今後の技術士制度の在り方に関する論点整理(案)

平成25年1月 日
科学技術・学術審議会
技術士分科会

1.はじめに
 科学技術イノベーションの推進において、産業界とそれを支える技術者は中核的な役割を果たしている。また、技術の高度化、統合化に伴い、技術者に求められる資質能力はますます高度化、多様化している。
 科学技術・学術審議会技術士分科会では、技術士制度の在り方について、時代の要請に合わせた見直しに向けた検討を開始した。
技術士制度は、科学技術の向上と国民経済の発展に資することを目的とし、科学技術に関する高等の専門的応用能力を持って計画、設計等の業務を行う者に対して「技術士」の資格を付与するものである。
産業がグローバル化する中で、それを支える技術者の資格についても、APECエンジニアに代表される国際的なエンジニア制度との同等性を確保し、また質が高く、十分な数の技術者を育成、確保するという観点から、平成12年に技術士法が改正され、既に10年以上が経過している。
このような中で、
・産業構造や技術者と技術士制度との間でミスマッチが生じていないか。
・技術士資格の国際的同等性や通用性をどのように考えるか。
・技術士資格がより社会において評価され、その活用を促進するために何が必要か。
等の問題意識をもとに、技術士制度の在り方の見直しに向けて検討することとした。
 平成24年6月から平成25年1月まで5回開催された分科会では、分科会委員(以下「委員」)及び有識者より、技術士法改正に至る経緯をはじめ、企業における技術者・技術士の現状と課題、海外における技術者の現状、経済産業省から複数の業種における企業に対して実施した技術士制度のヒアリング結果の説明があり、これらをもとに、委員間で議論した。
 以下は、これまでの議論をふまえて、現在の技術士制度の問題点を整理し、これらの改善を図るために今後必要な検討課題や論点をまとめたものである。なお、一定の方向性にまとめられないものは複数の論点等を併記するにとどめた。
 平成25年2月からの次期分科会においては、これらの論点等を出発点としつつ、産業界の幅広い意見等を聴取しながら、今後の技術士制度の在り方について、論点ごとに詳細な検討を行うこととする。

2.技術士制度の問題点及び検討課題・論点

 問題点1 ~技術士に求められる資質能力~

 技術士は、技術士法において、「科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務を行う者」と定義されている。
現在は、技術の高度化、統合化に伴い、技術者に求められる資質能力はますます高度化、多様化しているが、このような業務を履行するために必要な資質能力、知識、技術(以下「資質能力等」)の基本的な要素(「コアコンピテンシー」という。以下同じ)が明示されていない。また、産業界が求めている技術士のコアコンピテンシーも明確に把握できていない。
 このことが、後に述べるが、技術士制度の普及拡大と技術士資格の活用促進が十分ではない一因ではないかと考えられる。

 今期分科会での主な意見 

○企業が直面している当面及び将来的課題は、進展するグローバル化に対応して、地球環境の保全、エネルギーや資源の安定調達、雇用・賃金・少子高齢化等を考慮したマーケティング、研究開発、生産、販売、サービス等のバリューチェーンの強化と拠点戦略である。このため、国内と海外の事業の棲み分け及びその戦略に対応できる人財の確保が必須である。このようなニーズに対して、技術士法が定める技術部門(専門分野)だけの狭い範囲の知識だけでは十分ではない。世界で活動する技術者には、広い範囲の知識と見識を持って、変化する社会ニーズに対応することが求められている。
○グローバルビジネス環境・ICT環境では、技術者は専門分野の技術力のみならず、周辺技術・関係法令・国際規格・異文化知識・各種マネジメント力・語学力等多様な技量・知識等が求められている。技術士制度においては、これらの技量・知識等を反映した試験問題の配慮等の検討が必要である。
○科学技術を応用する製品の開発・製造・販売・サービス等を生業とする企業の技術者は、広い分野の知識と見識を有することが求められている。技術士が、このような企業が期待する技術者とマッチしているかという見直しが必要である。
○産業界における技術士像は、いわゆるT型、Π型のような、深い専門技術とともに、技術横断的に広く問題を把握し解決できる能力を兼ね備えた者である。
○技術士が「実力ある技術者」のキャリアモデルとなり、より多くの技術者を先導すべきである。「実力ある技術者」とは、正解のある問題を解けるだけの人材ではなく、実社会で遭遇する課題に適切に対応できることに加え、知識のみならず、倫理力、コミュニケーション力、継続的研鑽能力などを有する人材である。
○ものづくりの過程における計画、設計や開発等の妥当性を評価する、いわゆる「デザインレビュー」の役割を担う者の一部として、技術士を位置付けるべきである。
○高い倫理観と総合技術監理的なシステム思考力を持った技術士が、社会と企業にとって必須の存在である。
○技術者のキャリア形成を描きながら、技術士資格の取得が、例えば「運転免許証」のように、業務の「スタート地点」であると位置付けるべきである。これに伴うインセンティブを設けるべきである。
○多くの企業では、技術士資格の取得が、技術士としての業務の始まりではなく、「仕事の到達点」「あがり」等になっていないか。技術士になっても、業務の幅の広がりにつながっていない。
○技術士は、科学技術の向上と国民経済の発展に寄与することを目的としているが、公益確保を積極的に図ることも目的の一つとすべきである。また、技術者としての使命感・品格を持った者という資格にすべきである。
○技術士制度は、技術者個人の能力を客観的に保証するものであり、エンジニアリング業務の質の向上を図ることが目的である。経済活動がグローバル化した現在において、企業等が行うエンジニアリング業務がどの程度までできるのかという証明が求められている。

 次期分科会における検討課題・論点(以下「今後の検討課題・論点」) 

●専門技術のみならず、技術横断的に広く課題を把握し解決できる能力を兼ね備えた者である等、産業界が求めている技術者・技術士は、どのような資質能力等を有する者であるべきかというコアコンピテンシーを明確にする。
●このためには、以下の作業が必要である。
・産業界のあらゆる業種の意見を聴取する。
・これらの業種(部門)における技術士の現状と課題、技術士制度の現状認識等を調査する。
 ・業種を共通して必要なコアコンピテンシー、個別の業種で必要なコアコンピテンシーを把握する。
●コアコンピテンシーをふまえた技術士試験の内容や方法、技術部門・選択科目の在り方等を検討する。

 問題点2 ~技術士試験~

技術士試験は第1次試験及び第2次試験で構成され21の技術部門ごとに行われている。
第1次試験は、科学技術全般にわたる基礎知識と、技術部門に係る基礎知識及び専門知識とともに、信用失墜行為の禁止、秘密保持義務、公益確保の責務を含めた技術者倫理の修得の確認を目的としており、これに合格すると技術士補となる資格を得る。
第2次試験は、一定の実務経験を経て、技術部門に係る専門知識及び高等の専門的応用能力の修得の確認を目的としており、これに合格すると技術士となる資格を得る。
分科会では、多くの優秀な技術者の技術士資格の取得を促し、技術士制度の更なる普及・拡大を図ることを目的として、平成24年6月に「技術士試験の見直しについて」とりまとめた。今後の技術士試験は、このとりまとめをふまえた試験実施大綱等を経て、平成25年度から実施することとしている。
受験者の年齢をみると、第1次試験は36.2歳(平成23年度)、第2次試験は42.1歳(同)であり、年齢が高いのではないかと考えられる。
 特に、第2次試験については、技術士補の資格と所要の実務経験を有することを受験要件としていることから、年齢が高く、受験者にとって負担になっているとも考えられる。また、技術士資格の活用促進が十分ではない一因ではないかとも見られる。

 今期分科会での主な意見 

○30代の半ばで、もっと多くの技術者が技術士の資格を取得して、技術者として活躍することが重要である。
○第1次試験合格後に、実務経験を経て、第2次試験を受験するシステムが、受験者に
とって負担になっている。
○知識を問う問題の比重が非常に高い。
○ベテランの技術者にとって、第1次試験のハードルが高く、資格取得が難しい。
○技術士資格が、技術者として現在及び将来の力量を有することを証明する資格とするために、産業界のニーズにマッチした試験内容にすることが必要である。

 今後の検討課題・論点 

●コアコンピテンシーをふまえた技術士試験の内容や方法等を検討する。
●受験年齢の若年化を図るための方策を検討する。
●受験者の負担を考慮し、以下について、その必要性を含めて検討する。
 ・第1次試験及び技術士補
・第2次試験の受験要件となっている所要の実務経験
●技術者のキャリア形成、企業における技術人材育成等のさまざまな観点から、技術士試験の内容及び方法等を検討する。その際に、平成25年度以降の技術士試験の出題内容等や受験者の動向等にも留意する。

 問題点3 ~総合技術監理部門~ 

 技術士としての実務経験のような高度かつ十分な実務経験を通じて修得される照査能力等に加えて、業務全体を俯瞰し、業務の効率性、安全確保、リスク低減、品質確保、外部環境への影響管理、組織管理等に関する総合的な分析、評価を行い、これに基づく最適な企画、計画、設計、実施、進捗管理、維持管理等を行う能力とともに、万一の事故等が発生した場合に拡大防止、迅速な処理に係る能力が必要であるとの考え方に基づき、平成12年に「総合技術監理部門」が新設された。こうした能力の認定については、一部は既存の技術部門が対応しているものの、全体としては、他の20部門では対応できないために新設されたものである。
総合技術監理部門の技術士試験では、必須科目として「総合技術監理一般」を、選択科目として他の20部門の必須科目及び選択科目と同じ科目を課している。
必須科目「総合技術監理一般」は、以下の5つの事項を内容としている。

  1. 安全管理に関する事項
  2. 社会環境との調和性に関する事項
  3. 経済性(品質、コスト及び生産性)に関する事項
  4. 情報管理に関する事項
  5. 人的資源管理に関する事項

産業界においては、技術的・経営的な課題を、総合的かつ多角的に解決できる技術者の養成が必要であり、経営的な観点より、総合技術監理部門の5つの事項では不十分であると考えられる。

 今期分科会での主な意見

○技術士資格が、総合的・経営的に判断・管理する能力を有する資格とするためには、総合技術監理部門の位置付けを明確にし、他の20部門との差別化を図ることが必要である。
○総合技術監理という名前にもあるように、世論は、総合技術監理部門の技術士資格を、もう一つ高い見地の資格に位置付けることを求めている。
○総合技術監理部門の活用を図ることができれば、技術士のステータスが上がる。

 今後の検討課題・論点 

●産業界が求めている技術士のコアコンピテンシーの明確化を図りながら、総合技術監理部門で求められる内容の見直しを行う。また、他の技術部門との関係を整理する。
●総合技術監理部門の活用を図る方策を検討する。

 問題点4 ~技術部門・選択科目~ 

 平成24年6月にとりまとめた「技術士試験の見直しについて」において、技術部門・選択科目の見直しについては、「技術士を取り巻く環境の変化に合わせ、選択科目を時代のニーズに合ったものに見直すとともに、極端に受験者数が少ない選択科目については、その在り方を検討する必要がある。(中略)今後の見直しは、時代のニーズを踏まえ、産業界における技術士の活用状況並びに技術部門及び選択科目の将来性や技術の変遷に留意して実施するものとし、各技術部門の専門委員等から意見を聴取するなど技術士分科会において継続的に議論を行う(以下略)。」とした。
 技術の高度化、統合化に伴い、技術者に求められる資質能力等はますます高度化、多様化している中で、産業界が求めている技術士のコアコンピテンシーの明確化を図るとともに、一定の技術部門・選択科目のみを有する技術士資格では、複合的な問題を解決することが困難であると考えられる。

 今期分科会での主な意見

○技術士資格を、専門知識と幅広い応用能力を有する資格とするために、部門制の廃止又は5部門程度に統合することが必要である。
○狭い専門分野だけで解決できる問題は少ない。なるべく分野数を少なくして担当できる分野の幅を国際的に通用する範囲で広げることが望まれる。技術士の専門分野が狭いと、複合的な問題の解決や想定外の事故等への対応が困難になる。
○技術部門について、国の科学技術政策等を踏まえて、受験者の少ない技術部門・選択科目の統廃合、ニーズのある技術部門・選択科目の追加等を検討することが必要である。
○現在の技術部門・選択科目が適切である(企業ヒアリング結果(第24回分科会資料4)より)。
○受験者が少数であっても、技術伝承が必要な部門は維持すべきである(同)。
○専門技術は細分化されてきており、対応する選択科目が必要である(同)。
○製造業や建設業等のさまざまな業界の意見を、文部科学省は聞いてこなかったのではないか。これからはそのような意見を幅広く聞いた上で、技術部門・選択科目の区分を考える必要がある。

 今後の検討課題・論点

●製造業や建設業等、産業界のあらゆる業種、分科会における各技術部門の専門委員等の意見を聴取し、これらの業種(部門)における技術士の活用状況を調査する。
●これらの状況並びに技術部門及び選択科目の将来性や技術の変遷に留意しながら、長期的、多面的、総合的な見地から、現在の技術部門・選択科目の在り方を検討する。

 問題点5 ~継続研鑽(CPD)~

 技術士は、技術士資格取得後も、技術業務に関して有する知識及び技能の水準を向上させ、その資質の向上を図るように努めること、いわゆる継続研鑽、CPD(Continuing Professional Development)の努力義務が、平成12年の改正技術士法によって求められるようになった。
 しかし、CPDの具体的な取組内容に関する議論が不十分であり、各々の技術士の必要に応じて、その取組の程度が異なっているのが現状である。
また、(公社)日本技術士会におけるCPD登録者数は、技術士登録者数全体の10%程度(平成23年度末)に留まっている。

 今期分科会での主な意見 

○CPD登録者数の増加を図り、CPDの内容を充実させるべきである。
○CPDの登録勧奨等を通じて、CPDの常態化を図ること。将来的にはCPDの登録義務付けも視野に入れて運用改善すべきである。
○CPDの内容や質、実施主体等を含めて、その在り方を検討すべきである。
○技術士資格の更新制は、技術士の資質能力等を継続的に担保するという点で有効であるが、規制緩和という動向の中で、更新制の導入は慎重な検討が必要である。

 今後の検討課題・論点

●技術士の資質能力等を向上させるために、CPDの内容、質、量等の望ましい在り方を検討する。なお、技術士資格の更新制については、その是非を含め慎重に検討する。
●CPDの実施主体について、(公社)日本技術士会、多くの学協会等だけでなく、技術者教育を行う高等教育機関への拡充について検討する。

 問題点6 ~普及拡大・活用促進~

 技術士資格は、一部の業務資格取得上等の特典があるものの、基本的には、弁護士や医師のような業務独占資格ではなく、名称独占資格であること、我が国においては、従来、組織としての技術力が重視されてきたこと等により、社会的な評価は十分ではなく、一部の分野以外では活用が進んでいない状況である。
このため、技術士資格に関する周知度が低く、米国のプロフェッショナル・エンジニア(PE、約46万人(平成22年度))や英国のチャータード・エンジニア(CE、約19万人(平成18年度))等の欧米諸国に比べて、我が国の技術士の総数は75,411人(平成24年9月末)と、人数が格段に少ない状況にある。
 また、企業ヒアリング結果(第24回分科会資料4)によると、技術士資格を「一定レベルの技術者としての証明」「専門性の目安」であることが、企業における一般的な評価である。しかし、技術士資格の取得にあたって難易度が高く、その取得を推奨することや、表彰・報奨金制度を設けているものの、給与・待遇面で直接反映している企業は少ない。
(参考)米国:PE   456,000人 (0.14%)
    英国:CE   189,000人 (0.30%)
日本:技術士  75,411人 (0.06%)      ( )は人口に占める割合

 今期分科会での主な意見

○産業界では技術士資格を使わなくとも産業活動が行われており、必ずしも技術士資格を重視していない。
○多くの企業では、技術士資格の取得が、技術士としての業務の始まりではなく、「仕事の到達点」「あがり」等になっていないか。技術士になっても、業務の幅の広がりにつながっていない。技術士資格を取得するインセンティブがあればよい。
○技術士の活用促進に結び付けるためには、公的な事業・業務の分野で活用範囲を広げることが有効である。ただし、業務独占資格とすることについては、企業活動の妨げにならないように慎重な検討が必要である。
○企業においては、企業内技術士の認知度の向上を図り、デザインレビューでの第三者評価者や顧客提出資料の照査技術者として位置付ける等の仕組みを検討することが必要である。

 今後の検討課題・論点

●技術士資格が、その取得時点において、技術者個人に求められる資質能力等を修得していることの公証力を有するものという位置付けを検討する。
●技術者のキャリア形成、企業における技術人材育成等のさまざまな観点から、技術士資格が、例えば「運転免許証」のように、業務のスタート地点であるという位置付けを検討する。
●名称独占資格の性格を維持しつつ、他の国家資格との整理を通して、公的活用の範囲拡大を図る。

 問題点7 ~国際的通用性~

 産業のグローバル化に伴い、国境を越えて活躍できる技術者(グローバルエンジニア)が必要とされていることは言うまでもなく、APEC技術者資格相互承認プロジェクト(APECエンジニアプロジェクト)もその一環で設けられた制度である。
 APECエンジニア登録件数は6,076件(平成24年8月現在)であり、日本人はその3分の1程度(2,004件)を占めているが、その活用が不十分である。
 現状では、技術士資格と国際的に相互認証されている外国の資格は、制度上、オーストラリアエンジニア協会が認定するチャータード・プロフェッショナル・エンジニアが唯一の資格である。
 国際的に活躍できる技術者の必要性に伴って、技術士資格を国際的に通用する資格とすることが必要である。

 今期分科会での主な意見

○APECエンジニアが活用されているかといえば、まだ十分ではない。技術者の国際的な展開が重要になってきており、国際エンジニアリング連合(IEA)が示す「専門職としての知識・能力」(プロフェッショナル・コンピテンシー(PC))をどうやって確保するかが非常に重要である。
○国際的にはPCを有することを、技術者資格試験で明らかにする方向である。
○技術士の英文名称が「PE.J」となったことで、東南アジア等での通用性は以前より増したものの、PEやCEを技術士資格とする国々においては、その通用性が未だ疑問のあるところである。
○APECエンジニア、EMF国際エンジニアの相互認証の枠組みは今後有用となる。

 今後の検討課題・論点

●技術士資格が国際的通用性を有するものとするために、IEAのPCを最大限活用しながら、技術士資格においてはコアコンピテンシー(技術士版PC)を明確にする。その際に、IEAのPCにおける3つの専門職種である「エンジニア」「テクノロジスト」「テクニシャン」と技術士を含む日本の技術者の位置付けも、可能な限り、整理する。
●APECエンジニアの活用を促進するための方策を検討する。
●APECエコノミーとの間の技術者資格の同等性を拡充する方策を検討する。

 問題点8 ~大学教育との連携~ 

 技術士を含む技術者の育成には、その基礎を形成する学校教育が極めて重要である。
 技術士資格の取得にあたっては、日本技術者教育認定機構(JABEE)の認定課程を修了した者は、第1次試験の合格と同等であるものとして、技術士補となる資格を有するが、JABEEの認定課程の修了者のうち、第2次試験の受験申込者は未だに800人程度しかおらず非常に少ない。
 技術者のキャリア形成の観点から、大学等における技術者教育、その後の技術士資格の取得、CPDの一連の過程における技術者教育の意義、重要性についての検討が十分ではなかったように思われる。

今期分科会での主な意見

○実力ある技術者の育成には、その基礎を形成する学校教育が極めて重要である。また、技術士試験だけで、技術者の実力を評価することは極めて困難であり、高等教育における評価も不可欠と言っても過言ではない。
○JABEEの認定課程の修了者のうち、第2次試験の受験申込者はまだ800人程度(平成24年度:891人)しかおらず非常に少ない。
○JABEEによる大学の課程の審査員には技術士が含まれているが、その数は十分ではなく、また、技術士に要求される知識や能力とそのレベルが明確になっていないため、十分に機能していない。
○企業から見て、JABEEの認定課程が魅力になっていない。

今後の検討課題・論点

●技術者教育の段階から、技術士付与、CPDまでの生涯に亘り、一貫した整合性のあるシステムを構築し、十分に機能させるための方策を検討する。
●JABEEによる大学の課程の審査の在り方を検証する。
●JABEE認定課程の学生が、技術士資格の存在や意義等をどのように学んでいるのか、調査する。

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-- 登録:平成25年01月 --