知的基盤整備委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成14年11月14日(木曜日) 17時~19時

2.場所

文部科学省 分館11階 大会議室

3.出席者

委員

 澤岡、飯塚、井戸、岩田、岩渕、岡、黒木、小原、平石、河盛、合志、齋藤、二瓶、根岸、平木各委員

文部科学省

 山元科学技術・学術政策局長、坂田研究振興局審議官、尾山政策課長、加藤研究環境・産業連携課長、川上基礎基盤研究課長、田中ライフサイエンス課長、杉江研究環境・産業連携課専門官

オブザーバー

 小谷経済産業省知的基盤課長
有職者
 齋藤独立行政法人製品評価技術基盤機構理事長

4.議事録

(1)知的基盤整備計画(案)について

 資料及び参考資料に基づき事務局より説明の後、自由討議が行われた。
 その内容は以下のとおり

(◎・・・主査、○・・・委員、△・・・事務局の発言)

主査
 昨年の報告書は3回の委員会審議によってまとめられたものです。オールジャパンを意識したこのようなまとめは初めてであり、不備な点があるが、一つのけじめをつけて、審議会に報告、そして大臣への答申に至りました。今日は1年後のフォローアップです。大きな流れとしては、粗っぽいところはあったけれども、大きく変更する点はないと考えています。ただし、具体的な点について今後注意して進めるべき点があり、それがきょうの提案の筋書きになっているわけです。これでよいかどうか、約1時間いろいろご意見をお伺いし、直すべきところは直し、軌道修正をしたいと思います。それぞれ項目に従ってご意見をお伺いするのがいいかもしれませんが、前半ではなるべく全体の枠組みなどについて、後半では各論について、また最後にはどこでも結構ですというような流れでご意見をいただければありがたく思います。どうぞお気づきの点、よろしくお願いします。

委員
 フォローアップの見直し案でまとめていただいております3ページ目の(3)のところです。共同利用機器の所在、存在、利用方法等について書いてありまして、共同利用機器の利用を望む者がアクセスしやすい体制を整備するとなっています。これは大変大事なことですけれども、こういう制度をつくるときに、常に考えなければいけないのは、こういうことに協力すると負荷がふえるばかりというシステムになっては決してうまくいかない。そういう共同利用に協力するということがインセンティブになる制度を必ずペアにしてつくらないとうまく動かない。
 例えば、共同利用に協力することに対して維持費をプラスαする、プラスが大事です。今までの維持費を減らされて、かわりによその省庁から持ってくるのでは何のメリットもないので、だれもやろうとはしない。要するに、プラスするということです。これは一例です。このほかにもいろいろな形が考えられますけれども、本質的にこの制度に協力するときに両者がメリットを享受できるようなものを必ず考えていく必要がある。それがこういうシステムの一番根幹になるコンセプトだと思うんです。たまたまここだけが目につきましたけれども、データベースなんかでもそういうことが多々あるのではないかと思います。ぜひ今後の方策を考えるときにお考えいただければと思います。

主査
 ただいまのご指摘は非常に重要な点で、本当にサービスだけではどこも一生懸命やらないと思います。そのことによってサービスする側にとっても得るところが大きいという、具体的な裏づけが必要であると思います。このことを強調する文章をどこかに盛り込んだ方がいいのではないかと思います。例えば参考資料5-7一番最後のページのナノテクノロジー総合支援プロジェクトは今年度発足したものです。私は関連の委員会の主査を担当しました。この委員会では今、合志委員の言われたようなことが議論になりました。それぞれの機関が機器を提供したり、技術支援するだけならほとんど得になるところがない。どうしたらやる気を起こすことができるのかについての議論になったわけです。暗黙の了解しか言いようがないのですが、最低3割ぐらいはサービス側にとっても得になるようなことがないと長続きはしない。3分の2程度はサービス、3分の1程度は自分たちのためになるという仕組みをこの中に仕込むことが暗黙の了解であったと理解しています。それを文章にしていないので、あいまいな点として今後問題に残るという気がしております。そのあたりについてこの委員会で具体的な文章として、将来盛り込む必要があるのではないかと感じております。
 私が余り意見を言うのは適当ではないかもしれませんが、大変重要な点だと思っています。

委員
 似たような問題なんですけれども、例えば生物遺伝子資源ですと、今コマーシャルに買えるのもありますし、ここにリストされている中で、実際にお金を出さないと買えないのが幾つかあります。そのほか共同研究にしてクレジットあるいは共著者にしないともらえないものとか、いろいろな形でインセンティブを取らなければならないもの、それからただ自由に使えるものとか、いろいろあると思うんですね。ですから、そういう点はこのデータベースか何か見ればわかってくるんでしょうか。

事務局の発言
 利用条件についてですが、機関によっては利用条件等が書かれて、ホームページ上でわかるようになっているところもあります。

事務局の発言
 生物遺伝子資源のナショナルバイオリソースプロジェクト、これには中核拠点というのがありまして、この中核拠点ではこのような材料を提供できるようになっています。提供する際には、共著になるとか、あるいはコスト等の要件がありますけれども、そういう要件を一覧にしてユーザーの方に見ていただくような仕組みを今考えているところです。

委員
 大島先生のこの1枚もののペーパーに、我々のところと随分深いかかわりの文言がいろいろ書かれているので、それに関連してのコメントです。我々のところでは、基本的にこの知的基盤整備計画については、答申と同じ問題意識を持っています。少なくとも物質、材料分野では、日本の中核になろうじゃないかという意気込みだけは持っています。物材機構では、ことしの4月から組織的対応としまして、研究基盤情報ステーションという組織をつくりました。その組織を中心にデータベースの収集、作成、あるいは発信というものを全部組織的な対応としてやっていこうということを考えております。大島先生のいろいろ書かれていることも、まだようやくことしの4月から取り組み始めたということでご勘弁願いたい部分もあります。
 ただ、我々事業として知的基盤整備を始めまして、非常に大きな問題と考えている部分は、先ほど経産省の方が触れていられた件です。データベースをつくるのは割と簡単なんです。プロジェクトでお金を取ってきてそれ絡みでつくることはできます。ただ、それではデータベースのメンテナンスができません。メンテナンスのないデータベースというのは2年か3年たてば死んでしまうという具合に認識しています。先ほど経産省の方がおっしゃった方針転換というのは、ある意味正しい方向を向いたのかなという気はしています。
 我々が独立行政法人になりまして予算体系が大きく変わりました。運営費交付金に変わったわけでして、予算の中身に線引きが入っていなくてどんぶりなわけです。何に使おうと構いませんよと言われているわけです。ただ、こういったデータベースの整備あるいは知的基盤整備というのは、数年で終わるプロジェクトではだめなわけでして、5年、10年、20年というスコープがどうしても必要なわけです。そのようなスコープの中でこういう計画を維持していこうとすると、予算がその分確保されている、毎年毎年この部分は手つかずでこの領域に使ってくれという予算体系がやはり必要だなと考えています。現状ですと年ごとに変わる可能性がありますし、実際に変わっています。今年は実行できたけれども、来年はどうかわからないというのが運営費交付金の場合の現状です。我々現場にいる者から見ますと、一番いい予算の体系のスタイルとしては、外枠でいただくのが一番ありがたいという感じがしています。この資料1の3ページの一番最後に、経費の確保に努めというところがありますけれども、その経費の確保の仕方、仕組みというのもぜひご一考願えれば非常にありがたいなという気がしています。

委員
 生物遺伝子資源というところ、かなり大きなことを占めていて、ことし調べるとたくさん出てきたというのは、多分ちゃんと調べたということと、もう一つは文科省の大変なご努力でナショナルバイオリソースプロジェクトというのが始まりまして、これは非常に評判のいいプロジェクトです。非常にきめ細かくやっていただいて、だから、こういうのを出せばちゃんと財政的な評価をしてもらえるんじゃないか、そういうこともあったのかもしれませんが、どちらにしても、ここに今後の取り組みで、今後各研究機関、大学における情報の公開を推進するというふうにさらっと書いてありますけれども、このためには、やっぱりそれを情報公開して、それを提供できるというシステムをつくらないといけなくて、これのかなりのものがナショナルバイオリソースプロジェクトでつくられたんですけれども、すべての生物種ではなくて、やっぱりどうしても予算の制限がありましたから、選に漏れたといいますか、そういうものもございます。あれができて、非常にばたばたとスタートしたこともありますので、いろいろな生物をやっている方から、次はあるんですかというようなことも聞きますので、やっぱりそういうチャンスをぜひ与えてあげてほしい。大学にはこれだけあるんですけれども、大学の人にそのままお金を配ってもこれは無理ですから、とりあえずは緊急整備をしていただくとしても、それを中核機関で集める。あるいは、もう少し大きな目で考えれば、府省間でもっと大きなセンターもございますから、そこに集めていくというようなことをやっていく、そういう過渡的なことをしていかないといけないと思いますので、それはぜひそこをきめ細かく、当初は大学にお金をある程度流れないといけませんけれども、それを集めて、うまく体制をつくっていくということをしていく。そういうバックアップ体制をぜひつくっていただきたいなというふうに思います。
 以上です。

委員
 先ほどの方のご意見をサポートしたいとう意味で、同意見だということで、生物資源研究所の方から一言申し上げますと、我々の研究所でも、私は来てまだ数カ月しかたっておりませんが、いろいろ勉強させていただきますと、イネゲノムのそういうソースをリソースというものを使う場合に、非常にお金がかかっているということ。現在具体的なことを言いますと、実際にそのために使われているお金が 6,000万円ほど来ているらしいんですが、現実にはその何倍の、4億円ぐらいのお金がかかっているということ、それはメンテナンスも含めましてです。そういうことは先ほど独立行政法人で来たお金をどんぶり勘定でというか、枠がないからいろいろ使えるということもあるからできるわけですけれども、もしそれがなくなったら、先ほど言っているように、2、3年たちますと本当に意味のないデータベースになってしまうということですので、これは本当に大事なことですので、私もここに書かれている経費の確保に努めというのは、もうちょっと最後ではなくて、もっともっと重要なことではないかというふうに考えております。
 ついでにもう一つ申し上げますと、今後の問題点、資料9の現在・今後の整備、整備方策と今後の整備とか、それから今後の問題点の中にいろいろ書かれていることは確かにごもっともなことばかり書いてあるんです。ただ、その中でどれを最も重点的にやっていくのか、それの順位づけがやはりなされないと、これを一遍に並行でやるようなことは私はとても信じられないと思っております。だから、このうちどれをまず最重点で始めて、それから順次こういうふうに広げていくんだという、めり張りをつけた今後の整備、あるいはそういうものをぜひお考えいただかないと、それは我々が考えるんでしょうけれども、それはぜひ必要ではないか、そういうふうに感じます。

主査
 扱っている範囲が非常に広くて、それぞれの価値基準とか、位置づけが違うものが集まっているものについて、どのようにして順番をつけるかということは至難の業だと思いますが、いつかは大胆にそれをやらなければいけない、それも余り遠い日ではないというふうに同感いたしますが、2年目でそこに大胆に切り込むのは容易でない。しかし来年度あたりはこのような意識を持って重点配分することも必要になると考えております。

委員
 このディレクトリーに関しては、さすがに霞が関で、よく調べてあるなという感じはするんですが、こういうディレクトリーづくりというのは、随分たくさんの場所で、何十年と、少なくとも二、三十年はやっているんだろうと思うんですが、基本的に調べ尽くせないというのが限界としてあります。そういう中でどこまで調べて、それをもとにどういうアクションをするかという見極めは、大変大事なんだろうというふうに思っております。
 非常に極端な意見をご紹介しますと、AIの分野で非常に有名なマービン・ミンスキーさんという方とかなりフランクに議論をしたんですが、いずれ学術誌はなくなる、データベースもなくなると、それでほとんどの情報源はWebで皆さんがアクセスできるようになる。実際今の学生の様子を見てみますと、ほとんど学術誌には行かずに、インターネットでホームページ上で探して、本当に必要なものだけ論文を取りにいく、あるいはデータを見にいくという、そういう意味でニーズそのもの、あるいは情報の獲得の仕方そのものが随分変わっていて、ある意味で公共財に相当するようなもの、あるいは一般的に文化に属するようなそういう科学技術の成果に関しては、むしろWebとか何か、ああいうところで公開することを支援するというような、そういう予算の立て方があるのかなというふうに思います。
 一方、これは私自身の反省も含めて申し上げるわけなんですが、いわゆる東京電力と保安院の問題なんですが、いろいろなクラックが入っていたときに、そのクラックがどの程度だと大丈夫かという判断をするかは維持基準の問題です。こうした国のエネルギーセキュウリテイにかかわるような大事なシリアスな問題に関しては、基本的に国の責任でしっかりしたデータを整備すべきであるし、そういうデータをもとにきちんとした対応をマスコミも含めて社会に対してやるべきで、そういう意味で、データベースをつくる、あるいはいろいろな基準をつくるときにも、いろいろなセンシングでどの程度クラックがあったらどのくらい危ないかとか、いろいろなことがあるんだろうと思うんです。そういう国にとって大事なものは何で、だれが責任を持つのかという、そういう絞り込みを相当やらない限り、知的基盤は結局は空気みたいなものですから、予算は総枠で来て、最後に削ることになって、世界に通用しない中途半端なものが一応リストだけ残るというのが現状だと思います。そういう意味で、本当に国にとって大事なことを絞り込むためのタスクホースみたいなことをきちんとやらない限り、単なるディレクトリーだったり、そういったレベルでいる間は、ほとんどコマーシャルのヤフーとかそういったブラウザソフトあるいはロボットのようなものを越えるサービスができないというようなことがあります。むしろ国策としてどうするかというようなところを相当突っ込んだ議論をしない限り、やっぱり中途半端なアクションしかできないんじゃないか。そういう危惧があります。そこら辺のところはぜひ本当はきちんとちゃんとした作業をされているんだろうと思うんですが、もう少し、きちんとやっている、お任せくださいという、そういう意見が出てきたらいいなというふうに思っています。
 ちょっと失礼なことを言ったかもしれません。

主査
 今のようなことについては具体的に動かなければいけないですね。ありがとうございます。

委員
 参考資料の9で、答申における課題ですね。そこで特に気になるのが、人材不足というところですけれども、これは人材不足の解決策というのは、今後の整備の途中で一応解決の方法の提案がなされてゆくと思うのですが、結局教育するとか、そういう人材を養成するという方法では時間のかかることだと思うのです。けれども、例えば本当は人材があるけれども利用できないというような場合、そういう場合は、先ほどちょっと協力したときにメリットがあるというような、そういうことが提案されていましたけれども、そういうやり方で、予算がかなり計上されているようで、そういうところへ使っていくというのが一つ、それからもうちょっと人材不足、これは解消しないと、こういう整備計画に支障を来すという場合、具体的にもっと計画的に、予算を入れるとか、教育に力を入れるという方向がここにないといけないのじゃないかなと思います。

委員
 データベースあるいはホームページが非常に整備されているところが多いんですけれども、これにどうやってアクセスできるかということが問題だと思うんです。例えば、資料3-1にずっと微生物の保存期間がありますけれども、ここに例えばこの中でどこか、鹿児島大学の泌尿器科の尿路分離菌にアクセスするためには、全部当たらなければいけない。そうすると、やはり知的基盤で知的基盤に関するホームページをつくって、そこでアクセスするようなのをつくっていただく。そこに英語版を入れておいて、そこから行けばどこにでも、例えば金属の標準基準材料についてもアクセスできるというようなことをしていただけると非常に利用価値が高いんじゃないか。そうでないと、せっかく調べていただいても、この表を持っていないとアクセスできないということになるんじゃないかと思います。

事務局の発言
 今のご意見に関して参考ですけれども、生物遺伝材料についてはJSTのホームページからアクセスできるもので、BRネット、バイオリソースネットというものがあり、幾つかの生物遺伝子資源の機関が集まって統合検索化まで進めようというような動き、プロジェクトがあります。ぜひ一度アクセスしてみていただきたいと思います。あと遺伝研さんの方でも一応一部の機関についてはリンク集の様なものは作成されております。

委員
 今のところは一部なんですけれども、ナショナルバイオリソースプロジェクトでありますので、国内のサイトの統合サイト、入り口だけをとにかく用意しようということを今枠組みでやっていまして、ただきょう出てきたこれ全部というとちょっと大変だと思いますし、むしろ逆にこれは本当に公開していいのかということも実は、持っておるけれども公開したら全部分譲できないというところがたくさんありますから、そこはきちんとケアしないといけないんですけれども、そういうことをするということでお金が、今年度始まりましたので、まだきょう現在できておりませんけれども、それは近い将来できるということです。

委員
 全体に各項目が進捗していることは大変うれしく思っております。ただ、国際的な視点のことがどうなっているのか。先ほどの知的財産の問題もちょっとございますが、昨年8月の答申の第1章の一番最後に、今の公開の問題も含めて、こういう基盤は広く供用可能なものであるが、国家安全保障、国際競争力確保云々の観点から、一律に広く供用可能とすることが適当でない場合もあることに留意する必要がある、極めて回りくどい言い方で若干の注意をしているんですけれども、私こんなに立派にいろいろなデータベースとか生物資源や何かが整備されたポスト2010年のことを今から少し考えておく必要があるんじゃないかと思うんです。これは大変な国際競争のためのツールになるわけなので、そういう視点をぜひ全体としてどこかでメンションしておいていただくべきではないか。そろそろしてもいいんじゃないかという、どぎつくない表現でしておくべきではないかと思います。
 それから、個別の話に移らせていただきまして、私の専門の計量標準の方なんですが、この資料1の3ページ目の(2)計量標準に3点書いてありますが、それぞれについて若干意見がございます。
 まず最初の○では、共同研究・特許の取得・研究開発成果の技術移転の推進等と、等の中に入っていると思うんですけれども、計量標準はやはりそれは活用されなければいけないので、開発成果の活用ということをぜひ入れていただけないかという気がいたします。
 それから、2番目のグローバルMRAとAPMAという、これはAPMPの間違いではないかと思うんですけれども、要するにこれらは国際的に計量標準を整合するという活動なんですね。ところが、実はまさにAPMPの会議から私きょう帰ってきたばかりなんですけれども、例えば現在アジアの途上国がどういうところから標準をもらっているかというと、近くでは韓国、中国、それから遠くでは西ドイツ、場合によってはフランスというふうなところが多いんですね。日本からというのは非常に少ないんです。というのは、もう手いっぱいでとてもそこまで手が回りかねないという状況なので、これは人材不足の問題と関連するんですけれども、やはり今後も少し積極的に、ただ参加するだけではなくて、もうちょっとリーダーシップをとっていくようなことも考えていただきたいと、そういう表現にしていただきたいというのが2番目。
 それから、3番目の、以上の事項を推進するためとありますが、計量標準の中で今一番日本として私が気がなっているのは、私は国際度量衡委員会におりましていろいろやっているときに、現在既にWHOとWMOといろいろMOEを結ぼうとしているんです。ということは、要するに環境気象分野と、それからWHOですから健康、医薬分野、これの標準をやはり全体統一した形で今そろえようとしているということなんですが、日本の場合にはやはり各省庁がそれぞれ縦割りになっておりますので、ぜひ環境、医薬、測量分野の標準についても関係省庁の間でぜひ今後連携を深めていただきたいということをお願いしておきたいんですが。それは「以上の事項を推進するために」の後ろに関係省庁の連携ということをぜひ入れていただく必要があるんじゃないかというふうに思っております。
 以上です。

委員
 若干細部に入るかと思うんですが、データベースのメンテナンスというようなところが出てきたんですが、つくる側だけではなくて、いろいろ研究成果の発表なんかを促すには、利用規定というんですか、例えばこのデータにアクセスするためにはこういうことを同意してくださいというような、そういった一つのルールというのがないと、先ほどちょっと出ましたように、発表していいのかどうかという、非常に境目のものというのは出にくいんじゃないか。やはり利用者にこの手の条件を設けて、それに同意する人はそこから先へ入れますというようなレベルのデータベースと、一般にアクセスしていいですよというデータベースと、両方2段階あるいは3段階にしていくような必要があるんじゃないかなというふうに思っております。
 以上です。

事務局の発言
 計量標準は経済産業省の方で中心でやっておりますが、先ほどメートル条約の関係のいろいろな会議で最近話題になっていますのは、バイオの計量標準、それから医療の計量標準、食料の計量標準をどうするかというのが一番大きな問題になっておりまして、物理的なものは昔からの経緯がありましてよくできておりますが、化学の方は非常に弱い状況になっています。これは経済産業省だけではできませんので、国際計量標準の連絡会を現在つくっております。事務局としては産業技術総合研究所にやっていただいておりますが、そこに厚生労働省、農水省、旧郵政省の総務省、国税庁、それからその関連の独立行政法人に集まっていただいておりまして、その場でこれからの今後のメートル条約の関係組織がございますけれども、そこに対する働きかけを全省庁あわせてどうやるかということの連携を今図っております。例えば、皆さんの健康診断のためのいろいろなGOTとかGPTという数値がございますけれども、あれは検査機関によって数値が全部違います。これを国際的に統一するということで、実は厚生省の団体の方からうちの方にアプローチがあったりもしておりまして、今一緒になってやっております。

委員
 ほとんど皆さん的確にされたので質問だけさせていただきますけれども、2ページの研究材料のところに中核拠点の整備というのがあるんですが、これは具体的にここがなるんだという決定はあるんでしょうか。

事務局の発言
 文部科学省でやっているナショナルバイオリーソスプロジェクトにつきましては、資料の5-1の2枚目のところで、実験動物、実験植物の種類ごとに、例えばマウスについては理化学研究所とか、そういった中核拠点があります。ただ、全省庁にまたがる研究機関をどういう中核拠点にするかというのは、今後考えていかなければいけない課題かと考えております。

委員
 あともう一つ、先ほど黒木先生が引用されたこのたくさん集められた、この中に分譲可能と書いてあるのは、普通の意味で言いますと、有料か無料かは別として、お願いすればいただけるというふうに理解しますけれども、それでよろしいんですか。

事務局の発言
 アンケートを取る際には、分譲可能なものを記載してくださいとお願いしています。

委員
 そこがちょっとあいまいんじゃないかなという気がして、私来るときに民間の委員の唯一の役目かなと思って、現場にこの辺の活動状況とか利用状況がどのくらいになっているか、私ももう現場にいませんので聞いてきたところですが、まだなかなかという印象を持ったものですから、では、この表を配ったらいいんじゃないか、そのとき黒木先生が言ったような問題がまず出てきますから、そういうふうなものとワンセットで考えていただく。本当に分譲可能かどうかということは非常に大事な問題になるので、その辺の定義は、今はお答え結構ですけれども、はっきりさせないと、配ってしまってからいや実はそうでないというふうになってもちょっとまずいかな、それで最後にちょっとだけ意見を言わせていただきますと、多分小原先生がそうおっしゃったんだと思うんですけれども、分譲とかメンテナンスというのは、そんなに小さな機関でやるのは無理なんです。だから、情報を集め、資料を集めながら、中核機関に統合しながら、そこでメンテナンスと分譲をやる。個々の大学や何かは一人の研究者がある目的を追って興味がなくなるとこれは大体死滅すると思った方がいいと思うんです。大事なものは、審査してそこへ移して残していくという仕組みをつくらないと無理だろうと私は思います。

委員
 今の微生物の分譲という話の流れの中で、私どもやっていることをご参考までに申し上げたいんですが、私どもは微生物の保存提供を行う活動をことしの4月から開始いたしまして、そういう意味では、一部有料ではありますけれども、1万 5,000以上の株について分譲ができますということでございまして、またそれからそういったものの保存等についてもできるだけ多くのところからの寄託を受けてそういったものの分譲につなげていくというようなことをやっておりまして、寄託の条件等も整理して、そういういろいろなところでお集めになっている微生物を受け入れてやっていこうというような形で、先ほど小谷課長からも説明がありましたように、5年間で5万程度の菌株そのほかを集めるということでやっておりますので、そういった意味での微生物に関しては中核的な機能を果たしたいなということを独立行政法人としてやっております。

事務局の発言
 分譲に関して補足ですが、参考資料3-1で、今年アンケートをとりました平成14年度の系統数という数字がありますが、例えば一番上の欄の1万 9,000に対して、括弧書きで 245とありますが、この括弧書きが今回アンケートで調査した分譲可能な数です。全分野にわたって括弧書きが各保存機関の分譲可能数を示しています。ただし、これはアンケートをするときに分譲可能であると聞いただけであって、実態的にこのものすべてが分譲できるかどうかは詳しく調べておりません。

事務局の発言
 もう一つ補足ですが、資料を掲載する際、各大学にもう一度連絡を取り、再度掲載して良いかどうかを確認し、それで許可が下りたものについてのみ掲載しております。一応ご参考まで。

委員
 現場の感覚から申し上げますと、多分これ 4,000あって 4,000括弧の中に入っているというのがあります。こういうのはこれまで研究者同士、研究者の不文律として論文発表すれば出す、そういう研究者間のあれではオーケーですけれども、例えば 4,000の請求が来たらどうするか、多分パンクするに決まっているわけです。そういうものだというふうに理解して、ほとんど研究主体のものです。先ほどの岡先生のあれから言いますと、中核拠点というのは文科省においては決まりましたけれども、実は文科省だけでやっているわけではございませんし、多分これがちゃんと整備されたらむしろもっと大きな機関に移して永続的に持っていった方がいいだろうということは議論されていると思うんです。そのときには文科省だけではなくて、いろいろな省庁と、例えば微生物だったら経産省と施設でやっていくということは必要でしょうし、そのあたりがこれからフォローアップとして重要だろうなと思っております。ただし、現在はまず最初のものを集めるところができておりませんから、そこをネットワークをつくって、何とか末端の毛細血管まで血を生かしてとりあえず確保する、それを中核の中ぐらいのところに集めて、それを最終的にはもっと大きなところにもっていくことが多分必要だろう、これは何年後になるかわからないんですけれども、そんな中途経過だと思います。

委員
 私どものところ、いろいろこの知的基盤にかかわることをやっていまして、今まで委員の方々の話に一つ一つうなづけるところがあるわけでございますが、質問で恐縮でございますけれども、この資料1の一番最後の3ページの下から2行目のところに、個別のことで恐縮ですが、計測データの分散型簡易入力システムの開発を検討するというのは、これは非常に一般的に書いてありますけれども、何かあるプロジェクトをイメージして言われているのではないかと思うんですが、何かそういう表現を。

事務局の発言
 以前、振興調整費のプログラムに知的基盤推進制度というのがありました。その中の産総研のプログラムで分散システムを構築したという例があります。もう少し詳しく述べますと、産総研の方が中心となりまして、各機関、大学、学会や協会と連携し、各地方の大学や研究機関の方がその場のパソコンでデータを入力して、みんなが見ることができるというようなネットワーク的なシステムをつくっており、これは非常にいいものだと感じました。具体的には熱力学に関するデータベースだったのですが、そういったものが他の分野でもできればいいのかなということで、ここに一応書かせていただきました。

委員
 もう1点は、バイオの関係の計測機器です。2ページの上の方、これは最初のこの委員会のときも私ちょっと申し上げたような気がするんですが、国内シェアという切り口で目標値を考えるのが本当にこの分野でいいアウトプットを出すときの切り口になるのかどうかというのを、少し判断に悩んでいるところなんですけれども、どういうお考えでこういう切り口でやっていらっしゃるのか。

主査
 物によっては世界シェアの半分を取らないとビジネスとして成立しないとか、主導権を取れないとか、そういうものもあると思います。

委員
 もっと端的に申し上げますと、日本から本当にオリジナリティーのある計測手法として出ているものが、本当は一番大事なところだと思いますので、実はこの分野は多分、ほかでもそうかもしれませんが、比較的そういう貢献が目立たないところではないかと思うんですけれども、ことしは幸い非常にいい結果が出てきていましたので、私も喜んでいるんですけれども、外国で生まれた機器を国内メーカーがシェープアップして、これはどういうふうに見たらいいのか、海外から生まれたものに依存しているのか、日本から生まれたものが世界に貢献しているのかというところが本当は一番大事ではないかと思っているんですが。

事務局の発言
 この表現については、資料の3-3の表から判断して、昨年もこういった目標、現存については50%以下、ライフ機器についてはという目標を設定していました。それを勘案して科学機器年鑑から同じように資料をもってきて、去年と同様一つの課題だということで提供させていただきましたが、もし別の切り口、このような売り上げとかそういったものではなくて、違う観点からということであれば、またご議論いただけるとよいかと思っております。

事務局の発言
 昨年の計画をまとめるときに、この部分について目標をどうするかというのは非常に議論があり、目標をどう定めていいかわからないというジレンマがありまして、とりあえず今現状を見ると、ライフ系については国内の企業が占めているシェアが非常に小さいので、それを少しでも改善するように皆さん努力していきましょうという形の目標値を掲げたというのが経緯です。したがいまして、現在の目標値としては世界最高水準の性能を有するものを供給可能とするということで、とりあえず括弧書きで、例えば国内の市場シェア50%以上のようなものが指標として考えられるのではないかということになりましたが、前回計画をまとめた段階でもあまりコンクリートな形で議論がなされていなかったと記憶しておりまして、ひるがえって見れば、ここをどういう形で目標を定めやっていくかというのは、非常に議論しても難しい問題だと考えております。

主査
 この議論が出てきましたのは、多額の国費を先端的な研究開発に投じて、そのかなりの部分が外国の機器を購入するのに使われているのは大変悔しいという、非常に単純な発想から出発したんですけれども、だからといって外国が発明したものに改良を加えて、安くつくって、日本製品のシェアが50%を超えた、60%を超えたということが、本当に思想として良いのかどうか、できるならば根本的に日本が原理原則から発明したんだという例が一番望ましいんですが、その辺の議論が余りないまま非常に単純に、半分以上のお金が外国に流れるのは、納得できないという発想から来た問題ですので、このあたりは原点に戻った議論を一度する時期かと思いますので、きょうご指摘を受けたということで、またいずれご提案させていただきたいと思います。

委員
 今の澤岡先生と同じ意見なんですけれども、研究者の立場に立って言えば、お金がどこに流れようといい機械が自分のところにあって、いい仕事ができればいいと思うんですけれども、確かにバイオに関してはお金を幾ら注いでもABIに行ってしまうと、シーケンサはほとんど向こう。ただ、ABIのものにしても日立の技術が基本的に使われているということがあると思います。ただ、新しい機械を開発すると、それによってブレイクスルーが開かれれば、我が国でいい仕事ができる、そういう意味でやはり日本独自のオリジナルの機械を育てていくということを考えなければいけないんじゃないかと思います。

事務局の発言
 まさにこういう認識を持って、今年、平成14年度から新しい機器を日本の研究者の発想でつくり出していこうではないか、そういうプロジェクトも開始しております。そういう機器を提案して、さらに実用化までもっていく。何とかしてやっていきたい、そういうプロジェクトを今始めているところです。

主査
 まだまだご意見あるかと思いますが、あと5分程度で議論を閉じさせていただきたいと思います。ご発言がありましたら、よろしくお願いします。

委員
 データベースでこの前ニューヨークでテロの後に炭疽菌のばらまきがあったときに、菌株を保存しているところにすぐに文部省から問い合わせがあったわけです。実は、うちの大学、岐阜大学でも炭疽菌を持っていまして、保存状況というのはかなり、いい加減ではないんですけれども、特別かぎがかかっているとか、そういうちゃんとした部屋に入れているわけではないわけなんです。ですから、先ほど井戸委員が言われたように、データベースにアクセスするというのはかなりログインして登録しないといけないとか、あるいは危険なものはオープンにしないとかという注意をしないと、こういうテロの時代にはとんでもないことにこのデータベースを利用されないとも限らないと思います。

委員
 先ほど来データベースというか、ディレクトリーの話が幾つか出ていますが、特に大学系統のデータベースについてのディレクトリーは、我々のところも随分以前からつくっておりますし、その後JSTのReaDというのと統合して現在進めているというのはご承知のとおりかと思います。その中で、研究資源ということで、ここにありましたデータベースのみならず、各種の共同利用機器等々含まれているのはご存じのとおりだと思いますが、先ほど岩田先生の議論にもありましたが、今後の方向としては、この種のものについてのデータ、データベースのデータとか、物についてのデータと称して、これを昨今はメタデータと称しまして、それをそれぞれについて整備をした上で、それを全体として検索するというような、ある種の分担入力的な分散型の技術というのが随分ここのところで進んできていますので、例えばこの資料の1の最後の方に、データベースのリンク集と書いてありますが、これは文言としてはいかにもちょっと初歩的過ぎるという感じがして、こういうところに入れるのであれば、メタデータを整備するとか、文言上はそういうふうにしておいた方が今後はいいだろう。メタデータの共同というか、分散してつくって、それを統合的に各所から検索できるというのは、ハーベスティングプロトコルとか、いろいろなものが今出回ってきていますので、この辺のこともちょっと含んだ上で、この辺の文言のみならず、今後の開発方式としては考えた方がいいんじゃないかというふうに思います。

主査
 きょう4回目の委員会でありますので、ご出席の委員がお互いにそれぞれご存じと思いますが、参考資料の10の数ページ開いたところにこの委員会の委員名簿がついております。その中では、桂委員が岩渕委員に交代したことは先ほど紹介がありました。
 もう1件お伺いして終わりにしたいと思いますが、いかがでしょうか。

委員
 先ほど飯塚さんがおっしゃったことなんですが、むしろ、情報は完全にボーダーを越えてもうダイナミックに動いている。そういう情報をどういうふうに扱うかということで、知的基盤に関する国際戦略みたいなところを、知的所有権も含めてどなたかが責任を持ってきちんとやらない限り、単に集めただけの知的基盤になってしまいますので、そこら辺のところはぜひどなたかが責任を持つという、適切な責任体制をつくっていただけたらというふうに思っています。そこら辺どこかに書いておいていただけるといいなというふうに思います。

主査
 大変重要なご指摘ありがとうございます。
 それでは、事務局のフォローアップ案についてたくさんのご指摘、ご意見をいただきました。この意見を整理して、できるだけこのフォローアップの文章の中に盛り込み、将来の指針にしたいと思います。その作業に多少時間がかかりますので、その取りまとめにつきましては、事務局と私がさせていただきまして、皆様にはメール等で何かの形でお目にかけ、特に大きな問題がなければ委員会は開催しないでフォローアップのまとめとしてしかるべきところに報告させていただきたいと思います。このような手順で進めさせていただいてよろしいでしょうか。

〔「異議なし」と発言する者あり〕

主査
 それでは、そのように進めさせていただきます。
 この委員会は非常に守備範囲の広い、また地味で、縁の下の力持ちでありますが、日本が従来もっともっと早くやらなければいけなかった重要な分野でございます。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
 本日はありがとうございました。

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課

(研究振興局研究環境・産業連携課)