令和7年1月21日(火曜日)14時00分~16時00分
対面/オンラインのハイブリッド形式にて開催
科学技術・学術審議会 技術士分科会(第49回)
令和7年5月27日
○分科会長には、科学技術・学術審議会令第5条第3項の規定に基づき、委員の互選により、佐藤委員が選任された。
○分科会長代理は、科学技術・学術審議会令第5条第5項の規定に基づき、佐藤会長が寺井委員を指名した。
【佐藤分科会長】
それでは、第13期技術士分科会の冒頭に当たりまして、資料1、委員名簿があると思いますけども、この順で、各委員からごく簡単に1分ずつ御挨拶をいただきたいと思います。
まず、私が1番上になりますので一言申し上げたいと思いますが、前期に引き続きまして分科会長を務めることになりましたが、もともとJABEEの仕事をずっとやっていて、技術者教育認定のことをやっていましたが、その御縁でこちらの技術士の議論に参加させていただいて、もう長くなりますけども、ようやく全体像が見えてきたところで、優秀な技術者を育てていく仕組みとしてもっと機能させることに、多少でもお役に立てればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
では、名簿の2番目で、寺井委員、お願いいたします。
【寺井分科会長代理】 寺井でございます。私も、もう何年になりますかね、6年ぐらいこの分科会に出席させていただいております。
最初の頃は資格の更新制の議論がありまして、それから継続研鑽をしっかりやっていこうというような趣旨で進んでいたのですが、ここ最近、IPDがぐっとターゲットが上がってまいりまして、ぜひこの分科会でもそういった議論を深めて、何とか社会実装に向けた道筋ができればなと思っております。よろしくお願いいたします。
【佐藤分科会長】 それでは、名簿順ということでございまして、飯島委員、お願いいたします。
【飯島委員】 パシフィックコンサルタンツに勤務しております。技術士は建設部門、総合技術管理部門を取得し、技術職を経て、本社でダイバーシティやESG経営の推進の担当をしてまいりました。現在、技術士会では男女共同参画推進委員会の委員長を務めております。
前任の石田委員と交代し、本日より着任させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤分科会長】 引き続きまして、オンライン参加ですけども、飯泉委員、お願いいたします。
【飯泉委員】 こんにちは。丞コンサルティング株式会社の飯泉と申します。長年、企業内技術士として情報工学部門の技術士資格を取得し、業務を続けてまいりました。定年を機に独立して、中小企業向けの経営コンサルタントとして活動しています。
その中で、技術士という資格が時には魅力的になったり、ときには御存じない方がいたりということを経験していますので、やはり、どのように技術士資格を高めていくかというんですかね、認知度を上げて活用していただけるかというところに、微力ながら貢献できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤分科会長】 よろしくお願いいたします。
引き続きまして、新任の石井委員、お願いしたいと思います。オンラインで御参加でございます。よろしくお願いいたします。
【石井委員】 こんにちは。東芝の石井と申します。今回より、前任の斉藤から引き継ぎまして出席させていただきます。よろしくお願いします。私は主に鉄道関係の技術開発を長年やっておりまして、その後、社会インフラ関係の技術統括、2020年から東芝のCTOやらせていただいております。
今回、技術士分科会ということで、今まで事業側の立場でやってまいりました経験を踏まえて、皆様と課題なりを共有させていただければと思ってございます。今後ともよろしくお願いします。
【佐藤分科会長】 よろしくお願いいたします。
引き続きまして、江黒委員、お願いいたします。
【江黒委員】 弁護士の江黒と申します。日本女性法律家協会という団体の役員をやっていまして、10年ほど前に任期付公務員で、政府の内閣官房で勤務していたときにも、人材戦略とかダイバーシティの政策とかを担当しておりました。
今、ほかの審議会だと、総務省の情報通信の審議会と経産省の標準化の審議会の委員もしておりまして、そちらの方面にお詳しい先生、そちらのほうでも御知見を、ぜひ御指導いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
【佐藤分科会長】 よろしくお願いいたします。
引き続きまして、小野田委員、オンラインで御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
【小野田委員】 早稲田大学の小野田と申します。引き続きの参加となります。主に、私、バックグラウンドは機械工学なんですが、特に環境分野、環境エネルギー分野の方面で研究を行っております。引き続きよろしくお願いいたします。
以上です。
【佐藤分科会長】 よろしくお願いいたします。
続きまして、栗山委員、オンラインで御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
【佐藤分科会長】 栗山委員の音声が届いておりませんが、もしあれでしたら、つながったらということで、ひとまず先に行かせていただきまして、次は黒﨑委員、お願いいたします。
【黒﨑委員】 日本技術士会の黒﨑でございます。昨期に引き続きまして、委員として参画させていただくことになりました。ありがとうございます。
本分科会での検討の中身を受けまして、日本技術士会としても、IPDの具体化そのほか、技術士会の中で、私どもの課題として議論を深めていかなければいけないということも多くあるというふうに承知しております。技術士会としても鋭意取り組んでまいりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
続きまして、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】 前期に引き続きまして委員をさせていただきます、内外エンジニアリング株式会社の小林と申します。技術士は農業土木の技術士でございまして、先ほどもお話がございましたようにCPD認定のときから関わらせていただいておりまして、その活用といいますか、そういったことがこれからも広がるように、そしてIPDの活用に向けて、またいろいろな意見交換をさせていただければというふうに思いますので、またよろしくお願いします。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
引き続きまして、今度は塩原委員、よろしくお願いいたします。
【塩原委員】 日立製作所の塩原と申します。技術士は電気電子、原子力、機械、総合技術監理と4つ持っております。
技術士分科会は、多分5年ぐらいさせていただいているかと思います。あと、日本技術士会のほうでは、今、倫理委員長をさせていただいております。
貢献したいと思うのが、ぜひ、この技術士の資格が価値向上につながるようにということで、させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【佐藤分科会長】 よろしくお願いいたします。
続きまして、高木委員、お願いいたします。
【高木委員】 日本工学会理事の高木でございます。もともと電機メーカーで研究開発をしておりました。日本工学会ではCPD(技術者継続研さん)協議会の副会長を拝命しております。
この技術士分科会には、第10期から6年間参加させていただいております。議論が非常に進んだ検討事項がある一方で、残念ながらまだあまり進んでいない検討事項もありますので、いろいろ意見を述べさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤分科会長】 よろしくお願いいたします。
続きまして、深澤委員、オンラインで御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
【深澤委員】 深澤淳志と申します。私は一般社団法人関東地域づくり協会で理事長をしております。もともと国交省出身です。建設分野の資格を持っております。
たまたまですけれども、かなり古い話ですけれども、平成12年の技術士法の改正のとき、国交省の担当としていろんな議論に参画させていただきました。引き続きよろしくお願いいたします。
【佐藤分科会長】 よろしくお願いいたします。
続きまして、前田委員。
【前田委員】 東海大学の前田と申します。よろしくお願いいたします。
技術士は化学部門と総合技術監理ということで、もともと化学屋だったのですが、大学ではなぜか光とか画像とか、私、今、所属がまた、ここに書いてあるのとかありまして、情報理工学部というところで、いろんなことをやってきました。あと、技術士会の中では今、広報委員長を務めさせていただいています。今後もどうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤分科会長】 よろしくお願いいたします。
引き続きまして、今度は松井委員、オンラインで御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
【松井委員】 統計数理研究所の松井知子と申します。電子情報通信学会から御推薦をいただいて、この委員を担当させていただいております。
統計数理研究所の前はNTTに勤めておりまして、つたないですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
【佐藤分科会長】 よろしくお願いいたします。
続いての三村委員、村田委員は御欠席ということで、最後ですけども、新任の渡部委員、御挨拶をお願いいたします。
【渡部委員】 今期からお世話になります、東北大学の渡部と申します。私、専門が原子力放射線分野ということで、我々、大学でやはり放射線、初めて触るという方が多くて、やはりこの技術士というところで、ぜひ人材育成をしていただいて、放射線の分野、今、ある意味では非常に盛り上がっておりますので、人材育成に何かしらの形で貢献できればと思います。どうぞよろしくお願いしいたします。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
先ほど音声がつながらなかった栗山委員は、つながりますでしょうか。難しいですかね。
ということなので、残念ですけども、またの機会とさせていただきたいと思います。
それでは、今期もよろしくお願いいたします。
それでは、議題の2に移らせていただきたいと思います。委員会の設置について、まず、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【益田補佐】 それでは、事務局から資料2と3に基づいて御説明申し上げます。
まず、第13期の初回ということで、技術士分科会に設置する委員会をここで御確認いただくことになりますが、そのうちの1つ、APECエンジニア特別委員会設置要領(案)ということで、資料2にお示ししております。
前期に引き続き、この委員会を設置させていただくのですが、目的としましては、技術士法第31条の2第1項に基づく、技術士資格の特例認定の審査に当たって、外国の資格保有者が我が国においていずれかの技術部門について技術士の業務を行うのに必要な相当の知識・能力を有するかを助言する機関ということです。
具体的には、今、日本とオーストラリアの間で技術士資格の相互承認の協定を結んでいるのですが、オーストラリア側からこの特例認定の申請があれば、本委員会で検討を助言するという位置づけになっており、前期と同様に、設置をさせていただければと思います。
それから、資料3のほうですが、これは今のAPECエンジニア特別委員会設置も踏まえた技術士分科会全体の組織構成ということでお示ししております。
今期につきましては、分科会の下に試験部会と先ほどのAPECエンジニア特別委員会を設けることを考えております。
試験部会のほうは、参考1にあります技術士分科会運営規則の第2条で、もともと部会の設置が規定されておりますので、これは毎期、部会を設置させていただくことになります。
具体的には、技術士試験の試験方法、試験の実施に関すること、及び試験委員候補者の推薦等に関する調査・審議をすることが規定されております。
先ほど申し上げたAPECエンジニア特別委員会と併せて、今期はこのような組織構成で進めさせていただければと思います。
事務局からは以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
ただいま御説明いただきましたが、質疑等ございましたら御発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。
【高木委員】 よろしいでしょうか。高木でございます。御説明どうもありがとうございました。先期までで非常に議論が進んだ検討項目の1つに、IPD制度の整備・充実があると思います。これはIPD懇談会も含めて議論いただいたと思います。
先期の最後の技術士分科会で、IPD制度を今年度中にスモールスタートさせるというお話があったと思います。IPD制度につきましては、検討状況について議論し、改善し、制度を成長させていく必要があると思います。先期までですと、制度検討特別委員会を設置して議論したと思いますが、今年度は制度検討特別委員会を設置されないのでしょうか。以上、質問でございます。
【益田補佐】 事務局からお答えいたします。IPDの制度につきましては、委員のおっしゃるとおり、前期までに議論が進んで、今期動き出すというふうに承知しております。
このIPDにつきましては、今期は技術士分科会のほうで議論いただければと思いまして、今回の組織構成の中には制度検討特別委員会というのは特段設けてございません。
今後、もし、この制度検討特別委員会を設置する必要が生じましたら、改めて皆様に審議させていただければと思いますが、まず、今回のスタートの時点では、このような資料3の組織構成で進めさせていただければと思っております。
【高木委員】 分かりました。どうもありがとうございました。
【佐藤分科会長】 ほかに何かございますでしょうか。
どうぞ。
【寺井分科会長代理】 関連して。IPD懇談会の検討成果は昨年の最後の分科会で、議論のまとめということでしっかり出していただいて、大変勉強になりましたし、よかったんですけども、今後、その議論の場はこの分科会そのものであるという認識でよろしいですか。
【益田補佐】 はい。
【寺井分科会長代理】 それからもう1点は、委託業務を出されておりましたけども、中間報告的なものは前回お伺いしたのですが、その辺はいつぐらいに成果が出るのか。
【益田補佐】 事務局でございます。委託業務につきましては、今、最終報告を確認している状況ですので、御用意ができ次第、できたら、この場で御報告できるように調整していきたいと思います。
【佐藤分科会長】 ほか、何か。どうぞ。
【小林委員】 小林でございます。先ほどからお話ございますような制度検討特別委員会の設置について、IPDに限らず、様々な技術士法制度の見直しであったり、継続研さん、CPD認定のさらなる活用、普及拡大・活用促進、あるいはもっと広く技術士制度全体に関わる主要論点というのはまだまだ多く課題としてあると思いますので、希望として、制度検討特別委員会を設置いただいたらいいのではないかというふうに思います。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。いかがでしょうか、これは今後の検討ということで、そういった御意見があったということは承っておきたいと思います。
ほかにございますでしょうか。
では、よろしければ、この資料3の構成でまずはスタートする。その後、必要に応じて、今御議論があったようなことも検討するようなこともあるかと思いますけども、現状はこれでスタートということで御了解いただいたということにしたいと思います。ありがとうございます。
そうしましたら、次は議題の3に移らせていただきたいと思います。令和6年度技術士試験の結果について、事務局から御説明をお願いいたします。
【益田補佐】 それでは、事務局から御説明申し上げます。資料につきましては、資料4と5でございます。
まず資料4、令和6年度技術士第一次試験の結果についてでございますが、1ページにありますとおり、受験申込者は2万2,579名、うち実際に受験された方は1万6,666名いまして、令和6年11月24日に12都道府県で試験を実施しました。その結果、6,233名の方を合格者として決定しました。
試験結果は次の表にあるとおりですが、合格者は令和7年2月25日に官報公告等で公表されている状況です。具体的な各分野別の結果などは(2)以降に示されていますので、御参照いただければと思います。
それから、資料5に移りまして、第二次試験の結果についてでございます。
こちらは受験申込者が2万9,846名、うち受験者が2万3,043名いらっしゃいまして、令和6年7月14・15日に、12都道府県で筆記試験を実施しまして、その後2,565名の方を筆記試験合格者として決定しました。
さらに、筆記試験合格者に対しては、令和6年11月30日から令和7年1月19日まで、東京都で口頭試験を実施して、総合技術監理部門を除く技術部門については受験申込者2万6,776名、うち受験者は2万522名、うち2,013名を合格者として決定しました。
また、総合技術監理部門については、受験申込者3,070名、うち受験者は2,521名、うち382名を合格者として決定しました。
この全部門の合格者数に対する女性比率は9.6%でした。
試験結果は次の表にあるとおりですが、最終合格者は令和7年3月14日に官報公告等で公表しております。具体的な分野別は次のページにございます。
事務局からは以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
ただいまの御説明に関しまして、何か御質疑等ありましたら御発言をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
どうぞ。
【塩原委員】 第二次試験の、資料5の3ページを見ていただきたいのですが、対受験者合格率を見ますと、昭和33年から平成12年が20.1%で、それからだんだん下がっていると。令和6年ですと10.4%というような形で、このままでは、やはりこの技術士の資格自身が、なかなか将来的に見通しが立たない可能性があるのではないかというふうに感じる次第です。
それで、今の試験を、少し見直しが必要ではないのかなというふうに感じます。例えば、一例ですけども、最近の過去問題を見てみました。電気電子で見てみたのですが、そこの中には、水車の水撃に関して論ぜよというような問題も書いてありまして、これは電気電子の分野ではなくて機械の分野の話なわけです。そういう問題が電気電子で出されていたのでは、その問題を正解できる人というのは非常に少なくなるわけです。そういうことをどうやって見直していったらいいかと。
例えば、作問の先生方で、その先生ごとに問題の平均点を出すと。それで、あまりにも難しい問題、奇問難問を書かれている先生は替わっていただくとか、ちょっと作問の仕方を考えていただくとか、何かそういうようなアクションをしていかないと、この対受験者合格率というのは上がらないのではないかということで、そういう見直しをぜひ、日本技術士会のほうになるかと思うのですが、ぜひ考えていただきたいというお願いでございます。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
という御意見でございますが、この低い数字というものの実態というか、どういう原因なのかという、少し分析が必要だと思いますので、今の塩原委員の御指摘のような、問題そのものの見直しももしかすると必要かもしれませんが、どういった構図になっているのかというのを分析した上で、またいろいろな議論ができるかと思いますので、意見として承っておきたいと思います。どうもありがとうございました。
ほかに。どうぞ。
【江黒委員】 ありがとうございます。ダイバーシティーの観点でコメントさせていただきたいと思います。
合格者数の女性比率が9.6%ということで、1割が見えてきたというか、非常にすばらしいことかなと思う一方で、やはり難関国家資格と言われている様々な国家資格の中で、例えば理系の女性がアプローチする資格があると思うんですけども、お医者さんとか薬剤師さんもあると思いますけど、特許を扱う弁理士さんとか、やっぱり女性がすごく、急拡大して増えているんですよね。
弁理士さんとかは隣接士業なので交流も非常にあるんですけれども、いわゆるリケジョの方が取りたい資格、研究所に入って、子育てで知財部に異動して弁理士の資格を取ることを希望するとか、非常に急拡大している。社会人になってから取る資格としても急拡大している状況のようですので、ちょっと、2030目標から、あらゆる指導的立場に女性が3割という政府目標からすると、やはり寂しいかなと思いますので、御提案としては、合格者の目標値って難しいので、受験者、受験してくださる方の目標値をつくってみるというのはいいのかなと。
今、受験者数の女性比率がどれぐらいなのかちょっと分かりませんけれども、少なくとも受けてくれる人が増えないと、合格者数も、技術士全体の中の女性比率も増えませんので、たくさんの女性の学生さんや社会人の方に、まず受けていただく、そのキャンペーンをしてみるというのはいかがかなと思った次第でございます。
今後の御検討かと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。女性の受験者を増やす取組というのが非常に重要ではないかという御指摘でございました。
何かほかにございますでしょうか。
どうぞ。
【飯島委員】 今の江黒先生の御意見に同感です。私ども技術士会としても、技術者や技術士を目指す女性を対象としたイベントを開催し、顔の見えるような形での声かけや助言、技術士会への勧誘をやっていますが、やはり限界がございまして、できれば大学さんとの連携をより強めるとか、幼少期から科学技術に関心がある女の子を増やしていけるような、そういったことを文科省の関わる教育全体でできるといいなと思っております。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
【江黒委員】 じゃ、ちょっと追加で。今、飯島先生がおっしゃった、教育機関で進めていただくというのは非常に重要だと思っていまして、やっぱり大学の先生方に、この資格の受験を熱心にしつこく勧めていただくように。やっぱり非常に影響力がありますので、私も教授の言ったことに大分進路を左右されましたので、ぜひ大学の教授の皆さんに勧めていただきたいなと思っております。
ぜひ、技術士会さんと連携して、キャンペーンをしていただけたらなと思います。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
どうぞ。
【前田委員】 ちょっと、今、大学の先生とあったので申し上げると、ありがとうございます、全くそのとおりだと思うんですが、もうちょっと根本的なところに問題があって、というのは、今、私ども、情報理工学部というところにおるのですが、その時点で既に女性の比率が10数%です。ほぼほぼ10%。ということは、この9.6%に本当に近い状況でして、学部学科によって全然もちろん違いますが、まず、高校生の女性の方々が理系に来てくれないというところが、我々大学の中でもさんざん今も議論していて、そこを何とかしようというところからやっていかないといけないということで、もちろん、技術士会としても何とかしなきゃいけなのですが、もしかしたら大学とか高校とか、さらには文科省さんとか、そういったところのトータルで考えないと難しいところかと思います。
【江黒委員】 ありがとうございます。先生のおっしゃるとおりで、実は私自身が、高校の入学時は理系だったんですけども、最後、文系で法学部を受験したというタイプでして、やっぱり資格を取れって言われるんです、女子校とかだと。女性の先生で、先生から言われましたのが、医者か弁護士か教師だったんですよ。転勤してもどこでも仕事があるだろうということで。みんなそう言われていました。
医者か弁護士か教師、あるいは薬剤師とかあったんですけど、技術士さんの名前は高校の先生から聞いたことがなくて。やっぱり大学と高校で連携して、理系も資格を取れるのよということをアピールしていただかないと、高校の時点で、医師・薬剤師じゃなかったらほかの資格は理系はないのねというふうに思っちゃったものですから、そこが重要かなと思いますね。先生のおっしゃるとおりだと思います。
【前田委員】 全くで、私も高校のときは技術士とか知らなかったです。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。かなり遡って対応しないといけないようなものも含まれていると思いますので、貴重な意見交換ができたかと思います。
そのほか、何かございますでしょうか。
よろしければ、次の議題に移りたいと思います。次の議題は4番目の、技術士制度をめぐる現状と課題についてということで、まず、事務局から御説明をお願いいたします。
【益田補佐】 事務局でございます。資料6につきまして御説明いたします。
まず、一枚めくっていただきまして2ページ目に、これまでの技術士分科会での審議状況ということで、第10期では、技術士制度改革に関する論点整理に基づいて、多くの若手技術者や修習技術者が技術士を目指すとともに、国際的な実質的同等性の確保や資格の活用を図るため、初期専門能力開発、IPD(Initial Professional Development)から、技術士資格取得、それから資格取得した後の継続研さん、いわゆるCPDですね、及び資格活用に至るまで、生涯にわたって一貫した整合性のあるシステムの構築・改善を行うための検討を進めてまいりました。
前期に当たる第12期の分科会では、以前の審議から続きまして、特にIPD制度、これは第9期から精力的に審議していますが、先ほど話題になりましたIPD制度について、制度の具体化について一定の結論を出すことに注力をしたということで、それを含む以下の項目について、検討を継続的に実施したということです。
下に8項目ございますが、これが前期に検討いただいた内容であります。これを今期に継続する検討事項として整理したものが、次の3ページ、4ページに当たるものです。
3ページのほうですが、まず1点目の受験手数料及び登録手数料の見直しについて、これらの手数料は実費勘案ということで、技術士法及びその施行令に規定されております。物価上昇等への対応のみならず、以下の要素も考慮ということで3つ挙げておりまして、利便性の抜本的向上、それから受験者数の増加方策、レジリエントな体制の確保ということで、これらを踏まえて見直しが必要ということが1点目でございます。
2点目が、技術士の人材育成に当たっての一貫した整合性のあるシステムということで、冒頭申し上げたIPDシステムの本格化を令和7年度以降するということ、また、技術士補制度について、第11期IPD作業部会においては、こういったIPDの履修による専門科目の補完は可能であると考え、指導技術士の部門制限を撤廃するべきという結論に至っていて、12期におけるIPDの検討と併せて、同制度の見直しに向けて継続して審議するということになっております。
次のページに移りまして、3点目に技術士補制度の見直しと技術士第一次試験の適正化の検討ということで、これも従来から議論はあるものの、例えば第8期では専門科目を系という大分類にしてくくるという考え方が示されていたところですが、第13期においても、連動する専門科目の大くくり化について継続して審議していくものと考えております。
4点目の総合技術監理部門の位置づけの明確化ということですが、このいわゆる総監と呼ばれる総合技術監理部門については、日本独自の技術部門ということで、海外の資格との関係性とか、国内外での位置づけの明確化が必要ではないかという議論がありました。
技術士会にて実施したアンケート結果や国際的同等性の観点を十分に考慮して、総監に係る現状把握と課題の分析を進めて、継続して審議していくということを今期考えております。
5点目にその他の留意事項としまして、国内外の社会情勢変化、科学・イノベーション政策の動向、技術士資格の国際的な実質的同等性の確保というものにも留意してまいります。
あとは、技術士資格の活用促進・普及拡大に向けた活動も13期は継続的に実施していきまして、その際、技術士制度の社会的な認知度向上、先ほど意見がありましたが、認知度向上のみならず、技術士の人材育成に当たっての一貫した整合性のあるシステムに十分配慮していくといったことを検討事項として挙げております。
以上の5つが、今期の継続検討事項として御紹介したところですが、1つ目の手数料に関して、次の5ページで具体的に御説明させていただきます。
現在の手数料は約30年前に定められたものであって、それ以降、改定がされていない状況です。消費税の増税、原材料・エネルギー価格の高騰、郵便料金の値上げなど、物価、物流費、労働者の賃金、時給単価の上昇による人件費の上昇に対応ができておらず、技術士会の試験事務に係る収支に影響を及ぼしている状況でございます。
また、国内外の情勢や技術者に期待される役割の変化というものも踏まえて、技術士試験の受験者や技術士登録者のニーズを踏まえた、利便性の抜本的向上を推進することが求められています。
つきましては、技術士法施行令を改正しまして、令和8年から受験手数料と登録手数料を見直したいと考えております。
具体的にどういう観点で見直すかというところですが、下の④まで書いた項目を踏まえて、受験手数料と登録手数料を見直していきたいと思っています。
1つは、利便性向上ということで手続のオンライン化です。それから試験地の増加、こういったところを考えつつ、あとは受験者の増加方策としては、広報活動の抜本的強化、それからレジリエントな体制確保としましては、セキュリティー対策でデータを維持管理したり、あと災害への備え、こういったところを考慮しつつ、④は実費勘案ということで、物価上昇への対応、こういったところを踏まえて見直しをしていきたいと考えております。
それから、話が変わるのですが、6ページと7ページに、技術者の育成に関する現状・課題・今後の方向性(案)ということで、現在、科学技術審議会の下にある人材委員会において、今後の科学技術人材の政策の方向性について議論をしているところです。
今年の夏にかけて、人材政策のパッケージを策定しようという方向で、今、議論を進めているところですが、様々な科学技術人材の育成や活用促進なども議論をしているところ、その中で、技術者の育成に関する現状・課題・今後の方向性も議論してございます。
人材委員会の下の科学技術人材多様化ワーキングというところで、具体的にこの技術者の育成に関する議論をしているところなんですが、今、6ページ、7ページに載せている資料というのは、5月13日に開催しました、この科学技術人材多様化ワーキングの資料から抜粋したものでございます。技術士の制度についてもこの議論の中で挙がっておりまして、関連部分を紹介するという意図で、今回この資料に載せております。
この資料を見ていただいて、分科会の皆様の御意見もいただきましたら、科学技術人材多様化ワーキング等へフィードバックすることも検討したいと思っておりますので、この6ページ、7ページのほうを、意見をいただければと思っております。
具体的に書いてある文言につきましては、6ページのほうは、これまでの取組と現状を書いておりまして、まず技術士制度について書いてあり、それからCPDやIPDを検討しているところとしています。課題・指摘事項等としましては、1ポツにあるとおり、JABEE認定との連携を図りながら、技術士制度の周知・活用に向けた取組を一層進める必要がある。それと、若手技術者に対する初期専門能力の育成から、一貫したシステムの構築が期待されるというところ。それから今後の方向性に関しては、次のページに移りますが、今言った現状を踏まえて検討していくということで、この技術士分科会においても検討を進めていくということで、案として書いております。
7ページの後段の部分は、科学技術人材多様化ワーキンググループのときにいただいた、技術士に関する御意見ということで御紹介をしております。
6ページ、7ページは、こういった議論があるということで御紹介させていただきました。
8ページ、9ページは参考資料としますので、説明は割愛させていただきます。
事務局からは以上です。
【佐藤分科会長】 御説明ありがとうございました。
それでは、関連して質疑があったらということで御発言をお願いしたいんですが、まず、今御紹介いただいた資料の6ページ、7ページのところにございます、技術者育成に関する現状・課題・今後の方向性についてですけども、人材委員会の科学技術人材多様化ワーキンググループに参加されています高木委員のほうから、もし何か補足コメント等あれば、御発言いただきたいと思います。
【高木委員】 どうもありがとうございます。資料6の7ページの最後のまるのところで「技術士資格を取得することのメリットが薄れてきているため、インセンティブの確立や資格取得の入り口を下げる等の工夫が必要ではないか。」は、私のほうから発言させていただいた内容です。
この場は技術士分科会ですので、その背景も含めて補足させていただければと思います。これは、資格取得の入り口でのインセンティブを高めることができないかということです。
先ほど、この技術士の試験の見直し、あるいは大学での奨励というお話がありましたが、大賛成です。最終的な第二次試験や技術士資格の要件等も検討することが必要かと思いますが、少し話が大きくなりますので、第一次試験、技術士補あるいは修習技術者を少し見直しできないか、インセンティブを高められないかというのがこの背景にあります。
工学部の卒業生は、大学院に進学される方が多いと思います。大学院在学中に技術士補を取得することにフォーカスできないかということです。従来以上に就職に有利になるように制度を見直せないかということです。
そのためには、第一次試験を改善・充実することが必要かと思います。IEA、国際エンジニアリング連合で定めている国際標準であるGA(Graduate Attributes)、これは高等教育修了生としての知識・能力を定めているもので11項目あります。これは非常に重要です。この知識・能力の認証をより正確にできるように、第一次試験を改善・充実できないかということです。
このメリット、狙いは2点あります。1点目は、今申し上げたように、企業の就職にとって有利なものにすることです。企業の採用では、大学の成績証明書を見ますが、採用する立場からしますと、これだけでは十分な判断ができません。面接をして、学業以外のことも聞きます。
さらに、GAの知識・能力は、必ずしも大学で十分教えていないものもあるように思います。技術士補という資格を取って、GAの知識・能力が認証され、採用の客観的な判断基準になるようにすることが1点目です。
我々の世代ですと、何十年も前になりますが、当時多くの日本企業がグローバル化を目指していましたので、企業の採用面接で実用英語技能検定の資格を持っているか聞かれました。この資格は名称独占資格になると思いますが、当時この資格が有用とされました。技術士補も今まで以上に企業の採用で活用されるようになればいいと思います。
2点目は、なるべく若いときに技術士制度の入り口に触れていただくことです。就職してから、技術士を目指すというモチベーションが高まると思います。さらにIPD制度とも整合がよくなりますし、制度の導入もスムーズになると思います。
若い時は好奇心旺盛で、時間の余裕も比較的あり体力もあります。若い時に勤務していた研究所で、情報処理主任技術者の資格取得が若手研究者の間でブームになったことがありました。半導体のハードウエアの研究をしていましたので、仕事とは全く関係ありませんでしたが、若手研究者が皆、資格を取得しました。上司からは、ほかに勉強することがあるだろうということで、渋い顔をされましたが、このようなこともありますので、なるべく若いときに技術士制度に触れていただくことが大事だと思います。
将来的には、例えば、大学の工学部の学科ごとの技術士補合格者数がランキングされるようになるとよいと思います。現在でも、医学部や法科大学院では、医師国家試験や司法試験の合格率や合格者数がランキングされています。そのようになればいいのではないかと思います。
まずここまで補足のコメントをさせていただきましたが、もし時間があれば、またJABEEとの関わりについて意見を述べさせていただきたいと思います。まずは、このような背景で、7ページの発言をさせていただいたということを申し上げたいと思います。ありがとうございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
ということで、今の御意見なども踏まえて、いろんな御意見等、コメントなどいただければと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。
【黒﨑委員】 今の入り口のところではなくて、技術士そのもののところのインセンティブになりますが、ここにまさに書かれているとおり、技術士資格を取得することのメリットというところから、やはり特に若い方に実質的なメリットを求めるというところが非常に強くなっているというふうに感じておりまして、こういった意味合いから、ここにまさに書かれているような、例えば公共調達であったりとか、あるいは事業採択といった場面において、技術士を活用していただくというインセンティブがあることによって、これはインセンティブという面だけではなくて、インセンティブがあって、それを目指す技術者のレベルが高まる、あるいはマスが大きくなってきて日本の技術を支える人材が増えるという、こういったスパイラルアップが行われていくところだというふうに思いますので、どちらが先ということではなくて、ぜひこういった技術士の活用というのを、公共の分野についても進めていただきたいというふうに思います。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
ほか、何かございますでしょうか。
【寺井分科会長代理】 申し上げても仕方ないことですが、やっぱりインセンティブを持っていただくためには、業務独占できるんですよということ、どうしてもここに行き着くんですよね、話が。
だから、若い人がこの資格を取ろうと、技術士資格の知名度ではなくて、知名度イコールこれが使えるということになるんですけども、そこがやっぱりどうしても大きいから、今の名称独占資格のままでは、どうしてもインセンティブが湧かない。
一方、いつも言うんですけど、公共調達に関わる部門の技術士の方々は、発注者のほうでそういう仕組みをつくっていただいていますから、当然のように技術士を持っている。入社のときにはもう技術士補を持っているし、入社してすぐ技術士の試験の受験を勧められるし、勉強しなさいという指導もされるわけです。
そうじゃない部門につきましては、なかなか、本当に内面から、資格を取って社会に貢献したいんだというような立派な心がけを持たないと、インセンティブが湧かないのかなという気もしますので、その辺のところは、もうこのまま名称独占でずっと行くのか、すっぱりと、いやいや、業務独占資格としての道筋をまだ探るのかといったところは、もう一度整理しておくべきかなと思います。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
前田委員。
【前田委員】 ちょっと戻ってしまうかもしれないですけど、高木委員にものすごく賛成で、JABEEのところになってかもしれないけど、今やめているところが多いですよね、残念ながら。
私どもの大学でも、やっていたところがやめていって、そこの学科の教員とかに聞いてみると、まず一つは、皆さん御経験あるように、煩雑であると。大変だ、書類仕事がいっぱい増えるという、これは教員側の事情で、あともう一つは、やはり就職ですね。就職に有利になるんじゃないかということでJABEEを始めたんだけど、でも思ったほどの効果でもなかったみたいなところがあって。
今、私どもでも、JABEEもいいんですけども、やはり一次試験を受けることを結構奨励しています。一次試験を受けることに対しては、教員側の負担というのはそんなに多くは。学生たちにちょっと課外授業みたいなことをやったりすることはありますけども、そんなに大きな負担にもならないし、JABEEだと何が何でも全員の底上げみたいな感じになってくるけども、先ほどもちょっとありましたけど、立派な心がけというところまでは行かないけれど、ちょっと好奇心みたいなものも若者はあります。そういったところで、一種のインセンティブというところまでは行かないかもしれないけど、好奇心を持って、何となくこの資格があったら格好いいなみたいな程度の話かもしれないんですけども、それでも受けてみようというときに、この一次試験の利用――利用という言い方がどうか分からないけど、ありじゃないかなという気がしています。
JABEEとの関係できちんと考えなきゃいけないことではありますけども、私どもというのは、テンポラリーにでもJABEEをやめる方向にきていますから、代わりにという感じで一次試験、これはこれで結構効果が、学生たちに対する刺激という意味でも、よいと思っています。一次試験そのものの内容は少し考えていかなきゃいけないけれども、それを学生たちに奨励することに関してはものすごく賛成です。
【佐藤分科会長】 どうぞ。
【高木委員】 JABEEのお話が出ましたので、JABEEとの関係について意見を述べさせていただければと思います。JABEEは、やはり基本的には大学の教育の質の認証だと思いまをす。
JABEEについては、20年以上前になると思いますが、私どもの日本工学会の会長でJABEEの会長もされた先生がいろいろ御苦労されて取り組まれました。JABEEの目指すところは、工学教育に関して、工学部の卒業生を、例えですが「卵ではなくてひよこにする」ということを言われています。卵には顔がないので、卒業した大学のブランドで見てしまいますが、ひよこにはちゃんと顔があって自立している、そうすると評価もできるということを言われています。それから2番目は、工学教育から技術者教育への転換、3番目が国際的な同等性です。
これは非常にすばらしいことを言われていて、個人的に賛同しますし、多分産業界も賛同するはずです。
ただし、あくまでもJABEEは大学の教育の質の認証ですので、卒業生の知識・能力を直接認証するものではないのではないかと思います。同じ教育を受けても、成績は学生によって、優・良・可、不可、あるいはS・A・B・C、Dの差が出ます。従って、やはり第一次試験を改善、充実させて、高等教育修了生としての知識・能力であるGA(Graduate Attributes)の認証を確かなものにする検討が必要だと思います。
一方、JABEEは、この場ではなくむしろ高等教育局のマターだと思います。学校教育法により、大学は認証評価機関の評価を受けなければなりません。認証評価機関は複数ありますが、JABEEは残念ながら入っていません。例えば、大学の認証評価機関を目指すか、あるいは、認証評価機関の評価においてJABEEの技術者教育の認証を評価してもらうなどの形に持っていく検討が必要ではないかと思います。
日本の大学のうちグローバルランキングで上位の大学は、JABEEの認証をあまり受けていらっしゃらないですね。グローバルランキングの評価項目は、主に研究能力、研究成果ですが、30%程度は教育も評価しています。
JABEEは認証ですので、認証を受けていないからといって教育の質が低いとは限らないと思います。
ただし、先ほど述べました工学教育から技術者教育への転換などは、政府の政策の観点でも、ここ数年、非常に重要になってきたのではないかと思います。つまり科学技術政策から、現在では科学技術・イノベーション政策に変わっています。
そうしますと、技術者教育というのはイノベーション推進に大きく貢献するということであれば、JABEEが設立されて約25年経ちますが、この機会に政策上の位置づけを見直していただく、逆にJABEEからはもっと積極的に発信していただいてもよいと思います。
この場で議論する内容から少し逸脱しましたが、関連しますので意見を述べさせていただきました。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
ほか、何かございますか。どうぞ。
【飯島委員】 飯島です。5ページの受験者の利便性向上に関しまして、最近すごくいい話をお聞きしたので紹介させていただきたいと思います。
去年に続いて2年連続で合格し2部門の資格を持つ女性会員からお聞きしました。ちょうど産後1週間で口頭試験があって、病院から退院して3日後に試験会場に行かなくてはいけなかったと。
どうしたかというと、お母様が一緒に会場に行って、赤ちゃんを抱っこして待っていてもらったそうです。事務局に事前に相談したら、特別措置として、たまたま使っていない部屋があるから使ってくださいと。スタッフの方もみんな知っていて、親切にしてくれて本当によかったと。無事に合格されて、本当にありがたいなと思いました。
ただ、そうやって相談した方は安心して口頭試験に来られるんでしょうけれども、諦めてしまう方もいらっしゃると思うんです。
これから20代、30代の女性の受験は増えていくと思いますし、女性はたしか30代の合格が一番多いんです。ですので、まさに出産期に当たる方も多いと思いますから、こうした特別措置があることをPRできればいいなと思いました。
これは技術士会でやるべきことなのかもしれませんけれども、御紹介させていただきました。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
どうぞ。
【江黒委員】 ありがとうございます。私は寺井委員の御発言にあった業務独占については、もしそれが可能なのであれば非常にインパクトがあると思うので関心があるんですけど、ちょっと過去の経緯を知らないので、昔議論があったけれど何らかの経緯で諦めたことがあるのか、その諦めた理由がもし今解消されているのなら、再び議論が可能なのかというのは、御存じの方があれば、もしよかったら教えていただければ。
【寺井分科会長代理】 公式見解でも何でもないと思うんですけど、要するに業務独占という、その業務を特定するのが困難だと。21部門というたくさんの技術部門があって、弁護士業務のように、どう定義されているか知りませんけども、そういう特定が困難だという整理で、この資格は名称を独占する資格だというふうになったという、まあ、法解釈でよろしいですか。
【益田補佐】 そのように承知しております。
【江黒委員】 工夫すれば、何らかの業務独占が付与できるような気もしなくもないんですけれども、どうですかね。いかがでしょうか。
【寺井分科会長代理】 だから、公共調達に関わる技術資格の場合は、例えば国交省でいいますとコンサルタント業務というのがございまして、そういう意味ではプロポーザルとか総合評価で各会社さんが競争するわけですけども、その時に、その競争に手を挙げるときの、管理技術者と呼んでいますけれども、管理技術者の要件として技術士を持っているこというような立てつけで、業務独占ではないけども、技術士を持っているということを優遇していただいているという仕組みはございます。
ただ、公共調達に直接かかわらない会社では、一体社内でどう評価がされていてというようなところは、ちょっと――むしろ、どうなんですか。
【塩原委員】 非常に、建設土木系に比べると、ほかの部門というのは、技術士を持っていても公共的に評価されるという仕組みはあまりありません。
それで、社内でその人間が技術力を持っているかどうかというのを評価するという形での使われ方というような形で、みんな自分を評価してもらうために技術士の試験を受けているというような形になっています。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
ほか、何かございますでしょうか。
【小林委員】 今の関連で、私は前に農林水産省におりましたのですけれども、農林水産省においても、公共事業においては、まさに国土交通省さんと同じような形で、公共調達では、今の管理技術者に対しての技術士の評価という加点があると。
加えて昨年度、一昨年ですかね、CPD認定というものができた段階で、やはりそれを加速するという意味で、加点をするということで対応いただいているということがございます。
これは技術士、そしてCPDの活用という面では重要だという認識をいただいたということだろうと思います。ですから、農業全般というわけではなくて、やはり公共調達という中で、特出してそういった評価をされているということなんだろうと思います。
それを同じように省庁に広げるというのはなかなか難しいとは思いますが、ただ、切り口を変えて、運用とか活用が一般的になってくれば、やはり技術士に対する評価というのは上がってくるだろうと。そういう意味で、様々な機会に技術士が出ていけるような(活躍する場づくり)、そういう働きかけは継続して行っているという状況にございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
【江黒委員】 少し違いますけど、今、臨床心理士の先生と一緒にハラスメント関係の勉強会をしたりしているんです。心理士の資格も非常に激動の時代だったみたいで、もともと臨床心理士って民間資格だったのが、公認心理士法というのが2017年にできて、国家資格が創設されたと。
今ちょっと調べたら、業務独占なのかなと思ったら、業務独占ではないらしいんです。つまり、誰であってもカウンセリングできるけど、臨床心理士とか公認心理士とかの資格をお持ちじゃない方に、普通の会社って頼めませんよね、そういう仕事を。怖くて。本当は業務独占じゃない、誰でもできるはずですけど。
なので、業務独占が難しいのだったら、技術士の資格を持っていない人に頼むのは恐ろしいことだという、そういうマインドに世の中になってもらえるといいのかもしれないですね。心理士はちょっとまた違うかもしれませんけど。いろんな資格が常に制度の検討をされているようですね。
【日本技術士会】 すみません、日本技術士会の専務理事の眞先でございます。一応、立場上は日本技術士会でございますので、法解釈は文科省の専管でございますから、そういう前提でお聞きいただければと思うんですが、おっしゃるとおり、技術士制度というのはもともと、科学技術・イノベーションをいかに発展させるかというのが背景にございます。
そういった意味で、科学技術・イノベーションというのは本当に新しい技術が生まれ、それをいろんな方がディスカッションしながらどんどん盛り上げて、それで社会に反映させていくというものでございますから、多くの方の参入、ニューカマーがどんどん入っていくような、そういう活動形態というのが当然ながら想定される。
ところが、それに対しまして、科学技術の定義は非常に難しゅうございます。業務独占するためにはその業務範囲、独占する範囲というのを明確に法で規定する必要がありますが、ここが非常に、先ほども寺井委員のほうからありましたように、規定するのが非常に難しい。なおかつ、社会全体では、科学技術についての発展を促すためにはどんどん新しい方が入って、タイムリーにそういうことを促していくということと相まって、非常に定義づけも難しいので、今の名称独占の前提になっています。
江黒委員がおっしゃるとおり、そういう中にあっても、例えば企業様が自分のアイデアをコンサルティングしてほしいというようなことを考えまするに、相談先はやはり信用失墜行為の禁止であるとか秘密保持義務の規定とか、そういう規定が必要になりますから、技術士制度の最初は、コンサルティング業務をしっかり進めるための制度として立ち上がっているという理解でございます。
ということで今に至るということで、なかなか、定義づけとしての業務独占というのはなじまないということと、それから、コンサルティングをまさに社会において続けるために今の法制度が成り立っていると、こういう理解でございます。
【江黒委員】 ありがとうございます。
【佐藤分科会長】 ほか、何かございますでしょうか。
【土井技術参与】 松井委員からチャットが入ってございます。
【佐藤分科会長】 どうぞ、御発言ください。
【松井委員】 チャットウインドウに書かせていただきましたが、7ページ目のインセンティブについてなのですが、皆様の御意見を、なるほどなと思いながら拝聴いたしておりました。
その上で、資料4を見ますと、20くらいある技術部門につきまして、例えば一番受験者数が多い建設と、一番少ない船舶・海洋を比べますと、1万1,000対37で、200倍以上受験者数も違うと。
これは、多分技術部門によって、先ほどから公共工事の取得とかで技術士の資格がとても有利であるというような話もありましたが、何か技術部門ごとにインセンティブが違うのではないかという気がいたしまして、その辺を少し整理していきますと、少し先が見えてくるような気がいたしまして意見をさせていただきました。
特に情報工学につきましては、今、AIという言葉が、政府も含めてはやっていると言えばはやっておりますが、AIに当たるのは情報工学なのでしょうか。でも、情報工学を取ったからといって、AIの技術を持っていると言えるのかとか、その辺の、企業とか世の中が求めている技術と、技術部門の資格の関係みたいなものも、少し考えたほうがいいかなと思いまして意見させていただきます。失礼いたしました。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。これも、どれぐらい活用できるかということの数字としての表れというふうに見ることができるかと思いますので、そういった分析の指標の一つにはなっているのかなと思っております。
いかがでしょうか。大体よろしいでしょうか。どうぞ。
【黒﨑委員】 今の松井委員のお話で、具体的に言いますと、公共調達に関わる部分というのは建設、上下水道、衛生工学、農業、森林、水産、応用理学の一部、環境、それと、非常にまれですけれども情報工学、こういったところは公共調達の場面において加点要素になっていることがあると思いますので、こういったところでは具体的なメリットによるインセンティブというのが働いているというふうに思います。
一方で、ちょっと別の観点なんですが、こういった公共調達において加点するというようなインセンティブというのは、実はそんなにロバストなものではなくて、その調達の方針とかによって容易に変わり得るものです。
それによって、実際に技術士の中の、特に建設部門などでは受験者数が非常に大きく動いたりとかすることも過去にはございました。
こういう、調達でルールが割と簡単に変えられるところで、技術者の数が大きく増減してしまうというのは、あまり人材の育成だったりとか、あるいは技術士という制度を維持していく上では好ましいものではないというふうに思っておりまして、公共調達において技術士をどういうふうに活用していただくかということを、入札における個別のルールではなくて全体としてカバーするような、先ほどの業務独占のように厳しく縛ることはできませんが、全体を網かけするような制度なり、あるいは考え方みたいなものがあれば、もう少し安心して資格に取り組んでいけるんじゃないかというふうに思っております。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。かなり多岐にわたっていろんな観点から御意見いただきましたので、少し整理をして、また何か、さらに議論が必要なものがあれば検討していきたいと思います。どうもありがとうございました。
そうしましたら、今度は議題の5でございまして、日本技術士会からの報告について、技術士会の資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【塩原委員】 9ページとか資料6とかいうのは、コメントは今回は全くなしになりますか。
【益田補佐】 手数料の話ですね。
【塩原委員】 はい、そうです。
【益田補佐】 資料6の5ページ、9ページのところにつきまして、もしコメントがありましたらいただきますが。
【塩原委員】 じゃあ、よろしいですか。
【佐藤分科会長】 はい。
【塩原委員】 まず、試験料等を増額するということに関しては賛成です。ただ、最近の物価上昇を考えますと、今回上げたことが一体何年ぐらいのバンドを許容できるのかと。ある程度の年数が入っていればいいんですが、例えば今年改定して、また来年も改定して、その後も改定してというようなことをやっていったら、もう技術士を受験する方がほとんどいなくなる可能性もあるわけです。
そういうことで、今回の改定に伴って、何年かはこれで大丈夫だというような、そういう数字になっているかどうかということを、ちょっと質問させていただきたいと思います。
【益田補佐】 事務局でございます。実際の手数料につきましては、今、関係者の方と調整することになっていますので、今、委員からいただいた御意見も踏まえまして、調整を続けていきたいと思っております。
【塩原委員】 よろしくお願いします。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
【飯島委員】 登録手数料についてですが、結婚で名字が変わると、登録変更の手続をするのに、もう一回、同じ金額の手数料を払わなくてはいけないんです。ですから、女性の場合は2回登録手数料を払っている方が多いのではないでしょうか。
【江黒委員】 それはやばいですね。
【飯島委員】 技術士会の会員登録で通称利用ができるようになったのはすごくいいことですが、結婚後に新姓で登録していた人が旧姓を使うためには変更の手数料がかかるんです。2倍払う必要があるのでしょうかというところを、御検討いただきたいと思います。
【江黒委員】 それはないでしょう。同一人物なんですよね。それは何というか、負担させるのは駄目だと思いますけれども。という前提で御検討いただけるといいと思います。
【飯島委員】 現状を確認していただけますか。お願いいたします。
【日本技術士会】 手数料ですから。手数料として頂戴しております。
【江黒委員】 ちょっと、急ぎ調整していただいて。男女で大分ゆがみが出ますので。
【飯島委員】 結婚後は女性が名字を変える場合がほとんどですので、女性に手数料の負担がかかっているということで、お考えいただければと思います。男性は気づきにくいと思いますが。
【佐藤分科会長】 御意見いただいたということで。ありがとうごいました。
では、技術士会から御説明を。
【日本技術士会】 それでは、資料7、8、9と、続けて技術士会から説明させていただきたいと思います。恐縮ですが、資料の説明の順番として、資料の9から、9、8、7の順番で説明をさせていただければと思います。
資料9は新CPDの報告ということで、技術士分科会のたびにその時々の状況を御報告させていただいているというものでございます。
一方、資料8は、今般、日本技術士会でDEI推進宣言というものを、3月理事会ですが定めました。この背景と狙いということについて、実は飯島委員が、先ほども御紹介がありましたように、技術士会の中では男女共同参画推進委員会の委員長ということで、本宣言の取りまとめに尽力されたということで、本日は飯島委員のほうから説明をいただきたいと思います。
それから、最後に資料7ということで、先ほど来随分いろいろ話し合っております技術士資格の普及拡大・活用促進ということで、技術士会がここ数年行っておりますことの概略の御紹介と、今、取り組んでいることについて御紹介をさせていただければと思います。
それでは最初に、恐縮ですが資料の9をひもといていただくとありがたいと思っております。
資料の9、開いていただきまして2ページ目です。新・技術士CPDに関する活動の経緯ということで、御覧のとおり、技術士制度におきましては、2000年の技術士法改正において、継続研さんというのは技術士の、努力義務なのですが一応義務ということになりました。
以降、近年になりまして、令和3年の段階ですが、CPD活動の実績の管理、それから活動の実施ということで具体的な新しい制度が立ち上がり、これは文科省さんからの大臣通知ということで実現に至っているということで、現在に至っております。
技術士法施行規則の改正を経て、技術士の登録簿に実際の実績を記入できるという仕組みに変わりまして、その取組を技術士会が進めておるということでございます。
次の3ページ目でございます。技術士会では、この新CPD制度についての管理運営を行っているという観点で、具体的にはCPDマニュアルというものを定めまして、ガイドラインとマニュアルですね、これを定めまして、その品質を保っていくということで取組を続けております。
近年の改訂内容はこのとおりでございまして、例えば当初、マニュアルについては「技術士CPD管理運営マニュアル」と名前がついていましたが、これを一般的な意味でのマニュアルというふうに名称を変え、技術士の方々が使いやすいようにブラッシュアップしているということでございます。
次のページでございます。新・技術士CPD制度の登録状況ということで、昨年度末の数字を記載させていただいております。正会員・非会員の数字を合わせまして、合計3,778ということでございます。
また、記載申請の数字に加えまして、CPD認定の登録状況ということで申し上げますと、1,672という数字になっております。まだまだ、さらに拡大していく必要があるという認識でございます。
次のページに、登録の推移ということで、月別に3年分を折れ線グラフで書いております。どうしても年度当初に、前年度の実績を踏まえて記載されていくような傾向がございますので、年度の最初と最後に集中しているということがお分かりになると思います。
次のページでございます。関係学協会のCPD活動実績の活用ということで、多くの方々は、必ずしも技術士会だけではなくて、関係する学協会においてそれぞれのCPD実績は登録されているという状況にある中で、その情報を持って技術士会にも登録していただいているという形で、間接的なのですが、それぞれの関係学協会のほうからはこのような形で手続が取られているという数字です。
特徴的なのは、建設コンサルタンツ協会さん、先ほど御覧いただいたようにやはり建設関係は非常にマスが大きいものですから、こちらが大きいのですが、さらに農業農村工学会さんのほうも非常に突出しているというのがお分かりになると思います。
これは、まさに先ほどもありましたように、農水省さんのほうでこの実績が加点要素になるという取組を最近出されたということに対応して、農業農村工学会の実績を登録してくるというケースが非常に多くなっております。
これを一つのサンプルとして、このような仕組みがほかにもつくれないかというのは、それぞれまた問題意識として持っているという状況にあるというふうに思っています。
次、最後のページですが、新CPD制度の推進と定着に向けてというページが最後にございます。御覧のとおり、まだまだ実績として、もっともっと多くの方の登録をしていただくような取組ということで、さらなるCPD活動の充実と広報活動の継続という意味で、CPDの機会の拡大とコンテンツの充実、これは当然のことでございますが、もっといろんな形を通じてPR活動を展開していかないといかんということ。
それから、登録システムの改良とございますが、なかなか登録していくのに手続とか、実際の操作とかが煩雑だという声もやっぱりありますので、この辺りの改良は引き続き取り組んでいくことが必要だということでございます。
それから、資格活用との連携ということで、先ほど申し上げたように、農業部門と同じように、ほかの部門でも、それぞれの業界さんとかその辺との関係で、技術士のCPD認定の位置づけを確保していくということを、今後も取り組んでいければというようなことを考えているということでございます。
新CPDについては以上でございます。
続きまして、DEI宣言について、飯島さんのほうからお願いいたします。資料の8になります。
【飯島委員】 3月に日本技術士会の理事会で承認を得て策定されました、DEI推進宣言について説明させていただきます。
目次にございますように、策定の趣旨とDEIとは何か、また技術士の課題、推進宣言についての順で、説明をいたします。
策定の趣旨でございます。本会の使命を果たすためには、今日のような不確実性の高い時代では、既成概念にとらわれない柔軟な発想、多様な視点で、社会課題の解決に向き合うことが必要であるとしまして、様々な社会動向、本会の現状を踏まえて、今回の宣言に至ったものでございます。
DEI、すなわち多様性・公平性・包摂性の推進により、全ての技術士が活躍し、社会課題の解決やウェルビーイングの向上に貢献することを宣言しますと書いております。既に、組織行動規範、技術士倫理綱領でも多様性の尊重が明示されておりましたので、この宣言はそれを具体化する役割も持っております。
次のページには、ダイバーシティとインクルージョン、それぞれの意味について、図で説明しています。ダイバーシティ(多様性)だけですと、左の図のように、個々に価値を発揮している。インクルージョンの状態(包摂した状態)では、相互に影響し合いながら、組織全体で価値を発揮するという状態でございます。ダイバーシティだけでは駄目だということで、インクルージョンという言葉が追加され、浸透してきております。
例えば、渋谷の再開発のような面的に広いところをやるときは、建設コンサルタントも10を超える分野の技術者が連携してやっています。まさしくそのようなものもD&Iと言えると考えます。
続きまして、今度はEが入ってきました。エクイティです。これまでD&Iだったんですけれども、どうも効果が見えにくいとして、エクイティの概念が入りました。
上の図は、同じ自転車を与えられた方が走っている様子です。これを「平等」として、同じ自転車を与えてきた。しかしながら、こげない人がいる。そのために、一人ひとりに合わせた自転車を与える。これが「公平性」という概念で、結果としての平等、みんながこげる状態、これをDEIというふうに概念が変わったわけでございます。
続いて、技術士に占める女性の割合です。先ほど合格者に占める割合が9%となっておりましたが、全体で見ると現在2.7%にとどまっております。10年前と比較しても1%しか増えていないという状況です。
科学技術の先端を担う技術士が、多様な経験・価値観を備えたメンバーで構成されているのが望ましいというのは言うまでもございません。女性の割合というのはそれをはかる物差しの一つであると考えております。
続きまして、STEM女性がなぜ少ないのかを図で表したものです。科学・技術・工学・数学分野の女性のキャリアのパイプラインがどんどん先細りしております。
15歳の男女の数学の成績というのは世界でいずれもトップレベルなのに、高校生のうち理系進学を希望する男子は5割、女子は3割です。そのうち、実際に大学で理系に入るのは、女子では1割です。残りの女子はどこに行ったかというと、医療や薬学などの保健系です。
これは、女性技術者のロールモデルが少ないせいもあると思います。あとは親御さんが、女性が技術職で食べていけるのかというような心配もあるかもしれません。このようなアンコンシャスバイアスの状況があり、結果として技術士資格を取る女性が全体では3%になってしまうというものでございます。
そもそも幼少期から、算数ができる女の子はかわいくないというような刷り込みもございます。「かわいい」というのは、幼くて小さくて抵抗しないということを表す日本の文化でございますけれども、そうではなくて、理系ができる女子は格好いいと言われるような文化をつくっていく必要があると考えます。
続きまして、部門別に見た女性の割合です。一番少ないのが電気電子の0.4%、そして環境の12.7%というふうに幅がございますが、平均が、先ほど申し上げた2.7%です。
過半数を占める建設が2.9%と少ないのが、全体に影響しているかと思います。建設部門で女性が増えていけば、かなり技術士全体でも割合が増えると思います。
続きまして、個人会員と役員の比率を比べた図でございます。これは、STEM分野の学協会の連絡組織である男女共同参画学協会連絡会が作ったデータでございます。
技術士会は、オレンジの枠で囲んでいるところです。個人会員よりも役員に占める女性割合の方が若干多くなっています。役員33名中、女性が2名、6%というのが現在の割合です。来期からは女性が3名に増えますので、9%となります。
会員の女性割合に対しては高いですが、意思決定に影響を与えるクリティカル・マスは3割と言われていますので、そこに比べますと、まだ開きが大きいなというところでございます。
続いて、宣言が目指す姿です。まず、技術者、技術をつなぐプラットフォームだというところが重要であると示し、それに加えて、誰もが能力を発揮しているかどうかという点や、その技術力を提供した社会に対して、誰もがその人らしく生きられるよう貢献するとうたっています。
続いて、趣旨を書いています。冒頭で説明しましたが、技術士会の定款に書かれている使命を果たすためにはD&Iが重要であると。
最後、ウェルビーイング、つまり、精神的にも身体的にも社会的にも満たされた状態を目指すと記載しています。
そして、これらを実現するための基本方針が12ページにございます。
3つの「シンカ」というのはかけ言葉にしています。「意識の深化」は、多様性を高め、相互に働きかけ合って、DEI、風土文化を醸成しようとするもの。「仕組みの進化」は、制度・体制といった仕組みや取組を進化させ、性別・年齢等の多様な会員がもっと活躍しやすくしようというものでございます。
先ほど事例で申し上げたような、妊産婦さんでも受験しやすいとか、お子さんを連れてきて預けられればもっといいです。他の学協会ではイベント会場に託児所を設けるところも増えてきました。また、子供を連れていった場合はお子さんの交通費補助をするとか、様々な工夫をして、若手や女性が参加しやすいようにしている例があります。
3点目の「社会貢献で真価」というのが、技術士会の真価を発揮させて、ウェルビーイングの向上につなげようというものでございます。
13ページには概念図を示しております。目指す姿とダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの説明があり、そして基本方針、これらを整理した図でございます。
最後は、取組の方向性のイメージです。3つの「シンカ」に対して、会全体として取り組んでいくことのイメージと、技術士や会員へ期待することのイメージです。
取組の事例としましては、他の学協会ではクオータ制として、役員に女性や若手の割合を定める、また、女性や若手を対象とした表彰制度をつくるといったものもございます。
今後につきましては、アクションプランを具体化していくステップに入ります。技術士会全体のアクションプラン、また、部会や委員会といった各組織のアクションプランをつくって実践につなげられるように、男女共同参画推進委員会でサポートしていきたいと考えているところでございます。
以上になります。
【日本技術士会】 続きまして、資料7につきまして、技術士資格の普及拡大・活用促進についてということで、私のほうから説明をさせていただければと思います。
先ほど来いろんな形で発言がありますとおり、技術士制度がなかなか一般的に認知度が低いと、こういう問題意識はかねてより、当分科会でも懸案事項として設定されていた課題でございます。
技術士会におきましては、最初の1枚目をめくっていただきますと、「はじめに」として少し経緯が書いてありますが、特に第9期の技術士分科会、ですから今より4期ほど前ですね、8年ほど前になります。もう少し後かな。
その時に、特に資格活用の問題というのが重点課題として位置づけられたことを受けまして、技術士会の中では、資格活用委員会というのをその時以来設けて活動を進め、いろんな形で技術士制度の普及拡大、それからいろんなところに活用していただくと、こういう問題意識を持って取り組み、活動をしてまいりました。
次のページを御覧いただきますと、これまでの取組ということで、大きく概念的に3つの柱で分けて整理をしております。
1つは技術士制度の公的活用の推進ということで、中央省庁等におきます国家資格、あるいは関係法人のいろんな業務取組の中に、技術士制度をうまい形で組み込むというようなことは、これは最近だけではなくて、もうかねてからなのですが、様々な形で実施をしてきているという実態がございます。
例えば、中央省庁における資格の活用で申し上げますと、具体的にいろんな法体系の中において位置づけられている、一定の管理者とかそういった方々について技術士資格をひもづけているということで、この関係の業界では、したがって技術士制度が非常に重要視されるということもありまして、こぞって技術資格を取りにいかれるという傾向はあろうかと考えております。
また、次の、他の公的資格取得上の優遇措置、これは試験免除というのが一般的にイメージされます。技術士試験に通っている方であれば、ほかの資格で要求されている受験資格のうちの一部といいますか、試験要素のうちの一部は既に済んでいるということで、その範囲において免除がなされるという関係がありまして、大体20ぐらいの資格について、そういう関係を既に法令で設定していただいていると。例えば弁理士さんとか中小企業診断士、こういう関係でひもづけがされているということでございます。
また、それとは別に、例えば司法支援、これは裁判所支援ということで、前にも少しこの分科会でも御紹介させていただいたところでございますが、専門委員である、専門家としての御活用をいただいているようなところもございました。
これは具体的な例として、裁判所支援、司法支援の枠組みでは、技術士会の中では400弱の方々が具体的に登録をされ、個々の案件に対応してマッチングしているという状況になっております。
それから、大きな柱の2つ目としては、産業界における資格活用の推進ということでございます。業務で資格活用する企業では資格取得を奨励、これは先ほど来話題になっているとおりの話なんですが、全体としては、明確に業務関係がひもづいていないところでは、なかなかそういう関係にまだ至っていないということなので、ここのところをどういうふうに開拓していくのかというのは非常に大きな課題ですという問題意識です。
全般的に、技術士の知名度向上に向けた活動ということで広報活動等をしておりますけれども、もっと何かピンポイントで、この辺りのことが議論できるといいかなというふうに考えているところであります。
ちょっと余談になりますが、先ほどの人材委員会での議論として、技術士制度の話、前の資料の6ページに科学技術人材多様化ワーキングの資料が掲載されておりますが、ここで技術士制度の活用促進というところを示していただいているのですが、先ほどの議論をお聞きしておりますと、やはりその上の(2)番、産学で活躍する優れた技術者の確保・活用促進というのがあります。
この中で特に、大学もさることながら、企業等における技術者の育成・確保、こういった視点にどう技術士制度がかみ合っていくのかというのが、非常に大きなテーマじゃないのかなということを考えたりします。
ちょっと脇道にそれて恐縮ですが、戻っていただきまして大きな柱の3番目でございますけれども、国際的活用の推進と。これも懸案事項の大きな柱として立っておりますが、現状、これに書いてございますように、これも御報告をさせていただいていると思いますが、技術士制度の国際的な通用性という意味で、IEAの示すGA/PCバージョン4への対応というものを図っている。このようなことを通じまして、技術士制度の品質というのが世界に通じる格好であるということを一応取り組んでいるというのが最近の状況です。
次のページへ行っていただきまして、こういう中で、最近、特に取り組んでいることとして、3つほど事例を挙げさせていただいております。公的活用の分類の中に入るものとして、一応3つお示ししております。
1つは国交省さんの地方整備局のほうに新技術評価会議というものがございまして、こちらのほうに技術士会が貢献させていただく取組を始めているという御紹介です。
それから2つ目は、特許庁さんの独立行政法人工業所有権・情報館(INPIT)、こちらのほうで取り組んでおられる知財総合支援窓口というのを展開されておりますが、こちらに技術士会が本格的に協力をするという取組を、最近合意に至っているという御紹介です。
3番目は、これ、特にNEDOさんと書いてあるのですが、技術士さんというのはやっぱり現場力の高い、特に産業界人材という側面がありますので、そういった特徴を生かしながら、NEDOさんですとGX対応とか、新しいプロジェクトを立ち上げるときの専門委員としても、人材ということで貢献できるかと、こういうことで関係をつくってきているということでございます。
次のページをお開きいただきますと、最初の事例、国交省さんの新技術活用評価会議という、これはNETISというシステムがあるのですが、こちらのほうに技術士会が加わってきているという話の御紹介です。
そもそもこれは何かというと、公共工事の中に民間で発案されているような新技術、これをうまいこと組み込んで、工事の品質のアップとか、いろんな形のアップグレードを図るという意味で、積極的に民間の力を導入しようという仕組みを、国交省さんのほうで整備されていると。
従前、ここに技術士会というのは、実は近畿のほうで始めたんです。近畿本部のほうで始めたのが皮切りだったんですが、技術士会からも、関係する評価会議の一員として、技術士会からも委員を送って、ここで技術士会として新しい技術提案についてのコメントを集め、そこに反映させていくという取組を開始することで、より総合的な、様々な技術部門の知見が新技術に対してコメントとして評価できる、こういう仕組みをつくってきております。
現状、近畿が皮切りと先ほど申し上げたとおりですが、関東地方整備局対応、それから九州、中国といったところでこの取組が始まってきているということでございますので、今後ともこういう活動を続けていくというのは有意義かなと思っております。
技術士会の特徴としては、やはり21の技術部門を抱えているということで、1つの新技術提案に対して、様々な専門の知見を加えることができるという、資格自体は個人の資格ですが、組織として活動することでそういう総合力を発揮できるというところを生かしていると思っております。
次のページはちょっと割愛しますが、今申し上げたように、近畿の取組を関東、中部地方まで拡大したということの御紹介であります。
実際に、ここの右側を御覧いただきますと、それぞれワーキングという形で対応しておりますけれども、いろんな技術部門の方々があいまって、この評価全体を支えているというふうに御覧いただくとよろしいかなと思っております。
次のページ、これは特許庁さんのINPITに参入と書いてありますが、右側にポンチ絵があると思いますが、もともとINPITさんのほうでは知財支援ということで、通常、これまで全国的にこういう窓口を設定されておられて、弁理士さんとか弁護士さんとか、いろんな専門家の方が寄せられた相談に対して支援をするという枠組みをつくっておられたんですが、技術士さんがここに入ることによって、特に現場力の強い技術士ということで、より厚みをなした形で知財対応ができるのかなと。
これは全国対応でございますので、結構、技術士会としても全国組織を持ってございますから、比較的なじみのある取組かなと見ております。
それから、2ページほど先のNEDOの話に触れたいと思います。これも御案内のとおりでございまして、NEDOさんの取組というのは、当然ながら新技術開発ということで、最先端の研究開発を進めていくわけですが、様々なNEDOプロにおいて、どうしてもそのプロジェクトを評価する、あるいは審査をする、そういった専門委員の人材をそろえるというのは結構大変で、専ら大学関係者だけではなく、やはり産業人材というのも非常に必要ですよねという声がある中で、多種多様な人材を育てる技術士会から御紹介することで、こういったニーズに対応しようという取組を始めているということでございます。
以上述べましたように、このような取組を幅広く、一つずつですが地道に活動を広げていくことで、技術士会の知名度アップと、それからいろんな形で技術士を使っていただくような環境を広げていくように取り組んでおりますので、引き続き今後ともよろしくお願いしたいと思います。
説明は以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
それでは、ただいま3つ説明がございましたけども、何か御質疑等ございましたら御発言をお願いいたします。
どうぞ。
【江黒委員】 INPITさんの支援に参加されるというのは非常にいいことだなと思って伺っておりました。INPITさんの取組と別に、去年、特許庁さんから弁護士周りに周知を依頼されましたのが、政府全体で副業を推進しているせいもあると思うんですけど、大企業の知財部に所属しているような知財人材、弁理士じゃなくてもいいんですけど知財人材の方ですね、でも弁理士さんも想定されていると思うんですが、そういう方が、このINPITでやっているみたいに幾つかのスタートアップ、10個ぐらいですかね、大きなスタートアップで、特許庁のほうで採択したスタートアップと、副業マッチングというんですかね、大企業にいる企業内の知財人材とそういうスタートアップをマッチングする取組をやりたいと。
何か月か、副業として可能な範囲で、マックス何時間ぐらいというのを決めて、アドバイスをしてあげてほしいと。それを、弁護士とか弁理士会とか、分かる範囲のアドバイザーをしてくださる方に、今、周知しているので、広報対応を協力してほしいと言われたことがあります。
特許庁がマッチングするので、その何か月間はボランティアなんですけど、ボランティア期間が終わったら、顧問とかになっていただくことはもう特許庁は関知しないことですので、私が、そういうのもあり得るんじゃないのということで友人たちにまいていただくのは構いません、むしろやってくださいみたいな感じで、そういうことで周知を協力したことがあります。
なので技術士さんも副業で、そういうアドバイザー的なことで、本業と別に収益を得ていただいて、そっちが軌道に乗ったら独立されるとかということもあり得るんじゃないかと思いますので、そういう副業とかの推進というのもやっていただくと、すごく。
その時、特許庁さんのスタートアップの知財人材のマッチングのときに思ったのは、弁護士よりもエンジニアリングのプロフェッショナルのアドバイザーを求めていて、求めている要求スペックが、それぞれのスタートアップが書いてあるんですけど、私が見る限りは、法律色よりはやっぱりエンジニアリング、技術職の方のアドバイザーが欲しいらしいんですよ。弁護士はお呼びじゃないんじゃないかと思ったりして、知財はちょっとあってもいいかもしれないですけど。
そういうスタートアップ、日本の産業界にたくさん出てきていますので、ぜひ技術士さんのパワーを遺憾なく、そういった副業なんかも通じて活用していただきたいなと思います。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
ほかに何か御意見等ありますでしょうか。
どうぞ。
【渡部委員】 質問なんですが、最初に御説明いただいた資料8の件なんですけど、会員と非会員と、あえて分けて御説明されているのはどういう意図があるのでしょうか。
【日本技術士会】 制度の対象は必ずしも会員だけではなくて全体なので、そういう中で、実際に会員さんに対しては、どうしても距離が近いので情報が届きやすい。一方、非会員の方というのはそうではないということもあり、ある意味、非会員の方がどのぐらいこちらに手続を取っていただくかというのは、制度全体が技術士制度にどれだけ普及しているかというのも、ある意味一つの尺度になろうかということもあります。そういったところも含まれているというふうに御理解いただければと思います。
【渡部委員】 絶対数としては非会員のほうが多い。
【日本技術士会】 そのとおりです。ざくっと申し上げますと、技術士全体の登録者数は延べ大体10万ぐらいと言われていて、技術士会の会員は大体1万6,000人ぐらいなんです。大体そういう割合でお考えいただくと。
【渡部委員】 なるほど。了解です。ありがとうございます。
【佐藤分科会長】 よろしいでしょうか。
ほかに何かコメント、あるいは御質問でも結構ですけども、よろしいでしょうか。
どうぞ。
【寺井分科会長代理】 資格の活用については大変御努力されていますし、いろんな可能性が出てきたということで大変すばらしいなと思うんですけど、資格の活用ともう一つ、制度の活用という視点もあると思うんです。
例えば、人材委員会のワーキングのレポートが参考資料にもフルでありますけど、ここで強調されているのは、技術者の中の一つに大学の技術職員の方の話があるんですよね。その大学の技術職員の方、今は技官と呼ばれているんですかね、ちょっとよく分からないんですけど、その方々が、研究者に対する補助、あるいは高度な計測とかそういったものが必要だということを、縷々書かれているんですよ。
それはまさに、その方々に技術士資格に挑戦していただいて、例えば応用理学部門には、機器分析とかいう専門科目もあります。もちろん、応用理学部門そのものが物理化学の応用ということになっています。あるいは、原子力・放射線部門の中でもそういう専門科目があると思うんです。
ぜひ、そういう制度の活用をいろんな面でやれる部分が、まだまだ官も民もあるんじゃないかなと思いましたので、そういった意味では、この人材ワーキングのペーパーの最後に技術士制度の活用促進とあるんだけど、ちょっとお題目的な書き方になっていますので、具体例を挙げて、いろいろもっと書き込めることがあるんじゃないかなと思いましたので、ちょっとそこだけ。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、今の議題についてはということで、その他に入りますけども、先ほど、冒頭御挨拶いただいたときに栗山委員と音声がつながりませんが、今つながったというふうに伺いましたので、一言御挨拶いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【栗山委員】 栗山です。どうもすみません、先ほどは出席できなくて。ちょっとだけお話ししてもよろしいですか。
【佐藤分科会長】 よろしくお願いいたします。
【栗山委員】 私、建設部門出身なので、ですので技術士が非常に多い部門なので、その中で私、実は土木学会の資格のほうに携わったことがあって、その時は技術士というのが、何というか王様みたいな感じであって、いかに技術士に追いつくかということを考えるような仕事に携わっていたんですが、その時考えていたのは、やっぱり受験してもらうためには、一つには、それを取ると仕事として得になるから、もう受けざるを得ないという環境をつくるというのが一つ。あともう一つは、内部的に自分たちが成長するためにはこの資格が必要だというふうに認識してもらうことが一つ。この2つのうちの1つ、どっちかの動機があれば受験してもらえるかなというふうに考えた。
それを建設以外の部門のところに考えたときに、半分、会社として強制的に職員に受けさせるためには、やっぱり国として仕組みをつくってもらわなきゃいけなくて、そうすると、いろんな部門があると思うんですけれども、どこか部門を絞って、その省庁に何かそういう枠組みをつくってもらうように、もう個別に交渉するのが一つかなというふうに思います。
あとは、自分の内部で、これは自分の成長のためにつながるなというふうに認識してもらうためには、何か宣伝しなきゃいけないと思うんですけれども、その手段としては、技術士会は技術士を取った人しかいないので、例えばいろんな学会、さっき男性と女性の比率のところで、いろんな学会がございましたよね。あの中で、会員数が多いけれども技術士が少ないようなところの学会に幾つかターゲットを絞って、そこといろいろお話しして、あるいは学会誌に技術士のメリットみたいなものをちょっと宣伝させていただくというのはどうかなというふうに考えました。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。御挨拶と御意見もいただきました。どうもありがとうございました。
そうしましたら、その他の議題に入っておりますが、予定の時間までほんの少しありますので、もし何かこの機会に御発言あればということですけれども、よろしいでしょうか。
どうぞ。
【高木委員】 今、寺井分科会長代理から御意見のありました、人材委員会のワーキンググループで議論している技術職員に対する技術士制度の活用については、私も委員を拝命しておりますが、ぜひ事務局でご留意いただければと思います。
それから、先ほどの日本技術士会からのお話の中で、資料6の科学技術人材多様化ワーキンググループの資料の引用のうち、6ページの、(2)産学で活躍する優れた技術者の確保・活躍の促進、と技術士制度の関わりについてのご指摘がありました。産学で活躍する優れた技術者の議論は非常に重要だと思います。
おそらく科学技術庁時代は、産業界の技術者についてかなり議論されていたのではないかと思います。技術士制度を今、文部科学省で所掌しているというのもその流れだと思いますが、文部科学省になられてからは、アカデミア人材に注力されているような印象を持っておりましたので、産学、特に産業界の技術者の議論を、技術士制度以外の場で改めて議論することは大変重要で大きな意味を持つことだと思います。
お願いとして、人材委員会のワーキンググループとこの技術士分科会の間で必要な情報共有をしていただければと思っております。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
ほか、何か御発言ございますでしょうか。よろしいですか。
よろしければ、本日の議題は以上でございます。
それでは、事務局から連絡事項をお願いいたします。
【益田補佐】 事務局でございます。議事録につきましては、確認のため後日送付をさせていただきますので、よろしくお願いします。その後、委員の皆様方からの御指摘を踏まえまして、分科会長に議事録を御確認いただきまして、非公開部分につきましては除きまして、文部科学省のホームページに公開させていただきます。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
それでは、最後に奥課長から御挨拶をお願いいたします。
【奥課長】 ありがとうございます。本日も御議論いただいてありがとうございました。今期の委員に御就任いただいて、重ねてありがとうございます。今期も議論すべき事項というのは多々ありますので、引き続き闊達な御意見をいただければと思います。
今期、特にやっぱり重点的に取り組むべきことというのが、一つはIPDシステムを速やかにスタートさせる。スモールスタートですけれども、これを速やかにスタートさせるということが一つ。
もう一つは、先ほど御意見いただきましたけれども、やはり受験料の値上げというのを実に30年ぶりに実施をしないといけないというところがありますので、ここの料金の設定ですね、ここを速やかに我々のほうとして検討した上で、今年中に法改正、政令改正のほうに持っていけるように、調整を進めさせていただきたいというふうに思います。また、先生方に御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いします。
それと、先ほど業務独占資格的な話がありましたけれども、正直申し上げて法制度上、あるいはその実態上、すぐさまこれをやるというのは非常に難しいというふうに思いますので、実質的なインセンティブが働くように、公共調達の仕組みも含めて検討させていただきたいと思います。こちらもどうぞよろしくお願いします。
あと、今回何回も御発言がありましたけれども、我々人材政策課のほうで、今後の科学技術人材の在り方についてというのを、昨年の10月以降、検討を始めさせていただきました。
これは問題意識として、人材政策課でやっていた人材育成施策というのは、どちらかというとポスドク支援であるとか、博士の支援であるとか、あるいは理数系の初等中等教育段階の支援とか、ある種、点の支援にとどまっていたというところがありまして、やはり人材というのも科学技術・イノベーション政策そのものなので、もう総合的な人材政策というのを考える必要があるんじゃないかということで始めさせていただきました。
研究者はもとよりなんですけれども、技術者についても、高木先生からお話があったように、文科省になってからの技術戦略というのは、正直言って、ないというところがあったので、ここはもう一から議論を始めさせていただきたいなと思っています。
柱立てとして、大学・高専における工学教育、2つ目が産学連携による技術者育成、それと技術士制度の活用ということで、3つ柱を設けて具体策を議論していきたいと思っています。
その中には技術職員も入っていますが、技術職員も我々の所管ではありますので、大学における技術職員も含めた技術者の育成策というのを議論していきたいと思っています。
当然ながら、技術士制度に関してはこの分科会が主な所掌になっていますので、この人材委員会の議論と技術士分科会の議論というのをうまくマージさせながら、今後結論を導いていきたいというふうに思っておりますので、また、検討結果については随時御報告をさせていただきたいと思います。
人材委員会のスケジュールとしては、この夏に一旦中間まとめをした上で、年末にかけて最終まとめみたいな形で議論を進めさせていただきたいと思いますので、また随時、先生方には御意見等いただければ幸いに思います。
本日はどうもありがとうございました。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
それでは、以上で本日の会議は終了したいと思います。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局人材政策課