産学官連携推進委員会(第32回)・技術・研究基盤部会(第5回)合同会議 議事録

1.日時

平成19年4月3日(火曜日) 15時~17時

2.場所

如水館オリオン・ルーム

3.議題

  1. 文部科学省における産学官連携・知的財産施策について
  2. 産学官連携の当面の課題について
  3. 「大学知的財産本部」整備事業」における国際的な産学官連携の推進体制整備に係る選定結果報告
  4. その他

4.出席者

委員

 白井(主査)、秋元、生駒、石川、石田、小寺山、清水、白井、高田、武田、田村、柘植、西岡、西山、野間口、本田、松重、三木、森下、山本、渡部

文部科学省

 徳永研究振興局長、田中大臣官房政策課長、川上振興企画課長、佐野研究環境・産業連携課長、小桐間研究環境・産業連携課技術移転推進室長、上田研究環境・産業連携課課長補佐、吉田研究環境・産業連携課技術移転推進室長補佐 他

5.議事録

(◎…主査 ○…委員 △…事務局)

(1)文部科学省における産学官連携・知的財産施策について

  • 資料2に基づき事務局より文部科学省における主な産学官連携・知的財産施策について説明があった後、質疑応答が行われた。その内容は以下の通り。

主査
 ありがとうございました。
何かご質問とかご意見とかございますかね。とにかく伸びてはきているんだけれども、何か特に最近の特徴というのは伸びてはいることは非常によくわかりますが。

事務局
 知財本部事業が先ほども申し上げましたように19年度で終了します。これまでもここに示したようにさまざまな成果が上がってきているところですが、今後、これまでの知財活動、産学連携活動にブレーキをかけることのないようにしていくことというのが、今後の20年度以降の施策を考えるに当たって、非常に重要なことかなというように思っております。この審議会でもそういった点について、ご議論を賜ればというように事務局としては思っております。

主査
 今の点は割に重要だと、割というか、非常に切実な問題かなと思います。それから、あと特許の国立大学の出願料というやつ、あれはどういうふうになるんですかね。一応、その期限は終わるから。

事務局
 経費がやはり自己財源で今後負担していくことになろうということから、当然、量も必要でございますが、そこにおいて質を重視していくというところが重要になってこようかと思っています。

委員
 1ついいですか。産業界からの研究開発投資が海外に流出しているというのは昔から言われていることなんですが、この原因をどういうふうに文部科学省では把握していらっしゃるかを教えてほしいんですが。

事務局
 私どもは産業界にアンケートをとったこともございます。例えば幾つか理由があります。
 1つは例えばライフサイエンスなんかですと、その後の展開、治験とかに展開する際に、やはり海外の大学に委託しておいた方が有利だというような、そういったその後の展開についてのメリットということで、海外に出しているということを挙げてきているところもございました。
 もう1点は、やはりサービスの面で海外の大学に委託しますと、いろんな附属する情報、つまりある分野で、その分野のネットワークの情報としてほかの大学のどの先生と、どういうふうなコンタクトが今後可能になりますという周辺情報が、入ってくるというような状況もございました。
 もう1点は、海外の大学との契約のスムーズさがあります。また、やはり海外の大学のブランドを求めて、日本の企業の国内に説得させるために、企業内における意思決定を説得させるためにというような報告もございました。
 一概にどれが原因だということは言えないかと思いますが、研究開発の内容の質自身が日本の方が劣っている、あるいは海外の方が優れているという見方はございませんでした。むしろ、契約のしやすさや、周辺情報のことについておっしゃられる方が多かったというのが我々の今の認識でございます。

委員
 私も日本の大企業のいわゆる技術本部というところにいたことがあるんですが、当時は国立の日本の大学への研究開発費というのにつきましては、文科省の許可がなかなかおりない。アメリカの大学はさっとオーケーになるということで、大変向こうの方がやりやすいという、そういうことが定説になっていたんですが、その後、これは改善されているんでしょうか。

事務局
 いつ頃のお話ですか。

委員
 日本の大学との研究開発に関して。

事務局
 恐らく法人化前の話ですね。

事務局
 以前はそれでも手続として実際の要件としてはかなりハードルは低かったんですが、いわば大学限りでは決定できなくて、文部科学省の方に一定金額以上については寄附採納等の了解をとるという手続、あるいは国立学校特別会計に対する歳入の手続という手続期間がありましたので。そういったことが法人化で、手続が学内限りで終わることになりましたから、その意味では改善されています。

委員
 その点は改善されている。

事務局
 はい。

主査
 どうぞ。

委員
 今のご質問に関連して、私も2年前まで日立でそういうことをやっておりまして、当時でいえば大分差があったんですが、国内の大学数億円、海外の大学へ数億円と均衡させていたんですけれども、法人化によって日本の国立大学も今までみたいに奨学寄附金で申し込んだら受け付けてあげるというんじゃなくて、研究活動に対して企業がお金を出せるという仕組みはできたことなんですが、私がちょっと気になっていますのは、先ほどの資料も含めて、民間企業から大学が受け取るお金の主なものが、あたかも共同研究であるような表現がなされていると。業界によって違うかもしれませんが、私やエレクトロニクスの日立でもって、海外の大学に共同研究で出している件数はほとんどありません。日本の大学はほとんど共同研究です。この辺が産学連携の考え方の問題だと思うんですが、共同研究というのは2つのパーティが一つの目的で仕事を分担してやるというのが基本の考え方なんです。そうすると、学問の大学と製品や事業をやろうとしている企業とが、時には確かにある会社の製品を目指して分担してやるということは、大いに奨励すべきことでありますけれども、メーンはむしろ違う価値観、大学はあることを追求していると、企業はあることをやっていると。それぞれが別の目的でもって一流の仕事をしているからつき合うことに価値がある。例えばコンソーシアムにしてもそうですし、米国の主立った大学はほとんどそういう意味においては、企業の出したターゲットに対してお手伝いをしますというタイプで、多額のお金を取ることはほとんどありません。その辺をアメリカ並みにするのがいいかどうかは別として、特にこういう政策面のところにおいて、今後の産学連携は、やはり企業との連携というものの基本は、共同研究的なところにウエートを置くのか、そうでないのかというのは、一つの大きな方向性として重要だと思います。

委員
 今の話とも絡む話なんですけれども、2点申し上げます。
 1点は、今の議論の中で私は実はこの産学連携推進委員会の新参なんですけれども、伺ってみて、今の大学の持っている知的財産も含めたものの、どちらかというと大学にとってみると出口の面での産学連携というのが多いと思うんですけれども、私は本当の意味の産学連携というのは、10年先か20年先に対しての大学のやるべきものを産業と一緒になって考えて設定していくと考えます。そういうものの指標というのが意外と見えにくい、見えていないのですね。だから、時間軸上の今で役に立っているかどうかというメジャーと、それからやっぱり10年先に役に立つ指標のメジャーというものがもうちょっとメリハリがついた指標があってしかるべき。そうすると今のおっしゃった話なんかも絡むことになります。
 それから、もう一つポジティブな意見は、11ページの「産学連携活動の高度化促進事業」の中で、地域のコーディネーターは12ページを見ると90名ぐらいの方がご活躍されているんですね。これは私は前から非常に注目していまして、こういう本当に地道な地域の大学と産業との実のある連携を推進していくコーディネーターの皆さん方のこの活躍は、私は大変に大事だと思っています。必ずしも大企業と大学とかいう話じゃなくて、地元の産業と大学との地道な連携コーディネート、このようなコーディネーターの方々の活動を皆が見える様にして、顕彰すべきところは顕彰していく価値が十分あると思います。11ページ、12ページ、13ページのあたりは、もうちょっとここにいる皆さん方が、「これはすごいことをやっているな」ということがわかるように、充実してもらいたいし、また必要ならば説明の時間も別途つくってほしいなと思いますね。

主査
 どうぞ。

委員
 やはり産業化によって少し違うかもしれませんが、今、最初に課長が言われたいろんな原因があると思う。これはこれであると思います。今までの議論の中でちょっと出てきていない考え方というか見方というかがございまして、1つは今言われたのと同じように、基盤的な研究があるかどうかというのは非常に大きな問題だと思います。私どもは1月に知財フォーラムというのを製薬協でやりましたけれども、ある領域において惜しむらく出願件数、論文は非常に多いにもかかわらず、基盤的な研究がないと。遠い研究であると。そうすると、なかなか企業としては業務的にはできにくい。それから、もう一つは基盤だけでいいかというと、これはベンチャーの方になるのかもしれませんが、非常に製品に近いところのパイプライン、臨床に入るあるいは直前ぐらい、あるいはアーリーなデザインに入るぐらいのところ、こういうところも非常に企業はよく共同研究をやるところです。だから、そういうことで中途半端な、遠いというよりも、本当に基盤的な研究をやっているかどうか、それから、もう一つはかなり製品に近いところをやっているかどうかというところが一つのポイントになるかと思います。
 それから、もう1点はどちらかにしても、アメリカ、ヨーロッパと私どもは非常によく共同研究をやりますが、非常にマイルストーンというかステージゲート、これが明確です。ゴー、ノーゴーがはっきり将来にわたって決まっております。それによって共同研究を継続するかしないかということが決まっておりまして、なあなあ式ではないということではっきりしている。これがもう一つでございます。
 それから、もう一つは知的財産の保護の仕方、これはいろんなところで議論されますけれども、やはりアメリカというのは非常に強力に保護します。保護だけがいいかどうかは別なんですが、そういう意味では共同研究をやった成果がきちっと保護されるかどうかということが、企業がそこにお金を投入するかしないかということがあるかと思います。
 その3点でございまして、先ほどどなたかが言われましたように、頭、技術、これは多分、日米欧、そんなに変わりません。私どもは日本に住んでおりますから、当然、地理的な距離、それから言語、習慣等も含めて本来、日本の大学と共同研究をやりたいのはやまやまなんですが、先ほどの統計で私どもも調べましたけれども、大体2.4倍ぐらい海外の方とやってしまっているということが現実でございます。だから、そういうことで、やはりこの産学官連携を考えるときもいいんですが、敵というか相手はアメリカであり、ヨーロッパである。逆に企業は日本のために奉仕するということも大事でしょうが、それでつぶれてしまって困るんで、やはり一番有利なところとやると。それが何かというところを検討するのが大事かと思います。

主査
 それでは、お願いします。

委員
 2点ほどあるんですけれども。昨年秋の大学マネジメントフォーラムで私は言わせていただいたんですが、やはりマイルストーンとかファイナルゴールに対する契約といいますか約束、この辺をしっかりやって、知財あるいは情報の管理というのもお互いにしっかりとルールを決めてやったし、その辺が変わってくると数字ももう少し前進してくるのかなという感じがします。
 先月、松重先生が主催される京都大学のマネジメントフォーラムに出させていただいたときに、関西地区の大学は非常に企業とのウイン・ウインの関係といいますか、そういったもの、我々が若いころは全く一方的な共同研究というか指導というか、そういう形の研究奨学金でしたかね、そういう形かのやつがほとんどだったように思うんですが、大分変わってきたなと思って、これは知財云々を言い出したここ数年のことじゃないかなと。私としては今後の発展を大いに期待したいなと思っているんですけれども、先ほどの最後の方に先端的な設備を使い合うような話がありましたけれども、ああいった視点の少し風穴があきつつあるんじゃないかと思います。
 もう1点は、大学知財の整備事業終了云々という話があります。このままではせっかく取り組んできたことがスローダウンしてしまうんじゃないかというあれがありますけれども、取り組んできて、しかも生まれた知財がどういうふうに評価される、成果がどういうふうに評価されるかというのは、一度、ここで考えていただく必要があるんじゃないか。例えば、なぜこういうこと言うかといいますと、企業の中で私どもの知財部門が独立採算的に成り立っているかといいますと、毎年毎年のキャッシュフローで言いますと絶対成り立っていないんですね。しかし、企業としての競争力をトータルで評価したら、やっぱり数百名の部隊を用意してやった方がいいという結論になりまして、私どもはそういったものを維持しているわけですが、ここの評価というのは余り、ここにありました大学の知財関係で幾ら稼いでどうなったという数字だけでやりますと、なかなかいい答えにつながらないんじゃないか。本当の意味の競争力の評価、成果の評価とは何だというのをぜひ文科省さんあたりが中心になって、考えてみるようなことをやっていただきたいなというふうに思います。

主査
 ありがとうございました。
 先ほどのというか、何人かからいただいた知財フォーラムとか、それから契約のやり方とか、それは随分もっと初めのころ議論して、いろいろフォーマットと内容とかやったというように思いますけれども、それはどうなっちゃっているんですかね。各大学等々でそういうことの整備や何かはかなり進んだんでしたっけ。

事務局
 かなりの大学が知財体制整備し、窓口の一本化、知的財産本部の設置、各種産学官連携マニュアル等を作成しております。利益相反マネジメントの取り扱いマニュアルもその一つです。

主査
 それは企業側から見たときには、今もご指摘がいろいろあったんだけれども、過去の経験でちょっと不便だ、煩雑気味に言っておられるのか、それとも今でもまだだめだというふうな感覚なのか、どっちなんだろうかなというちょっと気がするんですけれども、どうですかね。

委員
 いわゆる知的財産本部を持っているところは、知財の管理はかなりしっかりしていると思います。皆、きちっとしたフォーマットを持っていて、初めにきちんと契約してやっていますから。ただ、多分、企業さんの心配は日本の大学の場合、学生の参加がほとんど一般的で参加していない研究というのは割と少ない。そうなると、例えば日立製作所さんの共同研究に参加していた学生が東芝に行ったり、そういうことは当然あり得るわけですね。そこら辺はもし企業の方がそういうところを危惧されるのであれば、はっきり言うと大学側としては今の逆にこれは裏腹で、200万円ぐらいの共同研究であれば、その中でポストドクターを雇うとか専任の研究員を雇うことは非常に難しいわけです。どうしても学生の教育と研究活動への参加ということが一体になってしまっているわけですから、九州大学の場合、かなり高度に守秘義務が要求される場合は、方針として専任の研究員を雇いましょうと。そうなれば、勢い1件当たりの共同研究経費はふえてくるということにならざるを得ないと思うんです。だから、結構、共同研究費1件当たりが少ないということと、先ほどのちょっとした危惧というのはもちろん関係があると思います。ただ、学生の場合も今多くの大学で、きちっと学生に守秘義務を負わせるという形で何からの方策をとっていますけれども、雇用関係にない学生に、どういう形で守秘義務を負わせるかということが今全国的には非常に問題になっていて、今、研究中だというところだと思います。

事務局
 先ほどのデータなんですが、例えば産学連携ポリシーにつきましては全国で大体35パーセントぐらいが整備済みで、利益相反ポリシーですと20パーセント程度、兼業とか兼職の規定につきましては50パーセント、今も副学長からありました学生とか教職員の守秘義務に関する規定というのは、国公私通じまして大体30パーセント強ということになっております。

事務局
 若干補足させていただきます。こちらの調査はほぼすべての国公私立大学を対象にしておりまして、私立大学、必ずしも自然科学系の学部がないものも含めたところでの調査といったところでございますが、国立大学に限ってみれば、もう少し高いものと思っている状態でございます。

委員
 大学の特許出願件数が飛躍的に増加しているというのは結構なことで、これまでそういうことについて大学が比較的希薄な状況だったのが変わってきて、大変進歩したということは評価できるのですが、本来、大学は質の高い基礎特許というか基盤的な特許を出願することが問われているわけです。これまでの知財活動では、大学の特許出願件数が伸びるということが、一番重要なことであったと思いますが、これからは国際競争の視点から、特に基盤的な、あるいは基礎的な特許に関する大学からの出願件数がどのくらいの状態になっているかということが、極めて重要になると思います。その辺の解析をお進めいただきたい。もちろん、企業としてもやっていかなければいけないと思っております。

主査
 特許の質というのかな、内容というものの分析というのは余りこだわらない。

委員
 本来の大学はやはりそこが最大の役割であり、企業の方から先ほどずっといろんな意見が出ておりますが、基盤的な特許出願が真の国際競争力という視点から重要ということではないかと思います。

事務局
 先ほどから幾つかデータのとり方のご指導をいただいております。特許の質といっても基礎研究の成果の方から、あるいは出口に近い方からライセンス収入で見ればいいのか、それとも特許にかかわる研究成果の引用度数で見るのか、いろんな見方があろうかと思います。今後の課題だとも思っております。

主査
 どうぞ。

委員
 話がもとに戻ってしまうんですが、日本の企業が日本・外国の大学等へ出している研究資金に関する23ページ、最初にご議論があった点なんですが、この話題が議論になってから、もう四、五年たつと思うんですね。ぜひ一度きちっと調べていただきたいと。課長さんから説明があったのですが、それだけだとちょっと我々が感じているところからは不十分かなという気がします。産業界からの方のいろいろお話も今あったのですが、大学側からいいますと例えば1件当たりの金額は全然違うんですね。国内の大学に出すお金と外国に出すお金とでは。違いは、外国の場合については先ほどありましたように、リサーチャーアシスタントの費用だとか、そういうものを全部含んで日本の企業は出していると。ところが、若干変わってきましたけれども、日本の大学に対して、こういうリサーチャーアシスタントの費用を企業さんが持ってくれるかというと、認めてくれるケースは非常に少ないですし、なお且つオーバーヘッドが全然違いますね。外国の大学は50パーセント、60パーセント近いオーバーヘッドを取りますし、それを日本の企業は認めているわけです。ところが、日本の大学はこれを主張すると、従来こうやってきたということで全然認めてくれないという側面もあります。どうも日本の企業はダブルスタンダードではないのかと感じております。それから、なお且つこのデータがよくわからないのは、これだけ日本の企業がグローバルに動いているわけでして、日本の企業が海外にブランチをつくって、そこで自分たちの技術をカスタマイズするための研究開発費用、これも入っているんではないか。こんな感じもしております。そうすると、外国機関に対する研究資金の提供は、国内外の研究レベルに関わらず当然多くなるはずです。それからこの問題の背景には、どうも外国の大学はリエゾンといいますか、一つの研究プロジェクトをうまく組み立てて、それを国内外、世界的にうまく会員を募る、人を呼び込むのが非常に上手ですね。だから、我々大学人にいた者としてはやっぱり日本もそういう世界に発信できるようなプロジェクトをつくって、リエゾンを重視していく必要があるのではないかという感じがしています。ただ、いずれにしてもこの問題はもう一度、もう少し丁寧に調べていただいて、ご報告いただけるとありがたいと思っています。
 それから、先ほどの大学の基本特許云々というお話もあったのですが、私どもの大学でいろいろ調べてみますと、企業が出願している分野と大学が出願している分野、これは大きく異なっているんです。大学がやっぱり一番強いところは、大学ならではといいますか発見とか、新しい現象に近い分野、例えば病院や医学部がありますから、そこで見つけられた新しい遺伝子だとか、その関連のものは今圧倒的に大学が強いところだと思います。それから計測技術についても、企業のアクティビティーと比べると、独自のアプローチをしているものが多いと感じています。こうしたことにはアメリカが非常にいいレポートを出しています。それぞれの技術分野において、企業の出している数のアベレージと大学から出しているアベレージと比較しまして、大学の出願の特徴を示しています。大学のアクティビティが高いのは、遺伝子、それから医療関係で、企業の出願の平均値と比較すると10倍ぐらいのアクティビティがあるんですね。計測関係、それから放射線関係技術も大学の特許のアクティビティが高いです。私どもの大学の出願の傾向とよく似ています。こうしたデータを整理していただくと大学の特許の特徴がはっきりとしてくると思います。

委員
 23ページの資料にこだわるという側面があるのですが、今は、大学の国際競争力が問われている時代に来ていると思います。そうしたときに、もちろん、国内産業界から国内大学への研究開発投資をどうするのかということは、極めて重大だと思います。産業界も大学ももっと踏み込んで、これをどうするかということを考えなければいけないのは確かですが、もう一方で、日本の大学が日本の企業ではなくて他国の企業からどれだけ研究開発投資を受けているかということも重要だと思います。裏返しですが。
 先ほどの議論の中で、日本の企業はアメリカの大学、主として欧米の大学に相当研究開発投資をしていると言っているわけですから、国際競争力視点からすると、日本の大学だって海外から研究開発投資を受けることができる立場にあるわけですね。まだ日本の大学への海外からの研究開発投資はあまり多くはないかもしれないけれども、調査を始める時期に来ているのではないでしょうか。これはお願いです。

委員
 非常に簡単に。今の議論の実はちょうど文科省は、国際産学連携の推進という形で今からやられようとしていると思うんですけれども、ただ、もう一つ、私はこのデータで、今、議論が国内の企業ないし国内の大学ということはあるんですけれども、もっと危惧するのは欧米の大学が日本以外にどれだけ共同研究、ドネーションとかをやっているかというデータを調べると、我々はちょっと考えさせられるんじゃないかなと思う。例えば中国・精華大学とかいろんな大学に、欧米の企業はかなりのドネーションをやっているんです。だから、個々の議論で数パーセント、何割ふえたどうのというよりももっとなっている。だから、その考えは結局は国際競争力の視点から、国内だけじゃなくて日本の産業界のR&Dの体制も含めて、日本として大学と一緒にどうやれるかと、そういう視点が必要ではないか。

委員
 すみません、先ほど来、評価の話が出ていますけれども、基本的に特許の、それから大学発ベンチャーも一緒なんですが、やはり量の段階では非常に評価しやすいんですが、質になると実は評価指数がまだないんだと思うんですね。先ほども基本特許が大事だというのもそのとおりだと思うんですけれども、では、基本特許をどうやって評価するかという、これは非常に難しい問題で、そういう意味では産学連携の評価指標自体もちょっと研究して新しい軸を入れない限りは、なかなかちょっと見えてこないんじゃないかなという気がいたします。
 その意味では、今回の調査ってやっぱり量的な面にどうしてもいってしまいますんで、質的な面の評価指数というのも少し、今後、むしろこれは検討すべきだというふうに思います。今、これを調べるという数字が非常に逆に難しいんじゃないかという思いますんで、逆にこれから日本の産学連携を考えるときに、そういう指標の研究というのも私はあっていいんじゃないかなという気がしています。

事務局
 ちょっと事務局から補足させてもらいますと、今、西山委員がおっしゃられた海外の企業からの委託ですとか共同研究の割合なんですが、お手元の机上配付資料がございますが、それの5と書いてあるところの資料がございます。参考資料で6ページ、大学等における海外企業との産学連携実績というのが、ちょうどその冊子の左からピンクのページが1個あるんですが、それ以降の6ページというところです。
 そこを見ますと、受託研究の割合あるいは共同研究の実績、特許出願実績、例えば受託研究の割合ですと0.24パーセントということで、一応昨年調査した結果がございます。その結果に基づきまして、実は19年度から国際的な産学官連携の推進体制の整備の強化が必要ということで、施策を講じてきたところでございます。

委員
 もう一つ、今までの議論は産学官連携って何だかんだ言っても、この5年ぐらい非常に国策的にも力を入れて、法人化も含めて、いろんな意味で基盤が整備され、かなり前進していると思うんですね。
 やっぱり、これから先といったときに、産と一言で言っていますけれども、知財の扱いも含めて産というのはいろんな業種があるんですね。例えば先ほどの議論の中でも、エレクトロニクス関係の方と製薬業界の方とでは、恐らく相当いろんな意味で産学連携の仕方が違ってきているはずなんです。それから、日本の産業としても既にグローバルに強い産業を持っている業界と、これから育てなければいけない業界とか、ある意味では創薬なんかは下手をすると国内が空洞化するかもしれない。いろんな状況があるわけです。これからの議論には産といったときに、業界のある程度分解能を持ったデータで、どの業界は産学連携がここ数年非常に進んでいるとか停滞しているとかという、多少、その分解能がないと、こういうところで産学連携は何が問題だってすぐ一般化して議論することが、必ずしも国策でここまでやってきたものをさらに飛躍させる上では、フォーカスされた議論にならないという気がします。
 それから、もう一つ、いつもこの場ではないかもしれません。私はこういった予算のときにいつも申し上げているんですが、省庁間の連携、これは産学官連携ですから、産といったときに出口によっては農水省も関係すれば厚労省も関係してくる、総務省も関係してくる。そっちの方も含めて、地域コーディネーターとかTLOをどうするかに関してある程度議論された上で、それでは、お膳に乗ってくるのは切り出されたここについて議論してくださいというならわかるんですけれども、何かそれぞれの省庁が頑張って産学官の連携をやっていますというだけのことだとちょっと気になるんで、産についての分解能を高めることと、それで、その上で産業界というのを横につないだときの産学官連携というものの省庁連携が少し見えるように。これは要望でございます。

委員
 ちょっといろいろ話をお聞きしたんですが、なかなか産学連携は進歩しない。議論は昔と同じことを議論していますね。何がいけないかといいますと、多分、産学連携の枠組み制度、規制改革、これは産学連携にフォーカスしていいんですけれども、中身を議論するときに産学連携にフォーカスしても何の意味がなくて、このお金が海外にどうして行くんですかなんて事は産学連携で議論しちゃいけないんで、日本の研究がどうなっているかということですよ。
 だから、今、私はキヤノンの技術顧問をやっていまして、宇都宮大学に今度キヤノンがかなりの額を出して、オプティカルセンターをつくってもらったんですよ。ゼロですよ、宇都宮大学は。ゼロのところにつくることにしたんですね。寄附講座はだめだというんで寄附講座じゃなくて運営金を出して、キヤノンが、それで大学にポジション手当てしてもらって、人を呼んできて、真っさらからつくろうとしたんです。
 一方、同じく今アリゾナ大学というのは実は1964年にそういうことをやって、オプティクスの最先端の研究をやっているわけです、物すごく大きな部分で。今、日本はオプティクスというのは下火ですから、日本の大学では余りやっていないのに対して、アリゾナ大学では猛烈な先端的なことをやっていまして、そこはやはり同じぐらいの学校を出してお金を出すわけです。
 何が言いたいかというと、やっぱり日本の大学の研究テーマが前を向いていないんですよ。後ろ向きの研究をやっている先生が非常に多い。過去を引きずっている。ですから、企業から見ても決して魅力がある先生がいないんですよ、簡単に言っちゃえば。ですから、何を言いたいかというと、産学連携にフォーカスして議論している時代はもう終わりで中身の議論、全体最適化するような議論をしなければだめな時代じゃなんですか。
だから、産連課があるから産学連携をやるんじゃなくて、文科省の中も全体で大学の研究、人材をどういうふうによくするかという中で議論していく時代であって、したがって、この産連何とか分科会というのはもうやめにして、違うことをやらなければだめじゃないですかね。何かつくづくそう考えますと、20年ぐらい今の問題を議論しているわけですよ。だから、もうこれはやめて、産連課を解散しましょうよ。例えば、スーパーCOEとかグローバルCOE、それから、今度は新しいのをつくります、21世紀COEとか、トップテン。ああいうものとリンクさせて議論をしなければだめじゃないですか、これは。制度改革はいいでしょう、これで。産連課は解散ですな。(笑)

事務局
 もちろん、シーズとなる学術研究というのは非常に重要だと思っていますし、きょうの私のプレゼンテーションしたペーパーの1枚目のペーパーに、大学の役割、学術研究推進の方向性として、基礎から応用まで多様な学術の研究を推進ということと、分野の領域にとらわれない研究をしていく国としての方向性を出したところです。一方で、当然、産学連携をやる上での大前提は大学にシーズがなければ成り立ちませんので、それはまさに車の両輪だと思っていまして、文部科学省としてもシーズの創出につきましては当然強化していきます。ここについての議論は別の審議会でもやっていただいているところですが、我々も事務局としましては、その辺とも連携を当然強化していきたいとは思っております。先程、白井主査の方から体制整備の状況はどうかということで私は口頭で申し上げましたが、お手元の机上資料の今度は4というところを見ていただけるとありがたいんですが、4の今度は88ページでございます。これは18年度に行った調査でございまして、先ほど私が申し上げたのは、これの18年度作成予定というのと、これまでの整備済みというところを足した形の数字を述べさせていただいたところでございます。ご参考までにお知らせします。

委員
 私はきょう初めてこの会に参加させていただいたんですけれども、大変な会議だなと思いながら先ほど来から聞いていたわけですが、何だかんだ言っても、私は90年代中盤から以降はやっぱり産業界とアカデミアとの役割分担といいますか、そういうのがある程度進んできた。製薬業界とかバイオとかよくわかりませんけれども、それで大学への期待というのは大きくなっていると思います。
 それで、私どもが産学連携でやらせていただている、この30ページ近くにある高出力レーザーがそうかなと思いながら見ていたんですが、世界をリードするような製品ができてくるというのは、大学側のシーズと産業界側のまとめ上げる力、これの連携がうまくいった感じだなと、成果だなと思っている。それなりに私は評価しておりますんで、大変厳しい意見が相次いでいますけれども、これはやっぱり産学官連携、日本の国際競争力という点でも非常に大事というか、これしかないんじゃないかなと知財も含めて。これまでは知財といえば産業界だけの片肺飛行だったんじゃないかなと思います。もっと大学側に頑張っていただきたいと思っております。そういうあれで、文科省さんの資料でいつも抜けているので気になるんですが、私は経団連の知財委員長もしていまして、その知財委員会の中に国際標準化推進部会というのがあるんですが、国際標準化というのがマチュアな技術領域の総合利用ということで標準を決める時代から、新しい技術分野でどんどん標準を決めて、そこにR&Dの努力をフォーカスしようと。そうすると実用化が早まるんじゃないかということで、事前標準の時代になってまいります。そうしますと新しい技術をどんどん生み出して、国際標準に提案していくと。これは非常に消耗も早いんですが、企業のセンスから見ますとタイムスパンから見ますと、まだまだそれでもロングタームの課題なんですね。ですから、大学側が重要な分野で国際標準化ということ、非常に基礎的なサポートをしながら長期的視点でサポートしていた。 そういうところに資金をつぎ込むと、非常に長い目で国としては、大学としては短い目なんで産業界としては長い目です、うまくかみ合うんじゃないかと思いまして、ぜひ、そういう点の重要性もうたっていただきたいなと。いろいろ競争的資金の活用、提案公募型、そういうところで国際標準づくりにチャレンジするんだというところは、ぜひ評価の対象に入れていただきたいなということがありまして、ぜひよろしくお願いしたいと思っています。

事務局
 すみません、事務局から一言だけ。本日の資料には確かに国際標準化という言葉はうたっておりませんけれども、例えばきょうの先ほどのプレゼン資料の2ページ目をごらんいただきたいんですけれども、こちらは現在の施策全体概様となっておりますが、この中の一等真ん中の辺に研究開発費の支援がございます。特にこの産学共同シーズイノベーション化事業、こちらは共同研究を促進するためのチームファンドなんですけれども、こちらは19年度から国際標準化に向けた取り組みを申請書に記載していただいて、それをちゃんと審査するというような取り組みを新たに始めたりする、そういうことはしております。

委員
 オブジェクションだね、それは。

主査
 どうぞ。

委員
 大学に国際標準化というのは、ちょっとミッションが違うんじゃないですかね。大学のファーストプライオリティーはやっぱり最先端の研究、それからもう一つは体系化の研究、そして、それから出てきた技術を国際標準化するというのは、やっぱり企業サイドあるいは必要に応じて国がやるということで、大学の先生に技術標準をつくれというのは、何でもかんでも大学にやるようなことで、ちょっと違うんじゃないですか。

委員
 それから、もう一つ言いますと、知財をとるのも大学のミッションのファーストプライオリティーじゃないと思うんですよ。これはバイプロダクトとしてあるんで知財をとりなさいと。どうも産学連携をやっていると、本と末が転倒して蜃気楼がどうしても多い。

主査
 たくさん、まだ発言していない人がいるなら。

委員
 大学に国際標準の主役になってくれというのではなくて、産業界、それから官界が取り組むわけで、大学の先生はメンバーとして基礎部門を支えるということです。長期的視点で。そういう役割を担ってほしいというわけであって、決して、そこを100パーセント大学がやってくれというわけじゃありませんから。(笑)

委員
 私は昔、ICをやっていまして、日本は大学の先生が中心になるんですが、標準で、ところが、外国は全部企業の人が20年、30年の国際標準の専門家を養成して非常に強いんですね。日本の場合にはなぜか企業さんでそういうことをやるのは、キャリアとしてはうまく上に行かないもんですから、企業は若い人が1年、2年で交代して出てくるんですけれども、外国は20年、30年やっていた専門家がありまして、むしろ、私はこれは経団連さんの方で企業内にそういう人を育てるという姿勢が必要だと思います。経験が物を言うんです、国際標準は。ですから、しかも大学の先生は日本を立てていますが、大学の先生はサブでやるわけですよ、それは。しようがなくてボランティアで。私が若いころは絶対、それにインボルブされないと教授に盾突いて、絶対国際標準で働くことをしないことをしたわけですから、これはやっぱり経団連さんがもっとフォーカスして、専門家を育てるんじゃないでしょうかね。

主査
 両方あるんじゃないかと思うんだけれども、技術ポリシー、知財ポリシーと、これはまた別の次元であろうかと思いますが、時間がちょっと申しわけありません、余り時間がないので、あとご発言はありますか。もしあれば手短にひとつお願いします。

委員
 国際標準については企業の役割だと思いますし、今、おっしゃったこともそのとおり。ただし、国際標準につながるような技術の出し方を大学がしないといけない。そこがポイントだと思うんです。
 ちょっともとに戻りまして産学連携の議論がいろいろございましたけれども、97年の段階で例えば我々が大学からどういう技術が出て、それが何にどういう格好に結びついているか調べようと思っても、大学法人の特許というのはございませんでした。国有特許はわずかで、大学の先生が絡んでいる特許というのは個人帰属になっていますので、名寄せして調べるしかない。それがどういう経緯で大学から企業に行ったのかというと何かよくわからない状態だった。今は、だけれども大学法人からこれだけたくさんの特許が出るようになって、さらに京都の会議でちゃんと大学の法人の発明が産業に結びついた事例がたくさん出てくるという状態になった。これが5年間の変化で、それはやはり私は評価すべきだと思います。
 それが1点です。そしてシステム改革をやって、そういう乗り物がちゃんとできたということがあるわけだから、その乗り物にどういう形で乗っているかということを見ることが大切です。文部科学省さんのデータ、先ほどから参照しているデータは、実を言うとよくよく見ますと、さっきの分野別の動向等もかなりよくわかるデータです。中小企業とどれぐらい連携されているかとか、そういうことも実を言うとこれを見るとすごくよくいろんなことがわかります。こういうものをより活用するということが非常に重要だと思っています。ただ、知財の質の話、これは実は大学に限らず、この間、知財協のシンポジウムに招かれましたけれども、知的財産の見える化というのが産業界で話題になっているぐらいですから、これはそんなに簡単ではない。私自身が95年に企業で出した特許は、多分、これは当時付与後異議申し立てが20何件ついたような特許で、レコードになるほどでしたけれども、これが本当に質がよかったかどうかという、いまだにやっぱりまだ議論があり、そんなに簡単ではない。だけれども、数を見て質を見て、それの行き先の事例を見ていくと、それから国際的にどれだけパテントや貿易の数があるかと見ていると、おぼろげながらもわかってくる。私はこの5年間、随分やっぱり進歩したと思います。そこのところはベースにして、それで先ほど言われたように、COEとかいろんなところの中でも、そういう乗り物にちゃんと乗って、どういうことが起きているかというのは一緒に見ないと私はいけないと思うんです。

主査
 この資料についての事柄、大分本質的な議論がたくさんあったというように思います。ちょっと時間がなくなりますので、一応、資料3の方もあわせて説明していただいて、これが今の議論とピントが合っているかどうかについてはいろいろあろうかと思いますが、あわせてご意見をいただけたらと思いますのでよろしく。

(2)産学官連携の当面の課題について

  • 資料3に基づき事務局より文部科学省における主な産学官連携・知的財産施策について説明があった後、質疑応答が行われた。その内容は以下の通り。

主査
 資料3は産学官連携、特に国の施策として大学のところを見たときに、この1、2、3のようなことが問題じゃないかという指摘だけれども。

委員
 私は大学発ベンチャーのプログラムオフィサーをやっていますのと、もう一つベンチャーキャピタルだというのでちょっと。大学発ベンチャーをやっぱり数で追うのは非常にまずいと。アメリカはそれこそ生駒さんもいらっしゃいますが、私もインテルにおりましたし、アメリカであれだけベンチャーが勃興した理由は、決して政府がベンチャーをやれ、やれと、プログラムを展開したわけではなくて、インテルが成功し、マイクロソフト、ヤフー、グーグル、シスコ、サン・マイクロシステムズと、もう降る星のごとく成功者がいて、おれもという気持ちが一番強かったと思うんですよね。だから、いろんなプログラム、国のプログラムがあるんですが、やろう、やろうというプログラムばっかりなんですね。それで、やっぱりやる気にさせるには、一番いいのは成功者をつくること。成功者が出てくれば、おれもとこう思うんですよね。そういう人間の自然な気持ちを大切にすべきではないかなと思います。ただ、審査をやっていて一つよくなったかなと思うのは、大学のプロフェッサーが私たちに対して一生懸命説明される。あの目の光った熱意のある姿って、学生時代のプロフェッサーに見たいことがないんですね。そういう意味では、ちょっとやる気になっておられるのかなと思うんですが、ただ、もう一つ心配なことは、このプログラムのために大学の研究が結構安易な方向に行っているんではないか。実は、今日もここへ来る前に申請書をチェックしていたんですけれども、民間にいる私がこんな簡単な研究でいいのかと思えるようなものがあるというのを見ると、やっぱり余り数はもう言わずに、いい大成功例をつくるということに工夫して徹するべきじゃないかなというふうに思っています。

委員
 この資料3を見て、産連課がこれを書いていただいて、私は非常に勇気付けられます。先ほど生駒先生はもう産連課は解体したらどうだと言われましたが、解体ではなく、ここの視野まで産連課が持って、本当の意味の産学官連携の構築・推進に取り組んでもらいたい。産学官連携は目的ではなく一種の手段ですから。産連課作成の資料3はイノベーションならイノベーションの創出という面を、本当に産業と学と官とで築いていくという視点で問題意識を書いていると思います。ぜひ、この視点、例えば問題意識のところにアンダーラインをしているように、これは非常に大事な話で、結局、「教育」と「研究」とそれから「イノベーション」、この3要素をいかにインテグレーションしていくかというのが今の日本の課題、世界じゅうの課題です。国力を争う意味の課題です。そういう中で、この課題例の1にも書いてあるように、産連課の担当では、例えば先ほどグローバルCOEの話もおっしゃいましたけれども、既に活動を始めている「先端融合イノベーション創出拠点事業」なんかも立派な産官学連携なのですね。それから、今年から計画されようとしているような世界トップレベルの研究拠点事業、通称「トップ30」の話も、10年か20年先のイノベーションの源を産学官で一緒になってつくるかという話です。ぜひとも資料3は、産連課の今までのスコープよりもっと広げた、文科省なりあるいはほかの省庁も含めた本当の意味の「研究」と「教育」と「イノベーション」の三要素のインテグレーション(統合)に関連するものを全部を俯瞰的にまとめ、「これを産連課の立場では見るぞ」という意思表明にしてもらいたいし、私も大いにサポートしたいと思います。

委員
 私も意見に賛成でございますから、産連課は存続させていただきたい(笑)。
これから一つ非常に重要なのはやっぱりライフサイエンス分野で、日本は基礎研究に多分競争的資金の半分ぐらい投入しているわけですね。しかしながら、なかなか産業化が起こらないと。秋元さんは笑っておられますけれども、武田さんは日本で臨床研究、治験はやらないと宣言しておられますけれども、一番重要なのはやっぱり臨床研究ですね。臨床研究とあと治験の部分というのが大変閉塞的になっていまして、センターでも臨床研究のコンプレックスをつくれというのと、臨床研究基本法をつくれという大きな課題で提案を申し上げて、今、もう少し細かい制度改革の提案をしていますけれども、やはり日本で一番必要なのはここなんですね。せっかくライフサイエンス、基礎研究、物すごく優秀な先生がたくさん今出てきている、サイテーションインデックス1、2位を争う人が毎月出てきているわけですけれども、それがなかなか出ていかないんですね、産業界に。ここをぜひ産連課としても何からの格好で手を打っていただきたいというふうに思います。そうしますと、多分ライフの方の企業からの大学への研究資金も、アメリカや欧米に行かないで日本にとどまる可能性がすごくある。初めからライフの方は創薬、医療は日本では余り治験をやらないと初めから決めていますんで、そこが次の大きな課題ですけれども、産連課のちょっと手には余るかもしれませんけれども、そこをぜひ突破していただきたいと思います。

主査
 まだたくさんあろうかと思うんですが、非常にきょうは活発なご意見をいただいております。

委員
 ちょっと一言あるんですが、いいですか。

主査
 大体、そうなるんじゃないかと思ったんですが、というのは、きょうは異常に出席率がいいんでございますけれども、(笑)たまたま皆さんのご都合が何とか出ていただけたらということなんでしょうが、大変ホットな議論だったと。せっかくですから。

委員
 非常に簡単に余計なことは言わないでまじめなことを言います。今、言われたことは確かに私も賛成で、まるっきり反対はしていません。本当に賛成です。ただ、この課題の例のところで、やはり大学は大学という役割を考えなければいけないし、基礎研究で生み出される成果と書いてある。だから、これがないとどうしようもないんですね。だから、やっぱり大学は基礎研究を生み出すんだと。それから、先ほど言われたようにサイテーションのいいのも非常に出てきたと。実は私どもは特許の出願件数、それから学術論文の件数、これを見ますと大体大学の人が学術論文を出しますから、学術論文と特許の数というか、大体ある程度相関するわけです。そうしたときに、学術論文のサイテーションが多いものは、非常にうまく産学連携がいっているんですね。例えば日本でいえば関大の岸本先生のインターロイキンの最小クローニングいたしました。これはものすごいサイテーションが行われていて、これは中外が起業化いたしました。それから、現在は糖鎖研究、これは日立さん等も含めていろんなところが今応用しようと思って、花が開こうとしています。それから、外国で見ますとRNA-I、RNA干渉という現象がありますが、これも最初にやったところは非常にサイテーションが多いです。ただ、日本がやっているのは出願論分数が多くてもサイテーションは20分の1ぐらいです。これは共同研究にいかないんです。だから、サイテーションにある程度作為があるかということもあるんですが、それは別にして、やっぱり特許の質、基盤研究の質を考えるときには、サイテーションが一つの方法になるんじゃないか。だから、ここのところはやっぱり生み出すというところにぜひ重点を置いていただきたいというふうに思います。

委員
 理化学研究所はサイテーションに関して、特にバイオに関しては世界トップテンに入る状態にありますが、先ほどからの話の中で1点だけちょっとここで申し上げたいのは、創薬の話になると必ず治験とか臨床の話が出てきまして、これは生駒先生のおっしゃっているとおり、非常に日本にとって出口の隘路になっておりますけれども、次第にそれが上流の方に来て、要するに、今、秋元さんがおっしゃいましたけれども、生命現象で標的遺伝子が見つかってから、次の人工物としての薬の候補化合物までの一種のメディシナル・ケミストリーというか、ケミストリーのエリアが次第に弱くなっているように思います。そこは私はやっぱり一つの創薬化学であります、製薬会社の得意とするところだというんじゃなく、まだまだゲノム創薬というのはむしろサイエンティフィックなチャレンジな部分であるんですね。どちらかというと基礎研究は生命現象ばかりをやっているところがあって、そこで生まれたある候補遺伝子から、今度はケミストリーに入っていくところが大学の学部においても、アメリカはそういうところで人材をかなり育成していますから、ベンチャーを支える人も次々と生まれているんですが、日本の教育の方でだんだんメディシナル・ケミストリーのところが、薬学部がやるのか化学がやるのか工学部がやるのかだんだんわからなくなってくると、しかも大手の外資系の製薬会社がどんどん研究所を日本から抜けていきますと、就職先もなくなっていくと、ますます大学がそういう人材を育成するというところまで、今、空洞化しつつある。ですから、出口の臨床、治験、一番難しいところも大事ですけれども、その手前の学術、アカデミックな分野でもそこが今弱くなっているんじゃないかなということをぜひ、どこかで考えていただきたい。ついフォーカスが臨床、厚労省とこっちへ行っちゃうんですけれども、そこは大きな壁ですけれども、だんだんその前の学術の分野でも、創薬、化学という何かもうちょっと光を当てていかないと、科学論文から製薬会社がある意味で近寄ってくるのはターゲットあるいは方向、化合物の手がかりが見えないと、余りに薬にするにはリスクが大き過ぎると。そこを生み出すのは大学にも十分ポテンシャルがあると思うんですよね。申しわけありません、時間を。

委員
 ちょっとそこの論点じゃなくて、むしろ西岡先生のお話を続けていきたいと思うんですけれども、1つはやっぱり成功例が要るというので、もう1個、逆に大学の成功例も出さなければいけないんじゃないかと思うんですね。先ほどお話が出たグーグルはスタンフォード大学から出ましたけれども、グーグルの株をスタンフォードは持っていまして、250億円ぐらい多分上場益が出て、今、情報通信の新しいまたセンター拠点をつくっていますけれども、日本の大学の場合、現在、特許料のかわりの株の取得というのが認められていなくて、たしか昨年度でもまだ10件に及ばない程度しか件数がないんじゃないかと思います。そういう意味では、やっぱり大学の基盤研究を今後重視するために、特に大学発ベンチャーの質を高めていくということになりますと、やはり、そうした大学にインセンティブというのを早いうちにかけていかなければいけないんじゃないか。そういう意味では私立大学は大丈夫ですけれども、旧国立大学に関しては、大学の方としては何となくインセンティブがないままに進んでいるわけです。先ほどのお話が出ましたけれども、ロイヤルティーで稼ぐじゃ大分先になりますから、そこまでの間の成功例を出していくということが必要じゃないかという気がします。それから、もう1点、先ほどの基盤研究なんですけれども、言われているような問題ってもう全てあるんですけれども、もう一つはここで言うのが正しいのかわかりませんが、少し評価システムが基盤研究に関してまだ私はよくないんではないかという気がしています。大分知財に関しては評価システムがかなり確立してきたと思うんですけれども、いわゆる基盤研究の方に関しては、以前からの評価システムが一部改善されただけでまだ続いていまして、余り本当の意味での基礎研究、いいものを国として支援ができる体制がまだ十分じゃないのではないか。大学としてはどうしても最初に科研費なり何かをもらっていかないと始まらないとありますんで、そこも少し産学連携の視点を入れて、本当の意味で産業化の拠点的な要素というのも、もう少し基盤的な段階からすくい上げるという評価システムも要るんじゃないかなという気がいたします。かなり従来のやり方のままで来ている部分がかなりありますから、そこも新しい目というのが要るんじゃないかというふうに思います。

委員
 私はこの2月に経団連の産学官連携推進部会長の重責を担うことになり、非常に困っております。しかし今日の当面の課題の中で、やっぱり産学官連携というのはあくまでも重要な手段の一つであって、ゴールではないということは論をまたないと思います。資料の3点目に人材という記載がありますが、最も重要なのは人材だということに誰しも疑いを挟む余地はなく今、経団連ではやはり人材育成に、産学官の分け隔てなく焦点を当てようということになっております。特に産学官の人材交流、これは欧米諸国と比べたら日本は比較的硬直的、閉鎖的で、余り流動化していないという構造的な問題があるというふうに認識しています。それをどのように変えるかということを考えています。先ほど、大学の先生もおっしゃっておられましたが、企業から大学の先生になった人は結構おられますが、企業人が大学に来て、常在していろいろ議論しているということはほとんど無く、企業もあまり努力していないというご指摘を頂いています。一方、大学の先生が企業に長期間いるということは、不可能だという状況もあるように聞いております。ですから、その辺は官としてもお考えいただいて、もちろん、産も学も考えなければいけないことですが、もう少し産学官の人材交流が行われるようにするということが、人材育成の見地から極めて重要なのではないかと思います。

委員
 今の西山委員のいい形でそれが実現できたら大変いいんですけれども、そういう制度ができたときに、企業から大学に長期に行く人というのは、全く戦略的でない人しか行かない。戦略的な人は今必要なので絶対出しません。そうすると、この話はもっと悪くなりますということを恐れるんですけれども。もう一つ、私はベンチャーキャピタルとして技術力のあるベンチャーは大企業に一生懸命連れていって、少なくとも産学が連携できるように一生懸命やっているんですけれども、一番、そこで問題なのはきっと大企業がベンチャーをつかまえて、一緒に何かリスクをとって仕事をするということに対するモチベーションがないんですね。2年後に相手がつぶれたら、どひゃっと怒られるんです。5年後に大成功したときに、ボーナスが10倍になるかといったらならないんですな。そうしたら、もうやめておいた方がいいわというのが今の大企業の人の大体の身分の考え方なんですけれども、そこを突き破るのが大変なんです。

委員
 私もなるほどと思いながら聞いていたんですが、やはり現実問題として今のおっしゃった、私もミドル上がりですから思いますけれども、そのとおりだと思います。しかし、先ほど言いましたけれども、奨学給付金の時代から目標を定めて、お互いに役割分担してやりましょうというテーマがふえてきたと私は思っていまして、このときは確かに超戦略的な一級の人材は出しませんけれども、その次ぐらいはやっぱり投入するんですね。結構、そういう交流は見えつつあるかなという気がします。ここでちょっと考えるべきは、サバティカル制度、それからインターンシップ、これが本当におっしゃったように恐る恐る短期間でセイハロウぐらいのインターンシップ、サバティカルしかないと言う意味で、ここの辺はもう少し課題を定めてしっかりとやらせるという余裕が必要、あってもいいんじゃないかな。そういう文化はまだ育っていないなと思います。それから、もう一つ、企業から大学に、確かに大学から企業というよりははるかにたくさん活用していただいて、それは第一級の人材であろうとなかろうと日本の成長を支えてきた人材ですから、それなりの貢献はしていると思うんですが、非常にかた苦しいのは、ドクターを持っている人しか採用しにくいと、こういうようなのがあります。本当に産業の現実の場で役に立って、大学側でも、こういうやつが若い学生を指導してくれたらいいなというような人は、本当は持っているとは限らないんですね。それで、大学の知財本部なんかで採用いただいているのは、必ずしもドクターにも限らず採用される。あれは一つのフレキシビリティーのあらわれだと思うんですが、基礎研究的な領域にも研究の領域にも余りドクターにこだわらずに、本当にその分野で成果を上げている人を採用すると、みなしで採用できるという自由度もあってもいいんじゃないか。そうしたら、もっともう一段産学の交流は進むんじゃないか、と思います。

事務局
 今日はたくさんいろいろご意見をいただきましたけれども、私もちょうど22年前に私が大学の課長補佐で、寄附講座制度をつくったとき、担当の補佐でございました。実はさっきの国内企業から私どもの大学への受け入れの中に、奨学寄附金の教育を目的とする部分が入っておりませんので、いわば寄附講座分なんかかなり落ちていますから、あれのさらに400億円ぐらい上だと思っております。ですから、そういう意味では少し資料の提出の仕方が若干アンフェアなところがあって、大変申し訳ないと思っております。ただ、私なりに思いますけれども、当時、寄附講座制度をつくったときは、あちこちの大学から反対されて、軍学共同反対とかいう非常に古典的な反対文もございましたけれども、そういう中で、かつては研究室レベルで個人と企業の関係だったものを、ようやく大学という組織と企業という組織という、組織間の連携までは高めてきたというところです。そういう意味でいうと、いわば組織的にするといろいろなフォーマットが出てきて、やりにくい面もあると思っておりますが、そこはさらにこれからも制度は改善をしていきたいと思っております。今の野間口会長のお話も、制度的には私も平成3年に既に大学院設置基準を改正しておりまして、博士課程の先生にはドクターの学位を持っていなくてもいいことに実はしてあるんですが、なかなか大学としてどうするのか、特に問題なのは、私どもの方も私立はもとより授業料で大学を経営していますから、教育労働という問題がございます。国立大学も法人化をしまして、余計に一定の労働を求めて効率化するということになる中で、そういう中で具体的にどういう形で、そういう産学連携と研究の人材を学内でリソース・アロケーションしていくかというちょっと大きな戦略、その意味では大学自体も研究大学と教育大学があり、少し戦略を明確にしてやっていこうと思っておりますので、先ほど産業界一般というような議論も少し乱暴だということもありましたが、これからはどちらかというと大学の方も、押しなべて大学一般という議論も少し乱暴なのかなと思っております。また、同時に、先ほどお話が出た私どものグローバルCOE、大変成功しまして、グローバルCOEの中ではかなりポスドクも増えておりますし、さまざまな知財の移転も行われていると思っております。また、同時にちょっと最近、私どもが残念に思っているのは法人化をした結果、文部科学省のグリップが離れましたので、組織の転換ということが行われにくくなりまして、なかなか先ほどケミストリーというお話がありましたけれども、そういう意味で教育研究内容の現代化を少し外からの圧力によって、強制的に進めていくという点が弱くなりましたが、これも少し競争的研究資金の中でさまざま科研費と戦略的創造推進研究とか、いろいろ分担を少し色分けをしてやっていきたいと思っています。そういう意味では、この委員会はあくまでも産連課の委員会ではございませんので、大学全体と産業界のかかわる委員会でございますから、ぜひ、大学制度全体あるいは文部科学省の大学政策全体にかかわる意見も、これからも大いに拝聴したいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

主査
 そろそろ終わりの時間がちょっと迫ってきましたので、きょうは大変活発にご意見をいただきまして、非常に有益な議論ではあったかと思います、ややクラシックなところもあったかなと。そういうことを言ってはいけないんですが、一応総復習がなされて、この後、有効に進むのではないかと思います。ただ、先ほど来出ているように、この産学官連携というのも確かに新しいフェーズに入ってきているんだということは事実だと。そうするとお金の回し方、それから知財の回し方、それから人材供給ということも非常に問題になったんだけれども、そういうところを総合的にやっぱり見ていかないと、単純に特許が取れたと、あるいは技術移転を誇ったと、そういう評価だけでは皆さん、そんなのはだめよと、業態によっても業界によっても当然違うしというような分析の手法をそろそろ進歩させなければならないということは、かなりのご指摘があったんじゃないかなというふうに思います。それと、その取り組み方ですよね。例えば国のお金を投じるのにも、どういうものに対して投資すべきなのか。産業界はどういうところに対して、もっと投下しなければいけないのか。何しろ人材を、大学は若い連中を次から次へと供給していますから、やっぱり、それだけでめちゃくちゃ忙しいんですよね。研究なんかはっきり言って余りやってはいられないんです。そういう状況なんですから、もう少しお金を回してくれませんと本当にだめなんですよ。要求だけ回ってくるんですけれども、ほとんど応えられないというのが正直なところじゃないか。大学の立場からだけの話かもしれない。もうちょっとまじめにやれよというふうな見方もされているけれども、結構、まじめにやっているんですね。その割には払うべきものは払わないと、やっぱり見返りも行かないということも事実だと思うんで、そういうところの考え方ももう少し実際のデータをよく見ていただいて、このぐらいはどういうふうにお金を回すべきであるとか、人材育成であるとか、本当の基礎の自然科学の理学系の基礎なんてやっぱり重要なんですよね。そういうところの人が、みんな、それでは商売だというんで、そっち側へ何か割に安易な研究なんかにどんどん転換すると非常に問題があるんですね。ですから、そんな意味でも、そういうところはどうせそんなだれもお金を出してくれませんから、そういうところの研究をちゃんと生かしておかなければいけない。そういう日本の大学を枯渇させないように、ひとつそこもお願いしなければいけないし、そういう意味で、全体に産学官連携と言っているけれども、これは単純に技術が移転するとか、シーズが単純に生まれればいいんだと、そういうことじゃなくて、やっぱり大きく回転していく、回っていくんだということをそろそろ議論をしていく、意識していくという時代に来ているんじゃないかなと私は思っているんですが。それでは、どういうふうにするのかということは、皆さん、ぜひお考えいただければ大変ありがたいなというふうに。ですから、次のフェーズだというふうに思うんですね。それから、先ほどもおっしゃられたんですが、要するに採算が合っているから合っていないからとか、成果がどうだったか、一応、弾みがついたから国の予算はもう要らないよというふうになるのか、そのバランスをどういうふうなところで、要するに、これの投資効果がどうだったかということを考えるときにいろんな評価があると。評価の方向が大変問題だという意見もいろいろありましたけれども、ですから20年以降、これをどういうふうに考えていくかというときに、予算獲得の上からも、どういう理由できっちり筋道を通してやれるのかというのは、国の立場としてはやっぱり非常に大きいんではないかなと。それほど大きいお金じゃないかもしれないけれども、案外、それぞれの大学にとっては非常に大きい意味を実は持っているんですね。そこら辺も評価の問題としてあるんじゃないかな。そろそろ終わりだから、金の切れ目が縁の切れ目というわけにもいかないし、どうしたらいいのか。それを今年はちょっとよく考えておかないといけないんじゃないか。よろしくお願い申し上げます。
いろいろあるんですけれども、きょうは大変有効なご議論をいただいたと思います。後でまた少しまとめていただきたいと、事務局の方でお願いします。

(3)その他

  • 資料4に基づき、事務局より産学官連携推進委員会運営規則の改正について説明。可決された。

(4)「大学知的財産本部整備事業」における国際的な産学官連携の推進体制整備に係る選定について審議し、「国際的な産学官連携の推進体制整備」選定件数12件及び「特色ある国際的な産学官連携の推進機能支援プログラム」選定件数5件の採択を決定した。

(産学官連携推進委員会運営規則第4条第3号に基づき非公開)

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室

(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)