成果だけではなくて、知的創造活動のために集めるソースもあるのではないかと思う。

【委員等】
 知的創造基盤という“創造”を強調した理由は知的成果を生み出すものだからである。“創造”をきちっとここに文字として入るという意見が十分に組み込まれていないのではないか。

【委員等】
 知的創造のための知的基盤も非常に重要だと思うが、知的社会における知的基盤は必ずしもそれだけはなくて、製造、医療、行政、また日常生活における安全のための知的基盤もあるので、そういうものも知的基盤に入るのではないかと私は思っている。

【委員等】
 今の経済産業省の知的基盤計画も文部科学省の見直しに準じて見直しを始めているが、その中で溶接などのデータベースも今度新しく知的基盤の中に入れたいということで交渉している。例えばどのようなものかというと、溶接をするときには材料や環境や溶材などいろんな組み合わせで千差万別に変化するのだが、そういったものを営々とデータベースにしており、非常に産業界からのアクセスも高いデータベースになっている。そういったものも知的基盤に加えられるような定義にしてもらいたい。

【委員等】
 知的創造活動の成果とただ聞くと、普通は学術論文や文献の方へイメージが行ってしまう。ここではそういうものとは違う視点で整備を進めているので、あらかじめ断っておいた方がいいのではないか。

【委員等】
 計画全般について変える必要がなければ変えなくていいと思うが、この改定案は前とほとんど一緒ではないか。特にデータベースについては、統合データベースがちょっと入っているがほとんど一緒だ。データベースについては、特に計測データに限るとあり、一次情報を対象にしていると思うが、データベースがこの5年間たって何も表現が変わらないのはちょっとおかしい。一次情報だけではなくて、第三者がアノテーションを付け加えて、ほかのデータベースと統合することをやらなかったら余り意味がない。この知的基盤整備計画そのものがどの辺を配慮するかを含めて、議論し出すときりがないからちょっと危ないと思うが、その辺について全体的なことで説明があったらありがたい。

【委員等】
 民間で競争しているところは完璧にそろったデータベースで競争することはなくて、不完全なデータだがある種の創造性を発揮して、次々にいいものを生み出していって、その成果がデータベースになったりすると思うので、その中で官として何をするべきかをしっかり問題設定して次の計画へつなげるのがいいと思う。そのプラスアルファで活用法とか制度設計とかを含めて、そういうダイナミックスを読めるような格好に文案を変えた方がいいと思う。

【委員等】
 質的観点の指標については、普通は材料を分与されたりすれば論文の謝辞に載せるべきで、論文が出たら必ず書くとか、その論文を送ってもらうとかすれば、その論文を見れば資料の材料の貢献度がわかる。そこまで制度として組み込むか、利用頻度等で我慢するか、その辺は判断が分かれるところかと思うが、普通の指標は論文の謝辞ではないかと私は思う。

【委員等】
 質的観点について、普通は整備目標に対して利用の目標を立てると思う。これだけ整備されたものが、これだけの研究に使われて、論文がいくつ出て、ISIのインパクトファクターが幾つありましたとか、極端な例だと思うが、それに近づけるようにやっていかないと、整備目標を達成したけれども一向に使われませんねというのは非常に具合が悪いと思うので、そこを勘案したような表現を考えていく必要がある。今言われたように論文の謝辞に必ず入れさせることも少し検討すべきではないか。

【委員等】
 独法のアウトカム評価というものがあり、製品評価技術基盤機構(NITE)ではバイオの微生物と、化学物質管理の安全情報の知的基盤をやっているが、同時に独法なので、独法のアウトカム評価をやっている。NITEのアウトカム評価は非常に高い評価を受けており、独法評価委員会の平澤先生からこのアウトカム評価は国際的なレベルから見ても非常に高いという評価をいただいている。そういう意味では、NITEのバイオ微生物と化学物質管理についての質的観点からの評価は一応できているということをご紹介させていただきたい。

【委員等】
 微生物に関しては、アウトカム評価は、ユーザーの方たちがどういう評価をしているかという点をヒアリングして回ったりアンケート調査しており、そのレベルは非常に高いという評価をいただいている。化学物質については、ほとんど我々のところが供給しているので、実際のデータベースのアクセス数はどうであるとか、利用者の分布がどうなっているかということを使って評価している。

【委員等】
 確かにニーズや利用頻度は大事かと思うが、むしろそれよりは材料や計量標準の場合、そのものの特性や品質を高めることが非常に大事になってきていると思うし、計測の場合もより精度の高いもの、あるいは異常に多用な特性値が出せる方法を目指している状況であろうと思う。機器の場合も当然ながら性能向上を目指して行っている。だから、品質的なもの、あるいは質、特性といった形に言いかえられるものが質的観点の指標に該当するのではないかと思う。

【委員等】
 今おっしゃった品質は一番大事で、品質をちゃんと管理する能力がセンターにあるかどうかが一番重要で、それがなくてただ数だけ集めていてもしょうがないと思う。
 それから、利用頻度については、どのくらいそれを、例えば国内的、国際的に出しているかという点と、もう一つは非常に希少性がある、あるいは貴重なものという点も質的な評価に入ると思うので、そういう点も考慮していただきたいと思う。

【委員等】
 アウトカム評価は、これまで独法などの評価をするときに、いわゆる数値目標に偏りがちだったという反省を踏まえて、今おっしゃったような希少性とかも含めて、トータルで評価するという手法だ。それが一筋縄でいかないのであれば、そのユーザーのその先までちゃんとリサーチをして、そして科学的に評価をするという手法なので、そういうことが非常に本質だと思っている。NITEのアウトカム評価を例として提供しても良い。

【委員等】
 私が関係している国際組織は、データの質に最も重点を置いた組織だが、データの質に重点を置くと、人的にも費用的にも膨大なコストがかかる。データの鮮度とか質とかいろんなものを比較しながら、その中で最適な資源配分をするのが国の役割だと思うので、質的観点という指標をほかの指標とのバランスの中でしっかり位置づけて、何をどうするべきかをきちっと考えたらいいと思う。特にこれだけ複雑な事象についての評価になると、同様のサービスをしている世界の組織との比較精度分析をきちっとやることによって、それぞれのアウトカムを客観的に評価する必要がある。そして、国際戦略に基づいて財務省に予算要求していくという具体的かつ説得力のある資料をきちっと準備しないと、ただひたすら質がよければいいという感じになるので、そこのところは整理が必要だと思う。

【委員等】
 質的観点というのは一般の人に説明するときに一番説明しにくい部分だろうと思う。我々のところはISO9001の品質システムをデータ作成のところで取り入れているので、外向きに我々のところはISO9001を取得して、それなりの品質を保っているということを言っている。そういう点も一つ質的な指標であり、例えばISO9001の取得を目指すという形で品質を担保することも一つの方策として考えていただけたらと思う。

【主査】
 中核的センターについて、研究用材料、計量標準、計測方法・機器、データベースという分類で、役割とかそのための条件などを議論しているわけだが、この計画には最終的にはセンターの名前を具体的に記載する方向か。

【事務局の発言】
 その予定です。

【主査】
 もう名前を出してしまうと、後では引っ込みがつかないとか、それから後で有力な候補者が出てきたときに困るとか、そのあたりはどうか。

【事務局の発言】
 現時点での中核的センターということで計画には書くが、後で変更等があった場合には適宜見直すという感じにしたい。

【主査】
 見直しは難しくないということで。

【事務局の発言】
 はい。

【委員等】
 中核的センターは非常に責任が重い。中核的センターにお金が来るんだったらいいが、自分で調達するとなると、計画に書くとどうなるのかと思う。計画に書かれると、予算的な措置がしてもらえて、逆に責任も生じるとするのか。あるいはリソースごとに違うということを明確に書いて、中核的センターを募ってやるとなると、計画には中核的センターを当然書けないのではないか。書けるところもあるだろうし書けないところもあるという対応は当然あるので、書くとどうなるのかを教えていただきたい。

【委員等】
 どうして計画に中核的センターを書こうと思われるのかがわからない。書いた方がよい理由は何か。

【委員等】
 机上配付のポイントの紙を見ると、ナショナルバイオリソースプロジェクトとあるが、これはどういうイメージなのか。これだけの数の中核的センターを考えているのか、ひとまとめにして幾つかを考えて、それぞれに中核的センターを割り当てて計画に書き込むということか。

【委員等】
 昨今の流れだとこういうものは官民も含めて公募にして審査して決めるという手続でやらないと説明ができないのではないかと思うが、今のような指定方式でいいのか。

【事務局の発言】
 ここに書いてあるナショナルバイオリソースプロジェクトについては公募で選ばれた機関です。

【主査】
 公募して手が挙がらなかったら非常に困りますので。

【委員等】
 枠組みとしては今の流れはあくまでもそういうのは手を挙げてもらって、それを審査して一定の水準で決めるということは必要ではないかと思う。

【委員等】
 中核機関は要するにリソースによるわけで、生き物の場合は、例えば経済産業省だったら微生物という観点でやっているし、大学だったら同じ微生物でも酵母と大腸菌は全部違う。農林水産省だったら植物をやっているけれども、植物だって大学だったら種ごとに違うというふうになってくる。しかし一方、作物ということになってくればもう少し大きくまとめた方がよくそれぞれミッションが違う。そういうことであれば大きなセンターをつくれるし、逆に大きなセンターをつくったらいけないリソースもあるので、そのあたりのバランスを考えないといけなくて、指定した方がいい機関もあれば、公募あるいはネットワーク的に変えていかないといけないリソースもあると私は理解している。

【委員等】
 今のご発言に非常に賛成。私どもは微生物しかやっていないが、微生物一般ということでやっている。微生物の中の特化した幾つかのものはそれぞれにまた有力な機関があり、それぞれ性格も違うしミッションも違うので、それを一律に微生物にまとめるとおかしい。一般的微生物ということであれば我々は既に相当の数集めているし、国内あるいは国外でもネットワークを張りつつある。

【事務局の発言】
 先ほど、ナショナルバイオリソースプロジェクトの中核機関ということで、ポイントの紙に記載した機関を全部計画に挙げてそれぞれ中核機関として指定すると申し上げたが間違いで、現在整備している機関としてこういうものがあるというリストを別紙として挙げただけである。リソースごとに中核的センターを設けるのか、あるいは動物だとか植物だとか、そういった大きいくくりで中核的センターをつくるのかといった、中核的センターのレベルをご議論いただくための参考資料として載せたものであり、こういう生物種ごとに中核的センターを設けることは決定していなくて、今後ご議論いただこうと思っている。

【主査】
 今ここでどういう分類の仕方をしたらいいのか、多分それは対象によって考え方が相当違うという議論があったわけだが、そのような議論できょうはよろしいのですね。
 もう一つ、非常に重要な点は、指定されるとどういういいことがあるのでしょうかという点で、それがないとなかなか元気が出ないのではないでしょうか。

【委員等】
 もともと日本が立ちおくれているリソースの部分をいかにして国家戦略として整備していくかということから議論が始まっているので、今までのリソースの中核的役割を担っていたところはバックに全部省庁があった。それぞれの省庁が自分たちの研究や産業利用上重要なリソースを保存し、提供するようなシステムを構築してきた。この議論の出発点としては、国際的に競争に勝つためには国として認定する、省庁の壁を越えて国としてきちんと支援するようなシステムをつくり上げることだろうと思う。そのときに中核的センターというものをどういう枠組みでつくるかはまた別の議論で、実効が上がるような形ですればいいが、やはり国としてきちっと認定することをまずやるべきではないかと私は思う。
 それと、公募にするという話が出たが、それは実態にそぐわないと思う。現実に物を持っていて提供できるようなシステムを新たにつくるのは愚の骨頂で、現に動いているところを中心にして中核的センターができるのだろうと思うので、多分知的基盤に係る部分は公募にそぐわないと私は思っている。

【委員等】
 研究コミュニティというものがあり、知的基盤を集めるときにだれが担当するか、どこの機関が担当するかは研究者コミュニティの中で議論があって、みんなが納得してそれを支えていくことになるのだろうという意味で公募という言い方をした。だから、当然何も持っていないところが突然やるなんてことはあり得ないが、どういう切り口でやるのかはその研究コミュニティのスタンスが非常に大きいので、そこは流動的に考えるのかと思う。

【主査】
 どういういいことがあるかということは、本来なら総合科学技術会議が後押しすることだ。この委員会は文部科学省の委員会だが、歴史的に日本のいろいろな組織の中でこの旧科学技術庁系の流れは全体の調整を担う役割をずっと果たしてきたと思う。その流れの上でこの委員会があるので、文部科学省を越えてオールジャパンの議論をしているわけだが、そこで議論されたいろんな条件をつけた上で中核的機関として選ばれたところには大変名誉あるおしるしは行くわけだが、それをどう利用して予算を獲得してくるかというときにそれが本当に単なる紙切れなのか、ご威光があるものか、そこは総合科学技術会議の方で後押ししていただいて、何か裏書きしてもらわないと元気が出ない。そういう働きかけを文部科学省として並行してやっていかなければ、書いて終わりになってしまう気がする。

【委員等】
 先週理研のバイオリソースセンターの国際的なアドバイザリーカウンセルの委員として議論してきたが、業績からいって、そこは国際的にも一つのセンターになっているという考えを持った。ただ、今予算がどんどん圧迫されて、そういうところが非常に苦しい状態になってきている。だからいいことは何にもないので、せめて悪いことがないようにすることが一番大事だと思う。知的基盤整備は、普通の研究とはかなり意識が違うところにあってサービスであり、使命感がないとできない。だから、質的な内容、量的な内容もあるが、使命感をきちんと持っていないとコアになり得ないと思っている。例えば生物材料は非常に幅広いが、これはあそこがいっぱい持っているからというだけではなくて、使命感を持ってきちんとやろうとしているところをコアとして、そことほかのところを連携するという形で進めていくのがいいと思う。
 第3期の科学技術基本計画の中でも、インフラストラクチャーが非常に重要だと指摘されているので、少なくとも現状より悪くしない、そしてその重要性を認めることが一番大事ではないかと思う。

【委員等】
 国際的にはIAEAとかOECD/NEA、日本だと原子力機構、保安院、それから各電力は、それぞれある意味で中核的なセンターでもあり、その中で知的基盤などを整備しているが、その分野では中核的だと全体から見られているところが本当に知的基盤についてちゃんとした働きをしているかというと必ずしもそうではないので、そういう事例をしっかり調査あるいは分析しながら本当に必要なことを提案していくようにしないと、提案に迫力が出てこないと思う。

【委員等】
 この中核的センターの役割はどういうことをするのか。それと、中核的センターとして非常にたくさんの機関が挙げられた場合のそれぞれの機関の関係だが、例えば知財に関して改定案を読むと、知的財産権の観点が重視されるあまり提供手続きに時間がかかるなど、研究開発の実態にそぐわないと書かれている。例えば分譲を受けるとき、それぞれの機関ごとに分譲条件を整えると、中核的センター間では条件をそろえられないような気がする。そこの間を連携するようなことを考えているのかということと、中核的センターと大学とでは、知財の保護で権利の主体はどうなるのか。依然として大学出願でやるのか、それとも中核的センターが法人格を持ってやるのかとか、共願になるのかとか、ちょっと細かい話だが、実際運用のときはどうなるのか気になる。

【委員等】
 例えば、理研のBRCというマウスを整備しているところは基本的に、知的基盤は寄託を受ける。各先生から寄託を受けて、それを預かって配分する。その場合は寄託のときに条件をつけることができて、その寄託者がいろんなものによって条件つける。共同研究で出しなさいとか、知財をちゃんと確保しなさいとか、無償でいいとか、さまざまな条件をつけるので、そういうことを仲介するのが中核的センターだと理解している。生物種ごとに違うので条件は違ってしょうがないが、例えば理研のBRCのもとであれば、マウスに関してはかなり共通した知財の管理がされていると思う。

【委員等】
 中核的センターが、どのぐらいのものを指して言っているのかがわからない。ナショナルバイオリソースプロジェクトだと生物種ごとに何十と拠点があるが、センターというふうにするのだったらもっと違う考え方もできる。ここはNBRPの会議ではないから違う観点でもっと広くやってもいいのではないかという気がする。あと、資料3の31ページを見ると、公的研究機関を中核的センターに指定し育成すると書いてあるということは、例えばマウスを分譲してもらうのだったら理研BRCにしなさいというふうになって、だからそこにはお金を与えますと、育成するということは予算措置がつくということですよね。そういうことを含んでいるのならそういうふうにはっきりした方がいいのではないか。

【事務局の発言】
 その育成するという部分については、今後予算措置するのかどうかということを踏まえて検討する。

【委員等】
 一応意図があるわけですか。

【事務局の発言】
 育成するとは、要するに国が指定された機関に対しては支援をするつもりであるというのは明らか。国が通常支援をするという場合に予算措置を考えることも、最もよくやる手段だ。ただ、ようやく基本計画ができたばかりなので、そこまで具体的に決まっているわけではない。
 別の観点でもう一つ言うと、ナショナルバイオリソースプロジェクトの中核機関をここに並べてある。要は、こういったところに既に資金を投入して整備を進めているということなので、どこに頼むかというような議論をするときにやはり指定をされている、中核機関であるということが大きな要因になるのではないかということ、簡単に言うと、重点化のときの考え方の大きな部分を占めることになるのではないかと理解している。ただ、具体的な話はこれから決めていくことだと思っている。

【主査】
 第3期の科学技術基本計画でこの知的基盤だけではなくて、あらゆる分野で中核的拠点化するという方向が打ち出されているわけだが、恐らくほかの分野でもそのことによって国がどれだけ保障してくれるかという議論になっていて、同じように悩みが皆あると思う。具体的にこの計画ではどこまで書くのか、それから書いたことによって予算的とか、いろんな形で本当に裏づけが出てくるような、どういう努力があるかということもあわせて議論したい。ただ、余り書いてもらっては困ると恐らく言われると思うので、そのあたりがこれからあと一、二回のところでの最後の苦しい議論になるのではないかと思う。

【委員等】
 中核的センターについては、役割が資料3の31ページに、実に1から11まであり、こういう役割を担っているものが中核的センターであるとこの中に書かれている。そうすると、具体的に中核的センターが個別に指定された場合に、ここに書かれているものと一致していないとおかしなことになると思うが、少なくともこの11項目見ていくと、例えば人材の確保であるとか、あるいは材料やデータの保存であるとか、あるいは存亡の危機に陥ったものに対する体制とか、いろいろ書かれている。これらすべての役割を一機関が完全に果たすことはなかなか難しくて、日本全体として考えたときにこの役割が果たせればいいだろうということだと考えざるを得ないが、そうすると、中核的センターというのは本来国としてのある特定の分野の戦略を決める、あるいは調整機能を持つ中心的役割を果たし得る機関であって、しかもそのためにはその機関自身が従来その分野での実績を持ち、現在でもそういう実力を備えていることが条件ではなかろうかと思う。だから、中核的センターイコールここの役割をすべて果たすものととられない書きぶりにしておかないと、決めたときに非常に苦しいことになりかねないのではないか。

【事務局の発言】
 今のご指摘については全くそのとおりなので、そのように変えさせていただきたい。

【委員等】
 先ほど国としての保障ということをおっしゃったのと、それから今のお話だが、実は製品評価技術基盤機構はもともとバイオのリソースセンターとしては何もなかったものを知的基盤のセンターにするということで立ち上げたわけだが、その経緯がまさに今おっしゃった存亡の危機に陥った知的基盤を救済するということだった。ある民間企業が当時日本で最高の微生物の知的基盤を持っていたが、企業としては持っていられないということでこれをどうするかということになったときに、その民間企業は通産省の所管ではなかったが、ほかの産業にも役に立つだろうということでゼロから立ち上げて微生物の知的基盤センターをつくった。そのためにいろんな方々に来ていただいて、ようやくこの第1期で知的基盤センターになったということであり、私としてはこの7の役割を簡単に引っ込めるのではなくて、むしろこういったものが中核的センターの役割だという定義はそのままにして、そういう実力あったところを中核センターにしていく方がいいのではないかと感じた。

【主査】
 このポイントの紙の1ページ目の3の(1)研究用材料1の中核的センターの役割に項目がたくさん上がっているが、これをすべて満足するということで定義するのは到底無理だし、この中の幾つか重要性を考えてフレキシブルに対応すべきであるというご意見だったと思うが、研究用材料、それから計量標準、相当見方、考え方も違ってきて、材料については項目がたくさん挙げられているが、計量標準では項目が減っているし、計測方法・機器に関しては違った見方で議論しなきゃいけないことだと思うが、一つ一つ挙げて議論をするというより、お気づきの点をご指摘いただきたいと思う。

【委員等】
 今の中核的センターの役割だが、資料を見ると確かにたくさんあるが程度の問題がある。人材の確保というのは、そのリソースに限っての人材確保ということはやっているわけだから、程度の問題はあるが、現在中核的に進めている機関はほとんどこれらのことはやっているように思うし、この程度のことはしないと責任が持てないのではないかと思う。

【主査】
 最低のことは必須であるということですね。それはどの項目にも当てはまるか。

【委員等】
 研究用材料。

【主査】
 研究用材料ですか。データベースも含めて、どうぞご自由に発言をお願いします。

【委員等】
 計量標準に関して気になる点が幾つかある。基本的なところで心配な点は、1つは計量標準という言葉自体が非常に幅広く全体を指して言っている場合と、それから表の中では計量標準と標準物質と分けており、上の計量標準はどちからというと物理系の計測を指しており、標準物質は化学系の標準を指している。その場合の計量標準というのは狭義で狭く使っているが、その両者が文書の中ではごちゃごちゃに出てきて一体どちらを指しているのかわかりにくい。ですからほかにも共通する点があるかと思うが、用語をきちんと定義して使った方が誤解を招かないのではないかという点が1点ある。
 それから、もう一点は数値だが、これも計量標準を例にして申し上げると、現在の国の計画だと250を目標にして既に二百二、三十整備されてきたというふうに書かれている。これは従来経済産業省が行ってきたものなのでこのとおりで間違いないが、この表だけここに挙げられると、例えば外国機関なり、ほかのところが250であるからそれにあわせると、そうすると250にほぼ近づいてきているので達成されているかのように見えてしまう。ところがアメリカのNISTみたいなところを見ても、実際にはNISTの標準物質は千数百あり、250というのはその中の高性能標準物質(?)と呼ばれるものに限って指定しているわけだし、物理系の計量標準の場合でもSI単位に直結するようなところで、主な基幹的な標準を取り上げている。実際に非常に産業界等あるいは学術分野のところで使われているいろいろな試験法の標準的なところはこの中に多分ほとんど含まれていない数字である。だから、250というのは過去に設定されたものであって、それがこういうものであるということをどこかに注記がないと数字だけが勘違いされてしまって、場合によってはもう十分整備されたととられかねないことがあるのではないかと思う。
 それから、3点目は、国民の生活にかかわるところが大事だという文章が中に出ており、そういうところに例えば環境とか安全が書かれているが、環境、安全のみでなく、今後非常に重要視されているのが医療とかバイオテクノロジー関連なので、そういうところもぜひ言葉の中につけ加えていただきたいと思う。

【委員等】
 今の計量に関して、やや細かいが、資料3の57ページに2があり、旧だと認定システムとか認定スキームとか、そういうものが計量標準にとっても重要であり、これからの認証、認定システムという点で大事なコンセプトでだんだんそういうふうにシフトしていると思うが、新の方には全然それが出てきていないが、これは意図的に消去されたのか。

【委員等】
 いわゆる計量トレーサビリティの認定機関とか、そういうところが重要だというお話ですよね。それは、資料3の58ページの一番上の段落を改善すれば多分意に沿えると思う。
 それから、56ページの国家計量標準の研究開発・設定・供給のところで、何のために以下の政策を講ずるかという一番ポイントになる段落が、国際競争力とかそういうことばかり書いてあるが、実は安全、安心とかということもあるので少しこれは変えさせていただきたいと思うので、後ほど事務局と相談をしたいと思う。

【委員等】
 このポイントの紙の(4)のデータベースで1に中核的センターの役割に何があるかとあるが、データベースの中核的センターの役割をわざわざ書くまでもない気がするぐらいいっぱいあると思う。例えばすべてのデータを網羅的にアクセス可能な状態にするとか、いろんなサービスを提供するとかすごくあると思うが。

【事務局の発言】
 いろいろ出していただきたいということです。

【委員等】
 データベースについては、今ほとんどの方はグーグルで全部済みますよね。専門的なところはキーワードがきちんと載っていて、コンピュータの中でちゃんと定義されていて、世界の適切なデータソースのところへ行けば大体の入手可能なデータは手に入るような状態になっていると思うので、そういった分散した状況の中でバーチャルに全体が大きな中核的センターになっているのが現状だと思う。よって、非常にクラシックなトップダウンの中核的センターというコンセプトがちゃんと成立し得るかどうかという危惧がかなりある。そういう意味では、今ある程度もとの素材がそろったところをいかに世界の中核に育てていくかという制度設計を国がきちんと考えれば、マーケットの中で中核的センターの役割がだんだん定義されていくと思う。何があるかというのはこれから何を創出していくかという前を向いた話になるのではないか。

【委員等】
 グーグルでやるためにはキーワードが要る。キーワードがバイオロジーの場合は医学と生物で違っているとか、分野によって随分違って、モデル生物でやっていることがお医者さんとどういう関係があるかという関係付けが最も求められている。素材のデータベースはDNA、タンパク、乳酸などたくさんあるが、その間をつながないといけない。そこがまさに新しい統合データベースであり、これは単なるデータベースではなくて、データベース間を取り持つ部分が要る。
 だから、これは計測データに限るということが計画に書いてあるのが残念で、計測データ以外を含めた統合データベースのようなものを含めるともっと広がっていくと思う。ただ、そうすると情報が図書館との関係にもなってくるから、そこがややこしいのかとは思うが、バイオはそういう感じだ。

【委員等】
 この計測方法・機器の整備に関しては、5年前と現時点では大きく状況が違う。3年前から先端機器、先端計測、分析機器のプロジェクトが始まり、非常に具体的なレベルで大きな進展が図られつつある。よって、計測方法・機器の分野というのは、ある意味で今回新しく書き下ろすという性格がある。原案は、枠組みとしては大変よく書いてあると思うが、何せ初めての書き下ろしなので、さらに充実させる必要がある点はもちろん多々あり、この分野に関してもうワンステップ原案を詰めた段階でこの全体会議にまたご議論いただくような仕組みをお取り計らいいただけるとありがたいと思う。例えば中核的センターの役割とかあり方の議論にしても、これはほかとは大変違う。どうあるべきかをかなりしっかり考えてやらないと絵にかいたもちになってしまう心配があるので、その点を関係の先生方と相談しながらもう少し具体化させていきたいと考えている。

【委員等】
 この計測機械が非常に重要であるということはそのとおりだと思うが、ただ、この知的基盤に入るのがいいのかどうかというのはちょっと疑問を持っている。特にこの中で、知的基盤の整備の中で国内企業と海外企業との比率を出すということ自身が知的基盤としての整備ということとどういう関係があるのか、これは国内企業の整備ではあるが知的基盤の整備という点では少し観点が違うのではないかと思う。例えば、DNAシーケンサーは12ページにあるが、平成15年度は赤で書いてあるところは見事なまでに0.0パーセント、国内企業は0.0パーセントのシェアである。これを知的基盤として見た場合、このプロジェクトとして見た場合には、これは全く成功していないという評価を受けてしまうかもしれない。ただ、本当にこういう考えで国内企業のシェアということを目印にして計測機械の整備をしていく方向が本当にいいのかどうかというのは、基本的に考え直した方がいいのではないかという感じがする。

【委員等】
 5年前の文言はどういう経過でこういう書き方になったのかよく知らないが、ご指摘の点、すなわち機器の売り上げ、国内での売り上げのシェアをどうこうという議論は本質ではないと思う。要するに、第1回の会議から強調しているとおり、知的創造基盤の重要な要素として計測機器があるということ、その事実一点から始めて新たな仕組みをつくるというのがこの会議での議論の目的だと思う。ご指摘の点は私も違和感を持っている。知的基盤の構築というのは余り一面的にだけとらえてはいけない、もっと大事なことがあるのではないか、その全体をよく考えた上で表現すべきだというふうに思う。

【委員等】
 今の点について、先日行われた経済産業省の知的基盤委員会で議論があったのは、この知的基盤整備は一体何のために行うのかということは、日本の国の税金でつくる知的基盤であるからやはり日本の国のためなのだろうという議論が民間の委員の方からも、研究者の委員の方からも出た。例えば、そのとき議論になったのは、地質の関係で海底の地形を地質図の方に落とし込んでいくわけだが、それが日本の領海に影響するとか、そういうような議論があったときに、例えば日本の構想に不利になるような情報があるときにそれを全部知的基盤として公開していくのかというような厳しいご意見があり、やはり国の税金で整備する以上、国益にかなったような集め方、あるいは集めても公表しない、そういうことも考えるべきではないかということをご指摘いただき、そういう知的基盤というのは国の税金でつくる知的財産、それからいわゆる特許などの私的な知的財産というのは企業のための知的財産の保護ということで考えると、人類のための公知という、特許などの私的な知的財産との間にある日本国の知的基盤と、そういうことを考えてほしいというようなご指摘があった。

【委員等】
 先ほど12ページのライフサイエンスの主な計測機器等の国内シェアの話が出たが、ちょっとこの表で違和感を覚えることが一つと、それから、これから計測機器あるいは計測方法をどういうふうにするべきかをちょっと質問させていただきたいと思う。
 違和感を覚えるという点は、先ほど説明では科学機器年鑑からこのデータが出てきたという説明だったが、右側と左側を比べてみても市場がシュリンクしているようなイメージにとられるデータになっているので、ぜひこの辺はもう少し見方を変えて、ここは重要な分野なのだというデータの集め方をしていただきたい。
 それから、計測機器、あるいは方法ということで目指す方向だが、やはり先端的な要素技術で今の知的基盤に貢献できるということが最大のキーワードだと私は思っているので、あとの具体的なテーマのところでもテラヘルツだとか、フェムト秒とか、そういった要素技術を書き入れていただいたことは非常にありがたいことだと思っている。そういう意味で2010年に日本がこの分野でどういうふうに世界に貢献できるかという観点でここをまとめていけばいいのではないかと思う。

【委員等】
 先ほどの先端計測機器のことだが、やはり知的基盤というのはそれをもって全く新しい概念、知識を生み出すということだから、売っているものを買ってやっている分にはほかの人と全く一緒であると思う。だからやっぱり新しいものを開発しないとこれは新しい土俵はつくれない。
 それから、この表でいつもDNAシーケンサーということが言われるが、実情を申すと、現在これは100パーセントアメリカ製だが実は国分寺でつくっている。だからすべての特許、あるいは設計は全部日本でやっていて、しかし一旦アメリカへ輸出してそこから僕らは買わざるを得ないという、これは全く知財の問題なわけです。もっと言えばそんなにDNAシーケンサーが大事だったら、もうちょっとDNAポストゲノムといって、本当はゲノム、あるいは基礎情報ということは大事だが、そこには金が来ないという状況になっており、全体の枠組みを考えてくれないとちょっと片手落ちかなと思う。特にDNAシーケンサーに関しては、実は次世代のシーケンサーが開発されており全然違った局面になっておりそこでまたやられるという状況だ。だから、やっぱりもうちょっと長期的なことを考えていかなきゃいけないと思う。

【主査】
 機器に関しては、中核的センターを選ぶということは、現実にはできないのではないかということを事務局の方では大変心配している。

【委員等】
 それはイメージの問題だと思う。皆さんどうお考えになるかで表現も結論も違ってくるが、私はつくるべきだと思う。どういうふうにつくれば中核的センターが役割を果たし機能するか、それが大事で、できないと考えて議論を始めるのは反対だ。
 ここに少し書いてあるが、やはり最先端の装置というのはだれでもつくれるものではない。それから数年の努力でできるものでもない。それだけの経験と知識と、今までの開発の歴史を持っていなければとても世界のトップなんてものができるはずがない。だから、そういうものが一つの中核的センターの候補だと私は思うが、ただ、皆さんがイメージしているものと全く違うのは中核的という言葉の意味が違う。要するに私は分散的ネットワーク、ネットワーク型のシステムが、機器の場合はまさに中核的センターになると思う。個々の分野で先導的な技術と装置を持っているところが一つ一つのユニットになり、それを束ねるところが大事で、その束ねるところが現在ない。恐らくそのあたりがデータベースとか材料と全く違う点だ。これからつくるという観点で物を考えなければできない。
 どういうものが必要かということに関してはほかの分野の議論が非常に役に立つので、これはきちんと整理しないといけないと思っているが、やはり情報の発信だとかきちんと効果的に連携をとるとか、そういうことは大変大事だ。
 それと、知財との関係で外に出したくないデータというのがたくさんあるが、その出したくないデータと出してもいいデータをいわば分類しつつ全体を組織する。これはかなり難しいことだとは思うが、それができないためにてんでんばらばらで相乗効果が全然生まれないのが日本の現状ではないかと思う。そのあたりが本来の言葉の意味での中核的センターの役割であって、これはこれからつくるということになると思う。

【主査】
 対象によって随分違うと思うのは、この計画の中にも大型の機器については、例えば例に自由電子レーザーが上げられているが、自由電子レーザーについては非常に大がかりな装置で、共同利用機器として開発されて、国家機関技術の例としても挙げられているが、そういうものと電子顕微鏡の場合でも非常に高分解能の日本に数台あればいいものと、それから台数が勝負のものと、性格が電子顕微鏡の中でも違ってくるし、それからDNAシーケンサーのように、これからマーケットが期待されるものとそれぞれ見方が違うように思うが、そのあたりを余り明確に分けないでたたき台ができているが、そのあたりをどう整理したらいいのか。

【委員等】
 ポイントは、どこにでもある道具ではなくて、他のだれもが得られないような情報を獲得できる装置、システム、要素技術だと思う。だから、ここでやるべきことは入口と、それからそのプロトタイプと、あえて申すとプロトタイプの道具が新たに提供する情報、それがポイントだと思う。
 だから、いわゆる官民というか、企業と大学と公的な研究機関との役割分担というのはかなりよく考えないといけないところだが、やはり新しい知見を獲得するための機器そのもの、それからそれの組み合わせ、そのあたりの問題点がかなりあるように思う。ナノテクセンターという仕組みがあるが、これは、ある種そういうことをねらってつくっていると思う。だからこれが一つのモデルになる。ほかの分野はどうするか、モデルは幾つかあると思う。それから次に何をつくるべきか、何の仕組みをつくるべきか、それがポイントだと思う。

【委員等】
 第3章の知的基盤整備のあり方の中の最後の方のパラグラフにあるが、知的財産に関するルール整備に引き続き取り組むという文言がある。これは知的財産それぞれ物別に多分違うと思うが、ただ、生物遺伝資源で言えば、国際的に材料が交換されるときには生物態様性条約であったり、食糧農業植物遺伝資源条約であったり、そういう国際的な条約のもとでそれに合ったMTAをベースに取り交わされているが、2国間とか機関同士がやっているMTAが全体の国際間の取り決めにちゃんと合致しているのかどうかということは多分大事なことだと思う。
 それで、知的財産に関する問題というのは多分緊急性があるし、状況によってもどんどん変更するものなので、取り組むという姿勢は余りにも弱いので、やはりちゃんと検討してどうするかということを決めるというような格好にしておいた方がいいのではないかという気がする。

【委員等】
 いろんな計測機器の最先端というのは非常に大事だと思うが、スプリング8をたくさんつくればいいかという話と、それからもう少し細かな日常的な道具を安く、しかしながら簡便にだれでも使えるようにつくるのがいいのかというのはある意味でポートフォリオの問題だと思うので、それは国が決めるべき話だと思う。ポイントは日本全体のブランドをどう設計し、どう向上させていくかというところで、特に知的財産権のところはむしろ国内でバトルをやるよりは、国際的なバトルの中で一体どういうふうに日本全体のイメージを高めていくかというところは決められない問題だと思うので、そういうことを実際担当する人材をどうやって組織し、闘い抜くかが非常に大事だと思う。ダイナミックに動いている話については、トップダウンで決めることが無理な場合には、それに対応する人材をきちっと割り当てることが非常に大事と思う。

【主査】
 この資料3は、これからの日本の知的基盤の一つの方向として非常に大事なものになるのでしょっちゅう変更するというわけにもいかないし、大改定する初めてのものなので、本当に皆様お忙しいと思いますが一度しっかりと目を通してご指摘をいただきたいと思う。

【事務局の発言】
 きょうはいろいろ意見をいただきましてありがとうございました。あえて今回重要な点、役所としての方向性はここに余り書いていません。書いていませんというのは、中核的センターにしても質的な観点の指標にしてもそうですが、ここにお集まりの皆様はそれぞれの分野で一番最先端でご活躍されている皆さんですので、中核的センターのあり方一つにしてもそのものから議論していただきたかったというのが我々の気持ちでした。そのこともあって相当いろいろな意見をいただいて、むしろ非常に多くの宿題をいただいたんですが、そこの最初の原点のところからきょうはご議論いただいた方が我々の方も今後に向けての中身がブラッシュアップされていくかと思いましてそういう形にさせていただきました。
 今後、一、二回で今後の5年間、それ以上のものの方向性を決めていくというものですからすぐには結論は出ないかとは思いますが、きちっと先生方と調整させていただきながらまとめていきたいと思っています。
  1点だけ、先ほどから国、中核的センターになった場合、あるいはここの中に文言が書かれた場合、予算はつくのかつかないのかというご質問が何度か繰り返されてあったかと思います。事務的には非常に苦しい説明になってしまうのでなかなか答えなかったかとは思うんですが、基本的にこの第3期の基本計画という、あるいはそもそも第1期から始まりました基本計画というのは、こういう計画をつくって集中的に日本の政府の予算を科学技術に投資していこうというもので、したがって、ほかの計画とは違い投資目標が今回も25兆円というふうに書いてあるわけです。ただし、25兆円と書いたからには選択と集中によってこれをなし遂げていこうというのが基本的な予算に対する考え方なんですが、ここの中核的センターのみならず、いろんな形で中核的なものを指定し育成するという、ここに込められている意味は選択と集中ということもございます。したがいまして、予算が中核センターに指定したからそれで確実にふえるかというところは今からの財務省との関係、あるいは省内での位置づけによって変わるかと思いますが、少なくとも何もしないと何も起こらないというのが現実かと思います。我々もこの知的基盤というのは文部科学省のみならず、各省庁にとって非常に重要な政策課題だと考えておりますので、そこでどういう形で中核的センターを指定した方がいいのか、公募した方がいいのか、分野ごとそれぞれ目標も4つの分野で違うかと思いますので、そこをもう少し事務局も今後検討して皆さんとともにいい結論を出していきたいと思いますので、引き続きご指導お願いできたらと思います。本日はありがとうございます。

【主査】
 計画の改訂版は8月末の概算要求までにつくるというのがデッドラインでしょうか。

【事務局の発言】
 そうでございます。

【主査】
 8月末でございます。よろしくお願いいたします。
 また、大変熱い議論が続くかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

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