令和7年7月14日(月曜日)13時00分~15時00分
対面/オンラインのハイブリッド形式にて開催
科学技術・学術審議会 技術士分科会(第50回)
令和7年7月14日
【佐藤分科会長】 それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから、第50回技術士分科会を開催したいと思います。
本日は、大変御多忙の中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
まずは、事務局より、委員の出席及び配付資料などの確認をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
【益田補佐】 それでは、事務局から御説明いたします。
本日は、対面とオンラインの形式を併用するハイブリッド形式で開催しているところ、対面で9名の委員、オンラインで6名の委員、計15名の委員に御出席いただいており、定足数を満たしております。
続きまして、配付資料を確認させていただきます。お手元の議事次第に沿って確認いただければと思います。まず、資料1としましてInternational Engineering Alliance Meeting 2025概要報告、資料2としまして技術士制度の課題抽出に資する諸外国の実態把握及び技術士のキャリアパスの検討に資する現状把握と整理のための調査(最終報告概要)、資料3としまして技術士制度における受験手数料及び登録手数料の見直しについて(案)、資料4としまして今後の科学技術人材政策の方向性(中間まとめ)概要(案)、それから、参考資料としまして参考1、分科会の委員名簿、参考2としまして関係法令等抜粋、参考3として分科会運営規則、参考4として資料2の調査報告書の本体、最後に参考5としまして人材委員会及び科学技術人材多様化WGにおける技術士に関する主な意見ということでお配りしております。過不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
それから、本日の分科会の議事及び資料は公開の扱いとなっております。議事録については、後日分科会長が確認した上で、文部科学省ホームページで公開いたしますので御承知おきください。
事務局からは以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
それでは、議題の1、国際エンジニアリング連合会合の結果報告に移らせていただきたいと思います。日本技術士会の前の国際委員会の委員長である神田副会長より、御説明をお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
【日本技術士会】 よろしくお願いします。改めまして、神田と申します。
本日は、6月にIEAの総会(略称:IEAM2025)が開催され、私はまだ国際委員長の任期中でしたので、その立場で出席してまいりました。今回は審議等もありまして非常に重要な会議でありましたので、報告いたします。
めくっていただきまして、まず、IEAなんですけれども、エンジニアリング教育の質保証と、それからProfessional Competenciesに関する質の保証ということで、これらの国際的同等性の確保も含めた流動性の向上を目的とする非営利の国際団体、国際組織であります。
加盟組織は29か国41地域になっておりまして、右下に簡単な図がありますけれども、上4つがAgreementと称しているもので、4種類のAgreementから構成されておりまして、これがProfessional Competenciesに関するAgreementです。そして下の3つがGraduate Attributesに関する3つのAccordから構成されておりまして、それぞれの加盟機関が集まってIEAを構成しているという組織構成になっております。
次のページは、IEAが定めるGAとPCについてです。Graduate Attributes(GA)というエンジニアリング教育の認定基準と、それからProfessional Competencies(PC)に関する認定基準を持っておりまして、これらをIEAのGA&PCという出版物にその基準を掲載して公表しております。これが逐次改訂されておりまして、現在の最新版はバージョン4と称される2021年6月21日に改訂されたものが最新となっておりまして、これはバージョン3に対してSDGsに関する項目を取り込むなど、幾つかの改訂が行われて現在に至っております。
4ページ目に移ります。総会が毎年開催されておりまして、今年は6月8日から13日にかけてメキシコのメリダ市という所で開催されております。右側に地図がありまして、メキシコシティーとカンクンという有名な都市がありますけれども、その間のやや東側にある市でして、ここに37か国から154名が参加しております。日本からは佐藤先生、それから私、それから技術士会事務局の武見さん、それから、今回は審査に関係するということで建築技術教育普及センターの藤井さん、あとほかにも日本からはJABEEからも何人か参加しておりますけれども、以上が日本からの参加者となっております。会場風景等の写真にありますように、ホテルの一室でずっと会議が行われております。
5ページ目はタイムテーブルで、細かいところは申し上げませんけれども、日曜日から金曜日まで、朝から夕方までかなりみっちり会議が詰まっている状況でした。このうち本日報告するのは、緑色の点線で示した部分について概要を報告したいと思います。
6ページに移ります。まず、開会に当たりまして、IEAには運営グループが結成されておりまして、ここがIEA全体をハンドリングする組織になっておりますが、オーストラリアのエリザベス・テイラーさんという写真にある方が運営グループの議長になっておりまして、挨拶があったことと、それから現地のメキシコの機関、それから、あとメリダ市長からも挨拶がありました。
運営グループからの報告がこの後続きまして、次に事務局からの報告ということで事務局長から報告がありました。赤字になっていますけれども、特にIEAの予算関係についての報告がありまして、今年度から来年度にかけての会費というのは消費者物価指数の増加分だけは上げますけれども、それ以外の要素では会費の値上げはありませんということで、5.5%値上げという報告がありました。
それから、今IEAで力を入れているのがウェブサイトの大幅な改定ということで、ここ数年検討してきておりまして、昨年あたりに本来は新しいサイトを立ち上げる予定が少し延びましたが、今年の8月31日までには大幅な改定が行われて公開されるという報告がありました。
7ページは、ワークショップというものが開催されておりまして、こちらは円卓にランダムに割り振られて集まった人たちがテーマを与えられて議論して、IEAをより効果的なものに、それからよりよい方向に向かうための議論をする場ということで、All IEAとIEA Agreementのワークショップがそれぞれ開催されて、合計で7.5時間ぐらい議論の場があるということで、例年に比べてかなり議論の時間が長かったなという印象がありました。特にレビュワーの質の問題とか、IEAも抱える問題がいろいろありまして、この辺りをどのようにすればいいレビューをできるのか、そういった議論も中に含まれておりました。
8ページ目です。今度は、Combined Agreement Open Meetingというのがありました。冒頭に申し上げたように4つのAgreementでIEAは構成されておりまして、それら4つのAgreementに参加している機関がここに集まってミーティングが開催されて、こういう時間になりますが、各Agreementの状況の紹介ということでは、細かく読み上げませんけれども、それぞれのAgreementはこういう状況ですという紹介がありました。その数字だけをここにピックアップして載せております。
特にIntPEという国際PEの登録者、それからAPEC Engineer登録者とも順調に増えていって、特にIntPEについては昨年より10%増加していますという報告がありました。
ただ一方で、ここに書いてありますように、3つの機関で全体の85%の登録者を占めているというかなり偏りがある状況ということも併せて紹介されております。
それから、Rules and Guidelineのアップデートです。これらのAgreementはRules and Guidelineが定められておりまして、今回、このアップデートを行うということで投票が行われております。事前に案は配られておりましたので、それぞれの機関から反対、賛成、または要改訂という意見を出して、それらを集計しております。基本的には中身を変えるものではなくて、文章上の冗長性を排除したり、表現を非英語圏の人に分かりやすくするといったことで最後に決着しております。事前の案では結構ルールの中身の大きなところにも踏み込んで改訂案が出されていたんですが、日本も含めかなり反対意見が寄せられていたということもあって、結局その辺りの内容的なところには踏み込まない結論に落ち着いたということで、2025年10月から新しいルールが施行されることになっております。
9ページはAgreement Business Meetingです。これはそれぞれのAgreementごとに確認事項等を行うミーティングです。APECEAについては特にアイテムはなかったんですが、IPEAのミーティングについては、今現在加盟してないところ、もしくはAuthorized Memberという正式なメンバーになろうと申請をしている各国からプレゼンテーションが行われております。4か国が予定されていたんですが、中国は会場に来ていなかったということもあって、3か国の3機関からプレゼンテーションがありましたということです。
10ページになります。ここが本日の報告の一番メインであります各AgreementのClosed Meetingです。ここで資格の継続の審議が行われました。まずIPEAとAPECEAの、ジョイントのMeetingです。両方に加盟している機関に関するClosed Meetingがまずありまして、オーストラリアの審査では6年間の資格継続が承認されております。
次に日本の審査がありました。すみません、伝え忘れましたが、審査は、関係する機関が会場に全員集まりまして、その後それぞれの審査に移るんですが、その審査中は被審査側は会場の外に一旦出されて、その後、レビュワーの最終報告案というのが残った審査する側の機関に報告されまして、議論があって、最後に決が取られて結論が出ると、会場内に被審査機関が呼び戻されて結論を聞かされると、こういった流れをそれぞれの被審査機関に対して行うという流れです。
日本については、ここに書いてありますように6年間の継続が無事承認されております。
それからニュージーランドの審査が次にありまして、こちらは議長裁定で2年間の暫定継続が認められております。
APECEA Closed Meetingでも幾つかの審査が何時間か行われたんですが、インドネシアの審査のところです。6か月以内にOnesite Visitで問題ないことが確認することとしております。
IPEA Closed Meetingになります。こちらも幾つかの機関が審査を受けまして、こちらは特に問題はありませんでした。
最後になります。Closingで今後のIEA総会の予定が示されました。来年は南アフリカのケープタウンで開催、それから2027年はインドネシアで開催することが決定したと報告がありました。
私からの報告は以上になります。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に対しまして、何か質疑等ございましたら御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
高木委員、どうぞ。
【高木委員】 御説明をありがとうございました。国際的な活動ということで、大変重要なお取組をされておられると思いました。
コメント1点と質問1点です。まず、コメントですが、資料1の3ページの「IEA GA&PCについて」の中で、GA:Graduate Attributesの御説明について、「エンジニアリング教育の認定基準」という表現をされておられますが、IEAの公式文書ですと、GAというのは「修了生としての知識・能力」になると思います。もちろん教育の認定基準にも使われていますが、言葉の定義としてはIEAの文書のほうが適切ではないかと思います。
一方、PC:Professional Competenceについては、IEAの文書で「専門職としてのコンピテンシー」としていますので、細かい表現は別として、このままでよろしいと思います。
以上がコメントです。
それから質問ですが、10ページにIPEJ(日本)の審査で6年間の継続が承認されたという御報告がありました。これに関連して、APEC Engineer等との資格との関係もあるかと思いますが、技術士制度に立ち返りますと、JABEE以外のプログラムを卒業された学生に関して、第一次試験に合格した人は、GAの知識・能力があるという理解でよろしいでしょうか。
【日本技術士会】 現在、正確なところで言うと御指摘のとおりで、一次試験を通過することでIEA GAとの整合性・同等性は確保されているということで我々から提出した資料にも書いてあります。審査においても、どのように同等性を確保しているのか別途確認したいということを言われておりました。
【高木委員】 そうしますと、日本から少し詳細な説明をすれば、特段問題ないという理解でよろしいでしょうか。
【日本技術士会】 説明を差し上げて、それで納得していただければということになりますけれども。
【高木委員】 ありがとうございました。
【佐藤分科会長】 どうぞ。
【寺井分科会長代理】 今のことに関連するんですが、GAがちゃんと国際的実質的同等性を日本が確保しているかという議論は、相当昔から言われていますよね。そもそもエンジニアリング教育をちゃんと行っているかどうかを試験で見られるのかというように多分言われていると思うんです。そこで今、本格的に議論を始めたIPDですね、IPDはGAを強化してPCを獲得するという意味合いでIPDをしっかりオーソライズされたものにすれば、またちょっと違った説明もできるんじゃないかなと私は思うんです。ただIPDも、どうしてもCPDの概念があるんで、何か講義をつくって、講義を受ければいいというものではなくて、PBL(Project Based Learning)とかいろいろありますよね、恐らくそういう形のカリキュラムをつくってやらないと、GAを見たときに「あれ?」と言われるのかなという、そんな気が今、しています。
【日本技術士会】 よろしいですか。
ゆくゆくはIPDでもってもう少しGAを強化するという道はあるかもしれないのですが、今現在の状況として、まずは現状、一次試験がGAと同等であることをきっちり説明しないといけないのかなと考えています。
【佐藤分科会長】 よろしいでしょうか。
どうぞ。
【黒崎委員】 日本と同様に試験によってGAを確認するというプロセスというか制度を持っているところというのは、ほかにはないのですか。
【日本技術士会】 私、すみません、そこまで調べ切れていないので分からないのですが、あったとしても非常に少ないという認識でいます。もともとWashington AccordでGAとの同等性は結果でもって判断、要はアウトプットで判断できず、プロセスを押さえないと同等性は確保できないということを宣言をしているところもありまして、世界的にはWashington Accordに沿ってプロセスを確認するというのが主流になっていると聞いています。ただ一方で、試験で確認しているところがゼロかどうかは、今は分からないところです。申し訳ありません。
【黒崎委員】 多分位置づけとしてはそうだと思うんですけれども、一方で、我々が説明をこれからしなきゃいけないときに、ほかの団体ではどういう説明をしているのか、説明をしているのかというとあまり言葉が正しくないかもしれないですが、試験で一定のプロセスを踏まえたところを評価するというやり方でどういうやり方をしているのかというのは、恐らく大きく参考になると思いますので。
【日本技術士会】 ありがとうございます。併せて確認していきたいと思います。
【佐藤分科会長】 ほかに何か御質問、御意見、よろしいですか。
では、今いただいた御意見も踏まえながら、次の審査に向けていろいろなことを議論していきたいと思います。どうもありがとうございます。
【日本技術士会】 ありがとうございます。
【佐藤分科会長】 そうしましたら、議題の2に移らせていただきたいと思います。技術士制度の課題抽出に資する諸外国の実態把握及び技術士のキャリアパスの検討に資する現状把握と整理のための調査最終報告について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
【益田補佐】 それでは、事務局から、資料2に基づいて御説明いたします。概要ということで、本体の報告、詳細版は参考4でお配りしております。
まず、本調査につきましては、令和6年度の当初の委託調査ということで、トーマツ様にお願いして調査いただいておりました。本年1月の第48回技術士分科会において、一度中間報告という形で御説明させていただきました。その後、昨年度末に最終報告がまとまりましたので、今般、本分科会で報告させていただくことといたします。
なお、本日はトーマツ様に御同席いただいております。
早速ですが、資料2をめくっていただきまして、まず、4ページから御説明させていただきます。本調査の目的としましては、技術士制度がさらに社会や技術者に貢献するためには、本制度についての文献等調査や関係者から得られる意見を通して課題を抽出して検討を深める必要があるということで、文部科学省としましては、3つ目のポツに書いてありますマル1、技術士制度に対する課題抽出を行い、分析することにより本制度の検討における新しい観点を獲得すること、マル2として、技術士資格の取得の有無に関わらず、高度な専門性を有する又は専門性の獲得を目指す技術者が自身のキャリアパスを考える際の課題認識等の現状把握を行うことを通して、技術士制度がその課題に対してどのような対応をできるかを検討するための一助として行いました。
特に先ほど出ましたIPD(初期専門能力開発)や、あとはそこから技術士資格取得、資格取得した後に継続研鑽(CPD)及び資格活用に至るまで、一貫した整合性のあるシステムの構築・改善を行うための検討に資するということで、その観点で情報収集もしております。
それでは、調査内容のほうに移ります。5ページ目です。(1)は技術士制度の諸外国における状況・動向の把握ということで、こちらは本年1月の中間報告で一度御説明させていただいたところですが、この資料2の22ページ以降に参考資料としてつけております。
したがって、今回メインとして御説明したいところとしては(2)資格取得者を対象とした聞き取り調査と、(3)企業を対象とした聞き取り調査ということです。(2)の資格取得者を対象者とした聞き取り調査につきましては、資格取得者と資格とキャリアの関係性や産業界から受ける制度の印象、技術士への期待や課題について具体的に分析。それから(3)企業を対象とした聞き取り調査においては、制度の認知度、関連性、活用事例、技術士制度への期待、課題等について調査を行いました。
それで調査結果のほうに移りますが、この調査を踏まえて分析してまとめた結果、幾つかの項目を提言という形でまとめております。7ページ以降でそれぞれの提言について、簡単ですが御説明させていただきたいと思います。
7ページは提言のカテゴリーを3つに分けていまして、制度全体に関する提言、それからIPD・CPD制度に関する提言、3つ目が技術士のキャリアパスに関する提言ということで、それぞれ細かい項目に分けてまとめております。
それでは、個別の項目について御説明申し上げます。
次の8ページ目です。まず1つ目、制度全体に関する提言ということで、技術士の魅力向上のためのプロモーションです。技術士という資格自体が社会で認知されていないのではないかという課題を受まして、それに対する提言内容としましては、学生をはじめとした若年層への技術士制度の認知の促進。例えばアメリカでは、幼稚園から高校の生徒や大学生などに対して、技術士の仕事の体験活動を促進する取組を実施しているということがあるそうです。
それから、もう一つは積極的なプロモーションの実施です。これもアメリカの例では資格の所管団体であるNCEESがポッドキャストシリーズを配信して、例えば技術士の重要な仕事を紹介したり、あとはプロフェッショナルエンジニア保有者のプロフィール及びインタビュー記事を公開したり、あとはウェブサイトやソーシャルメディアでチャンネルを公開して、このように認知度を上げるような取組をしているというところです。こういったところが、日本の技術士制度に対しても何か貢献できるかというところが提言でございます。
続きまして、9ページ目です。技術士が所属する企業に対する支援です。企業ごとにIPD・CPDに関する取組状況にはばらつきがありまして、制度体系が統一されていないというのが課題でございます。
それに対する提言内容としましては、例えばイギリスをはじめとした海外においては、企業が主体性を持って技術士を育成する土壌、つまり環境基盤が整備されているという事例があります。
例えば「企業として技術士が○%以上いると、○○というメリットが国からもらえる」といったインセンティブを企業に付与するということも考えられるかと思います。
それから、こういったメリットを感じることで業務時間内にIPDやCPD活動ができる土壌がより整えば、資格取得もしやすい環境が企業の中で整備されるんじゃないかと、そういったことを提言しております。
それから、次の10ページ目へ移ります。こちらは以前の分科会でも議論がありましたが、業務独占範囲の設定というところです。業務独占資格ではないことが、技術士を取得する意義を考える上で課題になっているのではないかというのが課題に挙がりました。それに対して提言内容として、アメリカの一部の州では、公衆の安全、衛生及び福利に影響を与える可能性があって、工学的原理や情報の工学的解釈を必要とする技術的業務については、例えばプロジェクトの場合は図面や仕様書にプロフェッショナルエンジニアリングの方が押印する必要があるといった定めを設けたりしております。
また、日本では建設技術者のCPD取得状況を公共工事の経営事項審査の項目に含めるという対応も行われています。
したがって、公共調達に関連して実施可能となる範囲を拡大することが、ひいては技術士の魅力向上につながる可能性があるのではないかということです。
続きまして、2つ目のIPD・CPD制度に関する提言ということで、そのうちの1つ目、企業におけるIPD・CPD取得の促進です。
課題としましては、企業にIPD・CPDをリードしてもらう体系にはなっていないのではないかと。
それに対して提言としては、技術職の管理職昇格の要件に技術士資格取得を義務づける、また、必要年数経過後には技術士資格取得にチャレンジできるような研修プログラムを整備するといった事例はありました。
一方で、中小企業においては、自社でIPD・CPDに関する取組を行うリソースが不足しているということがあります。IPD・CPD取得促進以前に、コア技術を後継技術士に伝承するために専門知識を言語化するという教育をしていくことも考えられるのでないかといった提言にまとめております。
それから、次に12ページに移ります。こちらはIPD・CPD単位の取得状況の可視化と、マッチングの仕組みの整備です。CPDの取得状況、取得履歴等の把握管理の十分性については課題があるという意見がありました。IPDについては、現時点では活動状況を管理する仕組みは整備されていない状況です。
それらに対する提言としましては、これもイギリスの例ですが、MyCareerPath制度が整備されていて、こういったものを把握できるようなものもありますので、諸外国の制度を見ていくこともいいのではないかということです。
それから13ページ目、IPD支援者制度の整備及び運用促進です。技術士試験合格のためのIPD支援者を各企業が自社の取組として設置しているため、企業で指導の内容にはばらつきがあるということがありました。
それに対して、所属部署の先輩技術士や、社内の技術士会等からIPD支援者をアサインしてもらい、資格取得に向けて論文添削や模擬面接等を通して伴走する仕組みを整備運用している会社もあります。
またこれもイギリスの制度ですが、IPD支援者(メンター)制度を整備して、IPD支援者が果たすべき役割等を明記している機関もあります。
我が国においては、公式にIPD支援者の役割や行動規範等を示した上で、IPD支援者の仕組みの整備を行って技術士を目指す者の資格取得をしやすい環境づくりを検討することも考えられるのではないかという提言になっております。
それから、14ページでございます。少数技術部門に対する情報提供です。技術士制度には21部門ありますが、所属人数の少ない技術部門に当たっては、情報が得られなかったり、ある程度独学で専門知識の習得に努めなければならないなどの環境の違いが見受けられるという課題があります。
これに対して提言としまして、試験に関連する情報等の共有など、情報格差によって所属人数が比較的少数の技術部門における資格取得に支障を来さないようにすることが考えられるということで、こういったところを検討する必要があるのではないかということです。
続きまして、15ページです。関連資格との連携、科目合格制度の導入です。課題としましては、技術士資格保有者は、所属する技術部門に関連した別の資格を有している場合が多いです。一方、関連資格を持っていた場合に、技術士試験における優遇が受けられるケースというのは見受けられないという課題が挙がっています。
それに対して提言としましては、相互に共通する試験科目等については、どちらかの資格を有している場合に試験上の特典を与えるなど、実質的に専門知識を有する者に対する技術士試験のハードルを下げることが考えられるということです。
それから、次のページに移りまして、今度はキャリアパスの内容に入ります。まず1つ目は、独立技術士としてのキャリアの事例です。課題としましては、キャリアパスは先輩技術士の活躍する姿を確認すればある程度のイメージが描ける一方で、それ以外の活躍の選択肢のイメージが湧きづらいという意見があります。また、技術士の多様なキャリアについて共有が十分にできていない可能性があるということが挙げられました。
これらの課題について提言内容としましては、独立技術士に広く自身のキャリアを聴取し、技術士の活躍事例として広く共有することや、あとは企業における人事評価制度の見直しも含めて、企業でより多くの技術士が多様なキャリアを選ぶことができる体制の整備、またグッドプラクティスの社会への共有を検討することが考えられるのではないかということです。
それから、17ページに移ります。海外での活躍事例です。海外でエンジニアとして仕事をする上では、日本の技術士を取得していることが直接的な利点になることが基本的にはあまり見受けられないという意見がありました。
これに対して提言として、海外で活躍する技術士のキャリアをより広く共有するとともに、諸外国との相互認証を進めたり、外国にいても日本の技術士試験を受講できるような体制整備を今後検討することが考えられるということです。
それから、18ページに移りまして、女性技術士の活躍事例です。2023年における日本の技術士は、女性の割合が2.56%と低い状況です。先日、前回の試験の結果も説明しましたが、令和6年度の二次試験合格者の女性割合も9.6%でした。男性と同等に生計を立てるのが難しいという状況だという意見もありました。
これらに対して、技術士会では、現在男女共同参画推進委員会において、女性技術者キャリアモデルの紹介、女性技術者育成への提言、技術者及び技術士を目指す女子学生・女性社会に向けた技術サロンの実施等の運用を行っています。また、所属する企業においても、結婚、出産等のイベントを踏まえたキャリアパスを広く共有し、所属部門あるいは所属部門の上司、先輩が技術士への挑戦を後押しできるよう、よき理解者、相談相手となってもらえるような環境づくりに引き続き取り組んでいくことが考えられるのではないかということです。
それから、次は3.4として、マネジメントを目指すか、スペシャリストとして専門能力を研鑽するかの選択です。課題としましては、専門性を研鑽していくほかに、プロジェクトのマネジメントスキルを求めていくということも選択肢として考えるところがあります。将来のキャリアパスについては、こういった管理系の職種(将来的には経営層)で昇進を目指すか、専門知見を磨いてスペシャリストを目指すかという選択肢を設けている会社もあります。
こういったところに対して提言内容としては、一定の職位に至った段階で目指す方向性によって進むキャリアを選択できるような評価体系を検討することが考えられるのではないかということです。
それから、若手での技術士資格取得による業務の幅の拡大ということで、20ページに移ります。課題としましては、技術士第二次試験の合格者の平均年齢は、令和5年度の時点では42.8歳で、最近ですと大体横ばいになっています。若手の段階で技術士資格取得を目指す傾向も出てきているというヒアリング結果もあります。
これらに対して、若手の技術士資格の早期取得のためのモデルケースや実例等を共有することも、20代から30代の資格取得の裾野を広げる施策として考えられるのではないかということです。
それから、最後、管理系の職種から技術士資格の取得というキャリアです。技術士資格は理科系の専門知見を学んだ技術者が取得する資格というイメージが強いと考えられる中、いわゆる管理系(調達、分析、総務、経営企画等)の職種の者に対して技術士という資格をより認知してもらい、技術士資格を取得した上で活躍するというキャリアがあってもよいのではないかといった意見がありました。
これに対して、管理系職種の出身者から技術士の取得に至った事例も見受けられ、経営工学部門と書いていますが、こうした事例の共有から始めて管理系の職種からのキャリアパスを選択肢として認知してもらうことも多様なキャリアパスを考える上で検討に値するのではないかということです。
以上が提言内容になっておりまして、御承知のとおり、これまでの技術士分科会でもこのような意見というのは数多くいただいているところもありますので、今回の調査結果、さらにはこれまでの技術士分科会で承った御意見を踏まえた上で、今後こういった検討事項に反映できればいいかなと事務局としては思っております。
御説明は以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に対しまして、何か質疑等ございますか。
どうぞ。
【栗山委員】 栗山です。1つコメントと、2つ質問させてください。
コメントのほうはIPDとCPDに関してなんですけれども、9ページに書いてある課題は、企業ごとに取組がばらばらであるという課題が書いてあるんですけれども、11ページにも同じように企業ごとに取組が異なっていると書いてあって、提言内容は、9ページのほうはインセンティブをあげたらいい、11ページのほうは、大企業はちゃんとやっているけど中小企業は問題だよねと、何かもうちょっとこれは整理されてもいいのかなという気がします。
もうちょっとコメントさせていただくと、14ページのところに情報提供が十分じゃないところがあるというような項目もあるんですけれども、これも結局企業がIPDとかCPDにどれだけ一生懸命取り組むかというところに係ってくるので前の項目とも関連すると思うし、この情報提供は何か随分小さな話題のような気がするんで、もうちょっと大きな課題と小さな課題とをもう少しうまく分類してまとめていただいてもいいかなという気がします。これがコメントです。
質問はちょっと細かいことなんですけれども、9ページのところに、イギリスなんかでは、企業が主体性を持って技術士を育成する土壌が整備されているということと、その下にインセンティブを与えたらどうかという記述があるんですが、イギリスとかではこういうインセンティブが与えられているんですかというのが質問の1つで、もう一つの質問は、「○○というメリット」というのがあるんですけれども、もし具体的にイメージがあったら教えていただけるとありがたいなと思います。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
【益田補佐】 ありがとうございます。
まず、いただいたコメントにつきましては今後事務局のほうで整理して、課題をまとめていきたいと思います。
御質問の点につきましては、細かいところもありますので、トーマツ様のほうからお答えいただいてもよろしいですか。
【トーマツ】 御質問ありがとうございます。トーマツの古川と申します。
9ページの提言内容の1つ目については、イギリスをはじめとした海外における説明、事例があったということを書いていまして、2つ目は、イギリスの調査と関連して書いているというよりは、個別の技術士の方へのヒアリングの結果、こういうものがあったらよいのではないかという回答としていただいているものになっています。
どのようなメリットが得られるということに関しては、ヒアリングさせていただいた方で一番多かったのは、補助金のような何か企業の負担を軽減するような金銭的なメリットがあるといいのではないかというような意見が一番多かったかなと理解しております。
【栗山委員】 ありがとうございました。
【佐藤分科会長】 ほかに。
江黒委員、お願いします。
【江黒委員】 ありがとうございます。大変熱心に御調査いただいたと思います。すばらしい資料、ありがとうございます。
私のほうからは、トーマツさんというよりは全体、事務局さんも含めてなんですけど、10ページですか、前回も話題に出た技術士資格の意義のところです。私は本当に不勉強なところがあって申し訳ないんですけれども、多分制度とか、資格を取ってくれる人を増やすこと自体が目的ではないと思うんです。弁護士でも会計士でも、どんな制度とか資格であっても、多分社会課題の解決のためにその制度とか資格というものがあると思いますので、例えばなんですが、M&Aのコンサルタント、M&A仲介さん、今、中小企業庁さんとかで多分議論しておられると思うんですけれども、去年、ルシアンホールディングスさんの事件という大きな不祥事、M&Aの仲介で、後継者不足の中小企業とかですごく困っていて、それをだますということで、被害者の会というのができて、多分法廷闘争になる事件がちょっとありまして、M&Aコンサルさんってすごく参入障壁が低くて、今は資格が全然ないので誰でもできちゃうので非常に問題になっていて、中小企業のほうで被害者がいっぱい出て、これからどうするかという話になって、資格をつくったほうがいいんじゃないかという話も出てきているという、そういう識者もいらっしゃるような状況なんです。
それとはまたちょっと違いますけれども、技術士はすごく歴史のある資格ではありますけれども、歴史があり過ぎて、現代の社会課題に沿って、社会課題を解決するために技術士という制度をぜひ使ったほうがいいんじゃないかと我々が思うのであれば、それを社会に向けて発信もすべきでしょうし、業務独占とか、前回の審議会だったか、別の審議会だったか、業務独占は難しいという話も、これまでいろいろ議論して難しかったという話もありますけれども、M&Aコンサルみたいな新しい資格をつくろうみたいなことも話題に出ているぐらいですから、特に問題なのは、何でもそうですけど倫理のところです。資格を持たない人が反倫理的なことをやって不祥事を起こして、そこで社会課題解決のために資格を作って、懲戒できるようにしておこうというのが多分資格制度の一番の意義かなと思うんですけれども、ここに書いていただいたものを踏まえて見直していただいてもいい時期なのかもしれませんねというように感じました。感想も含めて、以上でございます。
【益田補佐】 ありがとうございます。
【佐藤分科会長】 どうぞ。
【村田委員】 先ほどの、今の御意見に近いですが、10ページの技術士資格の意義ということで、私は神奈川県支部に所属しており、そこで聞いたのは、企業への支援や相談が、今までは技術士へのお願いが多かったのが、最近は中小企業診断士へのお願いのほうが多くなってきているということです。確かに人気度を見ても中小企業診断士になる方も多いとか、技術士と中小企業診断士を両方持たれている方もおりまして、その方の活躍の程度を見ると、やはり中小企業診断士としての活躍のほうが多いようです。今おっしゃったように、そういった中小企業からのいろいろな相談事がこれから増えてきますが、どうしても中小企業診断士のほうが経営につながるものが多いという理由で、中小企業診断士への相談を選んでいることもあるのかもしれないんです。しかし、技術的なものも非常に重要なので、技術士資格が、中小企業診断士というわけではありませんが、ほかの資格とどれだけ差別化をつけていくことがこれから重要じゃないかなと思いました。これは意見としてお話しします。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
どうぞ。
【飯島委員】 コメントさせていただきます。飯島でございます。
今回、キャリアパスとの関連も見ながら全体像を整理いただいて、本当にすばらしい資料だなと思いました。ありがとうございます。
私のほうからも一つ、お礼としまして、18ページで男女共同参画推進委員会の活動を取り上げていただきまして、ありがとうございます。
お手元に日本技術士会DEI推薦宣言のリーフレットを配付させていただきましたが、技術士会もDEI宣言を出して、男女共同参画推進委員会がDEI委員会に7月より名称変更となったところでございます。
書いていただいたキャリアモデル紹介、技術サロン、これは本当に私たちが以前から長く大事にしている活動でございます。さらに、ここに書いてある上司、先輩が挑戦を後押しというのが本当に重要でして、個別に技術サロンでお話を聞きますと、職場で応援してくれているかどうかというのがものすごくモチベーションとか実際の能力向上に関わっているなというのを感じます。特にメンターがいたからこそ技術士を取って、社内でも高いポジションに就けたという方の話も聞いたりしますので、あちらこちらに本当に重要なキーワードを入れていただいて、ありがたいと思っております。
あとは、試験情報についてのページもございましたが、参加者の方からは、建設ではなくて少ない部門だと本当に情報が入りにくいという悩みを聞きます。なので、技術士会は試験実施機関なので直接的な支援というのがどこまでできるかは、今、線引きができていない状況ではございますが、サポーター的な人たちが増えて、周りにいない部門でも受けやすいという環境づくりが大事だと感じたところでございます。
また、今はキャリアモデルとして御本人を紹介しているんですが、必ずそういう方って「こういう先輩に助けられた」、「上司に助けられた」という話があるので、メンターモデル紹介みたいなものもやったら面白いかなということに気づかせていただきまして、ありがとうございました。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
ほかに何かコメント等はございますでしょうか。
【黒崎委員】 よろしいですか。黒崎でございます。
13ページと14ページのところでございますけれども、今、飯島委員からお話のあった技術士会として、試験機関でありながら資格取得に向けた支援がどの程度できるのかなというところは、比較的技術士会としても試験機関であるというところから、ある程度避けて通るというか、言い方がよくないかもしれませんがそのようにしてきたところでありますけれども、一方で、様々な試験を見るときに、試験機関自ら講習をやって試験をやるといったようなところも非常に多くて、技術士会の会員からもどこまでできるのかということの質問をよく受けるところでございます。
今回、外部委託調査とは言いながらも提言の中で踏み込んでいただきましたので、今後また文部科学省さんとも相談しながら、どういったところまで我々が資格取得の支援という形で関われるのかといったところについては、引き続き御相談させていただきたいと思っております。
もう一点、申し訳ございません、恐らくこの提言につきましては、今後いろいろなところで使われることになろうかと思いますので、10ページのところでございますが、下の提言内容の2番目のところで国土交通省さんの公共工事調達における審査のことが書かれています。CPDの取得状況を経営審査に使われる部分は、これは技術士のCPDだけではなくて様々なCPDが全て横並びになっているものでございまして、もうちょっと現実を申し上げますと、必ずしも技術士としてCPDを取得することがここでは有利にならないという制度であります。なので、もしここの提言として国土交通省さんのこういった資格の活用という意味合いを取り上げていただくのであれば、むしろ技術士の資格というのを主任技術者だったりとか、こういったところの要件として配点しているというほうを取り上げていただいたほうが、より技術士の資格というのに密接に関連したことになるのではないかと思慮いたします。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
どうぞ。
【江黒委員】 今、黒崎委員から出ました、試験機関だけれども指導していいのかどうかという点につきましては、機会の平等が確保されるのであれば特段問題ないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
【益田補佐】 すみません、もう一度。申し訳ございません。
【江黒委員】 今、黒崎委員から先ほど御指摘があったもので、試験機関なので、13ページとかにあるような論文検索とか模擬面接というお話ですか、そういうことをちょっと控えてきた側面があるんだけれど、今後検討できるんじゃないかというお話が出たんですけれども、恐らくは機会の平等、受験者がこういう論文添削とか模擬面接を受けられる機会の平等、アクセスの平等が担保されているんであれば、試験において不公平ということにはならないのかなと思いますので、そこは問題ないんじゃないかと考えています。意見です。
【益田補佐】 ありがとうございます。
【佐藤分科会長】 よろしいでしょうか。
村田委員。
【村田委員】 今の御意見に近いのですが、私は水産部会員なので水産関係の例ですが、技術士会の部会幹事などは受験指導ができないので、水産関係であればマリノフォーラムさんで、技術士が何人かおりまして、そこにお願いして毎年4月に技術士試験の添削などの受験指導を行っております。受験される方にはいつもそこを紹介しております。そういった形で技術士が多い会社があればそこにお願いして、そこで主催していただいて、技術士会としては間接的なサポートみたいな形でやれば、ほかの部門でも似たようなことができるのかなと思いました。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
では、よろしいでしょうか。
それでは、オンラインでご出席の前田委員からコメントがおありとのことですので、御発言をお願いしたいと思います。
【前田委員】 よろしいですか。
【佐藤分科会長】 どうぞ。
【前田委員】 最初に質問しようとしてからもう10人ぐらいの方がいろいろ御発言されたので、自分の立ち位置がどこだか分からなくなっているところがあるんですが、今の話の流れからだけで言うと、試験の指導みたいなことについては、皆さんがおっしゃったように機会均等というか、情報格差のないようにというのは一つ重要かなと思います。
特に今回の資料の中で、14ページに少数技術部門のことを取り上げていただいたのはよかったなと思っています。私は化学部門というところで、化学というと本来少数であるべきでない部門なのではないかなと思っています。大学受験を見たって、工学系だと数学、物理、化学が受験科目であったり、もちろん建設産業というのもありますけど、化学産業なんていうのも産業界の中にもある、その中において化学部門がこれだけ少ないというのは、確かにこれまで情報格差があります。今は技術士会のホームページの中に過去問題とか、一次試験だと答えとかもありますけれども、私が受けた頃は何にもなくて、どこかの一部の出版社だけが出していて、ブックオフで10冊ぐらいを1冊100円で買って、それで勉強したような記憶があります。今はそういうところの情報格差というのが大分少なくなってきている点は、SNSの時代でいいのかなと思っています。
先ほど皆様のコメントにありましたように社会課題の解決ということに、数よりもそこが重要なところでありますし、そういった中で化学は、化学に今日はこだわりますが、化学物質の管理とかいろいろなところで社会に貢献できる部分があります。中小企業さんが中小企業診断士さんを頼るのもいいけれども、ぜひとも技術士に、化学も含めて相談いただけるような、そういった力を生かせていけるような、そのためのPRというのが必要なのかなと思った次第です。
すみません、最初に質問しようとしていることと、今の話の流れがあったので違うようなコメントになってしまいましたけど、大体皆さんのコメント等をいただいて、なるほどなと思いました。ありがとうございます。
私からは以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。発言をお待たせしたようで、すみませんでした。
では、高木委員、どうぞ。
【高木委員】 ありがとうございました。
今回のご報告が最終報告になるのでしょうか。
【益田補佐】 令和6年度の委託調査の中でやったものですので、これは最終報告となっております。
【高木委員】 それでは2点、質問とコメントをさせてください。前々回の分科会のときに、更新制度のある国とない国で、CPDの制度がどのように違うのか知りたいと申し上げましたが、この点は報告書に記載されておりますでしょうか。
【トーマツ】 ありがとうございます。各国ごとに別紙で資格の制度の概要を比較表にまとめております。そこで更新制があるかと、更新制があるときにどのぐらいのCPD単位が要るのかという各国の事例はまとめさせていただきましたが、それが国ごとにあるかないかというのを総合的にどう考えたかというところまで報告書にまとめられているわけではありません。今回の調査で確認できたこととしては、各国ごとにCPDの更新制度があって、どのぐらいのスパンで、何年という単位であって、どのぐらい単位を取れば更新できるかといった事例を国ごとに、ファクトとして確認することまではできたという状況です。
【高木委員】 ありがとうございました。ちなみに更新制度のない国は、日本以外にはありましたでしょうか。もしお時間がかかるようであれば結構ですが。
【トーマツ】 手元に資料がない状態で恐縮ですが、多くの国は更新制を設けていたと記憶しています。
【高木委員】 第10期から技術士分科会に参加させていただいておりますので、今、念頭に置いているのは、令和元年5月に開催されました第41回の技術士分科会におきまして、大変詳細な論点整理の資料を文部科学省からお示しいただきまして、その中に各国の実態調査がありました。これは日本技術士会が調べられたと思いますが、日本の他、17か国の制度を調査されています。その結果、不明な国が2か国ありましたが、15か国は更新制度があって、そのときの調査では、更新制度がないのは日本だけでした。今どういう状況になっているかが気になりましたのでお聞きしました。
日本の技術士制度について、すぐに更新制度を検討するかということはまた別の問題としても、国際的同等性の観点から、ファクトとして認識しておいた方がよいというのが質問した趣旨でした。
それから、第41回の技術士分科会の資料では、若い人、大学卒業生に対する技術士制度の周知ということが記載されています。これに関連して、本日の資料2の8ページの制度全体に関する提言(1/3)で、アメリカの例の記載があります。第41回の技術士分科会の資料の中で、各国の合格者の平均年齢の数値も出ていますが、米国ですと24歳から28歳と非常に若いです。日本は先ほどございましたように42.8歳、43歳ということで非常に高齢です。その他、例えばオーストラリアは30歳前後、韓国は35歳、台湾は約30歳で、日本の43歳というのは異常に高いですし、かなり問題ではないのかと思います。
41回の技術士分科会の資料の論点整理の中で、「大学卒業の段階で資格の取得を意識するよう、周知を行う必要がある。」という記載があります。さらに、「現場で第一線を任されている若いエンジニアが持てる資格であるべきである。」と。つまり「上位の管理者層の実力証明的な資格ではない」とも記載されています。したがって、43歳ですと管理職になる年齢ですので、当初の35歳で合格を目指すという制度に、運用を持っていかないといけないと思います。
その意味で、前回、第一次試験の改革について提案させていただきましたが、本日の資料2の8ページに記載された方向性と非常に一致しており、その一つの解決手段になるのではないと思いましたので、引き続き検討をお願いしたいと思います。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
それでは、この報告書の御説明と併せて貴重な御意見をたくさんいただきましたので、また今後の検討に生かしていければと思っております。ありがとうございました。
それでは、次へ参りまして、今度は議題の3でございます。技術士制度における受験手数料及び登録手数料の見直し(案)について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
【益田補佐】 それでは、お手元の資料3に基づきまして、事務局から御説明いたします。前回、5月の技術士分科会のときも一度御説明を差し上げましたが、今般、技術士制度の受験手数料と登録手数料を見直すこととしております。現在の手数料は約30年前に定められたものでありますから、消費税の増税や、それぞれの価格高騰とか労働者の賃金等々人件費の上昇に対して対応ができておらず、技術士会の試験事務に係る収支にも影響を及ぼしているという状況でございます。こういうことから、今般見直しを図るということで御説明したいと思っております。
まず、技術士法の施行令に手数料の額というのが定められておりますので、施行令を改正する必要がございまして、令和8年から受験手数料及び登録手数料を見直したいと考えております。
改定手数料の金額につきましては、これまで関係者といろいろ調整してきましたが、今般決まりましたので、こちらの資料で提示しております。具体的には以下の4項目、マル1からマル4に今回の値上げという形ですが、プラスしているところを示しています。
マル1は受験者・登録者の利便性向上というところです。こちらは試験・登録手続をオンライン化していこうということで、ひいては受験者・登録者が便利になるようにということで進めているところですので、こういった必要経費、また試験地も増加していくことを考えておりまして、こういったところに関する費用というのを勘案しています。
マル2としましては受験者数の増加方策ということで、受験者数増加に資する広報活動の抜本的強化。
マル3としましてはレジリエントな体制確保ということで、災害対応等の体制を構築すると。
マル4が一番のメインなんですが、実費勘案分ということで、先ほどの背景や物価上昇等への対応として、過去数か年の実績を踏まえた増額という形にしております。
なお、この実費勘案というのは技術士法にも規定で定められておりますので、具体的な算出方法としましては、過去の改定時に倣って試験・登録に関する経費を見積もって、それから直近数か年の平均受験者数とか、あと登録等の件数で割って算出するという形になっていますので、ここは事実ベースで勘案しているところでございます。
では、具体的な額につきましては次のページに移ります。2ページ目の真ん中の列が現状です。そこから右側の列が改定案になっています。一次試験は1万1,000円から1万3,000円で、二次試験が1万4,000円から2万500円。それから、登録に関するものは6,500円から8,100円ということで、それぞれ値上げをしております。
特に二次試験のほうがかなり値上がっているという印象を受けられる方もいらっしゃると思うんですが、二次試験の場合は口頭試験で日数が長いということもありますし、試験地として押さえる会場借用とかいろいろありますので、一次試験と比べてこのように上がっているところでございます。
それから、次の3ページ目ですが、実際に手数料を見直すに当たってどのような手続、スケジュールを踏まえていくかというところです。これまで、5月の段階で一度分科会へ上げさせていただきましたが、その後、与党技術士議員連盟の方にも相談しております。今回、7月14日ということでこの場で御説明しておりまして、今後はパブリックコメントに出したいと思っております。政令改正などでこの手続をするということです。
それから、パブリックコメントが終わりましたら、もう一度技術士分科会の皆様に結果を報告しまして、令和7年秋に閣議決定・公布をしまして、11月に試験部会がございますので、そこでも試験について、これを踏まえて議論します。施行、実際に効力が発生するのは令和8年1月で、それから令和8年4月に令和8年度の試験受験申込みが始まりますので、ここからは新しい受験手数料ということになります。
最後のページはこれまでの改定経緯ということですので、御参考までです。
事業局からは以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明に対しまして、何か御質問等ございますでしょうか。
塩原委員、どうぞ。
【塩原委員】 塩原です。
1ページに書いてありますマル1、マル2、マル3、マル4を足しますと6,400円ではないかと思うんです。それで、2ページ目の技術士第二次試験の増加金額を見ますと6,500円で、100円違う気がします。
【益田補佐】 それぞれ四捨五入の関係で、1ページの記載は100円単位で示すために四捨五入したので、それで100円のずれが表記上出ているというところです。正しい額としては……。
【塩原委員】 もし四捨五入とかしているんであれば、その旨を記載していただいたほうがいいかと思います。お願いします。
【益田補佐】 失礼しました。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
ほかに何かございますでしょうか。
どうぞ。
【飯島委員】 前回質問させていただきましたが、登録料の更新について、その扱いについて御検討いただいているかと思いますので、現状を教えていただけますでしょうか。
【益田補佐】 前回いただきました登録料に関する御意見なんですが、今回の政令の改正での検討ではなくて、運用上できないかということで、今、技術士会の皆様と一緒に検討しているところです。検討の状況について今お答えができる状況ではないので、申し訳ございませんが、検討を進めているところですので、御報告申し上げます。
【飯島委員】 ありがとうございます。施行令に記載されているので、施行令もその部分は運用で改善できるように、それを踏まえて改正いただくということでよろしいですか。
【益田補佐】 今回の施行令の改正をもって、さらに運用上で、この間いただい御意見が反映できるように……。
【飯島委員】 ありがとうございます。施行令に書いてあると運用も変えられないので。
【益田補佐】 施行令ではなくて、運用のほうで御意見を反映したいと思っておりますので、検討を進めてまいります。
【飯島委員】 そこについてもう少し、施行令の中で登録手数料と同じ額を登録変更の場合も支払うと書かれているので、そこはなくなるという理解でいいんですか。
【益田補佐】 その部分がまさに運用上で、施行令上は従来の手続と同じなんですが、この間いただいた御意見のところは運用で工夫できないかというところを今検討していますので……。
【飯島委員】 そうですか。つまり、施行令には同じように書かれるけれども、特例のようなものをつくるということですか、運用上。
【益田補佐】 そういったところを検討していますので。
【飯島委員】 今お答えできないのは十分承知でお聞きしました。ありがとうございます。
【佐藤分科会長】 どうぞ。
【江黒委員】 今、飯島委員からお話のあった氏名の変更に係る登録手数料の問題について、もう少し法的な観点からコメントさせていただきますと、夫婦別姓訴訟なんかでもよく話題になるところであるんですけれども、多くの女性は結婚で名前が変わるだけじゃなくて、離婚のときも名前が変わります。離婚のときも元の姓に戻すのか、元夫の姓を名のり続けるのかというところで判断を迫られて、場合によっては変わるというか元の姓に戻される方が結構多いと思いますので、結婚で変わり、離婚で変わり、2回、3回と再婚されますと、例えば3回結婚と離婚を繰り返されますと、それで計6回変わるので、その煩雑さだけではなくて、こういう手数料の負担とかということもあると性別を恨んでしまうというところが出かねないということもありますので、これは生まれながらのもので選べるものではありませんから、組織構成員みんなで負担していただくというのがいいのかなと思います。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ほかは。
【飯島委員】 違う観点からなんですが、氏名の変更に際しまして、国家資格なので戸籍名が変われば当然登録し直しが必要かなということはある一方、周囲の女性技術士の方に聞くと、業務上は変えないほうがよい、旧姓を使うのであれば登録は変えなくてもいいよという判断をされたことがあるということでした。実際にそうであれば、戸籍名が変わっても技術士の登録は変更なしでいけば、そういう方法が残ることになるんですが、これについて御存じでしたら教えていただけますでしょうか。
【益田補佐】 申し訳ございませんが、今のケースというのは私は存じていなかったので、確認して検討したいと思います。
【飯島委員】 実際そういう方がいるということでございます。
【益田補佐】 分かりました。
【佐藤分科会長】 ほかに何か。
黒崎委員。
【黒崎委員】 ちょっと違う視点でございます。1ページ目にオレンジ色の矢印がありまして、そこに「今回の見直しにより、受験者・登録者に裨益する改革を推進」と書いてあって、その下に米印でCBTの導入であるとか、あるいは試験のオンライン化というのが書かれています。これは米印がどこに係ってくるのかというところが定かではないんですが、この登録料見直しでこの下に書かれているフルデジタル化というのも推進するという理解の読み方になりますでしょうか。
【益田補佐】 おっしゃるとおり、御理解のとおりでございます。
【黒崎委員】 そうすると、ここで受験料の見直しについては利便性の向上というところで、マル1のところで一次は1,000円、二次は1,200円と書かれていますが、CBTであるとかオンライン化することはこの費用の中でできるということでしょうか。
【益田補佐】 おっしゃるとおりです。
【黒崎委員】 承知いたしました。
【佐藤分科会長】 ほかはよろしいでしょうか。
よろしければ、この議題については以上とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、次に議題の4でございまして、今後の「科学技術人材政策」の方向性(中間まとめ)(案)について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
【奥課長】 事務局から御説明させていただきます。この技術士分科会の所掌範囲とはちょっと違うかもしれませんけれども、関連するところがありますので御説明させていただきます。
科学技術・学術審議会の下の人材委員会において、去年の10月から今後の人材政策の方向性という形で議論をさせていただきました。この7月30日に中間まとめとして最終的に取りまとめたいと思いますが、その案を今回お示しさせていただいているところです。
ページをおめくりいただいて、3ページ目、4ページ目、5ページ目あたりはデータの関連になりますので、ここら辺は飛ばさせていただいて、6ページ目に行かせていただきます。時間の関係で、ポイントのみで大変恐縮です。
6ページ目、7ページ目、8ページ目の3つのページで、今後の人材政策の方向性をポイントとして列挙しています。
まず、6ページ目です。人材政策こそがSTI政策の基本であるということで、人材を中心に据えた政策の立案が必要だということが基本的な考え方として示させていただいています。
左下で、今回、3つの基本方針を示しています。1つ目は、人的な投資というのを抜本的に増やしていこうということで、科学技術関係の人的資本投資の考え方の下で、予算等も抜本的に強化していくというのがマル1。
2番目、研究者、それとここで議論していただいている技術者も含めて多様な人材が社会のあらゆる場で活躍できるような環境を整備していこうというのがマル2。
マル3として、人は一人で育つわけではないということで、組織とか機関の役割が大事だということを3つ目として挙げています。
こうした考え方の下で、右側になりますが、今後の人材政策の3つの柱で整理しています。1つ目は多様な科学技術人材の育成・活躍促進とありますが、いわゆる研究者、技術者であるとか、URAをはじめとする研究開発マネジメント人材、いわゆる職種別のような人材育成というのがマル1。
マル2が、初等中等教育から高等教育、さらには社会教育に至るまで、教育段階別での人材育成というのがマル2です。
マル3が、そうした人材に関わるような制度・システム改革を一体的に進めていくということで、この3つに基づいて具体的な施策を整理させていただいています。
7ページ目に行っていただいて、7ページ目のところで多様な人材、1つ目の柱ですが、1ポツ目で研究者、2ポツ目で技術者、3ポツ目で高度専門人材という形で、3つで整理をしています。
ここから柱だけ見ていただければと思いますが、特に研究者については多様な研究費の確保、それと安定したポスト、それとあと国内外あるいは産業界における活躍の場・機会の拡大。それと(4)で、組織における環境整備という形で具体的な方策をまとめています。
右へ行って、2ポツ目のところで技術者の育成・確保は3つ項目を挙げています。1つ目が大学・大学院と高専における工学系教育の充実・強化ということで、JABEE認定の拡大等についても触れさせていただいています。
(2)は産学で活躍できるような優れた技術者の育成・確保・活躍促進ということで、大学あるいは企業等の双方で活躍できるような技術者の育成であるとか、大学における技術職員の育成・確保に関する取組。
そして、(3)で技術士制度の活用促進というのを入れさせていただいています。
また、3ポツ目、高度専門人材のところですと、ここは高度専門人材でいろいろいらっしゃいますが、URAをはじめとする高度研究開発マネジメント人材に特に焦点を当てて、こうした教員と事務職に次ぐ第3の職種としてきちんと確立するということを、今回メインとしてまとめさせていただいております。
8ページ目をおめくりいただいて、こちらは教育段階別の人材育成になります。1つ目、大学・大学院は、新聞報道でもありますが博士後期課程学生に対する経済支援の強化ということで、特別研究員であるとかSPRINGへ経済支援を行うような事業制度について、見直しを挙げさせていただいています。
また、右側の2ポツ目で初等中等教育段階からの科学技術人材の育成ということで、才能を持っているような児童生徒を伸ばすということと裾野拡大の双方の側面から、児童生徒に関する育成を強化していくということを挙げています。
また、3つ目として科学技術コミュニケーション。
それと、あとⅥとありますが、制度・システム改革の促進のところでは女性研究者の活躍促進であるとか、海外からの研究者の招聘。
それと、2ポツ目のところでは研究インテグリティ・セキュリティであるとか、ELSIに関する取組というのを包括的に取りまとめさせていただいているところです。
9ページ目以降、10ページ目、11ページ目あたりは、この審議会の体制であるとか、これまでの審議経過等々を書かせていただいています。
12ページ目です。政府の全体方針の中で骨太の方針というのがありますが、ここの中でも、真ん中の左側に科学技術人材の育成強化であるとか、次の13ページ目、新資本の実行計画の中でも、右側の真ん中下あたりです、科学技術人材について、パッケージとして一体的に実行するという辺りを、政府の総合戦略の中にも書かせていただいているところです。
14ページ目からは、1つ目の柱のもう少し具体的な中身を書かせていただいているものです。
15ページ目が研究者の育成・確保に関することでして、現状と課題、それと実績の評価に加えて、16ページ目、17ページ目で今後の具体的な方向性というのを書かせていただいています。特にここの分科会に関するものとしては、3ポツの(1)のところです。多様な研究費の充実・確保、大学等の基盤経費を充実させるというのはもとよりなんですが、マル1の2つ目のポツで、特に国家的・社会的・経済的に重要な科学技術分野、それと産業分野を特定し、ここで研究開発と人材育成を一体的に推進するような新しい資金的な枠組みをつくるべきということの打ち出しをさせていただいています。こちらは後ほどちょっと触れさせていただきます。
マル2で競争的資金制度改革の促進であるとか安定したポストの確保、それと(3)研究者の活躍の場を拡大ということで、マル2で産業界とアカデミアの連携協力による研究者の育成・確保といった辺りも書かせていただいています。
飛んでいただいて19ページ目です。参考資料になりますが、先ほど申し上げた新しい資金的な枠組みというので新規施策を考えさせていただきたいと思っています。真ん中に基本的方向性とありますが、産学官で最先端の分野設定をし、アカデミアと国と産業界の間のマッチングファンドで研究支援を行うと。その上で、大学の人給マネジメント改革にも資するということで、こうした要件を課した上でアカデミア、大学に対して研究支援をするような新しい枠組みをつくりたいと思っています。
メニューとしてマル1、マル2、マル3とありますが、研究者の育成・活躍、それに加えて産業であるとか研究の基盤を支えるような技術者の戦略的な育成・確保ということを一つメニューとして挙げたいということと、大学における人材教育プログラムの開発というのも併せて実施するということで、研究者と技術者双方の底上げを図っていくということを資金的に支援したいと思っているところです。
飛んでいただいて、22ページ目からが技術者の育成・確保に関する取組になります。こちらも現状と課題を踏まえた上で、23ページ目で今後の方向性というのを書かせていただいています。
1つ目、大学・大学院と高専における工学系教育の充実ということで、今回もいろいろ御議論ありましたが、特にJABEE認定について対象校の拡大を図るということ、それに係るような事務負担の軽減、あるいは資金的な支援というのも考えていくというのが(1)です。
(2)は、産業界とアカデミアで活躍する優れた技術者の育成・確保・活躍促進となります。ここで対象とする技術者をどう定義するかというのがいろいろ議論になりましたが、ここでは民間企業、それと大学の研究者でも特に技術開発に関わるような人、それと大学の技術職員、ここら辺を包括的に扱って広義の技術者ということで取り扱っていこうということで取組を書かせていただいています。
特にアカデミア、産業界双方で活躍できる技術者として、共同研究であるとかクロスアポイントメントの制度をつくること、それと先端的な研究施設・設備の整備、高度化などを通じて技術者の育成・確保を図っていくということと、あと大学における技術職員です。こちらはこれまでガイドライン等々がなかったんですが、新しく人事制度に関するガイドラインをつくり、技術職員の配置や処遇評価の改善、それとキャリアパスの整備等々を進めていくということで、こうした体制整備を行うような大学に対して、特に国立大学の第5期中期計画等で評価していくという辺りを書かせていただいています。
また、(3)技術士制度の活用促進のところでは、技術士資格について取得のインセンティブを働かせる仕組みであるとか、CPD・IPDのシステムを含めた一貫した整合性あるシステムの構築に向けて、こちらについては、特に技術士分科会において今後具体的な方策を検討するということを書かせていただいているところです。
飛んでいただいて、29ページ目からが高度専門人材になります。こちらでも一部御議論があったところですけれども、ここでは特にURAを始めとする研究開発マネジメント人材に焦点を当てて取組を書かせていただいています。
30ページ目です。研究開発マネジメント人材というのは、いわゆる昔のURAと呼ばれていた人材になりますけれども、職種の幅が広がって、仕事、業務の範囲が広がってきたということで、特に大学の経営層であるとかIR、研究戦略等に関わるような高度専門人材としてきちんと職種として位置づけて、キャリアパスも整備するということで、今回初めてガイドラインの整備をさせていただきました。このガイドラインに基づいて大学における人事制度を確立するということに加えて、文部科学省のほうで今年度から研究開発マネジメント人材の体制整備事業という新しい支援事業を開始しました。こうしたものも先行事例としてこうした人たちのマスを拡大していくということを考えたいということと、マル3のところにありますが、ほかのいろいろな機関を対象とするような競争的資金制度などで、採択であるとか評価時に加点対象とするであるとか、大学の中期計画等においてこうした体制整備を求めていくということも今後の方向性として示させていただいているところです。
ガイドラインについては、31ページ目でも書かせていただいています。
あとはさらっとになりますが、33ページ目からが教育段階別の人材育成になります。
35ページ目は博士の活躍促進になります。高度専門職としての技術者、技術士資格を取得するに当たって、博士というのも極めて大事な人材供給源だと思いますが、博士について、引き続きアカデミアのキャリアパスを目指すようなDCについて単価の引上げを検討するであるとか、経済支援を行っている今のSPRINGの制度について、日本人、留学生、それと社会人を対象に戦略的に支援するような中身に見直しをするということで提案させていただいているところです。
さらに、こうした博士人材が社会の多様な場で活躍できるように、キャリアパスの整備等についても引き続き支援するということを書かせていただいています。
37ページ目がSPRINGの制度、いわゆる留学生と日本人の階層化を図るということに対して、見直しの方向性をつけさせていただいています。
また、38ページ目からは初等中等教育段階での人材育成になります。こちらは特に才能教育といいますか、優れた資質能力を持つような児童生徒を伸ばしていくということと、あと理数系に興味や関心を持つような児童生徒の裾野を拡大するという両方の側面から必要な事業等を書かせていただいています。そのうち特にスーパーサイエンスハイスクール、全国の高等学校の5%に相当する250校を目標に、支援をしているところですが、ここの中身についても大きく見直すと、23年ぶりの見直しというのをここで提案させていただいています。
40、41ページあたりに今後の見直しの方向性を書かせていただいていますので、こちらも後ほど御参照いただければと思います。
ここでも議論になりましたが、44ページ目で女子中高生の進路選択の在り方というのも極めて大事でして、徐々に女子中高生の理系進学というのが増えてきてはいますけれども、依然としてここの一番下にありますように保護者をはじめとするアンコンシャス・バイアスが残っているところもありまして、ここを払拭するような取組というのも引き続き支援していきたいと思っています。
43ページ目のところからは、科学技術コミュニケーションに関する取組というのも書かせていただいています。
また、48ページ目からは制度・システム改革の推進ということで、特に48ページ目ではダイバーシティの確保というのがいろいろな職場で非常に大事になってきているということで、女性研究者の積極的な登用、活用促進、特に上位職における登用の拡大であるとか、海外の優れた研究者の招聘によって研究環境の多様性を確保するといった辺りも書かせていただいているところです。
最後、51ページ目のところは関連する制度・指針面ということで、研究セキュリティの話であるとか、生命倫理等の倫理教育に関すること、それとあとELSI、倫理的・法的・社会的課題について、本来であれば全ての研究者が標準的に身につけるべき基礎的な素養だということで、こうした取組を全ての研究者、技術者等に広げていくという取組を引き続き強化してまいりたいと思っています。
今回、委員会のほうで中間報告という形で取りまとめさせていただいていますが、最終報告に向けて、他の分科会等も含めていろいろ御議論いただいて、それを取り入れながらさらに検討を深めてまいりたいと思っております。
すみません、駆け足ですが以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
ただいまの御説明に関しまして、何か御質疑等ございますでしょうか。
よろしいですか。よろしければ、説明を承ったということで、次に進みたいと思います。
【飯島委員】 すみません。
【佐藤分科会長】 どうぞ。
【飯島委員】 1点ございます。44ページに、女子中高生とその保護者、教員を対象としたアンコンシャス・バイアスの払拭とございます。これは非常に重要な点なんですが、アンコンシャス・バイアスについては解消するのが難しいというのが専門家の方からお聞きしたところで、なくすことはできないので、気づいて対処していくというようなことだと思います。このスペースにそんなにたくさん書けないというのは分かるんですが、出される側としては、それについて十分御理解いただいた上で出していただければなと思いました。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
どうぞ。
【江黒委員】 まさに今の44ページに関連してなんですけれども、非常に重要なお取組なので、ぜひ続けていただきたいと、ぜひ取り組んでいただきたいと思うんですけれども、この間、なぜ理系、技術系の業界へ女性が来ないのか、あるいは定着しないのかということをちょっと考えてきたんですけれども、実務感覚として私が感じていますのはセクシュアルハラスメントの対策というのが、文系の業種に比べて技術系の業種だと遅れているというように、肌感覚でなんですけれども、データがあるとかではないんですけれども感じておりまして、やはりセクシュアルハラスメントとか性被害というのは人間が一定数集まると必ず、必ず発生しますので、それを告発しやすい環境整備ですとか、対応しやすいような環境、ちゃんと被害者を守るとか、そういったことは、率直に申し上げて女子大学生、アカデミックの時点からやっていかないと、理系にせっかく進学しても文系職のほうに就職してしまうということがあり得るのかなと、これは私の個人的な見解ではあるんですけれども感じていまして、人数が少ないせいなのか、それとも職種がタコつぼ化しやすいということによるものなのか分からないんですけれども、かなりそこの点は大きいんじゃないかなと感じている次第です。今後の課題としてお取り組みいただければなと思っております。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
黒崎委員、どうぞ。
【黒崎委員】 黒崎でございます。
中に技術士制度の活用促進、またそれと技術士CPD認定の活用というところに行を押さえて書き込んでいただきまして、本当にありがとうございます。技術士分科会としては、きちんとお礼を申し上げなければいけないと思いますので、コメントさせていただきました。ありがとうございます。
【佐藤分科会長】 ほかに何かございますでしょうか。
村田委員、どうぞ。
【村田委員】 先ほどの話に戻りますが、44ページのところに女子中高生の理工系進路選択ということで、アンコンシャス・バイアスの払拭とありました。私の頃は女子が大学院に行くというと、婚期が遅れるなどと言われ反対されたり、大学すらも行かせてもらえないというのが当たり前のような時代でした。最近、私の出身校の先生に伺ったところ、未だに大学院に進学したいという女子学生はいるんだけど、最終的には両親の反対で諦めざるを得ないという方が結構いて、悩ましい問題だということをお聞きしました。家庭の中へ入り込むのはすごく難しいので、こういう問題をどうにか払拭するのが課題だと思います博士課程へ進学しない理由が書かれていましたけれど、女子学生において特に博士課程に進学しない理由も、このような家庭における反対があって進学しない方というのも一定数いるのではないかと思いました。これは私が最近感じた現状ですので、共有していただければと思います。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
どうぞ。
【江黒委員】 今の点にまさに関連するんですけれども、アンコンシャス・バイアスについて、ある方、理系の方が、親御さんがやはり反対をされたと、それはセクハラとかジェンダーハラスメントを心配されたと。その方は親御さんの反対を振り切って理系の仕事を選んだけれども、親御さんの心配については「それは正しかった」というお話もありまして、技術系の業界にある課題というのも、必ずしも偏見ではなくて実際に苦労が多いということもあるのかなと思いますので、今後、課題抽出なんかもしていただいてもいいのかなというように感じております。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
それでは、オンラインで渡部委員と前田委員から御発言の手が挙がっているということですので、まずは、渡部委員からお願いいたします。
【渡部委員】 御説明ありがとうございます。この資料では、外国人の研究者の招聘等に関して記載があるんですが、外国人の技術者という観点ではいかがでしょうか。最近、なかなか本大学でも技術者、技術職員を応募しても、なかなか応募していただけない状況が続いておりまして、もうそろそろ外国人を頼らざるを得ないような状況になりつつあるんですが。
【奥課長】 受入れ側は基本的に大学研究機関が対象になると思いますので、そうした大学研究機関において海外から優秀な人材を招聘すると、それは別に職種としての研究者、技術職員、それはどちらでも構わないと思うんですけれども、そちらの受入れ促進というのは全然あり得ることだと思っています。むしろ積極的に招聘していくべき話だろうと思います。
【渡部委員】 分かりました。ありがとうございます。
【佐藤分科会長】 よろしいでしょうか。
そうしましたら、前田委員、お願いいたします。
【前田委員】 また44ページの件ですけれども、これは本当に私も大事だと思っていて、先ほど飯島委員からもありましたけどアンコンシャス・バイアスの払拭ってすごく大変なことかと思います。ある程度自分たちの大学の範囲で定量的に分かっている点で言うと、附属校の生徒に学部、学科をどうやって決めていますかというアンケートを、1万2,000人ぐらいだったかな、やった中で、我々は一生懸命研究室見学をさせたりとかいろいろやっているんですけど、そういうのはあまり影響がありませんでした。高校の先生のアドバイスなどの影響も多少はあるんですけど、一番多かったのが、1万2,000人のうち1万人が「誰のアドバイスを参照するか」というのは「お母さん」という答えでした。いかにその辺の保護者の方の影響というのが今の生徒に物すごくあるんだなということを思って、アンコンシャス・バイアスの払拭に関しての対応ということでいうと、もちろん相談会とか講演会とか、いろいろな情報提供とかあると思うんですが、一つ私たちが大学の中でやり出したのは、保護者向けの見学会とか説明会といったものを増やす方向です。理系というものを、ハラスメント関係については、そこをターゲットにした説明をしていないのですが、少しでも理科系といったことを分かってもらうために保護者の方をターゲットにした催しを行っています。いかに保護者の影響が大きいかということが、そういった統計的なアンケートを取って分かってからやり出したことなんですが、それまでは生徒向けに理系はこんなに面白いんだよということを何度も繰り返しやって、それで何か効果が出ればと思っていました。しかし、それで本当にいいかどうかは別として、保護者をターゲットとした場合の効果もこれから見ていきたいと思っています。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
その他、何か御発言はございますでしょうか。
それでは、今の御説明に端を発していろいろ御意見いただきましたので、また今後に生かしていければと思っております。
そうしましたら、最後に議題の5、その他に移らせていただきたいと思います。予定の時間がほぼ近づきつつありますが、全体を通して何か、委員の皆様から御発言等ございますでしょうか。よろしいですか。
どうぞ。
【飯島委員】 先ほどの登録手数料のことについて、私、質問の形で申し上げたので、意見としてもう一度はっきり言わせていただきたいと思います。
技術士法施行令の第4条の中で、登録手数料の額に相当する額を再交付の際に必要と書かれています。したがいまして、氏名の変更に関しては、登録手数料を減額あるいは無料とするためには、ここの記載を修正いただく必要がありますので、盛り込んでいただけますようお願いいたします。
以上です。
【奥課長】 意見としてお伺いさせていただいて、取扱いについては今後、この中で検討させていただきます。
【飯島委員】 はい、意見でございます。
【佐藤分科会長】 ほかによろしいでしょうか。
特になければ、以上で本日の議論は終了ということで、事務局から連絡事項をお願いいたします。
【益田補佐】 本日の議事録につきましては、委員の皆様に確認のため、後日送付させていただきます。委員の方々からの御指摘を反映の上、分科会長に御確認いただいたものについて、文部科学省ホームページで公開させていただく予定です。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 それでは、以上で本日の議論を終了したいと思います。どうもありがとうございました。
── 了 ──
科学技術・学術政策局人材政策課