知的基盤整備委員会(第15回) 議事録

1.日時

平成18年2月17日(金曜日) 14時~16時

2.場所

古河ビル6階 F1会議室

3.出席者

委員

 澤岡、岩田、岡、奥野、久保田、合志、小原、齋藤、豊則、二瓶(正)、二瓶(好)、藤田、御園生各委員

文部科学省

 藤田大臣官房審議官、佐野研究環境・産業連携課長、堀内研究環境・産業連携課企画官、青木研究環境・産業連携課専門官

4.議事録

(◎:主査 ○:委員等 △:事務局の発言)

(1)先端計測分析技術・機器開発小委員会での審議内容について(報告)

(先端計測分析技術・機器開発小委員会での審議内容につき事務局より資料を基に説明の後、質疑)

主査
 今、小委員会の開催状況の報告がありましたが、委員長の二瓶先生、補足のコメントをお願いします。

委員等
 今、資料について詳しく説明いただいたが、この委員会の職掌する範囲について若干わかりにくい面があるかと思うので、少しつけ加えさせてもらう。
 参考資料1にあるように、本委員会の下に小委員会を設けて、その小委員会が先端計測分析技術・機器開発に関連する事業の総合的推進と、このプログラムが関連する内外状況の把握を行っている。事業の総合的推進には、先端計測分析機器の新しい事業を推進する部分がある。これは全く新しい仕組みのもとに2年前発足したものだが、そのほかにもJSTが実施しているクレストやさきがけなどの既存の事業の中に、先端計測分析機器関連の申請を受け入れて実行する部門がある。それと文部科学省本体が推進する事業もある。したがって、中身はちょっと複雑だが、この小委員会はその全体をまとめるというミッションであり、そのために年5回程度の委員会を開いている現状である。
 ただ、本委員会の長年にわたる実績と比べると、この小委員会はまだできて2年足らずであり、しかも計測分析機器という基盤的な分野に関して初めて、大きな国の予算のもとに研究計画を推進するというプログラムがスタートしたということもあり、1年目、2年目とわたって関連の先生方からご意見を承るとともに、このプログラムの今後の発展を考え、もろもろの議論をしているという位置づけである。
 本委員会においても、機器開発という部分は従来からあったと思うが、その部分がこういう形で核として成長したというふうにご理解いただいて、今後ともご支援賜りたいと考えている。

(2)知的基盤整備計画の見直しについて

(知的基盤整備計画の改定作業の今後のスケジュール、知的基盤各領域の整備達成状況、知的基盤整備計画の実績評価につき事務局より資料を基に説明の後、質疑)

委員等
 大学の知的基盤整備の実施状況についてパーセンテージが出ているが、これは、知的基盤整備を業としているところのみを当たって、それを100としたときに何パーセントがこういうことをしているかということか。それとも大学に広く聞いて出したのか。つまり大学は、知的基盤を持ってはいるが、必ずしも整備を目的としてはやっていない。または小さな規模でやっているかもしれない。そういうものも全部引っくるめての数字か。

事務局の発言
 大学については、すべての国立大学をアンケート対象として、この結果になっている。中には全く整備していないところもあるので、パーセンテージが低くなってしまうところがある。

主査
 今のフォローアップについては、アンケートを中心として、ある切り口で切ってみたらこのような数値、意見が出たということで、見方を変えると相当に違う結果が出てくるのではないかと思う。これからお伺いしたい点は、特に今伺って違和感を感じるとか、こんな案はちょっとひどいよと感じる点があればご指摘いただきたい。また、それぞれについて、今深入りすると収拾がつかなくなるので、これについては、この後、知的基盤整備計画の見直しを行っていくので、その過程でこのフォローアップをまた引っ張り出して比較しながら議論をしていくことになるかと思う。まず、今聞いた中で早目に指摘しておきたい点があれば、どうぞ。

委員等
 資料4でいろいろな数字が出ていて、これはアンケートで集めたということだが、「整備」という内容は、持っているということと、求めがあればきちんとその特性を出せるということと全然意味が違う。多分微生物などを見ると、大学の各施設、学科などで持っている数を集めるとこうなったのではないかと思うが、そこはきちんと精査しないといけないのではないか。この数字が外に出るのであれば少し心配である。ここの議論の中だけなら、これでいいと思うが。

主査
 今のフォローアップの数字は表に出るかということですね。

事務局の発言
 フォローアップ結果は数値を出す予定である。知的基盤整備計画のフォローアップは毎年行っており、毎年結果を公開しているので、今回についても出す予定である。

委員等
 そうすると、整備だから、我が国がこれだけ持っているのだから、それでいいではないかと言えばそうだが、これからは質が必要だというときに、この値自体の中身がかなり問われるのではないかと思う。一方で、きちんとやっているところは非常にやっており、何か水増しをしたという感じが物すごく強い。水増しというのは、いいところはきちんとやっているが、それ以外のところの数字が入って全体の数字としてはかなり増えているから、そこを突かれたときにどう扱うのかが、私は非常に不安だ。

主査
 この数字は、今日は仮置きということで、今の意見も踏まえて、次回と次々回の中で最終的にどう収れんさせるかということも含めて議論したいと思う。

委員等
 この数字の集め方については前から申し上げているが、誰かが一生懸命やって集めるよりも、電子的にすっきり集めて、ある種の客観的なデータが出るような仕組みをデザインした方が適切じゃないかと思う。
 もう一件は、2010年に世界最高水準といってやっているが、世界はどんどん動いているのに、その辺のところは、まるで配慮されていない感じがする。

委員等
 資金の方だが、少し違和感を持っているところは、例えば、この資料5-1の6ページ目に「2010年の戦略目標達成のために必要な資金の確保に努める」とある。それで、フォローアップ結果で、文科省はこれだけ出している、農水省はこれだけ出している、とある。国の方針はそれでいいのかもしれないが、実際整備をしている各機関が一体どれぐらい知的基盤整備にお金を投資しているのかということは全然把握していないのか。

事務局の発言
 データは集めていない。

委員等
 多分そっちの方が実情を反映してくるのだと思う。確かに国は、こういうプロジェクトに金を出しているということがよくわかるが、そのプロジェクトと関係のない領域の人たちも、それぞれ各機関で、ある意味身銭を切って努力しているはずだ。そういうことがさっぱりここには出てこないので、少し不満に感じる。

委員等
 資料5については、数字と関連して、それぞれの項目で、例えば関連意見ということで、どちらかというと肯定的な意見や、補強するような意見がリストアップされていると思うが、逆に数字が伸びていないところについて考えたときに、何か阻害要因みたいなものがアンケートからは読み取れないのか。

事務局の発言
 例えば人材の確保という話があったと思うが、その部分については、やはり資金がないので拡充できないという意見があった。例えば資料5-1の1ページ、「知的基盤整備に携わる人材の確保と、知的基盤の整備に対する貢献を適切に評価する堆積を構築」で、人材が十分に確保されているかという質問に対して、関連意見に、「プロジェクト終了後の雇用は確保できない。現在保有の生物遺伝資源をしっかりと整備して永続させるには保有微生物の専門知識を有する人材の確保が必要である」という意見があるように、プロジェクトが終了してしまうとお金がなくなって人が確保できないという意見はある。

主査
 今の点も非常に大事だと思うので、これからの議論の中で、その点も踏まえていきたいと思う。このようなデータを横目でにらみながら、知的基盤整備のこれから5年間の計画をこの夏までにつくりたいということで、資料6は、そのための目次と変更したい点をそれぞれ色分けして強調してあるので、事務局で今こういうことを考えているという説明をお伺いして、またご意見を伺いたいと思う。

(知的基盤整備計画目次新旧比較表(案)につき事務局より資料を基に説明の後、質疑)

主査
 それでは、ただいまの目次案をもとにご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

委員等
 まず、この知的基盤整備計画が最初にできたときというのは、1960年以降こういった計画がたくさんあったのだが、ある意味ですべて屍になってしまった。それをきちんと拾う人もいなくて、それをもう少しきちんと育ててやろうということでこの計画ができたのだと思うが、次の5年間については、今までの反省をしてみると、まだ新しいフェーズに入るようにはなっていない気がするので、国としての制度設計、各省庁の連携といったことをもう少しどこかで徹底的に議論してもいいのではないかと思う。
 重点目標とかいろいろなことをやると、それぞれの組織が利益代表になって自分の予算をとろうという感じになるので、結局はその調整だけに終わってしまって、全体としての戦略や、全体がより適切な方向へ向くための仕組みづくりをどうしても我々は見失ってしまうが、それが一番大事で、次の5年はそれを提案する場と位置づけた方がいいのではないかと感じる。
 国際的なところが幾つか書いてあったと思うが、例えばGBIFみたいなものが一体どのようなアメリカのポリシーで提案されてきて、それがヨーロッパの中、OECDのプロジェクトの中でどういうふうに評価され、現在においてどう展開しようとしているかというような、特定の失敗例なり成功例なりをベースに制度の研究をした上できちんと提案していくと、説得力のある提案になるのかなと思う。
 この間、情報学関連の学術会議に参加したが、各省庁の横の連携が今までどうしてもホチキスどめで終わってしまっていて、本当の意味での連携がしっかりできていない、産学でもかなりホチキスどめみたいな連携が多いが、本当の連携というものを何か具体的なミッションをもとに設計する必要があるのではないかというのが、学術会議で皆さん合意した現状認識である。

委員等
 ここの改定案から見ると、一番最初に、第3期科学技術基本計画に対して云々と書いてある。国の計画というのは、こういうふうに大上段にかぶったものがあって、それから動き出すような格好になっているが、変化の速い科学技術関係はうまくいかないことが多い。それはなぜかというと、最初の基本計画を議論するときに、たとえば、知的基盤整備の部分がどのぐらい議論されているかというと、ほとんど頭の中にない状態で動いているからである。そういう形でやっていると、いつも後始末的な計画しか出てこない。本当のフロンティアに出る計画をつくるには、あと5年ぐらいかけて、きちんとどういうシステムでやるべきかを検討するぐらい腹を据えてかかった方がいいと思う。知的基盤は、文字どおりにとればものすごく広い分野なので、アンケートを出して、頑張れと言って集めたもので動けるような、そんな軽い比重のものではない。
 ざっと見ても、例えば材料にしても、データベースにしても、森羅万象が全部入っている。すごく性質が違うものがここに一緒に入ってきているので、それを簡単にくくると、実際の有効性が失われてしまう可能性があるので、もう少し各項目が背景を含めて厚みのある実質的な計画になるように、少し時間をかけて検討した方がいい。
 例えば一例を挙げると、先端計測分析技術・機器開発事業の研究者からのニーズを酌んでという話だが、研究者にアンケートを出して、あるいは二、三回のヒアリングをして出てくる意見が適切なものかどうかは、全然保証がない。というのは、研究者からは現状でこれが必要だと思っていることが出てくることが多いわけだが、現状で出てくるものは、完全にもう過去のものになっているものしか出てこないわけで、そうすると、それを尊重して計画を立てれば、常に数年以上のおくれを持った計画しか立てられなくなってしまう。だから、本当の未来的に必要なもの、将来の基盤として必要なものによほどアクセントを置きながら計画を練っていかないと、この計画で整備されたころには、それはもう要らなくなってしまうというようなものを積み重ねていくおそれがある。必ずそうなるとは言わないが、それが非常に心配で、エネルギーをつぎ込むのであれば、いい方向につぎ込みたいという感じがする。

主査
 先生のおっしゃることをまともにやろうとすると、これは大変だ。やはり大変なことをやらなければだめで、もうそういう時期が来たということ。

委員等
 国の科学技術行政の流れの中で、この委員会の作業がどういう位置づけなのか。前回の整備計画をもとに、今回どういう整備計画をつくるかということはよく承知しているが、体制整備や、あり方の議論をかなりのページ数を使ってきちんと書き込まないといけない。今後の整備計画の基本方針を確立するために力になるような部分に最大限のウエートを置いた議論をすることが一番大事で、それ以外は、いくらきれいにまとめても実効性がない。現実にはお金がおりてこないとか、やる人がいないとか、そういうことが生じる。要するに、第3期の基本計画や、戦略重点技術分野について大勢の方が議論して、それが形に見えてくる。それが重点になるということは、政府の方針として決まっている。私どもが、そういうものと無関係にこういう議論をして、形はまとまっても実効性があるかというと、かなり心配だ。
 だから、5年後の整備計画はこういうふうに考えてやるべきだというぐらいのことを最初の3分の1ぐらいを使ってきちんと書いて、その後は、今皆さんがやっていることの中で、この委員会の職掌範囲に強く関係する部分を際立たせて、アドバイスする方がずっと実効性があるのではないかと思う。今までの構造をがらりと変えてしまうような発言で恐縮だが、やはりそのぐらい思い切って物を考えないと、こちらが先行して科学技術行政のポリシーを決めていくという立場をとれないような気がしてしようがない。

委員等
 知的基盤整備計画はかなり画期的なものだ。全計画がそれに基づいて、草の根ネットワークとして文科省でもかなり予算が使われて、不十分ではあるかもしれないが初めてネットワークができて、今、場合によっては中核センターもできるかもしれないということになっている。ただ、生物系の材料は、ころころと方向が変わると非常に大変なことになる。だから、2010年を見越してということなので、模様は変えていかないといけないかもしれないが、ある程度は継続するということをぜひご配慮いただきたい。せっかくこの基盤というところにお金がある程度来て、ネットワーク体制ができつつあるので、いいものはきちんと伸ばすという形でぜひ計画していただきたいというふうに思う。

(中核的センター(案)につき事務局より資料を基に説明の後、質疑)

委員等
 バイオリソースがメインになっているが、ここに書いてある中核というのは、リソースごとの中核というふうに考えていいのか。それに関して、今、文科省の枠組みの中では、ナショナルバイオリソースプロジェクトで、一応中核的な機関を決めているので、もうそれはできているというふうに思う。ただ、分散しているものもあるし、それが適宜集中化できるものはした方がよいからそうしようという議論が進んでいると思う。
 もう一つ、この役割の中の4番に研究開発というものがある。利用者ニーズや海外の整備状況を踏まえて、他機関と協力しながら独自のリソースを研究開発する。これは非常に微妙なところがある。結構なことだが、これをやると物すごく金がかかる。それをどう保証するのかということがある。研究開発とリソースは切っても切れないものだが、中核的な機関が研究も全部やるとなると、すべての研究をやることになる。そこまで含めるのは非常に結構だが、研究者側の研究費は十分ではないので、知的基盤整備のための経費の多くを研究に投入することになりかねない。それは非常に問題なので、まずは整備をしないといけないということで、リソースを集めて維持して、それを提供できる体制をつくることに特化して、新しいものの開発は研究でやってくださいというふうに、今のところはやっている。だから、このセンターではその辺のソフト的なところをうまくやらないと、メリットもあるが逆に使いにくくなる。組織が大きくなると、かえって難しくなることもあるので、そこはかなり議論が要るかと思う。

委員等
 この間聞いた話で印象的だったことは、クオリティーのいいサービスをしようとするとお金がかかる。そのお金はお客さんが払うのか、あるいは国が払うのか。でもだれかが払わなければいけないので、知的基盤においてクオリティーのいいサービスをしようとすると、どういうお金があって、そのお金をどう有効に利用したらいいかという基本的な前提条件が必要になる。それがないまま、こういうセンターが名前だけどんどん出てくるような方向にはしないで、できるだけ今ある組織を生かしながら、第一原則は、いいものほどお金がかかるということを忘れないようにするのが大事なのだろうと思う。それを怠ると、結局クオリティーの低いサービスがたくさん集まるわけだが、たくさん集まってもちっとも評価されないという感じになるので、最終的に全体のプロジェクトとして失敗していくんだろうと思う。

委員等
 ただいまの研究開発の点ですが、冒頭私は、知的基盤を知的創造基盤と読みかえる方向が非常に大事ではないかと申し上げた。そうすると、研究開発をみんなやって、それをしかもデータベース化する、一体化するというふうに受け取られるかもしれないが、そうではなくて、知的基盤の次の目標を常に明確にして共有するという営みなくしてデータベースの有効利用は多分ないだろうと。要するに後ろ向きじゃなくて前向きのデータベースづくりはやはり研究や開発など、とにかくこの文字を適切な形で残すべきだと思う。一般的な研究開発をここで全部やるという意味ではなくて、この中核センターの役割に切っても切れない関係の先行的研究をやる。検討と言ってもいいし戦略立案とも非常に近いが、そのあたりはかなり大事にしないと次が見えないという感じがする。

主査
 先生の持論で、創造的ということをいつもおっしゃられて、もっともだと思うが、次回の整備計画、2010年の世界最高水準の整備に向けてという言葉が、先ほどのフォローアップの数字などを見ているとそらぞらしいというか、ちょっと使えない。使えないとすると、サブタイトルの中で創造的・知的何とかを求めてとか、大変いいキーワードをいただいたので、言葉だけの遊びではなくて、やはりどこかで生かすようなことが重要かと思う。

委員等
 2010年に目標値を設定して、その数値目標が達成されたときに、膨大な研究用材料が集まる。それがすべてアクティブに研究に活用されるわけでは多分ないのだろうと思う。だから、種の多様性と種内の遺伝的多様性をとりあえずカバーすると考えられる総体としての研究材料を確保して、次に研究に本当にアクティブに使われる材料を整備して提供するというステップが必要になってくるだろうと思う。そのときに、そのために必要な研究という位置づけで研究開発の部分を規定した方がいいのではないか。先ほど言った膨大な量を安定的に保存するためには、超低温保存等も含めた保存法の開発も必要だし、ゲノム情報を付加した研究用材料としてより使いやすいような形に研究材料をつくり上げるというような開発研究も必要なので、そういうところをきちんと規定して、研究開発はこういう中身なんだということをきちんと書くべきではないかと思う。

委員等
 私の持論で、実はリソースセンターというのは学問の中心であると考えている。生物系は、学問をするためにはリソースが要って、リソースが出てきて、それを好循環で使って初めて新しい分野が開ける。よって、外国でもそうだが、実はリソースセンターは学問の最先端である。最先端だからオーソリティーがいて遺伝子の名前をつけたりできる。そういう風になっていかなければならないというのが持論なので、リソースを本当にうまく使えるようにする技術についてはぜひ研究開発すべきだと考えている。ただ、ゲノム情報などはリソースの中で一番重要だが、研究を重視するとゲノムプロジェクトになってしまって、本末転倒になってしまうということがあるので、そこは少し文言的に注意した方がいいという意味だ。全く研究開発はすべきだと思っている。

委員等
 私どもがやっている知的基盤整備の立場から、こういうこともお考えいただきたいということを申し上げたい。私どもがやっているのは、微生物をなるべく素性よくして集めておくということを主体にしていて、研究開発のプロダクトを集めているのではなくて、サンプルを集めることを第一義に考えている。だから、研究といっても、集めたものについてどういうものがいい知的基盤になり得るかという立場から研究しているので、そういう立場もお考えいただきたい。
 それと、私どもはバイオをやっているが、対象のねらいも若干このバイオリソースセンターとは違っていると思うので、そのあたりもご配慮されて議論していただきたい。
 それと、ここでの議論での知的基盤、あるいは知的基盤整備計画における知的基盤の定義もそうかと思うが、知的創造活動、つまり研究活動の成果として出てきたものを知的基盤として整備するという感じが強い。我々の場合だと、知的基盤を整備することを目的に物を集めたり情報を集めたりしているということもあるので、そういうことも包含するような形でご議論いただけると、我々としてはありがたいと思う。

主査
 毎年類似のフォローアップが行われているわけだが、仮置きにしましょうと言ったが、どこかで腹を決めて、ことしのフォローアップとしてそのデータを残し、しかるべきところに公表しなければいけないわけだが、それは4月の委員会では遅過ぎるのか。

事務局の発言
 できれば3月中にしたい。

主査
 きょうは本年度最後なので決めておきたい。この数値というのは、先ほど指摘があったように、調査のやり方によって変わってくる。大きな大学になると全体に目が届かないので、多分学部のどこに聞いたかが問題になる。数値を集計することは重要だと思うが、その出てきた数字をもってABCDと評価するのは、ひとり歩きしちゃうのではないか。こういう過程で調査したら、こういう数字が出ましたよ、まではいいが、それがABCDで評価まで書くというのは、ちょっとやり過ぎじゃないかなと思う。

事務局の発言
 調査結果は、単に数字を書くだけであり、ABCDは今まで載せたことはありませんし、今回も載せる予定はありません。

主査
 そうですか。それであれば、今の調査がどういうふうな調査であって、場合によってはどこかに、この調査ではこういう問題点が生まれているということを示しながら数字だけ出すのはいいと思うが、ABCDにおいては少し問題をはらんでいると思う。

委員等
 関連するが、先ほどの計画の実績評価の説明で、パーセンテージが低いのは進んでいないという発言があったが、これは必ずしもそうじゃなくて、100になるはずがないものがこの中にいっぱいある。大学だったら、整備する必要のない大学はしていなくて当たり前だから、パーセンテージが低いから直ちに進んでいないと言うのはおかしいので、分析は少し必要かと思う。それから、実績評価に関連するコメントが他にもあると思うので、その辺の分析をすれば、これは使い物になると思うし、有用な材料だと思う

委員等
 そのことに関して非常に極端な言い方をすると、日本でほんの1大学でしっかりやればよくて、ほかはやらなくてもいいというものと、それから、もう方々の大学でみんな持っていなくちゃいけないというものとがあるわけだが、その辺が必ずしも浮かんでこないので、少しひとり歩きが心配だ。

主査
 例えば最後に数ページを費やして、この調査を読むための注意点、視点というようなものを前書きと後ろぶりに少し加えて、それで、この中で誤解を与えそうな字句については修正する。そしてABCDをつけないということで、3月中にどうしてもけりをつけなければいけないのなら、つくってもらって何らかの方法で関連のところだけはお目通しくださいということで、そこで大きな問題がなければ、私と副主査の方にお任せいただいて、今年度はそれでけりをつけるという形にさせていただきたい。
 それでは、きょう全部を振り返って、今後どうするか。

事務局の発言
 きょう初めて参加した。いろいろご意見をいただいたが、二、三の点について、皆さんと我々、共通にしておかなければいけない点があると思い、一言だけ申し上げさせていただきたい。
 お手元に、総合科学技術会議の「科学技術に関する基本政策について」という冊子がある。これは今までの科学技術・学術審議会の議論に基づいて、36ページと37ページに「知的基盤整備」についてまとめてある。36ページの(2)のところに「知的基盤の整備」というのがあって、その(2)のところが今回の整備計画の見直しに関係することかと思う。この基本計画をつくるに当たっては、この委員会、あるいは科学技術・学術審議会の答申を踏まえてこれがつくられているという形になっている。したがって、今後、既にここに方向が出されているので、この方向に基づいた形で整備計画を見直していただくしかない。この計画がつくられた後、今後4年、あるいは5年かけて次の基本計画に向けて、この委員会でどうあるべきかということを議論していただくことになるのかと思っている。その上でこの整備計画のフォローアップの仕方も、このままでいいのかということもあろうかと思うし、フォローアップの仕方で今後の方針が見えてくることもあるので、ぜひ、ここに書いてある36、37ページの方針に従って、今後、計画を見直していただきたい。この36、37ページに書いてあることは、基本的には今までの量的観点から質的観点を入れた形の指標を入れることによって、整備計画も見直して選択と集中を進めるんだということ。つまり、今までの継続性は担保しつつ、そこに選択と集中によって世界最高水準の整備を行うということ。次の37ページでは、中核センターを指定して育成することによってニーズを把握するのと、関係機関との連携、所在、技術情報の集積、発信、知的財産等に関する検討というのを中核センターにやっていただくということ。あと、この2パラ、3パラ、4パラは公的機関や大学の役割が書いてあるところで、最後に計量表示について書いてあるということなので、まずはこの方針に従って見直しの案を次回出させていただきたいと思っている。
 さらに、この基本計画と整備計画の間に当然タイムラグがあるので、ぜひこれは入れておいた方がいいということがあれば、もちろん入れていくが、短期的に報告書をまとめることと将来的なことをぜひ、分けてご議論いただけると非常にありがたいと思うし、この分野というのは、時間がたつと派手な分野から取り残されてしまうこともあるので、きちんとこの委員会において、この計画が仮に7月にできたとしても、さらにそれをフォローアップしていくという機能を強めていくように事務局としても頑張っていきたいと思うので、どうかご協力の方をお願いできたらと思う。

主査
 課長、ありがとうございます。

委員等
 今の文科省の施策としてナショナルバイオリソースプロジェクトをやっているが、それはまさにこういう方向で進んでいると思っているが、そういう認識でよいか。

事務局の発言
 全くそのとおりです。

委員等
 ナショナルバイオリソースプロジェクトをもう少し戦略的にやるというのは、僕はいいと思う。

事務局の発言
 かなりの部分、前回の基本計画、つまりこの基本計画とか、この知的基盤整備計画ができたおかげで、日本全体として方向は、先生方のご努力のおかげで相当見えてきていると思います。その目をやはり継続する部分と、一方では、科学技術全体なんですが、選択と集中ということもあるので、その目でもう一度見直していただけたらというのがお願いである。

委員等
 先ほどの中核的センターの話だが、今、バイオリソースプロジェクトでやっているものは、中核的機関がたくさんできているが、その選択と集中を進めるということを想定しているのか。ちょっとイメージがわからない。バイオリソース全体をやるようなもっと大きなものをつくっていくことを考えているのか。

事務局の発言
 中核的センターも種類がいろいろあり、今おっしゃられたところは、どちらかというとアイデアルな、ターゲットにすべきようなセンターになりつつあると思っている。その上で、さらにそれを強化すべき点があれば強化するというふうな認識である。

主査
 この委員会は大変自由に発言させていただいているので、総合科学技術会議の報告書というのは、ちょっと甘ったるい、粉砕してもっといいものをつくれというような意見をどんどん言うが、決して粉砕はしない。この報告書は報告書として踏まえて、さらに先を考えたときに、サブの何かガイドラインを別途なるべく早くつくって、それを併用して実行としてどうやったらうまく運用できるかというようなことを提案していくので、その仕組みの方は事務局の方で考えていただくということで、よろしくお願いします。
 それでは、きょうはどうもありがとうございました。

以上

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課

(研究振興局研究環境・産業連携課)