知的基盤整備委員会(第5回) 議事録

1.日時

平成16年2月20日(金曜日) 10時~12時

2.場所

三田共用会議所 3階 大会議室

3.出席者

委員

 澤岡、飯塚、井戸、岩田、岩渕、大島、岡、小野、河盛、黒木、小原、齋藤(宗)、二瓶、根岸、平木各委員

文部科学省

 丸山研究振興局審議官、田中研究環境・産業連携課長、戸谷ライフサイエンス課長、米倉基礎基盤研究課長、三浦情報課長、金子研究環境・産業連携課課長補佐、杉江研究環境・産業連携課専門官

オブザーバー

 徳増経済産業省産業技術環境局知的基盤課長
有職者
 西川独立行政法人国立環境研究所環境研究基盤技術ラボラトリー環境分析化学研究室長

4.議事録

(◎:主査 ○:委員等 △:事務局の発言)

(1)知的基盤整備計画のフォローアップについて

(資料1から5に基づき事務局から説明の後、自由討議が行われた。)

主査
 動物細胞の保有数はこの1年で急増したとあるが、この急増の意味は、ほんとうに新しいデータがとられた純増という意味か、ここに登録されたという意味なのか。

事務局の発言
 アンケート調査の限界のところはあるが、御指摘のとおり2とおりのパターンがあり、以前からものはあったが、この公開資料に載せていいということで認識されたものと、この1年間で増えたという面の両方あると思う。

事務局の発言
 増えた大きな要因として、知的基盤整備委員会でいろいろ御指摘いただき、その後、特に文部科学省中心にバイオリソース・プロジェクトで中核機関を作り、保存から提供までの体制づくりをした。それが全体にもこういうことの重要さを認識して報告をいただいたということもあるし、それによって新たに保存された動物細胞も随分多いと認識している。

委員等
 計測方法、機器の整備状況については、景気が悪いので少し足踏みをしているのではないかと思う。また、重要な機器で集計表にあがっていない機器があり、これから本当に整備していかなければならないものをもう少しピックアップしていただきたい。

委員等
 資料3-4の個々のデータベースについて、データ数が平成14年度と15年度で全く変わっていないものと順調に増大しているものがあるが、どのように考えているのか。

事務局の発言
 各機関のアンケート回答を集計したものであり、詳しく調査していないが、既存のデータをリバイスしていて、データ数は変わっていないというものもあると考えられる。

事務局の発言
 データベースは管理する人と資金が必要になる。データベースを支援する諸々の環境ということも見ていかなければいけないと思っている。

委員等
 データベースについて生物系に限れば、ポストゲノムの時代に入って、遺伝子のデータに機能付加ということが重要になってきている。データの中身は増えているが、件数としては1件と数えていると思われるので、そのあたりの定義をはっきりさせて比較できるようにした方が、議論しやすいのではないか。

委員等
 2010年時点で世界最高水準という目標であったが、世界の現状をどのように調査し、日本の位置づけはどのような状況にあるのか。

事務局の発言
 知的基盤整備計画の作成時に調査したホームページ等で外国のデータベースを調査した範囲では、リバイスされていないのかわからないが、数字は変わっていないため、今回は特にデータを示さなかった。
  次回までには、調査の方法も含めて検討したいと考えている。

委員等
 知的基盤は使われてこそ価値があるという側面が非常に強い。整備した数だけでなく、例えば、データベースならばアクセス件数がどのくらいあったかということも重要な調査の対象としてもよいのではないか。
  2010年の目標について、日本にいるユーザーが、欧米にいるユーザーに比べて十分な利便性が得られるというのが一つの目標であると思う。そのような視点を入れて、2010年の目標の意味づけをしていただきたい。

事務局の発言
 御指摘の点は、事務局としても問題意識を持っている。現在のところは、数値目標があり、それに対して現状はどうなっているかという数字を報告している。
  知的基盤整備計画の中にも、利用者にとっての利便性について、きちんとした取り組みが必要であるということが書かれており、具体的にそれをどうやって把握し、実施に移していくかということについても今後の問題としてご検討いただければありがたいと考えている。

委員等
 資料2の最後のグラフで、一番増加していると思われるゲノムの配列データベースだけが2010年の目標に対する直線以下だというのは何か問題点があるような気がするが、いかがか。

事務局の発言
 ゲノムの配列データベースというのは飛躍的に伸びていると考えており、事務局としても少し意外に感じている。

委員等
 日本のデータバンクであるDDBJに1年間に登録されたものの数としては、確実に増えてきている。

事務局の発言
 2010年の最終目標である年間6,000Mbps(メガビット・パー・セコンド)からすると、2001年600Mbps(メガビット・パー・セコンド)をスタートとして、2002年940Mbps(メガビット・パー・セコンド)、2003年1020Mbps(メガビット・パー・セコンド)という推移は、伸び率としてそんなに多くなっていない。

主査
 このデータについては、事務局でもう一度確認していただきたい。

委員等
 計測方法・計測機器等に関する資料3-3の3ページ目にある研究数と研究者数は、大学も含めた国の機関だけなのか、民間を含めた数字なのか。

事務局の発言
 これは国立大学、独立行政法人の2つのカテゴリーにアンケート調査をして、そこで計測方法、計測機器の研究をしている研究数、研究者数を集計したもので、産業界は入っていない。
  本日の資料の様々な数値には、産業界は入っていない。これは、知的基盤整備計画では、他では整備しにくいというものについて国が取り組むべきということで、数値目標が設定されている。従って、今回の資料についても、国が今保有している微生物数とかデータベース数という数字を示している。

委員等
 こういう情報の集め方というのはものすごく大変で、しかも、精度の高い統計を出すのはほとんど不可能に近いのだろうと思う。
 調査の仕方、あるいは統計の出し方そのものをもう少し変えていかないと、ほんとうの知的基盤の現状を把握するためのきちっとしたデータが出てこない。当然、それに基づいて行われるフォローアップそのものの精度もよくならない。そういう体制についても知的基盤をどういうふうにしっかり理解するか、あるいは状況を把握するかというあたりのところをきちっと考えたほうがいいと思う。

主査
 数値目標をいろいろな分野が掲げたときに次元が違い、それを1つの見方で輪切りにするということ自体、無謀に近い挑戦を我々はやっているわけであるので、次期のときには分野ごとに切り口を変えるとか、いろいろな手法が多分あると思うので、それについてはこれからまた意見を伺いたいと思っている。
 今年のフォローアップについては文書として示す必要があるので、ここまで、いろいろ伺った意見を参考に、さらに皆様の意見を追加した形で仕上げていきたいと思っている。意見など、さらに気づいた点をメール等で事務局へお寄せ願いたい。それをまとめて最終案をつくり、またフィードバックさせていただくといことで、そこまでの段階は主査のほうにお任せいただくという形で進めさせていただきたいと思うが、よろしいか。

委員等
 委員一同了承

主査
 知的基盤の整備に関する今後の検討に当たっての考えを事務局から説明いただきたい。

事務局の発言
 平成13年8月に策定していただいた知的基盤整備計画では、その実施の手順という格好で整備計画を掲げていただいた。しかしながら、数値目標の掲げ方そのもの、あるいは対象ということについても今の時点に立ってみると改めて不十分な点があるのではないだろうかということから、幅広くご議論いただきたいと思っている。
 1つは、利用者にとっての知的基盤ということがほんとうにうまく働いているのかどうかということが大事ではないだろうかということである。活用という観点から整備計画をつくっていくことがやはり必要なのではないだろうか。そのためには、つくる側ということではなくて、使う側のニーズは一体どういうところにあるのか、あるいは、そういうニーズを把握した上でどういうことをやっていくべきなのかということについてきちんとした議論を積み重ね、必要なものは打ち出すことが重要ではないだろうかと思っている。
 2点目は、研究を支える大型共同利用の施設をどうやって整備していくのか、それを共同利用化していく環境のためにはどうしていったらいいのかということを、ご検討いただく必要があるのではないかと思っている。そのためには、実際のニーズはどの辺にあるのか、そして、整備を進めていくに当たっては、どういうことを基本ポリシーとして考えていく必要があるのか、共同利用化のためのルールをどうしていくのかということをご検討いただく必要があるのではないだろうかと思っている。
 3点目は、戦略目標についての内容をどうしていくのかということである。現在は、数値目標をまず掲げて、それを達成しようという方式で、それは1つの施策のやり方、あるいは計画のつくり方として大事である。しかし、そうではないやり方も少しお考えいただく必要があるのではないだろうかと思っている。どのぐらい使われているのかということについてもう少し数値化をするとか、あるいは国際的な中での日本の知的基盤について、どういう整備方針を考えていくのか。国際的なものに対しての標準化についても、計量標準のみならず、いろいろな知的基盤についての標準化を打って出るためには法的な整備とか、そういうことについての取り組みが必要ではないだろうかと思っている。
 4番目は、我が国で研究活動を進めるときに、知的基盤を全部自前で持つことも理想的にはあるが、必ずしもそういうようなことにはならないのではないだろうか。そのときに相互依存でありながらも日本の主体性がきちんと主張できる、そういう我が国の知的基盤を整備する必要があるのではないだろうかと思っている。そのためには日本の強い点、あるいはすぐれたポテンシャルがあるところに特化するというのも一つの考え方かもしれないけれども、国際的視野の中で見たときの日本の知的基盤について、どこの分野で世界最高水準のものを達成するのかということをご検討いただくのが必要ではないだろうか。そのときには国際的なルールについても頭に入れて、必要な計画を立てていただくということが重要ではないだろうかと思っている。

委員等
 経産省での問題意識について追加で2点紹介する。
 1点は、利用・活用について、使いやすい、あるいは使うというところに資源配分がなされて、使いやすくする、あるいは提供するところにモチベーションが沸くというシステムをぜひ考えていくべきではないかと考えている。
 そのためには、データがどれだけ整ったかではなくて、どのぐらい利用されているかということも網羅的は難しいかもしれないが、何らかの例題とかで現状を示していかないと、社会的にはなかなか受け入れが難しいかと思っている。
 2点目は、計測機器等の研究開発がこの委員会での取り組み、計画への盛り込み等を背景として大変進んできていることは大変いいことであろうと思っているが、いい研究ができたから、それが市場を獲得するとか、世界的な標準の計測技術になることとはまた別の視点がある。技術の有用性と、それを普遍的に世の中に浸透させていくための取り組みが必ずしも同一ではなくて並行して別の視点で進めなければいけない。特に計量標準というところと絡んでくるけれども、ある機械をつくったときに、その絶対的価値を構成し評価するための標準物質であるとか計量技術といったものがないと、その機器の有用性というものを普遍的に示していくことがなかなかできないということで、研究開発が終わってからということではなくて、並行して進めるという視点も重要である。

委員等
 知的基盤の最初のプロジェクトが始まったときには、かなりの予算を出して、いろいろなところを整備しようということが行われていたけれども、今度、いろいろな問題点が明らかになったら、例えば機器の開発というところに重点的にある程度予算をつけて、それをサポートするなど、産業化までもう少しというところに来ているものには、それを後押しするという施策があってもいいのではないかと思う。

主査
 このことについては後ほどまたワーキング・グループをつくるということであるが、ここで機器開発のプロジェクトについて少し説明いただきたい。

事務局の発言
 平成16年度、文部科学省として先端計測・分析機器のプロジェクトについて重点的な資源配分をすることを今の予算案に盛り込んでいる。全体としては、研究者の方々が何を使いたいと思っているのかということをきちんと把握した上で、使っていただけるような機器で、しかも、世界最先端の機器を開発していく。それを通して日本の創造的な研究がよりよく、加速的に進められるようにしたいと思っている。
 創造的な研究は、こういった世界最先端の独創的な機器によって支えられると我々は考えており、そのための経費として、純増として50億円を投下し、全体として85億円のプログラムを平成16年度に実施したいと思っている。実施機関の多くは、JST(科学技術振興機構)に担っていただき、そこでは芽が出そうなものをきちんとプロトタイプまでつくって、それを実用に供していくところまで一貫したプログラムを進めると同時に、若干基礎的なものからもあわせて進められるようにということでJSTの経費として64億円を集中的に投下するというものである。

主査
 関係の方は十分認識されて、いろいろ検討中だと思う。最先端の機器は研究者がまず考えて使って、これはいいということでスタートするわけであるけれども、それを市場に出してビジネスにするというのはまたものすごい大きなギャップがあり、そこのところをどうやって乗り越えるのかというのは全く違ったセンスが必要である。そこのところはオールジャパンで何とかして乗り越えなければいけないのだろうと思い、そのための検討委員会をつくるという提案が最後にあると理解している。

委員等
 知的基盤整備に関する予算、あるいはプロジェクトの数は随分増えてきたのだろうと思うが、ある意味で質的な変化はまだ起きてないという気がする。質的な変化の例として、ドイツのマックスプランクのアプローチで、研究開発情報をすべてデジタル化するというプロジェクトが政府関係者も含めて開始されようとしている。一番のポイントは、すべての研究は、研究して論文を書いておしまいではなく、デジタル資源にして人に活用されるようになって初めて研究は終了するという大きなフィロソフィーのチェンジというか、ポリシーの変革を行い、それに基づいてきちんとした考え方をそこに設定して、それをもとにドイツそのものの科学技術のリーダーシップをきちんと確保しようとしていることである。さらに開発途上国などで、せっかくいい研究があるのにデジタル化できないとか、あるいは世界に対してオープンにできないことに関してもドイツがケアをする。そのぐらいまで踏み込んだ国際的なリーダーシップのとり方をいろいろ具体的に進めているので、そういう視点の変換が大事なのかと思う。
 スピード感とか鮮度とかクオリティといったところの欠落が、何となく漫然とやっているという仕事のやり方になっているかと思うので、その辺のところを改良するためにどうしたらいいかというのは非常に大きな問題だと思う。1つは、できるだけ具体的な事例で、知的基盤の材料だけではなくて、試験方法、標準、データベースといったそれぞれのものがどういうふうに戦略的に統合されて、社会に対していいアウトプット、あるいはアウトカムを出すかというところが非常に大事だと思う。その辺の使い方の見本となるような例をきちっと準備したらどうかと思う。
 ロングタームで言うと、標準について、標準は単にだれかに標準を守らせるというだけではなくて、世界のマーケットの中で標準プラスプロダクトつまり標準と製品をあわせて、日本の経済力、あるいは技術力を世界に対してどうやってアピールしていくか、その辺のところのしっかりした具体的な目標をある程度意識しながら進めてはどうかと思う。
 さらにはロングタームで環境の話があるだろうと思う。非常に辛抱強く、いろいろな視点で議論しなければいけないし、単にプロトコルが出てきたからといって何となく一斉に進むというのではなくて、データの精度とかモデルの精度をきちっと意識して国の意思決定をするようなアメリカ並みの1つのセンスが必要なのかと思う。
 日本という国の国力にもよるが、米国ほど国力がないわけだから、日本としてほんとうに大事な知的基盤をどういうふうに有機的に、しかも、できるだけアウトカムがある形で整備するか、その辺の凡例づくりをそろそろやらないと、数値目標倒れに終わってしまうのではないかという感じがする。

委員等
 事務局からの報告にあったようにデータも随分上昇し、蓄積ができているというところであるが、2010年の目標達成という掛け声が途切れた途端にしぼんでしまうというのではまずいと思う。先ほどのドイツのように、広く研究者から自然に集まってくるというような、むしろカルチャーの変革ぐらいのかなり大きな話が必要だと思う。
 そのときに、日本になぜ知的基盤がなくて、今まで非常に乏しい状態かというと、成果の評価が適切にできていないということがある。これからやっていかなければならないことの1つとして利用者の利便性、そこに立った知的基盤の評価軸を設定し、いい知的基盤は何なのであるという評価軸を我々が出していくことが大事なのではないかと考える。さらに、その先にそれをつくった研究者の評価があり、それを一体にしていくと、何かカルチャーの変革にまで行き着くのではないかと思う。

委員等
 特に標準化プラスプロダクトという指摘があったが、経済産業省が標準化戦略というものを出しており、国が目指す新しい機能性の材料というものについて、それぞれいろいろな試験方法、あるいはその評価を分析する方法が1つの試験方法という形でプロトコルにまとまれば、同時にJIS化、あるいはISO化という形で標準化という知恵を獲得し、それに付属する新しく開発された分析機器、評価機器といったものも世界標準になり得るということもある。JIS化、ISO化、あるいはOECDのガイドラインに織り込むというところまで視野に置いた形でやって初めて出口がまとまると感じるので、そういうところの事業との連携も1つ考えられるのではないかと思う。

委員等
 データベースを実際にのぞいてみると、使いよい、悪いというのはあると思うが、それは登録のルールがまずはっきりしていないということがある。例えば書籍であれば書籍の大分類、中分類、小分類という形でルールができている。主な項目について、例えばマウスとかシロイヌナズナ、あるいは稲という各項目について大きな分類で、センター・オブ・データベースというのを決め、そこにはデータベース担当の専任の人がいる。そこへ登録すると、そこから初めてデータベースに載せられる。そうしたデータベースの管理元ではどういう分類で、あるいはどういう登録の仕方をしてデータベース化していくかというのを決めていく、あるいは相互のデータベースのセンターごとに連絡会を持って、一定のレベル、あるいは登録基準をルール化していくということでもしないと、研究者にそういったガイドラインを出しても、おそらく守るというのは非常に難しいのではないかと思う。また、そこに登録されれば、そこで研究機関、あるいは産業と登録者名が記録されていくということで質を高め、また分類的にはっきりしていかないと使う側としては非常に難しいと思う。
 2番目に、大型の共同施設については使う側から言うと、当然、秘匿性ということで、自分たちが今何をやっているかというのが同じ共同施設でやっていると自然とわかってしまって、産業側としては便利だけれども、困る場合もある。その辺をどういうふうに対処するかというのがないと、せっかく大型の共同施設があっても、ほんとうにホットな分野では扱いにくいのではないかと思う。

委員等
 標準化戦略について、簡単に補足をさせていただく。経済産業省としても大きな方向転換の1つとして、標準化戦略というものをつくり、当省が実施している主要研究開発プロジェクトすべてにそういう視点を入れるべきとしている。国としてやる以上は、それが国際競争力の強化に資さないと意味がないわけであり、それを今、すべてのプロジェクトに導入、その価値観を入れるということを既に実施している。加えて、産総研の中でも標準化ポリシーを研究所全体としての研究開発の理念の中の1つの大きな柱として導入した。さらには、実施機関である新エネルギー産業技術開発機構(NEDO)では、研究開発のマネジメントにおいても標準化ということを研究開発の振興とあわせてやるということで、新しい方向性を今、打ち出している。経済産業省全体の研究開発の中において、そういった国際的プロトコルをとっていくという思想が研究開発と並行して重要であるということを今盛り込んでいるところである。
 センター・オブ・データベースは本当に必要だろうと思う。今、微生物については経済産業省の独立行政法人製品評価技術基盤機構のもとにバイオリソースセンターというものをつくり、それがセンター・オブ・データベースになるべく努力をしている。日本の国内に今、25の大学及び機関が微生物資源を保存しているが、ユーザーにとってみると、全部書き方が異なる。統一的には調べられない。それぞれがばらばらである。大学等においてはデータを集める力はあるけれども、提供する能力はなく、資源がないというところもいっぱい存在している。

委員等
 第1点目に、計測機器について、単なる売り上げではなくて、日本のオリジナルな発想の製品がどのぐらい出ているかというところがやはり一番問題なのではないかと思う。そうすると、もっとシェアは下がるのかと予想され、その辺の危機感を持っている。また、計測機器の研究開発について、もう少し実用化レベルに近いところまで資金が流れるというのは私も非常に大事だと思うけれども、最後の商品化のところは、どうしてもベンチャーをもっと育てないといけないのではないかと思うので、そこのところは政策的にうまくセットしていただくことを考えていくべきだろうと思う。
 第2点目に、データベースとか計量標準について、活用に当たっての課題抽出ということをぜひ検討いただきたい。国がこれだけ税金を使ってつくったものであるから、安く使えなければいけないという意見がある一方、それを提供する側というのはコストがかかり、そこのところは民間が結構役割を果たしている。そのときにあまり国が高いことを言うと困るということと、逆に言えば、どうせ国からもらったものだろうということで、安く出してよと言われてもなかなかそうはいかないわけで、そこのバランスをどういうふうにするか。結局、税金によるアクティビティーの対価と知的財産の問題、もう一つは透明性はどうしても確保しなければいけない。知的財産と標準化のバランスが全部の国際戦略の検討の中で包括的に議論されなければいけないだろうと考える。
 それから第3点目に、ニーズがあるものについてやるということであるが、これは単なる数ではなくて質的な問題。特に先端であると、非常に狭い利用者であっても、このような機器が要る、あるいはこのような標準が要るという話が当然出てくると思う。その点は数だけではない考慮をぜひお願いしたいと思っている。

委員等
 先端のサイエンスは基盤を共有しないといけないから、新しい分野が開けるとか、新しい系をつくるという場合には必ず基盤ができる。知識の集まり、リソースの集まりでなかったら、その分野は進まないわけで、実はそうやって先端のサイエンスは起こってきた。従って、知的基盤、リソースというものは下支えではなくて、実は先端のところに乗っているというのが理想である。それがデファクトスタンダードになっていて、逆に日本にそれがないと言われると、先端のサイエンスがなかったとはいわないけれども、後追いになったということがやっぱり大きな原因ではないかと思う。一方、例えばヒト完全長cDNAに関しては、日本で初めてやったものである。それに関してはリソースが国際的に求められており、我が国発としてデファクトスタンダードになっている。
 知的基盤リソースには2種類あり、1つは旬のリソースということ、もう1つは非常に長期的に持たないといけない、つまり、使うかどうかわからないけれども、持っていないといけないというものである。まさに今研究しており、質が少々悪くても、使うほうが責任を持つというリソースと、すぐには役に立たないけれども、やはり持ちましょうという2つがあり、そのバランスをどうするかということが問題である。
 もちろんコストはかかるから、そこの決断は非常に難しいけれども、どちらをとるのか、これは国のポリシーみたいなものにかかわってくると思う。日本ですべてのことをやる必要は全くないわけであるから、国産で出てきたユニークなものをむしろ積極的にサポートする。その辺がうまくいくと、投入した額に見合う結果を知的基盤で得るのではないかと思っている。

委員等
 利用あるいは活用を十分検討しつつ整備を行う。これももっともなのであるが、ようやく知的基盤というところに目が向いてきて、ある意味では地味な部分に目が向いてきている中で、利用・活用ということを単純な基準、例えば利用回数というものでやってしまうと、長期的な視点がどうしても抜けがちにならないかと思う。知的基盤そのものの評価基準自体をもう少し真剣に議論すべきだろうと思う。どういうニーズに基づいて、どういう利用があり、したがって、こういうふうな整備が必要であるという論理づけをきちんと議論を重ねていかないと、単純な利活用戦略ということになると、どうしても短期的な視点だけで、あまり使われないものからやめていこうということになりがちな心配があるので、その辺の知的基盤自身の評価基準に対する議論をぜひ進めていただきたいと思う。

委員等
 機器開発について、研究者というのは、自分だけのための技術開発をしたいというところもあるから、それがどのぐらい利用されるか、どのぐらい市場価値として今後利用されていくかという事前の調査は今後やるべきだと思う。
 それなくして、この技術はごく近い出口のところにあるから、これにあと幾らお金をかければ日本発の世界に誇れる技術ができると言っても、ある少数の研究者だけは使うかもしれないけれども、それがほとんど利用されないようなこともあり、もちろん技術開発、機器開発であるから、いずれ何かのときに役立つだろうという長期的な見方もある。しかし、限られた資金の中で機器開発をするわけであるから、めり張りのいい投資をするべきだということを考える必要がある。
 それはデータベースの場合も全く同じだと思う。何でもかんでもやるということではなくて、限られた資金であるから、日本がやらなければならないのは何なのかということをきちんと決めてやるべきだと私は感じている。

主査
 次の委員会あたりから、日本はここを中心にやるべきだという具体的な意見を議論していく場になっていかなければいけないと思う。
 先ほど大型施設利用者に対する成果非公開の保証という話が出たが、特に民間利用の場合の守秘義務について、播磨のSPring-8などでは、利用料金を変えることによって非公開を保証するという制度ができているように思うので、将来、その辺の調査なども含めて、いろいろご提案いただきたいと思う。

(2)ワーキング・グループ、小委員会の設置について

主査
 議事の2番目として、ワーキング・グループ、小委員会の設置について、ご提案の趣旨を説明いただきたい。

(資料6について事務局から説明)

主査
 まずは運営規則を小委員会、ワーキング・グループを設置できるように変えさせていただきたいという提案である。何か不都合な点、その他意見があれば発言願いたい。

委員等
 委員意見なし。

主査
 それでは、資料6に基づき運営規則をワーキング・グループ、小委員会などが設置できる形に変えさせていただくことについて、この委員会の了承を得たということにしてよろいしか。

委員等
 委員一同了承

主査
 これに基づき、資料7でどのような小委員会かということを説明いただきたい。

(資料7について事務局から説明)

主査
 この委員会設置の提案について、目的、検討事項など、御意見をいただきたい。

委員等
 参考資料1-3にプロジェクトの推進の資料があるがあるが、JSTとこの委員会との関係はどのように整理されているのか。開発推進委員会(仮称)とあるが、これとはどういう関係になるのか。

事務局の発言
 資料にある開発推進委員会(仮称)というものが今回お決めいただきたいと思っている小委員会のイメージである。JSTとの関係であるが、JSTも実施機関としてみずからのいろいろな計画、考え方ということを決めることになろうかと思っている。JSTは先ほど申し上げた33億円、あるいは委託開発等々の事業を抱える機関であるので、JSTの中でも一まとまりのものとして機器開発事業を運営する。小委員会でいろいろご議論いただく検討の方針の具体化をJSTのグループに任せたいと思っているところである。

主査
 最終的にここでまとまったものを審議するのはこの委員会であるので、こういうことでスタートさせていただいてよろしいか。

委員等
 委員一同了承

主査
 それでは、このような形でスタートさせていただきたいと思う。
 契約方式、バイドール法適用と書いてあるが、簡単に説明いただきたい。

事務局の発言
 我々としては、実際に開発していただいた方々が実際に製作というところまできちんと責任を持ってやっていただくことが大事だろうと思っており、変に委託者側に成果が残るということではなくて、きちんと受託者側に成果が帰属されることを進めていきたいと思っている。したがって、原則、委託契約については受託者側、つまり、技術開発をやっておられる方に成果が帰属されることで運用をしてまいりたいと思っている。
 自分のところでなくて、ぜひJSTに持って欲しいということが例外的にある場合には、それも排除しないわけであるが、基本的には実際に技術開発した方に成果も帰属することにしていきたいと思っている。

主査
 次のフォローアップは約1年後になるわけですが、第3次計画のためにもう一度、議論する場を設けたほうがいいと思うので、そういう方向で事務局ではご検討いただきたい。
 それでは、これをもちまして本日は終えたいと思います。ありがとうございました。

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課

(研究振興局研究環境・産業連携課)