資料12 東日本大震災復旧・復興活動の現状報告

資料12

東日本大震災復旧・復興活動の現状報告

公益社団法人 日本技術士会
平成23年12月22日

○対応状況

1.復旧・復興への取り組み

(1)放射性物質に関する情報提供支援

 原発被災地域の的確かつ迅速な復旧・復興を推進するためには、放射性物質・放射線・除染等に関する正確な知識を伝え、風評被害等を防止し、原発対策の正確なロードマップなどの情報が求められる。これらの正しい情報の伝達・広報が求められており、現在、技術士はこれらの支援を一部地域で実施中である。
 この支援の具体例を紹介すると、原子力保安院はこの6月以降福島第一原発事故に関連し避難している方々が自宅にバスにより一時帰宅できるような機会を設けた。
 この際、一時帰宅される方々に対し、原子力に関する説明を行ったり質問に答えることが出来る原子力分野の専門家が必要となり、保安院の要請に対応し原子力・放射線部会から10名(研究機関、電力、メーカー、大学、病院等)の技術士有志の参加候補者リストを提供、この9月までに計6回延べ20人が一時帰宅に同行した。

(2)除染計画策定への協力

 放射線量計測と除染計画を立案し、放射性物質の汚染対象ごとに適切な除染方法の適用が必要となる。技術士は、自治体が検討している除染計画策定への具体的アドバイス等の技術支援を行っており、今後も支援活動を継続する。

(3)水産業、水産加工業の復旧支援

 技術士会では、岩手県の第二種漁港で漁業協同組合と連携をとり、海中ガレキや水産資源生育状況の実態把握を行い、漁業者に情報を提供し、「水産資源活用」並びに「魚介藻類の放射線リスクの情報開示」に係る技術支援を行っている。
 技術支援が必要な地域に対し、技術士会会員企業が開発機(小型海中探査ロボット)を漁場調査用に貸与を行っているなどの事例を活用し、沿岸各漁業者が復旧支援効果を広げられるよう支援を進めたい。

(4)被災中小企業・自治体等への復興支援

 平成23年度一次補正予算の成立に伴い、中小企業庁では震災復興関連事業として東日本大震災の被災ものづくり、中小企業の復興に必要な生産設備復旧や応急処置等について、対処案を助言する「震災復興支援アドバイザー派遣事業」を創設した。技術士会は、中小企業庁からの協力要請に応え、この制度のアドバイザー候補として63名の技術士有志のリストを提供し復興に参加している。

(5)遠隔地避難者等の情報共有化の支援

 技術士会では遠隔地避難者への相談会などの支援活動を行っている。被災者と自治体の情報を結びつける情報共有化に向け、今後とも継続的に技術士会として相談会等を通じ支援の窓口を拡大していく。
 この支援の具体例としては、既に技術士会と「復興まちづくりの支援に関する協定」を締結している東京都、東京弁護士会、東京税理士会等18団体と協力し「東日本大震災復興支援なんでも相談デスク」を開設、各自治体等に公表した。これにより技術士会は技術的な問題について責任を持って答える体制となっている。

2.技術士及び技術士会の役割

(1)復興への継続的支援

1)技術士データベース

 技術士会の会員が業務あるいはボランティアとして復興支援に協力できる内容を、「東日本大震災復興支援技術士データベース」として集約し、計81名(11月現在)の情報をホームページに公開している。復興まちづくりをはじめ、多様な分野の支援要請に応えられる各専門の技術士は、円滑な復興の推進に貢献できる。

2)支援活動のサポート

 被災地自治体等で抱える多くの課題に対して、専門分野の技術士を活用していただき、結果として復興の推進に役立つことが望まれる。また、日本技術士会会員の復興支援活動をサポートするとともに、異部門の技術士の協働や他の組織との連携など、多面的な支援体制を構築することによって、個人及び組織の両面から被災地復興支援を継続的に推進できる。

(2)自治体等との協力体制

 大規模災害時には、多くの地方公共団体で復興支援体制が必要となり、「くらし」と「なりわい」の再生が急務となる。被災者の意向を十分反映しながらの復興事業は重要であり、専門分野の技術士が現地に入り地元と一緒に取り組む体制をあらかじめ構築する。

(3)技術士と他の専門家の連携

 技術士会が参加している「災害復興まちづくり支援機構」の専門家組織も平常時から行政組織と復興まちづくりの事前復興の訓練を行っている。これらの技術士以外の専門家と連携した支援体制により、被災地の復興支援に貢献する。

以上

お問合せ先

科学技術・学術政策局基盤政策課

(科学技術・学術政策局基盤政策課)

-- 登録:平成24年01月 --