産学官連携推進委員会(第35回)・大学知的財産本部審査・評価小委員会(第16回)合同会議 議事録

1.日時

平成20年1月31日(木曜日) 16時~17時

2.場所

文部科学省 東館3F 1特別会議室

3.議題

  1. 大学等の研究成果を社会還元するための知的財産戦略・産学官連携システムに関する総合評価報告書について
  2. 平成20年度 産学官連携関連予算案について
  3. 産学官連携戦略展開事業(案)について

4.出席者

委員

 白井(主査)、秋元、飯田、石川、石田、小原、澤井、清水、高田、武田、田村、柘植、馬場、原山、平井、本田、松重、三木、山本、渡部

文部科学省

 土屋高等教育局審議官、田口研究環境・産業連携課長、小谷技術移転推進室長、井出研究環境・産業連携課長補佐、吉田技術移転推進室長補佐 他

5.議事録

(1)大学等の研究成果を社会還元するための知的財産戦略・産学官連携システムに関する総合評価報告書について

 資料1‐1及び1‐2に基づき、事務局から説明した後、その内容に関する質疑が行われた。その内容は以下の通り。

【主査】
 お忙しいところ、御出席いただきまして、ありがとうございました。早速、議事に入らせていただきます。
 本日の議題1というのは、大学等の研究成果を社会に還元するための知的財産戦略・産学官連携システムに関する総合評価報告書についてですけれども、この報告書の概要について、事務局から説明いただきます。よろしくお願いします。

【事務局】
 それでは、説明させていただきます。こちらは総合評価ということでございまして、総合評価につきましては各行政機関が行う政策の評価に関する法律などに基づきまして、特定のテーマについて様々な角度から分析するということになっておりまして、19年度は大学等の研究成果を社会還元するための知的財産戦略・産学官連携システムに関する総合評価というものをいたしております。こちらは昨年の12月にプレス発表等いたしております。
 早速、まず1ページ目を御覧いただきたいと思います。2つ目の○(丸)、背景と目的でございますが、まず我が国の産学官連携システム、こちらのシステムの構築段階から成果の創出段階に移行しつつあるという背景をもとに施策の効果を総合的に分析・評価いたしまして、今後の施策の実施の検討に資するということを目的としております。
 こちらの評価の対象施策でございますが、その次の○(丸)にございます(1)から(5)を対象としております。こちらは少し簡単に説明させていただければと思います。まず1番目の大学知的財産本部整備事業、こちらは皆さんよく御存じだと思いますので割愛させていただきます。
 2番目の産学官連携高度化促進事業でございますが、9ページに資料がございますので、こちらを御覧いただければと思います。9ページでございますが、産学官連携コーディネーターを派遣する事業でございまして、大学等で不足している専門の分野を産学官連携コーディネーターを大学等に配置いたしまして、大学等から産業界、あるいは地域社会への知識の移転ですとか、研究成果の移転をサポートするということでございまして、こちらは平成19年4月現在で各大学に 81名配置いたしております。
 19年度につきましては、地域の知の拠点担当コーディネーター、こちらは大学等と地域の組織的な結びつきを強めるようなコーディネーターなのですが、こちらとあと目利き・制度間つなぎ担当、こちらは研究成果を実用化につないでいく専門の担当の方でございますが、こういった方を重点的に配置していくということにしております。
 10ページ、1枚めくっていただきまして、こちらが19年度の実際のコーディネーターの配置先でございます。
 続きまして、11ページを御覧いただきたいと思います。こちらは産学共同シーズイノベーション化事業ということでございまして、こちらは研究開発の支援制度でございます。基礎研究に潜在しているシーズ、こちらを産業界の視点から掘り起こして本格的な共同研究に持っていくという事業でございまして、左側の顕在化ステージと右側の育成ステージという2つのステージに分かれております。まず、大学等の研究者に研究報告会を開いていただきまして、ここに産業界の方も参加していただいて、よさそうなシーズがあったら、それをピックアップしていただきます。
 次に、1年間のフィージビリティスタディをまず行っていただきます。このときに企業側からシーズ顕在化プロデューサーという方に来ていただいて、きちんと出口方向を見据えたフィージビリティスタディをしていただくということで、このフィージビリティスタディの段階である程度この先に進めそうだという判断が行われましたら、その右側の育成ステージに移っていただきます。ここで2年から4年かけまして本格的なマッチングファンド形式による共同研究をしていただくということで研究成果を社会に還元していただくという事業でございます。
 続きまして、12ページを御覧いただきたいと思います。こちらは独創的シーズ展開事業というものでございまして、こちらも研究開発の支援制度でございますが、先ほど説明しました産学共同シーズイノベーション化事業に比べまして、やや下流寄りの事業でございます。こちらは大学等で研究成果ができまして、これを知財化したものを使います。こちらを四角の中に書いてございます4つのパターンを用いまして、それぞれフェーズですとか、あるいはやり方が少し違っているのですが、これを社会に還元していくというための事業でございまして、一番上にございます大学発ベンチャー創出推進型、こちらは大学発ベンチャーを創出するための研究開発を推進するための事業でございます。
 その右側にございます、委託開発型、こちらは大学の研究成果を企業に委託して開発をしていただくものでございます。その下、独創モデル化型、こちらは企業が持っている課題ですとか、新技術のコンセプト、こちらを大学との研究成果を用いまして解決してモデルを作っていくという事業でございます。
 左側にございます、権利化試験型、こちらは現在ない事業なのですが、大学等の研究成果の基本的な特許、これにかかわる周辺特許を取得するための研究開発を行う事業でございます。
 続きまして、13ページを御覧いただきたいと思います。こちらは最後になりますが、技術移転支援センター事業ということでございまして、大学等の研究成果を社会に還元するための総合的な支援制度となっております。こちらは海外特許出願を支援するために、その出願費用をサポートするですとか、あるいは目利き人材を育成するプログラムですとか、大学の見本市の開催などで総合的に研究成果の社会還元を図っていくという事業でございます。
 1ページに戻っていただきたいと思います。こちらは評価の対象とする施策の説明でございます。
 続きまして、評価の方法でございます。一番下の○(丸)でございますが、こちらの図1を見ていただくと、これは左側が、研究成果が創出されまして、右側が実用化されるという流れになっております。研究成果が創出されて共同研究などを行って権利化、ライセンシングなどを行って事業化するという流れがございますが、こういった各マイルストーンに係る指標について各施策の効果を分析していくとともに、資源投入量との関係などの施策の効果を評価していく総合的な評価をしております。
 続きまして、2ページを御覧いただきたいと思います。こちらは左側、図2でございますが、こちらが総合評価の全体的な構成でございます。まず、左上のデータのところです。産学連携等実施状況調査などのデータをもとにいたしまして、その下、大きな2、大学知的財産本部整備事業の分析、大きな3、それ以外の4つの事業につきましての分析、これをそれぞれ行いました。大学知的財産本部整備事業の分析につきましては、大学知的財本部整備事業を設置してある大学と設置していない大学に分けまして、そのシステム効果を分析いたしまして、加えて、成功事例等も検討しております。
 また、大学知的財産本部整備事業以外の4つの事業、右側にございますのは、その事業を行うことによって直接的にどれぐらい特許出願数が増加したとか、あるいは共同研究が増加したかですとか、そういった直接効果、あるいは成功事例等などについて検討しております。これに加えまして、審議のまとめですとか、これ以外の地域におけます産学連携事業を使用しまして、最後、まとめております。
 続きまして、3ページを御覧いただきたいと思います。こちらはまず大学知的財産本部整備事業の評価につきまして、まず事業の実施による効果といたしましては、各実施機関におきまして、その副学長等をトップに据えた組織が構築され、あるいはルールが構築されるなど、産学連携体制が整備されているということがわかりました。また、この大学知的財産本部整備事業の対象機関以外についても、研修活動などにより、こうした体制の整備が進んでいるということが分かります。
 また、4つ目のポツでございますが、図4を見ていただきますと、この大学知的財産本部整備事業を呼び水といたしまして、運営費交付金などが増えているということで、独自の取組がますます増加しているということが分かります。
 また、その下のマイルストーン指標による分析、こちらを御覧いただきたいと思います。図5でございますが、こちらは平成13、15、18年度の各年度における共同研究でございますが、実施機関を青色、大学知的財産本部整備事業の非実施機関を黄色ということで、各々の伸びがどれぐらいあるかということを示しております。このように大学知的財産本部整備事業を行っている機関と行っていない機関につきまして、それぞれの指標の伸び率を勘案いたしまして、結果といたしましては実施機関におきまして相対的に伸び率が高くなっているということで、事業実施の効果が認められるということが分かりました。また、共同研究の大型化などの動きも見られるということが分かりました。
 続きまして、4ページを御覧いただきたいと思います。こちらは大学知的財産本部整備事業以外の4事業の評価でございます。
 まず、(1)といたしまして、産学連携活動高度化促進事業、コーディネーター事業でございます。こちらは産学連携・知財活動に非常に広く効果を与えているということがわかりまして、また、費用対効果も高くなっているということが分かりました。
 (2)でございますが、JSTの研究開発事業、こちらは産学共同シーズイノベーション化事業と独創的シーズ展開事業でございますが、こちらは大規模な受託研究ですとか、共同研究の推進に大きく寄与しているということが分かりました。全体として費用投入額を上回る効果を上げているということで、図7を見ていただきたいと思いますが、こちらのピンク色で示しておりますのが、こちらの事業による製品の売上高でございまして、青色が研究開発費の投入額でございます。全体的にこのピンク色の売上額が大きく伸びているということが見ていただけるかと思います。
 3番目といたしまして、技術移転支援センター事業、こちらでございますが、海外特許出願支援につきましては、全体の半分程度の寄与があるということで、権利化においてかなり重要な役割を示しているということが分かりました。
 続きまして、5ページ目を御覧いただきたいと思います。こちらも大学知的財産本部整備事業以外の4事業の評価でございます。こちらは総論でございます。まず、図9を見ていただきたいと思いますが、横軸が受託研究の額ですとか、共同研究の額ですとか、あるいは特許の権利化の件数といった各マイルストーンが書いてあります。縦軸の100パーセントというのは、日本全国の値を100パーセントといたしまして、この大学知的財産本部整備事業以外の4事業の値をプロットしたものでございます。横軸を見ていただくと、左側が入り口で右側が出口、事業化ということになっております。
 こちらを御覧いただきますと、(1)といたしまして事業化に近い段階ほど施策の寄与率が高くなっているということが御覧いただけると思いますが、社会還元するという、これらの施策の目的に沿った効果が非常によく表われているということが見ていただけるかと思います。
 また、(2)といたしまして、大学独自の産学官連携活動が活発化しているということで、先ほどの図9を見ていただきますと、年度を追うごとに、特に右側の出口付近を見ていただくと分かりますが、この寄与率が下がっているということで、大学独自の活動が活発しているのではないかということが見てとれます。
 また、3番目といたしまして、共同研究ですとか海外特許の出願、こういった高コストの活動につきましては、これらの4つの事業の施策がまだ重要な役割を果たしているということが分かります。
 また、(4)といたしまして、こうした事業を通じまして直接的な効果だけではなくて、産学官連携全体の高度化に寄与しているということが考えられまして、十分な費用対効果を上げているということが分かります。
 最後、6、全体のまとめでございます。こちらは全体のまとめといたしまして、今回、評価の対象とした5つの施策でございますが、こちらはそれぞれ適切な効果を発揮しているということで、直接的な効果だけではなくて、間接的、あるいは呼び水としての波及効果も含めまして、大学の研究成果を社会還元するための知財戦略・産学官連携システムの発展に大きく寄与しているということが分かりました。
 また、2つ目の○(丸)といたしまして、こちらは対象といたしましては平成13年度から18年度におきまして、この予算の投入総額は約1,100億円になるのですが、これに比べまして共同研究ですとか、あるいはこの事業に基づきまして行った製品の売り上げですとか、こういった直接的な効果の合計額が約 2,300億円ということで十分な費用対効果があると考えております。こちらは図11を見ていただければ、赤色は効果の総額でございまして、青色が予算の総額ということで、赤色が高くなっているのがごらんいただけるかと思います。
 3つ目の○(丸)といたしまして今後の課題でございますが、こちらは組織的・戦略的な共同研究の推進が必要であるということで、より大学の「知」を集積した個々の細かい共同研究だけではなくて、本格的なイノベーション創出のための共同研究などが必要ではないかというのが1点。また、海外と比較いたしまして、特許の実施ですとか、大学発ベンチャーがまだ少し弱いということで、こういったところに一層の取り組みが必要であろうというのが2点。
 また、海外の特許の取得でございますが、やはり国内出願の方が非常に多くなっておりまして、まだまだ海外の出願率が低いということで、こういったところの体制整備ですとか、支援の充実が必要であるということ。また、知財人材の確保ですとか、特許関連の経費の確保がまだまだ必要であるということです。
 さらに戦略的な施策の実施ということで、これまでは量的な産学連携をサポートしてまいりましたが、より質の向上に軸足を移した産学連携を進めていく必要がございます。具体的に申しますと、国際競争力の強化ですとか、ハイリスクの研究開発の支援、こういったところを重点化していく必要があるのではないでしょうか。
 最後に、今回、産学官連携全体のシステム評価を行いましたが、よりよい手法を今後も開発して評価を行っていく必要があるのではないかという課題が見えてまいりました。
 以上で説明を終わらせていただきます。

【主査】
 ありがとうございました。
 それでは、今の御説明について御質問等ある方はどうぞお願いします。

【委員】
 かねがね、9ページの産学官連携活動高度化の促進事業でのコーディネーターの活躍を、私は大変評価しています。ここまで進化型になってくると、今後の課題の中に全国区の、言うなら北海道のコーディネーターが九州のシーズと結びつけるという、オールジャパン的なネットワーク活動が期待されます。当然、それは8ページの大学の大学知的財産本部整備事業とも絡んでくる話ですけれども、すなわち、地勢学的に水平方向、それから、知的財産という面でのシーズ、ニーズの高さ方向だと思いますが、そのネットワークが出来つつあるのか、今後の課題の中にあまり明確にそれが書いていない。どの様な状況と認識して、どの様の方向に持っていこうとしているか。

【事務局】
 回答させていただきますと、まず、コーディネーター、文部科学省が派遣している産学連携コーディネーターが約80名、この80名については、もちろん地区別で色々と連携しているのもございますが、コーディネーター全員が集まったり、情報交換をする産学連携コーディネーターとしてのネットワークがございまして、そこで情報などの横の展開を図っている。それとは別に産学連携コーディネーターだけではなくて、ほかにもJSTのコーディネーターであるとか、地方公共団体で雇用しているコーディネーター、大勢コーディネーターがいますが、ここについては数年前から国が主導というよりも、むしろコーディネーターの中でボランティアのネットワークをつくっていただこうということで、文部科学省のほうもその辺の活動を支援といいますか、応援をするような進め方をしております。

【主査】
 柘植委員、よろしいでしょうか。少しは連携があるという、ボランティア的であると。
 ほかにはどうですか。原山委員。

【委員】
 定義の問題なんですけれども、売り上げというのが4ページにございました。ここで言う売り上げというのは、ライセンシングとか、そういうところの知財から出てきた収入ということですか。それとも事業化されて、その後に製品が売れて、そこから出てきた売り上げというものをカウントしているというのが、この売り上げという意味なんでしょうか。
 最後の6ページのところの御説明は、そのような印象だったのですが。そうすると、かなりタイムラグもあるし、その計算の方法によって額にすごく幅が出てきてしまうんですね。この表を見て、ああ、費用対効果があったという印象を与えるけれども、どこまでがというのがちょっとわからなかったんですけれども。

【事務局】
 回答させていただきます。
 4ページのほうは、研究開発をいたしまして製品が出来まして、その製品を売り上げた額の売り上げでございます。6ページのほうはもう少しいろいろな要素が含まれておりまして、こちらにも書いてありますけれども、共同研究を実施した場合には、その共同研究の額とか、そういった直接的な効果があるものを全部含めて効果として金額に全部入っております。

【主査】
 よろしいですか。ちょっとグラフの意味が違うという意味ですね。
 ほかにはいかがでしょうか。なければ、先ほど柘植委員が言われた、一応はフェーズ、この大学知財財産本部整備事業というのかな、これが終わってこのような評価も出てきたわけですけれども、確かに成功している。これは前にもここで議論になったかと思うんですが、そういう外から支援してくださるいろいろな組織とか、人とか、そういう人に対するある種のインセンティブといいましょうか、やったらやりがいがある仕事なんだというようなところが相当ないと、これ以上なかなかそう簡単には伸びないねと。ある意味で、そこがうまく動くと、我々としては、大学側としてはまだ売れる知財というのがあるのだと少なくとも思っているし、国としてもそう思っているわけですよね。だから、これをやっている。
 そうすると、先ほどのコーディネーターという方は、単純にある一大学に寄与する、そこのところの組織について寄与するというだけではなくて、もうちょっと広い意味の、これは国立大学法人というのはどういうものなのか、国の持ち物なのか何かよくわからないところがあるけれども、そこの知財というものをどの様に活用する権限があるのか、あくまでも大学の知財だから、大学以外は権限がない。それは財産性としてはそれでもいいとは思うのですが、少なくともそれを生かす組織としての働きはコーディネーターの皆さんがある種の1つの動きとして最大効率を上げてやるということがあっても、これはおかしくはないのか。おかしいのかもしれないし、おかしくないのか、そこら辺はどうですか。

【事務局】
 答えになるかどうかわからないんですが、コーディネーター自身は、今、そういう人材が産学官連携活動にもっといるよねという声が意外と出ていまして、報告書の本体の53ページを見ていただきたいのですが、これは科学技術政策研究所で産学の研究者に行った調査の表があって、細かくて申しわけないのですが、実を言うと、コーディネーター人材が一番必要だねというのが、学はそこのニーズが一番です、コーディネーター。それから、産のほうもニーズの2番目としてコーディネーターの人材ということになっています。
 先ほど申し上げたように、量的には、今、全国で2,000人近くいるのではないかと言われていて、そういう人たちが動きやすいように、例えばJSTで 200万ぐらいの研究資金をそういう人たちがとって、自分で見つけたシーズのところにあげるとか、あるいは先ほど言ったようにボランティアでネットワークで、こっちで使えないやつを向こうで使えるのではないかというニーズとシーズのやりとりをしたりということがだんだん広がっていると思っております。
 もちろん、大学に所属しているコーディネーターは大学のためにやるわけですけれども、結局、ギブ・アンド・テイクみたいなところがありまして、あるいは県に所属しているコーディネーターは県内の大学とか県内の企業を見ていますし、そういうところはもうちょっと地域の広いところで連携したり、さまざまな動きがあって、そこについて国で、特にこうあらねばならないとかという制限は加えておりませんし、加えないようにしているつもりでございます。

【主査】
 どうぞ。

【委員】
 ぜひ今、主査がおっしゃった話をボランティア任せではなくて、もう一歩、もちろん強制というのはないと思いますけれども、行政側としてエンカレッジしていくことをお願いしたい。プラスのスパイラルになるような仕組みも考えて、それをまた回していくような、次のフェーズとして、やっと日本のイノベーション力、地域のイノベーション力がけた違いに上がってくるということが期待できるのではないかなと思う。

【事務局】
 わかりました。もう一歩踏み込んで、いろいろ考えてみたいと思います。ありがとうございます。

【主査】
 現状ではなかなか、コーディネートの方があれば大きい利益が生ずるという状況までいっているとは言えないからあれなんだけれども、ただ、コーディネーターというのがどこかの会社が、そのコーディネーターをそれぞれに派遣するなり何なりするということによって、その会社が事業として成り立つというようになれば、自立できるわけですよね。大学の中にそういうものを育てるんだという趣旨も確かにもちろんあるけれども、それは結構難しいことで、大学の先生から言えば、やっぱり研究そのものを推進するということが主な使命ですから、そういうことで言うと、外にそういったものがしっかり事業として成立するほうがいい。行く行くはですよ。今すぐとは言わないけれども。
 今度、第2フェーズに入るときに、私は、そういうコーディネーター自身の組織というものがあって、それは営利事業にまだならないのかもしれない、今のところ、こうやって国がお金を出しているんだから、あと予算があるわけだけれども、そういう外からのお金がないとできないのかもしれないけれども、ほんとうはそこは会社組織か何かでちゃんと成立するようにやればいいわけですよね。そうなるべきだと。オーバーヘッドをとってもいい。

【委員】
 今、コーディネーターの話、非常に大事だと思うのですが、私どもがつくづく感じますのは、いわゆるライフサイエンスのコーディネーターの方が非常に少ない。せっかく昨年度から分野別の戦略というのを考えてきていますし、それから、文部科学省さんもそういうことをやっておられますので、どういうところから集めたらいいか、あるいはボランティアをどうしたらいいかというのは非常に難しいかもしれませんが、ただ、コーディネーターの数ということではなくて、分野別に非常に優れた人をどうやって組織するかというところがコーディネーターを1つ進化させる方向ではないかなと。
 それからもう一つは、この報告書の中にも基本特許を取る、これは非常に大事なことですし、海外出願も、特許を取る、これも非常に大事なことなのですが、例えば、これは私、また余計なことを言ってしまうかもしれませんが、iPS細胞の戦略などはやはりまずアメリカで取る。まずアメリカで基本的な特許を取るということが大事であって、日本に出願するということは、これはもうヨーロッパ、その次でいいんですよね。そういう意味でやっぱり、基本特許を取る、海外特許を取るということについて、グローバルにどういう戦略を立てて取るかと。
 山中先生は研究者ですから、そんなことは当然お考えになられませんけれども、大学のTLOとか、あるいはコーディネーターという方は、その分野によっておそらく、だから、さっき言ったように非常に違うんですけれども、グローバルにどうやったら基本特許が取れるか、あるいはどうやって世界を押さえられるか。それで相手を阻害しろという意味ではなくて、それをいかにみんなの財産として使えるかという観点から基本的な特許をグローバルに取るということをぜひお考えいただきたいと思います。

【主査】
 ありがとうございました。どうぞ。

【委員】
 毎回同じことばかり言って、何度も文部科学省にコメントは書いているんですけれども、おまえの考えは間違っていると言われたらおろそうかと思っているんですけれども、コーディネーターの今までの議論ですが、研究が競争的資金を基本にしているように、コーディネーターにも競争環境のような市場を作り、専門性の価値が見え、報われるようにすべきと思います。明らかにコーディネーターの方というのは非常に役に立っているという段階は過ぎたと思うので、次にコーディネーターの実績とか、専門性が評価される仕組みが必要と思うんですね。ライフの分野に得意な人、エレクトロニクスが得意な人、そういう専門性がある方、プロフェッショナルなので、プログラム資金や科研費とかいろいろな研究資金がありますね。あの研究費の中からコーディネーターを雇う費用というのをきちっと位置付けて、研究者の方が自分の研究を何か産業に応用したいといったときに、その分野に実績があり、専門性のあるコーディネーターを探して雇うと。
 つまり、国が大学に人材を配り配置するというのではなくて、コーディネーターというマーケットをちゃんとつくるという方向にする。白井先生がおっしゃったように今すぐではなくても、方向性としてはコーディネーターというプロフェッショナルな職業があって、そういう人たちを雇わないとうまくいかない。だから、基礎研究は別として、かなり応用フェーズの研究の、要するに間接経費のオーバーヘッドとかと同じように、この研究をやるのだったら何百万かコーディネーターを雇う費用みたいな、研究資金側にお金をつけてという方向に行くほうが私はいいのではないかなと。
 例えばライフの問題、今、秋元さんが言われた特許の問題も、ある研究は、これは海外に出願せにゃいかんと言った瞬間から、そういうことに得意な人を雇うということでないと、うちの大学知的財産本部にあの人がいるからとか、今まで頼んでいるあそこに相談してではいつまでもたってもそこは本格化しないので、せっかくここまでコーディネーターという人材が育ってきたとすると、次はそういった意味で、粗っぽく言えば市場経済じゃないですけれども、競争環境というか、要はバリューを認めてあげて、よりそのバリューを磨けば報われるという状況にしないといけない。何々大学に配置された人はいろいろな先生からいろいろなことを言われるのをすべからくサービスしなきゃいけないみたいな話になってしまうわけで、むしろ、私は製薬会社のことならよくわかっているから、私の目から見て役に立ちそうなものだけをやらせてくださいとか、そういう専門性にだんだん行かなきゃいけないのではないかなと思うんですが。

【主査】
 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

【委員】
 コーディネーターの話が出たので、それについて。これも私も毎回申し上げているのですが、アメリカでは大学の技術移転、知財がどんどん進んだわけですが、その一番原動力となったのが、言ってみれば向こうの知財、技術移転をやっている、いわゆるプロフェッショナルなんですね。我々で言えば、多分、コーディネーターなのかもしれません。彼らを見ていますと、アメリカは二十数年かけて、FTEつまりフルタイムで換算して大体1,600名強のそういう人たちをつくっていったわけでして、彼らの動きを見ていますと、できる人は二、三年でどんどん動いていきます。去年、ある大学で会った人と、その続きの話をしたいと思ったら、今度は、別の大学にいると。何となれば、給料が大幅に増加したとか、本当にそういうできる人がどんどん移動できる、そういう仕組みをアメリカはこの20年の間に作ってきたような気がします。
 それで、この文科省のコーディネーター、非常に大きな貢献をしたと思うのですが、でも、私は9年間、この世界でやってきた経験から言いますと、どうもコーディネーターというのは、まだ国からのあてがいぶちみたいなニュアンスが残っていると思います。したがって、もう少し質の高い、チャレンジングな人をフレキシブルな条件で採用できる、高額な人がいてもいいと思うんですよ。そういう方が例えば京都大学にいてiPS細胞を扱えばものすごくうまく動かすかもしれませんし、そこでうまく動かせば、次は理研、武田さんが当然、その人をリクルートするかもしれません。言ってみれば、アメリカがコーディネーターを通じて、この技術移転ビジネスというのをつくり上げてきたのだと思うんですね。これはやはり人材が核となる世界でして、同じ意味で、日本でもこの知財とか、産学連携を市場原理に合わせていく上では、まさに人材をうまくコアとした移動が容易で、知見の移転が促進されるシステムにしていく必要がある。
 そのためには是非コーディネーターの採用条件から始まって、受け入れる機関を含めて、条件に柔軟性を持たせていただけると、若い、いい人が集まってくるのではないかと思います。正直言って、知財に携わってきた経験から言いますと、あまり年とった人は要らないですね。若いチャレンジングな、これから新しく拓く‐要するに新しい世界なので、過去の今までのしがらみを、こういうやり方だというのを持っていない方がいいのではないかと思います。そういう方にどんどんチャンスを与える。そういう具合にしていただけるといいのではないかと思っています。

【主査】
 どうぞ。

【委員】
 今回の総合評価、この目的が社会に還元するためのシステムについてのものなんですけれども、1ページにしてもそうなんですけれども、それの目的が事業化ないしは実用化というのが終点になっているんですけれども、やはりこれに終点ではなくて、これが教育とか研究にもいかにはね返るか、大学のあり方にどう反映するか、それから、産業界ないしは海外、そういったところの視点がここではまだ欠けているかなと思います。
 これをやるのはやはり研究成果をいかに対費用効果をして何などというのはもちろんあると思うんですけれども、大学とかの本質になりますと、人材育成であるとか、教育の新しい、まあ、研究もそうですけれども、新しいところ、発展を促す、契機になる。そういった事例を今度、次のステップではぜひ検討していただきたいと思います。そうでないと、これはおそらく国の中での施策の話で、これからの国際展開も含めて、いかにそういった施策が科学技術を含めて地球の何などということにもどう貢献するかという視点がないと、非常に小さなものになってしまうかなという印象を持ちましたけれども。

【主査】
 どうぞ。

【委員】
 先ほどまでコーディネーターという話が活発に議論されたのですが、まさにコーディネーターといいますか、技術移転をやっている立場から考えますと、そのコーディネート機能というのも非常に大切だとは思うのですが、一方でやっぱり質の向上というところが、このまとめの中にもありますように、いい研究シーズが出てこないと、幾らコーディネートをしても上手くまとまらないというのが現状かと思いますので、質の向上に関しては、きちんと現状をどう認識されるのか、どういう方向に質を向上していくのかというところを、例えば6ページですと国際競争力強化であったり、ハイリスクの研究開発の支援というように書かれているのですが、まず現状を把握された上で、どういう方向に質を向上していくのかというのは、十分御検討なさった上で施策を考えていただきたいなと考えております。
 例えばシーズ育成事業というようなベースに上がるものの、その前段階のものがたくさんあって、これがどうなっていくのかわからないなというアーリーなもの、例えばiPS細胞も非常にアーリーなときに、これが基本になるのかというのを誰が判断できたんでしょうかというのがあるんですね。ですので、それがアーリーなやつを本当に顕在化するというか、用途を明確にするというところを注力できるような施策であったり、その辺を十分検討いただきたいなと考えております。

【主査】
 ありがとうございました。
 ほかにはよろしいですか。大分重要なポイントが幾つか出てきていたように思うのですが、1つの点はコーディネーター、これまでの施策だと各大学にTLO なり何なりを育てていて、事業会社がそれぞれに大学知的財産本部みたいなものを持つような、そのようなレベルにあってほしいというのは、何となくそういうイメージで、大学ごとにセパレートして考えてきたけれども、現実にはそういうような非常に大規模なことができるシーズがあるというのは、例えば東京大学みたいなところはあるかもしれないけれども、なかなか一大学でそんなたくさんの財産をやたらと持っているというのはそんなにないわけだし、それから、小さいものをつくっても完全に知財管理できるわけでもないというのは現実だと思うんですね。
 そうすると、このコーディネーターという方々の今後の、今、一応、1つのレベルに来たというときに、次はどういう役割をやっていただいて、どんなことを目指すのかというのは、ここで少しよく考えて、向こうの評価は非常に重要だと思うんだけれども、この評価も踏まえて、今の議論などもあるべきではないか。例えばコーディネーターのボランティアベースで、皆さんいろいろ情報交換をやっていますよって、それはもちろんやらないよりいいんだけれども、もうちょっとコーディネーター全体がきっちりした組織化した動きをしたっていいのではないかということもあり得ますよね。秋元委員の言われたように専門性というものはもっと高く持たなきゃ困るということが要求されるとすれば、それはみんなの、どこのコーディネーターもそれを持てと言ったって、それはできないから、そうすると、それはどの様にして融通し合うことが可能なのかとか、そう色々な問題に発展すると僕は思うんですね。
 国のお金でやる以上は、それぐらいの国の政策的な方向性はあっても、別にそれはいいのではないかなと思います。もちろん、各大学、各研究者の守秘義務など、色々なそういった問題はまた別に処理されればいいわけであって、不可能でないような気がするんですけれども、今回、そういうことを組織、また指定してやっていく場合に、そういうことを考えていただけたらという気がしますけどね。

【委員】
 先ほど松重先生がおっしゃったことに近いんですけれども、もう既に評価軸が決まって評価なさったわけなんですけれども、1つ評価軸として、次回やるときに提案なんですが、この中でどういう人が育っていったか。その中の1つはコーディネーターが、プロフェッショナルなコーディネーターが何人育っていった、そのリストアップを行う。まさに市場をつくらなくてはいけないですね。その市場がどの程度までこの施策によって構成されたかということを1つの軸にしてもいいのではないかなと思います。

【主査】
 それもありますよね。だから、コーディネーターの全体の質のアップとか、そういう役割というものをもう少しトータルに連携してやれるような、教育的な観点から言えばどういうことが必要であるとか、そういう議論があっても当然だと思うし。
 ほかに特になければ次の議題に移らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。次は、平成20年度の産学官連携関連予算案についてです。これは事務局から御説明いただきます。

(2)平成20年度 産学官連携関連予算案について

 資料2に基づき、事務局から説明した後、その内容に関する質疑が行われた。その内容は以下の通り。

【事務局】
 それでは、資料2を用いて説明させていただきます。
 1ページを御覧ください。まず、産学官連携の戦略的な展開のための予算でございますが、これにつきましては右にございますように対前年度約16億円増の227億9,600万円となっております。
 その主なものといたしまして、まず各大学等において戦略的な産学官連携の推進体制を整備するための、これはまた次の議題で御説明いたしますが、産学官連携戦略展開事業。そして、科学研究費補助金等を活用してなされた研究の成果について、先ほど説明いたしましたが、官民共同負担によってシーズの育成を図る産学共同シーズイノベーション化事業。また、そうしたシーズの技術移転を行っていくための独創的シーズ展開事業。さらに、大学等の外部から研究成果の技術移転活動を総合的に支援するための、技術移転センター事業というものがございます。
 2ページ目を御覧ください。これが平成20年度からの新規事業でございます。先ほど説明いたしましたように大学知的財産本部整備事業は本年度で終了いたしますが、その終了を見越した上で新しくこのような形で事業を出させていただいております。これにつきましては、次の議題で説明させていただきます。
 3ページを御覧ください。産学共同シーズイノベーション化事業でございます。内容につきましては、先ほどの御説明のとおりでございまして、今回は平成 20年度も育成ステージ、それから、出会いの段階の最初の顕在化ステージ、いずれも新規課題を採択するために4億円増の22億円を計上させていただいております。
 4ページを御覧ください。独創的シーズ展開事業でございます。一番下でございますが、これにつきましては平成19年度から、大学等の新技術をもとに成長を目指す研究開発型ベンチャーを活用した企業化開発を推進するために革新的ベンチャー活用開発型という事業を設けておりますが、平成20年度予算案におきましては、これに加えて新たに医薬系分野における研究開発リスクの高い新技術について企業化開発を推進する大学発革新創薬イノベーションプログラムを設けております。予算案といたしましては81億2,200万円を計上させていただいております。
 5ページ目を御覧ください。先ほど説明いたしました技術移転支援センター事業でございますが、これにつきましては対前年度ほぼ同額の25億8,900万円を計上させていただいております。
 6ページ目を御覧ください。地域イノベーション・システムの強化ということで、産学官連携を活用した地域の科学技術振興策について、ここでは紹介をしております。その主なものといたしましては、地域のイニシアチブのもとで取り組まれるクラスター形成活動への支援する事業として、下にございますが、知的クラスター創成事業、都市エリア産学官連携促進事業がございます。そして、地域の研究開発に対します個別的な支援策として、地域のイノベーション創出総合支援事業がございます。これらはいずれも科学技術・学術政策局が担当しておりまして、こういった地域イノベーション・システムの強化のために約216億円を計上しているところでございます。
 7ページを御覧ください。知的クラスター創成事業は、これは地域の自立化を促進しつつ、産業クラスター計画を推進する経済産業省等の関係省庁と連携いたしまして、世界レベルのクラスター形成を強力に推進するものでございます。平成20年度は3地域の採択を新たに予定しておりまして、前年度20億円増の 75億3,000万円を計上させていただいております。
 8ページを御覧ください。都市エリア産学官連携促進事業でございますが、これは地域の個性発揮を重視しまして、新規事業等の創出ですとか、研究開発型地域産業の育成等を目指しまして、地域の大学等の知恵を活用した産学官共同研究等を実施するものでございます。各都市エリアの事業目標ですとか、産学官連携の実績等に応じまして、一般型という形、また、それに特にすぐれた成果を上げて、かつ今後の発展が見込まれる発展型という2つの区分を設けておりまして、平成20年度は一般型を4地域程度、発展型を6地域程度の採択の予定で46億円計上いたしております。
 9ページを御覧ください。地域イノベーション創出総合支援事業でございます。地域に密着したコーディネート活動を展開しまして、シーズの発掘から実用化に向けた研究開発まで切れ目なく支援する事業でございます。具体的には右下のほうに図がございますけれども、大学等の研究シーズの発掘を行うシーズ発掘試験、研究シーズを育成する育成研究、シーズの実用化に向けた研究開発を行います研究開発資源活用型と地域における研究開発の各段階におきまして推進いたしますとともに、平成20年度予算案におきましては新たに地域ニーズ即応型として地域企業の新商品ですとかサービスの開発等に資する技術シーズ創出のための研究開発を支援するプログラムを設けております。
 また、地域結集型研究開発プログラムといたしまして、企業化の必要性の高い分野の個別の研究開発課題を対象とした産学官共同研究を実施するプログラムも設けられております。平成20年度の予算案では、対前年度16億円増の110億2,500万円を計上いたしております。
 続きまして、10ページを御覧ください。こちらは高等教育局で担当しております産学連携による実践型人材育成事業でございます。これは今年度、左側にございますが、それぞれの事業として進めておりました長期インターンシップ・プログラム開発、ものづくり技術者育成、サービス・イノベーション人材育成の3 つの事業を産学連携教育の充実という1つのコンセプトのもとで一体的に推進するものでございます。各種政策提言等による政策ニーズですとか、産業界からの要望、あるいは大学等における研究の実施状況などを踏まえて分野を設定いたしまして、産学共同によります教育プログラムの開発ですとか、教育の実践を行うことによってモデルプログラムとして他の大学等へ普及展開することとしております。平成20年度予算案では7億3,300万円計上いたしております。
 最後に11ページを御覧ください。先導的ITスペシャリスト育成推進プログラムでございます。このプログラムは大学間、あるいは産学の連携によりまして世界最高水準のIT人材として求められる専門スキルを有するとともに、社会情勢の変化等に先見性をもって対処して、企業等において先導的役割を担う人材を育成するために教育拠点の形成を支援する事業でございます。平成20年度におきましては、これまで支援してまいりました拠点において得られた成果について、それを効率的に全国に普及・展開するために、新たに拠点間教材等洗練事業を展開することといたしておりまして、8億2,800万円を計上しております。
 簡単でございますが、以上です。

【主査】
 それでは、何か御質問とか御意見がございましたらどうぞ。

【委員】
 今度、新たに大学発革新創薬イノベーションプログラムというのをつくられて、私ども非常に中身に興味があるのですけれども、きょう初めてこれを見せていただいて、具体的にはどういうことを考えておられるのかというのと、このプログラムには予算としてどの程度のことを考えているのか、お教えいただけたらありがたいのですが。

【事務局】
 お答えいたします。こちらは、こちらにございます委託開発型ですとか、革新ベンチャー活用開発型と似たようなタイプでございまして、大学などの研究成果を企業に開発していただく。開発していただいて、あるところまで終わって研究の成果が出まして、そこで売り上げが上がりましたら、そこの実施料などを返していただくというような制度設計になっております。この革新的ベンチャーの総額といたしまして、一応、5億ということでございまして、この中の小さなプログラムとして創薬イノベーションプログラムを立ち上げるということで、この5億の中で幾らかというのは、まだきちんとは決まっておりませんので、そこは5 億の中の内数ということでございます。

【委員】
 今は実施料を返してもらうというお話がございましたけれども、大学発で革新的な創薬がもし行くとすれば、15年以上かかりますよ。

【事務局】
 開発が、臨床のフェーズの途中までの開発をサポートするという制度設計になりまして、そこで一度打ち切るというか、研究開発自体はサポートを終えまして、その時点で例えばライセンスの移転とか、そういうことなどによってお金が入った場合には、その額の一部を返していただくと。さらに、確かに時間がかかるのですが、15年かどうかはわからないんですけれども、多少時間がかかって、やはり製品化しましたら、その時点でまた少し返していただく。

【委員】
 私どもの共同研究、ハーバードとやったときの経験から言いますと、非常にアーリーな段階から、それから、製造承認をとるまで10段階ぐらいでマイルストーンで契約するんですね。最初は1,000万ぐらいですけれども、臨床試験に入るぐらいになると、トータル10億円、20億円になるんです。そのような考え方もいいのではないかと思いますけれども。

【事務局】
 ちょっと補足させていただきますと、4ページの中で革新的ベンチャー活用開発型というのが、これは従来からあったJSTの制度なのですが、これはなかなか金額的にも小さめで、期間も短めなので、バイオベンチャーが使いにくいという話がありまして、それでここの1件当たりの単価を大きくして、期間も延ばして前臨床ぐらいまでのところ、その後ろのフェーズはさすがに考えていないのですけれども、出せるようにこのメニューを改善したのが、この大学発革新創薬イノベーションプログラムとなってございます。確かにその後のフェーズ等々あるわけでございますが、その辺は今、厚生労働省、経済産業省とバイオベンチャーについて、これから国がどの様に支援していくのかという議論を製薬協や何かとも一緒にやっているところでございます。

【委員】
 またお言葉を返すようで、時間を過ぎて申しわけありません。バイオベンチャーというのを考えるとき、2つ考えられたらいいと思うんですね。1つは、今言われたように臨床に入るまでインキュベーションして渡す場合、それからもう一つはCROを使ってもいいですから、アーリー・フェーズIまでやってから渡す場合、これは価格が非常に違うと思うんですね。それと、もう一つはバイオベンチャーということをもしこの場合お考えになられたとしたら、成功確率は0.2 パーセントぐらいだと思っていただかないと困ると思います。これはアメリカのベンチャーを見られたらわかります。

【委員】
 それに関連して。私、大分前にライフサイエンス課の課長さんなどにもお願いに上がったのですけれども、今まさにライフサイエンスの中から薬に結びつけるためのトランスレーショナルリサーチということの解釈が日米で違っている。米国は前臨床に、日本は臨床・治験に重点を置いている。米国はNIHロードマップで、アカデミアでのシーズを如何に創薬の候補に結び付けられるかを重点的に取り組んでいてRapid Access to Interventional Development(RAID)というプログラムがあります。大学でライフサイエンスの研究の成果から、どうもこのターゲット遺伝子とか、この化合物がもしかすると病気に効くかもしれないというシーズをもう少しリード化合物、さらには候補化合物、それで臨床という、その今の秋元さんが言われたステップのところは、今や日本は大学ではできない。製薬会社のハイスループットのスクリーニングだとか、あるいはライブラリがなければできないということで、今、パタッとそこが切れちゃっていて、それはベンチャーだという問題以前の問題です。
 NIHのRAIDは何をやっているかと言えば、大学で出たシーズはともかく持っていらっしゃいと。そうすると、今、秋元さんが言われたような、薬理や毒性の検査とか、製薬会社が探索段階でやっているようなインフラを持っていて、それでやってあげますということをガンガンやっているんですね。多分、議会からの、あれだけライフサイエンスにお金をやっておきながら、薬が出ないではないかというような圧力への対応でしょう、多分、日本も追っつけそうなりますよ。そのときに今一番心配なのは、もちろん厚生労働省の担当の治験だとかって、あそこもちゃんとしなければいけないのだけれども、薬学部や化学やバイオロジー、いろいろなところからこれから出てくるシーズを次につなげるところがアカデミアではできない。
 製薬会社はもっとちゃんとしないと受け取らないという、そこのところはすごく今、日本は政策的に欠けていて、これもそういうことの一歩になっていただければいいんですけれども、要は今、秋元さんが言われたような、本当のシーズから最後の薬までの各段階のどこを国がサポートし、どこをベンチャーとかそちらに委ねるかというところをもう少し明確にしないと。今、日本では非常に乱暴に、そこはアメリカではバイオベンチャーが担っていますよと論評で片付ける。じゃあ、日本で出来るのですか、ちょっと思考が停止しているような気がする。そこを是非お願いします。

【主査】
 ほかにはございますか。非常にたくさんの項目があるので、これを思い起こしてやって時間がかかるんだけれども。清水さん、どうぞ。

【委員】
 バイオベンチャーの話は、今、秋元委員と武田委員から話があったとおり、私どもも随分立ち上げたのですが、今、惨憺たる状況のものもありまして、つなぎのところ、ここでも何回も昔から申し上げているのですが、スタートアップを発展させるメカニズムが必要だと思っております。
 今、申し上げたいのは、JSTには幾つかのプログラムがありますね。大学発ベンチャー、委託開発型、独創モデル型、これらには随分前からJSTでやっているプログラムもあり、我々も随分、トライしたこともあるのですが、要するに特許の所有や取り扱いは一体どう様になるのか。企業が絡む場合については JSTに特許の所有を移さなければならない等の様々な条件もあり、また、開発の成功というのはどこでまで達成すれば成功と呼ぶのか解釈によって痛みがあった方もいたと聞いています。途中でやめた場合、かかった費用はどうするのかとかといった問題もあります。
 このように、昭和36年から始まった制度でもあり、今のスピードの時代で、実用化を進める場合にはある程度どこかがリスクをヘッジするような仕組みも求められていると思います。実は私どもも何回かこれアプライしようと思ったのですが、条件等の面で合わず落としたこともあります。せっかくいい方向を向いたプログラムでありますので、もう少し魅力的になるように、いろいろな観点から見直していただけると、もっといい成果につながっていくのではないかと思います。ぜひ、プログラムは良いのですから、そのコンディション等について、一度レビューしていただけるとありがたいと思います。

【主査】
 どうぞ。

【委員】
 あまり文部科学省はウェルカムではないコメントですけれども、しかし、長期的な視点でコメントしたい。1ページのこの戦略的な展開、この価値、いわゆる一番左の科研費、キュリオシティ・ドリヴンの研究から一番右側の社会還元の間にはやはり経済産業省とか、国土交通省とか、厚生労働省とかの役割があって、そこのところに成果ロを渡すフローとインターフェースいうのがやはり私は文部科学省の大きな役割だと思います。その視点がこれにはビジュアライズされていないですね。自分でやる。これはもうだれも否定しないけれども、やはり本当のイノベーションというのは価値のフロー、インターフェース、そこのところを逆に我々は出したのだという観点での成果の目標があるべき。
 しかも、それは逆に厚生労働省に対して10年か20年かかってでも、うちは価値のフローの成果をフォローするぞと迫る、そのぐらいの視点でこの1ページは本当は書くべきかなと思います。なかなか今の仕事のやり方からすると、ちょっと逆らった言い方かもしれないけれども、しかし、そこは是非心意気だけは書いてもらってもいいのではないか。もちろんすぐ社会還元に行くというものも歓迎ですけどね。

【事務局】
 すみません、一言だけ。これは一応、文部科学省の予算の説明資料ではこうだったのですけれども、現に同じ資料で、先週のCSTPにおいて、口頭ではございますが、各省の連携ということを説明させていただいておりまして、今、経済産業省とはだいぶ連携がきくようになったのですけれども、あと、特に創薬など含めて厚生労働省、それからあと農林水産省、そういったところをもう少し一緒にやれる体制をつくっていきたいと思っております。

【主査】
 ほかになければ、よろしいでしょうか、一応、予算はそういうことで確認したと。
 次ですが、次は議題の3ですけれども、産学官連携戦略展開事業について、事務局から案を説明してください。

(3)産学官連携戦略展開事業(案)について

 資料3に基づき、事務局から説明した後、その内容に関する質疑が行われた。その内容は以下の通り。

【事務局】
 それでは、資料3と、先ほど資料2の2ページが説明図でございますので、この2つを使って説明させていただきます。
 産学官連携戦略展開事業でございますが、こちらは夏、本委員会でおまとめいただきました「イノベーションの創出に向けた産学官連携の戦略的な展開に向けて」にお示しいただきました考え方をもとに、新規事業として計上しております事業でございます。これにつきましては、下にございますように各大学を資金的に支援いたします戦略展開プログラム、それから、文部科学省よりコーディネーターを派遣いたしますコーディネートプログラム、2つで構成されております。
 まず、戦略展開プログラムについて説明いたします。対象機関でございますが、資料3の1.でございますが、国公私立大学、大学共同利用機関、国公私立高等専門を対象に公募いたします。選定件数及び事業規模につきましては、まず1つ目として国際的な産学官連携活動の推進がおおむね15件程度で、単年度当たり5,000万円から1億円程度を支援。2つ目として、特色ある優れた産学官連携活動の推進。これは説明図に書いておりますように、ライフサイエンス分野等の分野別の産学官連携活動の進化ですとか、事業化支援体制の強化といったものがそれに該当すると思いますが、おおむね15件程度で、単年度当たり 3,000万から5,000万円程度を支援。そして、3つ目として知的財産活動基盤の強化ということで、おおむね10件程度で、単年度当たり1,000万から2,000万円程度を支援したいと思っております。
 事業期間でございますが、国際的な産学官連携活動の推進と特色ある優れた産学官連携活動の推進は原則5年間としておりますが、注書きでございますように、事業開始後3年度目には中間評価を行いたいと思っております。事業期間終了後には事後評価を実施いたします。そして、知的財産活動基盤の強化は2、3 年ということにさせていただいて、その拡大に該当しますこの知的財産活動基盤の強化につきましては、なるべく多くの大学を対象としたいということで期間も短めに設定させていただきました。
 各大学につきましては、説明図にございますように、大学等ごとに中長期的な産学官連携戦略を作成していただいて、その戦略を拝見しながら具体的に事業計画を御審査いただく形になりますが、審査方法でございますが、まず選定の審査のために産学官連携戦略展開事業推進委員会を設置いたしまして、この推進委員会で署名審査及びヒアリング審査を行っていただきます。その際、審査における留意事項ということでございますが、大学等の規模、分野、地域性などに配慮していただいて、特定のところに偏りがないように調整させていただきたいと思っておりますし、夏の報告書でまとめいただきました大学等の活動としては、実施のリスクが高いけれども、国として政策的観点から積極的に促進すべき活動を重点的に支援するために、そういった項目につきましては幅広に採択できるように調整をさせていただきたいと思っております。
 また、大学行政の一環といたしまして、これからは1つの大学だけということではなくて、複数の大学がそれぞれの持てる力を持ち寄って、よりよいものをつくっていくということが1つの大きな大学行政の流れとしてございますので、国公私立の大学等間の連携やコンソーシアムの形成の充実を支援しまして、地域における産学官連携体制を強化する、そういったところについては配慮させていただきたいと思っております。
 資料3をおめくりいただきましてスケジュールでございますが、本日、この骨格について御意見等承りました後、産学官連携戦略展開事業推進委員会を開催し、審査要項等の審議をいただきまして、産学官連携戦略展開事業推進委員会で御了承いただきましたら、2月上旬に公募をさせていただき、事業説明会を行った上で、3月下旬に応募書類の提出を行っていただきます。そして、4月から審査を行っていただいた上で、7月には事業が開始できるようなスケジュールで進ませていただければと思っております。
 続きまして、コーディネートプログラムでございます。コーディネートプログラムでございますが、このプログラムの対象機関は戦略展開プログラムと同様でございます。選定件数でございますが、まずこのコーディネーターを、先ほど説明いたしましたように「産学官連携一般」、「地域の知の拠点再生」、そして「目利き・制度間つなぎ」とございますが、既に81大学等に配置しておりますけれども、既存配置大学等とそのうち50名程度、また単年度で新たに契約の更新ということを考えております。さらに新規配置大学等としては30名程度を考えております。
 配置期間ですが、既存配置しておりますところにつきましては4月から実施したいと思っておりますが、新規配置大学等につきましては戦略展開プログラムとの調整も図った上で7月から実施したいということで考えております。
 審査方法でございますが、既存配置大学等につきましては文部科学省におきまして、大学等から提出されました書類をもとに選考の上、この場合、大学のヒアリング及びコーディネーターの候補者もございますが、必要に応じてヒアリング行って配置する大学等と産学官連携コーディネーターを決定していきたいと思っております。
 おめくりいただきまして、スケジュールでございます。既存配置大学等につきましては、既に1月15日に募集をかけておりまして、2月8日、応募書類提出期限となっております。2月末日に審査の結果を通知し、4月1日には大学等へ配置したいと思っております。
 新規配置大学等につきましては、4月の上旬ないし中旬に公募をして、5月の中旬に応募書類提出期限を切って審査を行った上で、6月中下旬には審査結果の通知及び公表を行い、7月1日には大学等へ配置したいということで考えております。
 以上でございます。

【主査】
 ありがとうございました。
 何か御質問とか御意見、ございますでしょうか。

【委員】
 この戦略展開プログラムの中で国際的な産学官連携活動の推進というのがあがっていて、15件程度やるというのですが、事業内容はこれから吟味していくのだと理解しました。この評価報告書の今後の課題にもありましたが、戦略的な海外特許取得、これが非常に貧困である。これが先ほど秋元委員からも、重要な特許はまずアメリカで取るといわれている。基本特許をどのようにして取るのかというのが非常に重要なんだというお話が出ていたのですが、日本の大学の特許取得、出願率がなぜ低いのか根本的に考える必要があるのではないか。出願するときの金がないのか、あるいは国際特許を取るだけの案件がないのか、それとも国際戦略という意識が非常に薄弱なのか。一体どこに問題があるのかということが1つあると思います。
 アメリカにおいて、産学連携で特許事務所を運営している人に聞いてみると、アメリカの大企業は日本の大学の研究者がどのような研究をしているのかについては非常に関心を持っている。しかし、接点がない。アメリカの大企業に限って言うと、日本の大学から出ている特許の内容についてはあまり関心がない。何に関心を持っているかというと、大学の研究者の頭の中に関心を持っている。つまり、大学の研究者は何を考えて、どんなことを研究しようとしているのか、それに関心があるということです。
 そもそも大学でパテントをとるのは、企業活動をやるとか、ビジネスをやるというのが最終目的ではなく、独創的な研究をやるのが主たる目的になっているわけですから、大学の研究者は企業活動の下請をやっているわけではないのです。
 ですから、その辺の基本的な大学の役割とか、大学研究者が何を目指してやろうとしているのか、そういうところをきちっともう一度基本に立ち返って施策をやらないと、国際的な産学官連携活動の推進というのも腰の入った、いいものになっていかないのではないかなということをちょっと感じたので申し上げておきます。

【主査】
 ありがとうございました。
 何かこの文章、確かにちょっとわかりにくいみたいですね。

【委員】
 今、馬場委員が言われたことと、それから、2番目のコーディネーターのことについて1つだけ最近感じたことをお話ししたいと思うのですが、基本特許、さっきiPSを出しましたら、本田委員から、だれが最初にそんなことわかりますかというようなお話もチラッとあったかもしれませんが、思い起こしていただきたいのは、例えばこういう発明が、あるいは発見が韓国でさえ、ガセネタだったけれども、国家を挙げてやるとすぐ反応しましたね。それから、アメリカも日本がやったら、その道の専門家であれば、1週間、2週間あればできた。ヒントがあればすぐできちゃうから、1週間、2週間後にできた。ブッシュが国家を挙げて、総力を挙げてやると言ったわけです。日本は非常にいい発明だといってもグズグズ、グズグズしていた。
 それからもう一つは、日本の特許制度、あるいは日本の特許の出し方のこともあるんでしょうけれども、そうすると、おそらくその分野の専門家だったら、これはすばらしい発明だとわかるんですけれども、ライフサイエンス以外の方は多分わからないでしょう。それから、再生医療その他等、遺伝子のことをよく知っておられない方は、単なるライフサイエンスの化合物をいじっているような人だったら、その重要さというのもわからないでしょう。だから、すぐに基本特許をグローバルに取るというのは難しいかもしれません。しかし韓国、アメリカは国家を挙げてすぐやるという判断ができたわけですね。こういうのをどういうふうにするか。
 それはコーディネーターなのか、といっても、コーディネーターが本当にその道の専門ではないとなかなかできませんから、コーディネーターが何かのインターフェースになるか、あるいはグローバルに活躍している企業も一緒に入るか、何かそういうシステムをつくってやらないと、いつまでたっても何か後手後手になってしまうのではないかなというのを最近痛切に感じています。

【主査】
 どうぞ。

【委員】
 さっき柘植委員がおっしゃったように、多分、文部科学省さんの事業なのでこういう形になっているんだけれども、少し連携をとったほうがいいよというお話がありましたね。例えばこの戦略展開プログラムなども、評価していくときに、今、大学などにいろいろな省庁のアドバイザーとか、コーディネーターが行っていますから、そういうところと一体どういう連携をとるのかと。それがどういうふうに成果をもたらすのかといったことも1つの評価項目に入れてみると、この絵ではなくて、実際、プログラムを実行するときにそういうことを意識させて動いてもらうというような強制的な働かせ方をしたほうがおもしろいのではないかなと。どうせお金を配分して何かやらせるのだったら、そこの動機づけをちゃんと最初から評価するときのためにやっていったほうがいいのではないかなというのが1つ。
 それから、先ほど松重委員などがおっしゃったのですけれども、産学連携で学が企業と同じ活動をやる意味はあまりないので、例えばさっきの評価項目などの中に、特許出願しているけれども、それが本当にどれだけのきちんとした論文で裏打ちされているかとか、そういうのが評価項目になっていかないと、ある種の「知」がきちんと普及していくところの意識づけがまだ足りないのではないかなという感じがします。
 それから、今、秋元さんがおっしゃったようなところは、どうやって見るのかなと思って、さっきから資料を見ていたんですけれども、例えば3ページのこのプログラムオフィサーとか、シーズ育成プロデューサーあたりがそういうことの目利きかなと見ていたのですけれども、ここら辺はどういうふうに機能させて、特にiPS細胞はたまたまああなったから皆さん注目しているけれども、その前の潜在状態に対して評価して、そんなものは博打みたいなものだから、100入れたって1当たるか当たらないかで、ある程度、無駄金だと思ってやるぐらいのことをだれかが言わないと、こんなの絶対当たらないと思うので、そこら辺をどういうふうにやるかというあたりも何か考えてほしいなということです。
 3点、以上です。

【事務局】
 今の話は、まさに先週になりますか、JSTとも議論したところでございまして、先ほど本田先生がおっしゃった話とまた2つあるのですが、今のiPS細胞みたいなのが、実を言うと、今どこかであるのではないかというのをどうやって掘り起こしてくるかというメカニズムと、それから、今までのJSTの事業というのは、ある意味では出口に近ければ何でもやりますという話だったんですけれども、大学もいろいろな活動が出てきましたから、国としてここを集中的に引き上げなければいけないというところに重点化していく、そういったものを21年度の新しい施策で、また皆さんの知恵も拝借しながら、多分、夏前までにはそういうものを形にしてお示しさせていただければと思っております。

【委員】
 省庁連携というのは、柘植先生以下、これまでも、それから、これからも是非お願いしたいのですが、省内連携をひとつお願いしたいんです。盛んに知的クラスターとか、日本にとって、今、地方、地域の活性化、それもテクノロジーで活性化するってすごく大事なんですけれども、ああいうプログラムの全資金が大学とか、あるいは先生の研究費というところに向かっちゃっているんですね。1つは、いい学生を集める。ですから、文部科学省の奨学金みたいな格好で、東京とか京都とかは除いていいですから、地方のクラスターの中核になるような大学の大学院、ドクターコースの人は授業料免除プラスRA費みたいなことで非常な優遇制度をするということを打ち出してはいかがでしょうかと。いい学生が集まれば、先生になんてお金をあげなくてもいいことが起きるかもしれない。
 少し人材のほうにお金を向ける。特に今、日本は結構、経済的にもだんだんきつくなっていて、昔ほどお金がないから大学に行けないということはなくなってきているものの、大学院進学の経済的負担は大きい。うちの野依理事長がよく言われるように、先進国にあって、大学院に行って授業料を自分の金で払えなんていう国はないぞという、そういうことも含めて、今の一般家庭の教育状況からすると、企業に勤めないで、一丁大学院に行こうといっても、経済的にも大変なのを地方の‐山口大学だったら、成績がよければ5人までは授業料免除で、しかも、女房、子供が持てるぐらいの最低限出すぞと、こういうプログラムを考えていかないと、やたら大学にお金を注ごう、先生にお金を注ごうだけでは、地域に行かないのではないか。文科省内の教育と科学の連携で知的クラスター育成を考えて欲しい。

【委員】
 人という話が出ましたので、技術を応用発展する際にお金をつけて企業とタイアップしてやってくださいというのも1つやり方だとは思うのですが、せっかくポスドクのようなノウハウを持った人材がたくさんいますので、応用開発にどんどんそういう人を充てて、実際、人がいればそこが解決するというような、ノウハウを持った人がいれば解決するような発展の仕方もあると思うんですね。ですので、先ほど潜在的にiPS細胞みたいのがあるのではないかというところのその顕在化のときに、やっぱりノウハウを持った人というのをそこにどんどん充てて、それを掘り起こしていくということも考えていただきたいと思います。

【主査】
 どうぞ。

【委員】
 これは非常にすばらしい事業だと思うのですが、私が大事だと思うのは、地域という観点と大学間連携というキーワードが入っているんですね。これは非常に重要だと思うんですね。今までの産学官連携をやってきて今後を見据えたときに、武田委員からもお話がありましたけれども、地域の問題はすごく大事になってくる。特に今、知的クラスターも2期に入ってきて、地域でいろいろな機運が出てきていますし、それから、文部科学省、関係各省をはじめ、地域というのは結構重視されて施策が出てきていますね。だから、そういった点にぜひこれは重きを置いて審査をすべきかなという気がします。
 それと絡んで大学間連携、どうやって組むのか。この4.の審査方法の(3)のところを見ても、「産学官連携戦略展開事業推進委員会は、審査において次の事項において必要な調整を行う」と書いてあるんですね。委員会は必要な調整を行う。これはつまり、審査の段階で委員会が調整を行うということなんですかね。むしろ、これは公募の時期が、2月上旬公募ですよね。もう非常に近い時期なのですが、委員会として、あるいは文部科学省として、こういうアイデアというか、見通しというか、絵というか、そういうものをある程度見せてあげることも大事だと思うんですよ。地域において大学間連携をぜひ頑張ってやってもらいたいし、こんな感じでやってもらいたいし、それが知的クラスターや産業クラスターやいろいろな施策と関連して、総合的に日本の地域が元気になっていく。それが全体の日本のイノベーションにつながっていく。そういうものが出ないとまずいと思うんですね。この必要な調整を行うというところがどういうことをお考えなのかということが質問ですね。

【事務局】
 必要な調整ということでございますけれども、これはこの審査方法で書いておりますように、各委員の署名審査とヒアリング審査で、各委員が、評点をつけられて、それを平均点で集計をして、単純に上位15件、10件をとるということではなくて、こういった観点を配慮して最終的には合議をいただいて採択大学等を決定いただきたいという意味で書かせていただいております。
 大学等間の連携につきましては、高等教育局のほうで今度の平成20年度の予算案といたしまして、戦略的大学連携支援事業ということで30億円また計上いたしておりますが、大学連携といいますと、ともすれば文部科学省が主導いたしますと、国立大学の統廃合なのかと、そういった誤解も生みかねないことでございますので、やはりまずは大学間同士で御議論いただいて、自分たちの持てる力を合わせることによって、よりよいものをつくるのだといった観点から是非、御議論いただければと思っております。

【主査】
 よろしいですか。どうぞ。

【委員】
 もちろん、いろいろ難しい点はあると思うんですけれども、そのやり方として。これはもともと戦略的な展開を今後やろうという、そういう話ですよね。産学官連携の戦略的な展開。今のお話の委員会の採点というのは全然戦略性がないので、単純に上からどんどんという話で、戦略性はどこもないですよ、これね。確かに文科省が主導していいかというと、それは問題かもしれないけれども、委員会で調整、評点を調整するだけではなくて、プラスアルファの戦略的なものというのは何かあっていいのではないですか。と思いますけれどもね。

【事務局】
 多分、戦略という意味は2つあって、1つは大学ごとにきちんと戦略を立てなさいよという話と、それから、文科省としてこれから新しいフェーズの産学官連携の施策を打つときにどういう戦略を持っていくか。その中で、今ここで調整をと考えたのは、先ほどちょっと出ましたけれども、高等局のほうの施策との連携とか、あるいは地域の施策との連携とか、単純に点でやると同じようなやつが2つ出てくるけれども、ほんとうは大学連携で、こっちでいいのがあるから拾っていきたいとか、そういう意味で、ここで調整することによって施策にもある程度戦略性が出てくるのかなと考えておりますので、是非、御理解をお願いします。

【主査】
 どうぞ。

【委員】
 この枠以外で共同研究の国際化とか、それから、地域に関しては知的クラスターと、いろいろな施策をとっている大学が既にあるわけですね。その中を見ると、じゃあ、その中で大学のどの部署がどの部分をハンドリングしていく、また、これが新たに来たときにどういうふうにそのカードをもう1回撒き直してどうするかという、その大学の戦略というのをしっかり問わないと、今いろいろなものがあるので全部とっちゃえという、外部資金が必要だというのでとっちゃう戦略になる。そうすると、ある種のバブルが起こることになるし、大学の中で仕分けもできなくなっている状況のところもあるんですね。
 なので、その辺は非常に配慮をした上で、大学全体として、大学のあるべき姿、先ほどどなたかおっしゃいましたけれども、研究教育に対するスタンスがあった上でもって、さらに産学連携の位置付けはこうであって、その中で特にこの部分が国際的な展開が必要であるとしないと、単純にアメリカにブランチをつくります、セールスに行きますというもろもろの提案が出てくることが想定できるんですね。それは避けるように、やはり説明するときにも文部科学省のスタンスをしっかりおっしゃっていただきたいと思います。

【主査】
 よろしいでしょうか。戦略って、どこが戦略なのか。国の戦略なんだろうか、大学の戦略なんだろうか、いろいろあるみたいだけれども、一応、そんなことでおわかり‐あんまり分かっていないみたいな顔をしているけれども、まあ、すみません。時間がオーバーしているものですから、この辺でもしよろしければこの議題は終わらせていただきたいと思います。

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室

(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)